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コメント数 34
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 基本、好きな作品、気になる作品のみコメントします。批判的なコメントを書くとしたら、怒りを覚える映画です。だからそうそうありません。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 もう待ちきれなくて仕事帰りに、最速公開日のレイトショーにて鑑賞。 本来、早々にレビューをアップして、お祭り騒ぎに便乗しようと目論んでいた。「シン・ウルトラマン」の時と同様に。 しかし、今回は手強かった。今自分が観たものをどう判断していいのか困惑していた。 果たして傑作だったのか、キワモノ映画だったのか、脳内整理が瞬時で付かなかった。 冒頭にいきなり結構エグい暴力描写が続き、その上池松ライダーの暗い表情がモチベーションを下げてくれる。 緑川博士や、ルリ子の説明も唐突で、言葉が頭に入らない。何が何だか。 クモオーグの乗った逃走車両が昭和ナンバーの古い国産車だったりして、時代設定も分からなくなり、混乱度は更に高まる。 しかし、その後に、政府機関の2人の強烈な登場で、今回の映画の世界観がぼんやりと浮かび上がる。 その先、パート構成で物語はテンポ良く進み、こちらも画面に集中して楽しめる。そう、楽しめたのだ。 思いがけないキャストの登場や、チープさを敢えて払拭しないコマ落としの様な特撮での演出など、 放映当初の「仮面ライダー」、あるいは原作漫画へのリスペクト、愛情、こだわり等がいきなり溢れ出てくる。 柄本ライダーの登場で雰囲気にも明るさが加わり、怒涛の展開が「スッキリ」させてくれる。 政府機関の二人が名乗るシーンは、「そう来たか!」と膝を叩いてしまう昭和的反応。 うん、確かに楽しめた。 ただ、一緒に観た作品背景を知らない妻は腑に落ちていない表情であったし、分かる人には分かるというストーリー構成、 またPG12である事は「仮面ライダー」としてどうなんだろうか。 「シン・ウルトラマン」は全ての世代が楽しめる明るい作風であり、観賞後の爽快感があった。 「シン・仮面ライダー」は観終わった後、劇場を埋めていた親父達は、帰りがけに連れにどう感想を述べようか悩んでいる様な、 そんなモヤモヤ感が漂っていた。 でも鑑賞後二日経った週明けの朝に思う。 やはり心に刺さっていた。そしてもう一度確かめに劇場に行きたい衝動。自分は決してこの映画が嫌いではないと。[映画館(邦画)] 7点(2023-03-20 08:21:44)(良:3票) 《改行有》

2.  すずめの戸締まり 《ネタバレ》 3.11を根底に描いた映画は数あれど、ある種のケジメや未来に向けての「希望」を持たせてくれた作品として貴重。 確かに心にトラウマを抱えている方々にとって、この作品の一部にある震災描写や、スマホから発せられる緊急地震速報の音は恐怖であり、鑑賞に注意が必要かもしれない。 ただ実際には、「すずめ」が心の奥底に抱えているわだかまりの払拭、あるいは自分が行動しなくては厄災を防ぐ事が出来ないという使命感、それに立ち向かう為の旅立ち、そこに共感と勇気が与えられ恐怖が和らげられる。 その描写は明快であり、心が揺さぶられる。 そして旅の先々で出会う人々の優しさ。ここに本当に胸が熱くなった。善意のロードムービーである。 愛媛の民宿の女子高生も、神戸のスナックのママもその存在は人のあるべき姿。何か行動しようとする者をひたすら応援する。 そこに恐怖に打ち勝つ「希望」が感じられた。 3.11の直後に見られた、ボランティアの方々の迅速かつ的確な人道的行動、また国内、世界各国から寄せられた支援や温かい言葉。何か重なるように思い出してしまう。 もちろん、災害は毎日の様に世界中で発生しているし、「閉じ師」がどれだけいれば世界を救えるかなんて考えると、このアニメも所詮甘ったるい空想にしか過ぎない。海外の災害に神道が通用するとも思えないし。 しかし、鑑賞後に感じたある種の幸福感は、確実に「希望」とイコールである。 「すずめ」の選択した行動は尊く、新海監督の熱く強いメッセージとして受け取った。[映画館(邦画)] 8点(2022-12-14 08:44:41)《改行有》

