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プロフィール
コメント数 3874
性別 男性
年齢 53歳

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61.  座頭市物語 居合いの達人だと言われる座頭市、「見世物じゃねえや」とつぶやきつつノラリクラリとかわして、なかなかその凄腕を披露しない。披露しなければしないほど我々の期待も高まり、この後でしょぼい居合いシーンなんか見せられたら承知しないぞ、という気分になってくる、そんな中で、勝新がついに見せる、息を呑む早業。あらゆる期待をさらに上回っていて、もうこの時点でシリーズ化決定でしょう(笑)。 座頭市の盲目の眼の向こうにある彼の内面を、我々は決して推しはかることができない。ただその謎めいた横顔から滲み出る、かなーり胡散臭いヒロイズムに、我々は惹かれるんですな。病でこの先いくばくも無いであろう剣豪・天知茂も魅力的で、かつ彼の存在が、座頭市の謎の人物像の側面にスポットライトを当ててみせる。 クライマックスは、敵対する二つの組の間の一大抗争に発展。スピーディな展開がここに極まって、大いに盛り上がるのですが、同時にそれは、できれば避けたかったが決して避けられぬ、天知茂との対決の時でもある訳で。ここまでのゴタゴタをすべて超越した、神秘的ですらある、対決なんですね。ああ、シビレるシビレる、シビレまくり。ここに至り、ついに、あの座頭市からも一瞬、その内面があふれ出すのです。 映画中盤、夜の場面ではきっとそこに炎があり、その揺らめきや、光源の移動が、事細かに描写されたりして。大映らしいロケ撮影もあわせて、いい雰囲気を作ってます。[CS・衛星(邦画)] 9点(2017-05-01 11:03:22)《改行有》

62.  砂漠の流れ者 愛すべきポンコツ親父の周りには、やはりポンコツな面々が集う。どうにも困った生臭坊主に、三流っぽいけど愛嬌あふれる娼婦。 砂漠を彷徨った挙句に水を掘り当てた薄汚い主人公が、駅馬車相手の薄汚い休憩所を作って商売を始める、っていう、一見何とも素朴なオハナシですが、味わい深くって観始めたらやめられない。それに、これだけ立派に薄汚いと、もはやこれは一種の「哲学」でありましょう。 たかが水だけど、それなくして砂漠に置き去りにされれば死を意味するし、またそれを砂漠の真ん中で見つければ、そこにはひとつの社会が生まれ、ひとつの小宇宙が生まれる。となれば、ラストでは水が枯れてしまって物語が終わるんじゃないか、なんて心配もしてしまうのですが、さにあらず。決してそんな短期的な視点の物語ではなく、もっとゆったりと、大きな流れを感じさせるラストで、いや、さすが。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-22 16:25:54)《改行有》

63.  サウンド・オブ・ミュージック ミュージカル映画という、伝統的ながら変テコリンなジャンル。その中ではたぶん、かなり取っつきやすい作品と言っていいんでしょう。耳になじみのある曲が続々と登場して、それだけでも親しみやすいし、ラストには脱出劇のサスペンスもある。私もたぶん、最初に触れたミュージカル映画って、コレだったと思います。 で、いきなり何ですが、ジュリー・アンドリュースの髪型、なんか変ですよね(笑)。ギターを抱えた姿など、ひと頃の漫才師みたい(かしまし娘とかちゃっきり娘とか)。しかし実際、彼女の元気いっぱいな様子とも相俟って、とても若く見えます。トラップ家に向かう場面の、ほとんどヤケクソみたいな歌いっぷりと、到着して大邸宅を前に立ち尽くす姿とのギャップが、可愛くも可笑しくって。 その純朴そうな彼女を見ていると、つい、こんなトラップ親父になんかダマされるな~と言いたくなってくる。クリストファー・プラマー、端正な顔立ちに威厳をみなぎらせ、何かとキビシイことばかり言いながら、実際には歌えば上手いしダンスもするし。何だか妙にモテるしなあ。こういうのは絶対、女性の敵だ!と言いたくなる、要するに「男性の敵」なんですけれども。そもそも、ですね、まずこっそり恋人と会う長女が雨にズブ濡れになり、次に、ボートから転落して7人の子供たちとマリアが濡れ鼠になる。と来りゃ、クリストファー・プラマーだって、彼らの仲間に入るには、一度はズブ濡れになって見せる、という「通過儀礼」を経験するべきだと言ってやりたいところ、しかるにこの色男は、「私はすでに“水も滴る”イイ男ですから」と言わんばかりに、水も被らず澄まし顔。まあ、彼までビショビショになったのでは、完全にコメディになっちゃいますけどね。 楽しい歌にダンスを、これでもかと繰り広げつつ、最後に映画に暗雲が漂ってくる、そこがまた良くって。同じ歌が、状況によって、異なる印象で聞こえてくる、ってのが面白いところ、かつ盛り上がるところ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-03-05 08:34:18)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

