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プロフィール
コメント数 3876
性別 男性
年齢 53歳

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21.  大殺陣 雄呂血 バンツマの『雄呂血』には到底及ばない。【鱗歌】さん 3点  などと書けば話は早いのだが、そうはいかない。そんな事を書くのは私の役目ではない。私には、こういうヤンチャな映画を持ち上げねばならぬ使命と宿命がある(のかな?)。バンツマ&二川文太郎監督の方の『雄呂血』は、サイレントならではのデフォルメされた描写によって、実に活き活きとした迫力ある世界が築き上げられた、エネルギッシュな作品となっている。さて一方、本作はトーキー、同じ事をやっても新味が無いどころか、リアリティを著しく欠く事になりかねない。そこでまあ、ナンボか抑え気味なのがやや物足りないかも知れないのだが、どうしてどうして、よく見れば、ショットなどに(それなりに)工夫が見られ、なかなかの演出の妙である(---そろそろ話半分に聞いてください)。ストーリーも、サービス過剰な程、無情極まる展開、トテモよく出来た話なので、嫌でものめり込まざるを得ない。雷蔵の精悍そうで実は不健康そうでもある表情が、この荒んだ雰囲気に実にマッチしているんだな。そう、この砂埃に満ちた、荒んだ宿命の世界。シェイクスピア作品の完成度をグッと落としたような雰囲気とでも言おうか(何のこっちゃ?)。そしてラスト! ウム、雷蔵は何人の敵と戦ったのだろう?百人は軽く超えていそうだ。千人はいたか?いや私の記憶では、1万人くらい敵がいたのではないだろうか(←それは多すぎ)。とにかく、約15分にわたる、息もつかせぬ、いや、息も絶え絶えの、凄まじいノン・ストップ・チャンバラが展開! ほとんどランボーですよこれは。バンツマ版に対抗するには、このくらいやらねば到底かなわない、という誤ったリスペクトの結果でありましょう。でもね、こういうヤンチャさのある映画って、やっぱり好きだナア。やっぱり映画はベストワンよりもオンリーワンであって欲しいと思う。ところでこの映画、時代劇なのに、言葉遣いがちょっと現代っぽいところがあるのが気になったんですがどうでしょう。この当時「道路工事」なんて言葉あったのかなあ。9点(2004-04-17 00:40:37)(良:3票)

22.  タイタニック(1997) 恋愛物としては何だか少女漫画にありそうな甘っちょろい話だし、パニックものとして観れば、あちこちで恋愛ドラマの御都合主義が鼻につき、不満はそれなりにあるわけですが。でもやっぱり、合わせ技一本「以上」の映画には違いありません。何と言っても、大建築物のごとき堅牢さを誇った豪華客船が、脆くも傾き、浸水していく光景。不滅を夢にも疑わなかったものが見る間に滅びていくその虚しさを、真正面から描き切っており、これはもうなかなか忘れられるものではありません。それと、長い映画ですが、結構細かい点も配慮した、演出上のイタズラっぽい工夫があって、観る度に何かしら発見があります。ただ、沈没時いくら波が無かったとはいえ、どうしても海じゃなくてプールに見えてしまうのは私だけでしょうか。9点(2003-07-26 19:45:59)

23.  ダーティハリー2 長期シリーズものを除くと、続編というやつは、まず何かしらガッカリする部分があるのですが、マッドマックス2と、このダーティーハリー2に関しては、そのようなことはありません。キャラハン刑事のカッコよさはそのままで、さらなる強敵と死闘を繰り広げてくれます。しっかし、あの射撃のミスはわざとやったのか?だとするとあの時点で真相に気付いてたのか?いまだに気になるナー。9点(2003-06-20 23:10:13)

24.  ダーティハリー タフで執念深い刑事と変質者との息詰まる戦いを、印象的なシーンを交えてたっぷりと見せてくれます。イーストウッドならではのワビサビが生かされてて、もうカッコよすぎ。「タクシー・ドライバー」のトラビスに匹敵する憧れのキャラクターですよね~。ところで、キャラハン刑事の相棒はマイノリティでロクな目にあわないというのが、なぜか本シリーズのお約束でした。9点(2003-06-20 22:56:20)