3.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 週末レイトショー。 待望の「シン・ウルトラマン」、公開初日の鑑賞。 昨年の庵野秀明展で購入したTシャツで身を固め、いざ光の国へ。 庵野秀明さんがエヴァンゲリオンで何しようとそれは構わない、彼のモノだから。 でも、ウルトラマンはみんなのモノ。悪戯に余計な解釈や、難解なテーマ等を乗っけてきたら許すまじと、 期待と同時に覚悟を決めて挑んだ2時間… …流石に彼は見事な職人であったと。 オリジナルへのリスペクト、愛情。 冒頭のタイトルバックからしっかりと伝わってきた。 そして現実と空想の無理のない調和、これはシンゴジラで見せたテクニック。 もちろん、観客が期待しているレベルでエヴァテイストの禍威獣(怪獣)の造形とバトル演出は しっかりと盛り込んでいる。 確かにシンゴジラと比較すると、スケール感に乏しい部分は否めないが、 ゴジラは元々反核を訴えたシビアな社会派映画、 ウルトラマンは30分で、夢と希望とたまにシニカルなスパイスをお茶の間に届けてくれたTVドラマ。 このコンパクト感と詰め込み感すらも愛おしく思えてくる。 街が破壊され、泣き叫ぶ群衆の姿はこの映画には必要ない。 オヤジ達で溢れた夜の映画館からの帰り道は、妙に清々しい気持ちでありました。[映画館(邦画)] 8点(2022-05-14 08:43:32)(良:5票) 《改行有》

4.  燃えよ剣(2020) 《ネタバレ》 司馬遼太郎の「竜馬がゆく」と「燃えよ剣」をバイブルの様に読み倒している熱烈信者が 自分の世代(昭和30年代生まれ)には多いと思う。まさに自分もそう。 ただ、過去何度も映像化されてきたこの二作品、原作への思いが強すぎて正直期待を裏切られるものが多く、 今回もあまり過度な期待はせずに観賞しようと思っていた。 しかし、コロナ禍により封切りが一年半以上も伸びてしまった事で、否応なしに熱い思いが高まってしまう。 製作者には気の毒だと思うが、そんな面倒な司馬信者が、封切り早々に劇場へ足を運んだ。 結果、よくぞこの150分間であの原作の持つ情熱を描き切ったと、心より感動している。 当然、一年かける大河ドラマでも十分対応可能な原作だけに、端折られるエピソードがある事は致し方ない事。 ではどこをどう端折るか、そこがポイントであろう。 例えば芹澤、沖田、山南らと大坂に出向いた折の力士との乱闘事件や、 勇猛果敢な土方が初の海戦に挑み、新政府軍の軍艦に接舷して殴り込みをかける史実など、 映像的にも映えるであろうシークエンスがバッサリ切られている。 また、鬼の副長としての土方像の描写。古高への拷問シーンなど実に薄いし、 局中法度にしても隊士が恐れている場面がほとんどない。この端折りの決断はかなりの勇気だと思う。 でも、鑑賞後何故かそんなに気にならない。 考えてみれば、原作を読み込んだ者にとって、単に幾つかの描写が削られていただけで、 今回の映画の描きたかったテーマが失われてる訳では無いのかもしれない。 それよりも「ゆきは今宵乱心します」…このセリフ!!柴咲コウ、見事!土方と心から情を交わした「恋人」ゆきとのフィクション。 ここを実に大切に描いてくれている。この壮大なドラマの中で最も涙腺が危険であった場面。 原作ファンはおそらく、このセリフが出た時、忘れていた何か甘酸っぱい記憶を何十年か振りに思い出したに違いない。 土方がフランス武官に過去を語っていくという流れも自然で、このドラマ初見の観客にも優しい構成だと思う。 演者も実に見事。深堀はされなかったものの近藤勇の鈴木亮平は過去最高のキャスティングではなかろうか。 音楽の構成も美しい。最近最高の歴史ドラマ。 原作も改めて再読したい。[映画館(邦画)] 8点(2021-10-18 08:26:49)(良:1票) 《改行有》

