1221. イブラヒムおじさんとコーランの花たち
モモの父親とイブラヒムおじさんから、思春期の娘と息子を持つ者として、親としての自身を省みて、足りない所を気づかされる作品でした。「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」と常々思っており、苦しさの先に楽しさがあるとの考えで接してきました。今日からは、それに「幸せだから笑うのではなく笑うと幸せになれる」をプラスしていく事を、軽快な音楽と淡々とした展開の本作のように肩肘張らずサラリと実行していきたいです。ところで、私はあの女優がアジャーニとは気づきませんでした。出演に感謝です。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-31 11:11:10) |
1222. 華麗なる恋の舞台で
ジェレミー・アイアンズ目当てに鑑賞しました。私のふしだらな期待が空振りに終わった事を差し引いても、観て良かったと言える作品でした。舐めるな! ジュリアの煮えたぎる闘争心と自尊心が上品且つコミカルに描かれており後味が爽やかです。また、彼女は度々「私は友達が少ないの」と嘆きますが、チャールズ卿と付き人?の女性という魅力溢れる人物を見るにつけ、友達は少数精鋭で良いのだと励まされます。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-26 20:40:41) |
1223. 緑色の髪の少年
随所に表れるストレートであり過ぎる程の反戦メッセージは正論なれど感じ入るものが少なかったですが、おじいちゃんの言うところの幸福の緑色がもたらす少年の苦悩は見応えがありました。子供達が見せる異端視は未熟さ故ですが、それを諌めるべき大人達の異端者を屈服させようとする心裡が不気味であり、このような状況下で意思を貫く事が至難であるのは止むを得ないとは言え観ていて悔しさが募ります。現実を受け入れた少年の行く末に不安と希望を想像させられるラストシーンと陰惨な作品になる事を救ってくれたおじいちゃんの歌声が印象的でした。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-28 23:29:16) |
1224. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
シャワールームでのボンドの一連の行為は、セルフで温めなくてはならぬ身にとっては胸が締め付けられるものでした。このシーンをはじめ、女性に任務に対する駆け出しの感が全編に亘って表れています。他の作品での洗練されたボンドが本作が示す素地の上に年期を重ねたものなのだという事を考えると、ダニエル・クレイグ演ずるボンドは味わい深いものがありました。見応えのある展開でしたが、陰湿な悪党ぶりが味わい深かったル・シッフルの最期に捻りを効かせてもらいたかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-06-03 01:28:54) |
1225. 恋におちて
共に既婚者である市井の男女が一緒にはなれないが愛し合う。ほんのひと時の幸福感を味わう事。胸に飛び込んで思い切り泣きたいと願う時に限って会えない辛さを腹に飲み込む事。罪と罰の部分が、言葉に表れない部分のメリル・ストリープとデ・ニーロの演技から感じられます。エキセントリックでないデ・ニーロもなかなか良いです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-10 09:11:36) |
1226. 昭和残侠伝
昭和残侠伝シリーズは小学生の頃、テレビで父と一緒によく観ました。登場人物とストーリーの細部は忘れましたが「親にもらった大事な肌を・・・」の歌をバックに健さんが単身敵地に向う道すがら池部良と合流し並んで歩くシーンは歌詞共々覚えており、毎度毎度池部良のカッコよさにメロメロになったものです。何十年か振りかの鑑賞でしたが、前奏が流れただけで鳥肌が立ちました。本作ではお馴染みの二人以上に江原真二郎に魅了されました。優男が見せる滅びの美学に、不覚にも涙ぐみそうになってしまった私は、いい歳になってもシビアに物事を考えられない甘ちゃんなのだと感じました。 [DVD(邦画)] 7点(2006-12-02 12:52:00) |
1227. 氷点
