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円盤人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 102
性別 男性
自己紹介 DVDで昔の作品が出て、入手しやすくなったのは嬉しいですが
チャプター分け4つ以下っていうのは勘弁して下さい。

特に、チャプターなしっていうのは犯罪に近いですよ。

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21.  散り行く花 《ネタバレ》 
中国人青年(リチャード・バーセルメス)と少女リリー(リリアン・ギッシュ)の悲恋を描いたこの物語は、序盤をまるまる中国の港町に費やしています。仏教関係に詳しい人が観たらどうかわかりませんが、寺院の中の描写も特に違和感はありません。しかしながら、青年の過去にわざわざ尺を割いているわりには、仏教の宣教師であるという設定が生きていません。白人のリチャード・バーセルメスを、わざわざ(そう見える筈のない)黄色人種に仕立てた意図は何なのか。(1)エキゾチズムを狙ったもの(2)最後に青年が自殺するので。キリスト教では禁じられている(3)ボクサーの養父(ドナルド・クリスプ)が外国人を嫌っているから。以上の3つのうちどれかだと思いますが、いずれにしてもシナリオ的には弱い。この程度なら仏教をクローズアップする必要は特にないでしょう。例えばリリーが敬虔なクリスチャンであったなら、彼女との対比によって仏教徒の設定が生きてきます。悲恋の意味もいっそう深くなりますしね。そういう工夫が欲しかった。一方、キリスト教宣教師が青年に渡したパンフレットに「地獄」と書かれているシーンは良かった。こういう演出が単発で終わってしまったのは残念ですね。
5点(2004-12-20 01:27:39)
22.  ハリーとトント 《ネタバレ》 
変化より安定を望む老人。人よりも家につく猫。共通項を持つ「二人組」が、家を突然失ってしまいます。特にハリーは先妻を亡くしていますから、単独で行動するという点でも似通っているわけです。彼らが旅路で直面するのは、老いと、死と、大切なものとの別れ。本作を通じて、ハリーは一度も涙を流さないのですが、霊安室に横たわる友人、ぼけてしまった初恋の人、そしてトントを、悲しみながらも、慈愛を込めた瞳で見送ります。愛猫にかける最後の言葉「さようなら」はいけません。私は年甲斐もなく泣いてしまいました。お勧めの映画です。
8点(2004-12-20 00:26:55)(笑:1票) (良:2票)
23.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》
秘境冒険ものが大好きな私ですが、『レイダース』は基本的に評価していません。ある意味これほどスピルバーグらしくない映画も珍しいかもしれない。彼はしばしば、子供時代に持っていた夢を、自分の作品にたっぷり(時には必要以上に)盛り込もうとします。製作総指揮の場合は特にこれが顕著になります。従って主人公は、子供っぽい人物か、あるいは子供そのものであることが多い。『ジュラシック・パーク』のグラント博士(サム・ニール)や、『グーニーズ』マイキー少年(ショーン・アスティン)を例に取りましょう。彼らは強いモチベーションに支配されています。恐竜の糞を見つけたとき、首長竜の群れを見下ろすときの、グラント博士の嬉しそうなこと!海賊の宝を見つけようとするマイキー少年の、目のきらきらしていること!振り返ってインディ・ジョーンズはどうでしょう。全人生をかけた考古学の大発見、「聖櫃」に対して、冒険心を燃やしているでしょうか?否、そういう感情はほとんど伝わってきません。冒頭の考古学の授業においても、口調は淡々としていて、前のめりの姿勢などでは全然ない。自身の哲学を披露する、ライバルのベロック博士の方が、かえって人間的に感じられるくらいです。なるほど本作は丁寧に演出されていて、ハラハラし、ドキドキもするでしょう。しかしワクワク感には大きく欠けます。インディ本人が冒険そのものを楽しんでないからです。考古学が好き、冒険が大好き、彼がそういう態度を見せない限り、本作の秘境は遊園地のアトラクションに過ぎない。その意味で「ジェットコースター・ムービー」とは、皮肉にも的を射た表現といえるでしょう。
4点(2004-12-20 00:25:17)(良:2票)
24.  震える舌
