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プロフィール |
コメント数 |
86 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
日本人なので邦画好き! 淀川先生のように、いつまでも「きれいですね~」「すごいですね~」と映画を楽しみ続けます。 不幸にしてつまらん映画を見た後も、シネマレビュー見ると爆笑ネタになって、HAPPYになります。「いや~、シネマレビューって本当にいいもんですね」あ、コレは水野御大・・・
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1. 終の信託
《ネタバレ》 観た後、うまく頭が整理できない重さを持った作品でした。
人生には仕事上でもマニュアルに沿って判断できない事がある。
この映画では、主人公は法によって裁かれてしまうわけだが、この映画では、仕事においても私生活においてもあらゆる局面においてマニュアルを用意しなければならない社会の不毛を感じる。
自分の仕事においても、問題が起こるたびにマニュアルが増えていく経験をしているが、マニュアルができることによって個々のケースで矛盾が生じることも、マニュアルの情報量が増えることによって個々の判断力が弱くなるという面も経験している。これから社会の中核を担っていくのは、かつてマニュアル世代と言われていた人々なので、どんなことでもマニュアルにしようとする怖さはあると思う。
この映画の医療の話でなくとも、男女の仲は法律的には白黒つけられない不可思議さや残酷さをはらんでしまうものです。
法律とはマニュアルの集積であり、厳格化、細分化すればするほど、矛盾をはらんでしまうものであるということをこの映画は教えてくれる。そして法律とは絶対万能の神が決めたものではなくて、人間が決めたものに過ぎないということを教えてくれます。国が違えば全く別の解釈もありうるわけです。
先日、最高裁判所裁判官の信任というものに投票しましたが、あまりにも法を司る者を信任する制度がブラックボックスになっていると実感しました。国民にとって判断材料がなさ過ぎます。
この映画に話を戻すと、この監督の撮り方は、今や巨匠の域に達していると言えるほど隙がなく風格を感じます。テーマがテーマだけに笑いを入れられないのだろうが、一息つけるような演出もあってほしかったです。
次回作はもう少し昔のような気楽な作品も観たいと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2012-11-09 23:27:04)《改行有》
2. 月に囚われた男
《ネタバレ》 予告ではホラー映画かと思っていたが、久しぶりにSFらしいSF映画を見た。
SFの衣を着た戦争映画やホラー映画も悪くないが、この映画は本当の意味でのサイエンス・フィクションだ。
観念的になりすぎず、不可解になりすぎず、一人(二人?)の人間の悲しさ、自問もじっくり描かれ、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。そのサジ加減が実にバランス良くできてます。
サイエンスとして突っ込みたいのは重力が明らかに1Gであることぐらいか。(1/6の重力のピンポンを観たいという興味もあるが、映画の筋と関係ないので)
マニアックに感動したのは特撮。全CGではなく、ミニチュアをCGで補完するという古き良き特撮の使い方が味を出してます。あの車の微妙な揺れやタイヤのたるみ加減が出す重量感、砂塵の立ち方はどんなにCGで計算して作っても出せない味です。サンダーバードを生んだイギリス人ならではのアプローチです。
日本でもこういう映画を作る才能がいるはずなのに、決して日本の映画界では作れない悔しさも感じてしまいました。この映画の黒幕が韓国(北ではなかろう)というのも時代を感じます。経済大国のメタファーとしても今や日本は認められていないのです。
「少し先にはこういうことがありうるんではないか?」自分にとってこれがSFです。
「少し先には宇宙人が侵略してくるんではないか?」というのはSFではありません。
久しぶりに本当のSF映画を楽しめました。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-05-10 23:24:34)(良:1票) 《改行有》
3. 劔岳 点の記
《ネタバレ》 最近,「マイ・シネマトグラファー」という名カメラマンのドキュメントを見て,ふと思った。
ある種のカメラマンたちは、実は監督の才能がありながら、カメラマンをしているのではないかと。
現場の実務とメカニズムを知り尽くしているカメラマンというのは実は,監督としてかなり有利であると思う。
そういえば、巨匠キューブリックも、現場で自らカメラを持つことが度々あったようだ。
それはディレクター不在でも,カメラマンが一人で取材するようなことが往々にしてあるテレビ等の現場を考えても、そう思う。(もちろん監督,ディレクターがカメラマンに劣るということではないです)
この映画,あくまで主役は「山」であり、当時の社会情勢や男達の情熱云々というよりも、あらゆる人物が「山」を立てる脇役であったのではないかと思う。だからこそ、ドラマは過剰に盛り上がることもなく、しかし丁寧に、必要十分に描かれている。
エンドロールの名前の出し方がまさに象徴的だ。
例えば「クライマーズ・ハイ」のように「山」を通して何かを描くのではなく「山」そのものを描こうとするというアプローチはカメラマンならではだと思う。
カメラマンは得てして、トリッキーなカメラワーク(クレーンや空撮)を使う誘惑にも駆られるが、あくまで人間の視点を貫いているのも潔い。
CGや合成、編集のエフェクトといった便利なものを、あるから使ってみるという映像の作り方に対して喝を入れているような映像でした。
[映画館(邦画)] 8点(2009-08-20 00:19:32)《改行有》
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