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王の七つの森さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 188
性別 男性
自己紹介 ・・・・最初に投稿してから4年近くたとうとしています。
これからも、細々とでも投稿してゆきたいと思っています。

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1.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
イーストウッドの作品はこれまであまり好きではなかったけど、この作品は、ほんとうに凄い作品だと思いました。・・・・主要なテーマは、人生を終えるに際しての赦しのこと、遺すもの。・・・・赦し、贖罪の問題は、非キリスト教徒である私たちにはわかりにくいのですが、イーストウッドは、朝鮮戦争での自分の行為について、どうしたら赦され解放されるのかをずっと悩んできているわけです。彼が問うているのは、教会で制度を通じて与えられる形式的な赦しではなく、真の赦し。・・・・それは最後に果たされました。このシーンは、十字架上のイエスとイーストウッドが重なり合います。・・・・・遺したのはグラントリノ。そしてそれは家族の枠を越え、自分の意思を継ぎうるものに渡されます。・・・・・・それにしても指で拳銃を模すシーンが何度も登場します。イーストウッドが何本も撮ってきた西部劇の数々のシーンを想起させると同時に、この映画の最後のシーンの伏線にもなっています。なんという重層性でしょうか。・・・・・あと何十年か経過したら、ミスティックリバーの方が高い評価を受けているかもしれませんが、イーストウッドの作品を同時代のものとして見てきた私たちにとっては、この作品こそ、彼の最高傑作だろうと思えのるです。
[DVD(字幕)] 10点(2010-05-26 21:56:26)
2.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
子どもが死ぬまでは、非常に退屈な映画です。そこまで30分、危うく途中放棄するところでした。・・・・この映画、男性の見る目と、女性の感想とでは、もしかしたら、かなり違うのかもしれない。というのも木村多江の感情の動きが、確かに、こういうのはあるだろうけど、自然なものには思えないから。・・・・・ということで、リリーフランキーにしてみると、仕事は最低、自分の態度も最低、奥さんも最低、奥さんの母親も薬事法違反の行為で金を稼いで最低、奥さんの兄も殆どヤクザで最低、兄の嫁も最低、法廷画家の仕事も最低の内容、そしてこうした犯罪者も最低なら、それを生み出す社会も最低。・・・こんな最低の周囲に対して、どう接したらよいのだろう。木村多江は、最低の部下に対して、結局自分が破壊され、仕事を辞めた。フランキーの父は、自殺した。・・・・この映画、そうした態度を「逃げる」と表現し、逃げてはならない、と説く。最低の周囲環境から逃げることなく、無理に戦わず、適切な関係を取って生きて行けば、木村多江の失踪した親父のように、最後にこの上のない微笑みを保つことができるのでしょう。拒否するのでもなく、かといって、全面的に受け入れるのでもなく、最低な周囲の存在を承認するけど、自分はそれに染まるわけではない。・・・・それにしても、こんな大人の日本映画があり得たのだ、とびっくりしました。
[DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 23:32:19)(良:2票)
3.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
