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やましんの巻さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 731
性別
自己紹介 奥さんと長男との3人家族。ただの映画好きオヤジです。

好きな映画はジョン・フォードのすべての映画です。

どうぞよろしくお願いします。


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人生いろいろ、映画もいろいろ。みんなちがって、みんないい。


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181.  エンティティー 霊体
生活に追われるシングルマザーが、見えざる“何ものか”にレイプされると聞いたら、ロン・シルバ-扮する精神科医じゃなくとも「こりゃ性的欲求不満の果てのヒステリー性妄想だわな」と考えるのがフツーでしょ? それを、あんなにもご大層な「ゴーストバスターズ」みたいなオカルト研究機関が登場するとは…。このハナシが実話ってことはその組織も実在していたってこと? こちらの方が、よっぽど“ホラー”かつバカバカしいよなあ。たぶん脚本家もそういった「バカバカしさ」こそを皮肉るように、ロン・シルバーをヒロイックに、超常現象研究者たちを悪役に描き分けていただろうはずなのに(その痕跡は至るところに見られる)、もはやすっかり才能もやる気も枯渇した「御用監督」フューリーが、「余計なメタファーもダブルミーニングも面倒臭いぜ。フロイトなんぞ、俺の映画を見るような観客にゃ必要ないっ! 要するにエロな要素で味付けしたオカルト・ホラーで儲けりゃエエんや!」とばかりに、さっさとデッチ上げたのが、これ。でもさ、そのへんの“裏目読み”ができるところが、逆にこの映画の「面白い」ところなんじゃない? バーバラ・ハーシーも、実はそのへんのところをよく分かっていて、このヒロインの言動をどっちともとれるように演じて、観客に「考える」余地を残しているし…。うん、捨て難い見どころがあったと思いますよ、この映画。
6点(2004-02-09 18:17:47)
182.  バッド・インフルエンス/悪影響
まだ、名もなく貧しく(か、どうかは分からないが…)一生懸命な新進スリラー映画作家だった頃のカ-ティス・ハンソン監督作。ネタ的にはヒッチコックの『見知らぬ乗客』の亜流だけど、ヒッチ作品じゃボカされていた“主人公ふたりの屈折した同性愛ゆえの確執”というテーマが、ロブ・ロウとジェームズ・スペイダーという美形男優の起用によってより鮮明になったところが刺激的。つかり、かの名作に対する批評的オマージュになっているんだよね。とにかく、スペイダーにとことんつきまとうサイコ野郎を演じたロブ・ロウが、なかなかの気色悪さで好演。後半はほとんどホラ-映画のノリだけど、これはハンソン監督の才能を十分に伝えている快作でしょう。途中、チラリとゴダ-ルの『アルファヴィル』を映したりといった「映画青年ぶり」もご愛嬌だし。
8点(2004-02-03 14:17:04)
183.  白馬の伝説
…美しい、そしてどこか神秘的で、もの悲しい、もうひと口では言い表せない不思議な映画。ジプシーの血が流れている飲んだくれの父親とダブリンの街で暮らす幼い兄弟が、一頭の神秘的な白馬と出会う。しかし、その馬が売り渡されると知った時、兄弟は馬とともにあてのない旅へ…というような物語(だったと思う。何せ、見たのは随分と以前なもので)。このいくらでも甘くも辛くもファンタスティックにも仕立て得る内容でありながら、そのいずれでもない「過酷なポエジー(詩)」としたのは、やはり舞台が“妖精の棲む国”アイルランドであるのと、脚本が『マイ・レフトフット』のジム・シェリダンだからか。とにかくふたりの少年が健気で、様々な苦難の旅を続ける姿には、何度も目頭が熱くなること間違いなし。特にクライマックス、すっかり白馬に心を奪われてしまった弟を助けようとする兄には泣かされます。…それにしても、こんな力強い繊細さに彩られた「児童映画(!)」に続いて『フォー・ウェデイング』を撮ってしまうマイク・ニュ-ウェル監督の才能は、もっと認められてしかるべきだっ!
