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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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61.  マギー
90年代、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に影響を与えた『地球最後の男』のリメイク企画がシュワルツェネッガー主演×リドリー・スコット監督で企画されており、当時高校生だった私は、シュワがゾンビを豪快に蹴散らす様がリドリー・スコットの美意識で描かれるこの企画に心躍ったものです。しかし、当時はシュワの興行成績に陰りが出始めた時期だったし、スコットもヒットから遠ざかっており、さらには『タイタニック』の製作費高騰に歯止めが利かなかったという経験がハリウッドの各スタジオに大作自粛ムードを作っており(『タイタニック』は結果オーライだっただけで、歴史的ヒット作がそう簡単に出るはずがない)、とんでもない製作費が計上されていたこの企画はボツにされたのでした。 その後、20年を経てついにシュワとゾンビのコラボレーションが実現したのが本作なのですが、「この企画になぜシュワが」という違和感が終始漂う90分でした。シュワがゾンビをなぎ倒すことはなく、終始無言で悩んでいるのみ。これってシュワに期待されている役柄ではないし、この役をもっとうまくやれる役者はいくらでもいます。 シュワは親友・スタローンのように枯れへの移行を目指しているのでしょうが、キャリアに低迷期はあってもブランク期はなかったスタと、俳優として完全に活動していない時期のあったシュワとでは経験に差があるし、ロッキーやランボーといったほぼ分身と言えるキャラを通して枯れへと移行したスタと比較すると、単発企画でイメージチェンジを果たさねばならないシュワは、やはりハードルが高かったと言えます。 とはいえ、2011年のブラックリストにも載った実績があるだけに、脚本自体は良かったと思います。難病もののドラマ構成をゾンビのいる世界に置き換えたアイデアは光っているし、世界観の細かな作り込みにも目を見張るものがいくつかありました。ゾンビ化という現象が特段珍しいものではなく、「あの家のお子さんもゾンビ化しちゃったのね。かわいそうに」くらいのテンションで語られるという世界観はかつてなく、ゾンビ化の過程にある人々もある程度社会的な暮らしを営んでいるという設定は面白いと感じました。主人公の娘・マギーもまたゾンビ化を隠すことなくパーティーに出るし、迎える側も「噛むようにならない内は、まだまだ友達」という付き合い方をしています。 マギーを演じるアビゲイル・ブレスリンは相変わらずの芸達者で、この珍しい世界観をほぼ一人で体現しています。ただし、その上手さによって余計にシュワが下手に見えるという別次元の問題を引き起こしてはいますが。
[インターネット(吹替)] 4点(2017-12-28 14:58:10)(良:1票)
62.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
IMAXにて鑑賞。 『フォースの覚醒』はレイがルークの元に辿り着くまでの物語でしたが、ようやく出会えたルークは『帝国の逆襲』のヨーダ以上の偏屈じじぃになっており、「もう弟子はとらん」といけ好かない態度をとるのみ。前作の冒険を見てきた我々からすれば、はるばる来てくれたレイの話に耳を貸し、その要望は聞けないにしても、じっくり説明くらいはしてやればいいのにと思うところなのですが、とにかく頑なに心を閉じている様にはイライラさせられました。ルークと旧知の仲であるチューイやR2もレイのために口添えしてやればいいものを、いるのかいないのか分からないほどの存在感だったし。 レイはレイでカイロ・レンと感応しておかしくなり、さらにはすぐ隣にジェダイマスターがいるという恵まれた環境にいるにも関わらず今の自分の精神状況を素直に相談しないので、こちらにもイライラさせられました。二人とも、ちゃんとコミュニケーションとりましょうね。 この前半部分の退屈さはシリーズ屈指のレベルに達しており、「こりゃ、『ファントム・メナス』をも下回るシリーズ最低作来たかな」と覚悟を決めました。そういえば、『ファントム・メナス』って邦題は何とかならんもんですかね。『ジェダイの復讐』を『ジェダイの帰還』に変更したのだから、『ファントム・メナス』も『見えざる脅威』に変更すべきではないかと思うんですが。