冒頭、土合の駅の484段の階段を、堤真一が、一歩、一歩、ゆっくりと登るわけですが、これは彼の60余年の人生の歩みを象徴するだけでなく、事故で死んだ520余人の一つ一つの命と重ね合わせているわけです。そこに静かにピアノのテーマ曲が流れて、なんだか、御巣鷹の尾根の慰霊碑にまずは手を合わせてから映画が始まる印象でした。・・・・・原作などは未読ですが、映画でのテーマは、「決断」、つまり100%の確証が得られないスクープを載せるのか、断念するのかの決断に設定されているように思います。もし掲載を決断していれば、これは記者たちのスカッとした英雄譚になるわけですが、堤が載せないことを決断するために、本当の勇気とは何か、というような、なんか渋い話しになります。ただ、最後のテロップが存在することで、堤の決断も、一つのあり得る決断だったのだなという臨場感が伝わります。・・・・・・ニュージーランドのシーンは余計なシーンには見えるけど、人間、最後は仕事を離れて一個人として生きなければならないのだから、納得できないことはありません。・・・・とにかく、新聞社の中の、人と人とのぶつかり合い、そしてそれぞれの言い分が説得的で、非常に面白い。原田監督という人は、娯楽性を保ちつつ、考えさせる映画を作るのが上手です。
[DVD(邦画)] 10点(2009-03-11 22:43:44)
4.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
一見したところ「善き人のためのソナタ」という題名の方がぴったりと来る印象なのに、原題はどうして「他者の人生」なのだろう。それを少し考えてみると、この映画をより深く味わうことができるように思います。・・・・・大尉はどうして変わったのか。・・・大臣とクリスタとの関係を、呼び鈴を操作して故意にドライマンに知らせたのは大尉でした。大尉は、ドライマンとクリスタとの関係が破壊され、ラズロ作戦の目的がより容易に達成されると判断したからでしょう。しかし、二人の愛は逆に深まってしまう。[・・この二人の孤独な魂がふれあうようなシーンは実に素晴らしい]・・大尉は自分と違う世界に突然に遭遇して混乱する。ベッドに手を当て、その世界が何であったのかを理解しようとする。・・・・そして少なくとも、その愛の行方を見届けたいという気持ちに強くひかれてしまう。・・・・酒場でクリスタは大尉にいいます。「guter mensch善い人ね」、・・・・他者の人生に接し、それを赦し、理解しようとすること、そしてそれが自分を変えることになるのなら、甘んじてそれを受けること、それが善きことの本質なのだ、と映画は語っていると思いました。つまり、旧東ドイツのシュタージを直接のテーマとしていながら、この映画はそれを越えた普遍的な事柄に迫っています。・・・・・・それにしても映像の美しいこと。また例えば大尉の報告書のインクリボンの跡など、細かな映像上の仕掛けなど、隅々まで素晴らしくできあがっていると感嘆しました。
[DVD(字幕)] 10点(2008-01-29 12:28:02)(良:3票)
5.  バベル 《ネタバレ》 
テーマは、人間の愚かさ、なのでしょう。そしてその愚かさを、悲しく抱きしめつつ、人は家族の絆を確かめることになる。役所は娘の手を握り、ベビーシッターは息子と抱き合う。・・・・・[モロッコ]//バスに向けて打ったりしなければ・・・///兄弟は言い争い、関係のない姉のことも暴露してしまう///弟は警官に向けて発砲などしなければ兄が死ぬことなどなかった。[ブラピ夫婦]母は、ずっと子どもの世話を殆どベビーシッター任せ、そうして夫婦は仲違いしている・・・観光客とは無意味なつかみ合い、その結果、バスは発車。[ベビーシッターと親戚の男]息子の披露宴で、昔の恋人と、、、//あわてて帰ろうとして、酒気帯びで国境越え//検問所を強行に突破//ライトを消してじっとしていれば良いものを、ライトをつけて逃走をはかり、あげくは砂漠の中に女子どもを置き去り//置き去りにされてじっとしていればよいものを、歩きまくって体力を消耗、あげくは子どもを置き去り・・・・最後は不法入国で強制送還されて米国での全てを失う・・・・・[役所]そして発端のライフルは、役所が善意で送ったものではなく、妻の自殺の道具を自分で処分できずに放棄したものであった。・・・・・全ての人が善意なのだけど、あまりに愚か。そしてバベルの塔の崩壊の後、人の言葉は多様になっても、その愚かさは地球をまわって連鎖している。[菊地]彼女は現代文明でのdiscommunicationの象徴なのでしょう。動物化が進むポストモダンでは、人は理性的な言葉で意思の疎通を果たせず、体でコミュニケーションするしかないわけです。・・・・・・・というようなことが美しい映像と、巧みな展開、映像とマッチした音楽によって紡がれていました。最後に家族の絆を持ってきて、息子たちへの言葉を記すところが、チョー気にくわないところですが、素晴らしい映画でした。
