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プロフィール
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性別 男性
年齢 53歳

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61.  大いなる決闘 《ネタバレ》 これは珍作、どこまで真剣なのやら、とにかくヘンテコな西部劇。血が吹き出る描写やスローモーションの多用など、シビアでヘビーな作品を目指している、らしい、のだけど、これがいかにも「なんちゃってペキンパー」な感じで、とってつけた感じが拭えない。脱獄囚ジェームズ・コバーンが、仲間を引き連れ、元保安官チャールトン・ヘストンへの復讐を企む。そして両者の対決へ。という訳ですが。コバーンの悪役ぶりが光る一方で、主人公であるはずのヘストンの影がどうも薄い、というか、グダグダとセリフが多い割に性格付けが薄く、つかみどころがない。ヘストンについて行く助っ人の若造に至っては、どこの馬の骨なんだかさっぱり分からない感じ(大物俳優である父親にあまりに似ているので、その点だけは印象が強いけど)。娘が悪漢ども襲われているのを見て逆上する元保安官に対し、「これはワナだ」と元保安官が飛び出すのを引き留める助っ人の若造。引き留めるのはいいけど、そんなタコ殴りにせんでもいいでしょう。保安官も娘の心配はどこへやら、急に冷静になって若造のことを誉めたりしてるしなあ。で、何をトチ狂ったか、草むらへの放火というよくわからん手段にて、保安官たちの反撃が開始される。いや、炎の中の対決がクライマックスなら、それはそれで良いのだけど、やがて鎮火してしまい、勝負は翌日に持ち越されちゃう。銃撃戦、ヘストンが拳銃を連射し、敵の一人が「6発撃ち尽くしたぞ」とわざわざ判り易くつぶやいた上で飛び出すと、ヘストンは澄ました顔でもう1丁の拳銃を取り出し射殺する。ま、テンポが良いことは否定しませんが(笑)。そしてついにコバーンとヘストンの対決! わざわざヘストンが事前に解説していたセリフ通りの結末に、納得いくような、いかないような。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-10-02 23:51:55)

62.  お早よう 《ネタバレ》 「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」の「喜劇編」としてNHKで放送しておりましたが、むしろこれは、“ちょっとした怪談”だと思いましたです、ハイ。 逃げ場の無いような文化住宅の中で、自分の知らぬ間にあらぬ噂話が広がっていくコワさ。オハナシとしちゃユーモラスかも知らんけど、視覚的には、はっきり言ってこれは、恐怖です。オバちゃんコワい。オバアちゃんはもっとコワいけど(笑)。他にも、反抗期の子供が親の知らぬ間にご飯を盗み出し、川べりで貪り食うコワさ。しかもその後子供たちは、親だけでなく“我々”の目からも忽然と消えてしまうコワさ。オナラしようとしたらウ○コをチビってしまうコワさ。ついでに大泉滉がミョーに美青年であるコワさ。黛敏郎がいかにも小津作品っぽい音楽をまねて書きながらニヤニヤしてそうな(チャンスさえあれば前衛音楽に変えてやろうと狙っていそうな)コワさ……。この映画のタイトルは「お早よう」、何気ない挨拶などムダのようでいて、ムダこそが社会の潤滑油。しかし作品にはムダがなく、エピソードの連射で高密度、それに加えて小津さんの映画にしては、立ってる姿、歩いている姿が多く、若干あわただしい感じもいたしました。それにしても黄門様、ここでも飲み過ぎです、コレ本当に演技なのでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-22 23:12:37)

