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評価順12

1.  オッペンハイマー 《ネタバレ》 原子爆弾の父こと、理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落を描いた伝記ドラマ。クリストファー・ノーラン監督らしく、複数の時間軸を錯綜させたノンリニアなストーリーテリングが特徴で、膨大な登場人物を使い倒し、猛烈なスピードで、天才物理学者の矛盾に満ちた生涯を描いている。脚本で参考にしたのは4作品。伝記映画としての大枠は『アラビアのロレンス』から。脚本での参考は『羅生門』、『JFK』から。人物造形、ことオッペンハイマーの宿敵ストローズの造形は、『アマデウス』におけるサリエリを参照したのだろう。 本作を理解する上で決定的に重要なのは、(1)時間軸を理解すること、(2)カラーとモノクロパートの違いを理解することである。特にカラーとモノクロパートの違いは、本作の基本設定、世界観の根幹に関わっており、ここを理解することは本作への理解度、解像度を上げるためには重要である。 映画で語られる時間軸は主に3つ。 1、1926年から1947年にかけてのオッペンハイマーの生涯 2、1954年の聴聞会(オッペンハイマーが厳しい追及を受ける) 3、1959年の公聴会(宿敵ストローズが追及を受ける) カラーとモノクロの違いは、カラーは、オッペンハイマーの主観で描かれる世界であり、モノクロは、オッペンハイマー以外の第三者(主に宿敵ストローズ)から見た世界である。 たとえばカラーパートにおいては、オッペンハイマーが実際に目にして、体験したこと以外は描かれない。広島、長崎への原爆投下の描写がないのは、オッペンハイマーが実際に見ていないからだ。ただし、彼の脳内イメージとして、原爆の被害を幻視し、煩悶する姿は描かれる。 かたや、モノクロパートでは、第三者の目から見たオッペンハイマーの姿が描かれ、ここではカラーパートとは異なる、オッペンハイマーの人となりが描写される。また、カラーパートで頻出するオッペンハイマーの脳内イメージは、このパートでは一切出てこない。 このように本作では、カラー、モノクロパートの使い分けが脚本上でも徹底されており、それはもはや2つの異なる世界観が存在しているといっても過言ではない。 つまり本作は、3つの時間軸と、2つの世界観がハイスピードで交錯し、それぞれが影響しあいながら、クライマックスへ突き進むという構成になっているのだ。このような構成を持つ伝記映画というのは、他に例を見ない。ノーラン監督の作劇術の円熟を示すものであり、それが監督の持ち味である豪快な映像技術と合わさって、第一級の伝記スリラーとなっている。 原爆投下の直接的描写がないことから、批判的な意見もある本作だが、そうした意見というのは、個人的には、先に述べた本作の基本設定、基本ルールをよく理解しないで述べられた感想に過ぎないという印象だ。 本作を観るにあたっては、被爆国として、日本国民として、といったバイアスを外し、なんの偏見もなく素直に鑑賞するのが良いと思う。むしろそうしたバイアスを抱いたまま本作を観ると、当時の米国の政治状況や、物理学者たちの人間模様が矢継ぎ早に描かれる展開に置いてきぼりにされるだろう。なお、先述の基本設定を理解した上で本作を観ると、本作への解像度と、本作の本質と問題提起をより掴みやすくなるだろう。 原爆投下の描写がなくとも、いやむしろ、それが直接描かれないがゆえの恐怖がよく描かれていたと私は思った。政治や軍事の指導者たちが平然と原爆投下や核兵器の増強を決定する場面それ自体が、政治状況次第で倫理観をかなぐり捨てる国家指導者たちの冷酷さ、無責任さをよく表現していたように思う。原爆の被害という現実が、国家指導者たちには数字上のできごととなり、原爆開発者たちには、自分たちの手を離れた、どこか遠い異国でのできごとに変貌する。それをどのように考えるべきなのか、映画は観客に突きつけてくる。感想は人それぞれだが、私には、原爆被害でさえ相対化と正当化をしかねない国家への恐怖と、オッペンハイマーが扉を開けてしまった核の脅威がいまだ現代でも引き続いていることへの憂いを強く感じた。[映画館(字幕)] 9点(2024-04-10 11:44:00)(良:3票) 《改行有》

