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女の中にいる他人

1966年【日】 上映時間:102分
ドラマサスペンスモノクロ映画小説の映画化
[オンナノナカニイルタニン]
新規登録(2004-02-03)【放浪紳士チャーリー】さん
タイトル情報更新(2024-05-14)【イニシャルK】さん
公開開始日(1966-01-25)


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監督成瀬巳喜男
キャスト小林桂樹(男優)田代勲
新珠三千代(女優)田代雅子
三橋達也(男優)杉本隆吉
草笛光子(女優)加藤弓子
若林映子(女優)杉本さゆり
長岡輝子(女優)田代栄子
稲葉義男(男優)友田警部
十朱久雄(男優)平井
藤木悠(男優)黒岩
黒沢年男(男優)バーテン
大前亘(男優)
中山豊(男優)男A
佐田豊(男優)旅館の番頭
伊藤久哉(男優)記者A
小川安三(男優)記者B
二瓶正也(男優)男B
一の宮あつ子(女優)生け花の先生
関千恵子(女優)川崎夫人
中北千枝子(女優)千代子
加東大介(男優)酒場のマスター
脚本井手俊郎
音楽林光
撮影関口芳則(撮影助手)
製作藤本真澄
金子正且
東宝
配給東宝
美術中古智
編集大井英史
録音下永尚(整音)
照明石井長四郎
その他キヌタ・ラボラトリー(現像)
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8.不倫中の情事の中、殺人を犯してしまった男。気弱な男は徐々に自責の念に耐えきれなくなり、自分が犯した罪の真相を妻に告白する……。

何と言っても印象的だったのは、新珠三千代演じる"妻”の存在感と見栄えそのものが、物語が深まっていくにつれまったく様変わりしていくところ。
冒頭は亭主関白の夫を健気に支える平凡な日本女性そのものの姿であり、はっきり言って「地味」の一言に尽きる。それが、夫の「告白」を受け自分自身を含めた家族の運命が転じる局面を迎え、一転して存在感が放たれる。

「気弱」というよりも、一人の人間として精神が薄弱過ぎる様が露呈してくる夫の愚かしさを受け、妻の心理は益々追い詰められていく。
しかし、インサイドの混沌に反発するかのように、妻は気丈な存在感を見せ、女性としての美しさに溢れてくる。

局面に立たされた女性の強さと美しさが際立ってくる一方で、小林桂樹演じる夫は、精神も見た目もすべてが「愚鈍」そのものに思えてきて、ただただ腹立たしくなってくる。映画の主人公にこれほど嫌悪感を感じたのは初めてかもしれない。

そういう観客の思いを払拭するかのように、最終局面を迎えた妻は、或る決意を持ち速やかに“実行”する。

平凡で幸福な家庭環境のまさに水面下で静かに流れるサスペンスが秀逸。
夫婦を軸にした人間ドラマの中で、男と女それぞれの弱さと強さを巧みに描き出し、人間の根本的な愚かさと恐ろしさを印象的に映し出していると思った。


夏の山道を歩く夫婦。何も知らない妻は、夫の三歩後ろをしなやかについていく。
暗いトンネルで「告白」を受けた後、それが即座に転じる。
努めて冷静に足早に先行する妻を、夫は無様にうろたえながら必死についていく。

このシーンが、男の女、その関係性のすべてを物語っているようだった。 鉄腕麗人さん [DVD(邦画)] 8点(2011-10-03 00:08:47)

7.小林桂樹が不安そうに後ろを振り返りながら歩く様子を全身が写る形で半歩引いたところから写す、一番初めのシーンからこの映画に惹かれた 峠のわが家さん [DVD(邦画)] 8点(2010-12-17 20:06:02)

6.《ネタバレ》 奇抜なトリックだけが売りの作品とは違い、犯した男とかばう妻の心理を緻密に描いたサスペンス。新珠三千代の緊張感ある眼差しにハッとさせられる。特に停電のロウソクを持ったシーンとか。おばあちゃんの長岡輝子はかわいらしい。 丹羽飄逸さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-06-06 20:05:01)

