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プロフィール
コメント数 3874
性別 男性
年齢 53歳

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1.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 まだ全シリーズ観てないけれど、今の所一番好きなのが本作。色々な形で過去と現在がクロスする切なさと、未来は決して現在にクロスすることはない、生きることの不安。リリー松岡の再登板によって、これらがうまく描かれていると思います。さて、まず冒頭の寅さんの夢、チープ過ぎる海賊ぶりに苦笑。目が覚めると寅さんは映画館の中。出る時に、モギリのおばちゃんに(眠ってて映画観てないくせに)「面白かったよ、有難う」と声をかける。コレですよコレ! モギリのおばちゃんが映画作った訳じゃなし、それでもこの一言。笑いと感動と反省を呼び起こす場面であります。で本編。離婚したリリー松岡がとらやを訪れる、この場面からすでに、過去と現在が交わり始めます。一方寅さんは旅先にて家出オヤジ(ポリデント船越)との珍道中の真っ最中。しかしものすごーい偶然により、ラーメン屋にてリリーと寅さんは再会できちゃう。これぞ過去と現在を結びつける“運命”の力なり。舞台は二人の思い出の地、北海道。海辺で戯れる場面の3人の童心。初恋の人に会おうと決心する船越。これらすべて、過去と現在との交錯。で彼はこれで目が覚め、無事更生。寅さんとリリーはとらやに戻り今度こそいい感じ。ここで、例のメロン騒動が勃発する訳ですが。寅さんの分を切り分けるのを忘れるという失態から大ゲンカ。この場面もまた、寅さんという子供vs周りの理不尽な大人、という構図で、私にとっての過去である「子供の頃の気持ち」をチクリと刺激します。寅さんにとっては「気持ち」の問題であり、自分のことを構ってくれなかった事へ抗議しているのに、周りのオトナどもはこれを理解せず、あくまでメロンという物質的なレベルでしか捉えない。とらやの面々にわたしゃ怒りを感じたよ(とムキになってしまう自分の子供心に、苦笑もする)。ここでリリーだけが、「気持ち」の面から寅さんを咎めているんですね。で、寅さん出て行っちゃうけど、“相合傘”によって仲直り。大のオトナが相合傘でドギマギする、やっぱり中身は子供。この後、二人はもう一歩で結婚か、という事になるも、見事なまでのすれ違いで、あえなく撃沈。我々の過去も、こういうどうしようもない忸怩たる思いと湿った後悔で、死屍累々、ですわな。観ててタマラン気持ちになります。あの時ああしていれば…。シリーズのどれか一本は満点としたかったので、本作を10点とさせていただきます。[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-08-16 15:54:38)(良:2票)

2.  お熱いのがお好き とにかく底抜けに楽しい! オモシロ映画を作ってやるんだという激しい意気込み、トニー・カーチスとジャック・レモンとの掛け合いの鬼気迫る気迫、な~んてものは観てる間はぜ~んぜん感じずに楽しんでしまえます。が、観終わった瞬間、映画の内容からはまるで予想もしなかった、そこはかとない感動を覚えます。10点(2003-10-05 00:10:04)

3.  男はつらいよ フーテンの寅 シリーズ中、山田洋次以外の監督がメガホンをとった2作品のうちの一本である、第3作。やはり雰囲気も異なります。長廻しもあれば、ごく短いカットの応酬もあり、特に江戸川べりでのさくらとの別れの場面の抒情性は、長いシリーズ中でもかなり異色のシーンですね。で、立ち去る寅さんは、駅に向う通勤者たちとは逆方向に歩いて行くのだけれど、一体どこに向ってるの?? 後半の舞台は湯の山温泉。ここでもまた、寅さんは例のごとくテキトーでいい加減なのだけれど、それでも、最後には実にいいトコロを見せる。そして見事に仁義を切って見せ、根なし草として生きる男の意地と孤独を、我々に見せつける。単なる失恋コメディに収まらず、寅さんの生き様をしっかり描いてみせた点、監督を交代しただけの価値ある異色かつ出色の作品となりました。[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-12-31 11:55:58)(良:2票)

