61. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 出所した角川春樹の復帰第一作で、「北京原人」のあと、映画の仕事から干されていた佐藤純弥監督にとっても久々の新作となった大作戦争映画。公開当時は佐藤監督の映画を見るのに抵抗があったのと、角川春樹というのにも今さら感があったのだが、「新幹線大爆破」を見たあとなんとなく佐藤監督の映画を見るのに抵抗がなくなったことで、とりあえず見てみた。当初、脚本としてクレジットされていた野上龍雄がトラブルで降板し、脚本も佐藤監督一人によるものだが、脚本に関してトラブルがあったことをあまり感じることはなく、思ったよりはまともな(少なくとも「ローレライ」よりは)映画だった。しかし、レイテ沖海戦のシーンは描写があっさりしすぎており、戦闘シーンも大和乗組員たちの悲壮感があまり感じられず、実物大の大和のセットの迫力ともあいまっていかにも角川春樹らしいなあという思いのほうが先に立ってしまうし、最近の美術さんは「汚し」を知らないのかと思うほどいつまで経ってもセットがキレイなのは違和感がある。(そりゃ、撮影終わったあと、展示するのを考慮してるのかもしれないけど、リアリティーなさ過ぎ。)沈没シーンも東宝の「連合艦隊」のようなドラマチックさはない。生き残った神尾(仲代達矢)の回想形式で進んでいくが、合間合間に入る現代のシーンはけっこうくどく、とくに神尾が心臓発作を起こして倒れている間に若き日の神尾(松山ケンイチ)が戦死した戦友(内野謙太)の母(余貴美子)に会いにいく回想が流れるのは、意図としては分かるのだが、なんだか強引な気がするし、倒れた神尾を真貴子(鈴木京香)が介抱するのも、鈴木京香の見せ場をとりあえず作っておいたという感じしかしない。はっきり言って現代のシーンは最初と最後だけでよかったのではないかと思う。全体的に見て、さっきも書いたようにまともな反戦映画であることは感じられるが、やっぱりそれよりも先に角川春樹の映画だなというのが来てしまい、見終わってあまり残るものはないように感じるし、同じテーマの映画なら「連合艦隊」のほうが好きだな。白石加代子が神尾の母役で出演しているが、この人には金田一シリーズなどで怖いイメージがあり、出ている間もずっとそのイメージが抜けなかった。先週まで「緋牡丹博徒」シリーズを見ていたせいかどうかわからないが、寺島しのぶがお母さんの富司純子にちょっとだけ似て見えた。(富司純子のほうが好きだけど。) [DVD(邦画)] 5点(2011-08-16 14:05:07)(良:2票) |
62. 大当り三色娘
美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの「三人娘」シリーズ、初めて見たが、いかにもこの時代の東宝映画らしい明るいプログラムピクチャーのアイドル映画という感じ。主演の三人のそれぞれの歌うシーンがやはり見どころで、ストーリー的に心に響くものはないのだが、三人にそれほど興味の無い自分でもじゅうぶんに楽しめた。昭和30年代の前半という時代のアイドル映画ということで、映し出される風景もなんだかほのぼのしていて癒される。これが東宝スコープ第一作とのことだが、そのことからも東宝のこのシリーズに対する自信が分かるし、数々見てきた東宝のシネマスコープ映画の最初がこれなのだと思うと妙に感慨深いものもあったりする。主演の三人のうち、江利チエミは東映時代劇の「この首一万石」や「ちいさこべ」でのシリアスな演技が印象に残っているが、ここでは明るくコミカルなキャラクターで、江利チエミを初めて見たのが確か「ジャンケン娘」のジェットコースターのシーンの映像(全編は見てない)だったせいか、本格的に出演作を見る以前から明るいアイドルというイメージが強かったのだが、まさにイメージ通りだ。(「サザエさん」が見たいなあ。)雪村いづみは現在から見てもスタイルがいいと思う。美空ひばりは既に顔つきに味があり、歌もこぶしが利いていて、晩年の映像とさほど印象が変わっていないのがすごいが、当時は二十歳くらい。主演の三人は同い年のはずだが三人居並ぶとどう見てももっと年上に見えるし、三人の中ではいちばんアイドルという感じではない顔立ちのような気がする。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-03-18 22:12:09) |
63. おろしや国酔夢譚
