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プロフィール
コメント数 3874
性別 男性
年齢 53歳

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21.  踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! 警察署というところは、警察官やら、事件の被害者やら、捕まった容疑者やら、その他無関係のよくわからない人やら、とにかく得体の知れない人々がうごめく場所だと相場が決まっていて、このシリーズでも背景にやたらとそういう大量の「よくわからない人々」が映っていて画面を賑やかしておりますけれども、この第3作。なにせ、「警察署の引越し」が描かれる訳ですから、さらに輪をかけて、画面が賑やか、慌ただしい。こういうところからして「テレビではできないこと、映画でしかできないこと」を感じさせてくれます。 と言っても、我々も「引越しシーン」をこの映画に期待して観てる訳ではもちろん無いのですが、物語の方もちゃんと大事件に発展していって、クライマックスでは、新庁舎のセキュリティが暴走し、建物が要塞と化してしまう。いったいどこでどうやって、こんな撮影したんだろう、そんなこと思うだけでもううれしくなってきちゃいます。 登場人物も賑やかで、これまでのシリーズから、そこまでやるかと言いたくなるくらい、出演者が大量動員されていて、おかげで過去の作品を観てない人には意味不明の部分が多々出てきてしまう、という弊害もあるのですが、ま、これは一種のお祭りですから。 という訳で、私は結構楽しんだんですけど、なんだかあまり、評判よくないみたいですねえ・・・?[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-10-09 22:26:17)《改行有》

22.  男の出発 《ネタバレ》 Associate Producerとしてクレジットに名を連ねているのが、ジェリー・ブラッカイマー。かつてはディック・リチャーズ監督とともに、こういうシブい作品に関わってた訳ですな。 カウボーイに憧れる少年が、牛追いの仲間入りをして旅に出る、というオハナシですが、この牛追いのオッサン連中が見事なまでにアクが強く、キタナくって、「この少年もやがてはこういうオッサンに成長するのか」とか「このオッサンたちもかつてはこんな初々しい少年だったのか」とか、そういうことはまったく想像できない(笑)。もう、別の生き物です。 という西部劇で、72年の作品ということもあり、流血の描写や激しい銃撃戦の描写などには、かつての古き良き日のウェスタン映画とは違った印象を受けるものの、それでも懐かしい詩情のようなものは確かに感じられて、西部劇とニューシネマが魅力的に融合した作品となっています。 オッサンたちの中で、いつも半人前だった少年、その彼が見せた決断が、終盤のひとつの流れを作るのだけど、結局彼自身は何もなしえないという虚しさ。このあたりは、もはや失われてしまった古き良き西部劇に対する郷愁でもあり諦念でもあるのかな、と。[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-03-12 10:08:26)《改行有》

23.  オズ これ、いいですね~。手の込んだアンティークみたいな作品。特殊効果もお見事です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-10-13 20:41:40)

24.  鴛鴦歌合戦 とかく浮世はままならぬ、日傘さす人、作る人。って、なんのこっちゃですけれども、片や日傘をさしたおとみさん、片や日傘を作るお春さん、千恵蔵演じる浪人を巡って、確かに何かとままならぬ訳です。しかし、作った傘を干しているとそこに通り雨、傘が濡れては大変と、これをキッカケに男女がうまく引き寄せられたりもする。はたまた、お春さんが父親の骨董道楽を嘆いている場面、千恵蔵が「そのうち掘り出しモノでもするかもよ」と言うのに対してお春さんは「そういう夢みたいなこと大っ嫌い」と言い放つんですけど、これがラストの伏線になってる。なってるけど、でもこのラストは、衝撃的です(笑)。いやホント、みんな笑ってていいのか~と思うんですけど、いいいんでしょう、きっと。もはや一種の躁状態。時代劇ミュージカルなんていうハチャメチャな作品ですから、オチもハチャメチャでいいんです。で、音楽はというと、一曲一曲は他愛ないものですが、会話の中に歌がピタッとはまってくるのが気持ちよく、とにかく楽しさ満点です。中でも、ディック・ミネのあまりに気持ちよさそうな歌いっぷりが、何やら悟りに近いものすら感じられて(笑)。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-29 22:47:17)

