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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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21.  アイアン・ホース アメリカ大陸横断鉄道建設の夢と希望の固まりに、冒頭10分で愛と復讐の人間ドラマが絡みつくことが予示され、レールが延びるとともに待ち受ける苦難困難に、遥か大平原のロングショットが詩情的に絡みつくサイレントという名の饒舌な映画です。その舌の上で、大量エキストラの鉄道工夫、インディアン、勇壮な牛の大群、酒場の喧騒、ロッキーの雪山が豊潤に溶けていき物語を彩ります。オマハから出発したユニオン・パシフィック鉄道とサクラメントから出発したセントラル・パシフィック鉄道が金のスパイクで結ばれ祝福されたのは、小文字な男と女の再会と、大文字なアメリカ、リンカーン大統領であり、実際使われた本物のアイアン・ホースのキッスは、人間ドラマという小文字の物語と国家という大文字の神話の甘い蜜月関係の始まりであり、“ランド・オブ・プレンティ”なアメリカの始まりにも見えたのでした。媒酌人はジョン・フォード。[ビデオ(字幕)] 10点(2006-01-23 17:53:49)(良:3票)

22.  キートンの大列車追跡 キートンの映画を見る楽しみの一つは、こりゃ~どうやって撮っているのだ、という<HOW?>に満ち溢れているところにあります。鉄橋が崩れ機関車もろとも川へ落ちていくシーンは、河童に尻子玉でも抜かれたような、放心へと誘います。前半追うキートン、後半逃げるキートン・・・通信線を切断したり、線路にモノを放置したり、ポイントを切りかえたりといった鮮やかな反復のリズム、走る機関車を横から捉えたスピード感覚、縦から捉えたディープ感覚、機関車を線路をあっちへこっちへのアクション、ユニフォーム一つで笑いと感動を呼ぶセンス、そしてラストのラブシーンをお得意の大群ネタで締めます。なにくわぬストーンフェイスで尻子玉を抜いていくキートンは、サイレントコメディの流れの中を自在に泳ぐ河童だったのであります。10点(2005-01-15 23:11:16)(良:3票)

23.  丹下左膳 百万両の壺 オリジナルは、大河内傳次郎、喜代三(きよぞう)、沢村国太郎、花井蘭子、これらの役者の芳醇な雰囲気、そこに山中の省略技法、間接的表現、さらっと射し込む心象風景、これらの演出が加わり見事に涼しくリズミカルな喜劇に昇華した、と見ております。で、本作です。まず豊川悦司、熱演も少し演技が飽和したようで、大河内にはあった“遊び”のなさが気になります。和久井映見、芸者であり小唄の歌手であった喜代三と比べるのは可哀そうですが、艶っぽさが少し足りないかな~。野村宏伸のとぼけた雰囲気は、沢村国太郎をかなり忠実にトレースしたようですが、どこか線の細さを感じさせ物足りないです。麻生久美子は、花井蘭子の飄々とした感じからすると、逆に存在感がありすぎるかな。という具合の役者陣に、太刀のシーンやラストの感傷的なシーンが大幅に加わっているものですから、どうもギッコンバッコン。それと明らかに浮いしまっている合成効果音、多用される大仰なBGM、これらはそのシーンの雰囲気を映像で感じる楽しみを観客から奪っているとしか思えません、です。これを見た後、また山中版を見たのですが、ロングショットの構図、縦の構図、やはり生き生きしておるね~。6点(2004-09-23 00:17:33)(良:3票)

24.  殺人の追憶 80年代の自国を背景にした刑事たちの人間ドラマ。この映画の白眉はなんといってもオープニングとラスト。少年の顔のアップで始まりソン・ガンホの顔のアップで終わる。ひょいとバッタを捕まえる少年と必死になって犯人を捕らえられなかった刑事のコントラスト。ラストの少女の言葉「普通の顔だった」を聞き、ひょいと手が届くところにいる犯人を想うガンホの表情は見ている者に余韻を与える。特に同時代を生きた韓国民にはそうだろう。エンドロールのさわやかな空も、その空の下に潜む普通の顔した犯人を想像するとなんとも不気味な空に映ってしまった。8点(2004-04-12 21:18:51)(良:3票)