4.  黄金(1948) 冒頭のシチュエーションの、まあ何とも不景気なこと。実に素晴らしい不景気描写……と感心してる場合じゃなくて、何しろ不景気、観てて実に気が滅入る描写です。そこから我々は主人公と一緒に、職を見つけては喜び、それが詐欺だと知って憤慨し、詐欺師を見つけてトッチメようとしたコイツが意外に強くてハラハラし、でも見事やっつけて溜飲を下げる。そして、何か人生を達観したような金掘り爺さんとの出会い、ああこのヒト本物だよプロだよこの爺さんについていきゃ間違いないよ。と、観てるこちらまでテンションが上がり、ついでに健気なクジ売り少年にも心打たれたりして、この辺りまでは「健康的」、なんですけれども。それが、いよいよ金の採掘が始まり、金を手に入れだすと、肝心の主人公がおかしくなってくる。欲にかられ、猜疑心にまみれ、まさに「欲望は熱病」、映画の雰囲気自体が熱に浮かされたようなイヤな感じが充満してきます。不景気時代には「同じアメリカ人にお恵みを」とか言ってた主人公が、金の採掘に参加させて欲しいとやってきたアメリカ人を排除し殺害すらしようとする。そこに山賊がやってきて戦闘となり、そのアメリカ人が死ぬと、今度は味方が一人減ったことを嘆く。どこまでも刹那的な言動、まあ観てる我々は金を貰えないので主人公よりは醒めた視点でそれを眺め、さらにその我々よりも達観しているらしい爺さんの存在が、とりあえずは場を収めていくのだけれども、やがて・・・。ってな訳で、金への欲望に主人公がもてあそばれ、その描写と人物設定の上手さに我々がもてあそばれる、見事な語り口の作品です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-07-08 07:50:55)

5.  オーシャン・オブ・ファイヤー まるでどういう映画か知らずに観たのですが---というより、例の(ちょっとチープな)砂嵐のシーンからの連想で、ハムラプトラみたいな映画かと思ってたら、実在した人物の物語ということでアララと思いつつ観てたのですが---いや参りました、シビレました。これは監督さんの名前をチェックしておかなければ、とエンドクレジットを凝視していたら・・・何と“ジョー・ジョンストン”、これにはのけぞりました、ハイ。まず、アメリカのカウボーイがアラビアの砂漠横断レースに挑む!、ってのが、もうこれだけでワクワクしますね。疾走する馬に並走する低めのカメラは、背景の空と大地をもしっかりと捉え、気分はノリノリ。途中、妙な陰謀劇なども絡んでくるあたりはサービスし過ぎ?かも知れませんが、この辺りは御愛嬌。映画の最初の方で描かれる先住民への弾圧、これは主人公がこのレースに参加するキッカケでもあるのだけど、それだけじゃなく、「そういったアメリカの歴史、一切合財を背負って、アメリカ代表として走ってるねん」みたいな感じがあって(合理主義と神秘主義の重なり合い)、なんかイイなあ、と。で、ラストのデッドヒートは、ちゃんと映画冒頭シーンへと回帰していくあたりも心憎い。この作品、観て本当によかったと思いました。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-04-11 23:01:34)(良:1票)

