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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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161.  12モンキーズ 映像の質感にニヤリ。マルクス兄弟やらヒッチコックが登場してニヤリ。ラストのおばさんの顔をみてニヤリ。三度でもニヤリとはこれいかに。7点(2004-03-13 23:32:43)(笑:1票)

162.  深呼吸の必要 《ネタバレ》 篠原さんの作品はとても落ち着いて見ることができるカメラワークが好みです。この作品でも固定の長回しロングショット、その時の人物の構図、躍動感と微妙な心理を表現するクロースアップ、などなど実に丁寧にきれいに撮られています。離島でさとうきびを刈る若者が、刈るというただひたすら体を動かすという行為を通じての成長物語です。なるべく登場人物の背景をぼやかそう、劇的な心的変化は避けようという篠原さんの苦心はよく出ています。が、それでも、わかりやすー、というっこみを入れたくなる人物がいて、そこは思い切って全員わかりにくい者にしてほしかったなー、という感じです。それと・・・オープニングの水泳のシーン、このシーンをラスト付近の“きびフラッグ”で生かすには、途中、香里奈が語ったお父さんから教えてもらったうんぬんの説明台詞は省いてほしかった・・・、これがなんとも残念。まー、しかし男女7人の余計な距離感などをべたべた描かず、ただそれぞれがまた元に戻っていくというストーリィには好感がもてました。深呼吸して、さー、次の映画見ようっと。8点(2004-05-29 20:55:17)(良:1票)

163.  アルジェの戦い 2時間のフィルムの凄絶な迫真性は一瞬たりとも気を緩めることを許しません。何万人もの現地人がエキストラ参加したアルジェ対仏戦線のリアルな映像は、モノクロが大成功しています。爆発シーンに巻き上がる白い煙は、カラーだとその白さが浮いてしまい煙の白さだけが一人歩きしてしまったのではないでしょうか。爆発の煙の生々しさも映画の一部に過ぎない、独立運動の一部に過ぎないと感じられます。打楽器が奏でるテロリズムのリズムが鑑賞後も余韻を残し、傑作と呼ぶ自分に「あなたはこの映画を評価できるような生き方をしていますか」と鋭利なナイフを突きつけてくるような傑作であります。[CS・衛星(字幕)] 10点(2005-05-16 00:29:43)(良:1票)

164.  浮草 これは「うちわ」の映画。京マチ子が、若尾文子が、杉村春子が、中村鴈治郎が、道行く浴衣姿の娘が、うちわを扇ぎます。緩やかに扇いだり、裏と表をゆっくり回したり、扇ぐしぐさに感情が滲みます。カラー作品は、風呂上りの京マチ子、川口浩を誘い込む若尾文子の艶やかな“色気”を画面にのせながら、芝居小屋の楽屋裏の雑然とした臭気、蚊取り線香やラムネやアイスクリームなどの夏の芳香を、小津安二郎はうちわで扇ぐようにフィルムの向こう側に届けるのです。若尾文子を小津作品で見ることができるだけで私には幸せなフィルムですが、挿し込まれるラムネのショット(ルビッチの「結婚哲学」のコーヒーとゆで卵を思い出した)に象徴されるように、じりじりとした夏を舞台にしながらも清涼な作品なのです。[映画館(字幕)] 10点(2005-05-29 20:11:13)(良:1票)

165.  赤い風船 少年と青い風船を持った女の子とのランデブーなんか何度見てもかわいくて好きだな~。風船の赤が鮮やかなカラー画面、雨上がりの石畳をこちらに走ってくる少年のシルエット、狭い路地を走る少年と赤い風船の一体感、逆光に透ける風船に囲まれた少年の表情・・・本当にいいですね~。唯物的であるはずの風船のこれほど豊かな表情は、そのへんの役者の喜怒哀楽に満ちた表情よりどんなにも優しく純粋で心温を感じさせてくれます。「風船のような軽やかな気分に浸ること間違いなし」とアドバルーンをあげておきます。[ビデオ(字幕)] 10点(2005-06-28 12:59:47)(良:1票)