って、本作とは全然関係ない話をしちゃいましたね。そんなことが気になるくらい、本作の前半は面白くなかったってことです。 しかし、後半になると作品は一気に息を吹き返します。レイとカイロ・レンの共闘、フィンとファズマによる元上司・部下対決、ダメ上司かと思われたホルド司令官が見せた男気(性別は女性ですが)などなど、燃える見せ場の連続で頭の毛が抜けそうになるくらい興奮させられました。ファンが愛着を覚えているメカの登場のさせ方、ピンチの際の救援のタイミングなど演出はもうキレッキレで、ディズニーはルーカス以上に『スターウォーズ』の撮り方を掴んできているように感じました。 とはいえ、次回作へは期待よりも不安の方が大きくなりましたが。本作ではキャラの整理が進みすぎており、どう見てもリーダーとしての才覚のないカイロ・レンが率いることになったファースト・オーダーと、ファルコン号に収納しきれる程度の人数しか生き残っていない反乱軍は今後どうやって戦うことになるんでしょうか。
[映画館(字幕)] 8点(2017-12-16 15:26:46)(笑:1票)
63.  サバイバー(2015) 《ネタバレ》 
スターといっても過去の人達が顔を揃えたVシネなので大して期待はしていなかったのですが、その下がりまくったハードルも越えられないほどの無残な出来でした。 主人公が極端な行動をとらざるをえなくなる理由づけが物凄く弱いので、序盤から躓いています。例えば1993年の『逃亡者』では、「俺は無実だ」の主張に対して「知ったことか」と返すジェラード捜査官の一言により、これは逃げる他ないということが主人公と観客との間の共通認識として成立していました。他方、本作はあのような端的なやりとりがないまま本編を始めてしまうので、頭には疑問符しか浮かびませんでした。 そもそも、世界最高クラスの殺し屋に命を狙われており、しかも目の前で同僚や上司を殺され「敵は本気だ」ということが明白な状況で、自力で事に当たる奴なんています?第一容疑者に上がっており自分にとっては不利なシチュエーションかもしれないが、それでも殺されるくらいだったら警察に駆け込み、少なくとも口封じはされない環境下で身の潔白を証明するという行動がもっとも合理的だと思うのですが。 その後、度重なる殺し屋の追撃を交わし、国際指名手配犯であるにも関わらず国際線で移動してついに母国まで帰ってくる主人公。あまりに無茶な展開が多いので、実はCIAという設定でもあるのだろうかと思っていたのですが、ただの事務系職員のまま通すので悪い意味で驚かされました。さすがに無理ありすぎでしょ。 NYに着いたら着いたで、さっさと捜査機関に駆け込んでテロの警告をすればいいものを、またしても一人で事に当たろうとする主人公。もはやバカにしか見えませんでした。プロフェッショナルであり、しかも複数人である敵側が、そんな主人公相手に敗退するという展開にも何らカタルシスが宿っておらず、短い上映時間をごまかせるほどの内容もない作品でした。
[インターネット(吹替)] 3点(2017-11-30 18:13:44)(良:1票)
64.  ジャスティス・リーグ(2017) 《ネタバレ》 
IMAX 3Dにて鑑賞。3D効果はまぁそれなりで損した気分にはなりませんでしたが、2Dで見ても情報量はほぼ変わらないと思います。 一定水準の作品を量産する体制を整えたマーベル勢とは対照的に、DC勢はいまだ彼らなりの成功方程式を生み出せておらず、本作についても敵の目的が不明確で恐怖の対象になりえていなかったり、リーグの作戦や勝敗ラインがわかりづらくて盛り上がりを逃していたりと、完璧な娯楽作にはなりえていませんでした。 ただし、それでも私が本作を支持できるのは、キャラクター劇として極めてよく出来ているためです。 ・パラノイア的に暴れまわったBVSを経て真にヒーローとしての自覚を持ったが、同時に生身の自分には限界があることを悟ってバトルでは裏方に徹しているバットマン。 ・能力も実戦経験もチーム随一で、必要な場面ではチームの支柱となるワンダーウーマン。 ・粗暴だがその奥にある気の良さが伝わってくるアクアマン。 ・同類に出会えた喜びを隠しきれないフラッシュ。 ・勝手にアップグレードされていく己の体への恐怖から引きこもりのひねくれ者になっていたが、訳ありメンバーと関わって自分の体の使い方を覚えていくことで徐々に精神が安定していくサイボーグ。 どいつもこいつも良いキャラをしているし、キャラクター間でちゃんと化学反応が起こっています。ジョス・ウェドンはザック・スナイダーが編集したバージョンから1時間も短縮して完成版を作ったようなのですが、この短い上映時間でよくこれだけキャラクターを描けたものだと感心しました。 