6.  桜桃の味 《ネタバレ》 クルマを運転しつづけるオッチャン。オッチャンは死ぬことを、自殺することを、考えている。で、出会う人に自殺の手助けを頼む。しかしオッチャン、一人で勝手に死ねばいいでしょう、一人で死ぬ方法なんていくらでもあるでしょう。見知らぬ人から自殺幇助を頼まれて簡単に引き受ける人なんて、そうそういないでしょう。と言う訳で、なかなか「自殺」の手助けを引き受けてくれる人には巡り合わない。オッチャンは何故死のうとしているのか、それはわからない、ただ、生への別れを告げるにあたって、誰か見知らぬ人に自殺幇助を頼む、それが、オッチャンの生に対する最後の繋がりであって、見知らぬ人との会話を通じ、その見知らぬ名もなき人たちの人生が浮かび上がる。会話は淡々と続き、車窓には荒涼とした風景が淡々と流れ、クルマは淡々と荒れ地を走り続ける。そしてついに、オッチャンは、協力者を得て、命を絶つ・・・絶った、らしい。この映画のラストは、どう解釈すればよいのか。荒涼としていた風景には緑が芽生え、撮影隊が映画の撮影を行っており、あのオッチャンもそこにいる。あくまでこれは映画なんです、という“メタ”なのか。あるいはこのシーンは、オッチャンが生き返って、心機一転、映画俳優としてデビューしたという後日談なのか(そんなアホな)。監督の意図ははっきりとはわからないし、このラストだけが本作の真価でもないはず。ただ、このラストが何となく「面白い」と感じたのは、映画本編が「自殺の手助けを見知らぬ人に頼むがなかなか引き受けてもらえない」という孤独な物語であったのに対し、このラストのオマケは「こういう孤独な内容の映画でも、こうやって大勢のエキストラを動員し、大勢の協力があって作られてるんですよ」と言っているようで、その対比が印象的だったから・・・。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-08-23 22:35:26)(良:1票)

7.  男たちの挽歌 初めて観たのは高校の時に深夜放送を録画したやつだっけ。そりゃびっくりしたもんですよ。ほとんどあきれ返る位、見事に、ツボにハマる映画というか、ツボにハメ込んだ映画というか。まー、はっきり言って不自然なくらいにオモシロい映画な訳です。当時の、今以上に曇った眼で観ても、その不自然さが際立ってた訳です。とにかく身近にいた姉に「すげーすげー」と報告したら、基本的に私とは価値観を殆ど共有しない姉も、コレを観てやっぱり同じようにのけぞっている訳です。とにかく凄いインパクト、だった訳です。ホー役のティ・ロン、名前を知らなかったもんで、その涼しげな髪型から勝手に「主人公の志村けんが・・・」と、姉とはそれで話が通じたもんです(あれから時が流れ、本物の志村けんの頭はさらに著しく後退したが、考えようによっては、時間が経った割に後退が遅い気もして、いささかアノ頭には疑惑を感じないでもない。でも、そこまで無理に何にでも疑惑を感じる必要もないだろう。って、どうでもいいっての)。一方のチョウ・ユンファ、当時、雑誌に載ってる写真でしか見たことなかったので、「このヒト、どこがカッコいいんだよ」とか思ってたんだけど、初めて映画で“動くユンファ”を見て、「・・・めっちゃカッコええ」とシビれた思い出も(今の目で見ると、こちらは「劇団ひとり」に似てる気もしますナ)。本作、改めて観ると、こりゃかなり低予算なんだろうなーと。カメラに詳しい方がいたら教えていただきたいのですが、どうしてカメラが切り替わるたびに動きがおかしくなるんでしょうか。クオリティが文句無しに高い映画とは到底言えないのかも知れませんけど、当時の香港娯楽映画界のかなりキツイ枠内で、これだけのコトをやり遂げたというのは、やっぱり凄い。「要するにオモシロけりゃいいんだろ」と、まるで嫌がらせのようにオモシロくしたストーリーだけではなく、ジョン・ウーの“飛翔願望(?)”が表れたアクションシーン、鮮烈な銃撃戦、それがまさに本作の魅力ですね。印象的なスローモーション。ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの代表作に『ブラジル風バッハ』ってのがあるけど、本作はさしずめ『中華風ペキンパー』ってところか(←何だか美味しそうな名前・・・)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-05-05 18:45:18)