166.  乱れ雲 《ネタバレ》 視聴可能な成瀬作品の最後の最後に見てやろうとこれまで封印していたこの遺作、まだ見ぬ数本を残しついに見ちまった。司葉子が伏し目がちにふと視線を落とすショットの多さに、ラストは見上げるショットで過去の断絶、未来志向の視線をぶつけてくるのかと予想しながら見ていると、来た来た・・・階段の上と下、司葉子はもちろん階段の下、そして旅館でも涙ながらに加山を見上げる司。で、どうなんだラストのラストは・・・、十和田湖の夕日を見つめるロングショットの司、その視線は・・・うつむきがちからそっと夕日に目をやり、また湖面に戻している。そうやね、人間簡単に過去を断ち切れるもんではないはね。美しき夕日、成瀬の落日。[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-11-06 23:38:09)(良:1票)

167.  かっぱ六銃士 成瀬巳喜男のみならず、本年は斎藤寅次郎の生誕百年でもあります。評価の高いサイレント時代のフィルム散逸は、あな哀し・・・ですが、喜劇一直線の精神性は日本映画界の大いなる遺産であると思う私は、この節年に一本でも多く斎藤フィルムに戯れたいな~と願うわけです。さてこの映画、かっぱと人間のナンセンスコメディですが、花菱アチャコ、伴淳三郎、堺駿二、益田喜頓などの喜劇人がかっぱに扮したり人間に扮したり、座布団の枚数を競うかのような笑点的競演はほんま楽しいです。その中で私が座布団をあげたいのが堺駿二で、歌い踊りまくるインチキ宗教の神様は、マイツボにハマッてしまいました。うら若き八千草薫がかっぱに扮しラストでレビューを見せてくれるのもさすが宝塚映画ですな。寅さん映画といえば斎藤寅次郎・・・今年はそれでいきましょう![CS・衛星(字幕)] 10点(2005-04-02 11:56:19)(良:1票)

168.  恋愛時代 「にがい米」から6年が経ち、イタリアの生活にも随分と余裕が生まれてきたのか、<働けど働けど我が暮らし楽にならざり>的な男女とその家族を描きながら、カンツォーネから高らかに始まる今作は、コメディタッチのウェルメイドな作品となっております。重苦しい雰囲気になると、ぐいっと引き戻すように軽やかな音楽が鳴りコミカルなシーンへと変わるところなど、〝もう戦後の苦しい時代には戻りませんよ、恋愛の時代なのですから〟と言いたげです。両家が喧嘩芝居をするところのタペストリーや、マストロヤンニとヴラディの納屋シーンでアヒル、ヤギ、ニワトリなど動物のアップが挿し込まれるあたり・・・見ている方も楽しいです。しかしその中にも、経済的にまともな結婚式一つ挙げられない男女(ヴラディが持ち歩いていた花冠のちらしを胸から出すところの描写は巧い)をしっかりと描き、ラストには両家を隔てる畑の溝を見つめる二人の晴れやかな表情、そこに被せるエンディングのカンツォーネ・・・う~んパスタが食べたくなってきたぞ。9点(2004-12-06 22:00:43)(良:1票)

169.  アマデウス 「自ら天才だとは自覚していない天才、である神=モーツァルト」「自ら天才ではないことを自覚している天才、である人間=サリエリ」、この図式が全編を支配しており、この両者の溝をきわやかに描くために、モーツァルトの甲高い笑い声やサリエリの神経質そうなしかめっ面が画面にのせられます。ながれるモーツァルトの天衣無縫な楽曲がその溝をさらに深め、サリエリのアンビバレントな感覚を浮かび上がられていきます。カメラは、壮美な美術、衣装、舞台セットの質感を損ねないように、でしゃばらないことに気をつかっているような印象を受けました。モーツァルトとサリエリの二人がデフォルメされ、少し分かりやすすぎるきらいを感じるのがどうもなー、といったところであります。7点(2004-09-17 11:28:11)(良:1票)

