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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  星のない男 《ネタバレ》 
非常にシンプルで明快で爽快な話。  私は昔銃器マニアで西部劇関連であるムック本を読み、有刺鉄線が西部を開拓した、というような物を読んだことがあるが、本作を見るとやはりそう単純な話ではなく、こうやって無法に公地を我が物にしている事例もあったのかもと考え直した。  共有地を有刺鉄線で区切って隣接の牧場主と平和的に共存したい土着の牛飼いと、東部からやってきた資本主義者で法第一主義の女とぼ土地を巡る諍いに巻き込まれる男の話。  前述したとおり単純な話ではないのだが、牛にとっては迷惑な話だ。で、東部資本の女に対立することになった主人公は、最初嫌っていた有刺鉄線側につくが、最後にはそれをも捨てて放浪のたびに出る。カッコいい。 でも、欲を言うと主人公の実戦でのガンさばきをもうちょっと見たかったかも。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-10 16:41:07)
2.  太平洋の鷲 《ネタバレ》 
 「鷲」なんてタイトルだから、てっきり勇ましい戦闘機乗りの話かなんかと思っていた。航空機戦力の重要性を説いていたという山本五十六の事だったんだな。  終戦後たった8年の、東宝としては戦後初の戦争映画だそうで、個々の兵隊の話ではなく開戦否定論者だった五十六の自伝的映画。政権が次々と変わる話や時局・政治的な話のシーンが多く、ちょっと理解するのが大変だったりするが、当時に人たちには当然の知識だったのだろう。話は淡々と進むが、アメリカの資料映像の協力を得ながらそれと(比較的)違和感なくつなげられた円谷の特撮は迫力があって、スゴイ!でも好戦的な話ではなく、「ダメだダメだと思いながら立場的に戦争を指揮する五十六」の生涯を割とじっくりと見せてくれる良い映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2019-08-13 07:39:15)
3.  新吾十番勝負 《ネタバレ》 
今、TSUTAYAで借りられる「総集編」というやつ。  あまりにもはっきりと分かれているので、ああここから第二部なのだなと判る。第一部はとても面白かった。将軍吉宗の攫われた子にまつわる事件で、それに絡んだ老中職をめぐる陰謀と成敗の話。ありがちっちゃありがちな話のようにも思えるが、今から見るとちょっと大げさな感のある大川橋蔵の演技が良いな。歌舞伎由来なんでしょうかね。  第二部(の部分だと思う後半)はちょっと、見足りない思い。もうちょっと平民の事件に首突っ込んで色々と立ち回ってほしいが、お宮の警護をめぐる騒ぎは拍子抜け的に終わるし、大阪城代をやっつける話と多門先生の果し合いとその敵を誓う話がどっちつかず的で、どちらももうちょっと見たかった感じが残る。  最初の老中の成敗の時に「新吾の一番目の勝負」と言っていたのだから、その後も「〇番目の勝負」と続けた方がいいのでは?
[DVD(邦画)] 7点(2018-11-04 21:08:46)
4.  水戸黄門(1957) 《ネタバレ》 
普段、テレビドラマなどあまり見ず「水戸黄門」も大昔の東野英治郎版を数回見ただけだ。 で、今作の黄門様は正体を明かす時の「どうだこのヤロ」というカタルシスが凄く薄い。そういったシーンはあるが、これが印籠ではなく自身の地味な説明で、相手も下っ端の役人風情で、しかも「このことは黙っていなさい」だって。それで事が進むのもすごい。最後の最後に高田藩士たちが、今まで敵と認識していた自藩の悪官僚の敵討ちとして、黄門たちと関根先生まで討とうとするのは、ちょっと理解できない。何か解釈し間違えているのだろうか? でもまあ、総じて面白い時代劇だった。ずっと見ていたい、勧善懲悪。ずっと作られ続けてほしい社会風刺の物語。そういったモノを最近見ていない気がする。
[DVD(邦画)] 8点(2018-08-04 15:14:58)
5.  地底探険 《ネタバレ》 