2.  恋は雨上がりのように 《ネタバレ》 小松奈菜の若くキラキラした輝きと美しさを全力で綴じ込んだ作品。原作は未読だが、作品が持つ文学性とキャスティングの妙で、人気漫画を実写化した作品の中では傑出した出来上がりになったのではないだろうか。 冒頭からこれでもかというくらいに小松奈菜という女優の美しさや輝きを際立たせようと工夫しているのが見て取れる。大泉洋を相手役に選んだあたりも、中年男と女子高生の交流という物語に変な厭らしさを出さないための工夫といえる。思春期の女子高生のまっすぐすぎる思いに困惑しながらも、真摯に誠実に接しようとする中年男性の演技は、多少ファンタジーが入った部分はあるにせよ、説得力があった。 漫画実写化、特に女子高生が主人公の映画となるとどうしても色眼鏡をかけて観てしまいがちだが、本作はそうした先入観をなぎ倒す物語のテーマ性の深さがある。全体を通して見れば物語は、一度大きな挫折を味わった主役二人がどのように関わり、どのようにそれぞれの道を進んでいくか、というもの。単に恋愛だけでない、人間ドラマ的要素もちゃんと盛り込めている。回想シーンの効果的な配置や、モノローグに頼らない脚本には好印象を覚えた。雨、陸上、図書館、レストランのシーンにおいてもリアリティバランスを何とか維持するよう工夫がされている。度々言及される芥川の羅生門の一節は、人生の雨宿りという題材に対しての暗喩であろう。これも本作の文学性を補強するのに良い役割を果たしている。これらを振り返ってみれば、巷間に溢れる女子高生が主役の恋愛映画にはない、プラスアルファの要素が盛り込まれているのがわかる。個人的にはこれが本作を突出した出来に押し上げた要因ではなかろうか。 ちなみに本作のマイナスポイントは主に2つ。タイトルロールあたりの実にマンガ的な描写。全体的にあそこだけ違和感があり、そこは写実的に撮ってよかったのではないだろうか。もう一つのマイナス点は、高校生役の俳優陣の演技力。清野菜名はちょっと高校生にしては老けすぎだが演技は及第点。京都弁を使いこなせていない山本舞香、終始平凡な演技の松本穂香は目も当てられなかった。主役を引き立たせるという意味では成功しているかもしれないが、さすがにレベルが低い。 本作の陰の功労者にも目を向けておこう。音楽担当の伊藤ゴローだ。映画音楽で彼の名前を見ることはなかなか少ないが、いつも通りのオーガニックでセンスの良い音楽を提供している。この手の邦画だと、やけに仰々しいかやけに無味乾燥としたBGMが多いのだが、伊藤ゴローを音楽担当に迎えることで、上品ながらも盛り上がりに欠かない音楽提供に成功している。知る人ぞ知るポップバンドであるスカートが本作に協力しているのも憎いところだ。この点、制作陣のセンスの良さが光っている。 全体としてみれば、漫画原作とは思えない”青春ドラマとしての素晴らしい出来を備えた映画”であった。おそらく小松奈菜が高校生役を演じるのはこれで最後だと思うが、その若さゆえの、ときに無鉄砲なくらいの輝きや美しさを綴じ込めることができた意義は大きい。[DVD(邦画)] 8点(2019-08-01 11:51:56)(良:2票) 《改行有》