さらに、スーパーマンが他のヒーロー達とはパワーも存在感も違う、桁外れのヒーローであるという描写になっていた点にも納得できました。そんなスーパーマンの参戦には、ドラゴンボールZのフリーザ編でようやく悟空が戦線復帰した時のような興奮がありました。これぞマンガ映画の醍醐味です。 また、ハンス・ジマーが降板し、その跡を継いだジャンキーXLも降板し、最終的にダニー・エルフマンが音楽を担当することとなったのですが、エルフマンの登板によって全体の曲調が明るくなり、特にバットマンのテーマはエルフマン自身が作曲した1989年版に戻されたので、『バットマン/ビギンズ』以来12年間続いたジマーのドンドコ節に辟易としていた私のような人間は、久しぶりにヒーローらしいテーマ曲を聞けてホッとしました。 その他、ロード・オブ・ザ・リング風の合戦からヒーローバトル、さらには多様なマシーンの登場と見せ場のバリエーションはやたら多いのですが、ヴィジュアルの巨人・ザック・スナイダーはこれらを闇鍋状態にせず、ひとつひとつの見せ場の独自性と全体の調和を見事に両立させています。こちらでも満足感がありました。 決して器用な出来ではないものの、これから始まる各キャラクターの単独主演作への期待を高めるには十分の作品だったと思います。さらには、一通りの単独主演作が終わった後にはジャスティス・リーグPART2が予定されていますが、成長したヒーローたちの再集結も今から楽しみです。
[映画館(字幕)] 8点(2017-11-25 03:21:56)(良:1票)
65.  インサイダーズ/内部者たち 《ネタバレ》 
憎くて強大な敵を持たざる者達が倒すという物語なのですが、主人公達が決して社会正義の代弁者というわけではなく、あくまで私怨に端を発した戦いであるという点に好感が持てました。片や、虎の尾を踏んで地位と片腕を失った元組長による復讐劇、片や、優秀なのに出世の道が開けない検事による支配階層への下剋上。この構図の時点で燃えました。 また、彼らと対峙する悪のゲスっぷりがとにかく最高です。「権力者はとんでもなく下品な宴会をやってるんじゃないか」という庶民が漠然と抱くイメージがほぼ完璧に映像化されており、金と権力の頂点にいる者達が夜な夜な繰り広げるバカ殿みたいな宴会は本作最大の見せ場と言っても過言ではありません。 原作のマンガが未完のまま打ち切られたということで終盤は映画版の独自展開に入っていくのですが、護送車からの脱走とイ・ガンヒのオフィスへの侵入がうまくいって、しかもこちらが期待する通りの言葉をイから引き出せて、さらには裏切りを疑われずにウ・ジャンフンが黒幕3人の懐に入るということがすべて達成できなければ崩壊するという、よくよく考えれば不確定要素が多すぎて運任せすぎる作戦ではあるのですが、この辺りになるとロジックよりもエモーションの方が勝っているため、さほどの違和感なく受け入れることができました。やっぱり韓国映画には勢いがあります。 「モヒート行ってモルディブ飲もうぜ!」というロビンソンのスピッツ的なギャグは当初何が面白いのか分かりませんでしたが、何度か繰り返されるうちにこちらもほのぼのとしてきました。私怨にまみれた物語の中で、こうしたほのぼの系のやりとりを入れてくるというバランスもよく考えられています。
[インターネット(吹替)] 8点(2017-11-17 18:50:21)
66.  エージェント・ウルトラ 《ネタバレ》 
本サイトでの平均点は最悪に近い上に、IMDBスコアも6.1と世界的に評判の悪い作品のようなのですが、私はなかなか楽しめました。映画とは自分の目で見るまで分からないものです。 風変わりな主人公が実は殺人マシーンで、徐々に記憶を取り戻しながら追っ手と戦うというお話はメル・ギブソン主演の『陰謀のセオリー』とまったく同じであり、さらにはブラックコメディという味付けも共通しており、MKウルトラ計画を扱った作品には特有のテンプレートでもあるのかと思ったのですが、アクションができるというイメージがまったくないジェシー・アイゼンバーグに殺人マシーン役をやらせた点が本作の新機軸であり、それまでなよなよしていた主人公にスイッチが入ると敵が瞬殺されるという描写にはなかなかのカタルシスがありました。 また、敵が同情の余地のまったくないアホであるという点でも主人公を応援したくなったし、このアホが田舎町を封鎖した上で十数人の殺人マシーンを投入して町全体を戦場に変えるという舞台設定にも燃えるものがあり、90分程度の中規模アクションとしては合格点だったと思います。 ただし、殺人スキルでは主人公が他を圧倒しており、彼と互角の勝負ができる敵がいなかったという点が、バトルアクションとしてはちょっと残念でした。ハントに最初に投入され、噛ませ犬的な役回りかと思われたラファがラスボスだったという展開には脱力させられたし、覚醒後の主人公がミッションを遂行するエンディングがまさかのアニメーション処理だった点でも、「え、見せてくれないの…」とガッカリでした。
