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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  ガートルード 無駄なものが一切無いってことがこんなにも気味の悪いものだとは思わなかった。モノクロ映画だが、映されている部屋の壁は染み一つ無い真っ白である(そう見える)。飾られる絵や蝋燭が完璧に配置され、画面に映る全てのものが記号化し、現実の世界には絶対に存在しない異空間を作り上げている。一見すると舞台劇っぽいとも思えるんだけど舞台劇ともちょっと違う。SFの世界のよう。目を合わせない男と女も記号化する。映画は現実世界の模写でありながら、けして現実世界に同化しない。そう、これは現実のコピーであって生命を持たない。これが「映画」なのか。衝撃的でした。[映画館(字幕)] 9点(2008-04-18 15:14:18)(良:1票)

2.  影の軍隊(1969) 私の大好きな映画のひとつに『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』というギャング映画があるのだが、この『影の軍隊』の至る所にその原型を見ることができます。いや、そんな気がするのです。内容は全然違うんだけど。でもこれはどう見てもギャング映画でしょ。トレンチコートに帽子、クラシックカーとその背景となる町並み。映像だけを眺めると、画面に映し出されているのはギャング映画でありアメリカ映画なのだ。そこにモリコーネ風音楽が挿入される。車が街から離れ、海の見えるところ(波音が聞こえるところ)で止まる。ここもまた『ワンス~』を思い出さずにおれない。そこからてくてくと寂れた雰囲気の場所へ。そして建物の中へ。中へ入ると外で遊ぶ子供の声が目立つ。窓を閉めカーテンを閉めると靴音だけが響き渡る。あることを悟るのにじゅうぶんな空気が満たされ、あとはさるぐつわから漏れる嗚咽と男のむせび泣きが聞こえるのみ。このセリフ無きシーンの素晴らしいこと。ラストシーンだって一言もしゃべらせない。トレビアン! (本作のレビューとは関係ないのだけど)思えばイタリア人レオーネ(『ワンス~』の監督ね)は西部劇を真似たマカロニウェスタンで新境地を開き、フランス人メルヴィルは犯罪映画の本家を凌駕する作風を確立している。アメリカ映画を愛し、そしてそこから新しいものを生み出した先人なのであった。とムリヤリに共通項を探したくなるくらいに同じ(好みの)匂いを両者に感じるのでした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-12-16 16:33:19)

3.  カルメンという名の女 ひとつの画を記憶に残させるためにゴダールは様々な工夫を凝らす。この作品では音楽を使う。ベートーベンの弦楽四重奏で彩られる映像。突然音が消え、波の映像や列車の交錯する映像を挟んでからまたベートーベンに戻る。なんの変哲もないこれらの映像が脳裏にこびりつく。これが所謂ソニマージュの効果であろう。男が疎外感を味わうシーンでずっとベートーベンだった音楽がいきなりトム・ウェイツに!こんなにも感動的な違和感はそうざらには無い。そもそも他の誰でもなくトム・ウェイツという発想がとんでもなく素敵だ。「説明は明日する」と言って全然説明しない女。ゴダールのひきずり続ける女性観が現れているようでもあり、ゴダールの映画そのもののようでもある。[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-09-22 13:57:09)

4.  関東無宿 女子高生3人組が映され、その後どう任侠の世界に繋がってゆくのかと思ったら、敵対する組の若い男に話をつけに行った先で出会う伊藤弘子の登場からなにやら怪しげな雰囲気をかもしだす。女子高生も任侠の世界もそっちのけで。あきらかに書いた太い眉毛の小林旭の目が『陽炎座』の松田優作を彷彿させる。生と死の世界が描かれているわけでもないのに、これはまぎれもなくその後清順の名を轟かせる「大正浪漫三部作」と同じ空気を持っている。実態の掴めない女の描写、そして吸い寄せられるように惹かれてゆく様の不思議な説得力は『ツィゴイネルワイゼン』そのもの。その女の夫である伊藤雄之助と博打の勝負に挑もうとするシーン、「緊張の糸が切れる」というシーンを本当に糸が張ってあって切るという誰も思いつかないような演出に笑った。本当に緊張の糸が切れた。終盤は違和感無く任侠ものの流れに戻ってくるが、殺しのシーンで画面を真っ赤にすることに代表される清順美学、そしてそこを追求する清順組、中でも彼無しでは清順美学はあり得ないだろう美術の木村威夫の仕事とアイディアが炸裂しており、驚きと興奮に満ちた映画を堪能できる。[映画館(邦画)] 8点(2007-07-09 15:01:12)

