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流れる

1956年【日】 上映時間:117分
ドラマモノクロ映画小説の映画化
[ナガレル]
新規登録(2003-12-08)【まぶぜたろう】さん
タイトル情報更新(2022-12-12)【イニシャルK】さん
公開開始日(1956-11-20)


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監督成瀬巳喜男
助監督森谷司郎
キャスト田中絹代(女優)梨花
山田五十鈴(女優)つた奴
高峰秀子(女優)勝代
岡田茉莉子(女優)なゝ子
杉村春子(女優)染香
栗島すみ子(女優)お浜
中北千枝子(女優)米子
賀原夏子(女優)おとよ
宮口精二(男優)鋸山
加東大介(男優)高木
中村伸郎(男優)医者
仲谷昇(男優)佐伯
音羽久米子(女優)つる本の女中
南美江(女優)いろどり
上田吉二郎(男優)乾物屋主人
大村千吉(男優)
堤康久(男優)
佐田豊(男優)車屋
加藤茂雄(男優)
龍岡晋(男優)村松
原作幸田文「流れる」
脚本田中澄江(脚色)
井手俊郎(脚色)
音楽斎藤一郎
撮影玉井正夫
東宝技術部(特殊撮影)
上田正治(撮影助手)
製作藤本真澄
配給東宝
美術中古智
編集大井英史
録音三上長七郎
照明石井長四郎
その他キヌタ・ラボラトリー(現像)
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【クチコミ・感想(6点検索)】

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5.《ネタバレ》 本作は、置屋「つたの屋」を舞台に、そこに居住・在籍する女性を丹念に描きながら、つたの屋が凋落する軌跡をたどる作品である。

本感想のために各々の登場人物についてまとめてみると、その人物設定や配置が非常に巧みで、相当練りこまれていることがわかる。

物語の中心に存在し、最も複雑な内面が描かれているのが、つたの屋の経営者であり、自身も芸者であるつた奴(山田五十鈴)だ。芸者の仕事に懸命だし、これからも続けていきたい。優柔不断で気が弱いところもあり、さらに在籍する芸者の上前を撥ねるこすっからいところもある。いいところも悪いところもじっくりと描かれるが、彼女の姿を追っているだけでは物語がなかなか進行しない。その役目を担うのがつた奴の娘・勝代(高峰秀子)だ。どちらかと言えば陰気で、気が強い。芸者を継ぐつもりはなく、独身で付き合っている男もいない。今はこれといった仕事はしないままつたの屋に住んでいるが、経営状態の良くないつたの屋を閉めてもらい、つた奴にも芸者をやめてもらって、共に別の仕事で生計を立てていきたいと考えている。気に入らない相手に対してはっきりものを言うことで我々観客をスカッとさせ、物語にうねりを加えながら進行させていく。

それに対して、同じくつた奴の娘で、幼い娘・不二子を連れて出戻っているのが米子(中北千枝子)だ。今も近所に住む別れた旦那に未練があり、姿を見ると追いかけてしまう。勝代と同じように芸者になる気はないが自立した生活を送る気もない。不二子がいるからか生来の性格からか、ちょっとした仕事ならしてもいいが、基本は家でのんびりしたい、不二子を芸者にしていいからその分面倒を見てもらいたいと考えている。余談だが、本作にはたくさんの芸者が登場するにもかかわらず、唯一色気をみせるのがこの米子だ。物語冒頭でほんの少しだけ着物がはだけているところに僕はドキッとした。子供こそいるが、生活感のない米子だからこそ、さりげないところで色気が出たのだろうか。

生活感のない米子に対して、生活感丸出しなのがつたの屋に所属する芸者の一人・染香(杉村春子)だ。つたの屋に在籍する芸者の一人で、お調子者で世渡り上手、ちゃっかりしたところもある。僕にとっては「こういう人いるよね」という、ちょっと苦手な存在だ。

本作で華の役割を担うアイドル的な存在が、同じくつたの屋に所属する芸者・なな子(岡田茉莉子)だ。中盤で披露する下着姿は、本作唯一のサービスシーンだ。

そんな彼女たちを見守る役割を果たしているのが2人の女性だ。まずは、序盤で女中としてつたの屋にやってくる梨花(田中絹代)。腰が低くて気が利く働き者で、つたの屋を内側で支える存在となる。向かいの店に女中として誘われるくらい近所の評判も良く、つた奴や勝代にも頼りにされる。彼女の視点が我々観客の視点と最も近く、狂言回し的な立場でもある。

