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給食係さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 60
性別 男性
ホームページ http://members.jcom.home.ne.jp/varus9/respect.allen.html
自己紹介 「アニーホール」のパンフレットを電車内で広げて見ていた。
ふと視線を移すと、真正面に座った外国人の女性がパンフを指差していた。続けて彼女は親指だけを突き出し、おもむろに軽くウインクをした。
嬉しかった。

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1.  時計じかけのオレンジ
「天才」と「狂人」は紙一重だとはよく言われる。キューブリックという監督は、まさしく「狂人」まであと数センチのところに、片足一本で立っている「天才」だ。好悪や嗜好の別を超えて、ただただ「スゴイ!」と感嘆できる位置にいる唯一の人。その感慨をまざまざと、そして不動のものとしてくれるのが本作だ。
10点(2003-11-18 00:52:37)(良:1票)
2.  カメレオンマン
「ウディアレンの代表作を挙げろ」と言われると、たいがいの人は「アニーホール」、「マンハッタン」、「ハンナとその姉妹」の“アレン三種の神器”の名を出す。確かにどれも素晴らしい、代表的な作品だが、映画人としてのアイデアがいかんなく発揮されてるのはむしろ本作だ。事実、映画通の人ほど「カメレオンマン」を代表作だ、名作だと推す声は多い。なるほどそれも納得で「映画でとことん遊んでみました!」というアレンの嬉々とした声が聞こえてきそうだ。得意の人間生来の矛盾を笑いで包んだ作品はもちろん名画だ。だが、こんなに遊び心が満載の映画にも、ウディアレンの魅力は確かに詰ってる。そしてなによりその遊び心の中に、人として大事な、大事なメッセージも内包させている。クソマジメに描いたり、お涙頂戴路線で描く作品はいくらでもある。しかし、それを笑いで表現してみせるこのセンス・・・素晴らしい!ウディアレンと出会うこと。それは人生を豊かにしてくれることと限りなく同義だ。
[ビデオ(吹替)] 10点(2003-10-30 23:54:43)
3.  十二人の怒れる男(1957)
脚本の勝利!作家としてこれだけのモノを書けたら、とサスペンス系の物書きたちは思うことでしょう。一貫して論理性という基軸をを保ちつつも、そこに個々の陪審員たちのキャラを重ね合わせることで、単なるいち事件にしか過ぎなかった平坦な一本道に彩りを加えたり、または閑散としたものへと変化させていってる。映画としても十分過ぎるくらい面白いと思うし、将来法律家、法廷弁護士を目指す人は見て損はないと思う。「法廷モノ(厳密には違いますが)」で今作以上の作品はいまだお目にかかったことがない。
10点(2003-10-29 01:18:55)(良:1票)
4.  アパートの鍵貸します
コメディ映画にとって、「完璧」という言葉が許されるのなら、本作こそふさわしい。「粋」を貫いたワイルダー、レモンに乾杯!そしてシャリー・マクレーンの愛くるしさにもう一杯!
10点(2003-05-20 23:33:23)
5.  マンハッタン
稀代の才人ウディアレンの作品は、初期のドタバタコメディ、男女の関係や人生を問いかける哲学的要素の強い中期、ミアファローとの離別後から始まる楽天思考の後期、と3つに分かれるが、本作はその中期の最高傑作だろう。代表作と言われている「アニーホール」をも凌ぐ。抜群のユーモアのセンス、オシャレなカット割りと凝ったカメラワーク、あまりに美しいマンハッタンの景色、機知に富んだ会話の数々。そして何より、安っぽい美談や誇張を一切排して人間の不条理さ、非合理さ、弱さを真正面から告白していく勇気と誠実さに、やむことのない拍手を送りたい。ちずぺさんが下で「将来何かを生み出そうとする人は見ておくべき」と書かれてましたが、まさしく。“本物”のアーティストやクリエーターを志す人は、見ておくべきでしょう。さらに私なりに言わせてもらうなら、「何度でも」見なくてはならない作品であると付け加えさせてもらいたい。
10点(2003-01-19 01:43:51)(良:1票)
6.  ブロードウェイと銃弾
よくあるバックステージもので、セットや演出方法など、ややもすれば駄作に陥る危険性をあえて犯してるようで、よくよく見れば、細部にまで凝りに凝った作りをしているという天才肌のアレンらしい作品。機知に富んだユーモア、絶妙のセリフ回し、実力派のキャストと、文句のつけようのない出来栄え。CGや特撮など派手な技術的進歩が目覚しい昨今にあって、脚本や役者の力で勝負する「これこそ映画だ!」と、原点を教えてもらった感じだ。パーな愛人役をこなしたジェニファーティリーと用心棒とのセリフの練習のシーンは何度見ても笑える。トウの経った落ち目の大女優へレンは言うに及ばず。未見の方々へ。こんな面白い映画を知らないなんて、人生の何十分のいちを確実に損してることになりますよ!