64.  さらば あぶない刑事 仲村トオルは相変わらず若いですね~。ちょっと無理すりゃビー・バップ・ハイスクールだってまだまだできそうじゃないですか。 木の実ナナも変わらないですね~。昔っから老けてる人はこういう時に得をします(?)。 で、やっぱり元気なところを見せるのが、主演の二人。「すっかり歳くって動けなくなったから、その分、CG満載のスペクタクルでカバーします」なんていう生ぬるいことは、本作とは無縁です。柴田恭兵、まるでついこの間まで「あぶない刑事」をレギュラーでやってたかのように、変わらない動き、変わらない走りを見せてくれます(とまで言うとちょっと贔屓目かも知れないけど、でも実際、よくここまでやるもんだ)。 柴田恭兵が変わらずチャラケて魅せるなら、舘ひろしはシブくキメて魅せる。う~ん、さすがにこちらはだいぶシブシブになってますけれども。しかしバイクの手放し運転ならお任せあれ。 というこの二人の前に立ちふさがる、「動けるオヤジ」、それが吉川晃司。もちろんハイキックを見せずに終わらせる訳にはいきません。 という、「オヤジの持ち芸披露会」みたいなところのある作品ですが、そこがいいじゃないですか。若いヤツには負けないぜ、いやちょっと負けてる気もするけれどそこは気にせず、渦巻くオヤジ魂は、いよいよラストの、素晴らしくもちょっと無理やりな一騎打ちへ。 まだもう一作くらい、できるんじゃないですかね。[地上波(邦画)] 7点(2017-02-28 23:37:11)(良:1票) 《改行有》

65.  サタデー・ナイト・フィーバー 主人公の部屋にロッキーのポスターが貼ってあり、そう言われればこの主人公のダメダメな感じ、確かにロッキーと重なるものはあります。だけど、ロッキーが素朴なダメダメさを貫くことであのクライマックスの興奮を呼び起こしたのに比べると、本作の主人公、中途半端に分別臭いもんだからいけない(せっかく髪型もバシッとエキセントリックにキメてるのに)。無軌道かと思いきや、何かと分別臭い良心的な言動を挟んでしまい、結局、主人公の人物像としては平凡なものに終わりました。 明日への希望を語るのに、「今までの友人とは手を切る」などと、過去を否定しまくってしまうのが、なかなかのユニークさですが、まあ、実に身も蓋もないんですけどね。 それでも何でも、やはり魅力なのが、トラボルタのダンス。もっと観ていたいと感じさせる素晴らしさ。相手役の女優さんにはもうちょっと頑張ってほしかった。[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-12-11 12:31:44)《改行有》

66.  三人の騎士 オムニバス作品、というか、個々のエピソードにストーリーが無くなっていって、もはやドナルドダックが悪いクスリやってトリップしてしまったような作品です。と思って観れば(そんな事思う必要ないですが)、賑やかに歌って踊ってドタバタして、楽しい作品。手描きした線路を汽車が走ったりする、アニメーションならではのハチャメチャな世界をスピーディに見せたり、はたまた一方では、実写とアニメとが絡み合い、のんきにじゃれ合って見せたり。 さすがにコレは脈絡なさすぎでしょう、と思わんではないけれど、楽しけりゃ脈絡なんて無くってもいいじゃないの。[CS・衛星(吹替)] 7点(2016-10-23 08:24:07)《改行有》

