41. 旅立ちの時
公開当時は、「泣かせる意図が見え見えの映画」などと叩かれた本作だが、家族の絆というものを淡々と描いた秀作である。リバー・フェニックスが年に似合わず落ち着いていること。確か撮影当時18かそこいらだったはず。彼自身、引越しを繰り返した少年時代を過ごしたからこそ本作は適役だったのだろう。アカデミー助演賞ノミネートも納得。ルックスだけのアイドルなどではない、本物の才能を持った「役者」だったのだと今更ながら気づかされた。あれからもう10年以上が過ぎた。ご冥福を。 8点(2004-03-26 21:49:35) |
42. I am Sam アイ・アム・サム
うーん、この映画ほど「批判しただけで叩かれる」映画というのも珍しい。障害者といっても只の人間なのだから嫌な奴だって山ほどいるだろうに。そもそもスターバックスの店員の給料ぐらいで親子が養えるものなのだろうか。僕にはあの父親が「純粋な子供」というよりはカマトトぶっていながらやることはしっかりやっている「マセガキ」に見えるのだが。この映画が偽善かどうかは分からない。しかしいくら純粋な障害者が主人公だといわれてもつまらないと思った映画はつまらないとしか言えないんです。(僕はかつて大江光の音楽を「下らん」と罵倒して周囲から散々非難された経験があります。)あの子供もこましゃくれていてどうにも好きになれないし。あの娘、10年後ぐらいに「私たちが貧困生活を強いられているのは適切な生活保護を与えてくれなかった福祉局のせいだ」とかいって訴訟を起こしそう。 3点(2004-03-19 22:56:09) |
43. 耳をすませば(1995)
映画の出来不出来よりは共感できないタイプの作品だ。たかだが14、5歳で人生の目標や結婚相手が決まってしまうなんて面白くないじゃないか。人生で自分の本当にやりたいことがなかなか見つからないというのは確かに辛いことだが、でもだからこそ人生は送る価値があるのだと思う。俺はセージ君のように優等生でも偉くもないけど彼のようになりたいとも思わんよ。 3点(2004-03-11 22:50:55) |
44. キューティ・ブロンド
この映画のファンの方々には申し訳ないのだが、私はどうにも主人公に感情移入することができなかった。学費や生活の心配を全くする必要の無いお金持ちのお嬢様がいくら勉強を頑張っても庶民の私にはあまり感じるものがないのだ。生活の心配をせずに勉強できるなんてそれこそ最高の贅沢である。実際、全く働かないでアイビーリーグのロースクールに通える人間なんてアメリカ人学生でもごく少数派だ。金持ちの子弟は「そこそこの成績」でアイビーリーグの学校に入学できても貧乏人が入学しようとすれば、奨学金(それも全額支給の)を貰わないことにはまず不可能でそしてそのためにはナンバーワンの成績でない限り貰うことは出来ないのだ。「可愛い」だの「元気が出る」だのと言ってこの映画を絶賛するのは他人の自由だが、個人の努力だけではどうしようもない貧富の格差というアメリカの現実を少しは知るべきだと思う。スタートラインからしてこのエルお嬢様は随分恵まれ過ぎているのだ。何もない人間の嫉妬と言われればそれまでだが、これだったら「マイノリティの貧困家庭に育った女性」の叩き上げのサクセスストーリーのほうがまだ私には入り込める。 1点(2004-02-27 23:06:19)(良:2票) |
45. デモリションマン
このページを拝見するまで私はデニス・ロッドマンが友情出演しているものだと長年思っていました。いやあ~本当に「昔の方法でやろうぜ!!」って感じですね、この映画。 2点(2004-02-27 22:45:17) |
46. ブラックホーク・ダウン
映画を喜劇や悲劇をひっくるめたエンターテイメントとして定義している筆者にとって、これは映画ではない。これは、映画ではなく再現ドキュメンタリーである。リドリー・スコットのBBCで働いていたという経歴が影響しているのかどうか分からないが、とにかくドキュメンタリー番組のように淡々と戦争を描いている。決してアメリカ万歳を謳ったものではない。軍隊における指揮系統の硬直化、他国の内戦に軍事介入することの是非もさることながら、単なるアメリカ批判に終わらない何かを訴えるものがある。アメリカを批判することは容易い。だが、自分が当事者になった場合、どのような代案を提示できるのだろうか。現在の国際情勢を考える上でこれは重要な点ではないかと思う。よく作られている作品だとは思うが、冒頭に述べたようにエンターテイメントとして評価はできないのでこの点数。 5点(2004-02-17 07:08:17) |
47. ハルク