[インターネット(吹替)] 7点(2017-11-17 18:49:28)(良:1票)
67.  スパイ・レジェンド 《ネタバレ》 
ロジャー・ドナルドソンは『スピーシーズ』や『ハングリー・ラビット』のようなどうしようもない映画を撮る一方で、たまに『追いつめられて』や『バンクジョブ』のような異常な切れ味の娯楽作を作ってしまう人物であり、有能なんだか無能なんだかよく分からない監督なので、とりあえずこの人の作品は自分の目で確かめるしかないなと思っているのですが、今回のドナルドソンはハズレの方のドナルドソンでした。 元はダニエル・クレイグ主演の予定がキャンセルされ、ドナルドソンが『ダンテズ・ピーク』で仕事をしたことがあり、かつ、クレイグの”前任者”であるブロスナンに白羽の矢が立てられたというプロダクションの経緯があるのですが、これがそもそもブロスナンのために準備されていた映画ではないかと思うほどよくハマっており、ブロスナンはとにかく最高でした。主人公は格闘でも銃撃でも無双状態の強さを誇り、情報収集能力にも長けて、美女からも惚れられる。こんな浮世離れしたスパイをこの時代に演じられる俳優はブロスナンくらいのものであり、常に必死さが付きまとうクレイグでは、こうはいかなかったと思います。 ただし、二転三転する物語の割には、大半の観客が最初に怪しいと感じた人物がやはり悪の元締めだったという展開に意外性がなかったり、これまた大半の観客が「何かあるな」と思っていたヒロインにやはり過去がありましたという展開にも面白みがなく、謎の隠し方が総じてうまくありません。さらには、ブロスナンの個性があまりに強すぎて、彼と張り合うこととなる元教え子(本来の主人公は彼なのでは?)や、ロシア側の女殺し屋の個性がほぼ埋没しており、これならばブロスナンの活躍を見せることに専念して物語を極力シンプルにした方が良かったのではないかと思います。
[インターネット(吹替)] 5点(2017-11-15 23:58:30)
68.  SCOOP! 《ネタバレ》 
はみ出し者のベテランと真面目な若手という構図はかなり類型的ながらも、主演二人の華できちんと持ち堪えています。 問題はお話が面白くないことで、テンポ良く小ネタが繰り出される前半パートは楽しめなくもないのですが、連続殺人鬼の表情を捉えようと奮闘する中盤と、リリー・フランキー演じるチャラ源が暴走する終盤がまるで面白くないため、映画全体の印象は良くありません。 特に終盤の悲劇の取って付けた感には凄まじいものがあり、「俺一人で行くわ」と思いっきり死亡フラグがぶっ刺さった状態で現場にむかい、式次第通りに死亡する都城の姿を見て衝撃を受けた観客が一体どれほどいたのだろうかと、実に心配になってしまいました。 どうやらチャラ源と都城との間には深い深い因縁があり、周囲に止められても都城はチャラ源との付き合いを止めないという辺りに男の友情臭があったのですが、その二人の関係の根源とは何なのかがバッサリと割愛されており、「その辺はお察しください」という雑な描かれ方となっているためさほどの感情移入ができず、終盤は劇中のキャラクター達だけが勝手に盛り上がっている状態となります。都城が死んだ後のエピローグは異常なまでに長く、こちら大して感動も衝撃も受けていないのに余韻に浸らせまくられたため、大変しんどかったです。 また、後半パートでは「ジャーナリズムとは何か」という真面目な切り口を持ち出してくるのですが、彼らの奮闘が社会正義に繋がっているようには見えず、見ている側としては覗き見趣味を出ていない状態で真面目な話をされても困ってしまいます。同種の題材を扱った作品としてジェイク・ギレンホール主演の『ナイトクローラー』がありますが、そちらは「パパラッチは人間の屑である」ということを大前提としたピカレスクロマンとして作られており、ゲス野郎の活躍を冷めた視点で鑑賞するという実に安定した作風となっていました。対して本作は、前半と後半でまるで正反対の主張がなされるために、特に後半が綺麗事にしか見えませんでした。 あと、福山雅治と二階堂ふみの中途半端なベッドシーンは本当に不要でした。人間の下劣な覗き見趣味をテーマのひとつとしている作品なのに、ベッドシーンをやたら美しく撮ってどうすんの。この題材で下着を決して外さないってどういうことよ。俳優のパブリックイメージへの配慮や芸能事務所からのダメ出しが激しく垣間見えてしまい、ここで一気に冷めてしまいました。