67.  サボタージュ(2014) それにしてもホント、血糊が好きですねえ、ドバドバと。ここぞという場面ならともかく、あちこちでムダにぶちまけるので、インパクトが十分出せず、ショッキングというよりは何だか不潔感みたいなものが先立ってしまってます。別にいいけど。 シュワ率いる麻薬摘発チームが、摘発ついでに犯人アジトから現金の一部を盗もうとするが、なぜかその現金は行方不明となった上、その後チームの面々が次々に殺害されていく、というミステリ仕立てのバイオレンスアクション。ただし、ミステリ仕立てだからと言って、あまり納得感を求めるなかれ。 シュワだいぶ老けてます。本作でシュワが主演やってる意味あるの? あまりアクションもしない、あまり演技もしない、だからこそ(こんな変なオハナシでも)あまりイヤミもない。やっぱりシュワ主演で正解かもね。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2016-09-18 08:55:42)《改行有》

68.  最前線物語 第2次大戦下のヨーロッパを転戦していく、軍曹と4人の兵士。なぜか彼らはうまく生き残り、残ったら残ったで次の戦線へと送られてしまう。とりわけ優秀という訳でもなく、特にお互い支え合うというでもなく。リー・マーヴィン演じる軍曹、第一次大戦の生き残りである歴戦の強者で、頼りになる親分肌、と思いきや、ノルマンジー上陸などでは非情な一面も見せたり。4人の若者が生き残れたのもおよそ運が良かっただけ、代わりに大勢の補充兵が死んでいく。 しかし映画はあえてそれを皮肉だと声高に叫ぶことはしなくって、戦闘の壮絶さと、その合間のホノボノ感をそのまま提示してみせる。そこに皮肉を感じてもよし、単純に彼らへの愛着を感じてもよし。ただし、軍曹には、ラストで特大の皮肉が突きつけられます。このヒト、役名もただ「軍曹」という、名もなき男。ちょいと気の毒にもなったり。 何もかもが起こりうる、一言で言い表せない世界、それが戦場、っていうところでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-09-10 03:27:40)《改行有》

69.  ザ・レイド GOKUDO フツーに無駄に長く、フツーにカメラを揺らしてみたりして、ああやっぱり、おカネをかけるとフツーの映画になってしまう(せざるを得なくなってしまう)、ということなのか、と。潜入捜査の緊迫感はあまり無く、アクションは少なくはないけれど密度としては下がってしまう。 でも、やっぱり、凄いですね、無茶しますね。インドネシアのスタントマンは、世界一、丈夫なんですかね。 クライマックスは物量勝負ではなく、主人公の前に立ちふさがる刺客のユニークさで勝負。アイデアが生きてます。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-08-21 09:14:12)《改行有》

70.  ザ・ブリザード 嵐で真っ二つに折れ、遭難したタンカー。嵐の中を海難救助に向かう沿岸警備隊の男。彼の身を案ずる、フィアンセの女性。それらの姿を並行して描いているのもユニークなら、それらがイマイチ噛み合わないままオハナシが進んでいっちゃうのも、ユニークと言えばユニークか。この三者がもっと巧みに絡み合えば、もっと盛り上がったのでは。 嵐の中、木の葉のように舞う救助艇。あわや海に落っこちそうになり何とか命拾い、というところでの「帽子を無くした!」なんていうセリフは遊び心があってイイんですけれどね。 遭難したタンカーの中でのさまざまなやりとりはドラマチックだし、クリス・パインのいかにも頼りない感じにも(本人がそのつもりで演じているのかどうか知らんけど、そう見える)ハラハラさせられますが、それでも全体的には、この大人しい印象。何なんでしょう。[DVD(吹替)] 6点(2016-08-04 22:47:32)《改行有》