25.  暗黒街の顔役(1932) カポネをモデルにした映画だそうで、ホークスが語るところによると、実際にカポネが見て偉大な映画だと言っていたそうな。なんかそれを知るだけで凄いもんですね。さてさて、この顔役さんは、無邪気で子どもっぽくて寂しがりやにして、征服欲、独占欲にあふれたギャングであります。トンマなシショをずっと雇っているところや、妹から撃たれないところなどなんか憎めません。突然の発砲音にも平然とする強さと、周りの人物がもがれうろたえる脆さ、そこがなかなか魅力的なのですが、ラストは大きく×の刻印が打たれたかのように突き放されてしまいました。この×印の使い方、まーいろいろと出てくるんですが、私は妹のドレスが一番気になりました。妹が派手になり背中にはドレスの×のラインが・・・、顔役のラストを暗示するようで。見終わって思わずコインを弾きたくなるエポックな一品であります。9点(2004-06-11 00:32:30)(良:3票)

26.  鴛鴦歌合戦 これを見れば紅白歌合戦などショボすぎて見られなくなってしまうほど面白い。中でもみのもんた、いやいや市川春代の甘ったれた喋り方とけっして巧くはないがどこか惹き付けられる歌声がとっても魅力的。「ちぇっ!」ではなく「ちぇ」と毒を吐く彼女の口調を真似て、その後何か不愉快なことがある度に「ちぇ」と独り言を呟くほどになってしまいました。恋敵の傘をこれでもかと破る仕草もかわいい。短期間でもアイデアと編集でこれだけ楽し過ぎる映画を仕上げるマキノさんの職人気質に拍手を、傘を持った登場人物をドリーに乗って流れるように撮り上げた宮川一夫に喝采を、そして春坊(市川春代のあだ名)に思いを寄せて、春よ来い。[DVD(字幕)] 10点(2006-01-12 13:02:11)(良:3票)

27.  モロッコ リンゴをかじった時のクーパーの口元、クーパーがウチワであおいだ時にふんわりと揺れるディートリッヒの髪、そして2人が交わす別れの二本指。などなどフェティッシュな魅力あふれる映画でもありますが、この2人をトータルに包み込んでいるのがマンジュー。マンジューだけに包むのが巧い、などと誰もが思いつくようなことを書いてしまう自分が悲しい・・・。行軍マーチとともに砂漠の地平に消えて行く外人部隊は、マンジューの視線と同化しエンドマークがぼやけて見える。風に乗った砂粒がスクリーンを飛び越え目に入ったかのように「砂粒が目に・・・」と誤魔化しても、それを聞いてくれる人はいない・・・悲しい。[DVD(字幕)] 9点(2005-09-15 11:03:46)(笑:2票) (良:1票)

28.  野菊の墓(1981) 松田聖子目当ての観客を外に放り出すことなく、適度に彼女のアップを挟みながら、美しい信州の山々を背景にしたロングショットをフィルムに刻む。白無垢の民子と、騎馬戦を白組で戦う政夫のカットバックは、白と白とがぶつかり合い、観る者に“綿積み”の綿の白さを想起させ、その時に帰宅が遅れたことが二人を引き離した起因となったことを考えれば、あの混じりっ気のない、逆光に映えていた綿の白さは、悲しさと儚さとを想起させるのである。二人が見つめてから何十年と時を隔てても変わらぬラストの夕日が心に残る。[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-11-15 17:38:58)(良:3票)