私も高い評判を聞いてから観たクチで、期待が大きすぎた、というのが正直な感想です。破傷風の恐怖と、心理的に追い詰められていく夫婦には、観客を釘付けにする迫力があります。それはいいでしょう。しかし、本作には今ひとつ焦点を絞りきれてないような印象を受けます。例えば、父親の昭(渡瀬恒彦)が転ぶシーンがありますが、これが破傷風の感染によるものなのか、単に焦っていたのかどうかわからない。こういうはっきりしない場面が結構あります。そもそも本作はホラーなのか、ヒューマンドラマなのかもはっきりしないのです。それともこのような構造によって、作品に多角的解釈が与えられているのか?いろいろ考えましたが、やはり絞った方がいい、テーマがはっきりした方がこの作品はよくなる。私はそういう結論に達しました。とはいえ、本作がサスペンスフルな秀作であるのは間違いないと思います。
6点(2004-12-19 23:37:18)
25.  ストレイト・ストーリー
結論から言いますと、本作は退屈でした。主人公アルヴィン(リチャード・ファーンズワース)が、6週間の旅において、いろんな人に会うという、単純な話です。巧妙な伏線も、クライマックスもありません。それを2時間近く観ているのはさすがに苦しいものでした。しかし、だからといって「もっと面白くしろ」とは素直に言えない面があります。本作の肝は「老人が350マイルの距離を、時速30キロのトラクターで出かける」というアイデアです。これを活かすには、作品の時間は長い方がいいし、物語の流れもゆったりしているのが望ましい。本作はカットしようと思ったらいくらでも出来ます。会う人を減らしていけば物語はぐんと短くなるでしょう。トラブルをもっと多くしたら話は盛り上がるでしょう。しかし、ハラハラドキドキの旅は、本作のテーマと全くそぐわないし、「味」を殺してしまいます。従って『ストレイト・ストーリー』がこんなふうに作られているのは正しい。そう理屈では納得できますが、自分が退屈に感じてしまった事実は何を意味するのか。まだまだ動的な映画の好きな年頃なのか。人生の機敏を感じ取る感性が未熟なのか。あるいは単に、本作が自分にとって、ハズレだったに過ぎないのか。いずれが正しいのかは、これからじっくり考えたいと思います。
5点(2004-12-19 22:41:50)
26.  會議は踊る
オペレッタはオペラから派生した歌劇で、演劇要素と軽快な音楽を増し、もっと庶民的にしたものらしいです。ミュージカルの源流ですが、定義的にはっきり区別するのは難しいそうなので、ミュージカルの一種として観て差し支えないと思います。本作を観た上での特徴を挙げますと(1)歌の数が4~5曲程度と少なめ(2)芝居から唐突に歌に入るような場面がなく、劇展開はミュージカルより自然(3)個人よりも集団がメイン。などでしょうか。2と3がハッキリしているのは、歌が宴上でほぼ限定されているからです。宴の音楽に合わせて、諸大臣の揺り椅子(空席)が揃って踊るように揺れ、ひとり進行役が議決を読み上げるシーンなどは、音楽と風刺(ウィーン会議はパーティばかりでちっとも進まなかった)の両面の楽しさがあります。しかし、史実の隙間に生まれた物語らしく、大胆な展開には欠けていますね。影武者騒動や宰相の画策などが膨らみきらず、起承転結の起承だけで終わってしまうような、尻切れトンボな印象が残りました。
5点(2004-12-19 18:42:06)
27.  まぼろしの市街戦
檻から逃げ出した動物、自転車に乗ったサル、着飾った人々。これらの断片から、街はサーカスを模したものであることがわかります。精神病患者は道化師であり、祝祭への水先案内人と言えましょう。ところで日本大百科全書の「道化」の項目には、祝祭は日常を暗転させた「さかさまの世界」の現出を意図する、という意味のことが書かれています。この言葉が、本作を端的に表現してはいないでしょうか。本作を観賞するとき、我々は擬似的なサーカス、祭典の空間に遊んでいるのです。だからこそ患者たちは、祭典が長く続かないことを自覚しているし、彼らが帰っていくところを見守る我々も、寂しさを禁じ得ないのです。物語のラストにおいて、価値観は再びもとに戻ります。主人公の取った行動はなるほど滑稽でしょう。しかし我々は誰も、腹の底から彼を笑えないに違いない。まぼろしの日々が教えてくれたからです――「戦争をする奴らこそ狂人ではないか」。素晴らしい作品です。ぜひ多くの人に『まぼろしの市街戦』を体験してほしいと思います。 【041209】日本大百科全書からの引用転載を修正しました。
10点(2004-12-09 23:13:29)(良:1票)
28.  刑事物語