9点(2004-02-03 12:02:39)
184.  イヤー・オブ・ザ・ガン
シャロン・ストーンがまだ『氷の微笑』でブレイクする直前の出演作品だけど、文字通りカラダを張って危険地帯に飛び込む報道キャメラウーマンを熱演! たぶん、その凛々しさやタフな美しさたるや、出演作品中でもピカイチ(…というか、『クイック&デッド』に並ぶ)ではないかな。もちろん、バストもろ出しの“濡れ場”もあったりと、「戦闘的美女」好きなご同輩には必見! でありましょう。映画は、赤い旅団をモデルにしたローマのテロ組織絡みの社会派アクションなんだけど、この手の題材が得意(『ブラック・サンデー』!)なジョン・フランケンハイマ-監督にしては、いささか寂しい出来映え。なんだけど、シャロンと、もうひとりの美女バレリア・ゴリノの“意外な”役柄ゆえの魅力の前にゃ、んなこたぁ二の次三の次! …本作の教訓、「映画は女優に救われる」。
8点(2004-02-03 11:36:06)
185.  宇宙船X-15号
たぶんビデオ・DVDは存在せず、今じゃ滅多なことで、TV放映もないと思うのですが、あえて紹介させていただきます。日本未公開でTVでのみ見られたこの映画、映画史的にはあのリチャ-ド・ドナ-監督の劇場映画デビュー作として知られるのみ。題名に「宇宙船」とありますが、これは新型戦闘機のテストパイロットを描いた、ほとんど『ライトスタッフ』の元ネタみたいな内容であります。多分テレビ局が大幅にドラマ部分をカットしたからでしょうか、テストパイロットたちの飛行シーンばかりがあたかも記録映画のように淡々と描かれ、その緊張と恐怖に打ち勝とうとする彼らの精神状態が実にリアル。その一方で、成層圏のどこまでも蒼い空(クライマックスでは、あまりに高く飛行したために、星すらが見えてくる…その詩的なこと!)を切り裂いて飛ぶテスト機の姿は、一種官能的なまでに美しい。思えばドナ-監督は、やたら建物をブッ壊すとともに、「飛行するもの」を好んで作品に登場させるのですが、その“原型”的なイメージがほとばしっているあたり、やはりデビュー作ならではの興味深さがあります(もっとも、この「単なる娯楽映画の担い手」ぐらいにしか思われていないドナーに、いったいどれだけの人が「作家性(!)」を求めるのか疑問ですが…)。テストパイロットのひとりに、あのチャールズ・ブロンソン。途中で事故死するけれど、儲け役です。そして若き日のメリー・タイラー・ムーアが、パイロットの妻役で出演しているのもうれしいところ。ともあれ、リチャード・ドナーを「実は偉大な映画作家」とひそかに信じている小生にとっては、ズタボロのカット・吹き替えのテレビ版であろうと忘れ難い1本なのです。
8点(2004-01-29 15:52:08)(良:2票)
186.  プラットホーム
1980年代の中国において、若者たちはいかに生きたか。そのクロニクルを4人の巡業劇団員を中心とした群像劇として物語っていく。とにかく、彼らの日常たるや「ダサい」し「暗い」し、彼ら自身もまったくもって冴えない。そんなダウナーな面々を、あまりにも広大な中国大陸的な風景のなかにポツンと置き、ゆるゆると長回しのキャメラで追うばかりの映像は、ほとんどテオ・アンゲロプロスの『旅芸人の記録』の“縮小再生産”みたいだ。…と思わせつつ、この映画が、1989年の天安門事件に至るまでの10年間の物語であること。あの、結局は若者たちの挫折に終わる天安門での出来事を、まったく描かないからこそ逆説的に思い起こさせること。この2点において、ぼくはジャ・ジャンク-監督の「政治的・人間的」な気魄(ガイスト)を見る。ここに描かれた主人公たちは、あの天安門で殺された学生や市民たちと同世代だ。彼らが「あらかじめ挫折を運命づけられた者たち」の哀しさと無力こそを象徴し、その心情が映画全体のトーンを決定していることに思い至るとき、ほとんど圧倒的な「感動」がわき上がってくる…。それゆえ、この映画は現代において最高の「政治」的映画になり得たし、最高の「青春」映画になり得たのではないか。何故なら、政治とは常にこうした過酷な運命を若者たちに強いるのだし、青春とは常にこうした挫折の連続なのだから。…正直、テレビのモニターでみるのはしんどいかもしれない。でも、素晴らしい映画です。スパッツ(?)姿の双子の娘はちょっとイケてますし、ね(とは、蛇足でしたか…)
