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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3876
性別 男性
年齢 53歳

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761.  ブラック・サンデー 《ネタバレ》 
それにしてもトマス・ハリス。すみません、もはや「ハンニバル・ライジング」は読んでないし読む気もない(「ハンニバル」で、こりゃダメだと。そりゃ思うわな)。最初の作品「ブラック・サンデー」はやっぱりイイですよね、面白い。面白いったって、どっちかというと不愛想で淡々とした内容、ジワジワとクライマックスの盛り上がりへ進んでいく。この点は、映画化作品である本作も同じ。 ですが、原作小説と映画とでは、受ける印象がやや異なります。これは多分、犯人側と捜査側を並行して描きつつも、原作の方がより、犯人側の描写が濃いような気がいたします。犯人の来歴・人となり・行動が詳しく描かれた結果、犯人像や犯行動機にリアリティを持たせ作品に厚みが生まれるということもあるのだろうけれど、それ以上に、クライマックスでいよいよ決行されるテロが、それまでの綿密さをかなぐり捨てるような、破れかぶれの「もうどうにでもなれ」という破滅感を感じさせるんですね。 いやまあ、映画のクライマックスは、別の意味で破れかぶれかも知れませんが(笑)・・・。この突然の荒唐無稽なアクション、実に捨てがたいオモシロさがあります。ヒーロー面とは言い難いロバート・ショウが演じるカバコフが、着々と進める捜査、まさかその先にこんな曲芸アクションが待っているとはねえ。意表を突かれます。 ジョン・ウィリアムズの音楽も、目立ち過ぎずしかし手堅い仕事で、好感が持てます。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-31 08:02:25)
762.  彼岸花
「心理描写に優れた映画」ってやつだったらきっと、主人公のオヤジは娘の結婚に表向き反対しつつも、ああでもないこうでもない、どうしよう、と苦悩の表情を、映画を観る我々の前にこれでもかと見せつけるんでしょうけれども、この映画はそうじゃない。佐分利信は映画の冒頭で堂々と、恋愛結婚はスバラシイ、と述べてみせ、その直後には堂々と娘の恋愛結婚に反対して見せる。頑固で理不尽であればあるほど、面白い。そんで、彼の娘を含めた3人の若い女性が入れ代わり立ち代わりチクチクやって、彼の妻も控えめながらチクチクやって、トドメを刺すように中村伸郎がすました顔でチクリとやる。ホントは佐分利信の内面を、各登場人物が代弁しているのかも知れないけれど、それを一人の男がウジウジ悩む姿ではなく、軽妙な人物関係に投影して描いて見せる。これぞコメディ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-21 22:38:19)
763.  エアフォース・ワン
久しぶりに観て、面白さを再確認。と言っても、随分前に観たっきりで、どうしてもラストのあのあんまりにもあんまりなCG墜落シーンが一番印象に残っちゃってたのですが、今回は他のコトも少しは印象に残ったさ(笑)。 そもそも、その昔、ダイ・ハードという映画に興奮して、「続編ができるんだったら、次の舞台はきっと、飛行中の飛行機内だナ」とか思ってたら、イザ出来てきた続編の舞台は、飛行機ならぬ飛行「場」。そんな訳で、まるで私のツマラナイ夢を敢えて拾ってくれたような作品が本作なのでした。しかしコチラの作品、孤軍奮闘するのはポンコツ刑事じゃなくって、何と大統領、って言っても『インデペンデンス・デイ』の後だから誰も驚きませんけれども。 映画の開始から、少しずつ、大統領のやんちゃぶりというか熱血漢ぶり、あるいは家族思いの面などを描いていく手際の良さも好感が持てるし、戦いが始まって以降は、飛行機内という限られた空間でさまざまな場面を準備して、戦いを盛り上げてくれます。