29.  賭博師ボブ メルヴィルさんは、ゴダールの『勝手にしやがれ』の中で空港でインタヴューを受ける小説家の役として出演していますが、同映画の中で「賭博師ボブなら~」「ヤツは服役中だ~」というような台詞があります。まあメルヴィルの映画の宣伝みたいなものですが、なぜ賭博師ボブが務所にいるのかがこの映画を見るとわかります。出だしは、ボブの顔だけ光をあてずに、暗黒街の乾いた男、隙のないギャンブラーを想像させます。そして昔の仲間たちを集めて、ドーヴィルのカジノから8億フランをせしめようと入念な計画を練ります。ところが、女に寝物語で計画をしゃべってしまったり、また女房にばれたりするヤツがいて、ポロポロ破綻が見え始め、なんと肝心のボブが、賭博師の本能に目覚めてしまって・・・。う~ん憎めない、この脇の甘さ。薄暗さの中に情緒あふれるアンリ・ドカエのカメラが、モンマルトルの夜の町並み、店の雰囲気を作り上げ、そこに男を惹きつけるイザベル・コーレイ、ボブに信頼を寄せる警察署長などがフィルムにうまくのせられています。見終えると「賭博師ボブ」、このタイトルの味わい深さにきっと気付くことでしょう。賭けてもいいです、とは言いませんが。7点(2004-09-02 00:13:11)(良:3票)

30.  SAYURI 「ゲイシャを通してジャパニーズビューティ、オリエンタルエモーションを描くのだ、さあ桜だ、雪だ、五重塔だ、相撲だ、舞だ、踊りだ~! 主役? 西洋人には東洋人の区別はつかん、どうせ英語を喋らすのだからアジアンビューティのチャン・ツィイーだ! ミシェル・ヨーにコン・リーも使おう。台詞が多くても構わん、尺が長くなっても構わん、行け~マーシャル、撮れ~!!」とスピルバーグが言ったかどうかはわかりませんがそんな感じの映画でした。日本料理に例えるなら、寿司、すき焼き、天ぷらをどっかと食卓に並べられたようで、何かが足りない。そうだ、“お茶漬けの味”が足りないのだ、きっと。佐分利信と小暮実千代が卓袱台で涙を流して食べるあのお茶漬けの味が・・・。[映画館(字幕)] 7点(2005-12-16 12:55:10)(笑:2票) (良:1票)

31.  グランド・ホテル 《ネタバレ》 グランド・ホテルの回転ドア(この時代にもうあるのね)をくぐると、それに呼応するかのように、それぞれの人生も回転します。社長は犯罪者へ、帳簿係は絶望から希望へ、踊り子は陰鬱から高揚へ、タイピストはお金から情へ、盗人は恋を覚え、生から死へ。そして、元の回転ドアをくぐり戻っていきます。犯罪者は横の戸口から、死者は裏口から出ていくのもどこか暗示的。その様子を何事もなく眺めるような円形ロビーの俯瞰ショットが「人生はめぐる、いい事があれば悪いこともあるさ」とささやいているようでなんとも象徴的でした。形式としてその名を残すだけでも誉れ高い作品です。8点(2004-05-04 16:39:28)(良:3票)

32.  デビルマン 監督の演出力、脚本の出来、役者の演技、とにかくお粗末・・・。この映画の肝の一つは、不動明がデビルマンだとバレるところで、そこに相当な演出が求められてしかるべきだと思います。しかし美樹の父は、なんら動じることなくしら~っと受け入れているし、美樹も一瞬たじろぐもののすぐにキスとはどういうこった。もっと葛藤を見せなきゃいかんのではないのかな~。サタンとデビルマンの対決も、あの酷い演技では、なんらの緊迫感もなくただただ冗長な気の抜けた炭酸飲料のようです。人間の狂気を描き本当のデーモンは人間なのだ、というのもわざわざミーコとかいう女の子に叫ばせとるし、台詞が観客への説明調で明らかに不自然です。ボブ・サップや小錦も話題性以外のなにものでもなく、これならデーモン小暮やいつしか話題になった自分の子供に悪魔くんと名付けたがっていたあの人でも出演させたほうがまだシャレがきいていておもしろのではないかな~、ということぐらいしか思いつかないくらいの映画であります。1点(2004-10-12 21:05:52)(笑:2票) (良:1票)