 たまにはこういう、荒唐無稽だけどなーんも考えずに見て楽しめる映画もいいものだ。  まあ、今考えるとコアだのマントルだの考える前に、地球の真ん中まで空洞が続いているってのが強引な発想だが、こっちはマグマライザーが地中を掘り進めるのを傍から見えるセンスで育っているので、問題なし。  それより、美しい鉱石の洞窟や、きれいな泉、謎のキノコの森(いきなり食うのは危険すぎるけどね)、地球の中心の海、果ては昔沈んだ古代都市など、唯々楽しい。  帰って来る時だけは、流石に突っ込みたくなるが(みんな炒まっちゃうだろ!)、最後の演説が素晴らしい。「証拠も記録も無いことを主張はできない」。正しい科学の精神である。
[DVD(字幕)] 8点(2017-11-02 12:26:42)
6.  一心太助 天下の一大事 《ネタバレ》 
 いやー、痛快!太助の真っ直ぐさが、気持ちいい。  しかし、この中村錦之助という人の啖呵というのは、実に凄いものがあるな。  自分の始めて見た錦之助は、子連れ狼なものだから、どうしても物静かなスゴ味というイメージがあった。だが、殿様を演じている時の凛とした高貴さ、太助の時のチャキチャキの江戸っ子を感じさせる快活さ。双方見事に演じ分けるというのは、まぁ役者ってそういうモノと言ってしまえばそうだが、それでも唸らされる。   それと、こういう庶民の、侍の論理で事が運ぶ物語ではない時代劇をもっと見たいものだ。 
[ビデオ(邦画)] 6点(2014-04-19 23:09:07)
7.  シンバッド七回目の航海 《ネタバレ》 
 こういうのは、というかこの作品は、特撮の凄さを楽しむための映画なのだろう、普通に勧善懲悪的な冒険活劇だ。  日本の着ぐるみ特撮になれた目には、どうしてもカクカク感が邪魔をするが、一方着ぐるみでない分、人の形に引きずられない造形が見事でもある。例えば巨人の馬の後ろ足のような形。胴体と手足がキリッと分けて模られた恐竜的なヤツ。ラドンやモスラのように人形然としていない双頭の鳥。  見事である。   ところが、お話の方はどうも間抜け。いや、登場人物が間抜けなのか。蛇と人の合成をその目で見ていながら、小さくなった人を見て誰の仕業か判らない主人公。魔法使いが毒だと言ってるのに、水を飲んじゃう手下。生まれてくるのが巨大ヒナなのも判り切ってるのに、卵を割っちゃう連中。『プロメテウス』の学者たちを思い出す。ああ、そうか、それのレビューで読んだ「志村後ろ!」を楽しむ映画なのだな、コレは。
[DVD(字幕)] 6点(2013-06-09 20:20:18)
8.  七人の侍 《ネタバレ》 
 ちょっと長かったがその分、武士と百姓のそれぞれの事情や、いきさつなどの描写が十分で面白かった。実際の戦のシーンはちょっと長すぎる気もするが、侍たちが半分やられちゃうには、充分な時間をかけないと不自然だものな。意外だったのは、ポスターにも大きく描かれている菊千代が、大した手柄も立てずにやられちゃうことだが、これは重大な意味を持っていると、私は考えている。  ちょこっとだけ気になるのは、武士たちが村を守る事になってから、百姓たちが兵隊になるところが唐突に映る。結局は兵隊がいないと戦えないとか、自分たちで戦わなければ村は守れない、とか言うシーンはあって然るべきだと思う。   さてしかし、最後に志村喬が言ったように、本当の勝者は百姓たちだ、と言うのは興味深い。彼らは、自分たちでも少しは戦うが、戦いの主導と主戦を、侍たちに依頼している。  戦いを他人に頼んで安全を確保する。長老の知恵は、現在の日本の知恵だ。それは数百年先んじていた知恵だったのか、現在の政策が数百年遅れているのかは分からぬが、今日本は自ら侍になるべく動き出している。  菊千代の死の意味は重大と前述したが、百姓から武士になった彼のように、日本がならねばいいのだが……。
[DVD(邦画)] 8点(2013-05-21 15:00:53)
9.  青銅の魔人 第一部