3.  新聞記者 《ネタバレ》 映像の撮り方、カット割り、スピーディで切れのあるカメラ回しはなかなかの完成度だが、いかんせん脚本が弱い。リアリズムが皆無で、人物造形や展開する人間ドラマも非常に薄っぺらく、ついに作品に共感することができなかった。ときの政権が密接に関与する新設大学で、生物兵器研究が行われようとしている…。映画の核となるこのストーリー展開は、いかにも陰謀論的かつ妄想的で、リアリティが欠如しており、ついていくことができない。映画がモチーフにしている現実の某大学問題で、生物兵器研究を裏付ける証拠も証言も現状はないため、なおさら映画内での展開の突飛さに違和感を覚える。あと主人公の取材過程の描写も雑。専門家や関係者へ聞き取りをしたり、文献を調べたりする過程が少な過ぎて、この主人公はまともに裏付けを取ろうとしないのかと不安さえ覚えた。ちなみに英単語を書き込んだ付箋に注目するシーンがあるが、ただの英単語を書き込んだだけのメモになんの意味があるのやら(笑)。あれで取材していますという風景を描きたかったのなら笑止千万だ。悪役となる内調・政府の描き方も、非常に一方的な描き方で、私の好みではなかった。最も違和感を覚えたのは、内調のあまりに暗過ぎるオフィス風景(笑)。あんな照明の暗さで仕事に集中できるのか甚だ疑問。そのような描写にもリアルを感じられず、またそれによって政府や権力側を都合の良く脚色しているなと感じた次第。不偏不党たるべきジャーナリズムをテーマとするこの映画が、こうした偏りを盛り込むというのはいかがなものか。 現実世界の事象をモチーフにし、ときの政府や権力を批判して風刺してやる!という意気込みが強く伺える本作。だが、その意気込みが強過ぎて、政府や権力は過度に悪役化されているし、現実から乖離した妄想的展開も目立つ。若干(…というかかなり)新聞記者たちも美化して描かれている。すべてが中途半端に脚色され、都合の良い物語に堕している。これで高評価を与えることは私にはできない。 追記:鑑賞後にもやもやが残ったため、原案本も読んでみた。他の方も指摘されているが、原案本には当然ながら生物兵器研究の記載はなく、やはり映画は想像が飛躍し過ぎだ。原案本と映画で共通しているのは、事象への裏取り作業が不十分である点だ。政府の陰謀や圧力はどこまで存在するのか、ある人物の醜聞の真偽はどこまでが事実でどこまでが虚飾なのか、事実を客観的かつ中立的に検証し、分析する行為が映画にも原案本にも不足している。本作のモデルになった記者も、事実の検討が不十分なままで、犯罪被害者”とされる”女性や、醜聞をでっち上げられた”とされる”元官僚に肩入れしている節がある。自分はこう思う、こうあってほしいという願望や思い入れ、思い込みに対して真摯で客観的な検討もせず、陰謀や圧力があったと騒ぎ散らし、権力や政権を一方的に非難するというのは、正しいジャーナリズムなのだろうか。結局のところ、本作は実際の事案をベースにした真面目な映画を装ってはいるが、肝心の部分では根拠や裏付けが曖昧な情報や主張を訴える不誠実な映画になってしまっている。 既存メディアの衰退とSNSの発展で、都合のよい情報、根拠が曖昧な情報、陰謀論が飛び交う世の中で、本作はそうした時流や風潮に立ち向かう映画なのかと思いきや、むしろ陰謀論や論拠曖昧な情報を拡散する映画になってしまっているとは、なんとも皮肉なものだ。[DVD(邦画)] 5点(2019-11-25 21:14:27)(良:2票) 《改行有》

4.  大脱走 《ネタバレ》 脱走ものの代名詞となった名作。第二次大戦を扱った異色の戦争映画であるとも評価することが可能だろう。私の親友が本作を非常に気に入っており、その友人と一緒に何度も本作を鑑賞したのが、いまではいい思い出だ。現在の観点からすると物語のテンポがゆったりとしており、もう少しスピーディな流れになれば満点評価をつけられたかもしれない。とはいえ、捕虜たちの逃避行に手に汗を握ってしまうくらいには、本作を楽しむことができた。マックイーンのバイクでの逃走シーンは本当に鳥肌もので、鉄条網をなんとしても潜り抜け、国境の向こう側へ這っていこうとするそのタフで不屈の姿に痺れた。 余談にはなるが、私も初めて本作を観たときには、戦時下の収容施設にしては随分と快適そうな施設だと思い、違和感を覚えて本作の原作本を読んだことがある。すると原作、つまり史実でも、(少なくとも本作の舞台となった収容所に限っての話だが)戦時捕虜たちは国際条約に従って丁重に扱われていたとのことである。残酷な話だが、国の為に戦い捕虜になった戦士と、生きる価値のない存在とされたユダヤ人とでは、その扱いに雲泥の差があったわけだ。映画ではその史実を補強するように、ナチスへの反抗心を隠さない、高潔かつ軍人気質な収容所長が配されている(だから同じ軍人である捕虜たちに対して寛容かつ同情的なのである)。つまり映画は原作に忠実、かつ、かなり史実に寄り添って作られているのだ。いまからすると歴史の勉強のきっかけにもなる映画といえるだろう。[映画館(字幕)] 8点(2019-06-12 14:02:41)(良:2票) 《改行有》