10点(2002-07-08 01:17:43)(良:1票)
7.  世界中がアイ・ラヴ・ユー
「ありがとう、ウディ!」と、言いたくなったよ。ゴキゲン度120%!ストーリーのディテイルとか、「ご都合主義過ぎる」とか、細かな「アラ」を捜そうと思えばいくらでもあるだろうけど、この映画はそんな見方で寸評する作品じゃない。私なんか途中から自然とリズム刻んでしまったほど軽妙で、愉快だった。本当に、幸せになれる映画で、文句なく満点!
10点(2002-06-20 23:53:47)(良:1票)
8.  恋人たちの予感
1989年の作品ですか・・・時代色が強いけれど、今観ても十分に面白い。よく考えて作った作品だ。まことにチープなラブストーリー、まことに陳腐な恋愛作品は今も多いけれど、本作は「大人が楽しめる」稀有な恋愛映画となっている。洒落たセリフの言い回しも「センスの良さギリギリ」に位置していて、イヤミの側に足を踏み入れてない。映像自体はいたってスタンダードなのでここに楽しみはないが、作品のテーマを一つに絞り、それを「深さ」ではなく「幅」の観点から描いている。多角的視点を持って書かれた脚本だ。メグ・ライアンにしても、これが最初で最後の良作と呼べる主演映画だろう。唯一いただけない点があるとすれば、それはこの邦題。なんだこれは?メチャクチャだ。センスゼロだ。ちなみに本作は、ただいまロンドンで舞台版となって復活公演している。15年の時を経ても今なお、ということはそれだけ普遍性を持った作品ということなのだろう。
9点(2004-06-02 01:33:09)
9.  セブン
暗い。ひたすら暗い。映像もストーリーも何もかもが。雨が降ってる。服が湿ってる。傘はあるが、何の意味も持たない。早く着替えたい。この空間すべてから開放されて陽の光を浴びたい。そんな気にさせる。しかし、これは良作だ。本作以後、日本でも「精神世界モノ」「猟奇、残酷モノ」が一時期大流行して、便乗した映画やドラマも数多かったが、殺人の異常性ばかりに執着して、ドラマ本来とは別の、裏側にある「しだいに感じさせていく恐怖」までは描ききれていなかった。この映画が同類の作品よりも遥かに優れているのは、先見性ではなく、この「裏側にある恐怖」をひたひたと、しかし確実に訴えかけてくる力がある点だ。それは「本当にあったらどうしよう」といった現実的な恐怖ではなく、鑑賞後、あれやこれやと勝手に想像力が肥大していってしまう、抑えようのない働きに対する恐怖感だ。ところで、端役で出ていたグウィネス・パルトロー。本作のせいで「幸の薄い女」との印象が私の中では定着してしまい、シェイクスピアに恋をしても「結局、幸せにはなれないんでしょ、君は?」と、迷惑な邪推が頭の中でもたげてしまうのだった。嗚呼、抑制不能の自己想像力・・・
9点(2004-01-31 23:41:04)(良:1票)
10.  雨に唄えば
「アメリカが誇れる自国文化とはなにか?」と問われたなら、まっさきに「ミュージカルだ!」と、私なら答える。もっと誇れ、アメリカ人!軍事力よりも先に、政治力よりも前に、この素晴らしきOwn Cultureを!!