5.  竜とそばかすの姫 《ネタバレ》 仕事や旅行で何度か訪れた事のある高知県。大好きな場所。 都市部は駅前や市中心のわずかな地域で、東西に長い地形は北方に10分も車を走らせると緑豊かで長閑な風景となる。 広大な海も魅力的な高知だが、この映画の風景は川が主役。都市部を流れる鏡川、山間部へ上り沈下橋のある風景は仁淀川。 その美しい川々と、高いビルの無い高知の都市部(それだけに空が広く、雲の美しさが際立つ)が現実世界の舞台となる。 この土地に暮らす高校生達の都会願望が描かれていないのは、細田ワールドならでは。方言や訛りが無いのも現代っぽい。 監督の田舎への憧れと望郷の念が強く感じられ、そこは新海監督の作品との対比としても面白い。 一方でネットの中の仮想空間「U」。煌びやかで自由で果てしなく可能性のある理想空間。 ここの描写は「サマーウォーズ」よりもやや現実的に描かれており、いかにも近々に実現しそうな世界観。色彩と光の表現が見事。 Belleの歌唱シーンはそこだけMVとして切り取ってみても、おそらく超絶に高品質。 またこの空間で「サマー…」同様ネット空間を回遊するクジラは土佐の海の象徴であったのか、悠々として圧巻。 ストーリーにおいては、土佐っ娘の鈴が一人で深夜バスに乗って遠方に出かける決意をしても、 しのぶくんをはじめ、親友達、おば様達の誰もがそれを止めも、ついて行こうともしない不思議とか、 その先東京の多摩川近くの住宅街に迷いもせずにあっけなく鈴がたどり着いてしまうシチュエーションとか、 DVされていたこどもとタイミング良く外で出くわす偶然とか、 そのこどもを庇う鈴にDV親父が上げた拳を下せなくなってしまった理由とか、 そもそも素敵なおば様たちと鈴とのなれそめとか、深堀すれば劇的であろう多くの場面の解釈を 細田監督が鑑賞者に丸投げし過ぎている点には大いに違和感を持つ。 しかし、鈴を取り巻く高校生達の可愛らしい関係性、地方都市へのリスペクト、 そして何よりも作品の持つ高揚感、映像の奥深さと美しさが、そんな違和感すら凌駕して、 鑑賞後の爽快感と充実感に繋げる。 コロナ禍で旅行もままならない現状、細田監督はネットではなく映画でひと夏の素敵な経験をプレゼントしてくれた。[映画館(邦画)] 7点(2021-08-10 08:47:24)(良:2票) 《改行有》

6.  雲霧仁左衛門 《ネタバレ》 池波正太郎原作であれば、余韻や人情の機微を期待してしまう。 例えば無駄な殺生はしない真っ当な(?)盗賊は、火盗改めを小気味よく出し抜いたり、 悪運尽きてお縄にかかる時は潔く…それが池波スタイル。 ところがこの作品は、そこがおざなりになっている。 大仰な斬り合いが多い割には、双方が知略を尽くすという醍醐味は殆ど感じられない。 フジテレビのシリーズや最近のNHKのBS時代劇の方が、そこは丁寧で、事実名作も多い。 それと、裸のシーンがやたらとあるのも、制作時期ならではかもしれないが、なんか下品。 ただ、高松英郎、長門裕之、夏八木勲らの脇を固める名優陣の抑えた演技は素晴らしく、 池波スタイルを何とか保持している感があった。 終盤の名古屋城の仇討とかを無理に入れずに、ラストの仲代達也と市川染五郎(六代目)の解合のシーンに もっていけば後1点追加だったような作品。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2021-03-30 08:27:43)《改行有》

