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1. 山猫
《ネタバレ》 ビスコンティでは、これが一番分かりやすくて、好き。
前半では、シチリア島からのイタリア統一を掲げていた革命軍から、国軍へと
転身したタンクレディ(ドロン)とアンジェリカの恋。
(アンジェリカの笑い声がヒステリックで怖い・・)
後半は、その革命軍の有志を討った男と貴族たちの宴。
ここで主人公のランカスターは、日和見な連中の中にいて、孤独を感じる。
貴族の没落を描くことの多いビスコンティは、ここでは退廃ではなく、
新時代になったことで旧体制との関わりの強かった貴族の没落を描く。
ここでランカスターはボソッとつぶやく。
「山猫と獅子は退き、ジャッカルと羊の時代が来る。
山猫も獅子もジャッカルも羊も自らを地の塩と信じている」と・・
題名の山猫は、ランカスターら貴族のことである。
誇りあるが、孤独な老貴族の後ろ姿に、映画冒頭の
引用文が思い出される。
「現状を保つには、変わるしかない」
いつの時代も変わらないですね(寂)[ビデオ(字幕)] 7点(2020-10-25 23:45:45)《改行有》
2. ヤコペッティの大残酷
《ネタバレ》 一言で言うなら、精液の匂いのする映画だった。ヤコペッティは、自分が子どもの頃、映画館に通っていたとき、やたら彼のドキュメンタリーのポスターがあったが、どれも子どもの見る内容ではなかったので、あれは何だろうと思っていた。あれから40年、発掘良品でとうとう鑑賞してみた。ひどい映像ばかりだが、カメラマンは有名なパゾリーニの撮影担当者らしい。ストーリーも歴史的宗教的な意味があるのだろうけど、それをふまえず観ると、ただのエログロナンセンスである。原案はボルテールの哲学小説「カンディード」から来てるらしい。哲学・・かなぁ、これ(笑)。途中、ホドロフスキーの「ホーリーマウンテン」を思い出したが、彼の方が女性からもてるだろうなぁと思った。最後は、男側の身勝手な世界観をたっぷり描いた後に、若者も同じような苦労をするなどと説教じみたことを言うから、ご苦労さんと心の中でつぶやいてあげた。[DVD(字幕)] 5点(2016-06-11 22:08:13)
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