8.  オール・ザット・ジャズ ある振り付け師の、生き様と死に様。当然それは、我々一般の人間の目に触れられることのない、ウラ話的な側面が目立つことになり、いわば、「ダンスミュージカルとその解体」、ということになるのだけれども、ここではついには、主人公の心臓手術という、いわば「人間の解体」にまで描写が到ることになる。この、人間という存在の脆さ、しかしその脆い存在が織り成す、あまりにも強烈な躍動感と存在感。この映画では、天使との交流など、しばしば幻想的な領域に足を踏み入れるのだけれども、最後まで、物語の具象性は失われることなく、登場人物たちはニオイ立つような存在感を発揮しつづける。この「赤裸々さ」こそが、ショウのもたらす感動、なのだろう。[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-04-15 15:42:30)

9.  男はつらいよ 寅次郎かもめ歌 《ネタバレ》 今回の作品は、うーむ、何だか良かったなあ。というか感動した。今回の寅さんは、男女の仲としてマドンナに惚れるんじゃなくて、いわば父親的立場からの惚れ方、なんですね。ミリオンダラー・ベイビーみたいなもんですね、本作をハリウッドでリメイクするなら寅さん役はイーストウッドで決まり、ですね(何でやねん)。やはり父親にとっての娘ってのは限りなく恋愛対象に近い、あるいはそれを超える存在ですからね(←あくまで想像。何しろウチの娘はまだ0歳でちゅからね~。笑)。だから、いわば恒例である寅さんの失恋は、今回は、「娘」が他の男のもとにはしっていくという形になるわけで、何ともタマランものがあります(想像ですが。笑。←笑ってられるのも今のうち?)。ちなみにラストのお寺は、四国八十八箇所霊場の一番札所「霊山寺」ですね。一瞬、寅さんも今回ばかりはコタえて歩き遍路に挑戦するのかと思いましたが。そんなわけでともかく、父性愛がテーマのひとつにはなっているのですけども、その一方でしっかりと寅さんが稚気を発揮してくれているのが、嬉しくもあり、また切なくもあるところ。それが定時制高校のシーン。窓の外は夜、教室の明かりのもとに様々な年齢、様々な立場の人たちが集い授業を受ける独特の雰囲気のシーンだけれども、伊藤蘭を送り迎えするうちに、ついつい学校に入り浸る寅さん、やはりここにもしっかりと馴染んじゃう、このいつものノリに、ついつい苦笑。ここで、先生役の松村達雄が実にハマってる(おいちゃん役よりもピッタリ)。詩を朗読するシーンのうまさ、私も授業を受けてる気分になっちゃう。で、寅さんも仲間になりたいと思ったか、こっそり入学願書を出していたことが最後に発覚するけど、中学を卒業してない寅さんには入学資格が無いという残酷な事実(寅さんはそうとも知らず、中学中退の件を教室で楽しそうに語っていた!)、そして願書に貼られた写真の寅さんの、何とも言えないシカメッ面。本当に切ない気持ちになるシーンであります。とまあ、結構ホロリときちゃった作品なんですけども、バラエティに富んだ脇役陣、伏線を張り巡らした脚本の上手さなど、色々な面で楽しませてくれて、非常に魅力を感じた作品であります。[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-14 00:09:34)(良:1票)

10.  男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け 冒頭はスプラッタ調(山田洋次作品で唯一?)、後半は社会派サスペンス風味も加わる本作。太地喜和子扮する芸者・ぼたんの、何とかわいらしいこと。そう、この作品、登場人物すべてが魅力にあふれている。謎のジジイ・宇野重吉のトボけた味わいから、チョイ役の古本屋オヤジ・大滝秀治にいたるまで、実に忘れがたい人々。タコ社長も意外な奮闘な奮闘を見せ、思わず惚れ直すこと請け合い。「ジジイのエピソード」と「ぼたんのエピソード」が絶妙に絡み合い、一方、合間に挟まるとらやでの喧嘩、これがまたいつもに増してクダラナイ原因から始まってるのが可笑しい。ややもすると重くなりそうな題材を、意外なハッピーエンドで明るくまとめた、これはまさに好編と呼ぶに相応しい作品でしょう(どうせ寅さん、失恋するんだろうけど、映画の中でそれを描かないのもまたよし)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-13 21:45:35)(良:2票)