25.  狼の挽歌 いつもにも増してバカボンパパ似のブロンソン、なのにシブい、シブ過ぎるハードボイルド。彼が演じる主人公は寡黙な殺し屋。そりゃまあイタリア語のセリフをブロンソンがペラペラまくしたてても変なので、寡黙にもなろうってもんですが、まず冒頭からこれといったセリフもないままカーチェイスに突入。何が何やら、ですけれども、もちろん説明など不要。彼はまさに、そういう日常を生きる人間なのだから。やがて彼はある陰謀に巻き込まれていくのだけど、彼は決然と立ち向かい、そして刹那的に行動する。結局のところ、男ってのは、人を殺すときも、オネーチャンとエッチするときも、いつだって孤独なのだ、ということですね。モリコーネのノリのいい音楽が印象的ながら、あえて音楽を入れない静寂の中の、エレベーターのクライマックスが、さらに印象的。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-03 23:27:32)

26.  男はつらいよ 寅次郎子守唄 《ネタバレ》 コメディならではの強引さが楽しい作品です。まず博の労災事故、ここで早くも看護師さんであるマドンナが登場して物語の布石を打つ。え、強引どころか、計算された脚本やんか、ってか。しかし、寅さんが帰宅し、老後の備えの話題となると、まるで会話を事前に予期し構想を練っていたかのように、壮大かつ軽薄な計画をスラスラ披露する寅さん、当然喧嘩となりとらやを飛び出すが、老後の備えと称していた通帳を捨て台詞と共にさくらに渡すと、それは実はさくら名義の通帳だったというオチ。喧嘩してカッコよく飛び出すところまで全て事前に織込み済みだったとしか思えない寅さんの全言動、コメディたるもの、このくらい強引でなくっては。そこから一転、侘しい港町でアンパンを買う寅さんの姿、風情があっていい感じ。しかし強引さは手綱を緩めず、知りあった甲斐性無しの男に赤ちゃんを押しつけられる展開。この後、登場人物の誰一人、警察に届けるべきという発想を持たないのが大変よろしい。この赤ちゃんが寅さんとマドンナを結びつける存在であり、一方とらやの面々はこれを阻止しようとムダな足掻きをする訳ですが。マドンナも強引にとらやに出入りするようになり、最初っから、寅さんにホレさせておいて後で別の男に走る算段だったとしか思えない。このシリーズのマドンナとして、これだけ自分の義務(?)に忠実なヒトも珍しいのでは。寅さんもこれに応え、いつにもまして軽薄で無責任な言動の数々を披露。当然にして最終的にマドンナは他のムサい男を強引にも選択。失恋したと知った瞬間に旅支度をする寅さんも、それを大して止めもしないとらやの面々も、素晴らしいほどに要領が良く、こういうストレートさも本作を実にサバけたものにしています。例の赤ちゃん、最後まで物語をかき回す役として存在してくれればいいのに、残念ながら作品の途中で退場してしまう。こうして物語を「整理」してしまうのが、本シリーズの限界かとも思う反面、最後に「遠い空の下で元気にしてるよ」と顔を見せてくれるのが、本シリーズの優しさか、とも。ところで、コーラスに参加した後のさくら、丸めた紙を持ってますが、楽譜ですかね。丸めちゃってるってことは、もう参加する気ないんですかね。喫茶店で丸めた紙を窓際に押し込んでましたが、このまま置いて行く気なんでしょうね。と思ったらその後のシーンでもまだ持ってましたね。意外に続ける気なんですね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-02-22 04:20:35)(笑:1票)