170.  あれ イットガールで名を馳せたクララ・ボウ、アイシャドウの効いたパッチリ大きな目が魅力の女優さん。キャラクター「ベティ・フープ」はこの人がモデルだそうですが、そういやソックリですね。「つばさ」でご存知の人も多いと思いますが、この人は上品というより活発なお嬢さんといった雰囲気です。さてこの「あれ」は、デパートガールのボウが若社長を誘惑しちゃうラブコメディ。遊園地ではしゃぐ無邪気な彼女の姿からは、スキャンダルにまみれ没落した実生活の彼女は想像できません。ここではスカートが突風にまくれるモンローの原型を見ることができます。豊かなボウの表情を中心に切り取りながらスピーディなカット割で話は進み、ドボンと海に転落したボウを救出する男、二人に挟まれた「IT」の文字、なかなかあれな閉め方ですね~。「あなたに“あれ"があれば必ず愛する人を獲得できます」、作中に実際に登場するエリナー・グリン女史がそう言っております。あなたに“あれ”はありますか?[ビデオ(字幕)] 8点(2006-02-16 00:14:55)(良:1票)

171.  知りすぎていた男 シンバルの緊迫感や、部屋を間違えたふりをする男や、謎の夫婦などなどヒッチのサスペンスタッチを堪能できる映画ですが、私にとってはこの映画はドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」、この大使館の終盤シーンは何度も見たくなります。デイが歌うシーンから部屋外へカットが移り、階段のワンカットごとに徐々に上階に近付いていきながら、聞こえる歌声も少しずつ小さくなっていく。そして上階の部屋に入ると微かに聞こえる♪ケセラセラ~。カーテンを少し開けると、デイの声も少し大きく聞こえるのもいい。口笛に気付いたデイが、やや視線を上に向けながら歌うところなんぞ、お涙もんでい。冒頭で我が子とダンスをするシーンなんかも好きで、う~むドリス・デイと踊ってみたいな~と感じる映画なのです。[DVD(字幕)] 9点(2005-03-29 23:36:01)(良:1票)

172.  サウンド・オブ・ミュージック ザルツブルクの街全体が一緒に踊り出すような「ド・レ・ミの歌」のシーンは何度見ても心躍りますね~。前半、家族の絆として歌われる「エーデルワイス」や「さようなら、ごきげんよう」が、後半では国家、民族の絆へと様相を変えるあたりに、サウンドの持つ広がりとともにこの映画の持つ広がりが感じられます。ワイズさん、さようなら、ごきげんよう![CS・衛星(字幕)] 10点(2005-09-19 21:28:35)(良:1票)

173.  いま、会いにゆきます コピー「落涙度100%」てか・・・よ~し、泣かしてもらおうじゃないのとハンカチを1枚余分に用意して見に行きましたが、<結論>持っていってよかった。試合前は舌戦に終始しながら試合後に抱き合う格闘家のような関係が、私とスクリーンの間で築かれました。亡くなった人間の再登場、「黄泉がえり」のような設定は、この映画ではあくまで純粋なラブストーリーをいかに語るか、の手段として用いられているだけで、再会と再別離に重きを置いていないところがいいですね。そして過去を振り返る形でのナレーションですが・・・この作品では、中村獅童の切々とした語り、竹内結子の清々とした語りが、説明台詞というよりも、リズムを刻むといった感じで音として心地よく響いてきます。小道具や伏線があまりにも決まりすぎる感はありますが、柴主さんの安定したカメラ、種田さんの丁寧な美術、そして土井監督の演出により力量感あふれる純愛映画となっているのではないでしょうか。といったあたりでペンを置かせていただきます。←このペンは大事なペンではないです。9点(2004-11-16 22:49:55)(良:1票)

174.  ラン・ローラ・ラン 《ネタバレ》 3つの話の冒頭の犬と少年を通りすぎるアニメはそれぞれの話を暗示しているのかな?最初は、普通に横をすりぬけていて、2度目は少年の足にぶつかり、3度目は跳び越えている。2話目は、その通りぶつかるがテーマ。ローラは2話目だけ曲がり角のおばさん(UND DANNでは宝くじに大当たり)、例のホームレスにぶつかる。救急車は通行中のウインドウにクラッシュ、そしてマニは救急車にひかれる。三つ目の犬を跳び越えるところは、超越=神を象徴。ローラを見つめる銀行の警備員は神がかったようなものでも見る表情。その後、ローラは当然のようにトラックには寸前でぶつからず、カジノで神がかり的な連続的中、そしてカジノの窓はステンドグラス。救急車で瀕死の患者に触れると奇跡的に回復。電話ボックスでは、盲目のおばさんがなぜか「待って」とマニにホームレスが通るのを教える。ついでに曲がり角のおばさんのUND DANNは伝道師になっている。以上まとめますと、人生なんてちょっとのずれで神に祝福されたり、嫌われたりするんですよ、確かなことは生を受け死を迎えることだけなんですよ。だから、どうすれば神に祝福されるような生き方ができるかを考えましょう、答えはないんだけどね、という映画かな。8点(2004-03-05 00:51:33)(良:1票)