 その昔、乱歩が正史に語った言葉「映像作品は、まず原作者の言う通りにはならない」を思い出さずにはいられない。   ビジュアルがしょぼい、透明人間の必然性が無い、そのトリックも画面で起きていることを解明できていない、などなど諸々の問題はある。  だが、そういう事は時代とターゲットを考慮すれば、まだ呑み込める。しかしそれでも問題なのは、いやしくもあの怪人二十面相の小悪党感である。   原作では悪役ゆえ、神(乱歩)の采配によりいつも明智にしてやられはするが、日本一の探偵と互角に渡り合う日本一の怪盗である。正体を見破られても、ビルの上に追い詰められても、平然としていて欲しいのである。  品位と威厳をもって悪事をなしてほしいのだ。町のチンピラの頭領くらいにしか見えない二十面相なんて、二十面相ではない。   ちなみに『青銅の魔人 第一部』の項だが、ビデオでは四部まで収録されており、すべてを通して観ての感想である。
[ビデオ(邦画)] 3点(2013-05-06 00:35:20)
10.  毒蛇島奇談 女王蜂 《ネタバレ》 
 allcinemaによると、これの公開は52年の2月、原作の連載は同年5月号までというから、原作の種明かしギリギリか或いは先行していたのかもしれない。私の時代に『銀河鉄道999』が完結前に結末を見せて話題になったが、それに匹敵する事例かも知れない。   話は大幅に端折っている、というかかなり違う部分があるし、金田一先生は洋装のカッコイイおじさんで変装までするし、色々と驚くことが多い。「さ」というダイイングメッセージを告げた次のシーンに、サスケ・サブロウ・サクライの旦那が登場した時には笑ってしまった。ミスリード面白すぎ。  それでも、このややこしい話を90分で収めたのは、ナレーションや説明セリフの多用があるとはいえ、大したものかもしれない。   横溝正史の面白さを期待すると、当然がっかりするが、彼の作品をどんなふうに料理したか、を見たい人には面白いかも。昔の人が、これや千恵蔵の金田一を見てきた事を思うと、市川崑版の金田一はさぞ完璧に見えたことだろう。  それにしても、毒蛇島奇談って何だよ。
[ビデオ(邦画)] 4点(2013-04-19 09:48:06)
11.  手錠のまゝの脱獄 《ネタバレ》 
 『網走番外地』など、多くの映画にそのシチュエーションを真似される、ユニークな状況設定が見事。そして、それによって人が繋がっていく様を、感動的に描いている。  この映画は、そこに人種差別というテーマを与えて、逃走途中で出会う人たちとのドラマを含め、黒人差別への批判を描いているように見えるが、実はその本質はそんなところを超えた、人のつながり(友情と一言で言っちゃうとチンケだが)を描いているのだと思う。  実際、終盤にあらわれる「繋がっているんだ」のセリフには、泣かされた。が、ホント言うとこのセリフ、列車から下りた後に出てきたら、号泣していたと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2013-02-09 23:39:34)
12.  怪獣ゴルゴ 《ネタバレ》 
 外国の怪獣映画というので、期待して見てみた。映像的には、ほとんど文句はない。日本の怪獣映画のように、ハッキリクッキリ気ぐるみ映ってます!ミニチュア凄いでしょ!的な作り物感が希薄だし、戦車や戦闘機の映像もホンモノ。  しかし、ストーリーが単純すぎて面白味が無い。珍しいモンスター級の生物を捕らえてきて、都会で見世物にしようと企むのは、キングコングなどにあるような、大道なのだろう。攫われた者を取り返しに来るという部分は、子と妖精の差はあるがモスラでも使われた。  でも、前述二作のように、モンスターやその周りの人物のドラマに、心打つほどのモノが無いので、ロンドンの被害も台風の過ぎ去った後の「ヤレヤレ」みたいな醒めた感じがしてしまう。「さ、後片付けだ!」なんて言ってしまいそうだ。   人間は万物の霊長などではない事を、思い知るべきだと、この映画は言うが、そういう事なら、もうちょっと人間の驕った部分を描かれているべきかも。
[DVD(字幕)] 4点(2012-12-17 22:53:05)(良:1票)
13.  丹下左膳(1958) 《ネタバレ》 
 丹下左膳が主人公と言われても、納得できかねる感じ。  どう見ても話の中心にいるのは、柳生源三郎だし、なにしろ、左膳にカッコいい見せ場が殆ど無い。斬り合いのシーンは幾つかあるけど、圧倒的に強いシーン、たとえば敵の中で最も強いであろう、峰丹波との一騎打ちをやるとか。  彼が隻眼隻腕である理由は、おそらく新版大岡政談を見ると判るんだろうが、ここから初めて見る人にも判るようにしておいてほしいものだ。そう考えると、毎回小っちゃくなった説明をするコナンは、親切なのかも知れん。   近いうちに、これの前の物語を探して見てみたいものだ。  あ、それと、いつもいつも女優が綺麗と書くのもバカっぽいが、お藤の人、こういうタイプの人最近見ないけど、いいな。