『汝の敵を愛せよ』は人を責めない事に通じる事で、その困難さと尊さを辻口一家から感じます。川べりの陽子の姿に「そんなに何回も飲んだらあかん、死んでしもたらあかんがな」という思いと、太陽の如き彼女の心を凍てつかせた、啓造の偽善者振りと「女は子宮で物を考える」という妄言も止む無しの夏江の浅はかさに、沸点の低い自分は腸が煮え繰り返りました。葛藤の末彼女を兄として愛した徹のためにも死なないで欲しいと祈り続けました。本作のテーマである『原罪』という考え方には納得出来ません。罪は犯した時に責任を取り背負うものであって、生まれた事が罪ではないと考えます。原作を読んでみることにします。 [DVD(邦画)] 7点(2006-11-26 00:53:59) |
1228. 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼
《ネタバレ》 爆弾魔との対決でテンポ良く進む中盤とじっくりと見せる終盤、めりはりが利いていて観応えがありました。私は赤を切ってしまうと思っていましたので、蘭ちゃんの台詞には唸らされ、年甲斐もなくグッときてしまいました。クサくて大いに結構、大切な絆は切られてしまうのは止む無くとも自らが切ってはいけないのです。 [映画館(邦画)] 7点(2006-10-04 00:38:22) |
1229. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 子供の付き添いで鑑賞しました。細かなアラの部分を差し引いても良く出来た作品で嬉しい誤算でした。未曾有の災害により日本の国土が消滅してゆく過程でどれ程の恐ろしさ、悲しさが一人一人にあったかを細かに描かなくとも、廃墟の列島、日本を後にする人々の姿が想像させてくれます。日本国政府や国際社会からの視点を深く掘り下げていない事は、かえって色々考えさせてくれるので本作では正解だと思います。自然の力にひれ伏さなかった結末にも満足できました。 [映画館(邦画)] 7点(2006-08-03 01:38:06) |
1230. サイドウェイ
後戻りのきかない年齢故の焦燥感、自己評価の低さを水と油のようなマイルスとジャック双方が抱いています。真っ直ぐな道を颯爽と走らなくても、寄り道、回り道しながら曲がりくねりながら歩いて行こうとする事に、もうこの歳からでは遅すぎるという事はないと言う事を、ユーモア溢れる珍道中の中にほんのりと感じさせてくれます。ラストシーンは好きですね。マヤと結ばれる、結ばれないという結果以上にドアをノックした事が素晴らしいのですから。 [DVD(字幕)] 7点(2006-07-18 01:32:23) |
1231. 暗くなるまで待って
《ネタバレ》 恋愛物だと思っていたのにサスペンス物であった事に驚き、鑑賞後「面白かった、観てよかった」と満足の出来た作品でした。限られた舞台設定での巧妙に伏線が張られた脚本と、スージーの抱いた疑念が確信に変わって圧倒的不利の状況から活路を開いてゆく、めりはりの効いた展開に知らぬ間に物語にぐいぐい引き込まれていきます。また、淡い感情を抱きながらスージーと対決する甘ちゃんな悪党マイクと、あとに続く、スージーと観る者に「お楽しみはこれからなんだよ」とばかりにサディスティックに迫る正真正銘の悪党ロートの二人は刺身と刺身のツマの様でうまいキャラクター設定です。このクライマックスは見応え十二分の一進一退の攻防でしたが、惜しむらくはロートが致命傷を負うシーンです。もう一捻り効かせて欲しかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-17 01:36:48)(良:2票) |
1232. ポゼッション(1981)
ポーランド人監督によるベルリンが舞台であろう1980年に製作された本作。尋常ならざる情念をぶつけ合う男女は、変革していこうとする国家の体制であるように感じました。私もアンナと保母さんが一人二役である事になかなか気づきませんでした。何時もの「恋に破れた果て」ではないアジャーニの完全に常軌を逸した様の凄まじさ。彼女の役者魂にただただ脱帽です。不明な点が多々ありましたので、また観てみたい作品です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-06-11 15:54:31) |
1233. 蘇える金狼(1979)
《ネタバレ》 いろいろな点で懐かしさを感じさせてくれた作品です。学生時代、大藪晴彦にのめり込み、主人公達のような男性に憧れた一時期があり、その中でも朝倉哲也は今もって印象に残るキャラクターです。映画は初めて観ましたが、キャスティングの絶妙さに唸らされました。ラストは原作通りであって欲しかったですが、松田優作の強烈な最期もまた良しと言ったところです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-12 23:58:14) |