[DVD(字幕)] 10点(2007-12-12 09:50:43)(良:4票)
6.  西部戦線異状なし(1930)
塹壕戦の様子、病院の状況、銃後の老人たちの好戦的な態度、一時の青年たちの熱狂、などなど第一次大戦の様子を実に目配り良く描き出しています。そして自宅で蝶の標本を伏線として使い、最後のシーンを説得力あるものにしています。反戦の映画としては金字塔といえるものと思いました。・・・・・・・・ただ、ドイツでは徴兵制が敷かれていた筈で、大量動員には予備役を使うだけであり、青年たちが熱狂的に徴募に応じるというのはイギリスの話しではないかと思いましたし、ドイツの軍隊では士官の大半は貴族であり、軍隊全体に身分制の雰囲気が浸透していたはずですから、郵便屋の話しも少し変だなぁと思いました。
[DVD(字幕)] 10点(2007-09-23 11:28:22)
7.  ソドムの市(1975) 《ネタバレ》 
・・・・・・なんていうか、これは凄いです。おしっこは飲むは、うんこ食べるは、舌をちょん切るは、目の玉えぐり出すは・・・・・・正視に耐えない映像です。畜人ヤプーの世界そのものです。・・・・よくこんな映画が存在する、という驚きの念がまずわきます。21世紀の現代だと、法に触れずにこんな映画を作ることはできないでしょう。・・・・・いやほんと、役者さん達も、よくこんな映画に出演したものです。本当にご苦労さんです。・・・・・・・とはいえ、これほどまでに強い「告発」の映画は他にはないかもしれません。・・・・・それはファシズムに対する告発というのではありません。(ファシズムはたんなる表面的な題材にすぎないでしょう)・・・人間の欲望に対する告発です。・・・・人間の性欲を冷徹に描き告発する、パゾリーニ自身の中にある性癖を告発する、この映画を楽しく見る人を、あんたも結局同じだと告発する、・・・・そして最後には、神まで告発されています。・・・・ファシズムの暴虐に対して神は何も救いの手をさしのべなかった。それどころか遠くで神はそれを楽しんで見ていたのではないか、という告発です。・・・・・・・自分自身にまで向けた、こんな激しい告発の映画を作ったら、作者はもはや生きていけないでしょう。・・・・最後の方でピアノ弾きが投身自殺をしますが、あれはパゾリーニ自身ではないかと思えました。
[DVD(字幕)] 10点(2007-07-14 10:22:55)(良:1票)
8.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
イーストウッドの映画が面白いと思えるかどうかは、結局、そのテーマについての価値判断を彼と共有できるかどうかで極端に変わってしまうようです。・・・・私は、「ミスティック~」も「ミリオンダラー~」も嫌いでした。家族や人生などについての彼のカウボーイ的考えに共感できなかったため、イーストウッド流のドラマトゥルギーで悲劇仕立てに語られてしまうと、嫌悪感が刺激されてしまうからです。・・・・・・硫黄島二作品では、国家や戦争についての、彼の、西部カウボーイ的反国家主義に基づく考え方に共感できる部分があります。そうなると、彼の悲劇的ドラマトゥルギーは、非常に素晴らしいものに感じられます。・・・・だんだんと洞窟の中の兵士達にシンパサイズし始め、戦争の息苦しさ、恐怖が実感できるようです。・・・・獅童(=悪)を、生き残らせるのは、善なるもの(二宮)だけが生き残るのでは、不合理なこの世の姿とかけ離れてしまうからでしょう。・・・・・渡辺謙が、サムライとして死ぬ特権も剥奪される最後も劇的ですね。・・・・ただ謙さんの演技は最近どうも平板に感じられてしまいます。本当に理知的な軍人だったら、最後に万歳アタックなんかせず、部下には投降を促すのではないかなぁ。栗林さんの駄目な部分も、ジョニクロ飲んでるだけじゃなくて、表情、雰囲気で出して貰わないと、と思うのでした。・・・・・とはいえ、この二作品が戦争映画の不朽の名作になるだろうことは疑いを得ないと思いました。
[DVD(邦画)] 10点(2007-06-16 11:50:57)