9点(2004-01-25 22:29:09)(良:1票)
11.  グランド・ホテル
実に70年以上も前の作品。その事実にまず驚かされる。「映画脚本とはなにか?」「人物描写とはなにか?」「心象風景とはなにか?」そしてそれを「演じるとはなにか?」表方も、裏方も、映画制作に関わるすべての人にとって学ぶべき点はあまりに多い。ところで、あの愛犬はあの後どうなったのだろう?賛辞を送りながら、実はそれが一番の気掛かりだったと、失礼ながらも思ってしまう、もうひとりのワタシがいたりもする(笑)
9点(2004-01-18 03:34:05)
12.  地球は女で回ってる 《ネタバレ》 
「総決算」という言葉がピッタリの作品だ。いわゆる「アレンらしさ」がてんこ盛り。おそらく今作でアレンはひとつのピリオドを打ったのではないかと思う。それを証明するかのように、本作以降の作品には特有の「アク」の強さが消えており、同じコメディでも、より正統派な笑いを求める作風へと傾向が変化した。話を元に戻そう。彼がこれまでテーマとしてきた主題がすべて本作には詰め込まれており、またアレンが敬愛するベルイマンとフェリーニがモチーフにもなっている。母校の表彰式に向かうという設定は「野いちご」であるし、ラストで創作上の登場人物が総出演するのは「81/2」そのままだ。だが、さすがはアレン、ただの猿真似で終わらせなかったのは、フェリーニのようにラストを感動の一幕で締めるのではなく、虚構の世界で独白した自分をもう一度現実社会へと引き戻し、それをも笑いのネタにしている点だ。あたかもそれは「まだオレは終わっちゃいないぜ!」と高らかに宣言してるかのよう。この映画人は実にシブトイ。そしてそのシブトさこそ、アレン最大の魅力なのである。
9点(2003-10-30 23:33:25)
13.  ギター弾きの恋
障害を持った役柄というのは、役者なら一度はチャレンジしたい役どころであり、また監督も、「純粋」だとか「優しさ」といったメッセージ性を示すために登場人物として盛り込みたがるものだ。ウディアレンが真に凄いところは、チープな人生訓を単純な演出で描く凡百の監督たちとは違い、障害というものを一切ウェットに描かずして観客にメッセージを感じ取らせたことだ。その期待に応えたサマンサモートンの演技力も見事で、これ見よがしに陥っておらず好感が持てる。(ショーンペンの巧さは今に始まったことではないので割愛)細部に至るまで映像全体に決め細やかな配慮が見られ、もはや職人の域に達した感のあるウディアレン。それでいて架空の人物であるエメットを、さも実在したかのように描く「遊び心」までも兼ね備えられては、脱帽と言わずして何と言おう。おそらくハッティとエメットの関係をもっと見せて欲しかったと思う観客もいただろうが、必要以上のことは一切描かず、観客に「抑制」の大切さを示した点も素晴らしい。「僕は何も言わないよ。君たち一人ひとりが感じ取ってね」。ウディアレン、実に大人の監督である。
9点(2003-05-13 23:19:58)(良:1票)
14.  メリー・ポピンズ
たとえば日本でも「泳げタイヤキ君」のように、表は子供向けだが、裏側は大人社会を皮肉ったり、現実を憂うダブル・ミーニング的なモノはある。既に他の方々が指摘されてるように、本作も裏の意味として大人社会のみならず、イギリスの階級制度を同時に皮肉ってる。それをオーストラリア生まれのトラヴァースが描いている点がまず面白い。加えて、日本のそうした作品群が、いたずらに悲観的だったり、斜に構えて世間を見渡すことだけに終始するのに比べて、原作者トラヴァースは、なんだかんだと嘆きつつも、最後の最後では「この世の善、人間の善性」を心のどこかで信じているように思う。それがメリーポピンズの、現実離れしているが、見る者を最後にハート・ウォーミングにさせる力となってる気がする。もちろん、歌やダンス、特撮技術は目を見張るものがあるし、それだけで普遍的な価値を持つ作品だが、実はそれだけではない、奥が深い、メッセージ性にも富んでいる。Spit Spot!