63.  王将(1948) 《ネタバレ》 いや、さすがにあそこで2五銀は無いよなあ、と思ったんですけどね、やっぱりハッタリでしたか。阪田三吉と言えば、伝説の端歩突きもありますからねえ。実在の三吉はこういう変な手を打っては負けちゃう(笑)のですが、物語の三吉は、勝ってしまうことでドラマを生む。将棋指しの戦いは孤独なもの、と思われるところ、この映画には棋士の孤独さというものは無くて、常にそこには彼の家族の姿があって。破天荒であった彼が、ライバルであった“関根はん”に名人位を譲り、頭を下げる、まさに彼が名人たりえる風格を得た時に、彼を支え続けた妻が電話の向こうで息を引き取る。多分にメロドラマ的なんですけれどもなかなかにツボを押さえていて、ダイナミックなカメラワークがあり、ついでに言うと古い映画なのに音声が比較的明瞭な状態でもあり、古い映画に馴染みの無い人でもかなり楽しめる作品ではないでしょうか。それにしても、こういう主人公の姿を見ていると、藤山寛美を連想したりもしますなあ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-06 22:49:12)(良:1票)

64.  狼よ落日を斬れ 三隅研次監督最後の劇場作品は、なぜか松竹、なぜか自ら脚本を手掛け、なぜか2時間半を超える歴史大作。なぜか風雲篇・激情篇・怒濤篇と銘打たれ、しかもなぜか風雲篇と激情篇は一緒になっているので実は2部構成。という摩訶不思議な作品。混乱ぶりがうかがわれ、内容もイマイチまとまりがありません、ってまあ、そのまとまりの無さこそが大作としての風格でもある……のですかねえ。舞台は幕末、主人公は“ワイルドスギどん”こと杉虎之助(高橋桃太郎侍英樹)、浪人で典型的な剣豪タイプ。で、彼の視点で描かれていくのかと思いきや、物語はあっちこっちに彷徨い、1時間くらい観ていてようやく判明するのは、これは実は、立場こそ違えど互いに理解しあう、4人の若者たちの物語であったのだな、と。剣豪スギどんの他には、新撰組・沖田総司(西郷星のフラメンコ輝彦)、見廻組・伊庭八郎(コンドーです正臣。アレ、伊庭八郎って見廻組でしたっけ?)、そして薩摩藩・中村“人斬り”半次郎のちに桐野利秋(緒方拳、言えばエーっと何だろう)。これだけのメンツ集めりゃそりゃ4人のキャラも立ちまくり、お陰で結構、暑苦しいんですけどね。高橋英樹のいちいち堂に入った剣の構えと苦み走った表情。人体の不思議展もビックリの、人間カラ竹割り真っ二つ切断がスゴい。豪快さそのものとも言うべき半次郎を演じ切った緒方拳もスゴい。西郷輝彦だって近藤正臣だって、そこそこスゴいです(笑)。ただ、ようやく邂逅し意気投合した4人の姿を、その後うまく収束させることなく、何だか時代だけが過ぎて行ってしまうような展開が、どうも物足りません、うまくまとまらず、そこが大作の風格と言えば……しつこいっての。少なくとも、大げさなタイトルといい(何が狼で何が落日なのやら)、さらに大げさな○○篇というサブタイトルといい、内容に全く即してないしなあ。魅力的な題材が、魅力的に撮られてはいるんだけど、こう仕上がるハズではなかった、みたいな感じで、アンバランスな面があまりにも多い、不思議な作品でありました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-07-28 10:38:12)

65.  黄金(1948) 冒頭のシチュエーションの、まあ何とも不景気なこと。実に素晴らしい不景気描写……と感心してる場合じゃなくて、何しろ不景気、観てて実に気が滅入る描写です。そこから我々は主人公と一緒に、職を見つけては喜び、それが詐欺だと知って憤慨し、詐欺師を見つけてトッチメようとしたコイツが意外に強くてハラハラし、でも見事やっつけて溜飲を下げる。そして、何か人生を達観したような金掘り爺さんとの出会い、ああこのヒト本物だよプロだよこの爺さんについていきゃ間違いないよ。と、観てるこちらまでテンションが上がり、ついでに健気なクジ売り少年にも心打たれたりして、この辺りまでは「健康的」、なんですけれども。それが、いよいよ金の採掘が始まり、金を手に入れだすと、肝心の主人公がおかしくなってくる。欲にかられ、猜疑心にまみれ、まさに「欲望は熱病」、映画の雰囲気自体が熱に浮かされたようなイヤな感じが充満してきます。不景気時代には「同じアメリカ人にお恵みを」とか言ってた主人公が、金の採掘に参加させて欲しいとやってきたアメリカ人を排除し殺害すらしようとする。そこに山賊がやってきて戦闘となり、そのアメリカ人が死ぬと、今度は味方が一人減ったことを嘆く。どこまでも刹那的な言動、まあ観てる我々は金を貰えないので主人公よりは醒めた視点でそれを眺め、さらにその我々よりも達観しているらしい爺さんの存在が、とりあえずは場を収めていくのだけれども、やがて・・・。ってな訳で、金への欲望に主人公がもてあそばれ、その描写と人物設定の上手さに我々がもてあそばれる、見事な語り口の作品です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-07-08 07:50:55)