1234. めぐり逢い(1957)
《ネタバレ》 前半のコミカルさたっぷりの浮世離れした恋のときめきと、後半の生活してゆく厳しさの中における愛情の深さ。対比が鮮やかです。彼に負担をかけたくないという一念は、愛する人に同情される事が彼女にとっての負担だったように思います。ラストの女々しさ漂う彼に対する、彼女の愛するが故に慰めを拒む姿は神々しいまでの美しさです。私の憧れの女性の一人です。安堵感で体の力が抜けてしまったエンディングでした。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-01 22:21:58) |
1235. 酔拳2
味のある脇役の面々が忘れられない作品。とりわけジャッキー作品の敵役ではピカイチのボスの面構え、いでたち、足さばきは何度見ても見惚れます。まずまず練れていたストーリー。最後の最後でプッツリ終わるのが何とも惜しまれるところです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-30 00:39:45) |
1236. ALWAYS 三丁目の夕日
懐かしい情景と「カイ・・カン」の薬師丸ひろ子の母親ぶりに、時の流れを感じました。観終わって、現代の暮らしの豊かさと、人の心の豊かさが比例していない事を考えさせられました。それは、便利で豊かな事を当たり前ととらえ感謝の気持ちが希薄になっているからではないでしょうか。自分が9歳の時、母にプレゼントした掃除機を今も母は使っています。自分が両親から感じた、生きている事に感謝する、自然の恵みに感謝する、家族に感謝する、ご近所に感謝する、道具に感謝する等々感謝する気持ちを思い出し、我が子へ伝える事が自分の努めであると自戒をこめて思いました。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-18 22:45:41)(良:1票) |
1237. マスク(1994)
初めて観ました。マスクのスタンリーのハチャメチャさは、CGを駆使したとてつもないものですが、素顔のスタンリーの対比という点で決して度は過ぎておらず、正義のヒーローでもないので笑わされ通しでした。こういうキャラの受け手が重要で、相棒に犬のマイロをもってきたのは旨いというか反則です。大爆笑させられました。このコンビには及びませんが、とぼけた味の警部と部下の正味の人間キャラにも笑わされました。お話はスタンリーのティナへの想いから悪党たちの対決へという展開になりますが、ボスキャラが小悪党の割にワル知恵もなくセコさもなく変身しても対比の妙が無くといった具合で、受け手として弱かった所が残念でした。ラストはハッピーだけど面白くないという予想された結末に落ち着くのは止む無しかと思った途端のオチには満足できました。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-12 23:43:55) |
1238. ロープ
映画にとって厳しい制約を自ら課した中で、これ程の作品に仕上げる監督の力量はプロ中のプロだと感じます。フィリップが何時崩れるか、観ている方はハラハラするのですが、もしかしたら、ブランドンはそんなフィリップの様子を楽しんでいたのかもしれないですね。露見するシーンがもう一捻りきいてくれたらと思うのは贅沢でしょうか。見応え充分の作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-05 23:31:44) |
1239. 燃えよドラゴン
子供心に、肉体美の美しさと一撃必殺の凄まじさに唖然とし、ストイックな姿に惚れ惚れしたものです。30年以上経って、ストーリーを「考えず」に割れた腹筋と「アチャ、アチャ、ウォァチャー!!!」を「感じて」観ますと、今も色褪せない作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-02 22:10:01) |
1240. 女と男の名誉
《ネタバレ》 銃弾は外れナイフは喉を貫くシーンのみ記憶していた作品で20年振りに観ました。惚れたアイリーンが同業者だったという事が、チャーリーにとって決着をつけねばならない不運であり、かつ決着をつける決断ができた幸運だったようです。復讐の泥仕合ばかりが強調されがちなマフィア物の中では異色である粋なストーリーで、色気の漂うニコルソンとターナーの名演と相まって楽しい作品でした。当時はニコルソンにゾッコンでしたので、ラストはホッとしたものですが、今観てみますと、銃弾がかすりもしていないのは大いに不満です♪ [DVD(字幕)] 7点(2005-11-15 22:52:47) |