怒りで変身するという遺伝子学上の発見よりも体が巨大化しても破けない(しかも体が元の大きさに戻ってもきちんとフィットする)パンツの発明の方が私にはノーベル賞に匹敵する偉業である。以上。 2点(2004-02-01 07:33:06)(笑:4票) |
48. イヤー・オブ・ザ・ドラゴン
泣く子も黙るチャイニーズ・マフィア相手に闘いを挑むのに礼儀正しい優等生警官では返り討ちにされるだけ。ミッキー・ローク演じるホワイト署長のような感情移入できないほどいい加減で荒っぽい男でなければいけないのだ。マフィアというのは、敵対する相手のみならずその家族まで皆殺しにしてしまうほど恐ろしい組織なのである。「スカーフェイス」といいい本作といいまさに血の匂いが漂ってきそうな作品である。余談だが中学生時代にこの映画を見てロークのファッションに憧れた。 7点(2004-01-28 22:16:38)(良:1票) |
49. シベリア超特急
一見、どんなに出来の悪い映画でも学ぶべきメッセージは必ず一つはある。本作において水野氏は「創ることと評論することは全く違うもので前者は後者より少なくとも100倍は難しい」ということを自ら証明してくれた。そんな水野氏の勇気に敬意を表してこの言葉を捧げよう。「いやぁ~映画って本当に素晴らしいですね。」 1点(2004-01-19 20:57:06)(笑:3票) (良:1票) |
50. 情婦
《ネタバレ》 サスペンス映画の感想を読むたびに、必ずといってもいいほど「自分は最後のオチは観る前から分かった」と誇らしげに言う人がいるものである。まあ「ユージュアル・サスペクツ」ならともかく本作の「2回目」のどんでん返しを予想できた人はあまりいないのではないかと思う。これを唐突だと言う人もいるが情事絡みの事件なんて往々にして衝動的に起こるものではないだろうか。男と女の関係は、計画通りに進まず当人たちが思いもしない方向に進んでしまうということだろう。一見、的外れに思えるこの邦題が実は相当の核心を突いたものだということに鑑賞後、気づかされた。 9点(2004-01-17 08:22:49)(良:2票) |
51. ギャング・オブ・ニューヨーク
これは鑑賞者を選ぶ映画ではないか。劇場公開当時、「歴史に詳しくない日本人には分かり難い作品」などと言われたが、ニューヨーク市の歴史に詳しい人って当のアメリカ人でもそれほどいないんじゃないかと思う。マーティン・スコッセシという人は、観客に媚を売らずに自分が本当に作りたい映画を作ったのだろう。その姿勢は評価できるのだが、どうも空回りしていたように思う。(構想何十年、制作費何百億円とか宣伝している映画ってつまらないパターンが多いし。。。)これにめげずに今後も「問題作」を撮り続けて欲しいものである。 5点(2004-01-01 16:29:26) |
52. インソムニア
アラスカではアイマスクは売っていないのだろうか。。。 4点(2003-12-31 08:37:59) |
53. ユージュアル・サスペクツ
《ネタバレ》 はっきり言って消去法で考えていけば誰が怪しいかなんてすぐ分かってしまうんです。だからといって即つまらないという事ではなく逆にそこがこの映画の脚本の巧妙なところ。鑑賞者が「カイザー・ソゼ」が誰か分かったと思い始めた時点で既にこの脚本の術中に陥っているんです。劇中の出来事のほとんどはバーバルが刑事に話した'作り話'で、実際のところ「バーバル=カイザー・ソゼ」とは限らないんですよ。大体、黒幕が現場に留まったまま警察に捕まり素性をばらすような愚を犯すだろうか?本当のカイザー・ソゼは別にいてバーバルは単なる手下の一人で警察をかく乱させるために(例えばカイザー・ソゼのニセの顔情報を警察に与えて混乱させるために)ああいう作り話をさせられた。(もっともそんなことしても無意味という気もするのだが。。。)鑑賞後にそのような憶測が次々と出てくる。そこまで考えさせる脚本が実に秀逸である。オチが分かったからつまらないと切り捨てるのにはあまりに勿体無い作品と思うのだが。 8点(2003-12-27 18:54:12)(良:2票) |
54. アメリカン・パイ
自分もそうだったから分かるんだけど高校生ぐらいの年頃の男って女の子や性のことしか興味ないんですよ、ほんとに。だから主人公の男の子たちを弟を見るような目で見てしまうというか眼差しが自然と優しくなってしまう。今見るとホント馬鹿だったなあとか思うんだけど、あの頃はあの頃なりに皆、真剣だったんですよ。馬鹿馬鹿しさと爽やかさと。。。これこそ青春!! 8点(2003-12-27 09:47:44) |
55. ギャラクシー・クエスト