66.  オールウェイズ この映画に出てくるオードリー・ヘップバーンは、役名こそあれど、限り無く「本人役」に近いニュアンスでの登場(『ベルリン・天使の詩』でのピーター・フォークみたいな感じがする)。そしてまるで、「私はこんなオバチャンになっちゃったのよ」「いつまでもアイドルじゃないのよ」「みんな、もう私の事は忘れてもらっていいのよ」と言ってる気がする。だからと言って忘れられるものじゃないよね、とスピルバーグが言ってる気がする。本作の主人公ピートも、中盤で死んでしまい、やがては忘れられていく存在。ファンタジー映画らしく、幽霊として現実世界に何かと干渉しているようでいて、実際にはこれと言って何もしていない、ただの傍観者。別に傍観したくてしてる訳じゃないけど、傍観せざるを得ない、死者なのだから。一方の生き残った者たちは、彼らは彼らでピートのことをなかなか忘れられない。しかし生者が死者にいつまでも捉われている訳にもいかない。で、最後に死者と生者は一瞬、交錯し、永遠の別れを告げる。しかしその一瞬とは、永遠の一瞬でもある。これは、忘れられていく人々、であると同時に、決して忘れ去られることの無い人々、の物語。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-11-27 00:49:02)(良:3票)

67.  大いなる男たち 69年作品。時代のニューシネマな流れを無視し、「映画はやっぱり西部劇。これが西部劇でございます」的な、殊更にオーソドックスな筋立ての作品。まだ60年代の作品なのに、すでに「昔の映画って、良かったよね」みたいな時代遅れな雰囲気が漂っているのですが、その分、サービスの行き届いた作品にもなっております。南北戦争で戦った者同士が、互いに反発しながらも次第に協力して敵と戦うとか。白人の娘と先住民の青年が恋に落ちるとか。ノリノリの大乱闘があるとか。馬の大群でスペクタクルを演出するとか(味をしめたか『チザム』でも同様の手法を蒸し返す)。この当時の純然たる娯楽作品で、すでにこれだけ“記号化”を行っているというのも、まあ大したものだとは思います(単なる過剰サービスとも言える)。という訳で、「ダイナミックで懐かしくて楽しい作品であれば、それでいいじゃないの」という作品です。最後に2点ほど。・『エアーウルフ』でお馴染みのジャン=マイケル・ヴィンセントが出てます(観てて何だか似てると思ったんだ)。・冒頭のタイトルバックで、人々が列をなして歩いているシーン、思いっきりカメラの影が入っているような気がするのですが・・・。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-08-18 09:08:59)

