41. 時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース!
《ネタバレ》 「ベルリン・天使の詩」の続編。「ベルリン~」同様、モノクロとカラーの入り交じる不思議な映像が魅力だが、壁のなくなったベルリンはより明るく、また全体的に「普通の映画」度が強くなったように思う。それでも、前作にあった詩的な雰囲気が全て失われたわけではない(薄くなったのは確かだが)。まわりの人間や時の流れの速さに圧倒され、図らずも悪と接近してしまうカシエルの葛藤が伝わってくるよう。最後に、ダミエルとマリオンを乗せたサーカスの船が霧のかかった川(独語でFluss)を下っていく。これは前作のダミエルの台詞にあった歴史の「流れ」(同じくFluss)、霧深いけれど、モノクロのこのシーン、天使は優しく見守っている。ちょっと長さを感じたけれど、「ベルリン~」を観た人だったら、観て損はないのでは。 7点(2004-01-13 19:10:27) |
42. 月の光の下に
《ネタバレ》 イランはいわゆるイスラム原理主義の国だから、当然イスラムの色が濃いが、主人公の神学生にもその友達にも、それほど厳格さがないのにちょっと安心したのがまずひとつ。そして何より、考える主人公ハサンの姿が良かった。「誰も救えない」と絶望しても、絶望を理由に逃げていては、本当に何もできなくなる。それを悟ってジュージェのもとに行くハサン。神はどんな人のそばにもいるのだ、と言う優しい視線を感じた。神の存在がまず第一にある、「神の愛は母よりも深い」と言う台詞に象徴されるイスラムの考えが、日本人の価値観と合わないのが少し辛いが、なかなかの佳作。 7点(2004-01-04 06:21:28) |
43. 影武者
《ネタバレ》 黒沢映画はそれほど数を見ていないのだが、モノクロ時代のようなムンムン、というか、どろどろした香気は薄くなったように思う。オープニングの長回しはよかったし、映像も文句ないのだが、かつてのちょっと突けばどろどろと粘液が出てくるような、そう言う熱さがなかった。特に中盤。後半は、悪くなかった。長篠のシーンも、あれはあれでいい。ただ、全体的に軽いのは残念。コッポラ、ルーカスの功罪か。それに、池辺晋一郎(音楽)はクロサワと言う感じではない。早坂文雄ならどんな音楽を付けただろうか。7.5点。 7点(2003-12-31 10:01:41) |
44. チャップリンのゴルフ狂時代
《ネタバレ》 「ゴルフ狂時代」と言うタイトルだから、ついゴルフのコントが強調されがちかも知れないが、「のらくら」と言うタイトルでも知られている。原題も言ってみれば「ヒマ階級」と言う感じ。ゴルフや舞踏会に興じて遊び呆ける上流階級を徹底的に皮肉っているのだ。最後にケツを蹴りあげるのが痛快。 7点(2003-11-05 18:49:21) |
45. ゴースト/ニューヨークの幻
《ネタバレ》 露骨な勧善懲悪と、ちょっとどぎついのは難だが、コインのシーンと乗り移ってダンスをするシーン、これだけで6点献上。あとの1点はギャグシーンに。全体的に、筋も分かりやすくてスッキリしている。最近のハリウッド映画のように、ムダにだらだら長いという事もない。なにより、あのCG、今のリアルすぎて気持ち悪いものと違い、味があって良かった。 7点(2003-08-24 17:30:02) |
46. ウォーターボーイズ
チープさが上手く生きた良質なコメディ。それでいてただのコメディで終わらずに、ラストであれだけのシンクロを完成させるのは大した物。 7点(2003-06-24 23:27:23) |
47. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード
《ネタバレ》 悪くない。前半から中盤にかけてはかなり笑えたが、後半だれたのがいたかった。エンディングロールは良かった。やり方は違えど、クレしん映画の根底にあるものは変わらないなぁと観ながら思った。でももっとギャグに走っても良かったかな。 6点(2004-03-27 21:00:27) |
48. ミュージック・オブ・ハート
《ネタバレ》 一緒に練習した仲間が死んだり、家庭の事情でやめなければならなくなったり、それから、旦那のことだったり、そういうものをラストの成功で全部放り出してしまっているのは、なかなかリアルだと思う。のだけれど、そこに至るまで、軌道に乗り始めたら希望一色で塗りつぶされてしまっていて、実話なのにご都合主義の匂いがしたのは否めない。メリル・ストリープ演じる先生のキャラクターにそれほど感情移入できなかったからかもしれないが。それと、編集の荒さが少し目立った。ただ、全員ちゃんと楽器を演奏していたのがいい。演奏は当てレコかもしれないが、手と音が合っているから、見ていて気持が良かった。 6点(2004-01-31 06:54:48)(良:1票) |
49. マトリックス
プロットは、SFとしてはありがちなものですね。その中に、「不思議の国のアリス」入れてみたり「白雪姫」入れてみたり聖書入れてみたり。さらに銃撃戦ありアクションありカンフーあり恋愛ありで、もうお腹いっぱい、という感じです。この作品のメッセージを伝えるのに、これだけ盛り沢山にする必要があっただろうか、というのが疑問。 さてVFXですが。やっぱりアニメーションの域を越えていないかなぁ、と。あえて意図してCG風に見せたシーンもあると思いますが、船に侵入してくるロボットなんかは、現実のはずなのに現実感がなくてちょっと興醒めです。ただ、ワイヤーアクションは楽しめました。「非現実」という設定で、それほど違和感もなく。 6点(2003-06-07 00:20:58) |