25.  太平洋奇跡の作戦 キスカ アリューシャン戦線についてはアッツ島玉砕ばかりが語られている印象で、私もこの英語が無ければキスカ島なんて、知らなかったかも。 戦争映画とは言え、撤退作戦を描いた作品。爆撃シーンが随所に挟まれるけれど、引き込まれるのはやっぱり、撤退作戦の行方。しかしまず、こんな極寒の地にも日本兵が送られてアメリカ軍と戦ってたんだなあ、という感慨こそ、この作品の映像がもたらす最大のインパクトかも知れません。 もちろん、大がかりなロケ撮影だけでなく、ミニチュアによる特撮もまた見せ場。というか、ミニチュアとの合成映像の巧みさが、とてつもなく効果を上げてます。 タイトルからして、作戦はどうせうまくいったんでしょ、という想像はつくものの、作戦の困難さにはヤキモキさせられて。その中で下される「決断」、これが映画を動かし、我々の心を動かす。 この後も泥沼のような戦局が続くとは言え、いったんは大団円。兵士たちの笑顔。たまにはこういう笑顔で終わる戦争映画があったって、いいじゃないですか。三船敏郎はハッキリとした笑顔を見せないものの、まるで笑みがこぼれるのをこらえるような、イイ表情で映画を締めくくってます。[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-06 12:58:37)《改行有》

26.  ダーティファイター/燃えよ鉄拳 前作でいったん映画が終わったというのが信じられないくらい、フツーに前作の世界が続いてます。オランウータンと人間の相棒1名ずつ、肝っ玉母ちゃん、バイク軍団、そしてソンドラ・ロック。 とは言え前作とちょっと異なる雰囲気もあって、だいぶギャグ映画の要素が強くなってます。ややとりとめが無かった前作に比べると、一つ一つちゃんとオチがついて、笑いの点ではこちらの方が上、かな。 他にも、クライマックスの試合に向けて物語を盛り上げていくなど、作品のまとまりは確かにあるのですが、そこで気づくのは、内容がまとまっている分、印象としては映画がちょっと小さくなっちゃった、ってことなんですね。前作の方がより、大らかな味わいがあって。 しかし、「映画が小さくなる」のも、いつもそれが悪いことだという訳でもなく、本作はあれよあれよという間に楽しい時間が過ぎて、ラストのクレジットが出てきたら、ああもう終わっちゃうんだな、という一抹の寂しさを感じたり。 これはこれで、魅力的な作品だと思います。 しかしそれにしても、オランウータン君のこれほど見事な演技、どうやって演出したんでしょうかね。頑張って脚本通りに演じさせたのか、それとも彼の奔放な振る舞いに合わせて脚本の方を修正したのか?[インターネット(字幕)] 8点(2021-06-13 13:53:32)《改行有》

27.  台風クラブ こんなワケワカラン系の映画も昔はゴールデン洋画劇場とかで放送してて、うわっ、この映画、キライだなあ、なんて思ってました。意味ありげな思わせぶり、そういうのに当時はなんか、イライラしてしまう。しまいにゃ「これが死だ!」なんてブチあげられちゃうと、「いやいや、そんなのは『死』じゃないんじゃないの?」とイジワルの一つも言いたくなったり。 結局は、この登場人物たちと年代が近く距離感が近かったからこその違和感であり、反発・反感だったんでしょう。 そのくせ、そういや自分もまた、高校の時に真夜中にこっそり学校のプールで泳いだことがあったんだよなあ。 今では自分も親の世代になり、この作品を貫く不安定な危うさを、ある距離感をもって眺めるようになって。そう、自分が思春期の頃には、思春期が危ういなどと思わないもの。距離感があってこそ感じられる危うさ、ってのもある訳で。しかし一方では、やっぱり記憶の底をチクチク刺されるような感覚もあって、イライラしないと言えば嘘になる。 だから、大人だから正しく鑑賞できるなんてことは金輪際、言いたくない。あの当時の「そうじゃないんだ」という気持ちは否定したくない。 今では、「キライだけど、面白いんだから、仕方ない」ってなところ、でしょうか。[インターネット(邦画)] 8点(2021-05-30 17:23:48)《改行有》