68.  狼の死刑宣告 息子を殺害したチンピラに父親が復讐したことで、ギャングとの全面抗争になってしまうというオハナシ。良識あるブルジョア家庭の親父を演じるのは曲者ケビン・ベーコン。と言う訳で、もともとあんまり良識があるようには見えないのです。後半の暴走は保証済み。演出の方も、復讐や抗争へと向かうドライビングフォースがいかにも顕著で、映画の中に敷かれた物語のレールが透けて見えており、こうなるともう、息子を失った哀しみ・慟哭、暗黒世界へ足を踏み入れる躊躇・逡巡、そういったものはあまり感じられなくなります。ラストで主人公はトラヴィス化してしまうに至っては、「ホラ言わんこっちゃない」と言いたくなっちゃう。じゃあ何よ、ケビン・ベーコンならダメで、“ぶろんそん”なら良いのかよ、と言われれば、まあ、残念ながらそうなんでしょう(笑)。しかし、「今さらこんな映画作っちゃって」というツブヤキの影には、「待ってました!」という嬉しさプラス懐かしさがあるのもまた事実。中盤の、街で突然ギャングに襲われるシーンがいいですね。街中だったのに、路地裏に逃げ込むと途端に周囲の光景がスラム化する怖さ(ホントにこういう地理なのかは不明)。立体駐車場での長廻しのオモシロさ(手持ちカメラがクレーンに乗ってまた手持ちに)。クライマックスの銃撃戦もなかなか見事でした。[DVD(字幕)] 7点(2011-05-06 23:41:48)(良:1票)

69.  オーシャン・オブ・ファイヤー まるでどういう映画か知らずに観たのですが---というより、例の(ちょっとチープな)砂嵐のシーンからの連想で、ハムラプトラみたいな映画かと思ってたら、実在した人物の物語ということでアララと思いつつ観てたのですが---いや参りました、シビレました。これは監督さんの名前をチェックしておかなければ、とエンドクレジットを凝視していたら・・・何と“ジョー・ジョンストン”、これにはのけぞりました、ハイ。まず、アメリカのカウボーイがアラビアの砂漠横断レースに挑む!、ってのが、もうこれだけでワクワクしますね。疾走する馬に並走する低めのカメラは、背景の空と大地をもしっかりと捉え、気分はノリノリ。途中、妙な陰謀劇なども絡んでくるあたりはサービスし過ぎ?かも知れませんが、この辺りは御愛嬌。映画の最初の方で描かれる先住民への弾圧、これは主人公がこのレースに参加するキッカケでもあるのだけど、それだけじゃなく、「そういったアメリカの歴史、一切合財を背負って、アメリカ代表として走ってるねん」みたいな感じがあって(合理主義と神秘主義の重なり合い)、なんかイイなあ、と。で、ラストのデッドヒートは、ちゃんと映画冒頭シーンへと回帰していくあたりも心憎い。この作品、観て本当によかったと思いました。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-04-11 23:01:34)(良:1票)

70.  OK牧場の決斗 後半1時間でようやく本題に入るような感じで、映画前半は必要なのか(いや必要だろうけど、も少し工夫がないものか)と思わんでもないけど、後半、特に最後の30分くらいの盛り上がりは相当なもの・・・と初めて観た時から思ってた訳じゃないのでワタシも偉そうなことは言えない。観るたびにだんだん興奮が増していくような。クライマックスの銃撃戦は、緩急をつけることで見事な緊迫感を演出。カッチョ良過ぎ。それにしてもデニス・ホッパー、さすがの彼も、若い頃はこんなにサワヤカだったのだ。リー・バン・クリーフはあんまし変わらんが。バート・ランカスターも例によって、角ばってる。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-01 21:35:33)