9.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 《ネタバレ》 
貧乏でテレビがなかったので、テレビは未見-----(嘘)-----とはいえ、Ⅲの後半は、硬直して画面に見入ってしまいました。----Ⅰ、Ⅱはそれ自体としてはいまいちでしたが、Ⅰ、ⅡがないとⅢが生きてこないのも確かでしょう----ガンダムの一つの特徴は、ランバ・ラル、マチルダ、スレッガー、ウッディーなど、味のある登場人物が、次々と戦死してしまうところかもしれません。そして最後には、ホワイトベース、ガンダムまで破壊されてしまう。----(破壊され横たわっているガンダムの姿を上から見下ろすところとか、言葉には表現できない感情がわき上がります)-----そして、最後にアムロは、仲間を受け入れることで、仲間からも承認され、融和し、涙する。----宇宙空間に浮きつつ、ジワッと溢れてくる涙は、確かに、アニメでしか描くことができないものだと思いました。
[DVD(邦画)] 10点(2007-04-22 14:13:31)
10.  花とアリス〈劇場版〉 《ネタバレ》 
最初の30分ほどは、これまでの岩井作品イメージの延長でみていたこともあって、めちゃくちゃ気持ち悪い映画でした。・・・・・カメラのなめるような視線に、率直に言って、なんだぁ、このエロじじいぃ、と思いました。・・・・・過去の思い出をねつ造してゆくという、中盤から、そこそこ平静にみられるようになります。・・・・・・海辺でのハートのエースの話しのあたりから、なかなかよくなります。自分の大事なものを、認めてもらいたい人に長い間見つけてもらえない、という気持ちが、映像と音楽でより新鮮に感じられたからです。・・・・・そしてなんといっても蒼井優のバレエシーンです。これまでバレエをみても美しいと思ったことは正直ありませんでしたが、これは美しい。ほんとに素晴らしい。・・・・それは、アリスがどんな暮らしをしてきたか、どんな家族環境にあるのか、オーディションでどれだけ落とされてきたか、というのを見せられているからでしょう。・・・・・・・だから、どんな子でも美しく輝ける時があるのだ、という思いが、蒼井優のバレエを見ていて圧倒的に伝わってくるのです。・・・・・・リリイシュシュとこの映画との比較は非常に興味深い事柄です。おそらくリリィシュシュの方が、詰まっているものは多いし、個々の現実をよく反映しているのでしょう。しかし、花とアリスの方が、個人的には遙かに深く心を打つのではないだろうか、と思います。なぜだろう。
[DVD(邦画)] 10点(2007-01-28 11:05:28)
11.  ALWAYS 三丁目の夕日 《ネタバレ》 
全体として、すっきりしない映画だし、暗い映画だし、言葉に表現するのが難しい映画でした。・・・・・・・もともと西岸氏の漫画というのは、死の世界と隣り合わせの世界です。西岸という名前自体、西方の極楽浄土を連想させます。・・・・・・この映画は、例えば鈴木オートの社長(堤真一)のキャラなど、原作とは随分と違うところがありますが、そういう架空の世界、死後の世界という雰囲気は、確実に西岸氏の世界を再現できているように思いました。・・・・・・特に印象に残ったのは、たくま先生の家族のシーン。本当に焼き鳥が美味しそうで、団らんが幸せそうでした。家族の幸福を見事に表現していました。しかし、それは決して取り戻すことができない夢でした。・・・・・・それと小雪さんに送られた見えない指輪のシーンはいいですね。それとストリップ小屋の屋上で見えない指輪を見るシーンも。穏やかな夕日に包まれ、見えない指輪を見つめる小雪さんは、現実の世界から逃避し、死に一歩近づいています。・・・・・・この三丁目の夕日が描いているのは、決して実在せず、また決して取り戻すことができない、世界です。夢幻としてのみ存在する世界であり、手を触れれば崩れていってしまうような世界であり、ある意味では、雨月物語のようにこの世のものではないものたちが作りあげている世界です。・・・・後ろ向きの、恐ろしい映画です。・・・・・それはそうと全体を通じて子役さんたちがいいですね。最後の方のシーンなど、吉岡君は完全に淳之介ちゃんに負けていました。・・・・それと、全体としてシリアスな部分がやや過剰で、芥川を茶川、吉行を古行にするような、なんともいえないばかばかしさに対する表現がちょっと弱くなっているかもしれません。