[DVD(邦画)] 6点(2012-11-26 23:24:39)
14.  昼下りの情事 《ネタバレ》 
 若い奥さんの昔の男の話は、目一杯の背伸びが付かせたウソかあ。……まてよ、それって、父親の証言だものなあ。あれ?なんか、心配になってきたぞ…。   という続きの展開の妄想が、頭からはなれない。   大丈夫なのか?フラナガンさん。
[DVD(字幕)] 4点(2012-11-05 01:39:54)
15.  王様と私(1956) 《ネタバレ》 
 オリジナル版、各種再演版、サントラ版、、スタジオ録音版、はては日本公演版まで、様々な王様を聴き比べてみても、やはりユル・ブリンナーの王様は、ずば抜けている。個人的にはブリンナー再演版の、ラストの次世代王の誕生のシーンが大好きだ。   この映画を見て、白人優越主義などとは、思わない。アンナ先生はそんな事は言ってはいないし、制作側だってそう思っているとは思えない。彼女は「人は対等だ」と、直接は言っていないが、王様に対して他の家臣のようにひれ伏したりしない態度で示しているだけだ。一方、自国の近代化のために、教育から始めようと考えた王様もスゴイ。  そういう意味では、アンクル・トムの劇中劇が実に素晴らしい。奴隷制度という非人権的な制度を批判したこの劇は、同時に先生に習った知識のおさらいになっている。アンナ先生のもたらしたものの成果として、ここをゴールと目指した物語にしても良かったくらい。  だが、物語はもっと先へ進み、名曲『Shall we Dance?』を聴かせてくれた後、クライマックスへ。思えば、シャム国を近代化する、という手段に教育係を呼んだ意義が実を結ぶ瞬間だ。人が乗れるほどの氷、雨が凍って降る雪、それらを信じない子らを叱責した王様が、自身の考えと違えども、新しい王の考えを支持したこのシーンは、子供たちだけでなく、王様をも変えた、実に感動的な場面だ。これはシャム近代化に対する、アンナ先生のみならず、王様の勝利でもある。だから、私はこのシーンが大好きなのだし、だからこそ、様々な録音盤で、このシーンが収録されているのだと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2012-11-03 01:08:19)(良:2票)
16.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
 ミニチュアによる、建物の破壊シーンは、文句の付けようがない。東宝特撮の中でも、屈指の出来だろう。特に、『怪獣大戦争』の中で感心したカットが、ここからの流用であったのは驚きだ。参った事に、その撮影方法までWikipediaに書かれていた。有名なカットだったんだ…。  ヤゴの怪物とラドンの造形がチャチい事は、この際我慢する。しかし、人間側のドラマがつまらない。といか殆どドラマらしいドラマがない。また、ゴジラ映画の基本原理とも言うべき、核兵器の実験によって生み出された生き物、という説明を付けようとしているが、地理的にもかなり厳しい。  劇中、阿蘇周辺が溶岩流の被害に遭うのと、市街地に「怒りの持って行き様のない被害」に遭うのとの、択一の決断を迫るシーンがある。これに焦点を絞ったドラマを展開すると面白かったのではないだろうか。
[DVD(邦画)] 4点(2012-11-01 23:27:43)
17.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
 核の脅威の象徴であるゴジラを、多くの犠牲を出しはしたものの、超科学ではなく、通常兵器と人間の知恵で封じ込めたこの作品は、その部分においては、かなり評価されるべき事だと思う。人の知恵が核の脅威に打ち勝ったのだ。  しかし、いかんせん、人間のドラマが面白くない。人間側の主役は、どうやらカッコイイ青年パイロット、月岡クンのようだが、カノジョとよりもゴジラと運命の糸が繋がっていそうな、小林パイロットの方のドラマをもっと見たい。特に写真でしか出てこない、小林の想い人との話を、もっと展開すべきだった。  また、時代とはいえ、民間人を自衛隊の、しかもミサイル搭載のジェット戦闘機に乗せてしまうって、乱暴な話だ。