武田鉄矢という俳優、説教くさかったり、計算高さが透けて見えたりと、鼻につくときがあるものの、私はけっこう好きです。この人は自己プロデュース能力が優れてるんですね。どういう作風なら自分が輝くかということをよくわかっている。これが過ぎて「俺が俺が」になってしまうと失敗するわけですが、この『刑事物語』、障害者問題に対する感動物語をベースに、ハンガーヌンチャクや高倉健のギャグでうまくスパイスを効かせ、エンタメ的に成功しています。確かにどこを切っても武田鉄矢しか出ず、その点アクが強くはあるのですが、ちゃんとわかりやすく面白い映画になってます。屈指の傑作とは言いません。それでも後でふり返ったとき「そういえばあれ結構面白かったよね」と思うような作品、私は好きです。素直にそこを評価したいと思います。
7点(2004-12-09 23:09:33)(良:4票)
29.  幕末残酷物語
揺るがない筈の史実が、解釈によって全く意味を変えてしまう。歴史ものの面白さはそこにあります。従来は悪役だった新選組のイメージは、司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」や、大河ドラマ「新選組!」などの影響により、ずいぶん好意的になっているのではないでしょうか。そこにこの『幕末残酷物語』です。欲と野望の塊である新選組には、ぎらぎらした悪の魅力が弾けており、180度かえった「新しい」視点を与えてくれます。白黒映像によって猟奇性が増す一方で、芹沢鴨襲撃の俯瞰図(上から見たショット)など、美しい構図のシーンも多く、監督の非凡なセンスが伺える力作になっています。もっとも、物語の後半の展開が、プロットの根幹を揺るがしかねないなど、危うさも同居しており、問題がないわけではありません。私は長所の方がずっと勝っていると思いますが、引っかかってしまう人がいても不思議ではなく、評価を大きく分けるポイントになりそうです。
8点(2004-11-25 21:10:25)
30.  パルムの僧院
レビュー1本目が低評価で申し訳ないんですが・・・ファブリス(ジェラール・フィリップ)という青年は、どうも道徳観に問題があるようです。そこが大きくひっかかりました。まずいろんな女性に手を出す。愛人の夫と決闘して「彼女とは遊びだったのだ!」と嘲笑する。今度は旅女優と恋に落ちて、彼女の夫を刺殺してしまう。彼はこれが原因で投獄されてしまいます。殺人は故意ではなかったのですが、周囲の政治的な画策から、幽閉期間は20年に伸びることに。このあと典獄の娘クレリアが登場し、彼女と恋仲になります。作品的には二人の恋愛がメインで、どうやら公式には、彼女への想いが「真実の愛」になっているらしい。果たして本当にそう言えるのでしょうか。問題は、ファブリスが殺人を悔いている様子が全くないことです。彼は決して無実ではありません。殺意はなかったとはいえ殺人は殺人、それも元は自分の好色が蒔いた種。しかるに監獄の中でまた恋に落ち、娘に色目を使うということは、要するにちっとも反省してないのです。こういう展開だと、女優への恋、クレリアへの恋、表面上に違いが見えないのですね。もしクレリアと恋に落ちる前に、自分の軽率さと罪を悔いているシーンがあれば、彼は一人前の人間として生まれ変わった、そう観客は判断できるでしょう。ところが実際は逆で、クレリアへの愛は真実どころか、彼のために身を引こうとした彼女に対し、別の男と結婚するといって非難する。みんなが脱獄の協力をしているのに、彼女といたいから出たくないと駄々をこねる。結局ファブリスは自分勝手に生きているだけで、彼を愛する周囲の人間だけが、彼を助けるためにドタバタしているのです。ジェラール・フィリップ、そんな役目でいいのでしょうか。確かに色男なんですけど。
4点(2004-10-18 00:35:14)
31.  ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
ゾンビの怖さとは何でしょうか。外見には馴れてしまいますし、伝染の危険もさほど深刻ではありません。SWAT隊員たちは、ゾンビを手玉に取るありとあらゆる手段を持っています。なのに彼らは恐れている――何故か。「死体が動いている」からです。ゾンビの本質そのものが怖いのです。ゾンビ映画というのは結構あるのですが、「死体が動く怖さ」という、考えてみれば当たり前のところに焦点を置いている作品は、皆無といっていいでしょう。ルキオ・フルチはじめ、ほとんどの監督はとにかくビジュアルに凝ります。そうして、単にゾンビを「気持ち悪い怪物」に仕立ててしまう。ジョージ・A・ロメロ一人が高みにいるのです。これは凄いことですよ。彼は作品全体を通じて、もう一つの恐怖を仕掛けました。ゾンビ自身の本質とも関係しているのですけど、それは「逃げられない」ということ。主人公たちはゾンビから逃亡しますが、何処に行っても奴らはうようよしている。夜が明けて、朝になっても消えません。空間・時間の両面で退路が塞がれています。ふつう人間には最後の逃避手段があるのですが、奴らはそれすらも許さない。自殺してもゾンビからは逃れられない。奴らの存在は、死が安らかな、永遠の眠りであることを否定するのです。だとしたら、ゾンビほど怖い怪物がおりましょうか。『ゾンビ』ほど怖い映画があるでしょうか。