7.  罪の声 《ネタバレ》 35年前の事件を題材とした、硬派な人間ドラマであった。 当時、大学生だった自分はコンビニで深夜バイトをしており、本部からの要請で菓子棚を一斉に調べて、 その事件にかかわるメーカーさんの商品を全て撤去した経験がある。 スカスカの売場を呆然と見つめて、無性に腹が立った事を鮮明に覚えている。 今回の映画、派手さは一切無いものの、実に誠実に、サスペンスフルに作り上げられた傑作。 キツネ目の男の登場には、ゾクっとしたなぁ。 時効になっても決して終わっていなかった事件の全容を、リアルな仮説でストーリー化、 当時から感じていたモヤモヤ感が少し晴れた思いだ (余談:桜木健一さんが柔道着で登場したシーンには思わずニヤリ。昭和ネタ!)。 あと、宇崎竜童さんの役柄。とても格好良く、良識が備わった老紳士然として登場する。 しかし、その存在と行為をしっかりと糾弾する小栗旬さん演ずる新聞記者。ここは本当に良かった。 作者の良心を感じた。 主役格の二人、懐かしいベテラン勢、子役、皆さんとても聞きやすいセリフ回しと、迫真の演技で引き込まれた。 最近の邦画のベスト。[映画館(邦画)] 8点(2020-11-24 08:40:02)(良:1票) 《改行有》

8.  男はつらいよ お帰り 寅さん 《ネタバレ》 柴又からほど近い、下町の空気が感じられる葛飾区の映画館で鑑賞。 冒頭、主題曲を桑田さんが歌うと言う事で、やや不安を感じていたものの、 奇をてらわずに、とうとうと歌唱した桑田さんに深い「寅さん愛」を感じた。 懐かしすぎる数々の思い出のシーンを挟みながら、寅さんの甥っ子、満男の現在を描いていく展開、 そこに登場する人物には、悪意など一切無い。 出来の良すぎる娘、優しさに溢れた編集者、偶然出会えた昔の恋人。。。 そして満男の中に、確実に寅さんの心意気が引き継がれている事、そこに何よりも安堵する。 ご都合主義でもなんでもなく、寅さんから満男に贈られた奇跡がそこにある。 そして、鑑賞者たる自分たちにも、正月映画として新作の寅さん映画を劇場で観る事ができた奇跡。 米寿となられた山田洋次監督が、今この映画を通して伝えたかったもの。 それをしっかりと受け止めて、語り継いでいく事が寅さんを愛した者たちの責務だと思う。[映画館(邦画)] 9点(2019-12-30 08:03:22)(良:1票) 《改行有》

9.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 埼玉県出身の妻と、千葉県に住み続ける自分が、松戸の自宅から、都内下町にある亀有の映画館で、妙に生々しい地元感を味わいながらの鑑賞。 常磐線経由で茨城に進み、そこから埼玉に入るという変なルートの違和感、それすらもしっかり落としていく、地元ネタへの踏み込み方に敬意を表したい。 明らかに土地勘ありまくりの場所が舞台なのだが、これだけdisられると、かえって快感になるから不思議だ。 リヤカーについていた「野田」ナンバーなんて、地元民には屈辱以外の何物でもないのだが、自分の車のナンバーの「野田」の文字が何故か愛おしく感じてくる。 最近の、特定地域や国に向けてのネット上での陰湿な悪口(ヘイトスピーチ)や罵り合いは、何とも不快で暗い気持ちになる。 対して、この映画のdisり合戦の根底にあるもの。おそらくそれは「愛情」だと思う。「愛」よりも「愛情」。 その「情」があるから、中途半端な遠慮やフォローの必要が無い。その潔さ、清々しさが、鑑賞後の爽快感に繋がる。 バカバカしくも、実に痛快な2時間でありました。[映画館(邦画)] 7点(2019-03-22 08:47:06)(良:3票) 《改行有》