[DVD(邦画)] 6点(2012-10-31 22:59:41)
18.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
 それまで怪獣バトルの映画シリーズとしてしか、ゴジラを知らなかった私は、今から約30年前、高校を卒業した頃にやっと、これを見て驚いた。怪獣映画ではあるが、一般のパニック・サスペンス映画として、たいへん優れていると。   発端の事故から、次第に事の真相が明らかになってきて、その正体を現す厄災。船なんか3回も沈められて、まだ姿を現さない。この焦らし方、ゾクゾクさせるやり方は、サスペンスの定石だ。どう結び付くのかわからないサイドストーリーが、解決に結び付くさま。そして、何と言ってもゴジラの銀座での大暴れ。俯瞰のショットを巧く使っているとはよく言われることだが、もう一つ、計算ずくなのかどうか不明だが、黒つぶれで、全てをくっきり見せるわけではない画面、それによる恐怖。実に見事なパニック映画だ。  そして、ゴジラが評価されている最も大きな理由、ゴジラの精神的柱とも言える、核兵器への批判、反戦・平和への主張。長崎から逃げてきた女や、戦争によってお父さんを失った家族などを巧みに描写して、戦争・原爆の記憶を引き出し、その恐怖とダブらせて、巨大生物を見せる手管。全く見事だという他ない。 【訂正】俯瞰ではなく仰観でした。
[DVD(邦画)] 9点(2012-10-31 22:54:00)(良:2票)
19.  ベン・ハー(1959) 《ネタバレ》 
 ジュダ=ベン・ハーが、復讐を果たすまでの波瀾万丈なさまは、本当に面白かった。ガレー船による海戦も、馬車レースも迫力があり、手に汗を握った。そりゃあ、もう8点を付けるだけの面白さだ。  しかし、この物語はイビツである。ジュダは、復讐を遂げた後に、イエスの磔刑を目にして、その教えに心奪われたように描かれる。物語の主題もおそらくそこにある。だが我々はすでに、騎馬戦の勝利と復讐の成就に感情を移入し、大いに溜飲を下げた直後なのだ。ここから「汝の敵を愛せよ」に涙するには、相当な、それこそ宗教的な説得力がないと難しい。元々キリスト教の素地がない普通の日本人には、もっと、ジュダの考え方を根本から突き崩すような、そういうエピソード、そういった描写が必要だったろう。  イビツと書いたのは、ジュダの復讐の成就までと、その後のイエスの奇跡に涙するまでの物語のバランスの悪さと、彼の心の転換部分の判りずらさだ。しかし考えてみると、これは、聖書における旧約と新約のそれに近いのかもしれない。もしかして、これは、一人の人間の人生を使った、聖書そのものだったのだろうか。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-28 13:18:00)(良:1票)
20.  決断の3時10分 《ネタバレ》 
 捕らえられた強盗団の首領と、その男を列車で送致するために護送する男の物語。  リメイク版と比べると、非常にスピーディでテンポよく話の進む、コンパクト版。 チャーリーの残虐性も抑えられていて、最後の突撃に対する銃撃も、かなり少なく地味。リメイク版の、弾丸の雨をかいくぐる緊張感と、撃たれるか、いつなのか、というこちらオリジナル版の緊張感、どちらも甲乙つけがたい魅力。  汽車に乗り込む瞬間に、撃たれない工夫として、もうもうと煙る汽車の蒸気を使うのは、上手い。ただ、何もかもうまく行った「ハッピーエンド」が、若干安易にも見えるも事実。殊に、命を救われた借りを返しただけ、的な説明はいらなかった。ベンは、もっと違うもののために、汽車に乗ったのだと思う。それは、リメイク版を見ると、よりはっきり分かるようになっているのだが。  最後に、牧場主の求めていた雨が彼らに降り注ぎ、爽やかに物語を締めくくる。ダンを苦しめた干ばつの終わりを告げる、雨なのに明るいこのシーンは、彼らの明日を暗示していると思いたい。
[DVD(字幕)] 6点(2012-10-23 23:49:24)
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