81. ビバリーヒルズ・コップ
《ネタバレ》 エディのマシンガントークはもちろん出色の出来ですが、頭にこびりついて離れないのは前半に出てくる幼馴染のエピソード。バーでの会話はお互い悪さをしながらも本当の友情で結ばれている二人の関係値が端的に表現されています。そして彼が殺されてしまうシーン。その殺され方がいわゆる処刑スタイル。その非道なシーンのロングショットは見てはいけないものを見てしまった後味の悪さ。正直言って、全体の明るく楽しい雰囲気とはまったく異質。アクセル刑事が事件捜査にわざわざビバリーヒルズに向かう必要十分な理由と感じました。他の登場人物はわかりやすさ、性格付けの的確さで楽しい映画に仕上がっています。 さらに劇中に何度も挿入される行動開始を表す曲も名作!耳から離れません。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-12-24 11:49:24) |
82. ALWAYS 続・三丁目の夕日
今年77歳になる母を連れて観にいった。まず、はじまり方が見事!もともとCG処理につい注目しがちな本作。奴の登場は、昔の再現を越えた最もCG向きな場面。そこから始めることによって、現実に戻った時の違和感が消えているのだ。時代性を伝える意味だけでなく、CGの違和感を消し去り、さらに「東宝」の金字塔に敬意を表するという3つの意味ですばらしい。ストーリーも1作目の伏線をすべて戻しているのが好感持てる。ついヒット作となると更なる続編のために結論を先延ばしが多い昨今の作品のなかでは貴重かもしれない。周辺の人々の配役も見慣れた役をこなした名優たちで固めているため安心感がある。東京で生まれ育った私にとって夕陽の位置が違う、などのツッコミも、余裕のあるストーリー展開のおかげで、薀蓄をたれる余地と感じてしまう。そして何よりもうれしかったのは、スクリーンを見つめる母親の横顔を何十年ぶりに見れたことかもしれない。 [映画館(邦画)] 9点(2007-11-12 12:47:28)(良:8票) |
83. トム・ソーヤーの冒険
《ネタバレ》 そうかぁ、8歳か9歳で見たんだなあと思いだしつつ、覚えているのは、叔母さんに罰として言いつけられたペンキ塗りを、友達に手伝わせるところ。トムの親友のハックルベリー・フィン役は、「スーパーマン(1978)」で若き日のクラーク役もやっていたジェフ・イースト。そしてなんとトムの妹役は当時のCM出演で抜擢されたジョディ・フォスター。遠い記憶ではありますが、あの当時から顔は変わっていないような気が…。内容はいい意味で子供向きの作品。 [映画館(吹替)] 5点(2007-09-03 14:16:54) |
84. ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合
《ネタバレ》 この映画のすごいところは、特殊メークなしのエディより太ったクランプ教授がとても魅力的なところ。映画での性格付けやストーリー展開ということではなく、彼のたたずまいや表情そのものが実にチャーミング。思わずエディ・マーフィというよりは、このクランプ教授役の俳優で別な作品も見てみたいと思ってしまった。大したもんだよ。アクターズスタジオで若手俳優を厳しく指導したリー・ストラスバーグが生きていたら、なんていうだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2007-09-03 02:45:35) |
85. チャーリーとチョコレート工場
《ネタバレ》 ウィリー・ウォンカの父親役はいわずと知れた名悪役・名ドラキュラ役のクリストファー・リー。不敵な笑みではなく、心の底からの笑顔を見れただけでもこの作品は価値がある。 [DVD(吹替)] 8点(2007-08-06 15:10:02) |
86. キャプテン・ウルフ