11.  男はつらいよ 以前にシナリオを読んだっきり、なかなかお目にかかる機会がなかった、この記念すべき第1作目。BS2の全作放送でようやく観させていただきました。あのシナリオに書かれていた寅さんが命を吹き込まれ活躍する感動、「これがあの(日曜洋画劇場でお馴染みの)長寿シリーズ第1作なんだ~」という感動、そしてみな若く活き活きとしている感動。まさに感無量ですな。失恋して落ち込む寅さんの姿に、妻と二人で観ながら「可哀想」、「可哀想」、と連発しているうちに、本当に泣けてきそうになったのはやはり、その後のシリーズ各作品での寅さんの数々の苦闘、その長い道のりが、つい頭に浮かんでしまうからでしょうか。本シリーズは、我々日本人のデオキシリボ核酸に深く浸透しているのであります。[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-13 18:53:44)

12.  大いなる勇者 レッドフォード演じる主人公、(歌詞を信じれば)「抱えてきた悲しみをすべて忘れるために」山へと入って行く。山でいきなり出会ったのは炭素冷凍されたハン・ソロ船長。違うっての。その後も次々に奇妙な人とめぐり合う彼。そして奇妙な共同生活。やがて山での生活は残酷な一面をのぞかせる・・・。厳しい自然の中に自由はあるのか。結局そこに待ち受けているのも、厳しい「運命」ではないのか。しかし男は運命と戦い続ける。その寂寥に閉ざされた姿はあまりにも孤独だ。しかし我々は、その姿に静かなる憧れを抱かずにはいられないのである。[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-08-25 22:13:11)(笑:1票)

13.  大いなる幻影(1937) 《ネタバレ》 こんな歴史的名作を、私ごときが今さらもっともらしくアレコレ誉めても、大変に嘘クサイし、第一、それは多分私の役目じゃない(ははは)。でもやっぱり、こりゃスゴイ映画だと思うので書いちゃう。やっぱり各シーンが生きてます。1ショットに、空間的時間的動きが収められる手腕、全く時代を感じさせません(ってか、その後ウン十年の映画の「進歩」って、何なんでしょね?)。しかしこれ見よがしの「映像美」大安売りには決して陥らず、おかげで最後はまさに「とっておきのラストシーン」が光っています。そういや後半の、エルザがランプ片手に歩くシーン、横からスポットライトを照射して撮影してるので、後ろの壁面への影の出来方が明らかにヘンなんですけどね。でもこれも一つの映画的効果、やはり「暗闇の中で灯を持つエルザ」というモチーフのための必然性すら感じてしまう(気のせいだろうけどな)。 ま、それはさておき、ストーリー的には、作品世界自体が「大いなる幻影」である---ってオイ↓【しったか偽善者】様のレビューをパクるなっての。いや私も全く同感、いざ書こうとしたら、ずでにお書きになってた! 現実にはありえないでしょ、と思える程に人間関係が和やかで、肯定的な描き方。が、これはイコール現状肯定、という訳ではなく、「でもコッチの方がよくないかい?」みたいな感じで、そっと平和と人間讃歌を謳い上げています。だからこそ「幻影」が効果的なのでしょう。、一見、幾つかのエピソードに分かれたストーリー、しかし主題は確かに掘り進められていく。演芸会の途中で、ドゥオーモン奪還の一方が入り、舞台は中断されてラ・マルセイエーズの合唱となる。私は正直、舞台の続きが見たかった。そんな愛国心丸出しの国歌で楽しい舞台が中断されたのが残念だったのだ。フランス人が私と同じ感想を持つとは思えんけど。ま、どっちみち、前半で描かれた大脱走計画は頓挫、盛り上がったエネルギーは不発に終わる。そして、所長とボアルディエとの国境を超えた友情・敬意、それは最終的に、脱出する二人とそれを匿うエルザとの関係に託され、花開く。彼らとて、帰国しても待ってるのは軍隊生活、しかし今や新しい希望出来たのだ。雪の山岳地帯に消えていく彼らと、それを「すでに国境を超えたから」と見逃すドイツ兵。二人は自分達が「見逃されている」事に気づいたかどうか・・・。溜息の出るラストシーンであります。9点(2004-02-14 23:00:59)(良:2票)