[インターネット(邦画)] 4点(2017-11-15 23:57:51)(良:1票)
69.  七人の侍
さすがは日本映画界の最高峰だけあって、本当に凄い映画でした。本物にしか見えないオープンセットと俳優達の迫力、アクションのみならず男の友情・ラブストーリー・コメディに階級闘争までがパンパンに詰め込まれた異常なまでの情報量と、それらをひとつの物語にまとめてみせた脚本の素晴らしさ。映画のあらゆる要素が網羅された奇跡的な作品であり、傑作の中の傑作であることは間違いないと思います。 ただし、本作のようなマスターピースは後世にて徹底的に研究され、模倣され尽くしているために、鮮度はめちゃくちゃに落ちています。特にスピルバーグは『ジョーズ』や『プライベート・ライアン』など「チームを結成してミッションを遂行する」という本作のアップグレード版を多数制作していることから、それらの後発作品を見てしまうと、どうしても本作のインパクトは落ちてしまいます。 また、七人という人数が集団アクションにおいては適正な数字とは思えなかったことも、ちょっと気になりました。二つのグループの橋渡し役とコメディリリーフは通常一本化されるし、リーダーの女房役と参謀役も一本化されることが多いのですが、本作ではそれぞれを別のキャラクターにしていることから、菊千代と平八、五郎兵衛と七郎次のポジションが重複しているように感じました。 さらに、敵である野武士の描写がスッパリと切り捨てられており、思考も感情もなくただ飛び込んでくるだけの存在になってしまっている点も、てんこ盛りにされた他の構成要素と比較すると味気なく感じられました。村に一騎ずつ誘い込んで徐々に兵力を切り崩していくという主人公側の作戦に引っ掛かり続ける様などは、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。
[DVD(邦画)] 7点(2017-11-15 23:56:59)
70.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
殺人事件が起こったが、当事者全員(イタコを介して霊界からお話している被害者当人を含む)が「殺したのは自分だ」と主張しているという、なんとも不可解な裁判。 多襄丸:真砂を巡って金沢と正々堂々決闘し、自分が勝った。 真砂:多襄丸に傷物にされて自分を見る夫の目が変わったため、後追い自殺をするつもりで金沢を殺した。 金沢:多襄丸の女になろうとした真砂の裏切りに失望し、自害した。 しかし、第三者が目撃していた真相とは、レイプで傷物になったことを金沢に責められた真砂が逆上し、二人の男を煽って決闘させたが、決闘に不慣れな侍と盗賊はへっぴり腰の泥試合を演じた後に、ギリギリ多襄丸が勝利したというものでした。 本作が優れているのは、通常は無罪を主張して当事者達がウソをつくという法廷劇の構図をひっくり返し、全員が「我こそが犯人」と主張するという捻じれた物語を作り上げたことと、その風変わりな構図から、人間には罪を被るという実害よりも優先したいほどの強力なプライドがあるという普遍的な物語を描いたことでしょうか。 さらに、本作は俳優陣の熱演もあって登場人物3人が誰もウソをついているようには見えず、各当事者にとっては、本当にそのように物事が見えていたのかもしれないという解釈も残します。人は、自分にとって都合の良いように物事を認識し、記憶するという性質を持ちます。多襄丸は豪快な盗賊としての物語を、真砂は最後まで夫に忠実な良妻としての物語を、金沢は妻を守れなかった自分の落ち度を隠す(=そもそも真砂は守る価値のない女だった)物語を求め、それぞれの物語に合うように事実を歪めて記憶していたのではないか。そうした解釈の余地が、さらに本作の意図を深めています。 本作を最初に見たのは中学生の頃でしたが、正直言って当時は全然ピンときませんでした。内容の複雑さに加えて、セリフの聞き取りづらさもあったのですが、今回はリマスター版で音声も改善された上に日本語字幕による援護射撃もあって、「この映画はこれほど高尚なことを語っていたのか」とひたすら感心させられました。 これは黒澤映画全般に言えることですが、録音機器の問題でセリフが聞き取りづらい上に、口語では分かりづらい難解な表現も多用されるため、日本語での鑑賞がかなり困難という厄介な代物となっています。本作や『七人の侍』が国内よりも海外で評価されたのも、字幕で鑑賞している外国人には、原語で見ている日本人よりも的確にセリフの意図が伝わったからではないかとすら思ったほどです。 あともう一点難を言うと、「レイプされた女は自害すべき」という価値観が登場人物全員の口から出てくる点には、ちょっと馴染めませんでした。これは時代の問題でもあるのでしょうが、第一の被害者であるはずの真砂の扱いがあまりに酷すぎないかと。