5.  歓喜に向って 《ネタバレ》 ベルイマンの作品群の中ではあまり評価されていないようなのですが、私はおもいっきり泣きましたよ、これ。『歓喜に向かって』の「歓喜」はラストに演奏されるベートーヴェンの第九「歓喜の歌」のことなのですが、そこにはもうひとつの意味が露にされます。物語は妻の事故を知らせる電話から始まり妻の死を知らされるところから回想に入ってゆきます。そしてラストで現実に帰り、その死を受け入れて前を向こうと懸命に演奏する男と、その姿を見つめる幼い息子、そしてその息子を見つめ返す父の中にまさに「歓喜」が宿るのです。音楽という芸術を通して芸術家であることの困難さが描かれる一方で、「歓喜」へと導く芸術の力を見せつける。感動作というベルイマンらしからぬ作品でありながらも、映画も演劇もまた大衆の歓喜の源であるべきというベルイマンの声が聞こえてきそうな作品でもあります。スウェーデン・サイレント映画の巨匠であり、ベルイマンの師でもあるヴィクトル・シューストレムのまさに主人公の師としての演技がポイントポイントで和やかさと笑いをもたらし、作品全体を軽やかにしている。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-14 13:10:16)

6.  風と共に散る メロドラマの巨匠、ダグラス・サークの映画はどんな有名俳優が登場しようと俳優の映画ではなくダグラス・サークの映画になる。物語はありがちなメロドラマだけど、風に揺れるカーテンや螺旋階段や車が効果的に感情表現に一役買った演出は巧いし、石油会社の息子の奔放な行動のひとつひとつに破滅を予感させるなにげない伏線も巧いけど、それ以上に画面全体に独特の色を持っているのが実に惹かれる映画なのです。洗練された、という表現はちょっと違う、かといって古臭いというのでもない、どちらにも当てはまりそうでいて少しずれてる感じ。うまく表現できないけど、あぁ、サークの映画を観ているんだぁという感慨にふける、その体験に感動。[映画館(字幕)] 8点(2006-11-28 13:21:47)

7.  哀しみのトリスターナ 清純を絵に描いたような可憐な少女トリスターナと冷酷な悪女と化したトリスターナ。ふたつの顔を見事に画面に残したブニュエル+ドヌ-ブが素晴らしい。ひとつひとつの画にいろいろなことを暗示させるブニュエルの傑作。二つに分かれた道でどちらに進むかをトリスターナが自信たっぷりに選ぶシーンは、道の先での狂犬病の犬騒動でその後の彼女の悲しい運命を予感させるとともに、後半、個人主義を貫くドン・ロぺを夫としては認めなくても父としては認めるというセリフに繋がり、養父ドン・ロぺの思想を受け継いでいることを象徴している。だから結婚制度を嫌い教会を下げずんでいたロぺの、結婚を望み教会へ足を運ぶという行為はロぺ自信が自己を否定するにとどまらずトリスターナをも否定する行為となってしまう。後戻りのできないトリスターナにとっては許されない行動となる。後半の赤子を見るシーンは前半の赤子を見るシーン(家族を否定するロぺに口答えする)に観客の頭の中でフラッシュバックさせ、「こんなはずではなかった」と哀しみに暮れるとも開き直りともとれるトリスターナを映し出す。しかし自分で決めて自分で行動する個人主義に生きながら、不幸の責任は自分には無く諸悪の根源をドン・ロぺと考えるトリスターナの存在そのものがこの作品の中で一番哀しいものとして描かれている。 自分に都合の良い信仰心、自分に都合の良い無神論、自分に都合の良い家族主義、自分に都合の良い個人主義、、、人間の哀しい性で溢れている。[ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-27 17:39:23)

8.  隠し砦の三悪人 娯楽のツボというツボを押さえた傑作と言える。三船はとにかくかっこいいし千秋実と藤原釜足はとにかく情けない。この情けない二人が随所に笑いをもたらすことでこれぞ娯楽作と言えるものに出来上がった。後は雪姫が・・・・。でも今この作品を思い出そうとするとなぜか「~~じゃ!~~じゃ!」と言う雪姫が浮かぶ。インパクトはあったということか?8点(2003-10-23 18:41:15)