10.  横道世之介 《ネタバレ》 正月休みにゆったりと鑑賞。で、題名から感じ取れる長閑な印象のみを頼りに、全然予備知識も無い状態で観たのが本当に良かった。 それと自分の中での吉高由里子という女優のポジショニングが、どうにも定まらなかったのが、当作品鑑賞後に明らかに大好きな女優として位置づけられた。学祭のサンバ部の楽屋で、彼女が世之介を団扇で扇ぐシーン。扇ぐ勢いが喜びの度合いで変化して、犬のしっぽみたいで本当にカワイイ。その後のカーテンに包まるデレデレシーンは言わずもがな。 さて、物語。おそらく自分よりやや下の世代の1980年代の彼らの生活は、多少の非日常的な出来事はあっても、おおよそ親近感が持てる程の存在に感じられ、懐かしさという感情が自然と湧き上がる。 人生について特に目的もないが、決して厭世的ではなく、人に対して当たり前に優しい。恋愛に対しても遠慮はしないが、ガツガツもせず、どちらかというと受け入れる事で成就される。そういった主人公を好きにならずにいられない。 時代を前後させる演出においても、実に自然で押しつけがましい主張がない。これが観ていて大変心地良い。 あんな奴がいたな、という誰もが持つ過去の友人に対しての感慨を、空気感と優しい台詞だけで表現する。途中ラジオの放送で知る事となる、世之介が関わってしまった、ヒロイックで劇的な「ある事件」すらをも劇中では、サラッと流してしまう。映画を観ている側はとても切なくなってしまう一瞬であるが、当時世之介に接していた友人や家族、恋人は彼の事を笑顔で思い出している。 こんな日本映画、最近あったか?いや昔もあったのか? 出演者全てが好演。画面が美しい。心に留まり続ける宝物のような映画。観終わるのが寂しい。鑑賞後、制作側の「笑ってください」という思惑に反し、少しだけ涙を堪えきれなくなった。この件については自分が歳を重ねてしまったから。[ブルーレイ(邦画)] 9点(2015-01-05 07:52:49)(良:4票) 《改行有》

11.  激動の昭和史 沖縄決戦 《ネタバレ》 仕事で沖縄を訪問した際に、彼の地で起こった激戦の史跡を見る機会に恵まれた。それぞれ資料館も併設されており、悲壮な史実も改めて知るに至った。 その勢いで帰宅後、この映画をDVDにて再見。 岡本喜八監督は「死」の表現を、それこそ圧倒的な艦砲射撃のような勢いで描き続ける。そして観るもの全てに容赦なく「死」を叩きつける。 切腹という自決方法を選んだ牛島中将や長(ちょう)参謀長の「死」(切腹の様式美にこだわろうとする幹部面々の思いがめちゃめちゃになる演出が秀逸)から、戦車に轢き殺される兵員の「死」、鎌で幼子と自らの首を掻っ切る「死」、乙女達の服毒「死」。本当にあっけない。感傷などに浸っている隙もないほど当然にそして慌しくそこにある「死」。 その「死」の持つ意味を見出す事が鑑賞後の責務といえる。 実際、その期間の沖縄に何が起こったのか、じっくりと考える時間を持たねば、この映画も史実も単なる悪夢に過ぎなくなってしまう。 この沖縄戦に限って言えば、自決を含め、兵士や士官の死(日米双方)は殉死であり、刀を振り上げて突入する姿はある意味悲壮感とは程遠く、覚悟を決めて「格好良い死に方」を自己表現出来た幸せな「死」であったといわねばなるまい。 一方で敵味方に自らの大地に踏みにじられ、訳も判らないうちに「皆死ぬんだから」という空気の中で、集団自決を強いられた多くの県民の「死」は、それこそ浮かばれるはずも無く、ただ、ただ悲惨で残酷である。決してここの地の「死」は平等では無い。 それだけに、「戦場を歩く少女」が、ラストで死者の水筒を手に取りその水を飲み干すシーンの清々しさは鮮烈な印象であった。生きる権利を掴み取った者の強さとたくましさ。彼女こそ、戦後の沖縄県民の象徴であり希望である。 重い重い2時間半の最後にやっと救われた思いがした。 日本軍部、アメリカ軍、それぞれの思惑に翻弄され続け、県民全体の約4分の1の尊い命を失い、さらに四半世紀も占領下であり続けた沖縄県。戦争前から続く侵略と略奪の歴史。現在の基地問題。等々・・・。 常に歴史の厳しさの矢面に立たされながらも、どこかで「受け入れる事」「共存する事」を日常化してしまっている沖縄県民。愛おしすぎる。 日本人として見るべき映画。[DVD(邦画)] 8点(2012-11-04 16:41:05)(良:2票) 《改行有》