5.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 IMAXにて遅ればせながらの鑑賞。世間での高評価に水を差すようで申し訳ないが、結構な粗が目立つ作品だった。 この内容で7点以上の評価は付けられないと思った。 本作をよく注意してみてみると、クイーンという要素を外してしまえば、本作の物語の骨子は驚くほどありきたりなものだ。とある集団の栄光と挫折、そこからの復活。サイドストーリーには運命の恋人との出会いと別れ、家族との確執と和解まで、実にテンプレート的に盛り込まれている。映画の脚本としては、今からすると非常に陳腐な内容とも言え、そこには新鮮味もなければ深みもない。さらに言えば、クイーンファンなら即座にわかると思うが、本作では史実の順序が入れ替えられていたり、或いは誤解を招きかねない史実の省略を含んでおり、もちろん本作はドキュメンタリーでなく映画であるから仕方がないのだが、しかしそれでも、史実に対しての誠実さをあまり感じることができない脚本となっている。 演出面に目を向けても、フレディ以外の登場人物の描き方が雑。Love of My Lifeというわりにあまりにあっさり付き合い、あまりにあっさり別れるメアリーとの関係、バンドの他のメンバーのあまりに一面的な描写には、とにかく雑な演出という印象しか覚えなかった。クイーンは何もフレディ一人に依存していたわけではなく、他のメンバーの演奏能力の高さや各自が様々なジャンルの音楽を咀嚼してヒット曲を制作できる能力もあって、世界的にブレイクしたバンドであった。たとえば本作ではブライアンメイのレッドスペシャルや、ジョンやロジャーがいかに音楽的な成長を遂げて、ヒット曲を制作できるようになったのかといった部分が見事にオミットされている。結果的にフレディのみがフォーカスされて、他の人物の描写が粗雑になってしまったのでは、と思う。 とはいえ本作はあくまで映画である。限られた時間の中で史実の完全再現など出来るわけがなく、誇張や省略があってもいいと私も思う。ただし、史実の誇張や省略を含んだ映画が、それでも人の心を撃ち抜くためには、何かずば抜けた、それこそ狂気に近い域の演出や脚本や演技が必要だと私は思う。ただ残念ながら、本作でそうした部分を見つけ出すことが私はできなかった。史実への偏執的な拘りよりも映画的ダイナミズムを優先させた脚本はあまり高評価できず、演出も上述したように雑、CG合成だとまるわかりのライブエイドの映像も興ざめだし、ラミマレックの熱演は素晴らしかったものの、私が驚嘆する域までは達していなかった。フレディの振り付けは似ていても、歌唱部分は過去の音源の流用であり、これがもし彼自身で歌唱まで行っていればそれこそ驚嘆するしかなかったのだが…。 長々と書いたが、本作をまとめると映画的ダイナミクスを優先した、エンターテイメント要素の強い伝記映画ではあるものの、一方で不正確な史実の描き方や雑な演出も目立つ作品でもある。また、そうした難点をぶち破り、観客をねじ伏せるほどの狂気的な拘りもない映画である。クイーンに初めて触れる人や音楽ファンでない人たちには大満足の作品かもしれないが、ある程度目の肥えた批評家からの評価が高くないのは、本作のそうした弱点を見抜かれたからではないだろうか。[映画館(字幕)] 6点(2019-02-02 10:56:58)(良:2票) 《改行有》

6.  ライアンの娘 《ネタバレ》 文学作品のような映画を撮るとなれば、この人の右に出る者はいない、巨匠デイビッド・リーン監督作品。フローベールのボヴァリー夫人を下敷きにした人妻の不倫物語を、雄大なアイルランドの景色を背景にして、第一次大戦期間のアイルランドの政治状況も盛り込んで描いている。CGもない時代に、今からすると「どうやって撮った!?」と思わざるをえない、驚異的に美しく壮大な情景描写に圧倒されっぱなしだった(どうやって撮ったも何も、莫大な予算と期間をかけて、本物と見紛うような村を造り、嵐のシーンは実際に嵐を待って、キャストたちに嵐の中演技させたのだから、迫真の映像になるわけである。現在ではコンプライアンス的に絶対できないだろう笑)。 現代的な観点でいうと、ストーリーの骨格はボヴァリー夫人よろしく、”人妻不倫もの”であり、下手をすると観客の拒否感・嫌悪感を呼び起こしかねない作品であるが、そこは巨匠がさすがの手腕を見せている。高潔かつ厳格なコリンズ神父が要所要所で登場し、不倫の恋に燃えるロージーがやがては悲惨な破局を迎えることがわかりやすく提示されている。映画としてはロージーの無文別な恋を決して正当化していないため、観客は安心して観ることができるだけでなく、破局へ向かうカタルシスを味わえる。また、純真な唖者マイケルの存在と、彼へのロージーの心ない対応もまた、ロージーの未熟な人間性を提示していて、ヒロインを美化しない意図が透けて見える。人妻の不倫という俗っぽい内容を、絶妙な人物設定と美しい自然描写を配置して格調高い内容に仕上げているのは、まさにリーン監督の面目躍如だ。物語の構成、構図も見事であり、たとえば劇中2回あるラブシーンは対照を成すことで、夢想した結婚生活の躓きと、道ならぬ恋の高揚を表現している。序盤にマイケルへのキスを拒んだロージーが、最後には別れのキスをする。それによって、ロージーの人間的な成長ないし反省を表現している。夫婦を乗せたバスが長く曲がりくねった道をゆくラストシークエンス。これはまさしく人生の暗喩だ。このように本作は、すべてを台詞で説明せず、構図で語り、構図で魅せる映画になっている。 見どころがたくさんある映画だが、厳格なコリンズ神父と寛大なチャールズの人間性が忘れ難い。特にコリンズ神父の鉄拳制裁に、救われたような気持ちになった人も多かったのではないか(「これも神父の役目だ!」という台詞も最高)。おせっかいながらも、善悪を厳しく峻別し、ヒューマニズムを貫徹する姿に痺れた。[DVD(字幕)] 10点(2020-05-07 10:39:12)(良:1票) 《改行有》