175.  スーパーサイズ・ミー 政治的イデオロギーを直接的にぶつけてこないのがマイケル・ムーアとは異質ですが、「強者アメリカはこんなにも病んでいる」ことを言いたいのは同質でもあります。気に入ったのは、スパーロックの彼女がベジタリアンだというホンマかい!とつっこみを入れたくなる都合のいい設定。本当のベジタリアンの彼女か、彼女がベジタリアンを演じているのか、はたまた彼女役の人なのかは分かりませんが、この都合のよさが、さあこれからファーストフードに蝕まれたアメリカ社会を批判しますよというエゴイズムが剥き出て見えて心地いいです。そして気分が落ち込みながらも食べ続けるこの人の表情、なんか憎めんな~。だから極端な実験も許せてしまうところがあります。アホやなこのおっさんと。しかしお前にこの実験が出来るのかと問われればノーと返すでしょう・・無料のスマイルで。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-05 14:47:37)(良:1票)

176.  山の王者 ルビッチなのにこんなに純愛で悲恋でいいのか~、と唸りたくなる作品。なんてったって原題が「Eternal Love」なんだから。効果音付サイレント映画で、鉄砲の音を利用した場面転換、ドアをノックする音による心理描写などを巧みに取り入れています。山男ジョン・バリモアが断崖でエーデルワイスを摘むシーンを崖下から撮り上げ、恋人の存在と親密度が分かるところなど、ルビッチは外に出ても大丈夫、ドアだけじゃないぞ。雄大なロケーション撮影と雪山のセット、「陽気な巴里っ子」でも見せた群舞シーン、湯気が立つ暖かな食事と冷めた食事の対比、仮面舞踏会の仮面を利用した見せない演出など見所はほんとに盛りだくさん。粗野なジョン・バリモアと清教徒的なカミルラ・ホルン、その恋路をあの手この手で妨害するそれぞれに想いを寄せる男女が登場するハンス・クレイリーの脚本もよく出来てますね~。男なるもの好きな女性には断崖のエーデルワイスを摘むぐらいでなきゃな~、ってやっぱり私は単純です。〔英語版DVD〕[DVD(字幕)] 10点(2005-08-09 23:54:40)(良:1票)

177.  青髭八人目の妻 ルビッチ作品でワイルダー、ブラケットが脚本を担当したのは、これと『ニノチカ』ですが、特にこの作品は、上品にストーリィを組み立てるルビッチタッチというよりも、いかにもワイルダーの脚本でございます、といった風情になっておりますね。ルビッチの作品は、純粋な恋愛のかけひきを軽妙洒脱に描くことで、見ているものをルビッチワールドに誘い込むのですが、この作品は財産という金銭欲が恋愛にからまることで、少しアクの強い作品になっている、といえましょうか。私の中では、『ニノチカ』も含めて、ルビッチ+ワイルダー=最高傑作とはなっていないところに映画の奥深さを感じているところであります。7点(2004-07-02 19:12:21)(良:1票)