そしてクライマックスには戦闘機の空中戦やら脱出劇やら、さらにさらに大盛り上がり、かなり興奮します。でもどんなに盛り上がったって、大統領は大統領、スーツ姿は譲れないのです。 ところで、アラン・リックマンの訃報に触れて思うのは、ダイ・ハードって、見事に中堅役者を集めてそれぞれに光を当てて見せてくれた、という点では稀有の映画だったなあ、という事で、その点では、スター映画である本作には、そういう楽しみは薄いのですけれども。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2016-01-16 01:23:59)
764.  モンスターズ/地球外生命体
なんか妙にオモシロかったんですけれども。オモシロさの理由の1つは、これはまあ、ギャレス・エドワーズ監督がこの後抜擢された『ごじら』を先に観ちゃったから、でして。ああ、本作の色んなネタが流用されてたのね、と。怪獣による破壊の跡の描写とか、光る怪獣のタマゴとか、怪獣同士のラブラブシーン♡だとか。しかし、怪獣の直接的な描写よりも、怪獣が暴れた後の廃墟が主に描かれ、主人公の行く手に(あ、この作品、一種のロードムービーです)それが次々に現れて、具体的にそこで何があったのかはワカランけどとにかくロクでもないことが起こったんだなあ、そういうロクでもない状況の中に今、いるんだなあ、ってことはとてもよく伝わってきます。そう、コレって、『地獄の黙示録』みたい。冒頭で口ずさまれるワルキューレの騎行までもが『地獄の黙示録』と関係しているとは言いませんけれども、あの何とも得体の知れぬ気持ち悪い雰囲気、よく似てます(船で移動し始めたら、特に)。 で、主人公のふたりは怪獣が跋扈するメキシコからアメリカへ無事に逃げ切れるのか、一見そういうオハナシなのですが、さにあらず、というか、「結局、逃げるところなんて無いやんか」「逃げても大していいコトなんか無いやんか」「要するに逃げなくてもいいやんか」みたいな、現代社会の生きにくさをそのまま投影したような身も蓋もない感じが、かえって妙にシックリきたりして。 あと、いかにも低予算であることを謳い文句にして紹介されがちな作品ですが(実際、低予算なんでしょうけれど)、決して安っぽさを感じさせないのは、やはり見せ方のうまさでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-13 22:40:44)
765.  リトルプリンス 星の王子さまと私
主人公の女の子や、彼女の住む町は、再三にわたって真上からの視点で見下ろすように描かれ、そこには機械的な町の光景があり、地面に張り付いた2次元的な世界があるのですが、隣人である元飛行士の老人(ピート・ポスルスウェイト、はたまた吉田義夫のような顔なんですけれども)がそこに「3次元」をもたらす。とは言っても彼が修理するオンボロ飛行機は、見るからに直る見込みもなく、せいぜい飛べるのは彼の家に住み着いた鳩、その鳩も女の子の母親に水を掛けられ追い払われちゃったりするんですけれども。それでもまずは、彼の家にある見晴台が、女の子を視野を広げてくれる。だから、そこに彼女が登って、あたりの光景が彼女の前に広がる、ただそれだけのシーンでなんとも感動しちゃうんですね。 本作、主部はCGアニメ、デジタルの世界ですが、隣の老人が語る「星の王子さま」の物語は、人形アニメ、郷愁を伴うアナログの世界。であると同時にその対比は、どこか、もはや手の届かない世界であるようにも感じさせます。 ところが。 クライマックスでは突如、どこまでもハチャメチャな世界に突入、なんとあろうことか、星の王子さまがモップのメルビン君みたいになっちゃってる(いや、毒々になる前の、ですけれど)。そしてハチャメチャな冒険。ちょいとやり過ぎか、というくらいなんですが、でもこの、「目的達成のための管理」と称しながらもはや「管理が目的化してしまった」現代社会において、このくらいムチャクチャやってくれるのが、気持ちよかったりもするのです。解放と浄化。『銀河鉄道999』を少し思い出したりして。