27.  大人の見る絵本 生れてはみたけれど この作品、きっと人によって受け止め方はまちまちで、“だから大人ってイヤなんだ”と思う人もいれば、“なんちゅうムカつくガキどもだ”と思う人もいるかも知れないし、“メガネのお母さんに萌え萌え~”というマニアな人もいるかも知れない(これは私のことですかねはははは)。こういうさまざまな感情を我々に抱かせるのもやはり、この作品がとても見事に、活き活きと子供たちの姿を捉えているからでしょう。特に、親子喧嘩の場面、親父が子供のお尻をペンペンなんていうのは、現実世界でも日常茶飯事の光景(というよりマンガ的な光景)な訳ですが、その光景に我々はハラハラしながら観入って、引き込まれてしまう。他の方もおっしゃっている「サイレントであることを忘れる」シーンのひとつです。それにしても、やっぱり、父親ってのは、息子に超えられるための存在、なんだなあ、と。平凡なサラリーマンになって、外から見れば確かにそりゃ平凡なんだけど、誰しもが時には、耐えがたきを耐え、忍び難きを忍び、お先真っ暗、ああ給料をもらうのっていかに大変なことか、と思いつつも、家に帰って子供の顔を見ると「ま、いいか。要するにもう自分の時代じゃないんだよな、これからはコイツらの時代なんだよな」なーんて思ったり。そんなこと思いつつもやっぱり本能的に「コイツらに簡単に超えられてたまるか」とも思っていて、実際、簡単に超えられちゃいそうなしょうもない駄文をとある映画サイトに書き込んでいることなんかは、家族には秘密だったりする(笑)。世の子供たちよ、お父ちゃんがダメダメに思えたら、多分本当にダメダメなんでしょう、でも、苦労はしているのです。多少はいたわってあげてくださいな。そしてその苦労は、あなたたちもいずれする苦労です。そしてお父ちゃんは、あなたたちの将来を、本当に心配しているのです。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-07-12 23:35:00)(良:1票)

28.  黄線地帯 予算も時間も無いので、余計な肉付けを削ぎ落し「ハードボイルド」のエッセンスそのものを映画にしました、みたいな感じの作品、たまらなくシビレちゃいます。殺し屋の男と人質の女。立場的には銃を女に突き付ける男の方が上のはず、しかも男は爬虫類のごとき冷酷な表情を顔に浮かべ、実に不気味な存在な訳ですが、しかし一方で、人質の女は、時に勝ち誇ったような、時にひたむきな表情を浮かべ、その女の前では、殺し屋の男なんてのは所詮「消耗品」に過ぎない訳ですね。殺し屋には「消耗品」としての意地があり、女には(人質の身でありながら)本質的な「勝者」としての意地がある。そして許婚である女の行方を追いながら事件の背景も追求し、一粒で二度おいしい立場である新聞記者の男の意地。彼らの意地は、カオス状態の神戸の街を走りぬけ互いに交差し合う“直線”であるかのように幾何学的に描かれて。なにせ、面白いように偶然に次ぐ偶然で事態は繋がり合い吸い寄せられ合い、その一方でこれまた面白いようにニアミスですれ違ってしまったりもするのです。靴屋のオヤジや、ヘンテコだけど気の毒なガイジン売春婦など、脇役のキャラも充実してます。ゴチャゴチャした舞台立ての中から、整然とした方程式が浮かび上がってくるような展開、まさにこれぞハードボイルドの真骨頂と言えるのではないでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-11 18:11:37)(良:1票)

29.  お早よう 《ネタバレ》 「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」の「喜劇編」としてNHKで放送しておりましたが、むしろこれは、“ちょっとした怪談”だと思いましたです、ハイ。 逃げ場の無いような文化住宅の中で、自分の知らぬ間にあらぬ噂話が広がっていくコワさ。オハナシとしちゃユーモラスかも知らんけど、視覚的には、はっきり言ってこれは、恐怖です。オバちゃんコワい。オバアちゃんはもっとコワいけど(笑)。他にも、反抗期の子供が親の知らぬ間にご飯を盗み出し、川べりで貪り食うコワさ。しかもその後子供たちは、親だけでなく“我々”の目からも忽然と消えてしまうコワさ。オナラしようとしたらウ○コをチビってしまうコワさ。ついでに大泉滉がミョーに美青年であるコワさ。黛敏郎がいかにも小津作品っぽい音楽をまねて書きながらニヤニヤしてそうな(チャンスさえあれば前衛音楽に変えてやろうと狙っていそうな)コワさ……。この映画のタイトルは「お早よう」、何気ない挨拶などムダのようでいて、ムダこそが社会の潤滑油。しかし作品にはムダがなく、エピソードの連射で高密度、それに加えて小津さんの映画にしては、立ってる姿、歩いている姿が多く、若干あわただしい感じもいたしました。それにしても黄門様、ここでも飲み過ぎです、コレ本当に演技なのでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-22 23:05:15)

