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1. LAMB/ラム
《ネタバレ》 つまらない。
内容がない。
とにかく、作中、何も起こらない。
この映画で起こった出来事といえば、「羊人間を育てることになった」「羊人間の母親を殺した」「謎の羊人間に殺された」この3つのみ。
本当にそれしかない。
羊人間の子供を育てる、ということになり、これから何が起こるのか期待して見るが、ラストシーンまでほとんど何も起こらず終わる。
弟が家に来るが、来たからなにか起こるのかというとやっぱり何も起こらない。彼はただ帰っていく。
2時間ひたすら、この何も起こらないダラダラとしたシーンを見せられる。
美しい自然、そこで二人だけで暮らす夫婦、という情景は美しいんだけど、それだけで2時間は無理というものだ。
羊人間をごく普通に育ててしまうという不気味さと、陰鬱で孤独な日常風景が、かなりホラーで、その点は楽しめる。[インターネット(吹替)] 3点(2023-02-24 20:34:10)《改行有》
2. 残された者 -北の極地-
《ネタバレ》 かつてここまで陰鬱な気分になる映画があっただろうか。
宗教映画でも見てるのかというくらい受難につぐ受難。
見てる間、頭の中をひたすら「絶望」という言葉がよぎりつづける
ブラピ主演の「レベナント」を見たときはずいぶん絶望的かつ暗い映画だなあと思ったが、あの映画の悲惨さが子供の遊びに思えるくらい、半端なく絶望的で暗い。
見てる間、ただただ、気持ちが暗くなること請け合い。
気持ちが昂りすぎて、なんとか抑えたい時に見るといいかもしれない(笑)
パイロットの女性は、いつまで経っても快方に向かう様子もなく、意思の疎通すらほぼできない。
それが何とももどかしく、いつかは元気になるだろうと期待しつつ見るが、弱っていく一方。
もう死んでるんじゃないの?と思えるような状態でも延々と献身的に運び続ける主人公の姿は感動的というより、ただただ悲惨という感じ。もう見ているのが辛い。
クレパスに落ちて足が挟まってもがき苦しむシーンは本当に直視できなかった。この映画を作ったやつはサドか、と言いたくなるくらいに痛々しい。
作中、早くどこかからヘリの音でも聞こえてきてくれとひたすら願いつづけてた。
そうでないなら、もう主人公が全てを諦めてあるがままに死んでいく方がまだ救いがあるとすら思っていた。
それでも最後の最後でなんとか救いがあって本当によかった。
ここまで「助かってよかった」と主人公の無事を喜べた映画はいつぶりくらいか。
こうやって、主人公に苦しみも喜びも同化できたのだから、素晴らしい映画といえる。
しかし、2時間くらい延々と悲惨な姿を魅せられて、救いのシーンはラスト数秒だけというのもすごいなあ。
またこの映画のすごいところは、そもそも、主人公にしろ、瀕死の女性にしろ、素性は一切不明。主人公があの状況に至ったいきさつも飛行機事故なんだろう程度のことしか分からない。
主人公の名前だけは、エンドクレジットで「ああ、名前は服に書いてあったんだな」と分かった。
場所がどこかも分からない。北の極地というのだから北極圏なのか?とタイトルから推測するしかない。ここまで情報のない映画もこれまた見たことがない。
本当に必要なものだけを残して削りに削った作りだからこそ、純粋に主人公の苦難を描くことができたのかもしれない。[インターネット(字幕)] 7点(2022-11-04 12:26:17)《改行有》
3. 湿地
《ネタバレ》 我々は子を生み育てることを無条件で尊いものだと考えがちなのだけれども、果たしてそれが正しいのか?そういうことを考えさせられる、非常に重いテーマを持った映画である。
最近は「生まれてくる子供が子供が不幸になるから」と「ブサイク」や「頭の悪いやつ」は子供を作るな、と言った発言がネットで見受けられる。これは、「負の遺伝子」が子供に受け継がれ、その為、子供が幸せになれないという理屈であり、いわゆる「反出生主義」というやつである。
人は生まれなければ、幸せを感じることもなかったかもしれないが、生まれたために不幸になることもある。
そしてこの映画は、まさに、自分の娘が負の遺伝子によって不幸になってしまったと考える男の苦悩の物語である。
彼にとっては、父によって娘を殺されてしまったようなものだ。いやそれどころではない、「父によって、自分が娘を殺すことになってしまった」のである。それはまるで呪いのようだ。
さらには、自分が、父親の不貞と脅迫によって、妊娠し生まれた子供ということも分かる。男にとって自分は「生まれないほうがよい存在」に思えたであろう。そして自分を生むことになった、父親に対する怒りや憎しみはすさまじいものだったろう。
ところが、だからと言って、娘の死の責任が、その親にあるとは言えない。レイプなどの犯罪行為は許される行為ではないが、子を作ったことそれ自体を責めていいのだろうか?
このジレンマを抱えたまま物語は救いもなく終わってしまう。
非常に悲しく、やるせない結末でろう。
刑事の娘が、お腹の子供を、悩みつつも堕胎ではなく産もうとする意思を見せたことだけが、最後の救いであった。
さて、この映画は、こういう非常に重いテーマを、サスペンス調に描くことで見事にエンターテインメントに仕上げているといえる。
そしてこの映画には生まれたゆえに自分が、または家族が不幸になったと感じる人の悲劇を殺人事件にからめて見事にエンターテインメントに仕上げている。
また、物語全体を通して醸し出される、暗く、陰鬱で、それでいて荘厳な雰囲気も素晴らしい。
アイスランドという万年冬みたいな国ならではの味わい深さであり、作品の重いテーマによくマッチしている。[インターネット(字幕)] 8点(2021-04-13 06:33:53)《改行有》
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