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評価順12345

1.  死霊の盆踊り 《ネタバレ》 ついに見ました“盆踊り”!なんと私が借りたそのレンタル屋さん、御丁寧に“店長のおすすめ”なるラベルが貼ってあり、レジに持って行くのを躊躇してしまいましたが、思い切って借りてきました。この映画、私は大好きです。完全に“狙ってます”。確信犯です。アホな映画を作ろうとし、アホをとことん追求し、完璧なまでにアホ映画として仕上がっている本作を誰が否定するでしょうか。夜のドライブなのに昼の映像を織り交ぜるテキトーさもよし、チープなセット(明らかにロケではなくスタジオのセット)もよし、夜の帝王の一点を見つめる演技もよし、です。闇の女王を夜の女王と間違える字幕なんかも字幕制作に携わった人のヤル気のなさが伝わってきて実にいい味だしてます。この映画の日本語タイトルといい、まさに日米合作のおバカ映画と言えるでしょう。しかし、全てにおいてがテキトーというわけではないのです。本作のメイン、それはやっぱり死霊たちの裸踊りに尽きます。見て下さい彼女らの裸踊りを。どう見ても素人のなせる業ではありません。最後、“羽飾りのために命さえも捨てて殉じた女”のダンスはスゴイです。だって、乳首が円を描くようになんて踊れませんよ普通。さすが、大トリを務めるだけの事はあるな~と実感しました。やっぱりこの映画、ダンスがメインなだけあってそれだけは手を抜けないという監督の映画制作へのこだわりを感じさせます。どうしても単調になりがちになってしまいそうですが、所々に傍観者の会話を挟み飽きさせないよう配慮がしてあったり、側で踊りを見ていたカップルの人間模様も最後まで目が離せずきれいにエンディングを迎えるところなど、ただのアホな映画とは一線を画くような気がします。コメディ映画によくあるように、ギャグをとばして笑いをとることは誰にでもできます。しかし、ギャグを言わずしてこれほどまでに笑いをとった映画が他にあったでしょうか。ここまでアホに徹した映画を褒め称える場合、10点を与えるのはナンセンスであります。もちろん監督も10点なんか望んでないに決まってます。この映画を賞賛するならば、やはりこの点数しかありません。みんな脱力感に襲われるとか書いてるけど、私はこの映画を見て元気が出ましたよ。・・・・・しかし、もし予備知識なしで映画館にカネ払って見に行ったら、マジギレするだろうな~~。0点(2004-06-12 01:57:48)(笑:7票) (良:4票)

2.  バベル 《ネタバレ》 この映画を観た聾唖者の人たちはどんな気持ちなんだろう。私は障害者ではないが、この映画に対してかなり不快に感じた。 愛情表現の方法は他にあったにもかかわらず敢えて低俗な方法を選択し、聾唖者をあそこまで惨めに撮ったこの監督を心から軽蔑する。言葉で気持ちを伝えることの出来ない人の愛情表現がこれである、とも受け取れよう。ハッキリ言って聾唖者を馬鹿にしているとしか思えない。 また、人間の隠すべき部分をわざわざ撮って映画をキタナイものにしているところにも言及しなければならない。 人が生きていく上で、排泄という行為は絶対に避けられない行為である。しかし、排泄というものはキレイなものではない。どちらかと言えば、キタナイもの、見たくないものであり、その行為を積極的に見たいと感じるものではないと思う。 考えてもみて欲しい。排泄行為をストーリーに組み込み、劇場で不特定多数の観客に見せることに一体どのような意味があるのだろうか。 他にもこの監督は、自慰やのぞきのような低俗なものまでも映画の中に組み込んでいるのだが、有能な監督ならば絶対にそのようなシーンは撮るはずもなく、そういう監督というのは、良く言えば、省くのが上手いのである(ここは私の「ショーシャンクの空に」レビュー参照)。 百歩譲って“排泄と同時にキス”というシーンを撮りたかったのかもしれない、と考えてみよう。もし仮にそうだとしてもやはりセンスに欠けていると感じるのが一般的な尺度だろう。アブノーマルすぎる。 このようなシーンの数々は、この映画の主題からフォーカスが遠ざかるという次元を超え、作品を壊すというくらいの次元にまで迫っているように思える。 また全体のストーリー構成を見ても、3つの場所で進んでいるそれぞれのストーリーの結びつきが非常に甘い。この類のオムニバス形式のストーリーが面白くなるためには、それぞれの登場人物全員が一つの場所に集結し、一つの物語を描いていかなければならない。または、モロッコ・メキシコ・日本の3つが全て繋がっていればまだ評価できたが、実際は、モロッコとメキシコ、モロッコと日本の2点でしか繋がっておらず、メキシコと日本では何の繋がりもないため、全体的なストーリーにおいても評価すべきポイントというのは、特にない。[映画館(字幕)] 3点(2007-05-06 21:54:20)(良:4票) 《改行有》