71.  オレだって侵略者だぜ!! アノ噂の(あまり噂にもなってないけど、一応、噂の)ドン・ドーラー作品が、『ギャラクシー・インベーダー』という、いかにもモットモらしいタイトル(原題)でDVD化されたのが、レンタル屋にこっそり置かれていたので、観させていただきましたが。いやあ、元のビデオタイトル『オレだって侵略者だぜ!!』の方が、内容にマッチしてますね。当の侵略者たる宇宙人、顔はいわゆるグレイ型宇宙人をドクロ風にアレンジした感じでワルそうだけど、首から下の姿は、“昭和ゴジラから尻尾を取っただけ”という感じ、モコモコして結構カワユイ。その色あいから“グリーンマン”などとも呼ばれるけど、正直、映像の状態が劣悪で、緑色なのかどうかもイマイチ不鮮明。で、登場していきなり家屋に侵入、夫婦を惨殺するという凶悪ぶり・・・だったハズなのに、その後の展開、主な悪役の座は“横暴オヤジ”に譲ってしまい、宇宙人の立場は単なる脇役、いや悪くすると、横暴オヤジの被害者と言えなくもなく。いとも簡単に捕獲されてしまうシーンでは、すみません、大爆笑してしまいました。しまいにゃこの宇宙人、登場人物たちから“きっと理解しあえるよ”的な親近感すら抱かれてしまうんだから、もう趣旨不明、一体冒頭の夫婦は何のために殺されたのやら。そりゃ「俺だって一応、侵略者なんだよっ」とも言いたくなりますわな。でまあ、さらに、UFOをたまたま目撃した若者と彼の元恩師が、宇宙人の行方を追って物語に絡んでくるのがミソと言えばミソなんですが、しっかし、物語の途中で日付も変わってるというのに、この2人、家にも帰らないで宇宙人を求めてさまよい続けているんですねえ(適当な脚本だ)。捜索の開始はずいぶんゆっくりしてたくせに。ってな訳で、約80分間のデタラメワールドに浸ることで、「アレ、映画って、正しく撮るにはどうしたらいいんだっけか」という不安感に導いてくれる貴重な作品であります。[DVD(字幕)] 1点(2011-01-06 23:27:28)(良:1票)

72.  男たちの大和 YAMATO 派手で残酷な戦闘シーンといい、いかにも「わかりやすい」テーマ音楽といい、「どうやったらハリウッド大作っぽく見えるか」みたいなバイアスが感じられる面があるのですが、だからと言って、決してそれだけにはとどまらない作品になっていると思います。確かに、人物描写にはやや類型的なところがあるかも知れないけれど、それは決して、単に「この辺で喧嘩の場面を入れておこう」「多少は恋愛なども織り交ぜてみよう」みたいな適当なものでは無くって、この大和を中心とした物語を、ひとつの神話へと導くことに成功していると思います。・・・しかしそれに比べると、「現代」のパートが、イマイチよくわかりませんなあ。鈴木京香はいつ、何歳で養子になり、そしていったい今何歳なのか? 仲代が発作で一度死にかけて見せるのもなんだか蛇足(しかも鈴木京香にサービスされてビンビンになって生き返るというのは、どうも、なあ)。ですが、その辺りは目くじら立てないことにして。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-09-28 22:53:47)

73.  オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック 片やテロリストに大使館が占拠され、片や飛行機がハイジャックされ、という、一粒で2度おいしい映画、と行きたいところですが、うーんコレ、どうなんでしょうね。いや、ハイジャックされた飛行機が、タイヤから煙を上げながら走るシーンなんか、すごくカッチョよいし、対テロの様々な作戦行動の描かれ方も、派手さは無いけどなかなか鋭い、とは思うのですが・・・全体的に若干、ヌルくないですかね。しかもそのヌルさが、こんなヌルいオチの布石だったのでは、ちょっと・・・。とは言え、なかなか楽しめましたです、はい。[DVD(字幕)] 7点(2010-09-02 22:25:24)

74.  桜桃の味 《ネタバレ》 クルマを運転しつづけるオッチャン。オッチャンは死ぬことを、自殺することを、考えている。で、出会う人に自殺の手助けを頼む。しかしオッチャン、一人で勝手に死ねばいいでしょう、一人で死ぬ方法なんていくらでもあるでしょう。見知らぬ人から自殺幇助を頼まれて簡単に引き受ける人なんて、そうそういないでしょう。と言う訳で、なかなか「自殺」の手助けを引き受けてくれる人には巡り合わない。オッチャンは何故死のうとしているのか、それはわからない、ただ、生への別れを告げるにあたって、誰か見知らぬ人に自殺幇助を頼む、それが、オッチャンの生に対する最後の繋がりであって、見知らぬ人との会話を通じ、その見知らぬ名もなき人たちの人生が浮かび上がる。会話は淡々と続き、車窓には荒涼とした風景が淡々と流れ、クルマは淡々と荒れ地を走り続ける。そしてついに、オッチャンは、協力者を得て、命を絶つ・・・絶った、らしい。この映画のラストは、どう解釈すればよいのか。荒涼としていた風景には緑が芽生え、撮影隊が映画の撮影を行っており、あのオッチャンもそこにいる。あくまでこれは映画なんです、という“メタ”なのか。あるいはこのシーンは、オッチャンが生き返って、心機一転、映画俳優としてデビューしたという後日談なのか(そんなアホな)。監督の意図ははっきりとはわからないし、このラストだけが本作の真価でもないはず。ただ、このラストが何となく「面白い」と感じたのは、映画本編が「自殺の手助けを見知らぬ人に頼むがなかなか引き受けてもらえない」という孤独な物語であったのに対し、このラストのオマケは「こういう孤独な内容の映画でも、こうやって大勢のエキストラを動員し、大勢の協力があって作られてるんですよ」と言っているようで、その対比が印象的だったから・・・。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-08-23 22:35:26)(良:1票)