[映画館(吹替)] 8点(2015-12-13 22:45:25)
766.  カウボーイ 《ネタバレ》 
ジャック・レモン演じるホテルマンが一念発起、強引に牛追いの仲間に入ったはいいけれど、住む世界があまりに違い、何かとトラブルに見舞われる。出だしこそ、いかにもコメディタッチですが、牛追いの生活は生死紙一重の厳しい世界。何ともガサツな連中で、主人公も戸惑いが多いのですが、そりゃガサツにもなろうってもの。そういう牛追いの生き様が、グレン・フォードの表情、行動、セリフに、よく描かれています。死んだ仲間への弔辞なんか、何ともいいんですね。暴れ馬を押さえつける場面、グレン・フォード自ら演じているのでしょうか。猛牛との対決はさすがに代役でしょうけれど、危険さがよく伝わる迫真の場面です。もちろんスタンピード・シーンもあります。という数々の場面があってこそ、ジャック・レモンがだんだんガサツになっていくところも説得力があるのですが、まあ結局のところ、牛追いの世界にこれぞという合理的なルールがある訳じゃないんですね。でもやっぱり、牛がいてこそ自分たちの生活があり、牛を大事に思う気持ちが、互いの気持ちを通じ合わせることにもなり、牛追いの仕事のおかげでまた生活に楽しみも見出せる。ラストはまたホテルに舞台を戻してユーモアたっぷり。シャレてるんです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-12-12 09:29:07)
767.  モホークの太鼓
いっしょに観ていた幼稚園の息子が突然「この人、エイリアンみたい」と言い出し、その後もしきりにエイリアンエイリアンと言ってるもんで、アンタそりゃエイリアンじゃなくってインディアンやろ、と。まあどうでもいいことですが。 独立戦争時代の西部開拓地域。そこに若夫婦がやってくる。旦那はある程度この未開の地にも慣れた感じだけど(例によって、ヘンリー・フォンダの分別顔がちょっと憎たらしいんですが)、不慣れな奥さんの方は驚きの連続、最初は気丈に振る舞うも、やはりたまったもんじゃない。という訳で、旦那の方はどうでもいいとしても(笑)、奥さんの成長というか変化が、ひとつの見どころですね。しかしそれ以上に、このまだ開拓途上にある混沌の地において光っているのは、やはりいい味だしまくってる脇役陣ですね。どうしてこうもジジイやババアを描くのが上手いのか。いや上手い下手は別にして、こうも面白く描くのか。 基本的には白人同士の戦い、軍人か否かを問わず、誰もが命がけで戦わねばならぬこともある。んだけど、その双方に、先住民の協力者がいる、という描写も面白いですね。で、敵方についた先住民、家屋に火を放ち、凶暴なのかと思いきや、根性オバちゃんに振り回される人のよさも見せたり。 そんでもって、クライマックスの砦の攻防、盛り上がります。さらには超絶ランニング。一体何十km走ったのか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-12-06 08:25:48)
768.  日本侠客伝 雷門の血斗
舞台は浅草、演劇の世界。健さん演じる主人公も演劇一座の興行主。え~ヤクザ映画じゃなかったの~というところですけれども、一座の前身はヤクザであったりして、はたまたそこに別のヤクザ一味の嫌がらせがあったりして、ちゃんとヤクザ映画路線になっていきます。これがアリなら「健さん演じる自治会長」とか「健さん演じる校長先生」とかでも日本侠客伝になりそうですが、いやいやいや。やっぱり演劇の世界を描いてこそ、本作の魅力があるのですね。少なくとも、本作の魅力は、主演の健さんよりも(実際、少し影が薄い気も)、脇を固める役者さんたちにこそありそうな。妙にツヤツヤした顔で朗々と浪曲を披露する村田英雄、まさにこれこそが「芸」だぜ、と言わんばかりのツヤツヤ顔。ほんとツヤツヤ(笑)。