この映画を知ったとき、ヴィン・ディーゼルの起用でとても見たくなったことを思い出す。主人公の起用、コンセプトもアリ」だが、いかんせんストーリーがお粗末過ぎる。 この手の映画はある意味「お約束」のオンパレードでいいのだ。たとえば、家族を知らない主人公とやんちゃな子供たちの対立がいつしか強い絆で結ばれていく行程は、双方が歩み寄って成り立つものだ。主人公自体もある程度人間的に欠陥が必要だ。肉体的なタフさが災いして部下がついてこなくなっていたとか、任務の非情さなどがチームワークを乱していたなどのキャラクター付けがまったくない。実際ヴィン演じる主人公はほとんどすべてを心得ているのだ。ティーンエイジャーの扱い方、演劇への理解力などあまりにもとんとん拍子過ぎるのだ。お互いの出会いがそれそれを引き上げるという伝統的なお約束をディズニーが忘れてしまったのかと思うと悲しい。ヴィン自身の笑顔が貴重なだけに実に惜しい作品。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-11-29 00:48:10) |
87. ゴッドファーザー・サガ<TVM>
《ネタバレ》 onomichiさん同様私もしっかり見てました。年代順・時系列に並べなおしたのもさることながら、4話完結のためにコッポラ自らの編集演出がたまりません。映画ではパートⅠ、パートⅡとそれぞれ独立した作品ですが、テレビでは4週(夜?)連続でしたので、番組最後に次回の予告編が入ってきます。ふつうは「1話終り」や「つづく」などエンドマークが明示されて、その後に予告編がテロップ表記されながら放送されるのですが、この作品は違いました。なんと本編からそのままテロップ明記なしに予告編へと入っていくのです。本編が終了すると、かすかなバイオリンのストリングスが聞こえ始め、次回の印象的なシーンが次々とフラッシュしていきます。はじめはあまりにも違和感の無い映像の積み重ねなので、本編がそのまま続いていると思いましたが、ストリングスが徐々に大きくなっていくあたりから、明らかに期待感をあおる名シーンが出てくるので「?」と思い始めると、もっとも美しく感動的な旋律でラストを締めくくるのです。そのラストカットが完璧なチョイス!ちなみに第4話の予告編に使用したラストカットは不信感を抱くフレッドに無理やり口づけするマイケルのあのシーンでした!予告編のたびに鳥肌状態。本作で10点なのにそれ以上つけたくなる演出、いやはや参りました! [地上波(字幕)] 10点(2006-11-16 20:44:17) |
88. コンスタンティン
レイチェル・ワイズとの共演は「チェーン・リアクション」に続いて2回目?素直に楽しめました。でも、悪魔降臨にヒロインや子供がいけにえにされるという展開は少しワンパターンの気が。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-06-28 18:37:04) |
89. リング(1998)
《ネタバレ》 邦画の場合、俳優が演じる役柄に100%感情移入できないものです。後半になってしまえば多少ストーリーに入り込んでいてその感覚は消えますが、前半は無理です。どうしても俳優の過去や近況などが頭をよぎり、「こいつ結婚生活うまくいってるのかなー」とか「数年前に交通事故起こしたよな」とか余計なことが頭をよぎるわけです。真田広之が出る映画の場合、どうしてもJAC(ジャパン・アクション・クラブ)出身というものが頭からはなれず、簡単に殺されたり、死んだりするのはおかしいという感覚が付きまといます。恐ろしい「何か」からも万能選手の彼なら逃げられるだろうという先入観があるのです。したがって、彼がおびえたり、みすみすヤラレルシーンを見るとつい嘘っぽく見えてしまいます。これは、演出力と演技力の問題かもしれませんが。で、この「リング」。正直驚きました。あのラスト、どんなに万能選手でも、天下のJAC出身者でも、あれはビビリます!テレビから出た後の彼女は冷静な判断を欠かせるには充分な動き&目つきです。それだけでも10点の価値はあります。 [ビデオ(吹替)] 10点(2006-05-26 10:15:20)(良:1票) |
90. 亡国のイージス
《ネタバレ》 スティーブン・セガールの「沈黙の戦艦」よろしく乗っ取られたイージス艦を奪還すべく奮闘する男のストーリー。都市を壊滅する兵器にハラハラしながら、艦ごと沈めてしまおうとする官僚や政治家たち、国を憂い乗っ取りに加担する自衛隊の集団などが登場します。はっきり言ってどこかで観たものばかり。「ザ・ロック」「エクゼクティブ・ディシジョン」など次から次へ頭に浮かんできてしまいます。主人公の立場、如月の素性、主犯の非情さ、計画の周到さなど的確でコンパクトな描写ができなかったために、そこに時間がかかりすぎて後半が無難なものになってしまったのではないでしょうか。