75.  オリエント急行殺人事件(1974) 原作については、誰でも(?)読んでる有名な推理小説だし、作品の背景となっている実際の誘拐事件についても、どこにでも書いているので、改めてここに書く必要もないでしょうけど。原作小説における、この誘拐事件の位置づけは、事件に対する憤りなのか、単にトリックにケチをつけられないためのエクスキューズなのか、それはともかく、作品にいくぶんサワヤカな印象を与えているのは事実だと思いますが・・・いやあ、こうして映像化してみると、サワヤカどころか、変態的・猟奇的ですね(笑)。それにしても、「雪で立ち往生した列車内」という限られた舞台に、有名俳優をぎっしり押し込んで(外は寒そうだけど中は暑苦しい?)、ゴージャスな映画になってます。カメラも腕の見せ所、尋問のために次々に現れるスターどもをバッサバッサと料理する。当然、「そのうちの一人は、尋問すべてをワンショットで撮ってやろう」なんぞという発想にもなる訳ですが、一体どの俳優がその餌食となるのか。うーむ、イングリッド・バーグマンと来ましたか。そして、その一人ひとりの尋問の後、恒例の、“容疑者集めて犯人指摘”となる訳ですが、これがまた、スターそろい踏み、映像にするとなかなかに見栄えがするものでして、結構盛り上がるのでした。あとこの映画、リチャード・ロドニー・ベネットの音楽が良くって、変に構えたようなメインテーマのワルツとは対照的に、緊張感のある音楽で映画をビシッとシメています。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-10 06:44:24)(良:1票)

76.  王になろうとした男 《ネタバレ》 なかなかにブッ飛んだお話でして、二人の野心家(あるいは夢想家、あるいは誇大妄想狂)が、艱難辛苦の末にインドの山奥に行って、王様になっちゃおうとする物語。冒頭の列車のくだりなどからすると、詐欺師同然の連中には違いないのですが、あっけらかんとしていて憎めない存在。その二人が、持ち前の大胆さ、無謀さ、そして運命の歯車によって、あれよあれよという間に支配者の地位に登りつめちゃう。マイケル・ケインの方はまだ小悪党の顔を残しているけれど、ショーン・コネリーの方は、自分の妄想に自分が飲みこまれてしまい、王どころか神を目指してしまう。しかし物事そううまくは行かない、正体がばれ、追われる身に。そして、あっという間に登りつめた地位から、吊り橋から谷底へ、まさにあっという間に転落していく。運命の怖さ、ですね。登りつめた後に転落した者のなれの果て、という物語ではあり、悲惨な物語でもあるのですけれど、それでいてどこかカラッとした陽気さがあり、楽しい映画になっているところが、本作の奇妙な魅力と言えるでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-14 17:17:37)

