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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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141.  ピクニックatハンギング・ロック ピーター・ウィアーさんのオーストラリア時代の作品。幻想的な映像に哲学的な言葉、パンの笛、ピアノ音がのせられ、神秘的な映像世界を構築しております。ピクニックでまどろむ女生徒達をソフトフォーカスでゆっくりと追っていくカメラワーク、手前に草木をぼかして撮り上げた構図、終始晴れ渡ったハンギングロックの木漏れ日、そしてアン・ランバート演じる少女の純たる清楚美・・・見ている方が神隠しにあうほどに吸い込まれてしまいます。ストッキングを脱ぐ少女の足をアップで、次々と寝転ぶ裸足の少女達を俯瞰したショットでとらえ、官能と神秘を同化させています。時計の止まったハンギングロックに響く少女の叫び声から、校長室にカットを移しカチカチと時を刻む柱時計の音・・・時を対比させた見事なシーン転換ですね~。神隠し後の後半も、冗長にならずに残った人間の心理描写を、校長先生を中心に細やかに描いているあたり、う~ん、これは傑作!9点(2004-11-05 13:04:19)(良:1票)

142.  群衆(1928) アメリカ映画、サイレント期の傑作と称される今作は、日常誰もに起こり得る人生の禍福をスターではない二人を起用することにより、より無色へと近づけることを狙いとした映画です。見ている観客のすぐ隣りの人かも知れない手の届きそうなドラマを切り取っていくという手法を映画に取り入れたキング・ヴィダーとゴーサインを出したタルバーグにはやはり感嘆符をつけずにはおれませんね~。ビルの外観から窓へと流れ、フロアへと吸い込まれていくカメラは、多数の机が整然と並べられたオフィスを捉え、主人公が群衆のワンオブゼムに過ぎないことを印象づけます。それは赤ちゃんが生まれた時の多数のベッドを捉えたショットに受け継がれ、累々とした歴史が刻まれていることを語ります。2階建バスの2階からサンドイッチマンを見下ろしあざ笑うシーンを伏線とした浮き沈みを際やかに描きあげるセンス、ナイアガラの滝でロケーションされたラブシーンも楽しく、ラストの劇場で主人公のアップからカットが割られるごとに大勢の観客へと引いていくカメラは、彼らがたんなる群衆であると同時に、かけがえのない人生を生きる個人の集合体が群衆であることを語っているようで、それぞれに生きる意味と希望を高らかに謳いあげた本作はやはり傑作なのであります。10点(2005-01-16 08:58:06)(良:1票)

143.  お熱いのがお好き 脚本の出来のよさもさることながら、目撃シーンのガレージ、列車内、ホテルの室内、廊下など意識的にタテに配置した人物構図はほぼパンフォーカスで、その他隅々までシャープに撮りあげた映像が特徴的なのですが、ましておもしろいのが、レモン、カーティス、モンローの撮り方。レモンとカーティスの会話シーンは、ほぼ2人が同時に画面にのせられ、カットバックはほとんどないのですが、これがモンローとの会話シーンになると、とたんにカットバックが多くなっています。レモンとカーティスを等分に見せる工夫、モンローの魅力を画面にのせる工夫といえましょうか。そのモンローは同じワイルダーのカラーで撮られた「七年目の浮気」ではセックスシンボルぶりが際立っていたのですが、今作は白黒になっていることで実にキュートにモンローのかわいらしさが出ておりますね。列車内、レモンの寝台室に大勢が集まってくるパーティーシーンは、マルクス兄弟の「オペラは踊る」の船室シーンですな。それからジョージ・ラフトが後半、コインを弾いているギャング仲間からコインを取りあげるシーンは、「暗黒街の顔役」を連想させられてニヤっとします。そして、世に評価の高いラストのオチなのですが、どうも私にはこの台詞だけは、苦しまぎれのような感じを受けて仕方がないので、1点マイナスさせていただきます。「完璧な映画なんてない」ってか。9点(2004-09-13 23:38:24)(良:1票)

