みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
3.どこにでもいる普通の夫婦。そんな彼らの両の瞳の黒が、展開と共にじわじわと深まっていく。 映画は、序盤コメディタッチで描かれるが、ふいに垣間見えるその瞳の深い黒色が、安易な笑いを拒絶するようだった。 誰が見てもおしどり夫婦だった二人が、突然訪れた一つの“不幸”により、そのままの関係性を維持出来なくなってしまう。 それは決して劇的なことではなくて、世の中のどの夫婦にも内包されている普遍的な危険性の表れのように思えた。 自分自身、結婚をして3年半になるが、つくづく「夫婦」という関係性が一つの形に定まり続けるということはないと感じる。 結婚は決して“ゴールイン”などではなく、あらゆる試練の“スタート”だ。 その試練が幸福なものになるか、不幸なものになるか。そこには、本人たちの多大な努力と、それに匹敵するくらい大きな「運」が必要なのだと思う。 映画の中でこの夫婦が営む料理屋は、結果的にどの店も客入りが良い。 それは、この夫婦が本当に相性が良くて、その関係性に相応しい男女だったということの表れに他ならない。 でも、ほんの少しの行き違いによって、彼らは互いの相性の良さを信じ切れなかった。 それは本当に些細なタイミングのずれに過ぎなかった筈なのに、その小さなずれが大きな悲劇を生んでしまった。 ただし、だ。先に述べたように夫婦という関係性が続く以上は、その形に終わりは無い。 映画のラストで示される二人の表情には、悲劇のその先で、それでも離れ切れない夫婦の悲哀が滲み出ていて、そこには一抹の救いがあったように思う。 ストーリー展開においては強引な部分があることは否めない。しかし、それを補って余りある役者の演技力が随所に光っている。 主演の松たか子と阿部サダヲは、「普通」の夫婦の中にこそある「危うさ」を見事過ぎる程に体現していたと思う。特に、松たか子の体と心を張った演技は、彼女が女優としてまた一つ高みに上がったことを確信させた。 また豪華なキャスト陣の中にあって、風俗嬢を演じた安藤玉恵、女子ウエイトリフティング選手を演じた江原由夏、この決して有名ではない二人の女優の“実在感”が素晴らしかった。 そして、役者の印象的な演技を引き出した上で、西川美和監督は細やかな演出で纏め上げている。 長編映画4作目にして、日本映画界におけるこの女性監督の存在感は不動のものとなったと言える。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-06-26 00:15:51) 2.前作の「ディア・ドクター」に比べると後半の展開が少々雑なような気もした。そういう感じにしたいのはわかるけど、もう少し親切に見せてくれないかなあというところもなくはなかった。 でもですね、見終わって三日たってもあの二人のその後が気になるんですよ!なにこれ。ひどいよなー(褒め言葉) というわけで、お見事でした! 【とと】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-03-21 01:20:45) 1.西川美和という人はかなりのハイパーなクリエイターであると思う。原作脚本監督でこんなに深い作品を作り上げてしまうのだから。女性ならではの視点とか、そういうことは既に超越している。確かに登場人物は様々な「女」であり、描かれているのは様々な女の「業」である。いろんな種類の女がいていろんな愛し方があって、それでも皆生きていく。詐欺師と詐欺られる女の話から、結局は生きるしかないんだよという普遍的な理論まで語っている。もちろん大きなテーマだけでなく、全ての登場人物をそれぞれ人間臭く、ちょっとしたシーンにも血を通わせ細部まで作り込んでいる。風俗嬢の紀代ちゃん、ウエイトリフティングのひとみちゃん、ラーメン屋の店主など、何かいい。俳優さんはこんな監督に撮ってもらいたいと思うんだろうなと思う。 【ちゃか】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-11-19 16:57:56)(良:1票)
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