30.  王将(1948) 《ネタバレ》 いや、さすがにあそこで2五銀は無いよなあ、と思ったんですけどね、やっぱりハッタリでしたか。阪田三吉と言えば、伝説の端歩突きもありますからねえ。実在の三吉はこういう変な手を打っては負けちゃう(笑)のですが、物語の三吉は、勝ってしまうことでドラマを生む。将棋指しの戦いは孤独なもの、と思われるところ、この映画には棋士の孤独さというものは無くて、常にそこには彼の家族の姿があって。破天荒であった彼が、ライバルであった“関根はん”に名人位を譲り、頭を下げる、まさに彼が名人たりえる風格を得た時に、彼を支え続けた妻が電話の向こうで息を引き取る。多分にメロドラマ的なんですけれどもなかなかにツボを押さえていて、ダイナミックなカメラワークがあり、ついでに言うと古い映画なのに音声が比較的明瞭な状態でもあり、古い映画に馴染みの無い人でもかなり楽しめる作品ではないでしょうか。それにしても、こういう主人公の姿を見ていると、藤山寛美を連想したりもしますなあ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-06 22:49:12)(良:1票)

31.  オールウェイズ この映画に出てくるオードリー・ヘップバーンは、役名こそあれど、限り無く「本人役」に近いニュアンスでの登場(『ベルリン・天使の詩』でのピーター・フォークみたいな感じがする)。そしてまるで、「私はこんなオバチャンになっちゃったのよ」「いつまでもアイドルじゃないのよ」「みんな、もう私の事は忘れてもらっていいのよ」と言ってる気がする。だからと言って忘れられるものじゃないよね、とスピルバーグが言ってる気がする。本作の主人公ピートも、中盤で死んでしまい、やがては忘れられていく存在。ファンタジー映画らしく、幽霊として現実世界に何かと干渉しているようでいて、実際にはこれと言って何もしていない、ただの傍観者。別に傍観したくてしてる訳じゃないけど、傍観せざるを得ない、死者なのだから。一方の生き残った者たちは、彼らは彼らでピートのことをなかなか忘れられない。しかし生者が死者にいつまでも捉われている訳にもいかない。で、最後に死者と生者は一瞬、交錯し、永遠の別れを告げる。しかしその一瞬とは、永遠の一瞬でもある。これは、忘れられていく人々、であると同時に、決して忘れ去られることの無い人々、の物語。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-11-27 00:49:02)(良:3票)

32.  OK牧場の決斗 後半1時間でようやく本題に入るような感じで、映画前半は必要なのか(いや必要だろうけど、も少し工夫がないものか)と思わんでもないけど、後半、特に最後の30分くらいの盛り上がりは相当なもの・・・と初めて観た時から思ってた訳じゃないのでワタシも偉そうなことは言えない。観るたびにだんだん興奮が増していくような。クライマックスの銃撃戦は、緩急をつけることで見事な緊迫感を演出。カッチョ良過ぎ。それにしてもデニス・ホッパー、さすがの彼も、若い頃はこんなにサワヤカだったのだ。リー・バン・クリーフはあんまし変わらんが。バート・ランカスターも例によって、角ばってる。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-01 21:35:33)

33.  男たちの大和 YAMATO 派手で残酷な戦闘シーンといい、いかにも「わかりやすい」テーマ音楽といい、「どうやったらハリウッド大作っぽく見えるか」みたいなバイアスが感じられる面があるのですが、だからと言って、決してそれだけにはとどまらない作品になっていると思います。確かに、人物描写にはやや類型的なところがあるかも知れないけれど、それは決して、単に「この辺で喧嘩の場面を入れておこう」「多少は恋愛なども織り交ぜてみよう」みたいな適当なものでは無くって、この大和を中心とした物語を、ひとつの神話へと導くことに成功していると思います。・・・しかしそれに比べると、「現代」のパートが、イマイチよくわかりませんなあ。鈴木京香はいつ、何歳で養子になり、そしていったい今何歳なのか? 仲代が発作で一度死にかけて見せるのもなんだか蛇足(しかも鈴木京香にサービスされてビンビンになって生き返るというのは、どうも、なあ)。ですが、その辺りは目くじら立てないことにして。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-09-28 22:53:47)