71.  座頭市血煙り街道 いつも同じメンバーで映画を作っているような大映ですが(笑)、今回は座頭市のライバル的存在に、近衛十四郎、ってのが意表をついてます。他にも、松村達雄とか、なべおさみとか、若干声の高い人を集めたんですかね。いやいや、一方では小池朝雄の顔も。 ひょんなことから子連れ狼となった座頭市。旅を続けるうち、ついに所在をつきとめた子どもの父親は、まーさほど悪くもなさそうなしょうもな悪事に巻き込まれていたのであった。 という訳で、座頭市の活躍と、敵か味方か何やらいわくありげな十四郎フェイスが炸裂します。 わりとストレートな展開ながら、子連れ座頭市のコミカルな姿と、十四郎サマの暑苦しくもケレン味あふれる表情が魅力的で、ラストも大いに盛り上がります。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-07-25 10:20:23)《改行有》

72.  座頭市地獄旅 市という男、愚鈍なふりをして周りの人間を手玉にとる、なーんかヤな感じのヤツなんですが、それでも何の因果か、一部の人には好かれてしまい、しがらみができてしまう。例えばある母子。あるいは「脳内将棋」をもこなす何やらクセのある浪人。あるいは、父の仇を追い求めるきょうだい。そういうしがらみができると、市の立場も複雑なものになっちゃう訳で。 それにしても、「父の仇」はいいけれど、争いの原因が「将棋」だなんて、鉄人Qじゃあるまいし、ねえ。 というのはともかくとして、そういうしがらみの中で、やっぱり座頭市のユニークさっていうのは、表情が読めないところにあるんですね。 ところで座頭市をしたう女の子、なんと、子役時代の藤山直美さん(クレジットは藤山直子)。オドロキ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-07-17 23:14:09)《改行有》

73.  真田幸村の謀略 タイトルは「真田幸村の謀略」ですけど、特に謀略らしきものはこれといって無く、フツーにSF超大作です、ハイ。などと言われている時点で、フツーじゃないんですね。真田十勇士の活躍を、劇画チックに、荒唐無稽に、やりたい放題に描いていて、謀略なんぞというアタマを使う作業の入り込む余地など毛頭ございません。脇役もエキストラも火薬も特撮も大量に投入しまくり、もはや闇鍋状態。 主演は松方弘樹、このヒトはさすがに優等生顔で時代劇やってますが、あとは各々、楽しんでやっとりますな。いや、ホントに演じてて楽しいのかどうかはわかりませんが。 家康役に錦之介というのはちょっと意外ながら、なかなかハマってます。「特別出演」となっているんですけど、結構出番も多いし。 千恵蔵は出番多くないけど、自分の腕を切り落とさせる場面の演技などにおける、あの気合の入り方。熱い。暑苦しい。 その他、活躍しそうで活躍しないけどでも印象に残ってしまう加藤清正役の丹波哲郎とか、狂乱のオバチャン淀君・高峰三枝子とか、何かヘンなモノに憑依されたみたいな金子信雄とか、出るわ出るわ妖怪の数々。妖怪じゃないってか。 真田広之、ガッツ石松が肉体系の活躍を見せれば、火野正平も負けじといい動きを見せる。 リーダー格の霧隠才蔵を演じる寺田農はちょっと真面目過ぎたか、あまり目立ちませんでした。 それにしても、猿飛佐助役のあおい輝彦。ここに本作の謎のすべてがある。ああ、何とコメントしてよいものやら。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-07-17 22:36:52)《改行有》