[インターネット(邦画)] 8点(2017-11-10 18:43:47)(良:3票)
71.  砂上の法廷 《ネタバレ》 
映画における裁判では「宣誓下にあるのだから、証言台に立たされた人間は真実のみを語っている」という暗黙の大前提が置かれているのですが、その大前提をひっくり返して「証人は、自分に都合の悪い話は捻じ曲げて証言する」ということを追及した点が、本作の新規性であると言えます。名作『羅生門』にも通じるアプローチですが、私はこれをリアリティの一種であると感じたし、二転三転する物語は物凄く楽しめました。 本作で描かれるウソの種類は2つあって、事件の核心部分の理解を意図的に操作しようとしてつくウソと、事件の真相とは直接関係ないが自分自身の触れて欲しくない部分をごまかすためにつくウソとがあります。後者については合理性のあるウソであるため、その人物の背景を紐解く中で不整合が自ずと露わになってくるのですが、難しいのが前者であり、その周辺にある些細なウソを切り崩していきながら「より確からしい理解とは何か」を探ることになっていきます。 作品は証言と回想を行き来しながら進むのですが、回想パートにウソはなく、少なくとも作り手が観客に対してインチキはしていないという点にも感心させられました。また、一見すると荒唐無稽に感じられるオチについても、ある思惑が想定外の形で別の思惑と結びつきながら結果的にこの歪みまくった構図が出来上がったという説明付けがなされており、決して「サプライズのためのオチ」とは感じませんでした。全体として矛盾がなく、おかしいと思われる部分にもよくよく考えればちゃんと説明が付けられており、実によく考えられたお話となっています。 キアヌの弱点である能面フェイスは、本作では観客に表情を読ませないという点で良い方向に作用しているし、疲れきってはいるが男を魅了する色気はギリギリ残っている人妻役に、こちらもくたびれきったレニー・ゼルウィガーが見事にハマっています。また、女性で見た目が良くて有色人種だから陪審員から正義の側に見られやすいという理由で主人公が傍らに置いているインターンの弁護士の堅物ぶり、この場にいるのは自分の実力を評価されているからだという勘違いぶりも面白く、キャスト面でもなかなか充実した作品だと感じました。
[インターネット(吹替)] 7点(2017-11-10 18:41:58)(良:1票)
72.  マイティ・ソー/バトルロイヤル 《ネタバレ》 
IMAX 3Dにて鑑賞。飛翔シーンや広大な世界観など3D効果を実感しやすい要素が多く、かつ、マーベルは3D技術の使い方も小慣れてきており、3Dで見て良かっと思える仕上がりでした。 ソーはMCU内でも出来がイマイチの部類に入るシリーズであり、特に前作『ダークワールド』はMCUワーストクラスの作品だと思っているので、本作についてもあまり期待をしていなかったのですが、小難しい主張やドラマ性というものをほぼ捨て去り、開き直って純粋に娯楽性のみを追求したことから、これがとんでもなく楽しい作品に仕上がっていました。 アンソニー・ホプキンスやケイト・ブランシェットといったトップクラスの俳優を惜しげもなく投入している上に、今や大作の主演を張るまでに成長したトム・ヒドルストンも本作では変わらず卑怯者のロキを嬉しそうに演じているし、お久し振りのジェフ・ゴールドブラムが最初から最後まで笑わせてくれて、マット・デイモンのカメオ出演まである。これだけ豪華なメンツでもてなしてくれるのだから、2時間はあっという間でした。 また、本編中2度ある『移民の歌』が流れるタイミングの絶妙さや、コーグの救援場面やスカージがヘラに反旗を翻す場面などもバチっと決まっており、完璧なタイミングで燃える要素をぶっこんでくれるのでアクション映画としても燃えました。 ムジョルニアの破壊に始まり、片目を潰されたりアスガルドを破壊されたり、そもそも敵が実の姉だったりと、よくよく考えてみれば本作はかなりの鬱展開なのですが、悩むよりも行動で突破し、どんな苦境の中でも望みを探すという楽天的な姿勢は、非常にソーらしかったと言えます。
[映画館(字幕)] 8点(2017-11-10 18:41:14)
73.  バリー・シール/アメリカをはめた男
