1041. オペラハット
《ネタバレ》 ゲイリー・クーパー定番の善人が最後に勝つという監督定番の物語。悪い気はしませんが予想通りに事が進み盛り上がりに欠けるもどかしい作品。クライマックスの裁判での反撃シーンは癖をあげつらうだけで拍子抜けでしたが、中身は空っぽの恥知らずでも喋った者勝ちでグッと肚に収めて喋らなければ負けである事を痛烈に感じたところに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-07 17:02:29) |
1042. ジャックナイフ
《ネタバレ》 メグス、デイヴ、マーサ。生きる事にくたびれた三人が、帰還して最初にしたい事を語る圧巻のシーンを機に憑き物が落ちたよう表情となる。ベトナム帰還兵を扱った作品では地味ではあってもデ・ニーロ、エド・ハリス、キャシー・ベイカーの人物を表現する力を見せつけられた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-04 00:15:56) |
1043. 夜の人々(1948)
《ネタバレ》 ボウイとキーチ、「俺たちに明日はない」のバカップルとは違う瑞々しい二人の逃避行。結末は分かり切っているものの、それが仲間の裏切り(置手紙を勧める女の顔つきには吐き気がする)によるところがやるせない。監督処女作にして名作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-03 09:35:25) |
1044. ボー・ジェスト(1939)
冒頭から結末までが見事な展開で目が離せない。謎が明らかになる度に深い感慨に包まれる。秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-31 20:22:23) |
1045. ヴェラクルス
登場人物全てが企んでいる感が満載。悪に徹しきれないゲイリー・クーパーの引き立て役である迷い無き悪のバート・ランカスターが白い歯と同様に輝いておりました。肩のこらない西部劇を大いに楽しめました。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-12-31 01:19:48) |
1046. アルフィー(1966)
都合の良い女性と都合の良い関係のみを求めるアルフィー。シニカルで飄々とした言動の彼が時折見せる寂しさに胸が疼きます。シェリー・ウィンタースの妖艶さは女性陣の中では別格で流石の貫録。作品に溶け込んでいる音楽も素敵でした。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-23 23:16:55) |
1047. 愛人ジュリエット
《ネタバレ》 冒頭にネタバレあらすじが示されますが面白味を損ねないところが監督の力量でしょう。夢の世界と現実世界の「愛」の対比が鮮やかに描かれています。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-21 16:17:06) |
1048. ミッション:インポッシブル
初見。監督特有のスタイリッシュな映像美を堪能。白眉はCIA潜入シーンで無音の画面に息を詰めて魅入りました。黒幕が早くに判明してしまう展開と、やり過ぎの列車アクションが興醒め。ヴァネッサ・レッドグレーブは流石の存在感であり放たれる悪のオーラにワクワクしたのに絡みが足りないのが心底残念。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-12-17 04:30:21) |
1049. ラストエンペラー
ベルナルド・ベルトルッチ、ヴィットリオ・ストラーロが作り出す映像美に「暗殺の森」同様に見惚れる。後年のグレー一色の世界がうら寂しさを一層かきたてる。与えられた環境を受け入れるだけの主人公に心打たれるものが無く物語としては低調だった。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-15 03:13:02) |
1050. 最後の戦闘機(1936)
厚い友情で結ばれた男二人が心底愛している女が同じ人物だった。判明後の二人の苦悩が見応えあるも、女の浅はかさに辟易する。幼児のように「ジュテーム」を連呼するのに血圧が上がりまくる。悲恋をかきたてる幼い弟の存在感が秀逸。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-08 15:36:23) |
1051. ジュリア
《ネタバレ》 初見。度々挿入される回想シーンから二人の絆とそれぞれの人となりが窺える無駄なシーンが一切無い見事な展開。列車内のリリアンから感じる恐怖感が手に汗握るほどではなかったのが残念でしたが、カフェでの再会シーンは圧巻であり二人は愛し合う男女に見えました。今生の別れになるのは想定内でしたが、ジュリア亡き後にその存在までも抹殺されてしまう戦いの陰惨さが堪える。打ちひしがれるリリアンに寄り添うダシール・ハメット、羨ましい光景でした。リリアン・ヘルマン、フレッド・ジンネマン、ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイブ、気骨のある人達の気迫を感じる名作。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-20 12:26:07) |
1052. ドレッサー
《ネタバレ》 一夜のリア王公演の閉幕までが実に丹念に描かれている舞台劇。暴君サーと付き人ノーマンの果し合いは鬱陶しい限りだけれど見入ってしまう。劇場は破壊され団員は徴兵される戦時下にあって、正装して空襲警報が鳴っても動じず幕が上がるのを待っている観客達に満足して帰ってもらう、劇団の矜持を二人から感じ取る。ノーマンがサーを失い取り乱すラストは居たたまれない。演技上の果し合いではトム・コートネイに軍配を。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-11-06 10:00:06) |
1053. 将軍たちの夜