33.  ラスト サムライ ラストサムライ2を作るなら、寡黙な侍ボブが実は生き残っていたという設定を。勝元の仇をとるためにひとり明治政府に立ち向かう。コピー「本当のラストサムライはボブだった」。んー、ボブの存在感はいいぞ。8点(2004-02-18 19:36:01)(笑:1票) (良:2票)

34.  暴力脱獄 無神論者として描かれているルークは、まるっきりイエスですね。卵50個をたいらげた後、テーブルに寝転んだ姿は、十字架の磔そのもの。となると食べることが可能かどうかをただ賭けの対象としてダシにしていた周りの連中は、最後の晩餐における使途たちに見えてきます。穴を掘るシーンは、賽の河原の石積みのように永遠に繰り返される物語、死と復活を語っているのではないかな~。となるとラストは必然的に見えてきますね。そういや草刈りや道路舗装といった繰り返しの単純作業もどこか暗示的です。キリスト教に精通していればその他にもイエスの物語を暗示するようなシーンが見えてくるはずですので、知り合いにキリスト教信者がいれば是非お薦めの一本です。[DVD(字幕)] 8点(2005-12-01 12:51:14)(良:2票)

35.  当りっ子ハリー チャップリンやキートン、ロイドに比べると知名度は劣りますが、ハリー・ラングドンもサイレント時代を代表する喜劇役者、だそうです。私もこの作品で初めて彼を見ました。童顔に白塗りの顔、年齢不詳、誰やねん!といった風貌で、巻き込まれ型の笑いを提供してくれます。キャプラはこのラングドンのもとで喜劇作家として売り出し、この作品では監督をつとめました。後半のミュージックホールではラングドンの見せ場全開なのですが、ストーリィはまさにキャプラタッチです。静かな街が金と資本に蹂躙され、金の亡者が経営するミュージックホールは、刹那的な快楽にふける客で大賑わい。静かな街を取り戻さんと立ち上がる牧師と善良なる市民たち。ハリーと牧師の娘である盲目の少女との恋が並列に描かれ、ハリーのドタバタ一人舞台の大騒ぎを見せ、大いに笑わせた後には、さらりとハリーと少女のハッピーエンド。目が見えるハリーが石につまずきこけるラストは憎いったらありゃしないです。ラングドンの雄姿を見ることができる貴重なフィルムであるとともに、キャプラタッチをも堪能できるこの作品、当り、であります。8点(2004-10-03 23:55:10)(良:2票)

36.  狐の呉れた赤ん坊(1945) 捨て子を拾う→苦労して育てる→父子の愛情、これはどうしてもチャップリンの「キッド」を思い出しますね~。「キッド」は最初から捨てた母親を見せることで演出していきますが、こちらは狐退治に出かけたら赤ちゃんが捨てられていた、と親が誰なのかを謎めかすことで後半へとつなげていきます。まずは阪妻演じる“張子の虎八”が赤ちゃんの泣き声を聞いた後、そこに挿し込まれる張子の虎、頭がゆらゆら・・・カメラが引くと橘公子が張子の虎の頭を揺らしている、なんかこの冒頭のシーンだけでお互いに反目し合うもののほのかな二人の愛情をがにじみ出て、こちらもゆらゆらといい気分です。そして圧巻は、この子供、善太の具合が悪くなり虎八が名医を連れてくるシーン。脈をとる医者、心配そうに見守る虎八たち、頷きながらこつんと張子の虎の頭を揺らす医者、ゆらゆらとした張子の虎のアップ、少し表情をゆるめる医者、その表情を見てなんともいえない笑みを浮かべる虎八。いっさい台詞なしで語られる名シーンであります。また年の経過を相撲人形で語ったり、丸根賛太郎さんは初めて見ましたがセンスある人ですね~。後半はもうお涙頂戴の人情話ですが、けっしてべとつくことのない佳作へと仕上がっております。狐につままれたような話ではございませんのでご安心ください。う~ん「キッド」も久々に見たくなってきたぞ、ということでこの後「キッド」も見たのでありました。9点(2004-09-29 00:11:20)(良:2票)