28.  ダーティファイター(1978) コレ、監督は一応、別のヒトがやってることになってるけど、これは名目だけなんじゃないか。やっぱり「イーストウッド映画」と言っていいでしょう。そんな雰囲気。 とは言え、トラックの運ちゃん(なのか?イマイチ本職不明)が暴れたり惚れたりするだけの内容で、まとまった筋立てもなく、行き当たりばったりに短いエピソードが連なっていくけれど、全体を通してみれば、何となくオハナシが繋がっている、という構成。 イーストウッドが演じるもんで主人公のキャラはどうしてもマッチョ系になるのだけど、彼が事前に「トラック野郎」を見てたとしか思えない、そんな映画です。 ってことは、あのオランウータンの正体は愛川キンキンだったんだなあ。 どこまでもあっけらかんと開放的・・・と言いたいけど、人生うまくいかんこともあるわけで、でもまあ、いいじゃないか、と。 そして我々も一緒になってビールを飲む訳ですが。[インターネット(字幕)] 8点(2021-05-22 07:51:32)《改行有》

29.  007は二度死ぬ 本作の後、ショーン・コネリーはボンド役をいったん降りているので、「あーやっぱり、この珍品、主演として相当ツラかったのかなあ」と以前は気になってたのですが、最近は、「きっとボンド役を極めたからこその降板だったんだろう」という風に無理やり解釈させていただいております。 それにしても夢のある作品。これだけのバカバカしい内容を、いかにも豪華そうに描いて見せる。エキストラを大量に動員したと思しき大相撲シーン。自動車を電磁石で釣り上げたヘリが飛ぶ、その背景には東京タワー(こんなシーン、もう撮れないでしょう)。オートジャイロとヘリ軍団のドッグファイト。無駄に大規模な敵の基地へ突入する忍者軍団。 あ、脚本、ロアルド・ダールだったのか。東洋の謎の国ニッポンは、夢のチョコレート工場みたいなもんですかね。 という訳で、世界で忘れられることがあっても、日本人は語り継いでいくべき作品でしょう。それが、こんな映画のロケを許可してしまった日本人としての責務かと(笑)。そういや昔、探偵ナイトスクープで、ロケ地を探しにいくってのがありましたが。[CS・衛星(吹替)] 8点(2016-08-21 11:16:53)(良:1票) 《改行有》

30.  第七の封印 十字軍の騎士が、「お迎え」にやってきた死神に対し、ちょっと待ってくれとばかり、チェスの試合を申し込む。この死神が、登場した瞬間こそ不気味ですが、どうも凄みが無いというか、茶目っ気すら感じちゃう(笑)。コレ、ひとつには、命がけでチェスをやってるハズの騎士が、さほど一生懸命にやっていないというか、どこか斜に構えたようなところがあるもんで。妙な余裕がある。 つまり、「死にたくない」という生への執着から、チェスをやってる訳じゃないんですね。 映画も、このチェスの試合の場面は思い出したように時々挿入される程度で、戦況もよくわからない(何となく、中盤以降は騎士がポカばかりやってるような気もしてくる・・・?)。むしろ、騎士とその従者が出会う様々な人々の模様が描かれる。「生と死」を描く作品なんでしょうが、ウェイトとしては「生」の方が中心、中には狂言自殺という形で「死」を茶化すヤツまで出てくる。心配ご無用、いくら後回しにしたって、「死」は必ず誰にでも訪れるのだから。伝染病の蔓延は、さらに「死」をありふれたものにする。誰もがいずれは経験するという意味では身近な「死」、だけど、先に経験した人はいないという意味では最も不可解な「死」。ただ言えるのは、「生」は多様、しかし「死」んでしまえば、みな同じ。 「生」の多様さを確認すること。それが、「死」の到来までに騎士が(そして我々が)得る最大の収穫、といったところでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-02-28 08:01:49)(良:1票) 《改行有》

31.  007/ロシアより愛をこめて 1作目よりはダイナミックなアクションが楽しめて、4作目以降ほどおバカではない点で、第2、第3作あたりが一般的にオススメ、ということになるんでしょうが、この第2作、「おバカではない」と言いながら、スペクターの「ボンド懲らしめ作戦」が何だか回りくどいので、そこが面白いというヒトもいれば、ツマラナイというヒトもいるでしょう(私は、嫌いじゃないです、ハイ)。実際、ボンドをとっとと殺すことを考えてりゃ、何度も何度もチャンスがあったんですけどね。いやはや、チェスの大天才が考えることは、よくわかりません・・・。 ボンドに接近するソ連の美人スパイ。彼女のオバチャン上官は、実はスペクターの手先だったりする。さらにはスペクターの準備した冷酷なる殺し屋も登場、これがロバート・ショウ。って、えーこの人、こんなムキムキだったのか。この殺し屋が周りをウロチョロしてるだけで、何がしたいのかよくわからない、従っていつ何が起こるかわからない、だからイイんですな。 作品前半はイスタンブールが舞台、後のシリーズ作みたいな「適当に世界の名所の光景を織り交ぜてみました、何しろ超大作ですから」っていうんじゃなくって、異国情緒をしっかり漂わせていい雰囲気。そこから西へ向かうオリエント急行、殺し屋も徐々にボンドに接近してくる。いよいよ近づく対決。 ラストはヘリやらモーターボートやらのアクションが、本当に取ってつけたように展開されて、なんかワケわからんけど得した気分。 ってな訳で、オバチャンはやっぱり怖いなあ、と。 じゃなくって、やっぱりこれは、シリーズを代表する作品のひとつでありましょう。[DVD(字幕)] 8点(2016-01-31 16:08:41)《改行有》