144.  天国への階段 天使のミスによるファンタジーときけば、プロットと脚本が勝負のシチュエーションコメディを連想します。しかしこの作品は、そこに二重三重の多彩で重厚なコーティングが施されており、その映画的広がりに触れた時、唖然と天を見上げるばかりです。まずは一目のカラーとモノクロの使い分け。モノクロからカラーへと変貌をとげるバラは、モノクロとカラーの境界を泳いでいるような気分になります。次にモノクロで撮られた天国の雄大な造形。天国へとつながる階段の奥行きの深さ、裁判シーンのコロシアムのようなセットには溜め息が出ました。そしてSFXを散りばめたショット、カーディフのカメラワーク。バイクのクラッシュシーンのクラッシュぶり、時が止まったストップモーション、手術室と天国への階段・・・。そういった映像センスで魅了してくるうえに、とてつもない風刺の数々が矢のように飛んできます。イギリス人とアメリカ人を中心に対比させ、人と人が争うことのナンセンスぶりを謳い、生と死、知と愛を対比させて今生人を賛歌します。しかしてその正体は・・・素晴らしい反戦ファンタジーブラックコメディです。10点(2004-11-30 23:29:24)(良:1票)

145.  錨を上げて 一昔前はミュージカルはどうも苦手だったんですが、いまやすっかりミュージカル大好きな私としては、この「錨を上げて」なんか見るとすっかり身も心も弛緩して、さあレッツシンギング!レッツダンシング!といった気分になりますね~。海兵のケリーとシナトラ、ケリーは陸へ上がって水を得た魚のように、シナトラは逆に陸の泳ぎ方がわからない。そこで出会う子供、女性、音楽家、そしてSFXでアニメのジェリーも登場し、歌い踊るエンターテイメント。シナトラの甘い歌声、ケリーが少女と踊ったり、スージーのいるベランダにたどり着くまでのアクロバティックな身のこなし、レストランでのラテンギターの演奏、ピアノ20台連弾、などなどバリエーション豊かなメニューの数々、これはもう頬張るしかないのであります。ストーリィはゆるさはありますが、スージーにいつどうやってバレてしまうのか、ケリーとシナトラのお互い言い出せないすれ違い、イタービのけっして居丈高ではない人物設定、などなかなか楽しめました。見終わって思わずセーラー服を着て(その手の趣味はございませんが)踊りたくなる一品であります。9点(2004-09-25 11:46:45)(良:1票)

146.  スウィングガールズ 不足を埋める、ことでクライマックスの演奏へと繋がる映画だと感じる。得点が足りない=補習、弁当が一つ足りない、青春の充実感が足りない、バンドのメンバーが足りない、楽器を買うお金が足りない、演奏技術が足りない、目的地へと列車は届かない。その不足を埋めるさまざまな仕掛け、その仕掛けが偶然性に頼りつつもどこか許せてしまう説話力に、女子高生のかわいらしさとパワーがさらに前へ前へと物語を進めラストを迎える。オーソドックスなカメラもその推進力に一役かっている。高校野球の真夏から雪降る真冬へ切り取られた半年の彼女たちのスウィングを楽しむべし。[DVD(字幕)] 7点(2005-10-28 17:44:44)(良:1票)

147.  用心棒 ゴォ~~ッという風の音とともに姿を現したミフネが宿場に着くと、その町にもゴォ~ッという風が不穏な空気と戯れています。望遠レンズで圧縮された空間が暑苦しく人や物や背景の距離を埋め、緊迫した濃密なフィルムを造形しておりますが、このゴォ~ッという風が、暑苦しさを静めながら緊迫感を増幅させております。そしてラストの対決シーンで舞い上がる砂煙、何度も何度も舞い上がる砂煙に、苦労して撮影したであろう作り手の楽しさが伺えました。棺桶作りに精を出す桶屋がコンコンと釘を打ちながらも、血生臭さを感じさせない作品となっているのは、ミフネの脇を固める役者のキャラクターの豊かさでしょうね~。前歯が一本欠けている加東大介のその通りの抜け具合に前金で三十両差し上げたいと思います。[映画館(字幕)] 9点(2005-05-01 23:50:39)(良:1票)

148.  キートンのマイホーム(文化生活一週間) 13日の金曜日、と言えばこの作品!? 染之助染太郎の「いつもよりよけいに回っております!」ばりのマイホームの回転には唖然とするしかなく、家の中であっちこっち振り回される人間には笑うしかなく、線路のギャグは一旦安心させておいてからというタイミングのセンスに感心するほかなく、入浴シーンでにゅ~っとカメラを遮る手のひらは遊び心いっぱいで、とにもかくにもキートンが一杯詰まった1週間をテュラテュラテュララ~♪とお楽しみください。[DVD(字幕)] 10点(2005-05-13 17:16:39)(笑:1票)