3.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 何度もこの映画を観ていると、色々なシーンでの監督の計算高さに感服させられます。最も凄いのは、オープニングクレジットのシーン。傘の配置(動かし方)が実に綿密に計算されていて、文字が出ていないところを、そのスペースを埋めるように傘が通っているのです。見事! そして、この映画で背景が効果的に用いられている点を主張したい。というのは、序盤でドヌーヴが店から出てきて二人で抱き合うシーンでは、白地の模様入りの壁が背景になっているのですが、ギイが兵役を終えて帰還した時と、修理工場を辞めてからもう一度彼女の店に行く時にも、序盤で二人が抱き合うシーンのその白地の壁がそのまま出てくるわけなのですよ。つまりここで、序盤での幸せだった頃との対比をこのわずか1,2秒のシーンでさり気なく表現していると思うのですが、このようなちょっと気を抜くと見過ごしてしまいそうなくらいの些細な演出が私は大好きなのです。 ここまで計算されていると、あの街並みは実はロケではなくわざわざセットを作って行われたのではないかという疑念まで湧いてきてしまいそうです。 ストーリーの方が、これがまたこの映画のさり気ない演出に負けないくらいにナチュラルに仕上がっているので気づかずに素通りしてしまいそうですが、身篭った娘の母親の心情なんか、初めて娘の妊娠を打ち明けられた時はカンカンに怒っていたのがお腹が大きくなるにつれて娘に対して少しずつやさしくなっていき、しまいには子供の服まで買ってきてしまったりする心理描写は妊婦の娘をもった母の心情をとてもうまく描いていると思います。鋭い人間観察ができる人でないとこのようには描けないでしょう。だんだんと手紙の様子が変わっていって、最後の方になると質問に答えなくなったとか、違う話題に話をそらせたりするのも、本当にありそうで怖いですし、また、「誰の責任とは言わないが困っている」や、「それが、申し上げました通り・・・」なんて、本当に実際に聞いたことがあるような日常で普通に交わされるナチュラルな台詞ですよね。 それと、ラストの場面の会話をよく見てみると、今は「自分の店と幸せな家庭」という守りつづけていくものがある、というギイの確固たる決意が垣間見れたのに対し、ジュヌヴィエーヴの方はわずかながら寂しげな気持ちがあるように見えました。この二人の心理描写もまたナチュラル(自然な感じ)です。[地上波(字幕)] 10点(2005-01-16 20:08:38)(良:3票) 《改行有》

4.  鴛鴦歌合戦 《ネタバレ》 「んもぅ~」、「お父さんのばかッ!」、「アナタなんて嫌いよ」・・・などのような、お春さんの愛嬌たっぷりに喋るところも可愛らしいですが、片思いの彼が他に婿養子として行ってしまうと言われた時、涙を流し袖のふちで涙を拭う仕草がとても可愛くて、普段洋画しか観ない自分としてはあの仕草にコロッとイってしまいました(^_^) 外国じゃ絶対あんなふうに泣かないですもんね。 歌を唄っているシーンも、コミカルで楽しいシーンばかり。序盤の、傘が画面いっぱいに広げられているシーンでの歌(傘を作る者あれば使う者あり…って歌)と、大名が自分の家来のことを“ガラクタばかり”と言っているシーンの歌が特に好きです。 そして、ラストの大乱闘。コメディということもあってか、やや“作った感じ”のする戦いぶりでしたが、なかなか迫力があり見ごたえ十分のシーンでしたので、こちらもしっかり楽しめました。 一点だけケチを付けさせて頂くとすると、オフレコであるところがハッキリとわかってしまう部分がちょっと多かったため、少し減点させていただきます。俯瞰で撮ったところに歌を入れるとちょっとキビシイか・・・。[映画館(字幕)] 8点(2006-01-28 17:47:58)(良:3票) 《改行有》

5.  キートンの探偵学入門 《ネタバレ》 コメディ映画でバナナの皮といえばこれはもう100%、ただの一つの例外もなく滑って転ぶ人がいて、今までに数多くの足を滑らす人を見てきましたが、あそこまで大胆に宙を舞う人もキートンくらいなもんです。ベタ過ぎるくらいベタなギャグですが、そのクオリティが非常に高い(笑)! また、現実から夢の世界へ入り込んで、その中で物語が繰り広げられるという映画もまた、今までにいくつも観てきましたが、夢の中で話が進んでいる事を忘れてしまったのは今回が初めてです。つまり、それほど面白かった。 一番好きなのが、キートンがシャーロック・ジュニアに扮するシークエンスで、ビリヤードのシーンにはハラハラドキドキさせられます。結局、ビリヤード台の上の13番は仕掛けのないただの13番で、拍子抜けさせられたと思った瞬間に斧がズバッと落ちてきたりする絶妙の間が最高。 後半のほうで、バイクに乗せてもらって逃げるシーンが出てきましたが、運転手を振り落としてそれに気づかず暴走してしまうのってよく考えたら凄くスリル満点のシーンの筈なのに、キートンがやると何故か安心して見れちゃうから凄い不思議。彼自身の芸のクオリティが上がれば上がるほどつまらなく見えてしまって、ちょっと可哀想ですよ。 他にも、行商のおばさんにかくまってもらったり、映画館のスクリーンの中に入って行ってしまったりと、思わず目を見張ってしまうシーンは他にもいろいろあって、全編通じて楽しめる作品だと思います。 あと、サイレント映画全盛期の映画館の雰囲気も見ることが出来たりと、結構貴重な映画ですね。[映画館(字幕)] 8点(2010-06-10 23:19:24)(良:3票) 《改行有》