14.  追われる男 主人公役がジェームズ・キャグニーで、対する悪党の役はと言うと、こちらもキャグニー? では無くって、よく見るとボーグナインなのでした。そっくりさんとまでは言わないけど、タイプ的には同路線の顔立ち。ワルそうだけと愛嬌があります。 それにしても、これまた面白い西部劇。ストーリーは結構、適当というか、行き当たりばったりというか、白々しくも強引に進んでいくのがまず楽しい。そもそも冒頭、列車強盗に間違えられるくだりなど、ほとんどコメディかと思ってしまうのですが、その後、自警団に襲撃され、主人公と一緒に居た青年は銃撃で生死を彷徨った挙句、重い障がいを負ってしまう、という、笑うに笑えぬ深刻な展開。この振れ幅の大きさが、物語を推し進め、一方ではちゃんと、主人公と青年の関係をここに織り込んでいたり、無法者の跋扈する西部の町、横行するリンチ、などといった物語の軸を織り込んでいたり。 だから、物語は変化に富んでいて、やや暴走気味ではあるけれど、散漫な印象はなく、納得感があります。B級納得感とでも言いましょうか。 何がどう「追われる男」なのかはよくわからん邦題ですが。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-02-12 08:56:28)《改行有》

15.  大いなる陰謀 この「大いなる陰謀」という邦題はどう考えたらいいんですかねー。まさか、「民主党支持者のレッドフォードが、トム・クルーズ演じる共和党上院議員に一見もっともらしい事を喋らせて、必ずしも共和党ばかりが悪い訳じゃないんだよ、という体裁を取りつつ、最終的には痛烈な批判に結びつける。これこそまさに、レッドフォードの大いなる陰謀だ」ってコトなんですかね。いや、まさか。 しかしいずれにせよ、政府を茶化しさえすれば自分の役割を果たしている、と言わんばかりの言論にはもう飽き飽きしている昨今、この映画の真摯なアプローチは新鮮でもあり、訴えかけてくるものも大きいです。 この映画では、密接に関わりつつも直接には交わらない3つのオハナシ、というか「場面」が、並行して描かれます。共和党上院議員とリベラル派の記者との対話。作戦中にヘリから転落し、雪山で敵に囲まれた2人の兵士。そして2人をかつて受け持った教授と、キレ者のエリートだけどいささか斜に構えたところのある学生との対話。 いくらお題目を並べてみたところで、表向き見えないところでは、貧しき者が兵士となって戦場で命の危機にさらされている、という現実がある。その批判に対して、「じゃあ私の成績優秀さが罪なのか」という、上院議員と学生とのセリフがシンクロして。 アメリカって国は、日本よりはるかに、エリートが引っ張る国、になってます。だからこそ、エリートが現実に対し目を向けないといけない。現実を直視した上で、エリートが声を上げ、行動しなくちゃいけない、ということなんでしょう。 という訳でこの作品、社会批判ばかりではなく、そういう自己への戒めまでもが含まれているようにも感じられます。だからこそ、3つのオハナシを対立するように配置させ、トム・クルーズ上院議員の勝ち誇ったような表情と、やつれて何だか頼りないレッドフォードの表情とを、戦場の兵士の絶望感の中に容赦なく放り込んでくる構成、これが大きな効果を上げているように感じられます。 もっとも、この映画でもって、世の中が簡単に変わるものではないのですが・・・。[インターネット(字幕)] 8点(2022-06-19 09:54:50)《改行有》