絵画や筆のエピソードや、主犯の動機、地球防衛軍的なありがちな本部会議室、このての映画は「どうせ、うまくいくに決まってる」という前提になるため、最も困難な状況を作り出していかないともちません。意外な伏線も必要です。日本の映画の難しいところですが、質の高いキャスティングでレベルを上げたい。しかし、それなりの人を入れ込むとセリフや露出度のバランスも考慮しなくては…。監督やプロデューサーも結局、無難な線を選んでしまったのでしょうか。「生きろ」とか普通に口にする主人公は10年以上前のキャラです。この呪縛を抜け出してほしいというエールも含めて厳しめの5点。 [地上波(吹替)] 5点(2006-05-15 15:53:50) |
91. クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ踊れ!アミーゴ
《ネタバレ》 子供と一緒に見に行ったのですが、場内の笑いが少なかったです。子供たちにとっても「?」が残る作品だったようです。謎解きがないまま悪玉が自分から出てきたみたいな印象。なぜサンバなのか?子供向きでもストーリーの練りこみは必要と痛感しました。ネジ巻いてがんばってくれ!スタッフよ! [映画館(吹替)] 4点(2006-05-08 18:45:07) |
92. タンポポ
「シェーン」よろしく、寂れたラーメン屋に謎のトラック野郎がやってくる、というメインストーリーと様々な「食」に関する皮肉や笑えるエピソードの数々。どれもにやりとさせられるものばかり。なかでも井川比佐志と三田和代の最後のチャーハンは秀逸。このエピソードだけはグッと胸に来るものがある。おいしいと言う家族にほっとした様に微笑む妻の笑顔、そして妻のぬくもりをチャーハンに感じる夫、見終わった後でもこのシーンが頭から離れない。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-12-11 00:26:53) |
93. なつかしい風来坊
《ネタバレ》 本作はいわゆる「馬鹿」シリーズ(すごいシリーズ名!)の一つ。まさに寅さんのキャラの原点と思える主人公をハナ肇が熱演している。そういった意味でも価値ある一本。高度経済成長を遂げゆく日本人の「忘れた何か」を、その時代にいながらにして訴える姿勢には頭が下がる。ラストシーンは「遥かなる山の呼び声」を彷彿とする名シーン、ここもまた見所。年月が変わって役の立場も変わったハナと倍賞千恵子が「遥かなる~」の収録中にどんな会話をしたのか、想像するだけでも楽しい。それにしても、倍賞は美しい。 [地上波(字幕)] 8点(2005-11-30 21:57:55) |
94. フロム・ダスク・ティル・ドーン
《ネタバレ》 この作品を見てこの「先入観」という思い込みが、いかに知らず知らずに形成されていたのか痛感しました。知人からビデオを借りる時、彼は「おれは途中で腰が浮いた」と言っていましたが、そのときは意味がわからず。観始めてみたら、破滅的でけだるい雰囲気…。そしてあのお店へ…。ふーん、こんな展開ね…少し眠いなあ…などと鼻をほじりながら寝そべりながら見ていた私。数分後、もちろん飛び起きました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-24 22:33:33) |
95. ミザリー
確かに映画ですから、作り物に違いありません、あの足は。誰もがそう思います。で、でもそれを承知であえて言います。「あれは痛い!」見た瞬間、本当に息が止まりました。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-23 00:20:12) |
96. エレファント・マン
《ネタバレ》 衝撃的だった。そして切なくなった。主人公を取り巻く人間はおもに3種類。(1)彼を醜く思う見世物小屋の主人や客たち、(2)彼だって人間だ、と思うようにしてやさしく接する偽善者たち、(3)心の底から彼を案じ、愛する人たち。私も正直言ってこの映画を見た動機は(1)だった。一方、トリーヴス博士やケンドール婦人、そして劇場で拍手を送る人たちは(2)。(3)は逃がしてくれたサーカスの仲間たちと夢でしか会うことのない母親となるのだろうか。それにしても(2)の弱者を同情という優越感によってもてはやす姿は、最も性質が悪い。彼らは自分の善意に酔いしれているのだ。この映画はそんな人間性がさりげなくあぶりだされていく。そしてこの映画で最も感動するのは、そんな偽善をも受け入れるメリックの純粋さ。「生きているからこそ様々な喜びも苦しみも味わえるんだ」という姿が泣けてくる。常に受身だった彼が唯一選んだ能動的な行為が、「普通の人と同じように寝てみたい」なんてあまりにも切な過ぎる。母と観終わった後、お互い号泣したことを隠しながら無言で映画館を出てきたことを今でも思い出す。 [映画館(字幕)] 10点(2005-11-20 02:28:53)(良:1票) |