149.  牡蠣の王女 ルビッチ鑑賞弾丸日帰りツアーからただいま帰還。ドイツ時代の作品4本と実に濃密な時間を過ごさせていただきました。結論、やっぱりルビッチはエロかった(笑)、そして足フェチだ~。艶笑コメディの萌芽どころか、熟たる果実が既に成っていたのを確認しました。さてこの「牡蠣の王女」、多数の召使を基調とした視覚的ギャグの連打は渡米後の作品にはちょっと見当たらず、今まで私が見たルビッチ作品の中ではオンリーワンなコメディ作品です。しかしその中にはちゃんと、「結婚」「女1人男2人」「ドア」という意匠がしっかりと配置されており、ルビッチブランドはメイド・イン・アメリカではないことも分かりました。鍵穴をのぞくとストッキングを脱ぐ女性の足、う~んエロい。牡蠣王を演じるのはヴィクトール・ヤンセンで、冒頭ヤンセンが葉巻をくゆらしていたシーンを思うと、この牡蠣王こそがルビッチの分身で、最後に鍵穴をのぞいていたのは実はルビッチだったということで、見事にルビッチな作品であったのです。[映画館(字幕)] 10点(2005-11-20 01:27:50)(良:1票)

150.   ↓お一人でおくつろぎのところ失礼いたしますよ、ドカッ。しかしどえらい物語設定ですねー。しかしその設定、人形が底なし沼に吸い込まれていくカット、ぶくぶくとガスが湧き出ているそのカットのおどろおどろしさ、そしてあの農場主一家の非道ぶりが後半の脱出冒険劇として見事に生きてくるわけです。そして誘拐されてきた赤ちゃん、まあ確かにこの女の子がクルクル巻き髪で実にかわいらしいのです。が、メアリー・ピックフォード演じるモリーが「まあかわいい、本当に私にくれるの」って緊張感なさすぎやろ!と思わずつっこんでしまいました。が、この無邪気な母性本能がまたその後に生きてくるのです。この赤ちゃんを背に子供たちとの農場脱出劇は、逆に緊張感ありすぎやろ!というぐらいにハラハラドキドキ。あのワニの恐ろしさといったら・・・。そんな緊迫した中にも、後ろからズボンを引っ張られてお尻を出している子もいて笑いました。まあ、ピーチクパーチクさえずっても仕方がないのでこのあたりにしておきます。ラストシーンは、私も雀の涙ほどの涙を流したことを付け加えて。8点(2004-09-28 00:52:36)(良:1票)

151.  たそがれ酒場 いやー、にぎやかの一言。歌に踊り、クラシックにストリップ、色恋沙汰に刃傷沙汰、、、グランド・ホテルなんてぶっ飛ばせ!の勢いでたそがれ酒場はホストもゲストもわいわいがやがや。グランド・ホテルを意識するからか、ピアノを弾く音楽家は、ライオネル・バリモアに似とるなー。さてそんな群衆劇にピリッと1本背骨を通しているのが、開店から閉店まで酒場の片隅にいる老画家(小杉勇)。彼を配置することで芯のある作品に仕上がってますねー。戦時へのノスタルジー、戦争に荷担した葛藤、裏切られること、赦すこと、家族への愛、恋人への愛、生きる希望と現実、登場人物が炙り出すそんなこんなは、戦後10年目に作られたこの時代のリアリズム、日本のありのままの姿を酒場という空間にまさに縮図として描いたかのようです。そしてそれは戦争帰りの内田吐夢監督の思いだけではなく、この作品に携わったすべての人の思いが等身大でぶつけられているのではないでしょうか。同時代の心理描写に“富む”秀作だと思いました。8点(2004-05-07 00:37:27)(良:1票)

152.  リトル・ロマンス 初登場シーンから胡散臭そうなローレンス・オリヴィエがやっぱりいいな~。いかがわしさとロミオとジュリエットを一緒にしようとする神父のような優しさがごちゃ混ぜになったような老紳士にぴったりです。そしてダニエルが競馬場のからくりを知り、論理は勘よりも強しとニコッとするところなんかも好きです。そのダニエルがゴンドラの船頭を突き飛ばしてまで、非論理な伝説を作ろうとする必死な描写についこのリトルカップルを応援してしまうんですね~。夕日から引いたカメラが警察の一室にいるオリヴィエをとらえるシーン、そして鐘の音を聞くオリヴィエの表情・・・老紳士は自らのリトルロマンスをこの二人に投影したかのようで、見ているこちらも純な気分になりました。さてと現実は・・・はぁ~ため息ですな~。[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-07-20 21:59:46)(良:1票)