74.  里見八犬伝(1983) いや懐かしい・・・。 八人の剣士がそろうまで、やたらと時間がかかり、もう「五犬伝」くらいで十分だから先に進めようよ~と思ってたら、貯めに貯めた分、クライマックスは怒涛のように展開していきます。 「ここはオレに任せて先に行け~」と、仲間がひとりひとり身を犠牲にしていく、ってのはつまり、キン肉マン映画と同じシステムでして、要するに、本作がキン肉マン映画の原点だったんですね。ほんまかいな。 そりゃまあ、昨今のCGを見慣れた目で見ると、いささか安っぽい特撮にも見えますが、これも特撮の歴史のヒトコマ。これだけふんだんに取り入れらたのも画期的だし、セットもなかなか大がかり。特撮と時代劇との組み合わせというのもユニークだし、さらにクライマックスのスピード感も加わって、この楽しさ。 薬師丸と真田サンだけが、これは青春ドラマなのよ、とやや浮いた演技、この異物感がまた、深作演出の妙味とでも言いますか。   ・・・それにしても、駒込ピペットとは(笑)。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-06-21 23:03:12)《改行有》

75.  寒い国から帰ったスパイ ル・カレの代表作である原作、むかし読み始めた時にはサッパリ気が乗らなくって、もうちょっと読んでダメならやめちまおう、と思ってたら、ハイ、さすがは評判の作品、ドはまりにはまってしまいました、面白いのなんの。通常のミステリなら「犯人は誰だろう」とか「どんなトリックなんだろう」という謎が眼目なんでしょうが、本作の場合、真相云々以前に「はたして、自分は、捨て駒なのか?」っていう切実極まりない謎が背景にあって、これが絶大な緊迫感を作品に与えています。 映画化作である本作でも、このあたりがうまく演出できていたら、さらに盛り上がったんでしょうが・・・。 なにせシブいスパイ映画。ハードボイルドな描写が、これはこれで原作の魅力を伝えるとともに、うまく端折ったことによる「冷たい感じ」がかえってよく出てもおります。 それにしても、小説が「帰ってきた」で、映画が「帰った」、ややこしくて言い間違えちゃうんです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-06-19 09:23:07)《改行有》

76.  サンクタム こういうのを実話だと言い張るのは、川口浩探検隊くらいのもんでしょう。    それはともかく、途中まではどうも違和感というか、事件や対立がとってつけたように起こる妙なオハナシだと思って観てたのですが、要らない登場人物(?)が退場していくと、ちゃんと父と息子の物語に収束していったではないですか。実は何となくいいオハナシだったりします。 というか、オハナシがどうこう言うより、洞窟の洞窟らしさ、壁面の艶めかしい色気がよく出ておりました。一歩間違えば大怪我や死に繋がる危険と隣り合わせの色気。怪我したら痛そうだなあ、という感じ。そしてそこからの脱出劇、それはまるで、胎児がこの世に生まれ出るかのような。 明かりの乏しい洞窟内の描写を、あまり暗くし過ぎないように、それなりに見やすいようにしてくれている親切設計、もうちょっと光と影を効果的に演出してくれたら、とも思いますが・・・。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-04-18 21:21:09)《改行有》

77.  サン★ロレンツォの夜 戦争は、のどかな田舎の村にも陰を落とす。というより、そののどかな日常の中に、戦争による破壊や死が容赦なく入り込んでくる理不尽さが、本作では描かれています。だから、死は多く描かれようとも、必ずしもその凄惨さを強調するような描かれ方はなされていません。しかし、のどかな畑で隣人のような人々同士が殺し合わねばならない光景、大勢の隣人たちがバタバタと倒れていく光景、もうこれだけで十分過ぎる息苦しさを感じさせます。 しかし、生き残った者がいる限り、日常はまた必ず戻ってくる。どんなにつらい過去があったって、その過去に何がしらの美しさが含まれているならば、決して過去そのものを否定したりはしない、あのジイさんが取り戻した恋心のように。 そして、つらい過去が本当に洗い流せるものかどうかはわからないけれど、一時的にせよ何にせよ、降ってきた雨がつらさを洗い流してくれる。映画では時々「晴天なのに(ホースで降らせた)大雨」ってなシーンがありますが(笑)、本作のこのシーンは間違いなく、「明るい光」と「雨」の両方が必要なシーンでしょう。 ラストの眠っている子供。今の平和がこのまま続いて欲しいという希望と、周りを包む闇の、幽かな不安。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-14 08:03:09)《改行有》