あと一人は「水野」の女将・お浜(栗島すみ子)だ。置屋組合の顔役のようで、あれこれとつた奴の世話を焼く。終盤でつた奴からの申し入れを聞き、つたの屋を買い取る。戦前のスター女優で、本作で「特別出演」した栗島自身の芸歴と重なってか、本作を上の立場からしっかり引き締める風格が感じられる。

豪華なキャストで描かれる本作で最も感心したのは、つたの屋に住む母娘3人が家族のしがらみにとらわれていることが感じられるところだ。家族経営の商売は有利なことも多いが、家族の存在そのものが桎梏となることもあるのだ。

では、本作が楽しんで観られたかといえば、残念ながら否である。なぜか。退屈だったからだ。僕にとって、本作は冗長過ぎた。シンプルなストーリーの中に、一見同じ立場のようで実は異なる意識や目標を持つ登場人物の心の機微を描き出す。それが本作の魅力なのだが、その描写ばかりに力を入れると、フィルムとしてのテンポの良さは失われる。

本作の原作は小説である。音声や映像のない小説ならば、本作のスタイルはそのまま作品の魅力につながる。だが、せっかく映像になるのだから、映像ならではの魅力がほしいと僕は思うのだ。目を惹いたのは、前述した米子となな子のカットくらいか。あとは終盤でお浜が梨花に、自分のもとで芸者になるよう勧めながら――梨花はその誘いを断る――買い取ったつたの屋を旅館にするつもりであり、いずれつた奴たちに出て行ってもらうことを告げるシーンにオーバーラップするように三味線の練習を熱心に続けるつた奴と染香、それを(本作で初めて)虚しい視線で見つめる梨花が長く映し出されるシーンの物悲しさも印象的だが、そこに至るまでが長すぎた。もう少し内容を圧縮すれば、テンポが良くなって見やすい作品になったかもしれない(本作はそういう作品ではないと言われればそれまでだが)。 はあさん [DVD(邦画)] 6点(2024-05-08 10:07:35)

4.《ネタバレ》 さぞかし原作は面白いのだろうと思わせる映画でした。
江戸と東京の両方を味わえます。
人権という言葉が急に出現し、伝統の世界と言えどここは現代なんだなと思い知らされる。
出演者はほぼ女性ばかり、そしてその女性たちがなんとか仕事をつないでいく姿が映し出されるのだが、男を間に立てておかないと進みにくい様子も出てくる。現代においてもなお男性優位で社会が回っていることをあぶり出している。 ほとはらさん [DVD(邦画)] 6点(2022-03-20 14:50:24)

3.確かに芸者置屋なんてのは流れるわな。言うまでもなくキャストが豪華。 すたーちゃいるどさん [DVD(邦画)] 6点(2011-10-24 18:53:54)

2.田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子と、
錚々たるメンバーが勢ぞろいで、彼女たちを見ているだけでお腹一杯。
栗島すみ子もいい味を出している。
核となるストーリーはなく、移り変わる時代の流れに困惑しながらも、
花街の世界に生きる女たちの生き様を情感たっぷりに描いており、キャラ描写が秀逸。
当時の風景、街並の雰囲気もいいけど、これはやっぱりカラーで観たかったな。 MAHITOさん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-17 07:04:43)

1.オープニングにドーン!と登場する、田中絹代・山田五十鈴・高峰秀子の文字。
これは圧巻!
三人並びで名前がデカデカと出た時の迫力よ!
文字だけでこんなに迫力を感じるとは、いやはや、凄い三人衆だ。
邦画をそれなりに観てきた人なら、間違いなくこれだけで痺れてしまうに違いない。

しかし、内容の方はどうも面白くない。
淡々と進みすぎる。
成瀬作品にしては、凡作じゃなかろうか。

でも、各人の女優の持ち味がうまく出ていた気がする。
さすがは成瀬監督だ。
互いに存在感を殺し合うことなく、それぞれの登場人物が力を発揮していたのが見事だ。

それにしても、杉村春子の奮闘ぶりには、敢闘賞を与えたいくらいである。
上の大物3人衆を向こうに回しても、ひけをとらないどころか、食っていたようにさえ感じた。
にじばぶさん [DVD(邦画)] 6点(2008-11-30 20:14:41)

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【点数情報】

Review人数 23人
平均点数 7.78点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
300.00% line
400.00% line
514.35% line
6521.74% line
728.70% line
8730.43% line
9626.09% line
1028.70% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.50点 Review2人
2 ストーリー評価 8.00点 Review3人
3 鑑賞後の後味 8.33点 Review3人
4 音楽評価 8.50点 Review2人
5 感泣評価 9.50点 Review2人

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