153.  お早よう 学校のしりとりあそびのシーンで「く」のつくものに答える子どもたち。「月光仮面」「赤胴鈴之助」。先生が冷静に「くのつくものよ」と対応しているところも含めて、ホントにうけたなー。 あっそうか、この「しり」とりは、「おなら」につながっているのか。6点(2004-02-22 19:46:32)(良:1票)

154.  新・平家物語 市川雷蔵映画祭が岡山市にもやって来た~。着流しでイナセに映画館へ、んなわきゃないが、気分はワッショイワッショイでお祭り気分、といってもミゾグチが目当てだったんだけど。さてこの作品、冒頭の俯瞰からこっちの会話、あっちの会話と京の市井の現状を語るロングテイクに来た来た~と夜店ではしゃぐ子どものようにワクワクしましたが、長回しはド~ンと一発だけ打ち上げられた花火のように雲散してしまい、あれあれ綿菓子片手に困惑の私。うーむ、ミゾグチはやっぱり豪華絢爛歴史絵巻をスペクタクルに描くのは向いていないのか、どうもやる気が感じられんかったな~。しかし往年の雷蔵ファンらしき年配の女性が多くいて、雷蔵祭のパンフレットを至福に眺める彼女たちの表情に映画を感じることができて幸せな宴の後でした。[映画館(字幕)] 7点(2005-10-31 12:55:05)(良:1票)

155.  異国の出来事 ワイルダー、ハリウッド監督6作目。これは、戦後のドイツ教育プロパガンダとしての使命を帯びた特異な作品ですが、そこはワイルダー、そんじょそこらのドキュメンタリー作品など撮るわけがなかった。ベルリンを舞台に風刺をきかせた見事なラブコメディーじゃないか、これは。よくできとるぞ、この脚本。マレーネ・ディートリッヒとジーン・アーサー、2人とも雰囲気まんまやん!というつっこみを入れたくなるほどまんまな役柄なんですが、特にアーサー演じる堅物が壊れていくところの表情、しぐさのコントラストは絶品です。恋の行方も二転三転、ワイルダータッチで、小道具もばっちり。こんな名作が隠れていたなんて、プロパガンダ映画のレッテルを貼っていた私が悪うございました。お詫びついでに9点献上いたしやす。9点(2004-05-20 23:35:12)(良:1票)

156.  風花(2000) 《ネタバレ》 いきなり4分以上の長回しオープニング。相米さんですなー。さて、カエルの鳴き声で始まるそのオープニング。これが映画全体を支配していることに最後に気付きます。ラスト、子どもの手から飛び出すカエル。カメと対比させながら、人と出会うことで時間はかかったけれどもピョンと弾んだ心的変化。そしてあっさりとした別れ。ここが2人のこれから、不器用ながらも人との距離感が確実に変わるであろう未来を感じさせてくれてとても温かくなりました。人生なんぞ、風花のようにどこからともなくやって来て、はかなく輝き消えるものなんですぞ、ゲロゲロ。8点(2004-05-30 11:27:05)(良:1票)

157.  かもめ食堂 透明なウィンドウから食堂に差し込む光がテーブルを白く輝かせ、ガラスコップやコーヒーカップがその白さに溶け込むように存在する。そこで展開する“お皿を磨く”“テーブルを拭く”“シナモンロールを作る”、そんな彼女たちの行為もその空間に溶け込んでいく。単なる会話の切り返しやクローズアップを廃し、人物を綺麗な位置関係に収めている。ワンショットは、振り向かせたり、立ち上がらせたりといった運動を伴わせ、シークエンスに挟まれるショットも路面電車、船、自転車が動いている。動く→食べる→動く→食べる、この人間=動物の単純な営みに潜む幸福感の主張がささやかだ。「やりたくないことはやらない」小林聡美と「やりたくないことでもやらざるを得なかった」もたいまさこと「やりたいことがわからない」片桐はいりが、その単純な営みを一歩昇華させ、いつでもどごでも人間は関係性の中でさらなる幸福感を得ることを見せる。動物と食材との物理的関係、個体と個体との精神的関係。オープニングの太ったかもめがとても幸福そうに思い返された。[映画館(字幕)] 9点(2007-01-10 23:34:56)(良:1票)