9.  蒲田行進曲 最初見たときは深作作品だとは知らなかった。後で知って、登場人物みんなが輝いていたのは深作監督の力によるところもあるのかなと思った。舞台劇を逆手にとったようなエンディングにはやられました。8点(2003-10-09 15:27:34)

10.  カプリコン・1 初めて観たのはTVで、小学生後半か中学生くらい。かなり衝撃を受けた。有名な作品だと思ってたのに20歳くらいの時にまわりにこの映画を知ってる人がいなくて驚いたのを覚えてる。ストーリーは解かりやすく、且つショッキング。このテの映画は、あり得なさそうなことをいかにあり得そうと思わせるかがカギとなるが、その点でも十分合格。そしてラストがいい。8点(2003-05-24 13:35:57)

11.  風立ちぬ(2013) ユーミンの歌とリンクする感動的な予告編から勝手に想像したものとは違い勝手に戸惑ってしまったのだが、戸惑いの原因はわかっている。「死」が描かれないからだ。盛り上がるべきシーンとしてこの物語に必ずあるはずの「死」が。その昔、宮崎駿は安易に感動を得るためだけに登場人物を死なせる手塚治虫を批判したことがあるが、その自らの発言を全うしたということか。頑固だなあ。その手塚氏と同調している「近代化が破壊を生む」というモダニズムの矛盾というテーマもここにきてもぶれない。頑固です。そして何よりもアニメーションの原点ともいえる画の動きに対する拘りがぶれない。昨今のアニメはディテールに拘りすぎて動きを蔑ろにする傾向にある。息子の吾郎にしたってたとえば背景でしかない草花を丁寧に描くことに拘っている。駿は草は意外と緑をべたーっと塗っている。そこに草があることがわかればいいのだ。その緑に光の白と影の黒の線をさーっと動かせば風が描かれる。動いてこそのアニメーション。汽車がダイナミックに走る。人が滑稽に転がる。紙飛行機が颯爽と飛ぶ。地震の波動が不気味に迫る。アニメーション、かくあるべし!!だと思う。 ディテールや物語に逃げるな!と駿は言っている。ような気がする。[映画館(邦画)] 7点(2013-09-05 11:57:29)(良:1票)

12.  飾窓の女 《ネタバレ》 オチに関しては当時はともかくとして今の視点から言うとちょいと残念な気もするんだけど、そのオチに強引さは全くない。むしろ飾窓の美女が現実に現れるという夢のような出来事からしてみれば実に自然な展開、適格なオチと言える。そんなことよりジョーン・ベネットだ。言い方は悪いがまさにお飾り的な美しさ。いるだけでいい美人。他の作品で見たジョーン・ベネットでここまで綺麗なのってあったか?我々小市民は映画という疑似体験装置で超美人とイチャイチャしてその代償として恐ろしい体験をしたりするわけだが、この真面目な大学教授、エドワード・G・ロビンソンはその疑似体験を擬似であることを知らずに体験してしまうのだ。おー怖い。その心情が丸分かりの滑稽極まる表情を見せるロビンソンは私でもある。あー恥ずかしい。[DVD(字幕)] 7点(2011-05-11 15:53:06)

13.  噛む女(1988) 恋焦がれたはずの女なのに妻にした途端に男にとって女ではなくなる。なんとなくわかるような気もするのだが、この映画の主人公はかなり露骨。いい女とそれなりの地位と金を手に入れて、もうそこで安泰、あとは惰性の人生を送るだけ、そんな生きる屍のような男を永島敏行が好演。この男の全てをさらけ出させる「心の声」という神代演出との相性もバッチリ。妻役桃井かおりもいい。噛む女は余貴美子。噛むたびに場内爆笑。お話は正体不明の余の存在によってホラーの様相を帯びるはずなんだけど、この噛む行為によってそれを回避する。一端ホラーへと流れたほうが結末に意外性があるだろうし一般受けするはずなのに神代はストーリーとか観客を騙すとかにはあまり興味がないらしく、ひたすら古臭いストーリーをなぞってゆく演者たちの動きを捉えてゆく。ちなみに主人公が学生時代に撮ったとされる自主映画はゴダール『気狂いピエロ』のパクリだ。主人公曰く好きな映画の寄せ集めなのだそう。映画が大好きな頃があって、女を綺麗に撮っていた頃があって、そして今は大好きだったはずの映画を金にする制作会社の経営者という主人公の生い立ちをさらっと見せているのもうまい。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-18 15:01:08)