34.  オリエント急行殺人事件(1974) 原作については、誰でも(?)読んでる有名な推理小説だし、作品の背景となっている実際の誘拐事件についても、どこにでも書いているので、改めてここに書く必要もないでしょうけど。原作小説における、この誘拐事件の位置づけは、事件に対する憤りなのか、単にトリックにケチをつけられないためのエクスキューズなのか、それはともかく、作品にいくぶんサワヤカな印象を与えているのは事実だと思いますが・・・いやあ、こうして映像化してみると、サワヤカどころか、変態的・猟奇的ですね(笑)。それにしても、「雪で立ち往生した列車内」という限られた舞台に、有名俳優をぎっしり押し込んで(外は寒そうだけど中は暑苦しい?)、ゴージャスな映画になってます。カメラも腕の見せ所、尋問のために次々に現れるスターどもをバッサバッサと料理する。当然、「そのうちの一人は、尋問すべてをワンショットで撮ってやろう」なんぞという発想にもなる訳ですが、一体どの俳優がその餌食となるのか。うーむ、イングリッド・バーグマンと来ましたか。そして、その一人ひとりの尋問の後、恒例の、“容疑者集めて犯人指摘”となる訳ですが、これがまた、スターそろい踏み、映像にするとなかなかに見栄えがするものでして、結構盛り上がるのでした。あとこの映画、リチャード・ロドニー・ベネットの音楽が良くって、変に構えたようなメインテーマのワルツとは対照的に、緊張感のある音楽で映画をビシッとシメています。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-10 06:44:24)(良:1票)

35.  王になろうとした男 《ネタバレ》 なかなかにブッ飛んだお話でして、二人の野心家(あるいは夢想家、あるいは誇大妄想狂)が、艱難辛苦の末にインドの山奥に行って、王様になっちゃおうとする物語。冒頭の列車のくだりなどからすると、詐欺師同然の連中には違いないのですが、あっけらかんとしていて憎めない存在。その二人が、持ち前の大胆さ、無謀さ、そして運命の歯車によって、あれよあれよという間に支配者の地位に登りつめちゃう。マイケル・ケインの方はまだ小悪党の顔を残しているけれど、ショーン・コネリーの方は、自分の妄想に自分が飲みこまれてしまい、王どころか神を目指してしまう。しかし物事そううまくは行かない、正体がばれ、追われる身に。そして、あっという間に登りつめた地位から、吊り橋から谷底へ、まさにあっという間に転落していく。運命の怖さ、ですね。登りつめた後に転落した者のなれの果て、という物語ではあり、悲惨な物語でもあるのですけれど、それでいてどこかカラッとした陽気さがあり、楽しい映画になっているところが、本作の奇妙な魅力と言えるでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-14 17:17:37)

36.  大人は判ってくれない 観る立場によっては、「子供は判ってくれない」と言いたくなるかもしれませんが(笑)。しかし子供ってのは大変なのです、何しろ、オトナの前では「良い子」を演じ、“オトナを手なずけ”なければならないのだから。これが出来ない不器用な子供はさらに大変(世間一般でいうところのマトモな職業には向いていないので、いっそ映画作家でも目指すのがよいのでしょう)。欺瞞に裏打ちされた日常の果てに、ついに警察のご厄介になったところで、初めてオトナの扱いをされるという皮肉。しかし勿論、こんなものが本当の意味での社会との接点であるワケがない。少年にとってはもしかしたら、感化院こそが、生きるための戦いの始まりであり、本当に社会と向き合うスタートなのかもしれない・・・。ラスト近く、走る少年の姿を「これでもか」とばかり、長々と追いつづけるカメラに、何だか胸がつまりジーンときてしまう。あの苦しくて苦しくてたまらないヒタムキさ、誰しも心のどこかで、自分の過去に重ね合わせてしまうものがあるのではないでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-12-16 18:36:09)