32.  大菩薩峠(1960) 《ネタバレ》 この机竜之助を観たらもう、眠狂四郎役も市川雷蔵に回るってもんです。虚無感あふれる、魔道に堕ちた剣士。何を考えているかわからない、たぶん何も考えていない(笑)この主人公を特徴づけるのは何といっても、雷蔵の眼光ですね。この眼光の前には、登場人物たちが都合よく再会するご都合主義なんて、まるで気にならない、まさにすべてが起こりうる世界。とは言ってもこの第一部は、新撰組との絡みもあったりして比較的なじみやすい物語です。で、ラストは、兄の仇をうつべく竜之介の前に現れた兵馬との、(竹刀ではなく)今回は真剣勝負、というトッテモいいところで終わってしまい、次回斯うご期待、となる訳ですが。雷蔵演じる妖怪・机竜之介に対し、中村玉緒がこちらも負けじと見事な妖怪ぶりを発揮して、ホンモノのオバケは登場しないまでも、十分に怪奇映画テイストを味わえる、伝奇チャンバラ映画となっております。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-30 10:05:43)

33.  大脱獄(1975) 先日亡くなった二人の大俳優、高倉健と菅原文太の共演作。東映作品史の分水嶺、という訳でもないかも知れませんが、任侠映画で東映を支えた高倉健が、ヤクザ映画から身を引き東映からも退社する直前、そして菅原文太が新たなヤクザ映画スターとして確固たる地位を築いた頃の作品ですね。で、監督が石井輝男。本作はヤクザ映画じゃなくって、網走番外地第一作にまで回帰した、吹雪の中の脱獄映画。ただし、すでに石井輝男がだいぶおかしな事になっちゃってる(笑)ので、殺人シーンにおける残酷描写が、これまたエライことになっちゃってます。心臓の弱い方と笑い上戸の方は、それなりにご注意を(あと、一瞬挿入される機関車の脱線シーンの意味がようわからん)。実際には犯していない殺人の罪から死刑判決を受けながらも、他の死刑囚たちの脱獄騒ぎに乗じて逃亡、雪原を乗り越え、ストリップ嬢との出会いと別れを経て、時には自暴自棄のように暴力的になりながら、自分を嵌めた連中への復讐を目指す。そして、一緒に脱獄し、健さんになぜか付きまとうのが菅原文太。何を考えているのかわからぬ不敵な笑みを浮かべ、それなりにいい味出してます……が、出番は必ずしも多く無いんですね。むしろ、もっとチョイ役ですが、小池朝雄のやたら“いい声”の方が、妙に印象に残ったり。それにしても、健さんにはやっぱり雪が似合いますね。[DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 16:18:39)(良:1票)