6.  ラ・ブーム 《ネタバレ》 この映画の公開当時、日本でもかなりの人気を博したとの事ですが、自分が観てみて日本人の感性には合わないような気がしました。 コロナ前、日本に長期滞在していた外国人が「日本ではドレスコードを着る機会がなくてつまらない」とぼやいていた人もいたそうで、欧米では日本と違い中学生の頃から既にパーティーの習慣があるのですね。 中学生であってもハグしてキスしたりとかも平気でやっちゃうというのは、日本人からするとちょっと驚きがあると思います。 また、エンディングでソフィー・マルソー扮するヴィックが初対面の男と熱いハグをする締めくくりも心情が描かれていないために我々日本人にとっては解釈に悩むところですが、この辺りの行動もフランス人にとっては普通に理解できちゃうものなのでしょう。 主人公のヴィックだけでなくその両親も双方とも別の所で恋人を作ったり、アフリカに旅立つ前に思い直してダンナの元に戻ったりする心の移ろいなどはやはりフランス映画ならではと思います。 自分より前のレビューで、フランソワが娘の彼氏を殴れるのが格好良いとのコメントがありましたが自分は逆で、彼女の親父を殴れる彼氏が格好良いと思ってしまいました。 また、ヴィックの友達のペネロペの妹がフランソワに好意を抱くのも年齢に拘らず自由で良いなぁと感じたりして、全体的に共感するのが難しい映画ではあるもののフランス人の恋愛観に対しては憧れのような感情が芽生えた気がしました。 ところで、パーティーで並べられた飲食物は誰がお金を出して準備をして片付けをしているのだろうか(笑)[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-10-29 00:24:04)(良:2票) 《改行有》

7.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 2,3年前に一回見た時は、キワモノゲテモノがオンパレードで出ているだけの映画みたいにしか感じられなくて、ストーリーなんかはもう途中で追うのをやめてしまったまま今に至ったわけだったのですが、再び鑑賞してみるとストーリーは把握できたけど、やっぱり好きになれないみたいです。まず、カオナシがいなくてもストーリーは成り立つのではないかという事。そして、ストーリーが明らかに散漫になってしまっているので、どうもそこがいけないような気がします。それと、皆さんのレビューを見ると物語に込められた隠喩が多くて監督のメッセージを詰め込みすぎているところからも、やっぱりそのように思います。 この映画はいやに賛否両論出てますが、これはもちろん狙ってのことでしょう。一流と言われる作家やらミュージシャンやらのクリエイターって、自分の作品が売れ始めるとどうしても万人受けするものを作りたくなってしまうようですが、宮崎監督はあえてその逆を選んだところに超一流たる所以があるように思えます。 ところで、再度この映画を見て、実写の映画にも決して劣らない演出のうまさに驚きました。 序盤でハクに急いで戻るように言われて川の中に思わず飛び込んでしまった時に後から川の広さを映して見せたりするシーン、また、竜の姿をしたハクが紙の鳥から追われているときに千尋が思わず「ハク!」と叫んでハッとした瞬間の千尋のアップのワンカットなんかは本当にうまいなぁと思いますよ(要所要所で効果的にアップを使っている)。 そして何よりもすごいのは、以前にも増して小難しい展開になっているにもかかわらず、ターゲットの年齢層には確実に支持を得ていて、そして、尚且つ、それより上の世代にとっては、ストーリーの奥深さ故に見る側が独自に解釈をすることが可能であるため、十人十色の楽しみ方ができるように作られているところですよ。ヒット作はこのように作るのだというお手本のような作品ですね。 余談ですが、カオナシは現代のネット社会の人間みたいですね。こないだの、小学生の女の子が包丁で友達を切りつけた事件とかを思い出すと、ちょっとドキッとしちゃいます。インターネットでチャットとかすると、顔が見えない分いくらでも言いたい事言えるから普段よりも攻撃的になったりするし、性別も年齢も職業も偽って全くの他人になりきることもできるからインターネットってまさに“カオナシ”ですよね。[DVD(邦画)] 6点(2004-11-11 17:57:07)(良:2票) 《改行有》