7.  うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 《ネタバレ》 小学生4年生くらいのころ、夏休みTV放送で本作の序盤だけ観た記憶がある。 そのときの印象は、「難しくてわからん! あとなんか怖い!」だった。それで序盤だけ観て、鑑賞を止めてしまった。 それから10年後くらいにちゃんと鑑賞。で感想は「面白いけど、やっぱこの映画怖いわ!」ってことだった。 文化祭前のある一日がずっと繰り返され、異常に気付いた人はどんどん消えていく。そして時折挿入される廃墟のイメージ。 もちろんホラー映画ではないけれど、人をぞっとさせる不気味な演出や物語の展開に満ちていて、それをまさか国民的なラブコメディ原作でやってしまう衝撃。 原作のドタバタ明るい雰囲気やお約束事、お決まりを逆手に取って、異常な世界や異常な展開を際立たせ、さらにそこから夢や時間の曖昧さという哲学的なテーマまで言及するというのは、実に尖っていて、攻めに攻めた手法だなと感心もしてしまう。 余談だが映像もこの攻めた姿勢を反映してか、奇抜な映像表現も多い。大人になるとこの映像の攻めた部分も感心する。 本作を「怖い!」と判断したのは、本作から漂うこうした不気味さや異常感を子どもながらに感じ取っていたからだろう。 大人になっても夢邪鬼とサクラ先生の会話シーンなどは相変わらずぞっとする。 確かに原作クラッシャーという悪名も本作には付いて回るのだが、ここまでポップで不気味で、サスペンスフルで、だけど物語には奥行きがあって、意外性に満ちた映画というのは、名作と呼ぶべきではないかと私は思う。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-08-13 11:08:50)(良:1票) 《改行有》

8.  プロジェクトA 年始のBS放送でついつい最後まで観てしまった。 カンフー映画、というか今となってはアクション・娯楽映画の教科書のような存在。 とにかく明るい、笑える展開の数々と、スター性溢れる3人の主要キャラクターの存在感、華麗なアクションシーンの数々。 映画って本当に楽しいものなんだ!といつになっても教えてくれる素晴らしい映画です。[CS・衛星(字幕)] 10点(2018-01-08 09:46:20)(良:1票) 《改行有》

9.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 よくよく冷静に観てみれば、小汚いオッサンたちが金塊を巡ってジタバタする映画なのだけれど、モリコーネの音楽がかかってしまうと、オッサンたちの醜い争い(≒ドタバタ劇)が、なぜか神話的な雰囲気のある、運命的な決闘に見えてしまうという…。冷静に観れば不思議でしかないが、まさに映画的マジックを見事に作り出しているのが本作だろう。ストーリーに特段テーマ性があるわけでもないし、脚本的だけで判断すればよくある娯楽活劇でしかない。ただそこにレオーネの演出とモリコーネの音楽が入るだけで、一気に作品の質が変わってしまう。何回見返しても、墓を駆けずり回るシーンから三角決闘の流れは、胸が躍る。この突き抜けるようなわくわく感を作れているだけでも、名作といえる。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-11-24 16:42:11)(良:1票)

10.  横道世之介 高良健吾と吉高由里子のコンビが実に良い。青春ものの映画にしては上映時間が非常に長いのが特徴だが、この長さが苦にならない、むしろずっと続いてほしいと思わせるような、いい意味でのユルさや多幸感に溢れている。そしてその多幸感やユルさを象徴しているのが、主役二人の演技。ボケにボケを重ねて押し通すようなカップルなのだが、観ていて「なんかこいつら可愛いな、すごく楽しそうだな」という印象を持つから、これは二人の演技が凄いのか、もしくはこの二人の組み合わせが抜群の化学反応を起こしているのだろう。高良・吉高コンビはこれで2度目だと聞くが、今後も30代・40代になって歳を重ねてもこのコンビが見てみたいと思った。 既に他の方も仰っているが、主人公の死去が中盤から提示されるにもかかわらず、この映画は切なくはなっても、空気感は常に明るく爽やかだ。世之介の人物像、ふとたまに思い出しては、あいつは良い奴だった、面白い奴だったと笑顔で口にしたくなるような男。そんな主人公の人柄が映画全体の空気にもリンクしている。そしてこの映画自身、ふとたまに思い出しては、あれは良い映画だった、面白い映画だったと口にしたくなるような存在になりつつある。良い映画だ。[DVD(邦画)] 9点(2018-09-14 18:11:13)(良:1票) 《改行有》