藤山寛美が意外にも重要な役で登場し、まあこの出演は寛美さんの破産と松竹解雇によるものかも知れませんが、いずれにしても、(多くの場面では目立ち過ぎないように控えつつ)ここぞという場面では寛美節をさく裂させて、ああ新喜劇ならここで拍手が起こるところだなあ、と。そしてそして、一番いいところを持って行ったのは、やっぱり元ヤクザとしての凄みをチラリと垣間見せる島田正吾でしょうか。こうなるともはや健さんも出る幕無しか、というところですが、最後のたち回りではダイナミックにしっかりと魅せてくれる。実際、本作で割を食ってしまったのは、女優陣ではないでしょうか(あと、長門裕之ね)。男の色気、芸の色気。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-11-22 16:19:36)
769.  白い肌の異常な夜
南北戦争時代、イーストウッド演じる北軍の伍長が南部の戦線で負傷し、女ばかりの寄宿学校みたいなところに匿われる。さまざまな年齢の女性数名に対し、男が一人、もうより取り見取り。これがイタリア映画ならお色気コメディ映画にでもなったかも知れませんが、ドン・シーゲルとイーストウッドが組んだら、ほとんどホラー映画みたいなサスペンスになりました(何度か出てくる真っ赤な血の描写がコワイ)。密度の高い、緊張感に満ちた映画で、「イーストウッドがモテモテ役だなんて、許せんなあ」という気持ちもすぐに引っ込みます。 まずそもそも、学校の外部というものが、戦時下で秩序というものが無い不安な状態。その中において、舞台となる女学校は、厳格さに満ちた閉ざされた世界、であるのですが、そこに負傷した男が一匹。負傷してたって、男としてヤルことはヤル、っていうかむしろ体の不自由さゆえに性的な方向に暴走しがちなもんで、女ばかりの秩序だった世界(それはもともと表面的なものに過ぎなかったらしいのだけど)に、嫉妬に満ちた大きな波紋を投げかけることになる。それは、映画後半におけるあるショッキングなエピソードによって、男をより純粋な性的存在へと変化させ、事態をより深い混沌へと導きかねない展開にもつながっていきます。が、それでも危ういバランスは保ち続けられ、そしてそのまま、一連の混乱は唐突に、断ち切られるように終わりを告げる。あとに残るのは、不気味極まりない、秩序の世界。まあ実にヤな感じで気持ちの悪い、「異常な」映画です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-11-15 08:24:20)(良:1票)
770.  日本侠客伝 花と龍
「花と竜」を日本侠客伝の世界に取り込み、一介のゴンゾウだった主人公がやがてオヤブンになっていく、大河風の内容で、このジャンルの作品としては2時間弱とちょい長め。特に下積み時代の主人公を描く前半は、コミカルで明るい雰囲気です。主人公のタマキンがやたらと出来過ぎクンなんですけれども、健さんが演じれば、何となくイヤミが無いんですね。彼を招いたゴンゾウ仲間が二谷英明っても、一見違和感があるけれど、その後の展開を見れば、なかなかうまい配役。最初は主人公をやさしく見守るような立場で、後半主人公へそっと想いをよせる藤純子、ここが演技の見せ所とばかりムズカシイ表情を見せる場面もあれど、最後は晴れやかな表情なのが、イイんですね。モテる男とモテる女の組み合わせ、ちきしょー憎いね、と。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-10-25 09:53:55)
771.  セインツ -約束の果て- 《ネタバレ》 