8.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 この映画こそがクラシック映画の醍醐味を堪能できる映画なのではないでしょうか。 クラシック映画の最大の魅力は“国籍人種及び時代を問わず、いかなる環境の下で鑑賞しても楽しむことの出来る普遍性を有する”ところにある、と私は考えているのですが、本作品はそれが見事なまでに表現されていると言えるのです。21世紀のこの時代に観ても十分に説得力のある先見性ではありませんか。 “手と頭脳を結ぶのは心”この決め台詞にシビレました。 どんなに時代が進んで機械化が進もうと、それを作って動かしているのは必ず人間であり、また、その人間同士の間においても、気持ちの通うことのないやりとり(現代社会に当てはめてみれば、メールやFAXのみでの伝達など)ばかりでは駄目なのだというメッセージを既にこの時代から訴えているのです。 また、会社勤めをしている自分にとって、この映画は現代社会の企業の縮図であるような気がします。会社の上層部の人間と現場で働く人間とが上手く連携をとっていかないと企業としての成長が見込めないということは、仕事をしたことのある人にとってはごく当たり前のことですよね。 映画序盤にいきなり登場する巨大なセットで観客の心を一気に掴み、ラストのクライマックスに向けてテンションを上げていくといった、明らかに観客を楽しませようと意識した作りに仕上がっているところもフリッツ・ラングのエンターテイナーとしてのプロ意識のようなものが感じられ、好印象なのであります。 〔追記〕後日、DVD(淀川長治100選のヤツ)で鑑賞したら、劇場で観たオリジナル版(122分)に対してDVD版92分と、30分も削られているではありませんか。確か、日本の歓楽街“ヨシワラ”という言葉が出ていました。しかも、オープニングのタイトルも滲んでいて“Metropolis”の文字が見えず、序盤の巨大なモニュメントも目の部分より上が画面からはみ出ているし、それに、劇場で見たときの荘厳なオーケストラの音楽もなく、終始単調なピアノの音がただ流れていただけで、かなり物足りなかったです。DVD版だと8点です。[映画館(字幕)] 9点(2006-01-21 00:17:07)(良:2票) 《改行有》

9.  荒野の七人 《ネタバレ》 オリジナルの方はまだ観ていないのですが、「七人の●●」とか「●●の七人」という作品で、7人全員にスポット当てることが出来ているものって、あるんでしょうか? この映画も、途中までは凄く良い。人数集めをするシーンで、一人また一人と仲間が増えていく時の高揚感は他の映画では感じることの出来ない盛り上げ方で、ここまではかなり好き。けど、5人目くらいまではしっかりと人物描写をしながら人数を増やしていっているのですが、最後の方になるとちょこっと顔出して終わりといった手抜きとも言える進め方なのでどうしても中途半端な印象が残ってしまいます。ここは上映時間をあと30分増やしてでも7人全員のキャラを確立させて村に行って欲しかったです。 ついでに、もう一つ不満なのが村民の態度が コロッと一変してしまうくだりなんですが、「死体がこの辺一帯に散乱するのはイヤだ」とか言って7人が逆に締め出しを食らうところは、まぁ、起承転結の“転”にあたるところを組み込んだつもりなんでしょうけど、馬鹿げていると言うか何というか、あれだけ頼っておきながら手のひら返されて裏切られるとイラッとさせられてしまって、ここは大きくトーンダウンしてしまいました。 それと、1回目の銃撃戦の後のダラダラとした流れもダメ。 ユル・ブリンナーを初めとする豪華キャストの格好良さにオマケして、大甘の6点。[映画館(字幕)] 6点(2011-07-09 14:58:42)(良:2票) 《改行有》

10.  キル・ビル Vol.1(日本版) 一番最初の格闘で早くも意気消沈。そのすぐ後の千葉の語りで幻滅し、「ナニが乾いてるときは~」の卑猥なセリフに唖然。突然のアニメにただならぬ違和感を感じ、模型の飛行機に怒りを覚え、何を言っているのかわからない片言の日本語でさらにテンションが下がります。ラストの、100人斬りならぬ88人斬りでここでもさらにトーンダウンさせられ、ルーシーとの決闘にはもう絶句するしかありませんでした。 この映画はなにがやりたいのか全くわからない。ジャケットを見て完全なアクション映画と思いきや、実際に見てみると実はコメディの要素も含まれているらしく、ギャグととっていいかもわからないようなプチネタが至るところにあるおかげで非常に中途半端なものになってしまっています。それがギャグのつもりなのか、はたまたタランティーノの日本に対するイメージの勘違いなのか、判断に苦しみます。百歩譲ってそのことには目を瞑り、アクションに目を向けてみてもとんでもなく間の悪いアクションばかり。ウマの日本刀を持っての立ち振る舞いの悪さは言うまでもなく、ワイヤーの使い方にしてもいいかげんなのが素人目にも見て取れます。そもそも、今どき青葉屋を舞台に持ってくること自体、いかにも日本かぶれの外人の発想。ナンセンスと言わざるを得ません。おまけに、血飛沫の多さにも愕然。グロテスクでエグい描写をすれば観客が喜ぶとでも思っているのでしょうか。エロいセリフ回しや露骨な殺人シーンのような、直接的な表現ばかりの映画がもてはやされ、これからの映画界がこのようなものばかりになってしまうと、人間の想像力に訴えた表現をする作品がますます廃れていってしまうのではないかと心配になってしまいました。[DVD(字幕)] 2点(2005-01-16 00:45:07)(良:2票) 《改行有》