《ネタバレ》 クリストファー・プラマー目当ての鑑賞。「待ってました~、オトコマエ~」と座り直した途端に・・・流れ星のような存在でした。 1942年ナチスドイツ占領下のワルシャワで起きた娼婦猟奇惨殺事件。目撃者の証言をもとに絞られた容疑者はガプラー大将、タンツ中将、カーレンベルク少将。上官であっても犯罪は許さないという執念で捜査にあたる情報部少佐グラウ。1944年ヴィシー政権下のパリに舞台は移り異動してきた容疑者たちとグラウが顔を揃え第二の事件が起きる。1964年ハンブルグに舞台は移り第三の事件が起きる。 ワルシャワロケにおける実際の火炎放射器、戦車の砲弾を使用したど迫力の戦闘シーン、ハルトマン伍長とガプラー大将の娘の純愛、グラウとモラン警部の友情、ワルキューレ作戦。詰め込み過ぎのエピソードのせいで冗長になったのは惜しい。 謎解きの面白味は皆無でありながら、大量殺人が行われている戦時下に於いては一人の娼婦殺人の罪を問うグラウは変わり者だと錯覚する事を考えさせられる。 本作を支配するタンツ中将の空前絶後の怪異なキャラクターは特筆もので演ずるピーター・オトゥールに拍手喝采。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-03 21:09:48) |
1054. 尼僧物語
《ネタバレ》 1920年代のベルギーで女子は尼僧になり医学校に研修で派遣される以外医学を学べなかったそうで。ベルギー領コンゴでの医療活動の目的の手段であった尼僧生活。人間離れした厳しい戒律模様を冗長に感じる程丹念に描いている。シスタールークとしての日々の葛藤をフォルテュナティ医師が「君は人としての意思を持っている。修道院が望む尼僧にはなれない」と端的に指摘する。二人のごく淡い思いが忘れ難い。地下活動に身を投じる為還俗するラストシーンの後ろ姿。監督のカトリックへの批判を感じました。キャピキャピしていないヘップバーンを堪能出来た良作。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-30 00:41:30) |
1055. ヒトラー 最期の12日間
《ネタバレ》 自国の負の歴史をドイツ人らしい実直さで表した作品。第一次大戦敗戦後国民の為にと台頭し国民の支持を受けたヒトラーが、「彼らが死んでも同情はしない」「彼らが私を選んだのだから自業自得なのだ」と平然としているのが地下要塞の上で繰り広げられている壮絶な市街戦を一層虚しいものにしている。 こんな筈ではなかった、と。 秘書本人が最後に語る「ヒトラーがあのような怪物だとは知らなかった・・・」云々にそんな筈は無いと言いたい。ヒムラー、ゲッペルス以外の幹部について知識があれば観方も変わるのだろうと思った。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-10-28 20:23:54) |
1056. 愛する人
自分の娘と息子に常々「子供はコウノトリが運んでくるのと違う、軽はずみなことをしたらアカン、もし授かって産むと決めたら成人するまで責任持って育てなアカン、『ダーウィンが来た』に出てくる動物たちも精いっぱい子育てしてるやろ」と話しています。カレン、エリザベス、ルーシーの物語が並行して示され、最後に繋がる脚本の見事さに唸らされる。カレンそのものではないかと感じさせられるアネット・ベニングの演技力が絶品。どういう特殊メークなのか不思議でしようがなかったナオミ・ワッツのおなかが正真正銘の妊婦さんだった事に仰天。添え物的な男性陣の描かれ方が物足りないものの見応えある良作。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-10-28 11:07:12) |
1057. 日曜日には鼠を殺せ
《ネタバレ》 憎しみ合うマヌエルと署長の物語に割って入るフランシスコ神父の存在が本作を奥深いものにしています。 「神の法と署長の法、どちらに従うのか」 他作品でも見られた問いかけは監督の強い思いなのでしょう。 また、スペイン内乱で神父(当時10歳)の父を殺害したのは人民側じゃないと言うマヌエルに対する「何の違いが? 命を奪う権利があるとでも?」が返す言葉がないマヌエル同様胸に突き刺さる。 マヌエルの覚悟に、無聊をかこって生き続けるより曾ての闘士として母と一緒に眠りたい思いを見ました。 「ジャッカルの日」が思い浮かんだ敵地の対決模様で迷った末署長よりカルロスを狙撃したのは意外であり、裏切者は許さないという監督の強い思いがここにも表れており圧倒されます。 マヌエルの最期に浮かんだのが母でなくパコであったのは、復讐を託すのではなく、憎しみに縛られず生きて欲しいという願いなのでしょう。 感慨深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-23 13:20:16) |
1058. クルーシブル
《ネタバレ》 後味の悪さが際立つ作品。とんずらする災厄の張本人アビゲイルと、ご都合主義の正義をふりかざす裁判長に腸が煮えくり返る。私の憎悪をかきたてる二人の熱演が印象的。人が人を正しく裁く事は所詮は不可能なのだと思わされる作品。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-10-17 23:23:15) |
1059. シャイン
《ネタバレ》 幼少時から父親に勝つことを義務付けられ、鬼気迫る名演奏を披露した直後に精神が崩壊してしまった天才ピアニスト。父親からの抑圧はさぞ苦しかった事でしょう。回復後の演奏で喝采を浴びて流す嬉し涙が胸に迫ります。長い暗闇の中でも光を浴びれる日が訪れる事を信じられる作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-30 23:50:07) |
1060. ザ・ワイルド
《ネタバレ》 クマの腕(脚か)の下で抱かれるように横たわるチャールズにどうやって撮影したのだろうかという疑問にエンドロールが答えてくれました。バートくんグッジョブ。うろたえることなく知識と知恵と勇気でもって対処するチャールズの姿に、億万長者の事業家は譲り受けたのではなく自ら勝ち取った地位なのだと思わされます。自分を殺そうとした者を助けるのは挑戦する価値があるという考えが印象的。この世は挑戦の連続なのでしょう。このような人物はアンソニー・ホプキンスのドンピシャのはまり役。大自然の中に一際美しく映えるブルーグレイの瞳に、数あるツッコミどころも封殺されました。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-21 16:11:25)(良:1票) |