みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
16.《ネタバレ》 事前に町山智浩・春日太一「日本映画講義 時代劇編 (河出新書)」を読んだ上で、2022年GWに4Kリマスター・リバイバルを鑑賞。黒澤明「用心棒('61)」を起点とするリアル時代劇の流れによって制作されたとは言え、個人的な感想としては「のんびりとした東映時代劇らしさが残ってしまっている」このシリーズ。ところがこの作品における一乗寺の死闘=カラー画面がモノクロに変わり汚泥の中で多人数と闘う宮本武蔵、このシーンだけは物凄い緊張感と迫力があり、このシーンを見るだけの為に映画館鑑賞の元は十分取れた感がある。町山氏+春日氏の本の中で印象的だった記述はまず、監督内田吐夢の戦争体験。満州国の設立に参加した彼が敗戦による混乱を経験・戦後残留民として約7年間、極貧の中で生きてきた、という=この白黒シーンはそんな重苦しい戦争体験を表したのではないかという感想を私、持ったわけですよ。そしてもう一点、正月ロードショーとして公開されたこの映画、その年の興行収入6位だったにも関わらず東映上層部の評判よろしくなくこの作品でシリーズ打ち切りの可能性もあった、という事。藤子・F・不二雄先生のオバQだと思ったら実は「劇画・オバQ」だった、位の観客の戸惑いが東映上層部には映ったんだろうなぁ。...え〜、とにかく日本の時代劇史上屈指の名作ですので機会がありましたら。特に1作目(新免武蔵=中村錦之助のギラギラ感が素晴らしい)と4作目のこの作品は必見。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-06-25 07:12:46) 15.《ネタバレ》 唸る。 武士の風上におけないような敵の出方。 それに対して、武蔵も必死である。 たとえ子どもとはいえ、大将なら斬らねばならぬ。 闘いの後、第1作のような自問自答の孤独な戦いに戻る。 そしていよいよ最強の佐々木小次郎との対決が次作で待っている。 世間からも悪評高い男となり、いよいよ孤独な武蔵に待ち受けている 結論とは? 待て!完結編へ! 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-11-16 18:12:58) ★14.この「武蔵」だけは稲垣浩に譲れない。 内田吐夢の「宮本武蔵」は眼が血走るような殺気と色合いに満ちている。 たった1人で吉岡一門総勢73人と戦う状況に追い込まれる武蔵。 でしゃばる小次郎など引っかかる演出も多いが、武蔵の凄まじい殺陣を見ればそんなものはどうでも良くなる。 一人、また一人吉岡一門を斬っていき、やがてラストの壮絶な決闘へと戦いはエスカレートしていく。 万全の体制を期す一門だが、既に武蔵は山ので待ち伏せ、一門打倒の策を練り上げる。 策といっても、武蔵も生きるか死ぬかの命懸けの策。 武蔵の策は常に死中に活あるのみ・・・! 名乗り挙げるやいなや猛スピードで一門に斬りかかる迫力! 戦に卑怯もクソもあるか、戦場にいるなら問答無用で斬り捨てるのみ! 泥まみれの死闘は圧巻だ。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-02 00:46:14) 13.《ネタバレ》 まず、ロケシーンを褒めたいです。原作通りに三十三間堂を使ったと思える伝七郎との決斗。長い廊下をフルに使う描写が闘いの緊迫感を盛り上げます。そして朝靄の下り松。書割と見紛うほど、絵画的な美しさを湛えています。その後に起こる事に是非も無くのめり込まされる情景でした。 伝七郎戦と下り松のギャップが本作のテーマだと思いました。遊郭からお遣いにでも行くように出かけて、伝七郎を殺して帰ってくる武蔵。死を覚悟し、お通さんに心情を吐露した後でも、生き延びる為に泥の中を這いまわって逃げる武蔵。この落差は「本気度」の違いです。伝七郎戦は勝ってあたり前。武蔵の底が見えません。下り松の必死の状況で、生への執念を見せる武蔵が実像なのだと思います。「死中に活を求める」と云う言葉があり、下り松の武蔵はまさにその通り。でも、その姿は決してカッコ良いものではありません。「我、事に於いて後悔せず」とか言いながら観音像を彫る。後悔アリアリです。彼は「兵法者」としての矜持を貫いたのだと思うけど、闘いの後に訪れる虚無感までは思い至らなかったようです。それはここまでの4作を見て、通底している概念だと思いました。 余談です。吉岡一門は武蔵を殺したいだけ。武蔵は何をもって勝利と捉えるかを考え子供を殺しました。両陣営の目的が完全にすれ違っています。こういう場合は概して「泥仕合」になります。私はそこに、かつての「異種格闘技戦」を見る想いでした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-02-17 23:18:11) 12.一乗寺下り松。わたしゃ子供の頃に、武蔵が地形と敵の配置を書いた紙を布にくるんで鉢巻にするのを見て、ああ、覚えにくいことはこうやれば頭に入るのか、とエラく納得したもんでした。が、ホントに効果があるのかどうか、この歳になるまでまだ試したことはありません、ハイ。