16.  男の顔は履歴書 男の顔は履歴書、だなんて言われても、とても私の顔なんぞまるで履歴書っぽくはないのだけど、これが安藤昇だとドンピシャ当て嵌まる。「現在」の顔は眼鏡にヒゲの典型的な中年オヤジ風、しかし頬の傷は間違いなく、彼の過去を語ってます。さらにはこの、冷たい眼光。この顔ならば、セリフが棒読みであればあるほど、かえって迫力が。 そこから場面は敗戦まもなくの、闇市へ。この後も時代がアチコチに飛び、さらには中途半端な独白が入ったりして、多少ヘンな映画ではあるのですが、それでもなお、独特の迫力が。 朝鮮人の一味の横暴なども描かれるけれど、登場人物それぞれが皆、それぞれの言い分、それぞれの思いがあって。あ、菅原文太はあまり無さそうですけどね。 クールな安藤昇の弟役に、伊丹十三。「ゆーとぴあ」かと思ったぞ。とくに言い分が多そうな役で、映画を盛り上げます。 でもって、映画にさらに迫力をもたらしているのが、例によって独特のローアングル。そしてクローズアップは、被写体が画面からはみ出んばかり、まさに、はみ出るかはみ出ないかの臨界状態。 クライマックスの銃撃戦、斬り合いも、もはや、尋常なものではなく、凄まじいエネルギーを放ってます。 ちょっと意外な、しかしこれしかないだろ、という絶妙のラスト。[インターネット(邦画)] 8点(2022-03-17 22:52:23)《改行有》

17.  オマールの壁 《ネタバレ》 分離壁によって生活が分断されたパレスチナが舞台。主人公の青年が、反イスラエル活動に加わるも当局に逮捕され、拷問の末、仲間に対するスパイとなることを命じられ・・・というオハナシ。 ですが、単に抑圧の悲惨さを訴えるのではない「何か」が、この作品にはあります。 銃撃を受けようとも壁を乗り越えていた主人公。自由を求め、抑圧に反抗していた主人公が、スパイとなることを強要された末、当局に、あるいは状況に、呑み込まれ支配される存在となっていってしまう。 ついに自力では壁に登れなくなってしまう主人公の姿が、それを象徴しています。 いわば、人間の持つ弱さというものが、この理不尽な環境によって、残酷なまでに露呈されていて。 それでも人は、運命に抗うことができるのか、というラスト。[インターネット(字幕)] 8点(2022-02-20 15:46:47)《改行有》

18.  オンリー・ザ・ブレイブ 昔は、消防士は英語でファイアマンだ、と習ったもんですが、すると「華氏451」にはその言葉通り、火を消すのでは無く火を点けるのが役割のファイアマンが登場したりして。 一方でこの森林火災の消防士もまた、必ずしも今燃えてる火を消すのが仕事とは限らず、木を切ったり、それこそ、逆に火を点けたりしてて、とにかく燃えるものを無くし延焼を防ぐのが、彼らのミッション。 建物消火以上に、我々にとっては馴染みが薄く、それ故に、映画の題材としてはそれだけで興味深いものとなります。冒頭、いきなり家の上空にヘリが現れ、プールの水をホースで吸い上げていく、なんてのもなかなか意表を突きますが、消防士なのに描かれる訓練が、我々の想像する「消防士っぽい」ものでないことに興味を引かれます。 それはどちらかというと、まるで野戦に備える兵士のような。 シカが駆ける野山の光景、と思いきや、カメラアングルが移動すると、すぐ向こうは山火事。燃え上がる「大惨事の光景」と、燃えていない「日常の光景」とが、その境界ではっきりと区切られていて。その大惨事が、じわじわとその領分を広げ、日常を浸食する。 この浸食さえなければ、まさに対岸の火事、であって、その光景に消防士たちが歓声をあげたりもするけれど、猛然とその浸食が襲いかかってきたら、もはや為す術がない。 実話に基づいている作品ではありますが、あえてストーリーの軸を隊員の一部のみにおいていて、スペクタクルの面では確かに火災シーンがクライマックスだけど、ドラマとしてはその後の学校のシーンにこそクライマックスがあって。 劇中でさりげなく描かれていた、その他の隊員たちの姿が、ラストにおいて、実際のモデルとなった人物と重なり、胸を打ちます。[インターネット(字幕)] 8点(2021-09-04 18:02:01)(良:1票) 《改行有》