5.《ネタバレ》 成瀬巳喜男監督作品、4本目の観賞にして、何と今回はサスペンスとはこれまたびっくり!そんな今作はキャスティングを見ただけで、成瀬作品てよりも私は川島雄三監督作品、若しくは「社長シリーズ」を思い浮かべてしまいます。それはさておき、この映画、本当に恐い。まずは何と言っても作品全体の雰囲気が恐い。またモノクロによる映像から伝わる恐ろしさ、オープニングからして本当に恐かった。小林桂樹が一人、喫茶店で飲んでいるビールの色がモノクロなもんだから余計に恐く感じる。親友の奥さんを誤って殺してしまった小林桂樹が自分の奥さん、新珠三千代に対して今までの過去、真実を打ち明けるシーン、それを知った新珠三千代も凄く恐い。またラストの海沿いを歩く新珠三千代、そして、無邪気に遊ぶ子供達と距離を置いて見つめる新珠三千代の後ろ姿、それを映し出すカメラワーク、余韻を残したまま終りを告げる何か見終わった後のこの何とも言えない余韻の残し方はこれから先もずっと残るような気がする。 青観さん [DVD(邦画)] 8点(2007-01-30 22:07:22)

4.《ネタバレ》 これは奥さんが気の毒ですね~。考えてみればタイトルの「女の中にいる他人」って彼女のことだったのか、最後には思わず犯罪に肯定してしまいます。それよりも主人公の身勝手な行動が鼻に付く。親友の奥さんと浮気して殺しておきながら、妻と相手の夫に告白しながらも、まるで自分が被害者であるかのように一言も謝らないのが良い(笑)。優柔不断の極みとも言える小林桂樹の表情はまさにハマリ役。作品的には同年の「ひき逃げ」と同様、成瀬作品の中では異色のサスペンスですが、あちら(「ひき逃げ」)が視覚的に驚かせていたのに対しこちらは心理的にジワジワと追い詰めていきます。何故か告白する時はいつも暗闇という、停電及びトンネルのシーンも恐怖を煽っていてグー。 かんたーたさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-02-08 16:48:16)

3.小林桂樹と新珠三千代の夫婦役といえば今年2月に見た岡本喜八監督の喜劇「江分利満氏の優雅な生活」のイメージが強いので、最初はそれを連想してしまってどうかなあと思ったけど、見ているうちにだんだんと目が離せなくなってしまった。ラストの新珠三千代がかなり怖い。重大な秘密を二人もの人間に打ち明けてしまう小林桂樹にすごくだらしなさを感じるものの、もし自分が同じような状況になったら同じように黙ってはいられないだろうな。 イニシャルKさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2005-11-21 01:40:47)

2.黒猫おねい様、ごごごごめんなざい~。もし人殺ししても頑張ってお腹の中に収めますから、許して下さいませ~・・・って、←違うだろ。・・・それはそうと、この作品の光と影を強調した照明、ホント怖い。まるで梅図かずおのホラー漫画みたいなんだもん(笑)。それにしても、あの間違って殺されちゃった浮気相手、えれーエロかった。こういうのは成瀬作品にしては露骨なような気もするけれど、映画が斜陽の時代に入りかけのこの頃、ひょっとして成瀬も「ちょっと作風を変えてみよう」とか、思ったのかな。 ぐるぐるさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-10-26 19:54:35)

1.新珠三千代さんは「日本では完全犯罪は駄目なので、ラストは警察が捕まえにくるような形になったのが不満だった」とこの作品について発言されていた。(「君美わしく」川本三郎氏著)ところが驚いた事に自分が観たフイルムでは、ラスト、ヒロインは海辺で子供たちが遊ぶ姿を見つめているだけで警察の影などどこにも見あたらなかったのである。記憶違いなのか、それとも2つのバージョンがあるのか知る由もないが、とにかくこの映画は彼女の演技力、存在感が遺憾なく発揮された作品である。貞淑な妻が愛する夫を殺害するに至るまで、前半は能面のような印象の女が後半は、鬼の面に変わっていく・・・。いやー、怖い怖い。この映画から得た教訓、「自分以外は決して誰も信用するな、たとえ愛する人であっても」名匠成瀬監督、これは晩年の秀作! 放浪紳士チャーリーさん 8点(2004-02-04 20:22:23)

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【点数情報】

Review人数 19人
平均点数 7.11点
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300.00% line
415.26% line
5210.53% line
6210.53% line
7526.32% line
8842.11% line
900.00% line
1015.26% line

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