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1.  クロムウェル 《ネタバレ》 ●タイトル・ロールのクロムウェルを演じるのがリチャード・ハリスで、対するチャールズ一世をアレック・ギネスがやっている。ドラマはほとんどこのふたりの対決の歳月を描くかたちで、大河ドラマのように進行する。リチャード・ハリスの「剛」に対してアレック・ギネスの「柔」と、わかりやすい描き分けをやっているんだけれども、アレック・ギネスの演技もあって、チャールズ一世の方により人間らしさを感じざるを得ないところはある。このチャールズ一世の王妃の造型がちょっとばかし「マクベス夫人」で、脚本もぜんたいにシェイクスピアばりの史劇を目指していただろうことがうかがえる。圧巻は二度の戦闘シーンで、まずはかなり牧歌的な雰囲気の「エッジヒルの戦い」のパースペクティヴの効いた演出があり、そんな甘っちょろいのではダメだ、とばかりにハードにせまる「ネイズビーの戦い」の迫力はそうとうなもので、わたしは堪能した。●ただ、ここでクロムウェルは圧倒的な理想主義者として描かれ、現実とのギャップのなかで苦悩しながらの選択を強いられるとするわけだけれども、ここでクロムウェルの演出のイメージとしての「剛」ということとのそしゃくがあんまりよろしくないというか、リチャード・ハリスはたしかに熱演でいいのだけれども、ちょっとばかしその演技、そして演出が一面的にすぎるというのか、どうもわかったようなわからないような、それでいいのか、というような気分にさせられてしまうことはたしかなのである。この演出でいけばファシストも英雄になってしまう。そういう感覚は抱いてしまうわけである。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-06-05 13:14:46)《改行有》

2.  黒木太郎の愛と冒険 どこがどういうふうにおもしろいのか、わたしにはわからない映画であった。おそらく出演していたひとたちは楽しかったんだろう。わたしにはその楽しさが共有できない。ただ、緑魔子が孤独な女教師役で出演していて、彼女が主演の田中邦衛に襲われるシーン、彼女の顔のアップで、その眼があらぬ方向でロンパリになっているのに驚いてしまった。緑魔子、恐るべし。彼女が出ていなければ観たことを後悔していただろう。[CS・衛星(邦画)] 1点(2011-05-25 11:56:25)

3.  クライマーズ・ハイ(2008) クライマーズ・ハイという状態が、登山中に興奮が極限に達し、恐怖が薄れる瞬間の精神状態を指すということであれば、この映画で、その「クライマーズ・ハイ」状態に陥っているのは、映画の中の記者たちよりも何よりも、この映画を製作していたスタッフたちに他ならないだろう。(この作品にテーマがあるとすれば)テーマの構築を忘れ、ただその場その場の画面を撮り上げることだけに淫している。大事件で遊んでいる(と云われる)記者たちではなく、まさに映画で遊んでいるスタッフたちがいる。 高くついたであろうナット・キング・コールの「モナ・リザ」の楽曲使用も、高くついたであろうオーストラリアロケもただ空しい。 この映画のメイキング・ドラマを映画にすれば、それこそまさに「クライマーズ・ハイ」というタイトルが相応しい、このテーマにぴったりの作品ができるだろう。[DVD(邦画)] 2点(2010-02-24 21:42:09)《改行有》

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