10点(2004-10-16 12:56:54)(良:2票)
32.  翼よ!あれが巴里の灯だ
ビリー・ワイルダーは個人的に大好きな監督ですが、彼にしてはあまり面白くないな、というのが、率直な感想です。太平洋を飛ぶ「スピリット・オブ・セントルイス」号の中、リンドバーグはずっと一人で、映像的には退屈してしまうんですね。お気に入りの監督なので、心情的には5点といきたいけれど、「意外と面白くない」ので、点数配分表に従って4点を献上します。
4点(2004-10-16 12:46:10)
33.  スナッチ
映画は脚本が命とよく言われます。ストーリーが面白いのが正道というわけです。一方でストーリーは平凡ですが、演出が面白いという作品もあります。『勝手にしやがれ』なんかがそうですね。後者の場合はいわば「中身がない」わけですが、それも一つの映画のかたちではありましょう。しかし、ストーリーが複雑なうえに、演出に凝っている作品は感心しません。両者が高いレベルで不可分に結びついてるなら別ですが、これは明らかにやり過ぎで、観客を置き去りにする危険性があります。『スナッチ』はその一歩手前でしょう。断片的に面白い場面があるからまだ救われてますが(リングが水に変わるシーンは素晴らしいです)、物語がわかりにくく、全体的な整合性を大きく欠いています。とりわけ、本作のような演出の凝り方は、相撲で言うネコだましみたいなもので、場当たり的に奇をてらっているように見えます。このシナリオなら「正道」として十分勝負できるじゃありませんか。何も奇策の方を前面に押し出さなくても、と私なんかは思うわけです。
4点(2004-10-16 12:43:59)(良:2票)
34.  狩人の夜
観る前は、偽牧師ハリーのキャラだけが走ったスリラーかと思っていましたが、なかなかどうして、細部に含蓄の篭った、考えさせられる作品です。本作のポイントは、主人公の少年ジョンだけが、偽牧師ハリーの本質を見抜いているという点でしょう。彼はハリーが金銭ねらいの山師だということを知っている。しかし母も妹もそれが理解できない。彼の表面だけを見て、立派で優しい人物と思い込んでいるのです。村のスプーン夫人も同様で、ハリーを怪しむのは彼女の夫の方。孤児のルビーを含め、「女は愚か」というハーパー夫人(リリアン・ギッシュ)の考えが、作品を通じて表現されています。その彼女にしてからが、息子とうまくいっておらず、本来の愛情を孤児たちで代用している状態。彼女の思想は自戒の意味も込めているのでしょう。本作が善と悪――愛と憎しみ――の戦いを描いていることは、ハリーの講釈からも間違いないのですが、単純にハーパー夫人とハリーがその両翼を担っているわけではありません。彼女たち二人が声を合わせて歌うシーンがあったり、善良に見えた村の人々が、手のひらを返したようにリンチを要求したり、結局は表裏一体のものなんですね。ジョンはその中でどんどん孤立していきます。フランソワ・トリュフォーがこの作品を褒めてるらしいんですが、むべなるかな。これぞまさしく『大人は判ってくれない』映画ですもの。
7点(2004-10-16 12:31:03)(良:2票)
35.  ファイブ・イージー・ピーセス
うーん、どうでしょう。恥ずかしながら、私もボビー(ジャック・ニコルソン)のように、学歴の割には、素直に胸を張れない仕事をしています。しかし、彼の焦燥感は頭ではわかっても、共感までには届きません。彼の責任感を放棄する態度や、自覚しながらも逃避を続ける生活に、どうしても違和感を覚えてしまいます。本作のような映画は、主人公へのシンクロ度がそのまま評価に反映するので、私には5点が妥当でしょう。最後にひとつ。この奇妙なタイトル、ピアノの初級教本の名前から来ているとか・・・。
5点(2004-10-16 12:12:08)
36.  ザッツ・エンタテインメント