158.  トム・ソーヤ 泣けたな~。勇気、正義、友情、淡い恋・・・私にもまだ純真な少年のような冒険心、いたずら気分が残っておっての涙か、これは。いんや、やっぱりポリーおばさんをはじめ、トムをどうしようもない悪童としてあきれながらも、彼ら彼女らがトムを愛しているその真実、瞬間を見せられてのものだろうな~。トム・ソーヤの好奇心に満ちたいたずらぶり、恋焦がれてぼーっとする表情、叱られてしょげかえるしぐさ、不安と勇気にはさまれる素直な子供心、いつのまにかこちらも彼を包み込んでいるのでしょうね~。トムが恋仲のベッキーと洞窟に閉じ込められてからの活躍には、ベッキーを守ってやるのだぞ、トム!と思わず声をかけていました。ベッキーを演じるアン・ギリス嬢の不安からの叫び声、笑い声のリアルさにはまいりました。しかしこの洞窟のセットはよくできとるな~。また洞窟の中という闇を生かした光と影の作り方はなかなかのものです。そしてテクニカラーであるのがまた、なんでもが輝いて見えた子供時代のカラフルな思い出にマッチするのか、活劇気分を盛り上げてくれましたです。ということで明日からトムのように生きるぞ!うわっ、単純な奴・・・。10点(2004-09-28 00:06:37)(笑:1票)

159.  上陸第一歩 島津保次郎監督第1回トーキー作品ということで、「トーキー上陸第一歩」ともいえるこの作品、初代水谷八重子の若き日の芝居を見ることができること、フォン・スタンバーグの「紐育の波止場」の翻案であること、などとも相成り、興味深く見させていただきました。まずは音ですが、汽笛、鉄道音、口笛、ピアノ音、工事音、酒場のダンスシーンでのレコード、乱闘シーンでの窓ガラスやビール瓶の割れる音、などなど楽しそうに取り入れております。終始和服の水谷さんとエキゾチックな雰囲気のある岡譲二さんとのコントラストは、磁石のSとNのようでいてなかなか楽しいです。二人ともかなり舞台調のオーバーアクトな台詞回しをするのが、2年後の「隣りの八重ちゃん」で日常的台詞回しの小市民映画を完成させる島津さんを思うと、これまたなかなか楽しいです。カメラ音の防止にボックスの中に入っていたため撮影中の火災により焼け死にそうになったという水谷至宏さんのエピソードもあるそうで、日本映画トーキー黎明期の労苦が忍ばれます。島津さんのサイレント作品も是非見てみたいですね~。8点(2004-12-13 23:14:02)(良:1票)

160.  にがい米 どこか「にがそう」なところが見る人を遠ざけているような気もしますが、<ザッツ・ネオリアリズモ>を作れば、必ずや入る見事な作品です。シルヴァーナ・マンガーノのはちきれんばかりの健康的、肉感的な姿は、私が天岩戸に隠れていたならすかさず戸を開けるでしょうな。そしてそのマンガーノの魅力を存分にフィルムに焼き付けながら、戦後のイタリア社会、田植えという女性の出稼ぎ労働の苛酷さを告発しております。妊婦が田んぼで倒れながらも周りが歌って励まし出すシーンでの、〝こんな社会狂っているわよ!〟といわんばかりのマンガーノの悲鳴などは強烈な印象です。マンガーノのダンスシーンが秀逸で、ダンスの動きで彼女を魅せるだけではなく、首飾りのショットとそれを見つけたダウリング、ガスマン、ヴァローネのショットでストーリィを進め、カットを徐々に素早く切り替えることによって、ダンスにリズムを与えるとともに、緊迫感を生み出しています。昇って降りてそこに人物を捉えるクレーンのショット、360度近く回転するショットなど、広がりを与えているカメラもまた見ものですね~。ラスト、これだけ哀しいライスシャワーを見たのは、レース中に骨折しこの世を去ることになったあの馬を見て以来でありました。にがい米・・・ぴったりのタイトルであります。9点(2004-11-21 23:48:58)(良:1票)


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