[DVD(邦画)] 10点(2006-09-13 01:21:19)(良:1票)
12.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
子どもたちが殺し合う映画を、映像芸術のためという美名のもとにつくって良いのか、という問題は確かにあります。それは許されない、という立場に立つ場合は、この映画は、評価する云々の前に犯罪です。・・・・・・ただ、僕は、とりあえず、この映画は、犯罪までには至っておらず、映画として通用する、と考えることにします。というのも、この映画では性描写が殆ど排除されているからです。本当にこういう状況になったら、極端な性行動に走る若者がでてくる筈で、それがこの映画で殆ど排除されているということは製作者が、この状況設定の仮想性を強く意識しているとことを示唆しているでしょう。・・・・・・この映画が非常に素晴らしいと思ったのは、次の三点。・・・・・・1. 僕たちが経験したことのない、友敵という関係のあり方を見事に描いたこと。友敵というのは、C・シュミットの表現であり、政治的なものの本質であり、戦争の闘争状況の中で出現するもの。・・・・こういう状況は、平穏な生活を送る僕たちの日常からは、唾棄すべきものですが、それを敢えて直視する勇気を持たねば、その状況に至る危険性を回避することはできないと思います。・・・・・2. そうした友敵の闘争状況が、聖なる空間との関わりを持っていることを意識した映像となっていること。・・・・ここには日常の生活からは想像することができない、「世界そのもの」を感じさせてくれるものがあります。日本人が昔から、コントロールできない「カミ」として恐れてきたような世界です。・・だから僕たちは、「世界そのもの」「聖なるもの」は映画の世界くらいにしてに本当に近づこうとしてはならないのだ。でないと麻原みたくなってしまうのだ。・・・・・・3. 山本太郎が最後に放つ二発の銃声、、、、これはHANABIのラストではないですか。深作監督は、HANABIのラストは、空砲だったと、敢えて、解釈したに違いない。生に対しての何という肯定。・・・ここのあたりから、実は僕は、もう感動の涙を押しとどめることはできなかった。・・・・・死を意識させられてはじめて人間は生を強く求めるようになる。深作監督は、死を前にほぼ最後となる自分の映画を撮り、自分の死を晒すことで、見る人々に、より強く生を求めさせようとしたのだ、と僕は思う。
[DVD(邦画)] 10点(2006-05-07 14:43:22)(良:2票)
13.  ツィゴイネルワイゼン
僕たちが生きているこの世界は、隅から隅まで合理的に閉じてできているわけではない。だから、時々、合理的には説明できない、時間と空間を僕たちは体験することになる。そして、僕たちの中には、そうした体験が忘れてしまいたいほど嫌いな人と、逆にそこに言葉では表現できない安らぎを感じる人がいる。、、、、いうまでもなく、前者のタイプの人はこの映画は嫌いなはずであり、後者の人は大好きだと思う。、、、、、ただ安らぎを感じる人も、日常の合理的な世界に戻って来ることができるという前提でそう感じているにすぎない。すみからすみまで非合理的だったら、とっても耐えきれないに違いない。そういう点で、ツィゴイネルワイゼンは陽炎座と好対照をなしていると僕は思う。陽炎座まで行くと、合理的な世界の破壊は一線を越えていて、見ていて不安感が増してしまう。一方、ツィゴイネルの場合は、叙情的な音楽や、鎌倉の情景やらが命綱になって、こっちの世界に戻ってこれるという安心感がある。、、、、、あと、陽炎座の松田優作は、どう演じていいのか最後までしっくり来ていないように思える。そりゃ、普通の映画とは全然違うから、彼のそれまでの俳優の経験は全然通用しないわけだ。逆に、素人の藤田敏八さんの木訥でへたくそな演技の方が、この非合理的な世界の中で、どうしていいのかわからない雰囲気が出ていて、ぴったりして、しっくりくる。、、、、この映画を見てからもう随分とたつのに、ふとあのカニの「ちゃっ、ちゃっ、ちゃちゃちゃ」という音が蘇ってくる。
[DVD(邦画)] 10点(2006-02-28 14:11:23)(良:1票)