ミュージカルはオペラ、オペレッタなどをベースに誕生した音楽劇です。歌劇よりは演劇性が強いのが特徴で、劇、歌、踊り、手品、コントなど「楽しければ何でもあり」な要素を黒人ボードビリアンが付け加えました。『ザッツ・エンタテイメント』というストレートなタイトルからは、これこそ世界言語なのだ、という強烈な自信と矜持がうかがえます。映画の性質上、ほぼ全編が見どころといって差し支えないですが、一番しびれたのは、ジーン・ケリーのトーク。数々の女性スターの名を列挙したあとで「しかし、最高のパートナーと呼べるのは一人しかおりません・・・」あえてその名は書きません。ビデオまたはDVDでごらん下さい。きっと皆さん大いに納得するはずですよ。
7点(2004-10-16 02:54:57)
37.  コーラスライン
構成に疑問があります。演出家ザック(マイケル・ダグラス)と恋人キャシーのエピソードは必要なのでしょうか。本作は前半がオーディション、後半が本番の舞台です。二人の話は本筋に絡んでいくどころか、必要以上に前面に出てきて、むしろ邪魔している印象があります。なぜオーディションが続いているのに、カメラは外へ出て行って、わざわざ振付師とキャシーの話を聞かすのでしょうか。追う価値のないエピソードはばっさり切ってしまって結構。レビューを読む限りでは、舞台版がそんな感じみたいですね。観たことないから無責任なことは言えないですけど。
3点(2004-10-16 02:38:31)(良:1票)
38.  死の棘
本作には独特の間合いがあります。間じゃなくて間合い。カメラのアップはほとんどありません。基本的に引いた位置で、美しい構図の絵を切り取っていきます。その中にトシオとミホがいますので、彼らと観客の間には距離が、空間が出来ているわけです。彼らが「ワアアアア」と叫ぶとき、私たちはそれに付き合わなくてすむ。観客は傍観者の立場をキープできるのです。端から見る夫婦喧嘩は、悲しく、苛立たしく、深刻なのに、時に滑稽で笑ってしまう。この間合いは味わったことがあるぞ、とつらつら考えていましたら、どうもつげ義春の漫画にそっくりなのでした。不思議な余韻の残る作品です。娯楽としてはお勧めしませんけれど・・・。
5点(2004-10-16 02:28:43)(良:1票)
39.  勝手にしやがれ
本作で監督は頻繁にカットつなぎを入れます。とにかく画面を切る。それも変な切り方です。男がエレベーターに入ったり、女がベッドに倒れたり、という説明に必要な場面を省略する。男が女の頬を挟む瞬間、その直前の零コンマ何秒かを切る。構図はそっくり同じまま、ずっと後頭部を映してるのに、4回も5回も画面を切る。結局これは何なんだというと、リズムでしょうね。作家が意図的に変な改行をするように、観賞する側のリズムをコントロールしているのです。本作でゴダールは「既存の映画文法を解体した」と言われるのですが、彼はちゃんと彼なりの新しい文法で再構築しているのです。軸になっているのはリズム。BGMのモダンジャズが象徴的なように、新しいリズム感には新しい音楽、新しい文法が必要だったのでしょう。ファッションは垢抜けてて、セリフはとっ散らかってるが意味深で、その辺りを掘り下げていったらいくらでも発見が出てきそうです。まあ好きな作品かと言われればそうでもないので、点は低めなんですが・・・。最後に。冒頭の警官に追われて、白バイ隊員を撃ち殺すシーンは凄い。たとえ理屈で考えてても、いくら何でもこんなふうには作れるものじゃありません。
5点(2004-10-16 02:23:58)(良:1票)
40.  ジャッカルの日
本作が変わっているのは、カメラが登場人物の内側に全然入っていかないところですね。主人公はジャッカルなんですが、遠巻きに彼の行動を撮っているだけで、何を考えているのか、何を感じているのか描き出そうとしていない。代わりに、彼の暗殺準備を執拗に追うのです(なぜつまらない品物を買ったのか、後にさりげなく解明される趣向は面白いです)。それでも観ているうちに何となくジャッカルに感情移入してしまうわけですが、監督は絶妙のタイミングで、観客に「ああこいつ、悪者だったっけ」と思い知らせ、事件の推移だけに集中させるのです。この辺りのコントロールは実に見事です。ところで、そういうわりには点が低いと怒られそうですが、自分が好きか嫌いかを考えた場合、特に好きというわけでもないので、こういう採点になっています。平均点を下げてしまって申し訳ないですが、評価の内容はコメントだけで勘弁して下さい。
6点(2004-10-16 02:16:35)(良:1票)
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