77.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 まだ全シリーズ観てないけれど、今の所一番好きなのが本作。色々な形で過去と現在がクロスする切なさと、未来は決して現在にクロスすることはない、生きることの不安。リリー松岡の再登板によって、これらがうまく描かれていると思います。さて、まず冒頭の寅さんの夢、チープ過ぎる海賊ぶりに苦笑。目が覚めると寅さんは映画館の中。出る時に、モギリのおばちゃんに(眠ってて映画観てないくせに)「面白かったよ、有難う」と声をかける。コレですよコレ! モギリのおばちゃんが映画作った訳じゃなし、それでもこの一言。笑いと感動と反省を呼び起こす場面であります。で本編。離婚したリリー松岡がとらやを訪れる、この場面からすでに、過去と現在が交わり始めます。一方寅さんは旅先にて家出オヤジ(ポリデント船越)との珍道中の真っ最中。しかしものすごーい偶然により、ラーメン屋にてリリーと寅さんは再会できちゃう。これぞ過去と現在を結びつける“運命”の力なり。舞台は二人の思い出の地、北海道。海辺で戯れる場面の3人の童心。初恋の人に会おうと決心する船越。これらすべて、過去と現在との交錯。で彼はこれで目が覚め、無事更生。寅さんとリリーはとらやに戻り今度こそいい感じ。ここで、例のメロン騒動が勃発する訳ですが。寅さんの分を切り分けるのを忘れるという失態から大ゲンカ。この場面もまた、寅さんという子供vs周りの理不尽な大人、という構図で、私にとっての過去である「子供の頃の気持ち」をチクリと刺激します。寅さんにとっては「気持ち」の問題であり、自分のことを構ってくれなかった事へ抗議しているのに、周りのオトナどもはこれを理解せず、あくまでメロンという物質的なレベルでしか捉えない。とらやの面々にわたしゃ怒りを感じたよ(とムキになってしまう自分の子供心に、苦笑もする)。ここでリリーだけが、「気持ち」の面から寅さんを咎めているんですね。で、寅さん出て行っちゃうけど、“相合傘”によって仲直り。大のオトナが相合傘でドギマギする、やっぱり中身は子供。この後、二人はもう一歩で結婚か、という事になるも、見事なまでのすれ違いで、あえなく撃沈。我々の過去も、こういうどうしようもない忸怩たる思いと湿った後悔で、死屍累々、ですわな。観ててタマラン気持ちになります。あの時ああしていれば…。シリーズのどれか一本は満点としたかったので、本作を10点とさせていただきます。[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-08-16 15:54:38)(良:2票)

78.  大阪物語(1957) めくるめく展開する、ドケチ・ワールド。その名も『大阪物語』。あの世界に名だたる『東京物語』に対して、こちらは『大阪物語』ってんだから、頼りないというか何というか(例えば、“東京ディスニーランド”と聞けば何だかゴージャスな感じがするけど、“大阪ディスニーランド”と聞けば、途端にチープな匂いがプンプンするでしょ)。そんでもって、『東京物語』の監督が、あの世界のオヅであるなら---本当に『東京物語』が小津監督のベストワークと言って、いいのかねえ、とは思いつつも---こちら『大阪物語』は何と、世界のミゾグチだぜ、という訳ではなくて、何とその代役だぜ、とほほほ。こうも頼りない条件が重なると、天下の市川雷蔵サマまでが、何となく「よく見りゃ似てなくもない“自称・そっくりさん”」ってな感じの、ニセモノに見えてきちゃう。ま、それはともかく、本作の魅力は何といっても、目を三角に釣りあげて、これでもかとドケチぶりを発揮する中村鴈治郎。いや、私も大阪で生まれ育った身、彼の言動の7割くらいは特に違和感を感じないけど(えー!)、さすがにここまで徹底されると、呆れ返り、舌を巻き、もはや痛快と言えるほど。ストーリーもキャラ設定も明快で(勝シンのヌルヌル感がこれまたスゴイ)、観てる間は何とも楽しい映画なのですが・・・ちょっと余韻に乏しいかな、という気も。「映画って、こんな表現ができるのかー」みたいな感動が、あまり感じられず、やや一本調子、セリフもやや過剰か。これなら、映画として観るよりも、名人芸の落語で味わってみたい内容だなー。そんな訳で、やっぱり何だか頼りない映画なんだけど、うん、だからこその“大阪”、なんだと思う。永遠の二流感。私はそこに、愛着を感じるよ。[地上波(邦画)] 7点(2009-07-15 23:04:03)