本作、吉岡一門との最終決戦が描き、伝七郎との対決あり、73対1の壮絶な死闘あり、五部作の中でピークをなすような作品ですが、その分、やや大味な感じが無くも無く。ただ、武蔵が主人公とはいえ、本作ではむしろ武蔵の理不尽な挑戦によって滅亡の道を歩む吉岡一門の悲劇がクローズアップされ、一方の武蔵もまた、下り松での決闘は不本意な文字通りの“泥仕合”となった上、比叡山の坊さんに、鬼、悪魔と罵られる。一体、この戦いに勝者はあったのか。という、一大バトルを描きつつも、剣の道に対する信念の揺らぎをも描いて、これはもう何が何でも最終作を観なければ(笑)という気分にさせてくれる、なかなかに「お上手」な心憎い作品でもあります。ところで、小川べりを歩くシーンは、上賀茂神社でしょうか。伝七郎との対決の場面は、三十三間堂ですね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-09-24 22:07:54) 11.《ネタバレ》 これはシリーズ中、一番ダメな話でした。武蔵が強すぎる。清十郎も伝七郎も一撃であっさり倒してしまいます。それでも剣の道を極めようとか言っていますが、ここまで強いとどこへ行くのかという気がします。本作の武蔵は単に相手を切り捨てる殺戮者という感じしかせず、魅力が感じられません。だから吉岡一門との決戦もあまり面白くない。ただしこの決闘で幼い源次郎までも倒したことが、武蔵に大きな変化をもたらしたようで、最後に観音様を彫る姿がもっとも心に残りました。最終編は楽しみです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-08-21 22:59:39) 10.どこかに仕えている侍の物語では忠義がテーマになるが、武蔵にはそれがない。それなら爽やかさを生みそうなものなのに、彼は忠の代わりに「剣の道」という精神主義に目覚めてしまい、人間としてはさらに始末が悪い。精神主義の剣豪の反対側には、家を背負う吉岡一門があり、本作のドラマ性は、その対比から生まれている。今までは対戦相手との了解済みの果し合いだったが(たとえば宝蔵院の阿巌を倒しても寺は恨まなかった)、家を背負った者はその家の安泰を願いだす。家の存続のためなら、あらゆる手段を可能とする。そういう方向へ歪んだ剣術の名門家と、精神主義で研がれすぎた剣の道と、二つの噛み合わない思想が一乗寺下がり松で激突し、少年を含む多くの命が失われていく。ただ立ち回りとして迫力があるのではなく、狂気の氾濫が凄まじいのだ。「寄るな!寄るな!」と叫びながら泥田の中を逃げ回る武蔵は、常に自分を批判的に見ていた唯一の正気保持者河原崎長一郎の目を斬る。主人公が勝つ活劇映画の頂点で、主人公がこんなにも追い詰められて描かれた作品があっただろうか。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-29 09:28:27) 9.《ネタバレ》 '10.10/8鑑賞。内田吐夢監督「宮本武蔵」5作連続鑑賞予定の第4作。 この一乗寺の決斗は戦略含め「七人の侍」の逆パターンの印象を受けた。カメラワーク、白黒場面、奇襲戦法、走る走る走る、振り回す振り回す等々。 73人:1人の戦い、十分肯ける。武蔵の強靭な身体、櫂を刀代わりに扱える身体能力も肯ける。 【ご自由さん】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-10-09 17:46:59) 8.《ネタバレ》 1対73の対決がラストで炸裂! 動きのある対決シーンも勿論見事だが、何と言ってもロケーションと、その演出が飛び抜けて良い。 下り松とやらの大木が、田んぼの真ん中にそそり立っている。 それを早朝明け方の薄暗い映像で見せる。 戦いの火蓋が落とされる前の緊張感。 このモノクロめいた、明け方の映像から滲み出る緊迫感の演出がとにかく見事! 陽が昇る前の静けさと不気味さ、戦いの前の緊張感、暗がりにそびえ立つ下り松の不気味な迫力、そして武蔵の鬼気迫る眼光。 いやはや、このラストシーンは内田吐夢の並々ならぬ気合いを感じ、観ているこちらにもその気合いと緊張感がビシビシと伝わってくるシーンだった。 時代劇映画の中でも屈指の傑作であることは間違いない。 (P.S.) 高倉健の佐々木小次郎が、なかなかの魅力。 どこかコミカルだが、とてもスタイリッシュでもあり、カッコいい。 「だまらっしゃい!」 これにはシビれ笑けた。 その他、佐藤慶、河原崎長一郎、平幹二朗ら脇役陣も個性溢れる熱演を披露。 ただし、入江若葉は相変わらず気持ち悪かった。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-06-05 00:53:16) 7.《ネタバレ》 なぜ今の邦画の監督は骨太の時代劇が作れなくなってしまったのか。 今の時代劇は明らかに軽い。軽すぎる。で、きれいすぎ。匂いもなにもない。 もはや現代人にはこういった時代劇は作れないのかもしれない。 梶原一騎小島剛夕の最高傑作「斬殺者」をこの監督に映画化ほしかった。 (年代が違うけど) 今の監督、俳優で作れる人いる? 