11.  嵐ケ丘(1939) 《ネタバレ》 物語が重いし、おまけに画面が暗い。いつの時代の話かはわかりませんが、身分や家柄が絶対という世の中で起こる雇い主の娘キャシーと使用人ヒースクリフの恋愛物語。 物心付く前は身分だの家柄だのという基準なんて当然気にするわけもなく、純粋に相手の人柄や外見のみが判断基準となるため、身分違いのままお互いが成長すれば当然周囲から反発を食うことになってしまったり同じ身分の異性に魅かれていったりという事が起こりそうですが、そういった部分の葛藤の気持ちだったり、またはお互いに乗り越えていく様をどのように描くのかというのが、古今東西いつの時代も変わらぬ“身分違いの恋愛モノ”における重要な部分になってくると思います。 自分がこの映画を好きなところは、幼少期と青年期の描き方が素晴らしく、それがストーリーのバックグラウンドにしっかりと根を張っているところです。 丘の上にある大きな岩を城に見立てて、王様とその僕(しもべ)のような台詞回しで愛を誓い合うシーンが非常に美しく、そのため、エドガーと結婚する際やパーティー会場のテラスのシーンなど、心が離れてゆくような描写があっても違和感なく最後まで観る事ができました。 また、パーティー会場にヒースクリフが入ってきてキャシーと出会う瞬間のキャシーの表情の絶妙、そして極めつけの最後、ベッドで寝ているキャシーの元にヒースクリフが現れた時、キャシーがゆっくりと目を開いていく表情は、他にどんな映画を探しても決してあのような印象深いショットはお目にかかれないと思います。 映画の終盤になって回想シーンが終わった後も、依然として暗い雰囲気でありながらもとてもロマンティックな雰囲気で締めくくられ、岩に向かって歩く二人の後姿で幕を閉じるラストシーンが凄く良かったです。[映画館(字幕)] 9点(2011-04-21 23:28:59)(良:2票) 《改行有》

12.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 こないだ、再度DVDで観てみたが、やっぱり面白い。 変更前に書いた、私立探偵アーボガストが階段を登るときの緊迫感溢れる映し方や、サングラスの警官のドアップ、最後の地下室で照明を揺らすことによって骸骨に陰を持たせて不気味さを増幅させていたりという映像の超絶テクニックを再確認し大満足であったが、今回の再鑑賞では、脚本の技巧さも随所に感じられた。 脚本を作る際に工夫したと思われるポイントは“母親が実在することを如何に信じ込ませるか”という事だと推測できるのだが、私立探偵アーボガストはノーマンとの会話で、マリオンがノーマンの母親と会ったという事は一切出てきていないにもかかわらず、ライラとの電話では母親と会ったという彼なりの推理を展開しており、これがあたかも母親が実在しているかのような錯覚に観客を陥れることに成功している。また、ライラの「相手は病気の老人よ」や、サムの「事の次第は母親が知っているか」など、真相が明らかになる直前までこんな台詞が出てきており、保安官夫婦の証言など簡単に吹き飛んでしまうほど上手く誘導されるのだ。 他にも、多くの方々が書いてらっしゃるので言うまでもないが、4万ドルを持っての逃走から主人公が入れ替わり、連続殺人へと展開するストーリーの組み方や、バーナード・ハーマンの耳を引き裂くような音楽など、クラシック映画の醍醐味を存分に堪能できる一本である。文句ナシの10点![DVD(字幕)] 10点(2004-06-04 14:38:12)(良:2票) 《改行有》

13.  シベリア超特急 見る前に皆さんのレビューを見て、完全にウケを狙った映画なんだなと思いました。 しかし、実際に見てみると、とんでもない!!!思いっきり真面目に作ってんじゃんこれ。 だから許せない!真面目に作ってるんだったら、もっとちゃんとしたのを作って欲しかった。 何だよあのチープなセットは。恐ろしく低予算。晴郎の演技も最悪。もっと練習してから撮れよ。他の真面目に演技してるキャストに失礼だよ。言っちゃ悪いけど、外人女優のチョイスもダメ。あの人たち絶対映画の顔じゃないよ。シベリアの電車のはずなのに何故か車掌が日本人なところも???だし。あの車掌を外人に見せたかったからなのか、髪を茶色に染めてたよね。モロ安易な発想。英語も下手だったっていうのはもう演技以前の問題。・・・って、まだ他にも突っ込みたくなる個所山ほどあるけど、言い出したらきりがないよ。晴郎がおふざけでこの映画を撮ってるんだったらこれらの事もみんな笑って済ませられるんだけど、スッゴイ本気。「戦争はイカン!」とか真顔で訴えてるしさぁ。晴郎はこの映画が海外進出してもいいようにと思って英字幕つけたんでしょ。オマケに主題歌まで作ってるし。なにが作詞水野晴郎だよ(ここだけはマイクではない)。マイクって何?晴郎の道楽に付き合わされた関係者達に同情するよ全く。本気だとしても、ウケ狙いだとしても、いずれにしろ0点だこんな映画。監督と視聴者との間で見方の食い違いが出るどころの問題ではなく、完全にカラ回りしているところが非常に見苦しい。滑稽を通り越して腹が立ってきた。 (’04.10.8追記)先日、某深夜番組に2005年お正月公開の「シベリア超特急5」の宣伝をしに水野晴郎がゲスト出演していましたが、その場にいた蛭子能収さんに「シベ超の1と2は見ましたよ」と言われて、「3、4、5も是非見てください!」と満面の笑みで自信タップリに言ってたのがとても印象的だった。あの子供みたいな水野晴郎の笑顔を見て、この映画に0点をつけるのはちょっと忍びないなぁと、不覚にもそのような邪念がよぎってしまった。MIKE水野のあの笑顔に1点プラス!![ビデオ(邦画)] 1点(2004-06-08 20:24:48)(笑:2票) 《改行有》