37.  男はつらいよ 旅と女と寅次郎 《ネタバレ》 例によって冒頭は夢の場面。またも時代劇だが今回は舞台のお芝居。主人公の寅さん、大見得切ってカッコいい。さらに芝居が盛り上がってくると、何とBGMに流れるは、幻想交響曲の終楽章!なんちゅう思い切りの良過ぎる選曲。いやいやその前に、これって寅さんの夢なんだよ!?いくら私がクラシック音楽が好きでも、まだ夢の中でベルリオーズが流れたことはありません。寅さん、参りました、私はまだクラシックファンとしては半人前。しかし引き続く主題歌の場面になると、今度は「矢切の渡し」に「特別出演:細川たかし」が現れて小芝居をするという、ベタベタ演歌ネタが登場。すごい世界観の映画だ(笑)。この後も全編、クラシックと演歌で彩られた映画になってるわけですが、特にこの「矢切の渡し(連れて逃げてよ~)」が物語の重要なモチーフになってます。新潟で寅さんと「佐渡の渡し(?)」に乗り込むマドンナ、演じるはミソラ・・・・・・じゃなかった、都はるみ。役名は京はるみ。ははは、ナメとんか。有名歌手である彼女、別世界に生きる彼女の、逃避行が描かれます。彼女が行方不明になり大慌ての所属事務所(手持ちカメラがズンズン迫る場面など、寅さん映画らしからぬドキュメンタリタッチ)。一方、寅さんとはるみは佐渡でのんびり。民宿・呉作のノスタルジックな調度、宿の婆さんの「どこでも好きな部屋に泊まれ」というアバウトさ。うーん、いいねえ。和む二人。寅さんだけは、彼女をスターではなく、一人の女性として見ているんだね。しかし彼女は事務所に見つかり、帰ってしまう。後に彼女はとらやを訪問し、二人は再会するのだけど、彼女見たさにとらやに人々が殺到。寅さんは彼女との立場の違いを思い知ることになる。とらやの二階にポツリと取り残される階段に背を向ける寅さんを、畳スレスレのカメラが捉え、画面の端には湯呑みが転がっている。ナゼ転がっているのかは判らない。ただ、それはあまりにも寂しく切ない光景で、まるでその湯呑みは寅さんの分身のようにも思えたり。ラスト、静かに柴又を後にする寅さんには、さくらにもどうすることもできない孤独感が溢れており、胸に深く突き刺さるシーンです。[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-11-12 22:06:01)(良:3票)

38.  男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 《ネタバレ》 この頃にもなると、渥美清も、寅さん役がキツくなってきてたのか、派手なパフォーマンスが見られなくなってきてますが、その点、本作は、「寅さんが僧侶見習いになっちゃう」という設定が実に秀逸。あんまり動かずに笑いをとる、ということに成功してます。博の父・ウン一郎氏の墓参りに来た寅さん、墓石にシンミリ語りかけ、ホロリとさせる場面ですが、その後がイケナイ。ひょんなことからナマグサ坊主と意気投合、しかも坊主の娘が美人とくれば、もう寺にすっかり居座ってしまい、坊主の代理で大活躍。諏訪家の法事に、坊さんに付いてノコノコやってきちゃう。これが可笑しいのなんの。博が実兄を「兄さん」と呼んだのに寅さんがウッカリ返事しちゃうシーンには、大笑いしてしまいました。これと似た場面がもうひとつ。本物の坊さんと共に諏訪家にやってきた僧侶姿の寅さんに、「おじさんだ!」と満男だけが気付く場面があるが・・・これは本当に寅さんを見て「おじさんだ」とつぶやいたのか?もしかして、ホンモノ僧侶役の松村達雄の方を見て、「あ、2代目竜造おじちゃんだ」と指摘したのではなかろーか?(笑)。ってか、てめーだって2代目満男だろうが、と、つい、つっこんでしまう。←こんなことばっかし言ってると、それこそ竹下景子に「そこまで考えなくても」と突っ込まれそうですが(笑)。ところで、この映画の物語、実に何も解決していないお話であります。諏訪家の遺産騒動に始まり、松村坊さんも息子とギクシャク。息子・中井貴一は勘当されたまま、東京で冴えない暮らしを続け、杉田かおるとの長距離恋愛もこの先どうなることやら(いずれ結婚しても飛び蹴りくらうだけ?)。そんな中で比較的うまくいきそうなのが、寅さんと竹下景子の関係。いやいやそう上手くはいくまい、しかししかし・・・と宙ぶらりんのまま、別れの柴又駅。ここでの2人の関係の微妙な揺れ動きは、まさにサスペンス映画と言えそうな程のドキドキ感、しかしやがて電車が着き、彼女は乗り込み、ドアが閉まり、あっさり電車は去っていく! この無情さ! 哀しい別れに、おもわず「あー」とつぶやいてしまいました。一方、諏訪家の騒動も、亡父の生家を売り払うという現実的な選択に終結しますが、それを補うごとく、「なんと博が、遺産をタコ社長の工場に投資しちゃう」という、現実離れしたファンタジックなオチ。うーむ、博、次期社長の座を狙っているのか?[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-25 22:37:10)(笑:4票)