この映画に好感を持てる最大の要因はやはり製作者が真剣に映画を作っているからだと思う。少なくとも彼らの熱意が観ている側にも十分、伝わってきた。いくらコメディとはいえふざけ半分に映画を作られたら観ている方もいい加減うんざりしてくる。「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」の製作関係者たちはこの映画を観て少しは反省して欲しい。「遊び心」と「手抜き」は違うのだ。 8点(2003-12-24 21:48:23)(良:1票) |
56. 若草物語(1994)
日本では本作、「少女向けの」小説として見なされているようだが、原書を読んでみると南北戦争時代のニューイングランド地方に住む庶民の生活や価値観が描かれていてなかなか楽しい。愛読者の多い原作だけあって本作のキャスティングには色々不満があるだろう。僕の印象だと、メグとエイミーはイメージ通りなのだが、ウィノナ・ライダーのジョーとクレア・デインズのベスがミスキャストかなと思う。どことなく影のあるライダーに明るいジョーは向いていないように感じるのだ。クレア・デインズはベスよりもむしろ長女メグのほうが向いている。あと、ベア教授にガブリエル・バーンもちょっと外れているかも。レイフ・ファインズなんかが意外に似合っていたりして。そういうわけでぼくのキャスティングは、メグ=クレア・デインズ、ジョー=アン・ハサウェイ、ベス=アンナ・パキン、エイミー=エリザベス・アール、マーチ家のお母さん=ジョディ・フォスター、ベア教授=レイフ・ファインズ。だれかこのキャスティングでリメイクしてくれー。 4点(2003-12-21 19:31:32) |
57. 恋におちたシェイクスピア
恋愛というのは当事者間で熱くなれば熱くなるほど第三者の目には白けて映るという筆者の格言を証明してくれる映画。シェークスピアを全く知らない無教養な私には正直、二人の熱愛ぶりについてゆけなかった。同じ「ハリウッド製」シェークスピアでも例えばアル・パチーノの「リチャードを探して」などは、「シェークスピアを多くの人に楽しんでもらおう」という誠実さが伝わってきたが、この映画はシェークスピアをだしにしたお粗末な三流恋愛ドラマ程度の価値しか感じなかった。にもかかわらずオスカー受賞作品なんだよな、これ。 3点(2003-12-20 13:17:16) |
58. 太陽がいっぱい
5歳ぐらいの時に初めて観た映画が実はこれ。その頃は当然のことながらストーリや字幕なんて理解できるはずがなかったのだが、子供心にも伝わるものは伝わってきた。現代の二転三転ばかりのサスペンス映画に慣れ親しんでいる人たちには、本作の結末は物足りないのかもしれないが実際の犯罪も得てしてああいう些細なミスで襤褸が出るものではないのだろうか。日本のサスペンスがつまらない理由は、トリックばかりに固執するあまり犯罪に手を染めるに至った人間の悲しさをきちんと描いていないからだと思う(「金田一少年の事件簿」がいい例)。貧しさ、卑しさから抜け出そうとするが結局は失敗する人間の悲しさ、切なさを描いた名作。 10点(2003-12-19 23:10:17)(良:2票) |
59. 羊たちの沈黙
アカデミー作品賞に求めるものは人により千差万別だと思うが、私の場合、感動があるか否かを基準としている。観終わった後に「いやあ、いい映画を観たなあ」と思わせるものがないとオスカー作品としては物足りないように思うのだ。本作、主演の二人の演技が上手いのは素直に認めるしサスペンスとしてはかなり面白いとは思う。だが、いかんせんこの映画には感動が無い。さすがのレクター博士も人を恐怖させることは出来ても感動させることは出来ないようだ。ただこの作品後に作られたハンニバル、レッド・ドラゴンの二作と比べれば本作が最も優れていることは間違いない。 7点(2003-12-17 21:06:00) |
60. マスク・オブ・ゾロ
こう言っては大変失礼なのだが、アンソニー・ホプキンスという人にはレクター博士のイメージが常につきまとってしまう。それだけあの役が見事だからなのだが、この映画もどうも「マスク・オブ・ハンニバル」になってしまいゾロのマスクの代わりにレクター博士のあのマスクを被ったアンソニー・ホプキンスを想像してしまった。敵役モンテロとの決闘で彼の頬に噛みつくのを期待していたのだが、それは残念ながら叶わず。あなたにはフェンシングより噛み付きの方がよっぽど強力な武器に見えます。アントニオ・バンデラスに「やあアレハンドロ、あれから羊の悲鳴は消えたかね」なんて台詞を言ってくれたら間違いなく満点なんだけどなあ。 4点(2003-12-13 23:54:15)(笑:2票) (良:1票) |