34.  ターミナル 《ネタバレ》 昔、『E.T.』って映画があって、これはエリオット君を中心に観るからこそ感動するんですけれども、間違ってE.T.氏の方を中心に観てしまうと、ああ何とマヌケな宇宙人もあったものよ、ってな事になっちゃう。そうは言っても、E.T.氏にだって、地球に来た目的もあれば夢もあり、故郷には親もいるだろうし、ひとり異国ならぬ異星に残された悲しみもあれば、エリオット君と出会いについての感慨もあるんでしょう。という訳でE.T.の方を中心に持ってきたような感じなのが、この作品。故国の動乱のため、空港に9か月も止まることになった男のオハナシ。最初は殆ど英語がわからず会話もままならない、「ええい、筆談すりゃいいやんか」と言いたくなるのはまあ私もヒアリング能力ゼロだからで、いやいやいや、筆談なんかでコミュニケーションできちゃったら、映画として面白くないですから、コレでいいんです。限られた舞台ですが周囲の登場人物たちのユニークさ、エピソードには事欠かず映画は快調に進みます。異邦人たる孤独な主人公、しかし映画が進むにつれ、みんなそれぞれ多かれ少なかれ、異邦人の要素を持って生きてるんだなあ、と。しかし、最後についに空港を後にする主人公、あまりにサバサバしていて、うーん9カ月も住んでたらもうちょっとこの「場所」に愛着が沸かないもんかな、とも思っちゃう。この辺り、映画の描き方自体がサバサバしているんです。人間関係を中心に描いているもんで、この映画の舞台である空港という「場所」への思い入れが、あまり見られない。私はどうも「場所」フェチなのかもしれず、ちょっと肩透かしな感じもしてしまう。しかし、この主人公は、私なんぞの軟弱者と違い、胸を張って決然と空港を後にする。それは父のため……そういや、『E.T.』のエリオット君には父親がいなかったっけ(いるんだけど不在)。エリオット君は一連の事件を通じて成長する、旅立ちの物語でもあったけど、本作の主人公は、父を愛し、故郷を愛し、祖国へと帰っていく。スピルバーグも(当然ですが)大人になっていくのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-05 17:49:11)(良:1票)

35.  TIME/タイム 映画が始まって数分で早速気が滅入ってくる。何と言う身も蓋も無い設定。「お金⇒時間」という寓話だけど、もうこれは比喩でも何でもなくて、「お金」イコール「時間」イコール「生きる資格」という、まさに現実世界そのもの。そう言って悪ければ、「現実世界の延長上に見えているもの、そのもの」ですわな。しかしこの映画、この図式でただ現実を批判しようってだけの作品じゃない。上記の図式そのものよりもむしろ、「貧乏ヒマ無し」っ言葉の方が本作によく合うかも知れない。時間の無い貧乏人は、よく走る。時には走らざるを得ない。男と女が(設定上は息子と母だが)互いに相手の元へと必死に走るシーンがある。そしてまた、共に逃げる男女の、手を繋いで走る姿がある。手を繋いで並んで走っていた男女が、ついに、互いに向かい合って走り始める時、どれほどのスリルと感動を呼ぶ事か。はたまた、敵役の男の、ひとり走り続ける姿、これほど彼の存在を印象付けるシーンがあるだろうか。「走る姿」というモチーフが作品の要素を有機的に繋ぎ合わせ、そこにドラマが生まれる、まさにこの作品はシンフォニーだと思う[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-04-29 11:42:36)(良:2票)

36.  丹下左膳(1958) 痛快娯楽時代劇とはまさにコレ。って実に月並みな形容ですが、でも痛快、楽しい楽しい娯楽作品。互いに「バケモノ」だとか「コジキ」だとか呼び合ってる不適切表現オンパレードなところは目をつぶるとして(でもこれも痛快だったりする)、コケ猿の壺をめぐる騒動を、魑魅魍魎のごときキャラクターたちが百鬼夜行よろしくドタバタ暴れ合わって、豪快に描いております(もう正直言って、百万両の行方などどうでもよくなってきちゃう)。美空ひばりに襲いかかる山形勲の、のしかかってくるような背後の影! 宵闇の街をひた走る大友丹下左膳!! 危うし、大川橋蔵!!! って、美空ひばりの役ドコロはメチャメチャ強い女剣士だったハズですが、どうしてこの場面だけヒヨワな乙女になってしまうのでしょうか。いいんです、面白いんだから!!!! 怒涛のクライマックスに、乞うご期待。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-02-18 20:35:17)