10点(2004-01-26 11:41:51)
187.  ミシェル・ヴァイヨン
クルマの免許も持っていない者としては、「俺、何でこんな映画見てんだろ…」と、ぼう然自失の数十分(泪)。でもまあ、ヒロインも、悪役のねーちゃんコンビも、思わずヨダレじゅるじゅるの超べっぴんさんだったし。それに、どなたかもおっしゃっておられたように、ストーリーは「ギャフン」ものなんだけど、単なるグラフィックなだけじゃない映像センスがところどころに感じられたあたり、この新人監督、(ベッソンなんぞと組まなきゃ!)まったくダメってワケでもないかな。…ま、それもこれも、主人公の親父の誘拐とその救出劇のいい加減さを筆頭とする、脚本のアタマの悪さがすべてを台無しにしてくれたけれど。
5点(2004-01-17 19:16:47)
188.  ラブストーリー
身分違いの恋、夏の日の雨、別離と再会、そして母娘二代にわたる純愛! …ここまで“大時代(クラシック)”なラブストーリーでありながら、しかも相当に強引な展開でありながらも最後まで見せきってしまうあたり、小生的にはクァク・ジョエン監督の前作『猟奇的な彼女』以上のストーリーテラーぶりじゃないかと。確かに少女マンガ風かもしれない。でもこの映画の監督は、「運命論者」であると同時にその運命に“救い”を与えようとする「楽天主義者」だ。素晴らしいじゃないか。
8点(2004-01-17 19:01:53)(良:1票)
189.  ラブ・アクチュアリー
試写会で幸運にも見ることが出来ました。だって、あと何回でも見たい! と思わせてくれる素晴らしい映画でしたから。 とにかく、ここには《愛》というものが人にもたらすものの、ほとんどすべてがある。それは「喜び」であり、「慰安」であり、「優しさ」であり、時には「苦痛」や「絶望」であり…。ドストエフスキーは愛を失った心を「地獄」と言ったけれど、いくつもの《愛》が交叉する、一見すると他愛ないこのロマンチック・コメディは、その実そんな「地獄」を直視することで成立しているのだと思う。そう、きっと誰もが一度は愛に惑い、見失うことの絶望を、「地獄」を知っている。だからこそ、それが一方でどんなに苦悩やせつなさをもたらそうとも、人は愛さずにはいられないのだ…と。 個人的には、リーアム・ニーソンの父親と息子のエピソードが最も好ましかった。いや、誰もがこの「小さな恋の行方」を、それこそ愛さずにはいられない、と断言しておきましょう。もちろん、その他の様々な《愛》のカタチの、そのどれをとっても、人生のささやかな“現実”と“真実”がしっかりと盛り込まれている。 それをここまで軽やかでスウィートな「コメディ」に仕立て上げたリチャード・カーティスの脚本・監督に、今は最大限の賛辞を贈ろう。そしてこう言いたいと思う。 「…この映画のおかげで、今少し人間を、世界を、信じていけるような気がする。ありがとう」と。
10点(2004-01-17 18:33:22)(良:3票)
190.  リオ・ブラボー
冒頭、ヨレヨレのディーン・マーチンが悪党の放り投げた痰つぼの中の銭を拾おうとする情けない姿にはじまって、ジョン・ウエインの保安官が、この殺人を犯した悪党を逮捕するまでのシーン。確か、ウエインが「貴様を逮捕する」と言うまで台詞がなかったのでは? …いったいどんなハードな西部劇になるのかと思いきや、映画は、歌あり、男の浪花節(?)的友情あり、カッチョいいガンプレイあり(リッキー・ネルソンの投げたライフル銃をウエインが受け取り、間髪入れずブッ放つあの名場面!)、アンジ-・ディッキンソン姐御の脚線美あり、とどめにダイナマイトの「玉屋ぁ~」的なドンパチあり…と、もうアレヨアレヨの快調ぶり。ああ、映画ってこんなに“幸福”なものだったんだと、思わず知らず「うれし涙」がにじんでくるほどです。そして最後に「キミを逮捕する!」の台詞でしめくくる洒落っ気のイキなことといったら…。問答無用の痛快西部劇でありながら、こういったソフィスティケーションもかねそなているところこそ、ハワ-ド・ホ-クス監督ならではなんだろうな。もし、まだこの映画をご覧になっていないなら、アナタは幸せ者だ。だって、これからこの素ッ晴らしい楽しさ、映画の至福ともいうべき体験ができるのだから。そしてジョン・ウエイン! ぼくはあなたが誰よりも好きだっ!!!