強盗一味の若夫婦が、警察に追い詰められる。投降した夫は、身重の妻をかばって罪を一身に引き受け、服役。数年後、夫は脱獄し、妻と、写真でしか見たことのない娘のもとへと向かう・・・。ボニーとクライドが、「その後」の幸せをつかもうったって、そうはいきませんわな、というお話。冒頭、妻の妊娠を喜んでいる夫の姿から一転、一軒家にこもった彼らの、警官との銃撃戦。家の中には、警官に撃たれた仲間、家の外には、妻が撃ってしまった警官、というふうに家の中と外がシンクロしているのですが、仲間は死に、警官は命を取り留めたことが、先の展開に波紋を及ぼすことになります。逮捕された夫婦が警官に引き裂かれるように別れていく姿を映画はしっかりと捉えるのですが、やがて月日が流れて娘も生まれ、母子の安定した生活が始まると、もはや昔には戻れない。睦まじい母子の姿が、それはそれで完結したものであるかのごとく、それが誰にも簡単には侵せないものであるようにも、映画はその姿を映し出していきます。しかし実際には誰も、他者との関係は避けられないわけで、彼らをとりまく登場人物たちの姿がそこにあり、単なる脇役ではない存在感で、主人公たちの姿を縁取っていきます。夫は妻のもとへと近づきつつも、結局は永遠に交わることのない「消失点」へと向かって行っているような虚しさが漂っており、それでいて、まるでそれもまたテキサスの自然の一部であるかのようなおおらかさもあり。時に銃撃戦などの激しい場面もあれど、静かな作品、しかしその静かな緊張感をはらんだ抒情性に、強く引き込まれます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-24 16:12:04)
772.  ブラック・レイン
今回観たのはずいぶん久しぶりで、あれ、こんなに面白かったんだな、と。多分、昔観た時には、作品との距離感が、今観るのとだいぶ違ったんでしょう。当時はお馴染みだった、都会系の刑事アクション映画、そしてこれまた自分にとってお馴染みの大阪の街、その2つの融合とくれば、何だか距離感が近すぎて。どうしても先に立ってしまうのは、違和感と、「あ~あ、やっぱり、やっちゃったね」という(期待通りの)失望感。しかしそれも、今となってみると、80年代アクションを観る機会も減ったし、この映画に出てくる大阪の光景も、今では見られなくなってしまったものが多くなってきて。で、今回、素直に観て、素直に楽しめちゃった。幾分は「変なニッポン」も出てくるけど、基本的には日本らしい日本が登場する、要するにその点では決してキワモノではなく、むしろ刑事アクションとしてやや変則的である点の方が、特徴的と言えるかも知れません(無論、日本を舞台にしている事がそこに一役買っているのですが)。 まず、マイケル・ダグラス演じる刑事ニック、例によってダメダメな感じで、妻子とも別居している。では映画を通じて妻子とヨリを戻すのがテーマかと思いきや、全くそうではなくって、子供のひとりをバイクの後ろに乗せ走り出した次のシーンでは、もう子供は乗っておらず、今度はアンディ・ガルシア演じるチャーリーと出会って彼をバイクの後ろに乗せるシーンとなる。要するに、チャーリーはニックにとって自分の子供と同じ可愛い存在、なんですね。で、実際、このチャーリーという男、実に実に「いいヤツ」として描かれてます。健さんとニックの関係がどうもギクシャクしている時、いつもチャーリーが間に入って、いい味出しつつ何となく間を取り持っている。だもんで、チャーリーの死のインパクトは非常に大きく、かつこれを契機に健さんとニックの間も近づいていく。一方、松田優作演じる敵役の佐藤、(広島の黒い雨になぞらえて語られるのがピンとくるかどうかはともかく)戦後に現れた得体の知れない新しい存在、しかしそれは間違いなく戦後の日本とアメリカが生み出した存在、つまり彼もまた一種の「息子」というべき存在。チャーリーと佐藤は、陽と陰を代表する「息子」たち、だからこそ、2種類の結末が撮影された本作において、最終的に採用されたこの結末、これでよかったんではないか、と思えてきます。--- それにしても、ガッツにホタテ、パチパチパンチ、みんないい顔してるじゃないですか。USJがまだ無かった頃、「ハリウッドが大阪にやってきた!」という、やっぱりお祭り映画でもある訳で。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-15 23:00:16)(良:1票)
773.  限りなき追跡 《ネタバレ》 