19.  汚名 やっぱりヒッチコックって、サスペンスの人、なんだなあ。などということは、巷では常識とされているらしいので、今更何言ってるんだ、ってなところなんでしょうけれども、それにしても。 この物語って、男女が互いに惹かれあっているにも関わらず、女はスパイとして容疑者のジジイと結婚、男はそれを陰で操る、という、ある種残酷な運命を描いている(はず)のもので、言わば悲恋の物語と言えなくもない(はず)のものなんですが、正直、その印象はあまり強くなくって。どちらかというと、特に中盤以降の、ワイン倉庫の捜査の描写などのドキドキ感に重点が置かれているようで。 戦時中の父の行為による汚名を被らされた挙句、今はまたこんなつらい任務に身を投じる女性、これって本来ならかなり悲惨な境遇、だと思うんですが、必ずしも愁嘆場のような場面は多くなく、わりとサバけた印象。捜査される側のジジイも、その母親を登場させるなどして人物像に幅を持たせたりしてるんですけれど。それが、途中からサスペンス全開モードになって、余韻を残すべく準備されたであろうラストの収まりが、何となく悪いように思われます。 しかし、サスペンスとしては、これがやたら面白かったりするもんだから、困ってしまう。困る必要ないけど。傾いたりボヤけたりする主観カメラだとか、被写体に急接近するカメラだとか、映画の見る者の視点を存分に引きずりまわす。鍵束につけられた鍵の数の足し算・引き算、瓶に書かれた年代ラベルの足し算・引き算から導き出される真相。とにかく、面白いシーンに事欠きません。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-31 13:22:09)(良:1票) 《改行有》

20.  踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 最終作なのか、これから新シリーズを始めようというのか、よくわからんタイトルですが、前者だとして(多少、疑心暗鬼)、まあ、有終の美と言ってよいのではないでしょうか。 ビール騒動を始め、細かいギャグがふんだんに盛り込まれて、ちょっと悪乗りし過ぎかとも思うのですが、それでも物語の中心となる事件の魅力で、グイグイ引っ張ります。今回の事件においては、いわばこのシリーズを特徴づける「本庁vs所轄」「会議室vs現場」といったテーマがズバリ、軸となっていて、そういう意味でも、シリーズ総決算、という趣きがあります。ゴタゴタした署内の描写とか、大規模な展示会の描写とか、スケール感には事欠かないし、物語における伏線の数々にも唸らされたり。 しかし最終作の最終作らしさというと、青島クン、ここでも颯爽と走って見せる、のかと思いきや、コケちゃうのよね、腰痛だから。長年の現場生活で、彼もボロボロなら、すみれさんもボロボロ。いや私もボロボロなんですけどね、ははは。 深刻な事件を荒唐無稽な展開でぶった切って見せた後、このラストにはいささかコソバユイものがありますけれど、また新しい一日が始まるんだなあ、という訳で、気持ちよくシリーズを締めくくってくれました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-01-23 21:40:17)《改行有》

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