10点(2004-01-14 20:01:45)(良:2票)
191.  ショーシャンクの空に
フランク・ダラボン監督の映画は、その後の『グリーンマイル』も『マジェスティック』でもそうだけれど、あくまで「面白い物語をよりいっそう面白く物語る」という姿勢に貫かれている。そういう「ストーリーテラー」の代表が、例えばデイヴィッド・リーンなんだろうけど、リーンが用いる“神の視点”というか、はるかな高みからすべてを見下ろすような眼差しではなく、あくまで主人公や他の人物たちを「昔むかし、こういう奴がいてね…」風のパーソナルな語り口で語りかける。だからこそ、その映画には良い意味での「ホラ話(それはアメリカ文学の伝統でもある)」的な調子、さらには「寓話」的な調子を帯びるんでしょう(彼が好むナレーションも、そのへんに理由があるのでは)。さらにダラボンは、物語をあくまで視覚的に語ることができる。映像がストーリーの単なる“手段”に堕していない。このあたりも、大いに評価されていい。彼はたぶん天才的な映画監督というんじゃない、腕の確かな物語作家というあたりに位置付けられる監督さんでしょう。けれど、こういう監督こそが真の「アメリカ映画」の担い手だったし、これからもそうであってほしい。まあ、あまりに過大評価しすぎるのもどうか…と思いますが、なあに、本国アメリカじゃまだまだ毀誉褒貶の激しいダラボンに、遠く極東からエールを送るのはやっぱり“善い”行いです。がんばれ、ダラボン!
8点(2004-01-14 19:24:05)
192.  ミスティック・リバー
事件のすべての真相が明らかになり、物語が一応の「結末」を見た後、映画はあたかもエピローグのごとき短いシーンを用意する。それは街の感謝祭の日のパレードで、そこには映画の主要人物たちが一堂に介するのだ(ただ1人を除いて…)。そして、そこでマーシャ・ゲイ・ハーデンが、パレードに参加している自分の幼い息子の名前を呼び、手を振る。声に気づいたのか、きょろきょろと見回す息子…。この映画の中で、誰もが何か取り返しようのない「間違い」を犯している。それがひとつの殺人事件を“複雑”なものにしていくのだけれど、中でも、いちばんその「間違い」によって一生を苦悩の中に生きねばならないのが、たぶんマーシャが演じるこの彼女だろう。そんな彼女が映画の最後に見せた哀れて痛ましい姿に、文字通り魂がペシャンコに潰れる想いがしたのは、きっとぼくだけじゃあるまい。物語の中心にある事件は、まさにひとつの“悲劇”だが、それ以上の“地獄”を、イ-ストウッド監督はマーシャ・ゲイ・ハーデンの役柄に描き出してみせる。一体、これまでの映画にあって、ここまで残酷で、悲痛で、過酷な「深淵」をありありと見せつけるものなどあったろうか。ベルイマンやシュトロハイムですら、ここまでの凄みと痛みを与える作品は作り得なかったとぼくは断言したい。…確かにショーン・ペンをはじめとする役者たちの演技も、25年の時を経て繰り広げられる運命的な巡り会いを緻密にドラマ化した脚本も、文句なしに素晴らしいと思う。けれどそれ以上に、このパレードのシーンを、最後に、しかもあくまでさりげなく置いてみせたクリント・イーストウッドにこそ、ぼくは畏怖する。これを、イーストウッドの作品だからとか、ミステリーだからとか“色眼鏡”でもって見ることだけはやめてほしい。これほどの映画は(いや、他のどの芸術ジャンルにおいても!)そうはない。いや、もはや唯一無二だとすら言ってもいい。当然の満点です。
10点(2004-01-14 18:39:24)(良:6票)
193.  タイムライン