14.  悲しみは空の彼方に 《ネタバレ》 大混雑する海水浴場でこの映画の主人公たちが出会う。出会う前に一度すれ違っている。この多くの人たちにそれぞれのドラマがあるのだと言ってるようだ。その中のひとりである白人の未亡人と黒人の未亡人はここで出会う。そして独立した両者のドラマが描かれてゆくことになる。互いに助け合うときもあればただ傍観するしかないときもある。それぞれの母と娘の話がメインなのだが、黒人母子のドラマには人種差別問題が色濃く映し出されることになる。しかしそのシリアスなテーマゆえの説教くささはあまりない。そこはダグラス・サーク。社会背景は背景であって描き出したいのはあくまで母と娘のドラマ。そういえばドイツ時代の『思ひ出の曲』という映画もまた親子の絆を描いたお話であった。結果はそれぞれ違えど、どんな障壁をも越えてしまうのが親子の絆なのだというところに落ち着いているように思う。ストーリーを思い返せばかなりくさいような気もするのだが、見ている間は全くそんなことはなく、見終わったあとは「いい映画を見た」としみじみ思うこと間違いなし。[映画館(字幕)] 7点(2011-02-08 15:57:58)

15.  カーズ 顔も無ければ手足も無い自動車が見事に怒ったり笑ったりする。車の擬人化だとヘッドライトを目にしてしまいそうだけど、実際のところの目の役割でもある大きなフロントガラスを目にすることでより表情が豊かになっている。一方で自動車本来の動きが実にリアルに再現されてもいて、このあたりの擬人化技術はディズニーの本領発揮といえる。そのボディに映る景色の美しいこと。これがピクサーの力。ディズニーとピクサーのいいところがよく出ている。そしてまるで実写のごとく美しく映される景色が映画ファンが反射的に畏敬の念を覚えるモニュメントバレーだからたまらん。カーレースだけあって内容は硬派な男の子映画かもしれないけど、そこはアニメーション、どこか愛くるしさのあるキャラクター造形によって女の子も全然OKの作品となっている。[DVD(吹替)] 7点(2010-09-07 14:06:42)(良:1票)

16.  カールじいさんの空飛ぶ家 なんだか評価がいまひとつみたいですが、私の中では今のところ(『トイ・ストーリー3』まで見た中で)ピクサーの最高傑作かも。冒頭の何分か知らないけどじいさんの少年時代から今のじいさんに至るまでのショートストーリーがもう素晴らしすぎる。特に結婚後のセリフなしの部分が完璧。生活で手いっぱいで日々が過ぎ去る、それでも幸せであった日々。子供が見たってわかる言葉不要の美しき日々。それでいて、その後に映し出されるメインストーリーのための冒険、風船、子供・・といった数々の伏線のさりげなさ。メインストーリーの一番の見所は早速やってくるんだけどもちろん家が空を飛ぶところだろう。そのとんでもない量の風船と、人形のような人間とは正反対の色鮮やかな風船のリアルな動きがよりダイナミックさを膨らませている。擬人化された犬も人間が人形みたいなのでかえって受け入れやすく翻訳機によるお笑いもそれなりに堪能できた。鳥らしい滑稽な動きを見せ付ける怪鳥ケヴィンの存在も映画の楽しさに大きく貢献していたと思う。[映画館(吹替)] 7点(2010-08-30 17:26:07)(良:1票)

17.  渇き(2009) 《ネタバレ》 パク・チャヌクの映画は女優は可愛いんだけど、どうもストーリーで楽しませようとする部分が大きくてあまりいい印象を持っていなかったんだけど、これはストーリーが比較的シンプルなだけにたんまりと映像を楽しむことができた。そして何よりも好感を持ったのが、随所に散りばめられたユーモア。エロチックとスプラッター描写の合間のユーモアが絶妙。意識不明の患者から点滴チューブを逆流させて血を飲む姿の滑稽さよ。そして悲鳴をあげるオクビンの可愛さ。ビルとビルの間をピョンピョン跳びはねる姿の滑稽さよ。そしてキャッキャとはしゃぐオクビンの可愛さ。殺した男がいつも付きまとう様子のおかしさよ。そして困った顔のオクビンの可愛さ。そしてラスト。生死の係った切羽詰ったシーンなのにここに一番のユーモアをもってくる。光から身を守るためのあれこれ。必死に死から免れようとする姿のなんて可愛らしいことか。不死身のバンパイアが一人のか弱い女になる。キム・オクビンという女優が気に入っただけじゃないのかという声が聞こえてそうだが、うむ、もしかしたらそうかもしれない。でも間違いなくこの映画に散りばめられた多くのユーモアは映画でしか生み出せないユーモアであった。[映画館(字幕)] 7点(2010-04-02 16:16:06)