主人公のロック・ハドソン、映画始まって早々、乗っていた駅馬車が悪党どもの襲撃を受け、許嫁を拉致される。彼本人も射殺され。って、それじゃあ映画の先が続かないので、とりあえず何故か、彼は死んでませんでした、ハイ。死んでなかったのでとりあえず彼は、悪党どもの追跡を始めます。というこの時点でもう、だいぶ理不尽な作品ですね。そこがスゴイところ。悪党のリーダー・スレイトンは、これはもうかなりのワルといった感じで(フィル・ケイリーという俳優さんですが、ちょっとチャールトン・ヘストンに似ていなくもなく)、お坊っちゃん顔のロック・ハドソンでは到底かなわないだろう、と思うのですが、さにあらず。主人公の方には(スレイトンを恐れて簡単には協力者が得られないにも関わらず)気がついたら妙な仲間が増えてきて、一方のスレイトンの方は仲間割れやら何やらでだんだん分が悪くなってくる。よせばいいのに、人質交換的に、主人公の許嫁を解放してしまい、逆に一度は殺そうとした元仲間を呼び戻すも、あっというまに射殺(この場面、許嫁と再会した主人公を画面が映しつつ、画面外からの銃声で表現される。これがなかなかのインパクト)。こうなりゃもう、悪党には滅びの道しか残っていない。主人公にタコ殴りにされた挙句、銃を拾い上げ一発逆転!と思いきや、卑怯にも後ろからの投げナイフ攻撃で、あわれ昇天。あの不敵な表情の悪党が、だんだんダメダメになっていって、ダメダメな斃され方で終わっちゃう、という感じ。もちろん主人公の執念の追跡劇が見どころの映画ではありますが、一方なーんかものすごく皮肉も効いている、不思議な味わいのある作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-09-30 23:26:19)
774.  鴛鴦歌合戦
とかく浮世はままならぬ、日傘さす人、作る人。って、なんのこっちゃですけれども、片や日傘をさしたおとみさん、片や日傘を作るお春さん、千恵蔵演じる浪人を巡って、確かに何かとままならぬ訳です。しかし、作った傘を干しているとそこに通り雨、傘が濡れては大変と、これをキッカケに男女がうまく引き寄せられたりもする。はたまた、お春さんが父親の骨董道楽を嘆いている場面、千恵蔵が「そのうち掘り出しモノでもするかもよ」と言うのに対してお春さんは「そういう夢みたいなこと大っ嫌い」と言い放つんですけど、これがラストの伏線になってる。なってるけど、でもこのラストは、衝撃的です(笑)。いやホント、みんな笑ってていいのか~と思うんですけど、いいいんでしょう、きっと。もはや一種の躁状態。時代劇ミュージカルなんていうハチャメチャな作品ですから、オチもハチャメチャでいいんです。で、音楽はというと、一曲一曲は他愛ないものですが、会話の中に歌がピタッとはまってくるのが気持ちよく、とにかく楽しさ満点です。中でも、ディック・ミネのあまりに気持ちよさそうな歌いっぷりが、何やら悟りに近いものすら感じられて(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-29 22:47:17)
775.  宮本武蔵(1954)
宮本武蔵三部作の第一弾、要するにタケゾー時代の若き日が描かれる訳ですが、本作は関ケ原の戦いのさらに前から描かれているのが特徴。戦のさなかにタケゾーが塹壕(じゃないけど)を掘ってたりするのを見ると、まさに明日をも知れぬ雑草のような存在で、ああこの若者がやがて剣豪になっていくのか、人間の運命とは不思議なものよ、という感慨を深く感じさせる作品となっています。主演は三船敏郎、なので、こういう元気いっぱいの若者を演じても良し(七人の侍と同時期の作品ですね)、次作以降の貫録を漂わせる剣豪・武蔵を演じても良し。又八は本作では三國連太郎が演じていて(次作はバトンタッチ)、まあ、気持ちはわかるのですが、何だか見るからにインテリ学生みたいですな。 本作は第一作ということで、吉岡一門や小次郎との出会いに先立ち、それ以外の武蔵を囲む主要な登場人物が描かれていきますが、まーロクなヤツがいない。