この原作を一読した時、監督のリチャード・ドナーは、当初これを「時空を超えた愛」の物語として映画化したかったのだと思う。その痕跡は、随所にうかがえる。特に、本来は主人公であるはずのポ-ル・ウォ-カ-を差し置いて、最も目立っているのはその友人役ジェラルド・バトラーであり、彼と、14世紀の女性との“ロマンス”の方が、メインプロットであるはずの「主人公の父親を過去から救出する」という展開以上に印象的だってあたり。しかし、映画はそのことにより決定的な弱点を抱え込むことになった。結局それにより、どっちつかずの曖昧な印象を与えることになってしまったという…。たぶん、あくまで「SF大作」にしなければならないという有象無象の“プレッシャー”が、監督であるドナーを迷わせることになったんだろうか。本来この監督は、『レディホーク』に見られるごとくハリウッド屈指の「ロマンチスト」なんだ。『スーパーマン』だって、あのスーパーマンとロイス・レーンの“夜空のデート”場面の美しさを思い出してほしい。そんな彼が、もし、マイケル・クライトンの原作や、昨今のSFアクション的ノリなんぞに惑わされず、自分の撮りたいようにこの作品を撮っていたら…本作は、実に実に感動的な映画になったことだろう。くり返す、その痕跡は至るところに見出せるのだ。だからこそ、本当に残念です…。
7点(2004-01-08 13:08:47)(良:3票)
194.  ローマの休日
これはもう誰かがご指摘なさっておられるかとも思うのですが、デビュー間もない頃のオードリー・ヘプバーンって、相手役がグレゴリー・ペックであり、ハンフリー・ボガートであり、フレッド・アステアやゲイリー・クーパーであり…と、父親みたいな「おじさま」ばかりですよねえ。たぶん、彼女にはそういった”エレクトラ・コンプレックス(簡単に言うと、ファザコンです)”を感じさせる部分があって、それが特に日本の女性ファンの親近感を呼んだのでは。そして、そんなオードリーを見つめる素敵な「おじさま」男優たちの背後には、彼女をまさに父親的な慈愛で見守る「おじさま」の監督たちがいて…。実際、本作のウィリアム・ワイラー監督にしろ、ビリー・ワイルダーやスタンリー・ドーネンにしろ、誰もが理想のパパ然として、優しく、上品で、包容力のある演出力を、これ以上なく発揮している。この『ローマの休日』が歴史に残る作品たり得たのは、そうした”オードリー(娘)と「おじさま」監督&男優(父親)の理想的な関係”を完璧なまでに確立してみせたという点においてでしょう。一体誰が、この映画のオードリーを性の対象(!)として見るもんですか。男の観客はみんな彼女のことを、いつしか「父親」として見ている自分に気づく。よね、ご同輩?
10点(2003-12-15 12:59:34)(良:1票)
195.  マトリックス レボリューションズ
マシンシティーに向かうネオとトリニティーが、群がる機械生物を振り切るために雷雲に突入する。そして雲を突き抜けたそこには、青い空と太陽が。「Beautiful!(美しい…!)」と思わずつぶやくトリニティー。…この壮大(にして空虚)なSFトリロジ-(3部作)で、ぼくが唯一ハッとさせられ、「感動」したのがこの一瞬だった。言い換えるなら、このヴァーチャルな「虚構」を拒否して「現実」を志向する人間たちの苦闘を描く物語自体が、徹底的にヴァーチャルなイメージデしかない中にあって、このワンシーンだけが「リアル」を感じさせてくれたという…。とりあえず、このシーンと出会えたことだけで、ぼくは(不遜な言い方ですが)このシリーズを「許そう」と思ったのでした。実際のところは、ぼくもまた『1』のところでSTING大好きさんが書かれていたレビューにまったく賛同するものです。あれ以上に見事な『マトリックス』批判(と同時に映画を擁護する文章)を、ぼくは知らない。僭越ながら、皆さんもご一読をお薦めするしだいです。
5点(2003-12-08 19:16:49)
196.  ブラニガン
今や「巨匠」監督のリチャード・アッテンボローが、ロンドンに乗り込んできた”ヤンキー刑事”ジョン・ウエインのお目付役で共演。でかい図体のウェインと小男アッテンボローの凸凹コンビぶりが、なかなかいい味だしてます。特に、ウェインがビールとウィスキーのちゃんぽんみたいな怪しげなカクテル(?)を愛飲しているのを、このスコットランドヤードの堅物警部がこっそりと試すあたりの微笑ましさが、実にいい感じ。パブでの乱闘も、ウエイン映画の「お約束」って調子で、作り手たちがこの神話的スターとの撮影を楽しんでいるさまが伝わってくる。米英のカルチャーギャップをメインに据えたあたり、まあありがちな展開ではあるものの、刑事ものの前作『マックQ』よりも、格段にチャーミングな作品に仕上がっております。
7点(2003-12-08 18:30:17)