37.  ダンケルク(1964) 《ネタバレ》 被占領国ならではの戦争映画、ともいうべきシニカルさ。舞台は、ドイツ軍に追われた連合軍が撤退しようとしているダンケルク。戦争映画らしいスペクタクルな要素は、破壊された街、立ち上る黒煙、打ち捨てられた無数の車両、背景に常にうごめく無数の兵士の行進、などに表れていて、いかにも大作らしい風格があるのですが、だからと言って英雄的で派手な戦闘シーンが繰り広げられるようなタイプの作品ではありません。どこからともなく飛んでくる砲弾や、間歇的に襲ってくる戦闘機の銃弾や爆撃の下、兵士たちはただひたすら身をかがめ地面に伏して攻撃がやむのを待つのみ。中には機関銃で撃ち返すヤツもいるけれど、この映画では、戦火を交えるという意味での戦闘は描かれません。攻撃がやめば、兵士たちの目は日常を見る目に戻ります。何しろ被占領国、戦場と民間人の日常が同居している訳ですから。主人公も、大量の味方兵士の死の直後にはもうオネーチャンのところにシケこんだり。日常と死が紙一重。不発弾を悪戯っぽくしかし命がけで処理してみせたり。発見した敵兵士と撃ちあいになることもあれば、味方兵士と殺しあう場面もあったり(ベルモンド自身による階段落ち!)。ユーモアもあり、皮肉にも満ちた、少々ヒネクレた戦争映画なんですが、ここに描かれた非英雄的で等身大の兵士の姿こそ、ホントウの人間の姿であるように感じられ、その対照として戦争のもつ非人間性が浮き彫りになります。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-02 18:17:14)(良:1票)

38.  大列車作戦 「大列車作戦」って、語感が悪いですね~。「大スパイ作戦」では視聴率伸びないでしょ。さて本作。占領下のフランスから、ナチスドイツが大量の美術品を運び出そうとする。それをレジスタンスたちが、列車を利用したあの手この手で、阻止しようとするお話。やってることは小細工というか単なるイヤガラセというか、結構チマチマしているのですが、これを実際の機関車使ってダイナミックに演出されてしまうと、これはもう映画として圧巻。さらには、バート・ランカスターの身のこなしがこれまた凄い。梯子を滑り降りて機関車に飛び乗る一連の動き、機関車のパーツを流れるように作る一連の動き。これらのダイナミックなアクションの一方で、美術品のために人命が失われて行ってしまうという矛盾が描かれ、そこから生じる虚無感の漂う作品ともなっております。[DVD(字幕)] 8点(2012-01-03 14:11:22)

39.  脱出(1972) 《ネタバレ》 ストーリーだけを見てしまうと、いまいち煮え切らないサスペンスもどき、というコトになってしまいそうなこの映画、しかし、撮影ロケーションの素晴らしさによって、充分な魅力を放つ作品となってます。観てると何となく、ブアマン監督が「この岩の形が素晴らしい! よしここで撮影だ!」とか嬉しそうに言ってる光景が目に浮かぶよう。「この急流を滑り降りる撮影をしよう! せいぜい岩に頭を打たないように気を付けたまえ!」とか言って4人の俳優の顔が青ざめている光景が目に浮かぶよう。おそらくは実際、過酷な撮影であったのでしょうなあ。ヒゲのないバート・レイノルズに、ヒゲのあるジョン・ヴォイト。野性味あふれるレイノルズに対し、ジョン・ヴォイト演じるエドは、普通の家庭の父親であり、理性的な人間。しかしその彼が、異常な事態の中で、タガが外れていく姿がこの映画では描かれますが、最後には、ダムの底に消えゆく自然とともに、すべての「異常」は水底に葬られることとなり、各々が心なり体なりに傷をかかえつつ、日常に戻っていく。ラスト近くで保安官と交わす会話が印象的なんですが、このイイ味出してる保安官を演じているのが実は原作者というのも、またさらに意味深。また、エドの息子役はブアマン監督の息子ですが、本作の“ダム建設で消えゆく自然”というテーマは、息子ごと『エメラルド・フォレスト』に引き継がれます。父親であるエドのパッとしない態度にご不満の方は、コチラの作品もどうぞ。 ・・・ところでキミは、財津一郎の“キビシーッ”のポーズで死ねるか?[DVD(字幕)] 8点(2011-10-01 16:42:46)(笑:2票)

40.  大菩薩峠 完結篇(1959) さていよいよ完結篇。このすっかりイッちゃってる物語を完結させるために、龍之助と兵馬は、また大菩薩峠へと吸い寄せられていくのだけど、そればかりではなく、映画はますます超自然の世界へと踏み込んでいく。前作での鮮烈なロングショットなどにもその片鱗は見えていたけど、この完結篇ではいよいよ容赦が無い。特に、龍之助が炎上する屋敷から姿を現し、追手を斬って斬って斬りまくる、あの鮮烈な長廻し撮影。これはもう、異常です。この世の光景ではありません。そしてラストのスペクタクル。3部作を締めくくる、というより、ありとあらゆるものを葬り去ろうとするような、壮絶さ。イッちゃってます、やっぱり。[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-10 21:38:03)

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