97. ドリームキャッチャー
CMが…CMがかっこよかった…んで見に行った!「フロム・ダスク・ティル・ドーン」以来の途中で思わず腰浮き状態。CMで一言も紹介しない名俳優も登場し、まず思い浮かんだ言葉は金返せー!でもだまされた自分も責任があるとおもいつつ、C級映画のツボも抑えてあり、さらにいつものキング節少年時代があるのでなぜか許してしまった私。見た後、友人との会話も花が咲くわけで、中途半端な作品よりはネタに使えたのでこの点数です、はい。 [映画館(字幕)] 7点(2005-11-04 21:53:58)(良:1票) |
98. ビッグ・フィッシュ
息子にとって父親の存在は実に微妙だ。お手本にしたい気持ちと手本にしたくない気持ち、父親を超えたい熱意と超えられないあきらめ、真似したくない気持ちと知らずに似てきている自分などなど、その複雑な感情は思春期以降、何かしら抱くものだ。この映画、出だしから父親のロマンあふれるホラ話で展開し、大人になった息子の確執もコンパクトにまとめたおかげで、それ以降の描写に充分な時間を費やせた点でよく出来ている。ホラ話が大きければ大きいほど見ているものは現実とのギャップに物悲しさを覚え、息子自身がそれを受け入れるバーが高くなることを意味する。したがってラストの息子自身の作り話が効いてくるのだ。ただ、少し物足りないのは、見ている私たちに息子の心境の変化が少しわかりづらいこと。あまり知られていない俳優だからかもしれない。目で演技の出来るもうひとつ上のランクの人が良かったかもしれない。たとえば、若き日の父親役イアン・マクレガーが息子役でもいいかもしれない。一方、年老いた父が若き日とあまりに一致しない配役も少し気になった。最後に登場する人々がそのままということを考えると、若き日も年老いた現在も同じ俳優で良かったのではと思ってしまう。しかし相変わらず、ティムバートンは意外な作品を繰り出してくる。今回はインコースの高めぎりぎりの直球。思わず手が(涙が)出た。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-04 21:34:56) |
99. ツイスター
竜巻に対してドロシーを飛ばしたい!という彼らの願いといわれても、とても竜巻防止の特効薬になっていない!研究としては第一歩にしかなっていない点が最大のマイナス。普通この手の映画は、とてつもない災害が襲来したとき人間はどのようにしてそれを最小限に抑えることが出来たのか?というパターンや、来るとわかって、いかに防衛策を講じるかパターンなど、なにかしら人類の知恵や英知で困難を乗り越えるのがセオリー。ところがこの映画はまだその足元にも及んでいないのに完結してしまっているのです。一方、竜巻映像は迫力満点!ニュース映像でしか見たことのないあのすさまじさはCGとはいえ感動的。本物を再現したいという姿勢はプラスに考えたいです。そんなわけで、差し引き6点。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-10-31 18:24:02) |
100. やさしいライオン
おそらく観たのは幼稚園の頃かな。体育館で座りながら見てた記憶が。それにしても、切ない話です。小さいときのおとぎ話はなんだかんだ言いながら、教訓めいていたり、いましめ的だったりしますが、この作品は別。幸せな日々が悲劇で終わる展開は子供心としては大ショック。「泣いた赤鬼」「マッチ売りの少女」と肩を並べ、思い出しただけで泣きそうになりました。あの頃、家族が使った物をこっそり形見として自分の秘密の箱に保管していたなあ。私の自己形成に大きく影響をあたえた作品なので、満点とさせてください。 [試写会(吹替)] 10点(2005-10-31 17:15:47) |