擱甲・朱美の母子は手のひらを返し、オババは態度を豹変させ、沢庵和尚もタケゾーのためを思ってかどうか知らんが彼をつるし上げる(この木が、エラく立派な木なのですけどね)。そんな中で決して変わらない一途さを見せるのが、お通さんなのですね。さすがはヅカ八千草。 あと、日本のカラー長編映画初期の作品でもありますが、さて、カラーをうまく生かせているかどうか。できれば道端の彼岸花の赤さなんかがもう少し綺麗に映っていたら、と思わないでもないのですが。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-23 18:10:05)
776.  ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
主人公のジャーナリストが、40年前の少女失踪事件の調査を依頼される。という発端は、中途半端な唐突さで、イマイチかな、とも思うのですが(巻き込まれ型サスペンスの持つ切迫感も乏しいし、その前の裁判敗訴のエピソードも、主人公がヒマになったと言ってるだけで、収監までのタイムリミットも物語に貢献していない)、映像を通じて繋がっていく過去の秘密、さらには当時発生していた連続殺人へと話は展開し、俄然、面白くなってきます。偶然撮られていたシャシンの、荒い粒子の中に過去がぼやけて見える、それが徐々に焦点を結んでいく面白さ。とは言え、謎ときの興味だけが本作の面白さではなく、むしろ、主人公とともに謎をおいかける、ドラゴンタトゥーの女、リスベットの存在が、本作をユニークなものとしています。事件とその犯人を特徴づけるのは、サディズムと暴力であり、一方でリスベット自身もまた、サディズムと暴力の中で生き抜いてきている。この猟奇犯罪が、特異的で一過性のものではなく、その芽となるものはいつでもどこにでもあることの証言者たる彼女の存在によって、ドラマに多層性が生まれています。作品終盤は、蛇足とみるか余韻とみるか、人によって感じ方がわかれるかも知れませんが(私はやや蛇足かとも)。
[DVD(字幕)] 8点(2015-09-13 08:47:07)
777.  アウトレイジ ビヨンド
前作に比べると、良くも悪くも「まとまった」印象。前作の物語が、どこへ転がっていくのか、どこまで転がっていくのかわからない動的な面白さを持っていたのに比べると、本作は、何人かの人物の転落の姿にフォーカスした物語で、バイオレンスではあっても静的なものが感じられます。なので、物語の意外性、という意味では、前作よりも大人しいかな、と思いきや。ラストに至って、それはこの結末の意外性を際立たせるための布石であったか、と思わされます。なるほどそうきたか、と。前作では主人公・大友が、のっぴきならない立場の中で彼自身も事態をかき回す存在の一人であったのに比べると、今回の彼は、事態から離れようとし見守ろうとする立場なんだけれども、事態の方が自ら崩壊を起こしながら彼を追いかけてくる。その原動力となるのが、中野英雄のスゴミであったり、加瀬亮のキレっぷりであったりするのでしょうけれど、それを上回るのが何といっても小日向文世のメフィストフェレスっぷり、ですわな。何考えているかわからない人が、一番コワい人、という訳で。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-05 14:55:18)
778.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
