みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
4.正月に妻の祖父母の家に行った際に、義祖母から大戦時の空襲の話を聞いた。 居住していた郊外から、市街地が空襲を受ける様を遠目で見たという。 変な言い方だけれど、と前置きをした上で、当時子どもだった義祖母は、爆撃される光景が花火のように「綺麗」に見えたと言った。 とても印象的だったその正月の義祖母の話が、この映画のシーンと重なった。 主人公のすずは、爆撃を受けるその只中に立ち、眼前に広がる“非現実的な現実”の光景に対して、「ここに絵の具があれば、絵が描けるのに」と思う。 勿論、それが夢想であり、現実逃避であることを本人は分かっている。 でも、そうでも思わなければ、この目の前の現実を踏まえて次の瞬間を生きていない。それがこの「時代」を生きた人々が、共通して持った“生きる術”だったのではないか。 そして、義祖母の「綺麗」という感情もまさにそれだったのだろうと思う。 初めてこの映画を観てから2ヶ月近くが経とうとしている。 その間、何度も感想をまとめようとした。けれど、映画を振り返る度に、主題歌と主人公の声が言霊のように頭の中を巡り、繰り返し繰り返し感情を揺さぶっている。今もなお。 悲しくて、悲しくて、とてもやりきれない。 でも、涙が溢れる理由は、決して悲しいからだけではない。 悲しみを越え、苦しみを越え、痛みを越え、怒りを越え、虚しさと絶望を越えて、その先に何があったのか。 悲しみが消えて無くなるわけでもなく、それを補うだけの幸福があったわけでもない。 それでもだ。それでも命を繋ぎ、ただ生きていく。 その“普通”の人間の、愛おしいしぶとさに涙が溢れる。 “すずさん”の人生が特別なわけではない。 彼女と同じように、何千万人もの普通の人たちが、泣き、笑い、怒り、「戦争」という生活を生き抜いてくれたからこそ、僕たちのすべてと、この映画は存在している。 ん、やっぱりうまくまとまらない。 ただ、全部がすごい。 取り敢えず映画を2回鑑賞し、原作漫画を読みふけったが、この先も僕は人生を通して“すずさん”と共に泣き笑うだろう。 そして、この世界の片隅で命を繋いでいくだろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-22 21:13:56) 3.素晴らしい映画でした。もう何人に勧めたか・・・ 【東京ロッキー】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-12-25 15:31:12) 2.《ネタバレ》 原作未読。戦争を背景に広島の呉に嫁いできた18歳のすずと家族の物語。相当なリサーチをしたという昭和の広島の風景や軍港であった呉の景色と、彼女の視点から描かれた戦時下における家族や庶民の慎ましく何気ない日常が美しい。優しく暖かなタッチの画とユーモアを交えたとても丁寧な演出で描かれており惹き込まれる。コトリンゴによる音楽と彼女の透明感のある優しい歌声がまた作品にマッチしていて心地良かった。その幸せな日常を奪おうと日一日と迫りくる戦禍と遂に来てしまう原爆投下。無音と閃光によるそれの表現は息を飲むほどの衝撃だった。ぼんやりと生きてきたすずの居場所を奪っていった戦争。居場所を見失ってしまったすずは見つけ出してくれた周作に救われ、母を亡くして居場所を無くしてしまった孤児はすずと周作に救われた。あの世界の片隅で居場所を取り戻したすずたちはどう生き抜いたんだろうなと思った。 主役すず役のん(本名:能年玲奈)。「この世界の片隅に」というタイトルに境遇が似てしまっているが、天然でノンビリとした性格のすずを演じるための試練だったのかなって思うくらいにハマっていて上手かった。それに負けじと他の声優陣も頑張っていたな。容赦ない描写もあるけどぜひ劇場で観てもらいたい一本。 【ロカホリ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-12-06 21:40:42) 1.映画館で観て以来5回以上は観ていると思うが、なかなか納得のいくレビューが書けず削除してしまっていた。 結局この映画の何が良いのかと言うと、最初はほのぼのした戦時下の日常が描かれ、大変な時でも常にマイペースなすずさんに癒され、のんのちょっと間の抜けた優しい台詞にもホッとさせられ、戦時中とはいえほんとに普通の日常が描かれるので楽しいなぁと思っている所に突然降りかかかる戦争の火の粉。まさに不意打ち。しかし、戦時下を描いているのだから当然の展開。この映画はそういう展開にならないんじゃないかと何処かで安心していた心をこれでもかと打ち砕く。 だからこそ、最後の悔し涙を流すすずさんを見ていると胸が張り裂けそうになる。 このシーンはほんと何回観ても心が揺さぶられる…。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-11-17 02:44:53)
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