11.  恋人までの距離(ディスタンス) 恋愛映画の中でも特に好きな一本。とはいっても、恋愛映画の中では結構な変わり種で、ほぼ全編主役二人による会話劇。 でもこの会話がいい。ウィーンの街並みを背景にすれば、どんな会話もお洒落に、かつ哲学的に見えてしまうという奇跡が発生してしまう。 本作のこのちょっと気取ったような会話劇を好意的に見れるかどうかが、本作に対する評価の分かれ目になるのだろう。 どうでもいい余談だが、高校生くらいのころに本作を見て、一人で海外旅行してみるっていいなとか、もしかすると、万に一つの確率かもしれないけど、旅先で素敵な女の子との出会いがあるかもなんてアホな期待を抱いたものだ。それで大学生になって、本当にこの映画みたいに、一人で海外旅行に行く事になった。英語はある程度喋れるくらいに勉強した。選んだ街はウィーンではなくロンドンだった。で、素敵な女の子との出会いはあったのか? 残念ながら女の子とは出会わなかったが、宿泊先で中国やポルトガルやオーストラリアから来たあんちゃんたちと出会い、彼らと映画の話で超盛り上がった。そのころ公開していたダークナイトのジョーカーについて、あれはポストモダン的な悪役だ!とか、アナーキー/パンクの文脈で捉えるべき!だとか、そんな馬鹿な会話を夜通ししていたような…。女の子には出会わなかったが、私の拙い英語に付き合ってくれて、お馬鹿な議論もしてくれる素敵なあんちゃんたちとの出会いはあったわけだ。もちろんそれは一期一会。彼らとはその後二度と会っていないし、彼らがいまどうしているのかもわからない。でも一生忘れぬ思い出だ。 外国でいきなり女の子と出会って、一日中会話して、恋に落ちて、そして別れる。 そんな本作を荒唐無稽だとか、或いは非現実的だと斜に見ているそこのあなた。 海外に一人で飛び込んでみたら、意外にこういう展開があなたを待ち受けているかもしれませんぜ。[DVD(字幕)] 9点(2019-01-03 13:32:14)(良:1票) 《改行有》

12.  インファナル・アフェア 多くの方が指摘する「警察・マフィアの双方がスパイを潜伏させている」この斬新なプロットで映画としての成功はほぼ八割方約束されたようなものだ。 そして忘れずに付け加えておきたいのが、原題でもある「無間道」が示す仏教概念。 仏教の無間地獄の概念を映画に取り込む事で、本作は単なる娯楽映画に留まらない、文学性も獲得する事になった。 一度悪に堕ちてしまえば、もはや善人になることは許されず、無間地獄の道を往く。 これはまさに善人を志しながら、自分自身を欺き続けなければならない地獄に囚われた主人公を指している。 余談だが、日本も含めたリメイク作ではこの仏教概念がオミットされていて、あくまで個人的な印象にはなるが、この概念をオミットしてしまうと、(リメイクを含む)本作はただの娯楽サスペンスに堕するような気がする。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-01-03 14:46:19)(良:1票) 《改行有》

13.  生きる 説教くさいとか、展開が遅いとか、喋りが聞き取りづらいとか、現代から観ると色々と難癖をつけたくなる。 しかし、それでもあのブランコのシーンの感動が、最後の夕焼けの美しさが、そうした難癖も吹き飛ばしてしまう。 主人公は安定した職があっても、家族がいても、世間的には立派な人であっても、生きるということの意味や意義を見出せていない。 むしろ日々を生きるのではなくやり過ごしてきただけで、まるで死人のようだと自嘲している。 そんな主人公が死の淵に立ったとき、初めて生きることの意味や意義を見出して奔走を始める。 冬の夜のブランコ。それを満足げに漕ぎ、歌を口ずさむ主人公。 本当に良いシーンだ。生きる意味を見出し、精一杯生き抜いたのだから。 ヤクザと対峙するシーンも涙を誘う。 主人公のように”生きる”ということが自分にもできるだろうか。 いつもこの映画は冬の夜のように深々と、しかし夕焼けのように暖かく問いかけてくる。[DVD(邦画)] 10点(2018-08-25 15:54:32)(良:1票) 《改行有》