[DVD(字幕)] 8点(2006-06-17 15:38:38)
15.  プロデューサーズ(2005)
トニー賞史上、歴代最多受賞数を記録した、ブロードウェイはもちろん、ウェストエンドでもスマッシュヒットを今も続ける作品の映画版。映像的に映画ならではの違いはあるが、内容は舞台版とセリフも含めてほぼ一緒。よくできている。ウマ・サーマンとウィル・フェレルを除けば、メインキャラクターは皆ブロードウェイのオリジナル・キャストだけあって共演者同士の息もピッタリ。基本的にはスラップスティックだが、世界史、ショウビズ、あるいはゲイに対する皮肉も効いていて、ただの「おバカ・コメディ」ではない。ある程度の知識がなきゃ笑えない作りになってる。また、ミュージカルである以上歌は絶対的な重要性を持つが、その歌詞も実にうまくできている。単純に韻を踏むだけでなく、英語ならではのダブルミーニングを多用した同音異義語の数々で、すこぶるうまい。残念な点を挙げるとすれば、ウマ・サーマンのダンスがお粗末だったこと(お母さんがスウェーデン人だから適正ではあったけれど)。舞台版では歌われるキーになる曲が一曲削除されてしまったこと。もうひとつは、本作最大の皮肉といえるセリフが、同じく舞台版とは違い消えてしまったこと。自主規制か、どこぞの団体からのクレームを恐れてかは知らないけれど、ちょっと残念。でも完成度は高い。
[DVD(字幕)] 8点(2006-05-29 21:26:48)
16.  さよなら、さよならハリウッド 《ネタバレ》 
その経歴ゆえ、その知性ゆえ、そのスタンスゆえ。「もっと別の意味があるのではないか?」観る者の深読みを誘うトクな映画作家。それがウディ・アレンである。ベタベタなスラップスティックであっても、甘っちょろい男女の恋物語であっても「もっと複雑で重層的な意図が・・」と意味を訪ねる観客は数知れない。どこまで計算しているかは本人のみぞ知るところだが、誠実な作りをしていることだけは確か。誠実は「自信」と言い換えてもいい。 酔ってホテルに戻ったエリーとハルがスクリーンから唐突に消える。画面に映るは殺風景な部屋の片隅と2人の声だけ。今、こんなシーンを堂々と見せることのできる監督は彼を置いていない。西海岸の気候や文化を茶化すのも、作品に自身を投影し、道化に徹するのも自信あればこそ。自分を最も支持してくれる国を賛美しつつ、しかし一方ではピンぼけでカメラアングルもままならない作品を「芸術だ」と評するフランスの行き過ぎた形而上路線をからかってみせる。そしてエリーとのあまりにも安直な恋物語を見せることで、本作をも皮肉の俎上へと載せてしまうというこの度量。これを送るアレンもアレンなら、受けたカンヌも大したもの。 アメリカに愛想を尽かし、おいそれとパリへ旅立つヴァルとエリーを囲むのは、彼が愛してやまないNYのこの上ない絶景。皮肉と揶揄、そして矛盾。「アニーホール」以来、手を変え品を変え、アレンが追ってきたのは人間こその不条理だ。だからウディアレンは今日も映画を作る。一義的にこのドタバタコメディに笑い転げるもよし、何かの比喩や暗示があると勘ぐりを入れるもよし。人の心を強く惹きつけるものは一色ではなく、相反するような複数の色を持つものだ。解釈する楽しさを教えてくれる当代一の名監督に大きな拍手を。好演したマーク・ライデルにも拍手。着古したラルフローレンに身を包んだアレンよろしく、いかにも人間的な滑稽さで観客を包む本作は、ちょっと古風だけれど、でも気分はすこぶるいい。
[映画館(字幕)] 8点(2005-05-11 15:04:59)(良:1票)
17.  アニー・ホール
世間的にはウディ・アレンの一番の出世作であり、代表作である、ということになっている。確かにグラミー賞の主要部分を総なめにし、かのチャップリンも絶賛。それまでドタバタ・ナンセンスコメディばかりを撮っていたアレンが初めて本格的な人間ドラマを描いたということで、マジメな映画関係者のお偉いさん方がやっと“見るに値する”ものとなった記念碑的作品でもある。既に幾人かの方々が指摘されているように、この作品は映像的な手法(分割カット、字幕の工夫、時系列が前後する編集など)だけに注目しても楽しめる。しかし、それだけではない別の様々な要素が含まれていて、たとえばアメリカ国内における東部と西部の地理的な対比、そこに住む人々の気質的なそれも上手に描けている。