テレビドラマ『ナルコス』ではとんでもない悪人として描かれており、実際にどえらい悪人であるバリー・シールを愛すべき人物として描いた作品なのですが、トム・クルーズの持つ爽やかさや天真爛漫さが作品に大いに貢献しており、この悪人にとても感情移入して見ることができました。 御年55歳で実年齢よりも20歳近く年下の役柄を演じ、しかも「面白そうだから飛び込んでみました」みたいな無鉄砲なキャラクター像を違和感なく観客に伝えられるというトム・クルーズの個性には本当に恐れ入りました。本作の魅力の7割はトム・クルーズが担っていると言っても過言ではありません。 残り3割は、この時代に実機によるスタントを多用した映像の説得力でしょうか(この超絶スタントのために死者を出したようですが)。空を飛ぶ場面の開放感、「空は俺のものだぜ」感が見事に表現されており、この開放感が欲しくてバリー・シールは仕事をしており、自由に飛べるのなら積み荷は何でもよかったんだろうなということが感覚的によく理解できました。 全体的な軽さの反動でクライムアクションに必要なスリルを醸成できていなかったし、捜査の手が回った後半以降はこの手の映画のテンプレート通りでやや冗長さを感じさせられたものの、全体としてはよくできた娯楽作だと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2017-10-31 18:46:58)
74.  神様メール
アイデアの奇抜さや、そのアイデアを観客に伝えるためのストーリーの整理の仕方など、この監督の手腕には恐れ入るのですが、『ミスター・ノーバディ』に続き、私との相性は良くありませんでした。 この監督はアイデアで引っ張る一発ネタ的な作風である割りには上映時間が長めだし、極端な設定から人類普遍のドラマを導き出すのかと思いきや、その核にはそれほど訴求力のあるメッセージがなかったりと、結局技巧を楽しんでいるだけという印象がしてしまいます。 比較すべき相手かどうか分かりませんが、例えばチャーリー・カウフマンのように、物凄く奇抜な設定やキャラクターを選択しながらも、見る者の共感を呼ぶような着地点を見出せる作風の方が、より万人受けするのではないでしょうか。
[インターネット(吹替)] 6点(2017-10-31 18:40:12)(良:2票)
75.  福福荘の福ちゃん
おっさん役に森三中・大島美幸をキャスティングした監督のセンスと、ほぼ違和感なくおっさんに見えた大島美幸のなりきり加減には恐れ入ったものの、全体としてはイマイチだと感じました。 これは相性の問題なのでしょうが、笑わせることを意図している場面で悉く笑えず、私にとっては奇抜なキャスティングという一発ネタしか心に残りませんでした。
[インターネット(邦画)] 5点(2017-10-31 18:37:39)
76.  トリプルX 再起動 《ネタバレ》 
まず断っておきますが、私は『1』『2』は嫌いです。 というわけで、まったく期待値の上がらない中での『3』の鑑賞でしたが、不良・遊び人・変わり者が世界を救うという前作までのコンセプトが丸まんま引き継がれた本作の前半は、やっぱり厳しかったですね。特に50前のヴィン・ディーゼルが気の良い不良役をやっている辺りが何とも痛々しいし、作品の世界観では彼がかなりモテる男という設定にも違和感があり、映画に全然乗れませんでした。 お話の方も、CIAの悪だくみをNSA所属のトリプルXチームが阻止するという何ともドメスティックな内容なのに、無駄に世界を股にかけているので状況が感覚的に分かりづらいし、トリプルXチームが中国人・インド人・タイ人とインターナショナルすぎる顔ぶれで構成されており、もはやNSAの一プログラムという設定が置き去りにされていたりと、もうメチャクチャなのです。一応はアメリカ映画ではあるものの、アメリカ人による鑑賞をまったく前提としていないかのようないい加減さ、闇鍋加減には少々困惑してしまいました。 が、ザンダーチームとゴーストチームが合流する後半の高揚感や、ヤケクソの如くてんこ盛りにされた見せ場の連続には目を見張るものがあり、クライマックスまで絶え間なく続くアクションにはかなり見せられました。好敵手だったザンダーとジャンがついに手を組むタイミングや、2代目トリプルXが救援に駆けつけるタイミングなども絶妙で、B級アクション界の巨匠であるD・J・カルーソ監督の手腕も絶好調。こんなに楽しいクソ映画は久しぶりだなぁと最後には大満足できました。
[インターネット(吹替)] 7点(2017-10-28 15:17:52)
77.  完全なるチェックメイト