14.  アッシャー家の末裔 《ネタバレ》 この映画、もう何から何まで凄い。 自分が観たサイレントの中でダントツの怖さです。 まず、アッシャー家の当主ロデリックと妻マデリンの妖しさは何とも言えない。特に、ロデリックの方は、映し方によっては至って普通の紳士のようにも見えるのだけど、独特のカメラワーク故のものなのか、ストーリー上の背景がそう見せるからなのかわからないですが、目つきがヤバかったり頬がこけていたりというような“いかにも”という風貌ではなく、内側から滲み出てくるような不穏な雰囲気があり、取り憑かれたような感じになりました。 序盤で、馬車に乗っている付き添いの人がアッシャー邸を指差すワンショットからインパクト絶大で、更に、ロングで捉えた館の恐怖感たるや、本作か「サイコ」かと言える程の様相です。 また、至るところに空や水辺や木々など、自然を撮ったショットがふんだんに使われており、雲の動き、水のざわめく感じ、枝の揺れ方などでただならぬ雰囲気を表現していたり、妻の棺桶を馬車に載せて墓まで運ぶシーンのカメラの揺らし方なんかも抜群で、どのショットを切り取っても凡百の映画とは一線を画す印象です。 妻の絵が完成に近づくにつれて本物の方から生気が失われていくというのもストレートで良い感じに恐怖感が出ているし、岩の間から白い布が見え隠れするのも冗談みたいに怖い。最後に館が燃えてしまうのも古典的なラストで良い。 レア物なので、機会があるかはわかりませんが、是非また観てみたいです。[映画館(吹替)] 8点(2011-09-13 23:54:51)(良:2票) 《改行有》

15.  猫の恩返し 《ネタバレ》 ここにある皆さんのレビューを読んで初めて、そういえば絵がちゃんと描かれてないなぁと気づくくらいアニメには詳しくないですが、自分なりに感じた点を挙げるとすると、まず一番気になったのが、ストーリー展開やキャラクター設定が幼児向けに作ったのではというほど、深みがないという所でしょうか。ストーリー展開で言うと、特に終盤。猫の国から脱出するために塔に登らなければならないという事実が“突然”出て来る。さらに進むと、そこへ行くまでには巨大迷路が実は存在する。やっと、塔に登り始めたと思ったら今度は塔の中に兵を隠しているということが登っている最中に発覚。と、何もかもが唐突で、行き当たりばったりの印象がするため、ストーリーがとても安っぽく感じられてしまうのです。しかも、迷路を抜ける時も塔の兵が襲ってきた時も自らの力でピンチを乗り切ったのではなく“乗り越えることが出来てしまった”という切り抜け方であるため、感動もなければ驚きもなく(違う意味での驚きはありますが)、しかも、あの一連のアクションをギャグとして解釈したとしても非常に低レベルであるのは明らかであり、どう転んでも秀作と言える余地はないでしょう。このような都合よく行き当たりばったりに進んでいくストーリーを見ると、この作品を作った人も何事も軽はずみでものを進めていく人なんだろうなぁ、なんてことを考えてしまいそうですね。[DVD(邦画)] 3点(2006-03-16 23:29:23)(良:2票)

16.  八甲田山 《ネタバレ》 八甲田山という映画がある事は以前から知っていましたが、シベリア遠征のための訓練の話だとは知りませんでした。 確かに苛酷であるのは容易に見てとれるのですが、訓練の話となるとどうしても面白さを割り引かざるを得ないという気がしてきます。 映画の序盤で、これから過酷な地に向かうという事もあり、その前フリがあらゆる場面にちりばめて出てくるのが映画を盛り上げるのに生きていたように思えました(若干演出過剰気味ですが)。 まず、トップの人間から困難な任務であることを聞かされたり、麓の村民からも無理だと諭されたり、また、神田大尉の奥さんに食事を日程分よりも多く入れておいてくれという台詞からは彼が内に秘めている悪い予感が的中することを暗示させていたりして、入山前から並々ならぬ緊張感を漂わせていて実に面白いです。 更に、山田少佐が村民に対し案内は要らんと拒否する一連のシークエンスの間、神田大尉の背中を映し続けるカメラが彼の受ける絶望感や悲壮感を静かに炙り出していて、ここが自分にとってこの映画の中で一番好きなシーンです。 映画のほとんどが雪の中での過酷な状況である中でも、ひときわ群を抜くのが雪崩のシーン。人工的に作り出したのだとしても、ここは本当に命懸けであっただろうし、更には、物語の中で夜を越す場面ではテントも張らずにただ雪洞を掘ってそこで立って寝るだけというのが、昔の人は凄いなぁとこの映画で一番驚かされたところです。[映画館(邦画)] 7点(2014-11-15 22:02:23)(良:2票) 《改行有》