197.  ブラック・ドッグ
一応カタギのトラック運転手であるはずの主人公が走った後は、文字通り車の残骸と死体の山がゴロゴロ…。いくら悪党どもとは言え、そこまでやっていいものなのかと、見ているこちらが心配になってきます(笑)。作品は一見すると他愛ないB級アクション風だけど、それなりに丁寧な作りが1970年代的な職人芸を感じさせ、悪くないかも。パトリック・スゥエイジって、こんな映画に出ていても不思議と”格”を失わないですね。もしかしたら、ぼくたちが思っている以上に「良い」役者なのかもしれない。ミート・ローフの下品なワルぶりもごきげんです。ここしばらく、コテコテの大作映画ばかりでげっぷがでる向きには、お口直しにこういった「普通の映画」もいいもんですよ。
6点(2003-12-08 18:11:11)
198.  さらば愛しき女よ
ロバート・ミッチャムのフィリップ・マーローは、原作のイメージからだといささかクタビレ過ぎかも。ただ、だからこそこの、メロウでハードボイルドな世界にぴったり溶け込んでいるんスよね。ディマジオの連続安打記録更新だけを楽しみにしつつ、醜悪な社会の闇(=病み)へと踏み込んでいく探偵マーロー。『三つ数えろ』のボギー以上に、その「諦観」をにじませたミッチャムの存在感に魅せられました。そして、シャーロット・ランプリング! この美しき”ビッチ”な悪女役こそ、彼女のキャリアのなかでも最も輝いたものじゃないでしょうか。どうも忘れ去られた映画のようだけど、1970年代に作られた探偵映画としちゃあ、『チャイナタウン』に優るとも劣らない名作だと、小生信じとります。あのシルベスター・スタローンも、頭の悪そうなツラしてチラッと出演しているしね!
9点(2003-12-05 18:09:32)(良:2票)
199.  すべての美しい馬
イノセントな青年が、想像を絶する過酷な旅を経て、ふたたび故郷へと還ってくる。その帰還の途中で判事と出会い、静かに語り合うシーンで、全身が震えるくらいの感動をおぼえている自分がいた…。そう、たしかに欠点をあげつらうのは簡単な、そういう意味では決して「傑作」とかじゃないのかもしれない。けれど、マット・デイモンの主人公が、無慈悲な「現実」の中で文字通り心も肉体もボロボロになっていく姿は、まさに”人生”そのもののメタファーとして力強く見る者を揺さぶるんじゃないだろうか。そして判事に自分の犯した「罪」を告白し、それを判事が静かに赦すシーンが、あれほど胸を打つのでは? …このあたり、監督としてのビリー・ボブ・ソーントンの真骨頂があると思う。彼は、間違いなく「現代の神話的語り手」としての才能がある。聞けばこの映画、製作者によって大幅にカットされたものだとか。ぜひ、《完全版》を見たいものだ。
8点(2003-12-05 16:41:27)(良:1票)
200.  はなればなれに
小生が初めて見た映画館(というか、ホールでしたが)では、途中の1巻を抜かしたまま上映し、エンドタイトルが出た後に改めて抜けた巻から上映し直したワケです。明らかに映写ミスなんだけど、小生を含め、観客のほとんど(たぶん)がそれを「おお、これもゴダールの手法か?」と思いつつおとなしく見ていた(笑)…という、恥ずかしくもお粗末な思い出の作品。一見すると学生の自主映画に毛がはえた程度の、ユル~イ犯罪&青春悲喜劇なんだけど、初期ゴダ-ル作品中でも最もナイーヴな「あやうさ」と、だからこその「みずみずしさ」に溢れているっていうか。特にアンナ・カリーナの時代を超越した素晴らしさには、現代のスレッカラシな(失礼!)青少年のハートすらわしづかみすること必至でありましょう。ホントっすよ! 小生的には、あの美しすぎる列車内でのシーンに、もうメロメロにさせられたものです。トリュフォーの『突然炎のごとく』のごとく”男2人・女1人”の三角関係ドラマも、若きゴダールが撮ればこんなにも遊びと内省とに満ちた「ポップ」な作品になる。どちらがいいと言うんじゃない、どちらも素晴らしい。
9点(2003-12-03 18:56:29)(笑:2票) (良:1票)
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