14.  レオン/完全版 家族を殺されたマチルダの、ドア越しに救いを求める表情に衝撃を受けた人は多かったのではないだろうか。自分もその一人だ。 レオンのドアを開けるか躊躇する表情も良い。女子供にも容赦ないスタンスフィールドのいかれっぷりも最高。 レオンとマチルダの間にある、親子の愛とも、恋人同士の愛とも、どちらともいえない曖昧で、しかしながらとても深い愛は、考えれば考えるほど泣きそうになる。特に大人になるとそうだ。 こういう素晴らしい映画は10点つけなきゃ。[ブルーレイ(字幕)] 10点(2019-01-15 11:15:42)(良:1票) 《改行有》

15.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 黒澤の凄さだけでなくシェイクスピアの凄さも理解できた映画だった。 森が動く!という伏線と展開は原作と同じであり、そのトリックは意外性があって楽しめた。 原作執筆から何百年もたっているが、面白い作品は何年経とうが面白い。 黒澤の能を取り入れた演出も素晴らしい。登場人物たちの動きがなんとも妖しく不気味だ。 ホラー的な表現も黒澤は十分に出来るということがわかる。ダイナミックな演出のみに終わらぬ多彩な表現能力を持つところはさすが世界の巨匠。 たくさんの方が触れているが、あの弓矢のシーンは凄いとしか言葉が出てこない。 素人に毛が生えた程度の学生に矢を射させたというから、三船が本気で怖がるのもむべなるかな。 数ある黒澤映画の中でも特に有名なシーンであり、私も大好きな場面だ。[ブルーレイ(邦画)] 9点(2018-08-25 15:34:59)(良:1票) 《改行有》

16.  アンモナイトの目覚め 《ネタバレ》 実在の考古学者、メアリー・アニングを主役としたロマンス文芸映画。相手役となるシャーロットも実在の人物だが、史実ではメアリーよりも10歳以上年上の人物である。また、メアリーは生涯独身だったものの、同性愛者であったかは不明。つまり本作は史実を緩やかに利用した、恋愛ドラマであるといえる。 作中で描かれた、メアリーの人柄が、非常に魅力的だった。寡黙で孤独、仕事に対して強い誇りと愛着を心の内に持つ、不器用なパーソナリティにシャーロット同様に惹かれていった。好き嫌いがはっきり分かれるタイプの映画で、メアリーの複雑というよりは不器用な性格や人となりに、理解や親近感を持てるかどうかが、この映画の好き嫌いを分けるポイントであろう。 静的な造りの映画で、セリフは抑え気味、カメラはあまり動かず、荒々しい海の波音、衣擦れの音、鈴の音が際立ち、BGMそれ自体は極力抑えているのが特徴的。印象に残るショットは多く、海に入って抱き合うメアリーとシャーロットや、絵画の枠に収まるメアリーの姿などは、絵画的な美しさがある。一方で、冒頭の男性が脱ぐシーンも含めて、ヌードシーンやラブシーンは直截的で、肉感的、動物的でさえある。かなりのパンチ力があるため、それ以外の静的なシーンとのコントラストが鮮烈である。動物的なまでのラブシーンを通じて、寡黙な人物が胸に秘める、切実な渇望や心情を表現しているのかもしれない。ラブシーン以外にも、さまざまなカットやショットに監督の意図が込められていることは間違いなく、まさに台詞で語らず、構図で魅せる映画となっている。 物語は二人がこの先どうなるのかを明示しないまま終わってしまう。史実に基づけば、この先数年もしないでメアリーは病で世を去るが、この映画は史実を緩やかに使ったフィクションである。この先の想像は、観客に任せられている。[DVD(字幕)] 8点(2021-10-13 09:49:19)(良:1票) 《改行有》

17.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 ちょっと採点が甘いが7点評価で。 原作を読んだ上での評価だが、複雑極まりない原作をよく咀嚼した映画作品だと思う。 原作は曖昧な表現の文章が連続する上に、この映画以上に時系列がいじられていて、読者は頭を抱えながら読み進めなければならない。 たとえば、ジョンハート演ずるコントロールが退職前に何を企んでいたのかも、原作では伏せられている。登場人物の人柄も、映画ではやや単純化されているが、原作はそうはいかない。時系列は入り乱れ、人間関係も錯綜。誰が敵なのかさえわからぬまま、霧の中を歩かされるような、そういう苦しさの中で、主人公は過去の記録を読み漁り、丹念に記憶を再生しながら、その記憶の不審点を洗い出し、二重スパイを追い詰めていく、というのが原作の素晴らしさだった。 映画版では、原作の展開をある程度省略し、簡素化しながらも、そのエッセンスは抽出する事が出来ている。特にゲイリー・オールドマンの抑制された演技は秀逸。原作では主人公スマイリーは背が低く小太りの中年という設定だが、長身のゲイリーを見ても、普通にスマイリーっぽく見えてしまう。 ただ残念なのは、原作最大の魅力である、「過去の記録を徹底的に再調査し、記憶を蘇らせながら、不審点を洗い出す」過程が、この映画ではあまり描けていなかった。こんな地味な場面を映像化して面白くなるか実に怪しいのだが、ここが原作最大の魅力だから、映画版も何としても追及してほしかった。 本作を見て、難し過ぎるといっている方は、原作を読むともっと頭を抱えそう。でも、その迷宮のような世界をどうにかこうにか読み通すことで得られる、スパイの世界の寂寞感や荒涼感、その読後感はなかなかに味わい深い。ぜひ原作にも挑戦してほしい。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-01-12 11:32:08)(良:1票) 《改行有》