《ネタバレ》 佐藤純弥監督が「敦煌」に続いて井上靖の歴史小説を映画化した作品。鎖国の時代に仲間とともにロシアに漂流した実在の男が、日本に帰国するまでの8年間を描いているのだが、確かに長い年月の物語を2時間ほどで駆け抜けるため、大河ドラマの総集編でも見ているかのような印象で深みは感じられないし、いきなり遭難シーンから始まっているせいか、主人公たちの望郷の念にイマイチ感情移入できないのが難なんだが、まあ、思ったよりは面白かったかな。冒頭の嵐のシーンとかちゃちさを感じさせるところも多いが、ロシアロケ部分はなかなか見ごたえがあり、そりで雪の中を行くシーンは見ているだけですごく寒そうというのが伝わってきてリアルだっだし、初めて映画のロケに使われたという宮殿も(ちょっと観光PRのような気がしないでもないが。)まさにこの時代のロシアの栄華が伝わってくる。しかし、仕方がないとはいえ、エカチェリーナ2世に謁見したその日に帰国を許されるのはちょっと急ぎすぎな気がする。ドラマとしても物足りなさが残り、最後もあれで終わりなのかよーという感じなのだが、そんな中で凍傷にかかり、片足を切断した西田敏行演じる庄蔵のエピソードは印象的だった。 [DVD(邦画)] 5点(2010-04-20 14:24:59) |
64. ALWAYS 三丁目の夕日
そんなに期待してなかったんでまあそこそこって感じ。でも、原作のマンガを何冊か読んだことがあるのでそれと比べるとやっぱり物足りない感じがする。吉岡秀隆はわりと好きなんだけど、「男はつらいよ」や「北の国から」のイメージが強すぎてまわりに渥美清や田中邦衛のような名優がいないとちょっと違和感を感じてしまう。 [地上波(邦画)] 5点(2006-12-14 03:21:33)(良:1票) |
65. 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日
シリーズも末期の40作目。公開当時に大ブームを巻き起こしていた俵万智の「サラダ記念日」を基にした作品らしいけど、原作はやってた頃知らないし、また読んでもいない(「サラダ記念日」という本の存在もこの映画を見たあと初めて知った。)ので見た頃はときおり入る詩がいったいなんなのか全く分からなかった。また話のほうもこれといったみどころもなく、全体的にあまり印象に残っていない。そういえば渥美清はこの頃から病魔に侵され始めたんだよなあ。ちなみにこの回から三平ちゃん(北山雅康)が登場し、なんの前触れもなく「とらや」の屋号が「くるまや」に変更。 [地上波(邦画)] 5点(2006-05-26 01:44:24) |
66. 男はつらいよ 寅次郎の青春
初めて見た「男はつらいよ」がこの「寅次郎の青春」。若い僕にはあまり興味はない映画と思ってそれまで見てなかったが、当時は渥美清が亡くなってしばらく後で、ちょっと前にはテレビで連日のように渥美清の訃報をとりあげていたことと、僕自身も山田監督の「幸福の黄色いハンカチ」で生まれて初めて映画を見てて感動したのでとりあえずという気持ちで見たのだが、シリーズ末期のこの回をシリーズ初体験に選んでしまったのが失敗だったのか、やっぱり大して面白いとは思えなかった。あれ以来見ていないので、シリーズをほぼ制覇した今、もう一度見たいと思っている回である。BSでやっている全48作放送で来年初頭に放送があるようなので、気長に待つとしよう。 [地上波(邦画)] 5点(2006-03-27 02:12:44) |
67. 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様
47作目。この頃になるともう渥美清は病気がかなり進行して見るのが痛々しい。昔に見たせいかほとんど内容を忘れてしまっているが、マドンナのかたせ梨乃は極妻のイメージが先行してしまってこのシリーズにはミスマッチのようにしか思えなかった。 [地上波(邦画)] 5点(2005-10-10 13:53:42) |
68. 男はつらいよ 柴又慕情
《ネタバレ》 前作「寅次郎恋歌」の直後に亡くなった森川信に代わって、「純情篇」でヤブ医者を演じていた松村達雄が二代目おいちゃんに就任した9作目。森川信のおいちゃんを初めて見た時と違い、既に「まあだだよ」の内田百閒など別の役のイメージが固まっていたせいか最初はかなりの違和感を感じたが、何作か(おいちゃん演じてた期間は短いんだけど。)見ているうちになんとか慣れた。マドンナは吉永小百合。ちょっとこのシリーズには似合わないように思った。一戸建て住宅への夢を語っているのを機嫌の悪い寅さんにバカにされ、悔しがる博。数年後の作品では見事その夢を実現している。良かったね。 [地上波(邦画)] 5点(2005-08-07 18:58:19) |
69. 男はつらいよ 寅次郎純情詩集
《ネタバレ》 18作目。今回は京マチ子と檀ふみ演じる母娘が登場し、マドンナが二人いるという状態。(劇中、寅さんがどっちに惚れたか町中で話題になっているという社長のセリフがある。)だが、話としてはきわめて地味で、京マチ子演じるマドンナは後半病気のため死んでしまうので、ラスト付近はかなり湿っぽくなっているように思う。このあとシリーズとしてもしばらくの間、つまらない作品が多くなったような気がする。 [地上波(邦画)] 5点(2005-07-02 15:42:25) |