39.  男はつらいよ 翔んでる寅次郎 《ネタバレ》 このシリーズ、ワカリヤスサが売り、という部分があり、状況説明のセリフが必要以上に入ってしまって、「今のセリフは無くてもよかった(無い方がよかった)のに」と思ってしまうことがあります。しかし一方、それを補うかのように「観る面白さ」を全面に押し出した場面、というのが盛り込まれていて、その代表がやはり冒頭主題歌の背景に流れる、寅さん帰郷のシーンですね。特にこの本作、サイレント時代の喜劇映画を思い起こさせる、久しぶりに活きのいいドタバタを展開してくれます。このドタバタを、“一歩引いて”撮る。という「一歩引いた感覚」、コレが、本作は、全編にわたってしばしば見られます。前半の、北海道の雄大な自然を捉える場面などのロングショットもそうですし。それに、何と言っても、一つの画面の中で複数の物語が同時進行する場面が頻繁に見られるのが、目を引きます。画面手前においてある会話を捉える一方で、画面奥では別の会話が始まっている。そのようなシーンが、意識的に多く取り入れられているようで、何だか実験的なニオイすら感じられます。そしてこのニオイが、クライマックスでしっかり活かされていたりする。クライマックス、最後は寅さんが失恋して旅に出る、というのがいつものパターンだけど、本作では寅さんは予想に反し、柴又に残り、マドンナの結婚披露宴に出席します。この披露宴の席で、宴が進む中、画面奥にマドンナの母親がひっそりと現れる、という、例の「同時進行」のパターンが登場。これにより、感動がさらに盛り上がります。失恋相手の仲人役というつらい立場の寅さんも、この素敵なラストには、まさに柴又に残った甲斐があったというもの。さらに最後は大サービスで、新郎・布施明が歌を披露するというオマケつき、「素人のくせにウマすぎるだろ~」なんて、言いっこなし。こういう楽しさもまた、いいじゃないですか。というわけで、伏線による統一感と、物語の爽快感が、心地いい映画でした。ところで、桃井かおりの花嫁姿、何だかコワかったですねえ。やっぱり、何か特殊メイクでもして、あのコワさを出したんでしょうねえ。まさか本当にあんなコワい顔なんじゃあ、ないでしょうねえ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-18 23:02:21)(良:2票)

40.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 今回もなかなか渋い作品、やはり寅さんはおとなしめ。マドンナはさらに渋い。いしだあゆみ。渋すぎ。舞台はまず京都。これがいい。実に京都らしい京都の雰囲気をよく表していて、これだけでも充分、観た甲斐があるというもの。で、それ以外の見所はというと、ううううむ、これがあんましはっきりしない(笑)。いや、この曖昧さ。物事を正面から描かずオブラートにくるみながら、そっと、寅さんとマドンナのすれ違いが描かれる、この微妙な味わいこそが、本作の魅力でありましょう。[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-05 21:52:08)

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