178.  ホーム・スイート・ホーム(1914) グリフィスが「イントレランス」より前に、4話オムニバスで製作した作品。第1章でジョン・ハワード・ペインにより作られた「ホーム・スイート・ホーム」が2章、3章、4章に登場し、家族、夫婦、恋人の窮地を救うという、これもグリフィスの危機一髪救出劇。1章で旅に出た恋人のベインを待ちわびる女性、これがリリアン・ギッシュで、クローズアップはまだないものの、窓外からの逆光線にきらめき風に揺れる髪、編み物、祈り、この20秒ほどの彼女が素敵すぎてもう私はグロッキー状態。生活がどん底のペインが曲の着想を得ると、窓のカーテンが微かに揺れて一条の光が何度も差し込むのもニクい。2章、マーシュとハロンの側でただただパイプを咥えてそこにいる親父さん。3章、兄弟の乱闘と駆けつける保安官のカットバック。4章、結婚当日へのフラッシュバック。そしてラストを締めくくる天女リリアン・ギッシュの天衣無縫な美しさに息を呑みます。説話的なテクニックが音で束ねられ、風が通り抜けるこの映画、サイレントでありながら五感を刺激する作品であります。[ビデオ(字幕)] 10点(2006-02-11 09:19:38)(良:1票)

179.  誰も知らない(2004) 実話の映画化、その内容からドキュメンタリー風の手持ちカメラぶんぶん丸ではないかと、映画館に入る前は嫌~な汗が流れていました。まずは列車の中、手持ちで揺ら揺ら、きたぞきたぞ(苦笑)と思っていたら、ありゃりゃカメラが止まり始めます。据えたカメラは、移動もズームもなく、固定されたフレームに出入りする、子供たちお母さん。カメラを移動させるのは、屋外の人物移動シーン。そこへ手持ちで撮られる、子供たちのクローズアップ、手もと、足もと。手垢のついていない子供たちの演技、その表情のなんと映えたることか。台詞が非常に少ないので、この子供たちが顔で表現する心理状態、そして手もと足もとのショットで表現しようとする作り手、いいぞいいぞ。終始、カメラの撮り方が一貫していますし、2時間20分の長さを全く感じることなく映像的には実に楽しく見ることができました。しかし、柳楽くん演じる明くんが、弟の茂くんがいなくなって、どこへいったか妹たちに聞くシーンは泣けました。「知らない」。「知らない」。誰からもその存在を知られていない子供たちが、とうとう兄弟姉妹同士からも知られなくなってしまう、そこは思考力、行動力を奪う、電気の止められた真夏の室内。その他にも、下の妹のキュッキュッという靴音、母親の手紙のハートマークを見つめる明くんの視線、などなどよかったなー。見終えてから、監督自ら「泣き顔は撮らない」とおっしゃっているのを読みましたが、その演出の狙い見事に、子供たちだけの空間、子供の王国世界が構築されており、ドキュメンタリーどころかファンタジーのようでありました。しかしこの映画を仕事をさぼって見たことは“誰も知らない”のであります。うわっ、言ってしまった・・・。9点(2004-08-11 19:47:10)(良:1票)

180.  新しき土 日独防共協定を背景に両国がそれぞれの思惑で作った合作映画です。ドイツの監督にアーノルド・ファンク、日本の監督に伊丹万作が当りましたが、意見が衝突、結局、ファンク版と伊丹万作版が出来上がり別々に公開されたようです。私が見たのはファンク版で、日本の風土に普通に育った者から見ると、とにかくおかしなところのオンパレード。さま~ずの三村に是非つっこんでいただきたい(笑)。例えば、富士山の近くに住んでいるはずが裏庭が安芸の宮島、東京音頭をバックに阪神電車のネオン、着物に草履の原節子が噴火する山にどんどんと登って行く、などなど。また日本文化の象徴たる事物の羅列は和的スパイラルのごとくとどまるところなし。富士山、桜、歌舞伎、相撲、お寺、仏像、屋台・・・、しかしこれは日本をドイツ国民に好意的に紹介するという使命を帯びた作品で、ドイツ人のファンクから見るとこういう映像になりますよ、ということを知ることができます。それらを切り取ったアングストのカメラは美しいです。ストーリィは、ドイツ語題を「侍の娘」というように、日本の美徳、因習と西洋の進歩主義のはざまに起こるドラマで、17歳の原節子がその娘を熱演しており、早川雪舟が原の父親役で競演しているのは、映画ファンならずともわくわくしますね~。ラストは、これは国策映画です!ということが直球で描かれていますが、そういう時代であったのだということを知る貴重なフィルムとして評価させていたたきます。←結局評価するのかよ!(三村調)8点(2004-10-23 21:25:56)(笑:1票)


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