37.  ゆすり(1929) 電話ボックスの内外など音の生殺に自覚的な作品ですが、殺人シーンにおいては殺される者の悲鳴や呻き声といった“音”を消すことで、殺した者の心理、臨場感を盛り上げています。そしてニョキッと出た腕と道化のような絵が視覚的に殺人者の心理を支配し、その緊張感に音がまとわりついてきます。大英博物館での追跡シーンは、後年の自由の女神やラシュモア山を想起させ嬉しくなってきますね~。ラストの絵はBlack Mailに添付された画像のようで、向けられた刃は彼女に、見る者に深く突き刺さり、差出人名を確認するとヒッチコックとなるのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-15 12:48:08)(良:2票)

38.  新婚道中記 「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言いますが、この映画では犬のスミス君が夫婦二人へありったけの愛着を見せ、喧嘩を食ってしまいます。ついでにグラントとダンの二人の役者の存在をも食ってしまうかの勢いで、愛らしい演技をご披露してくれます。目ざとくグラントの新聞記事の写真に飛びつかせたりするあたりの演出は巧いですね~。さて、そのマッケリーの演出はその後の40年代のプレストン・スタージェスを思わせるような突然のズッコケぶり、唐突さで笑わしてきたり、ルビッチを思わせるような小道具とシチュエーションで笑わせたりと、広がりあるコメディに仕上げております。ラストのドアを必死で押さえつけている黒猫、この描写(猫写)にも膝を打ちますが、最後の時計にさらに膝を打ち、実はこの夫婦喧嘩を一番おいしく味わっていたのは見ている自分であったことに気付き、最後にもう一度大きく膝を打ったのでありました。8点(2004-11-09 00:38:35)(良:2票)

39.  大いなる幻影(1937) 反戦を謳い、人間の本質を描き出した見事な作品です。「所詮、人間が作った物」の国境に救われるラストシーンは、人間が作る物への愚かさと尊さを描き出していてなんとも象徴的でした。幻影であるかもしれないが希望を紡ぎだす1コマ1コマ、1シーン1シーンは、どれも丁寧。どこまでも高貴になり得る人間、その姿そのものが幻影であったしても、幻影が実体になるその時を信じて営まれる人間の行い。その行いのなんとも愛しいことか。その行いこそに人間の本質があるのではないだろうか、と感じさせられました。そう感じることが“大いなる幻影”なのかもしれませんが・・・。とにかく素晴らしい作品です。10点(2004-05-14 13:23:21)(良:2票)

40.  小原庄助さん まあ大らか~な作品です。朝寝朝酒朝湯が大好きで村の人々から<小原庄助さん>と呼ばれるある名家の地主を、大河内傳次郎が大らか~に演じております。まったくはまり役です。戦後農地改革により土地を失った地主のペーソスとユーモア・・・実際の旧家をロケーションとして撮影しているのですが、前半の金貸しが登場するシーン、後半の競売シーンでの横に横にと動くカメラ移動でこの家の風格がよく伝わってきます。没落しても頼まれたらイヤといえない庄助さんの旦那ぶり、人のよさをエピソードを重ねて描き、その合間に見せる雨のシーンでの傘や瓦の家紋を写したショットに過去へのノスタルジックな哀愁をのぞかせます。また庄助さんがロバに乗って出かけるショットに漂うユーモラスな雰囲気・・・私はこのロバのパコパコゆら~りとした歩みがこの映画の肝だと個人的には感じています。ロバだけをとらえたショットが何度も出てきますし、最後ロバをも手離した時に、そのロバと子どもたちが去っていくのをず~っと見送る庄助さんの後姿、ここは名シーンです。清水宏さんの自然でゆるりとしたタッチが、復興活力にあふれる時代の頬をふわりとなでたような作品でありました。10点(2004-11-27 23:52:10)(良:2票)


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