17.  アーティスト 《ネタバレ》 3D全盛のこの時代に無声映画がオスカーを取ったという物珍しさもあって、興味半分で観に行ってきました。 本作は自分が大好きなフランス映画の筈でしたが、むしろハリウッド調の誇張されたストーリーや演出が数多く見受けられ、中でも、主人公の活躍したサイレント映画が廃れていき時代の流れに乗れずに絶望感に打ちひしがれる一連のプロットに、何もそこまでしなくても…というやや大袈裟な展開の連続がちょっと鼻につく感じがしました。 ハリウッドへのオマージュというのを考慮してもちょっと行き過ぎた感があり、またサイレントは表情やアクションのみで物語るところはあるにせよ、やや過剰な演出が出すぎていたように思えます。 ついでに、10~20年代の実際のサイレント映画を見ている時はちょうど良いタイミングで、つまり、どんな台詞を喋ってるのだろうと思ったところではしっかりとスポークンタイトルが出て会話の内容を提示してくれるので、それがとても心地よく感じられ、音声なんか必要ないんじゃないかとまで感じさせてくれることが多いのですが、本作の場合はそれが非常に少なく、また、ちょっと細かいところですが、スポークンタイトルの出るタイミングが一瞬遅い事が何度もあり(0.2秒くらい)、ちょっとイラッとすることがありました。 映画の中盤で、階段を昇る女優と降りる男優というメタファーを狙ったようなシーンが出てきましたが、あの突然の傍目ショットはメタファーを撮りたいがためだけに挿入されたとしか思えず、客観視する理由も見出せないため、妙に異質な雰囲気ばかり感じてしまいます。 また、犬を脇役に起用したことやBGMの音楽も、チャップリンの影響を受けているのは明白ですが、犬の演技に関してはしっかりと訓練を積んで演技をした本作よりも御本家の「犬の生活」の方が動物的で自然な振る舞いをしているように思えます。 ストーリーの最後は、新たな境地を開拓してハッピーエンドを装う感じで締められていますが、映画で勝負することから逃げているようなエンディングであるため、ここはまさにご都合主義としか言えないでしょう。 キャスティングについては、主演女優があまり美人ではないのが減点材料で、クラーク・ゲイブルに似た主人公がアステアばりのダンスを踊っていたのは、時代錯誤のような気が…。 ただ、今のこの時代にサイレントで勝負した心意気は買いたいと思うので、オマケしてこの点数。[映画館(字幕)] 6点(2012-04-14 18:02:03)(良:2票) 《改行有》

18.  暗くなるまでこの恋を やっぱり、この頃のフランス映画はいいです。あのヨーロッパ映画独特の画面のくすみ具合、古ぼけた感じがたまらんのですよ。そして、そのくすみがかった画面の中で愛を囁く男女二人。これだけでもう十分です。さらに、男の独り語りのシーンがあればより評価は上がります。 この映画のストーリーは本当に単調で、二人が仲良く暮らしている間も逃避行を続ける間も、愛を語り合ったり、喧嘩をしたり・・・というだけなのですが、何故かどことなく面白いのです。よく考えてみると、こんなストーリーって映画の中の世界に限った話をすれば、結構ありふれたストーリーのようにも思えてきますが、それでもやっぱりイイんです。 自分も人生で一度くらいはこんな恋愛してみたいなぁ~なんて思う反面、人生万事順調だった人が、たった一人の女に人生を狂わされると言うのはやっぱり見ていて忍びない。 けど、やや非現実的なストーリーなのかもしれませんが、一つの愛の形がキッチリと描かれていて映画の中に一徹したポリシーがあるのがわかるので、やっぱり評価が上がります。 映画の終盤での、ログハウスの中で「ハイ、これ飲んで♪」と余りにも自然な態度で優しく接していたので、白雪姫のカートゥーンを見ても、まさかそれはないだろうと、最後までその事実を信じることができませんでした。この映画のような“女の本性”って本当にオソロシイ・・・。 それと、この邦題は見事です!かなり気に入ってます。 〔追記〕スクリーンで観たときの印象↑と自分の部屋の小さなテレビで観たときの印象がこんなにも違うのかということをこの映画で痛感しました。まず、スクリーンで初めて観たときはシネマスコープサイズでもちろんノーカットバージョン(124分)。かたや、自分の部屋でレンタルしてきたやつを観た時は4:3サイズの100分チョイ版ときた。これだと、肝腎の暖炉で愛を語るシーンがカットされているわけなのです。この映画の中で一番好きなシーンだったのに・・・。もし、自分より前に投稿なされている方全員がノーカットのシネマスコープサイズの方で観ていたとしたらもうちょっと平均点上がっていたことでしょう。(序盤の出会いのシーンの格好良さは、絶対シネマスコープでないとわからないと思います。お金に余裕のある方は是非DVDで!)[映画館(字幕)] 8点(2005-03-19 01:19:03)(良:2票) 《改行有》

