1.エッセイマンガが増殖する中、ひときわインパクトが強かったのがこれ。潔癖症から縁起恐怖までさまざまな神経症を抱えたダンナさんとの日々を、変に深刻ぶらずに愉快に綴る。シンプルでしっかりした絵柄も可愛らしく、読みやすい。
ダンナさんの強烈なキャラクターのおかげで単純に読み物として面白くって、それでいて読み終えた頃にはやんわりと価値観が変えられている。こういう生き方も、ありなんだなあと。いやー、こんなダンナさんみたいな人が身近にいたら楽しいだろうなあ。変人といえば変人だけど、言い方を変えれば恐ろしく感受性が鋭くて、才能豊かな人だと思う。あと、何気に著者自身のキャラクターもかわいい。
唯一気に入らないのが、家庭科の教科書みたいに華のない装丁のデザイン。ちょっと地味すぎて、インパクトのある内容に相応しくない。帯に載っていたせっかくの推薦文も効果的に使われているとは言い難く、すごくもったいない。こんなにいい作品なんだから、もっと上手にプロデュースしてあげてほしい。