【うさぎ】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2009-04-09 22:15:04) 6.このシリーズ、全部レベルが高くて面白いけどその中でも特にこの4作目が最も素晴らしい!宮本武蔵シリーズ中、最高傑作はこれだと自信を持って言うことが出来ます。素晴らしいシーンが山ほどある中でもこの作品のタイトルにもなっている一乗寺の泥だらけの畑の中を這いずり回る殺陣のシーンは時代劇史上に名を残す壮絶なシーンだ!中村錦之助の俳優としての地位を決定付けたこの素晴らしいシリーズ、その中でも一際、輝いて見える作品だと思います。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-22 22:13:42) 5.《ネタバレ》 武蔵(中村錦之助)と吉岡一門の最終決戦を描くシリーズ第4作。昔に見た時もこの回は見ていて思わず唸ってしまったのだが、やはり今久しぶりに見てもこのシリーズはこの4作目が最高傑作だと思うし、それだけではなく、連続ものシリーズということを考えなくても純粋に一本の時代劇として素晴らしい映画になっていると断言できるほどのすごさを持ち合わせている。ドラマとしては吉野太夫(岩崎加根子)の琵琶の話や、武蔵と城太郎(竹内満)との別れのシーンが印象に残るのだが、やはりクライマックスの一乗寺での吉岡一門との最終決戦はまさに壮絶という言葉がぴったりと当てはまるほどの壮絶さで、この部分だけ白黒になるという演出の効果も相まってすごくリアルに感じられる。また、武蔵の挑戦によって滅亡の道を歩むことになる吉岡一門の側のドラマもしっかりと描かれていて、それによって映画に深みが出ているのも良かった。中盤の伝七郎(平幹二朗)との三十三間堂での対決がクライマックスの大決闘とは対比的に描かれているのも印象的。一乗寺での吉岡一門との最終決戦で名目上の侍大将である子供を殺してしまった武蔵だが、やっぱりこれは今後の武蔵の人生に大きく影響することになるのだろう、ラストシーンの菩薩を掘っている武蔵からは虚無感しか感じられず、決して爽快感のあるラストではないのだが、この見る者に一乗寺の決闘の意味を投げかけてくるような終わり方も、すごく考えさせられるラストになっていて、ここにもこのシリーズの人間ドラマとしての深みを感じずにはいられない。(2021年3月7日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 9点(2005-05-16 00:01:38) 4.剣術の世界で圧倒的な強さを誇った宮本武蔵の青年期を描く、吉川英治原作「宮本武蔵」の映画化。エンターテイメント時代劇としては抜群におもしろく、学生時代にはのめり込むようにして読んだものです。また、沢庵和尚にお婆に又八、お通に朱実といった多彩な登場人物を絡ませる人間絵巻は、文豪吉川英治の人生訓がそこかしこに散りばめられており教えられることも数多かった。この全五部作からなる一連のシリーズでは、主人公武蔵を迫真の演技でもって好演した中村錦之助はもちろんのこと、巨匠内田吐夢のゾクゾクさせてくれる丁寧かつ味わい深い演出も見どころです。《ネタバレ》今作のクライマックス、一乗寺下り松で繰り広げられる壮絶な決闘シーン。武蔵が修羅のごとき形相で、我が子をかばう父親もろとも源次郎少年を斬り捨てるという凄絶な描写には思わず唸ってしまった。この鬼畜さながらの非情な剣術体験が武蔵を苦悩させ、人間宮本武蔵の大きなターニングポイントとなる。みなさんの仰るとうり今作の決闘シーンがシリーズ中、最大の見せ場ですね。 【光りやまねこ】さん 8点(2004-09-27 15:17:39) 3.《ネタバレ》 シリーズの中で一番の傑作はこれではないかと思っています。皆さんお書きの通り、何と言っても圧巻は、錦之介の殺陣ですね。吉岡一門との最後の決戦の地。大木の下に辿り着くまでの、泥田の中を走り回る武蔵の狂気。それまでのカラー画像から、一転してモノクロームになるのも迫力を出すのに一役買っています。観ているこちらも息を止め一緒になって戦っているかのような印象を持たせる演出・カメラワーク、どれをとっても、なかなかここまでの迫力は出せません。刀を手に縛り付けて、阿修羅のような戦いを魅せる武蔵の狂気を、単なる殺人鬼に思わせない演技には脱帽ですね。しかしながら、子供を仕留めるという最後の壮絶な場面と無念さがやるせなさを感じさせます。その後の武蔵の葛藤のきっかけになることですからね。 【オオカミ】さん 9点(2003-12-27 03:10:01)(良:1票) 2.クライマックスを存分に楽しんでください。 【東京50km圏道路地図】さん 7点(2003-12-27 01:46:41) 1.武蔵と吉岡一門、戦いの物語である第四部。そして五部作最大のクライマックス、武蔵と73人が戦う一乗寺の決斗は必見。この辺りから、武蔵の影も広がっていく。某大河ドラマを許せなかった人はこちらを。 【紅蓮天国】さん 8点(2003-10-15 16:13:44)
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