18.  崖の上のポニョ 真に子供向け。子供向けを謳いながら実は親が子供に見せたいと思わせるような道徳的なものだったり、たんに幼稚だったりというものでなく、真に子供向け。そこにウキウキがありドキドキがありワクワクがある。ただそれだけ。いちいちそのドキドキに意味を求めるなんてナンセンス。ドキドキはドキドキなのだ。トンネルは怖い。ただそれだけなのだ。インスタントラーメンってなぜか子供はみんな大好き。そこに意味なんて見つける意味はない。お父さんは仕事で昼間はいないので子供たちのドラマに登場しないもんだ。物語的には重要と思える母親同士の話だって子供には聞こえない。ストーリーが破綻?我が家の三歳児に物語を語らせたら最初に登場するお姫様は二度と登場しなかったりするという素晴らしい破綻ぶりを見せてくれるのだが、それに比べりゃ・・って比べるなってか。でも大人向けの映画にしたってそこで辻褄合わせやってちゃ面白くなくなっちゃう。この映画は子供向けにしたことで本来映画が持ち得る「自由」を得た。もし嘆くのであれば子供向けにしないと「自由」を得れない映画環境こそを嘆くべきだ。波の躍動感、その上を走るポニョの疾走感はアニメーションならではの醍醐味に満ちている。公開初日に映画館を地元の子ども会で貸しきって鑑賞したのだが、みんな楽しんでましたよ。一部高学年男子はガキっぽかったと言ってたけど(ガキのくせに)、まあ大人ぶりたいガキンチョどもには照れが邪魔してなかなか入ってゆけない世界ではあろう。[映画館(邦画)] 7点(2010-03-12 18:15:41)(良:2票)

19.  怪談(1964) 小泉八雲の怪談四篇。 ■「黒髪」内容もさることながら屋敷の風貌が溝口健二『雨月物語』を彷彿させるが、『雨月物語』と比べられちゃうとちときつい。しかしクライマックスのダイナミズムは迫力満点。後悔と謝意、そしてそれらを上回る恐怖が男を襲う。 ■「雪女」雪女メイクの岸恵子が怖い。空に浮かぶ目のような渦模様が幻想的。この一編に凝縮された世界観がとにかく素晴らしい。 ■「耳なし芳一」冒頭の源平合戦のくだりが長く感じたが、赤子を抱えて入水する悲劇の直接的描写が、その後に見せられる平家の霊の強さに結びつく。芳一を演じた中村賀津雄がいい。 ■「茶碗の中」怪談話とは言い難い一編。作風的にもこれだけが妙に軽い。 ■<総評>総じて話がきっちりとまとまっていて丁寧。丁寧に紡いでいるからこそ少々アバンギャルドなセットにしても古典的なるものが現れているのだろう。豪華な演者と型にはまらない演技も素晴らしく、なによりも短編それぞれを1本の映画のように妥協無く作っただろうことがひしひしと伝わってくるのがいい。[映画館(邦画)] 7点(2009-10-20 18:47:32)《改行有》

20.  渇望 初期のベルイマン作品は商業主義に徹した(そうせざるを得ない)作品が多く、それはそれで見易くていいとも思うのだが、ベルイマンのテイストが無いわけでもなく、その辺のさじ加減によっては中途半端な出来と評される作品もあって、これなんかは間違いなくその中途半端な作品になると思うんだけど、映画館鑑賞の恩恵も加味されてか私の中ではけっこう楽しめた方に入る。男女の身勝手な欲望と退廃的な行為が描かれるというその後のベルイマン映画に頻繁に登場するキーワードを散りばめながらの群像劇仕立ての見事な構成には思わず唸ってしまう。今見返せば話の構成がかっちりまとまりすぎの感もなくはないが、印象的な画も多くて、他のベルイマン映画でも見られる女の顔のクローズアップは独特の怖さ(全然怖いシーンでもないのに)を獲得している。敗戦直後の飢えたドイツ人たちに代表される暗雲とした描写がそのまま男女の暗雲とした心情と、これから続く男女の関係の明るくない未来を予見しているようだ。[映画館(字幕)] 7点(2008-07-17 16:39:24)

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