19.  ロープ 《ネタバレ》 「確かに面白いことは面白いけど、ナンバーワンに挙げられるかと言えば、答えはノーだ。」この映画を見た人のほとんどがこんな感じの意見だと思う。けど、自分にとっては間違いなくナンバーワンの映画だ。この映画全体に流れる微妙なコメディ感・独特の緊張感がたまらなく気に入ってしまったのだ。死体がある場所を先に知らせる意義についてだが、先に知らせることによってこそこの映画の面白さが成り立つのである。これは間違いなくそう断言できる。死体を先に見せ、その隠し場所を観客に見せることにより、あたかも我々があのパーティ会場の壁の隙間からこっそりと覗き見をしているかのような錯覚を持たされてしまうのである。さらに言えば、先に死体の置き場所を知らせることによって、その後の登場人物同士の会話の全てが意味のある会話になってくるのだ。 そのおかげでこの映画には中弛みのポイントが全く存在せず、終始一貫して緊張感を醸し出すことに成功している。この映画が素晴らしいのは極端な長回しによる緊張感溢れる撮影方法よりもワンシーンで全てストーリーが進んでいくシナリオよりも何よりも脚本が優れているからなのだ。つまり、この映画の面白さはパーティに招かれた人たちが犯人たちの愚業を如何に暴くかなどということではなく、パーティに招かれた人たちの決して故意的ではない(←ここがポイント)何気ない言葉によってフィリップが心理的に追い詰められて顔が青ざめていくところ、そして、ブラントンが幾多ものピンチを機転を利かせて巧妙に難逃れをするところにあるのだ。従って、この映画では登場人物の誰かに感情移入をしてしまうと全く面白みのない映画となってしまうので、登場人物たちと一定の距離をおいて客観的に見るべきである。また、可能な限りカット割を入れず(背中にカメラを近づけてカットするところはともかく、会話の間でカットを入れるところは凄くナチュラルでいい!)長回しで撮ることによって現場の緊張感を高め、さらに、背景を時間の進行とリンクさせているところも注目である。 「ハリーの災難」でもそうだが、人間の死というものをここまでコメディタッチに描くことのできるヒッチコックにはただただ舌を巻くばかりである。10点(2004-06-03 18:59:34)(良:2票) 《改行有》

20.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 サスペンスとは何かと問われれば、かなり私見で広義ですが、“劇中の人物が知らない真相を、観る側の人間がそれを把握している場合に起きている出来事”のことだと勝手に思っているのですが、この映画の凄いところはそのサスペンスの斬新さにあります。 ストーリー上では3つの場面がクロスカッティングによって同時進行し、更にこの3つの場面全てにサスペンスが成立してしまっているというとんでもない展開。 まず、ジュリアンは車が盗まれてしまいその先々で起こる事件によりドイツ人夫妻の殺害犯に知らぬ間に仕立て上げられてしまい、またカララ夫人はジュリアンがエレベーターに閉じ込められているという真相を知らず、そして若者たちは社長殺害犯の車に乗っているという事実を知らないまま車を走らせるという、まさかのトリプルサスペンス! ただ、この斬新なシナリオは評価できますが、細かな部分に粗が多すぎるのが玉にキズ。 冒頭の社長殺害のシーンは直接的な描写でなくて好きなのですが、鉛筆削りの音で銃声をかき消すように撮りたいのか、はたまた鉛筆を削り終わった後の数秒の間で銃声が響いてしまい失敗に終わるのかが一瞬わからず、映像が社長室に移行する時に初めて殺害が成功したのだとわかるのがちょっと完璧ではないし、また、エレベーターに閉じ込められていた時に鉤付きのロープの映像が一度も出てこなかったのも演出力のなさを感じます。ここはジュリアンがロープを取るためにに戻ったのだから、ジュリアンがエレベーターの中でもがいているシーンの途中でベランダに残ったままのロープのカットを最低1回は挟むのが常識でしょう。 それと決定的にダメなのが、カメラをストーリーの中に出してしまうところ。 犯罪映画において、カメラが証拠品になることなんか誰にとっても当たり前過ぎる事であって、しかも「3枚残ってる」とわざわざ不倫現場が写っている事を暗に教えてくれてしまっているのは、ここで伏線張りましたと言ってしまっているようで、何だか悲しくなってしまいました。 最初に述べたトリプルサスペンスのアイディアは見事でしたが、この映画を撮った頃のルイ・マルは演出においての力量にやや欠けていた感があったような気がします。 ところで、若き頃のブリアリがチェスをやってたりおかしな証言をしてたりして、妙に存在感出てましたね。[映画館(字幕)] 7点(2011-01-30 23:06:08)(良:2票) 《改行有》


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