78.  ザ・レイド 最初に隊長さんらしき人が、映画の設定をペラペラとセリフで説明してしまい、あ~あ、そういうのは少しずつ出し惜しみして見せてくれればいいのに、と一瞬思うんですけど、まあ、別に構わないかな、とも。何せ、百聞は一見にしかず、そんなセリフでの説明をはるかに超える過酷なバトルが、早々に繰り広げられます。しかも、単に主人公がひたすら敵と戦い続けるのではなく(いや、ひたすら戦いますが)、その後の展開には、思わぬ人物同士の関係、思わぬ裏切りがあり、設定に広がりをちゃんと持たせてくれています。本作の売りであるところの、終わりを知らぬかのような果てしなき格闘アクション、スピード感満点でありながら、戦いの過程をキチンととらえていて(昨今の「細切れカットで何やってるかわからん」大作アクション映画は見習って欲しいもんです)、見応えあります。刃物等を用いた戦いによる残酷描写なんかも、あくまで瞬間的な描写であるために、一種のスパイスとして嫌味の無い効果を上げていますし、実際、一連の描写はアイデアの宝庫とも言えるのではないでしょうか。[DVD(字幕)] 7点(2016-01-13 23:03:51)(良:1票)

79.  ザ・ファイター 《ネタバレ》 パッとしなかったボクサーがチャンスをつかむという点、ロッキーみたいなオハナシなんですけれども、コチラはあくまで実話がベースなんですよ、と。ロッキーのパクリでも何でもないんですよ、と。確かに私も実話と言われりゃチト弱いんですけど、一方で実話が制約にもなったりしかねない訳で。だもんで、本作も「いえいえ決して実話ということに寄りかかってはいませんよ」とばかりに、クリスチャン・ベールが念の入った役作りをしたり、マーク・ウォールバーグが引き締まったボクサー姿の一方で腹の出たたるんだ姿を見せつけてこちらも役作りの徹底ぶりをアピールしてみせたり(エイミー・アダムスの腹が出ていたのも役作りなのかどうなのか)。と、皆さん身を削って本作に打ち込んでおられるのですが、映画のラストになって「ああきっと本作のモデルになったご本人がラストに出てくるんだろうなあ」と思っていると、やっぱり本当に出てきて、しかも(劇中で自分がこんな風に描かれていることも一向に意に介さず)いい味出しまくってる、俳優がいくら頑張ろうと、最後にご本人にすっかり食われちゃいました。 それにしても、本作のボクシングシーン、もうひとつ迫力に欠けていて(このいかにも「本当には戦っていません」という感じが・・・)、盛り上がりきれず、これも実話ベースゆえにあまりアホで派手な演出はできなかったという一種の制約なのかも知れません。となると、一番迫力があったのは、あのお母ちゃんですわな。まさに妖怪。このお母ちゃんがいて、あのお兄ちゃんがいればこそ、ウォールバーグの不器用そうで一途な表情が光る。家族に囲まれ、恋人もいて、でも時にファイターは孤独なのだ、とその表情が語る。そこが、いいですな。[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-12-02 00:13:21)《改行有》

80.  西遊記 はじまりのはじまり 西遊記がテーマと称しながら、これほどまでに「何がどうなるのやらサッパリ予想がつかない」というのも、なかなかスゴイものがあります。冒頭からやりたい放題で、要所要所は例によって「デブ・ハゲ・ブサイク」がシメるという、何とも奔放な作品ですが、ただ、前半のこの勢いを思うと、後半、洞窟内の孫悟空との絡みの場面のグダグダ感、どうしちゃったんだろうか、と(要するに「悟空がただの小汚いオッサンだった」という、いわゆる「出オチ」なんですよね)。何でこんなに引っ張っちゃったんだろうか。いずれにしても、その後はまた、先が予想できないハチャメチャに戻り、何が一番予想できないって、この後の続編(が作られるとして)、期待していいものやらどうなのやら。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-10-18 08:28:21)

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