この作品が目を離せないのが、真相がどこにあるのかということそのものよりも、複数の真相の可能性をうまく維持させている点でしょうね。「あの人が犯人じゃないか」説に、「いやいやこの人が」説、さらには「主人公多重人格」説まで、いくつもの可能性を匂わせ続ける、そのうまさ。ラストはそれなりにミステリとしての解決を提示するけれど、種明かしなんていわばオマケみたいなもの、中盤のサスペンスのモヤモヤ感を一気に吹き飛ばすような手に汗握るアクション、この盛り上がりに勝る「解決」は無いでしょう。スピード感とは、スピードそののものにではなく、加速する過程にこそある訳で、実に盛り上がります。 また、本作で発生する事件の不可思議さ、そこにあまり合理的な説明を求めようとすると、「無理がある」「偶然に頼り過ぎ」といった感想も出るのでしょうが、逆に、この事件の持つ自己完結性のようなもの、これは言い方を変えれば「伏線の回収」でもあります。不可思議そのものの面白さ。事件が偶然なだけじゃなくって、例えばあの、本筋とは関係のない少女との出会いやお守りのヒモのエピソード、これなんかも一種の偶然が織りなす「伏線」であり、かつ「ちょっとエエ話」として印象に残る訳ですね。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-08-30 08:59:56)
779.  猿の惑星:新世紀(ライジング)
作品冒頭に大きく提示されるシーザーの顔と、ラストに再び登場する彼の顔。その2つの表情、何がどう違うのか、一度並べて見比べてみたいくらいに(笑)、まったく違う印象を受けるんですね。え、顔に何か塗ってるか塗ってないかの違いだろって? ああなるほど。じゃなくって、冒頭の彼の顔はどう見ても類人猿の顔である一方、ラストの彼の顔は、人間の顔として描かれている印象です。理性や知性を持っただけではなく、それらが持つ裏側(例えば仲間に対する裏切り)の存在を目撃した彼は、もはや無垢な存在には帰れない。その悲しみをも感じさせます。無論これは、中盤で描かれるさまざまなドラマや戦いがあってこその印象なんでしょうけれども。次作、はたして類人猿たちは、どのような表情でこの物語の続きを語ることになるのか。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2015-08-24 12:57:53)(良:1票)
780.  サンダーボルト(1974)
若いジェフ・ブリッジスが義足を装うのはベトナム戦争「終結」(あくまでアメリカにとっての、だけど)直後という時期を反映しているのだろうし、さらには年長者たちが朝鮮戦争について言及しているところなんかからしても、この映画はその背景に、戦争という「日常からの逸脱」を抱えているんでしょう。でも別に、製作時の背景を気にせずとも、この映画自体に、退屈な日常への郷愁と、一攫千金の夢という非日常への憧れとが、満ちています。ボヤボヤっとした日常があり、そこに唐突に非日常が顔を出す面白さ。教会で説教を垂れるイーストウッドが、突然ジョージ・ケネディに襲撃され、さらにはたまたま通りかかったジェフ・ブリッジスのクルマにしがみついて逃亡する、というハチャメチャさ。労働に励むジェフ・ブリッジスが目を上げると、窓の向こうにはハダカのオネーチャン、ってのも、ちょっとした「非日常」の楽しさ。一方の黒ずくめの2人組、ジョージ・ケネディとジェフリー・ルイスは、日常においては明らかに異分子だけど、大金を手に入れるためなら、日常へも無理やり溶け込んでいく。そして彼ら4人が挑む、大金の強奪。4人の演技はどこか気ままで日常を感じさせるもの(ジョージ・ケネディが後ろに倒れこみ地面に座る場面、演技なのか本当につまずいたのか)で、そこで繰り広げられる日常と、ジェフ・ブリッジスの女装姿だとか金庫破りのための巨大な銃だとかいう荒唐無稽さとのギャップもまた楽しくって。しかし、彼らが目指した夢は簡単には手に入らず、意外なところからタナボタ式に手に入ってきた夢もまた、大きな喪失を伴うものだったりする。もはや本当の日常にも戻れないし、夢にも簡単にはたどり着けない、仮にたどり着いたとしても、そこには虚しさが漂う。という、コミカルなんだけどほろ苦い作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-08-02 09:11:47)
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