12.  世界大戦争 幼い頃、土曜の昼間にテレビで見て、無性に怖くトラウマとなった作品を40年振りくらいにDVDにて再見。台詞回しや、ミニチュアの特撮に時代を感じるものの、ドラマとしてしっかり腰を据えて作りこまれている。東宝映画スタッフの良心に敬意を表したい。 再見後、改めて思った事。それは、終末戦争の危機感と並行して、世の矛盾をあらゆる角度から見せつけている作品であるという事。 軍人や政治家を含め、世界の誰もが核戦争なんて望んでいる訳ではないのに、明らかにその愚行に進んでいくシナリオを書き治せない各国首脳。戦争の悲惨さを敗戦を通じて十分に理解しながらも軍需産業の株価に一喜一憂する一般庶民。 ラストの笠智衆の船上での「人間は素晴らしいもんだがなあ。一人もいなくなるんですか、地球上に」という発言こそ、まさに言い得て妙である。 この矛盾の打破(もちろん善意の方向に)をしない限りは、常に終末への不安は消え去らないという事を改めて考えさせられた。 主人公フランキー堺の夕陽に向かっての絶叫は確かに感動する。但し、そこに自己批判もあって欲しかった。終末は政治家や軍人が勝手に起こしているだけではない。本当に戦争を望まないという庶民の意識にも変化が必要だという事を。[DVD(邦画)] 7点(2012-05-23 08:38:27)《改行有》

13.  トラ・トラ・トラ! 感情移入しない淡々とした演出で、国内外の政治的駆け引きを前半これでもかと見せつけた上での、後半の戦闘シーンのカタルシス。大本営発表によって歓喜した当時の日本国民同様、歴史としての敗戦を周知している自分も、奇襲による圧倒的、一方的な戦果を描いたシーンには不謹慎にも興奮、喝采してしまう。 印象的な攻撃シーンとして、カーチスP40がゼロ戦の機銃掃射で離陸前に撃破される場面。何度見ても驚愕する。死傷者が出たという撮影の凄まじさは納得できる。またレシプロ機といえども、急降下で迫りくるそのスピード感はCGでは表せないであろう迫力である。 しかし、本命の攻撃目標たる空母を発見できない状況下、南雲中将の弱腰の帰還命令や、山本長官の虚しい思いを述べたラストシーンで、あっけなく現実に引き戻される。実際、その後目覚めた巨人の国を挙げての復讐戦のすさまじさは、日本国民に取り返しがつかない犠牲を生んでしまった。 ほとんど軍人と政治家、外交官関係者しか登場しない劇中、彼らの苦悩、悲劇がストレートに感じられた。日米合作である事の意義が見事に活かされている。 そして日本軍人の凛々しさと尊厳を、ハリウッド資本の映画でここまできっちりと描く事を是とした米国製作者一同に心から感謝。[DVD(字幕)] 10点(2009-04-22 21:53:05)(良:1票) 《改行有》

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