14.  勝手にしやがれ 《ネタバレ》 
ああ、これを10代の後半にみていれば、もっと口説き上手になれたでしょう。しかし実際に私がそのころに見たフランス映画といえば「リラの門」とかで、その中のジュジュに大人の男なんかを見てしまったのです。、、、、、、それはそうとして、ゴダールが意図したように私たちには見えないのは当然のことです。たとえば、さかんにパリの街の風景が描かれていますが、ゴダールにとってそうした風景は日常であり、ある意味では単調な退屈さ、平板さを表現していたかもしれませんが、私たち異国の人間にはそのようには感じられるはずもありません。、、、、またベルモンドが牛乳を飲むシーンも、私たちはショーケンの牛乳のイメージを通して見てしまうとしたら、それは明らかにゴダールの目線ではないでしょう。、、、、、再び強調すれば、私たちは決してゴダールの視点からこの映画を見ることはできないはずです。私たちは、私たちの視点からこの映画を見て、評価を下すしかありません。、、、、、、、というとき、私は、次の点で感動しました。1. この時代のフランスの時代の記録として。2. ヨーロッパの若者たちの伝統や因襲に対しての抵抗の記録として、3. 伝統を打破しようという生き生きとした映像として。4. もしかしてフランス人は、いつもセックスのことしか考えていないのではないか、という驚きとして。、、、、、、、残った疑問は、唇を指でぬぐうのは何のサインなのだろう、ということ。そして、前編言葉で満ちていましたが、実は、この映画について言葉で語ることは非常に難しいと感じました。映像は映像を通じてしか語れないのだということを実感させてくれた作品としても私はこの作品を高く評価したいと思います。
[DVD(字幕)] 10点(2006-02-15 21:53:16)
15.  歌行燈(1943)
今は殆ど失われてしまった日本の伝統的な文化を伝えてくれる、あまりに貴重な映像に、思わず姿勢を正して見ました。(といっても、心の中だけですが、、、えへへ)・・・・・まず宿場の街角で喜多八のひく、三味線、小唄の風情があること、、、。それに能の所作などの折り目正しいこと、、、。そして、人を間接的にしても殺めてしまったという理由で、父が子を勘当し、一切うたいを口にしてはいけないという厳しい処断を下し、子がそれを守るという姿。、、、、西洋風の家族、特にアメリカやイタリアの家族では全く考えられないと思われます。、、、、、伝統的な芸の世界に生まれながら、未熟さ故に親から勘当され世間を放浪するという構図は、溝口『残菊物語』と成瀬『歌行燈』は同じです。映画としての美しさや、人間模様という点では『残菊』、芸や日本の文化の記録としては『歌行燈』なのでしょうか。、、、、ただ『残菊』は、現代の世界にもどこか通じるところがあるようにも思いますが、『歌行燈』の世界は、今とは異質な世界を再現してくれているようで、その点で、強く想像力を刺激されました。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2005-09-13 15:17:11)
16.  怒りの葡萄 《ネタバレ》 
アメリカ文化の一端を知る資料として貴重だと思います。、、、、特に、広大で荒涼とした大自然、そして産業化が進展する社会にあって、家族しか支えはないのだという感覚は強い説得力をもって伝わります。(→特にトラックの運転席で肩を寄せ合うシーンが度々映し出され、広い社会の中で家族が肩を寄せ合うイメージが鮮明に焼き付きます)、、、、、、そして、5セントのキャンディを1セントと偽り子どもに与えたり、その善意を見て釣り銭を受け取らない別の客などの見知らぬ者同士が支え合うささやかな善意。、、、、社会の仕組みを変えようと言う強い意志。、、、、、、、一台のトラクターによって農民が土地を追われたのは、機械化の進展と、それに伴う産業構造の変化のためでした。西漸運動によりフロンティアに拡がった多くの農民たちは、工農の製品価格差と農業機械化などのために3%以下に淘汰され、貧民として都市に流入する。産業の構造変化がいつの時代にもあるものならば、これは、この時代のアメリカに限られたことではありません。、、、、、コンビニと100円ショップのために町中の文房具屋は店をたたみ、警察のシステム変化で、試験場の周りの代書屋は廃業し、いずれ民営化される郵便局員の中には転職を余儀なくされる人も少なくないに違いありません。そう考えると、60年をすぎても、なお通用するテーマを扱う作品だとも思いました。