チェス映画という前代未聞のジャンルを切り拓いた作品ではあるのですが、何が凄いんだか観客には伝わりづらい上に、そもそも画が地味という映画としては致命的な欠点を孕んだこの題材を真正面から取り扱うことは避けており、特殊な環境に置かれた天才が精神を病んでいく物語として全体が構築されています。チェスをまったく知らなくても何ら問題がないというレベルにまでこの題材を落とし込んでみせた監督と脚本家の工夫には恐れ入りました。 ただし、映画としてはまったく面白くありませんでした。頭のおかしい人が暴言や妄言で周囲をひっかき回すだけの内容で、誰にも感情移入ができないのです。フィッシャー以上のストレス下に置かれながらも紳士的な態度を維持できていたスパスキーとの違いなどの考察があれば面白かったのですが、二人の天才の関係性もやたら淡泊で描写が不十分だったので、盛り上げるべきポイントを逃してしまっています。トビー・マグワイアが狂気の天才役を演じる自分の姿を撮らせたくて、自分で製作費を集めて作った映画なのだから仕方ないのかもしれませんが、狂人だけを描いても映画は面白くなりません。むしろ、レクター博士の如く狂人は脇役にしてしまい、狂人に振り回される人達を表面上の主役にしてしまった方が、その存在は立ったのかもしれません。
[インターネット(吹替)] 4点(2017-10-14 01:41:35)(良:1票)
78.  灼熱の魂 《ネタバレ》 
【注意!かなりネタバレしています】 ミステリーとしては面白かったのですが、紛争国を舞台に憎悪の連鎖を描こうとする社会派作品としてはピンときませんでした。 捕えられたナワルの拷問人としてやってきたのが生き別れになっていた彼女の息子でしたという点と、その拷問人がナワルと同じ町内に引っ越しており、かかとの入れ墨が見えるプールで再会しましたという点があまりに強引であり、どんな凄い偶然だよと冷めてしまったために、本作の内容を現実問題と繋げて考えられなくなったことが原因ではないかと思います。
[インターネット(字幕)] 6点(2017-10-14 01:39:49)
79.  マリアンヌ
映画とは期待と満足度のバランスで決まると言われていますが、本作はまさにその典型。 ブラピにゼメキスという10年以上前に旬を過ぎた看板に、大作要素を微塵も感じさせない地味な宣伝と、積極的に映画館で見たいと思わせるような作品ではないものの、何となく見始めると2時間がアッという間に終わり、鑑賞後には良い印象が残ります。上手な監督、上手な脚本家、見栄えのする俳優が集まって作った映画は、やっぱりよく出来ていると思いました。 ただし突出した点もないので、数日経つと良かった点も思い出せないという、そんな映画。
[インターネット(吹替)] 7点(2017-10-14 01:38:24)
80.  ブレイクアウト(2011) 《ネタバレ》 
もし20年前に公開していれば全米一位を獲っているような元・豪華メンバーによるB級映画ですが、借金問題であらゆる映画に出まくっているニコラス・ケイジはともかく、ニコール・キッドマンまでがミレニアムフィルムズの映画に出るようになった点にはかなり驚かされました。 二転三転どころか五転も六転もする展開はそこそこ楽しく、さらには上映時間が短かったこともあって、見たことを後悔させられるレベルの作品ではありませんでした。ただし、感情移入可能なキャラクターがいないためにスリルが半減したり、小さなどんでん返しが多すぎて「今言ってることも、どうせ後でひっくり返されちゃうんでしょ」という目ですべてを疑うようになって、かえって観客にサプライズが届きづらくなっていたりと、小手先だけで作られた映画だなぁと感じました。 「ケイジは事業に失敗して破産寸前だった→実際には多額のヘソクリを隠していた→ヘソクリと一緒に犯人を燃やすケイジ」という、結局主人公にとって金とは一体何だったのかがよく分からなかったり、序盤では「10分以上現場にいると警察に捕まるリスクが高まる」と言って分刻みの行動をとっていたのに、いつの間にかダラダラと居座るようになった犯人グループだったりと、登場人物達の性格が安定しない点はどうかと思いました。犯人グループの一人であるストリッパーに至っては、現場にあった高いドレスを着て上機嫌になり、プロジェクターでホームビデオを流しながらハッパを吸うという異常なくつろぎ方をしており、この人は一体何をしに来たのだろうかと脱力させられました。
[インターネット(吹替)] 5点(2017-10-05 22:10:15)
070.55%
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