しばしばニューヨーカーはロスの能天気なキャラクターを今でもバカにしたりするが、この部分を本作では“嫌味ギリギリ”のところで描いている。この点に注目しても楽しめるはずだ。他にも時代色の強い言葉だったり、インテリが嬉々としそうな単語を羅列させたり(それを自慢ではなく皮肉の道具としているのはさすが!)、と複数の内容を盛り込んでいる。もちろんアメリカという国の予備知識や、いかにも映画的な見方をしなくとも、単なる男女の恋愛映画として見ても楽しむことができる。メインとなる2人の恋の行方を伝えつつ、サブ・コンテンツも無理なく同時に盛り込むという多面的かつ多角的な作りは、なるほど秀作と呼んでいい出来栄えであり、ウディ・アレンがただの映画作家ではないことを如実に物語っている。
8点(2004-10-20 00:23:50)
18.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
「難しいことは抜きにして、とりあえず楽しんでよ、ネ!」という、アメリカ映画のある一面が良い方向で開花した傑作だと思う。「娯楽映画とはなにか?」と問われたとき、「現実を忘れさせてくれるもの」というのが一つの答えとして成り立つと思うが、それを地で行く作品。イイよ。すごくイイ。アメリカの良い意味での能天気さが発揮されていて。映画というのは芸術であり、文化活動でもあるわけだけど、だからといって社会的メッセージや、政治的思想、人生訓を散りばめなければ映画ではない、というのは、頭でっかちな人間の考える身勝手な暴論だ。たとえ映画館を出て30分後には忘れてしまうような作品であっても、館内にいた2時間が、ブラウン管に食い入ったその時間が、異空間として感じられたのなら、それは映画として、芸術として、文化として成立してたということ。「Have fun!」これもまた文化の醍醐味だ。
8点(2004-02-01 03:14:38)
19.  パンチライン
いい映画だと思う。「自然体」という言葉は好きではないが、監督も役者もスタッフも、みんなが肩の力を抜きながらも誠実に作ったことが伝わってくる。まるでイタリア映画のような「きっと、あの街にもある」といった、どこにでもあるであろう日常から一つのドラマを紡ぎ出していて好感が持てる。トム・ハンクスという役者は、いつからか周りがイメージする「トム・ハンクス像」というのを演じられるようになってしまい、それはプロとしてひとつのカラーを持ってる素晴らしい証明なのだが、「何をやってもトム・ハンクス」という奥行きのなさにもつながってしまってる俳優(だと思う)。ところがこの作品では、まだ若手だったせいか、「落ちこぼれの医大生だけど、夢だけはしっかり持ってる青年」そのものを実像的に演じていた。親への反発、やりたい事への自信と不安、恋への迷い。これぐらいの年代特有の、誰もが一つは持ってる甘酸っぱい思い出のいちシーンを、真正面から、体当たりでぶつかって表現している。荒削りな面も否めないが、むしろそのアバウトさが、役への現実味を与えていた。「年上の、美人でもないオバサンになんで惹かれるの?」これも、青春期特有の不可解さとしてリアリティに付与していた。
8点(2004-01-31 22:21:55)
20.  スコルピオンの恋まじない
「ロマンティック・コメディ」というジャンルをよく耳にするが、本当に「ロマンティック」な雰囲気をかもし出している作品というのは意外と少ない。かつてのアレン作品にあった「アク」や「クセ」は消えたが、本作は素敵な音楽と相まって真の意味で「ロマンティック」な一本だ。物語は淡々と進んで行き、オチも途中から分かってしまうが、むしろその予定調和ぶりが心地いい。しかし、観客の中には極めてシンプルな作りだけに「物足りない」と感じる方も出てくるだろう。だがそれは、今の映画がいたずらに複雑だったり、不必要に凝った作りをすることが「良作だ」とする傾向に慣れてしまった、現代人の感覚の方が麻痺してしまったせいではないだろうか。ムダを排し、ぜい肉を落とした「スコルピオンの恋まじない」。シンプルであればあるほど、“ロマンティック”はよりいっそうの輝きを放つ。
8点(2003-11-24 22:13:11)(良:2票)
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