[DVD(字幕)] 10点(2005-08-21 14:05:24)(良:1票)
17.  麦秋(1951)
ヘーゲルは、愛の共同体としての家族は、子どもの自立によって必然的に壊れて行くものだと喝破した。小津は、ヘーゲルのテーゼを、幾度も幾度も日本的な情感を込めて映像化する。つまり、小津が描いたのは、家族ではなく、離婚、子どもの結婚、死などによって、家族がこわれて行く過程である。、、、、、、、「麦秋」では、名前だけしか登場しない「正二」(字は不明)が案外と重要な位置を占めているように思えた。ほぼ固定されたカメラの視点は、南方で戦死した正二の霊が、親しい家族のところに戻り、見ているように感じられたからである。ヨーロッパ的に、上から見下ろす神の視点ではない。下から、親しいものを見守る、優しいまなざしである。そしてその眼差しを意識するとき、平凡な家族の空間は、オルゴールの音色、女声コーラスの声とシンクロしつつ、神話的な空間に高まっている。、、、、、、その一方で、これは時代の記録でもある。、、、、昭和20年代、30年代については、例えばNHKの「東京風景」などの記録があるが、小津の映像と、どちらが的確に時代を映し出しているのだろうか。私は、小津の映像だと思う。
[DVD(字幕)] 10点(2005-07-18 01:21:11)
18.  野良犬(1949)
私たちの両親、あるいは祖父母たちが生きた戦争直後の記録として、、、、善と悪のあまりにわずかな分岐点の記述として、、、、、、日本の夏の暑さの映像として、、、、高円寺や大原の情景の記録として、、、、、、深く心に残りました。、、、最後の木村功の叫びも。
[DVD(字幕)] 10点(2005-06-30 12:03:11)
19.  酔いどれ天使
とにかく三船に驚いた。、、、、美しい、、、、、、、、、。この三船を見て、黒澤が、羅生門や七人の侍で何を描きたかったのかに合点がいった気がした。(歌舞伎の所作などに染まっていない、無垢な三船を時代劇で使う、という囚われない斬新さ)、、、、、、それと黒澤のリアリズムのありかが、少しわかった気がした。、、、、、口で理想的な生を語ることは容易だが、実際にそれを送ることは難しい。様々に現実との格闘を必要とする。つまり理想は、現実との格闘を経て鍛えられてゆく。、、、、だから、黒澤は、理想に対して、これでもか、これでもかという程に現実(リアルなもの)を対比させてゆく。、、、、この映画では、久我美子が純粋な理想を象徴しているだけで、あとは、大なり小なり、理想と現実の間を格闘している。志村喬は、医術に殉じるのではなく、酔いどれるという現実を抱え、三船は、病を治し、足を洗うという理想には全く届かない。、、、、、、、映画全体として、理想の姿はかぼそいが、ラストの久我、千石とのコントラストは、微かであっても、理想の姿を追うのだという黒澤の固い決意を見た思いがした。
[DVD(字幕)] 10点(2005-06-28 12:48:50)(良:1票)
20.  姿三四郎(1943)
独立した一つの映画としては、確かに、通俗的で面白いものには思えないかもしれません。しかし、黒澤作品という連鎖の最初の輪として見ると、非常に興味深い作品だと思います。、、、、、個人的には、ずっと黒澤映画には、どこか違和感を感じていたのですが、この姿三四郎を見て、黒澤監督の根底的なモチーフが素直に了解できたような気がして、その違和感がかなり解消しました。、、、、理想的な生き方とは何か、そしてそれを阻むものは何か、という問題意識が黒澤監督の出発点であり、その問題をいろいろと考えて行くとき、悪、狂気、生の躍動性といったテーマが次々と現れだのではないかと。、、、、、、、映画としては、最後の右京が原の決闘がしびれますね。村井某の部屋のシーンから風の音がずっと続き、腰よりも高い草が風に揺れる丘、一人三四郎が風に立ち向かう。
[DVD(字幕)] 10点(2005-06-24 02:34:25)(良:1票)
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