18.  ウエスタン 《ネタバレ》 ブロンソンのつぶらな瞳の奥から遥かな記憶が立ち上り、灼けた大地の向こうから、野性を露わにしたヘンリー・フォンダが歩み寄る。 何という素晴らしいシーケンスであろうか。そしていつものごとく、モリコーネの音楽が、時代から取り残された男たちの決闘をこれでもかと盛り上げる。 ドル箱三部作を経て、本作は、アクションやバイオレンスを売りにした従来のスパゲッティウエスタンからさらに進化を遂げ、伝統的な西部劇に対するオマージュと、ある種の文学的なテーマ性を盛り込んだ作品になっている。劇中さまざまな意味で重要な役割を果たす鉄道は、新たな時代と文明の波及、西部の終焉を示唆する象徴的存在である。物語はつまるところ、大陸を横断せんとする鉄道とその利権を巡る抗争劇であったわけだが、鉄道を物語のメインモチーフに据えることで、アメリカという国のありよう、西部の終焉、変わりゆく時代、そしてその変化から取り残されていく男たちの姿が、映画の中で鮮烈に浮き上がる仕組みとなっている。ダリオ・アルジェント、ベルナルド・ベルトルッチら原案・脚本作成に関わった人々の非凡さが光る。 『続・夕陽のガンマン』でも指摘したが、地位も、名誉も、金も、女もないと言い切った薄汚れた男たちの決闘が、どうしてかくも神話的な風格を帯びるのか。レオーネの演出とモリコーネの音楽は、本作でも神懸っている。レオーネ西部劇の集大成であり、最高傑作である。[ブルーレイ(字幕)] 10点(2023-03-21 19:42:35)(良:1票) 《改行有》

19.  インサイダー アクションシーンが皆無なのに、バチバチと火花散るような展開が盛りだくさんの本作。 とにかくオッサンたちが叫ぶ、吠える。 そして、回転ドアをくぐり抜け、コートを襟立たせて立ち去るパチーノの後ろ姿!キメッキメのスローモーションにBGM! ちくしょう、最高にカッコいいじゃないか。 世界一カッコいい職場の立ち去り方を学べる映画です。(笑) 追記 最近、新聞記者をテーマとする某映画を鑑賞した。その作品との対比で、この作品の凄さ・本気度がわかってきた。 というのも本作、実話ベースであるだけでなく、登場人物や登場企業、登場する番組まですべて実名である。関係者からの訴訟リスクも怖れず、実話だからなんか文句あるか?という硬派なスタンスで映画を作り切ったわけである。この硬派な態度、本気度があるからこそ映画に独特のリアリズムが生まれ、本作がより面白くなっているのではないかと最近感じた。[DVD(字幕)] 10点(2018-03-15 18:06:53)(良:1票) 《改行有》

20.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 本作を初めて鑑賞した際の素直な感想を書けば、「これってまんまヒートじゃん!」というものでした。 街(特に夜景)の描写、犯罪シーンの雰囲気、善悪の奇妙な対話と共感。 バットマン映画にヒートの秀逸だった要素をこれでもかと盛り込んで、ジョーカーをとことん大暴れさせた映画に仕上げてきたなと思ったものです。 というわけでヒートが大好きな人間からすると、本作の評価は必然的に好意的になってしまう(笑) とはいえ、ジョーカーの新しい魅力を創造したのは紛れもなく本作及びノーラン監督の功績でしょう。 今でも覚えているのが、朝の情報番組で本作の予告編が流れた際、ジョーカーのあまりの怖さに女性アナウンサーたちがざわついていた事です(めざましテレビだったろうか)。 私も衝撃を受けました。ジャックニコルソン版のどこかコミカルなジョーカー像が一気に粉砕されましたから。 バットマン映画としても秀逸、犯罪映画としても秀逸な作品です。 ただ唯一のマイナス要素は、、、、すいませんマギー・ジレンホール、やっぱ美女扱いはちょっと違和感が・・・(大変失礼ですが)[ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-01-08 10:27:28)(良:1票) 《改行有》


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