79.  男たちの挽歌II おかしーなー、とてもツマラン映画だという印象を持ってたんだけど、なぜだろう、オモロイやんか。以前に観たときに比べると、私も、人間に幅が出来てきたのか、あるいは節操が無くなってきたのか。さて本作ですが、前作のラストで銃弾の雨を浴びたマークが、実はその衝撃でニューヨークの中華料理屋へワープしてしまったという設定(「違う」という人がいるかも知れない。製作者すらも「違う」というかも知れない。でも事実である)。だもんで今回もまた、前作の3人が揃い踏み。しかし物語は、前作のあのモーレツなまでの無邪気さは影を潜め(そりゃそうだなあ。前作みたいなのをもう一本見せられたら、さすがの私も怒っちゃう)、もー少しだけ複雑なオハナシで、ホー&キット兄弟の物語、中華屋ケンちゃんの物語、そしてルンの物語が、交錯する・・・と言っても、あんまし噛み合っておらず、しっくりこない。前作のヒットを受けての「やっつけ仕事」みたいな感じで、やっぱり十分に練られてないよなー、と。しかしその影には、「嫌がるモノを無理やり食わせる」という、一貫した隠れテーマが(どんなテーマだよ)。そしてラストの銃撃戦。最初に観たときには、むしろ滑稽に見えてしまって、「とりあえずスローモーション使えばいいってもんじゃないだろー」と思ってしまったんだけど、いや実は、コレ、スゴいんだ。スプラッター映画です。ゾンビ映画です。何でもアリ、です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-10 09:21:34)

80.  男たちの挽歌 初めて観たのは高校の時に深夜放送を録画したやつだっけ。そりゃびっくりしたもんですよ。ほとんどあきれ返る位、見事に、ツボにハマる映画というか、ツボにハメ込んだ映画というか。まー、はっきり言って不自然なくらいにオモシロい映画な訳です。当時の、今以上に曇った眼で観ても、その不自然さが際立ってた訳です。とにかく身近にいた姉に「すげーすげー」と報告したら、基本的に私とは価値観を殆ど共有しない姉も、コレを観てやっぱり同じようにのけぞっている訳です。とにかく凄いインパクト、だった訳です。ホー役のティ・ロン、名前を知らなかったもんで、その涼しげな髪型から勝手に「主人公の志村けんが・・・」と、姉とはそれで話が通じたもんです(あれから時が流れ、本物の志村けんの頭はさらに著しく後退したが、考えようによっては、時間が経った割に後退が遅い気もして、いささかアノ頭には疑惑を感じないでもない。でも、そこまで無理に何にでも疑惑を感じる必要もないだろう。って、どうでもいいっての)。一方のチョウ・ユンファ、当時、雑誌に載ってる写真でしか見たことなかったので、「このヒト、どこがカッコいいんだよ」とか思ってたんだけど、初めて映画で“動くユンファ”を見て、「・・・めっちゃカッコええ」とシビれた思い出も(今の目で見ると、こちらは「劇団ひとり」に似てる気もしますナ)。本作、改めて観ると、こりゃかなり低予算なんだろうなーと。カメラに詳しい方がいたら教えていただきたいのですが、どうしてカメラが切り替わるたびに動きがおかしくなるんでしょうか。クオリティが文句無しに高い映画とは到底言えないのかも知れませんけど、当時の香港娯楽映画界のかなりキツイ枠内で、これだけのコトをやり遂げたというのは、やっぱり凄い。「要するにオモシロけりゃいいんだろ」と、まるで嫌がらせのようにオモシロくしたストーリーだけではなく、ジョン・ウーの“飛翔願望(?)”が表れたアクションシーン、鮮烈な銃撃戦、それがまさに本作の魅力ですね。印象的なスローモーション。ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの代表作に『ブラジル風バッハ』ってのがあるけど、本作はさしずめ『中華風ペキンパー』ってところか(←何だか美味しそうな名前・・・)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-05-05 18:45:18)

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