70. 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ
実はシリーズ中でもあまり印象に残ってない作品の一つなんだけど、とらやで歌子(吉永小百合)が父親(宮口精二)と和解するクライマックスはけっこう感動的だった。 [地上波(邦画)] 5点(2005-06-18 00:28:27) |
71. 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎
ジュリーと田中裕子が結婚するキッカケとなったシリーズ確か30作目。いつも通りで可もなく不可もなく普通に楽しめる。 [地上波(邦画)] 5点(2005-06-09 11:31:06) |
72. 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花<特別篇>
渥美清の死後に追悼作品として作られたシリーズ番外編。シューズメーカーに就職した満男が寅さんとリリーのことを回想するという構成。「虹をつかむ男」同様に寅さんのCG合成による「出演」もあるが、内容的には「寅次郎ハイビスカスの花」がほとんどそのままなので、感想はオリジナルと全く同じ。冒頭、満男の回想シーンで「寅次郎忘れな草」と「寅次郎相合傘」の一部分が使われている。 [地上波(邦画)] 5点(2005-06-08 17:58:23) |
73. 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌
今回のマドンナは夜間学校に通う伊藤蘭。今回は寅さんの恋という要素が薄いのでなんだか物足りない。マドンナの恋人役の村田雄浩が若いねえ。 [地上波(邦画)] 5点(2005-05-23 22:32:24) |
74. 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく
冒頭の「スター・ウォーズ」を意識したようなシーンにやや時代を感じる。 [地上波(邦画)] 5点(2005-05-12 21:51:37) |
75. 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花
今回の寅さんは病気になったリリーを見舞うため、きらいな飛行機に乗って沖縄へ。山田監督がシリーズで最も愛着のある作品だそうだが、リリーが登場する作品の中ではちょっと平凡な出来だった。電信柱で暑さをしのぐ寅さんが笑える。 [地上波(邦画)] 5点(2005-04-30 11:20:24) |
76. 男はつらいよ 寅次郎紙風船
《ネタバレ》 今回は寅さんが死んだ友達(小沢昭一)から「俺が死んだら女房(音無美紀子)と結婚してくれ。」と遺言されるというちょっと湿っぽい設定。冒頭の同窓会で邪険にされる寅さんが気の毒すぎる。ところで寅さんの同級生三人の中に以前「私の寅さん」で今回と同じ役を演じた前田武彦がいたが、そのときは寅さんに竹馬の友のように接していたのに今回はほかの二人(犬塚弘、東八郎)と一緒になって寅さんにつらくあったっているのはどういうことなのだろう。 [地上波(邦画)] 5点(2005-04-30 00:58:30) |
77. 男はつらいよ 柴又より愛をこめて
《ネタバレ》 栗原小巻が二度目のマドンナ役で登場。前回は満男の通う幼稚園の保母だったが、今回は島の小学校の先生。同窓会のシーンが「二十四の瞳」のパロディーになっており、プレゼントとして自転車が出てきたときには思わず笑ってしまった。 [地上波(邦画)] 5点(2005-04-30 00:02:03) |
78. 男はつらいよ 寅次郎春の夢
これもマドンナの香川京子や林寛子との絡みよりも変な外人とのやりとりのほうが目立っている感じ。でもかなり映画自体の印象は薄いので、シリーズの中では失敗作の一本だろう。マイケル・ジョーダンという役名に今となっては某バスケットボールの選手を思い浮かべてしまい、ちょっと笑える。 [地上波(邦画)] 5点(2005-04-29 23:51:09) |
79. 男はつらいよ 寅次郎の縁談
《ネタバレ》 90年代になったあたりから満男の恋愛エピソードが中心になって寅さんが脇役化した感があったが、それでも今回は寅さんが久々の主役という感じがした。ただ、この頃になると、渥美清の病状が進行してかなり表情が痛々しかった。カメオ出演の西田敏行が笑える。 [地上波(邦画)] 5点(2005-04-29 14:09:54) |
80. 男はつらいよ 寅次郎と殿様
ゲストはアラカンこと嵐寛寿郎。それを意識したような冒頭の夢シーンが笑える。 [地上波(邦画)] 5点(2005-04-29 13:30:40) |