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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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21.  バーニング・オーシャン 《ネタバレ》  実話ベースなゆえに八方美人的なパニック映画。あちこちバランス良く描こうとした事が、散漫でそこそこな印象の作品に繋がっちゃった、みたいな。  10歳の子供の作文や、よく振ったコーラの缶によって石油採掘施設の仕組について判りやすく説明してゆく冒頭部分は良かったと思います。  ところが、いざ事故が起こりますよ、って段になると、結局判りづらいものになってしまって。泥水と石油の関係、コンクリートテストの、そのコンクリートがどこにどう作用しているのか、圧力が設備にどうかかってゆくのか、どういう状況、過程によって最悪の事故に至ってゆくのか、そこはあまりよく判らないっていう。この映画、実は説明下手じゃね?みたいな。  差し挟まれるドラマも中途半端。主人公の奥さんや、紅一点の彼氏の存在、ラストの家族を失った人達の描写、会社の責任、それらをハッキリ描きたいのか描きたくないのか、どっちなのさ!って状態。  火災のシーンこそは圧倒的な迫力をもって描かれますが、その中でのドラマなんてのはもはやダイジェスト。何しろ状況が状況なだけに、そしてそれ以上に事実であるがゆえに、ガチャガチャとした映像の羅列状態。その上なんだか呑気に思えてしまう部分(メイン2人が事故に気付くの遅すぎじゃね?)が映画のテンションをヘンに歪めてたりして。  で、迫力ある事故シーン、なんて言ってると最後にエンドロールで実際の犠牲者の方々の生前の姿が描かれて、そういう不謹慎な事思っちゃいけませんよ、みたいに釘刺されて、一体どう見りゃいいのさ、って。  切り捨てるべきところ、もっとじっくり描くべきところ、それをもっとハッキリさせるべきだったんじゃないかと思います。  冒頭が映像の無い証言音声で、だけれどもその音声が本編の流れに対してあまり有効になっておらず、『ハドソン川の奇跡』がいかに上手い映画だったかを思い知らせてくれるような映画ではありました。[映画館(字幕)] 5点(2017-05-03 20:55:44)《改行有》

22.  ハードコア(2015) 《ネタバレ》  見ている間はとても楽しめたのですが、終わると何も残らないというか、映画の印象まで薄ぼやけてしまって、それはそれで問題だなぁ、と。  映像的には『COD:MW』シリーズやら『HALO』シリーズやら、つまりFPSゲームでお馴染みの世界ですから何か斬新な事をしているという訳ではなく、でもそれが映画というカタチになったらそれはそれで面白いという感じ。ヘンに映像を連続させ過ぎずに適当に刈り込んでいますから、テンポ良くダレ場もありません。  でも、一人称映像であるというのは結局そこに自己を投影できてナンボという事になる訳で、自分でプレイして進行させるゲームとは違い、そこには印象的な画というのが必要になってくると思うのです。でもせっかく美しいヒロインが存在していても、それがさっさと流れていっちゃう、ちゃんと印象付けるところまで行かないのが残念。ラストにああいうカタチになるとはいえ、でもあくまで最後までヒロインを輝かせておく必要とかあったんじゃないかなぁ。あんな風に絶ち切っちゃったら、なんつーかマンガっぽい。ありがち過ぎな物語ですし。  それは手を変え品を変えのアクションシークエンスにしても同様。あくまでゲーム的なそれら(前に挙げたFPSタイトルはただ銃を撃つだけの単純な絵作りから脱却してます)の映像は見ている時は楽しいけれど、でもその時だけの画でしかなくて、革新的な、脳に強烈なイメージを残してくれるようなものではなくて。  主人公の像が(ほぼ)存在しないというのはつまり主人公はカメラマンの役割であって、そのカメラに映る世界の描写こそがキモになってゆくのは当然、そこが弱い映画だったなぁ、と。終わってみればシャールト・コプリーのコスプレばっかり記憶に残る映画っていう。  ちなみにHMDで3D対応のFPSをプレイしたら一発で酔いましたが、この映画は視界いっぱいに見てナンボと最前列で見たものの、別に酔いませんでした。[映画館(字幕)] 6点(2017-04-12 23:14:36)《改行有》

23.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》  主人公って殺人ストーカー男な訳じゃないですか。殺してないけど殺したも同然なわけで。それでこれをラブストーリーとして成立させる、っていうのに無理があるなぁ、と。ヒロインが真実を知って以降は殺るか殺られるかの密室サスペンスになった方がよっぽど自然な流れだったんじゃね?なんて思いながら見てました。  結局、主人公にとって都合のいい事故と都合のいい展開と都合のいい「ヒロインの友人の言葉」(理想を追い過ぎると云々って、主人公の行動を擁護するために存在するようなセリフな訳で)で、なんとなくいい話として収束してゆきますが、そこに贖罪が存在していないのがねぇ(せめて排熱口の手動ドアのところで贖罪のセリフでも吐いていればまだ少しはマシだったのですが)。  ツッコミどころは色々。危機的状況に対する対策が成されていなさ過ぎなシステムとか、移住先は少なくとも舞台となる年より180年以上前に探査に出発して、60年前には発見され移住可能である事が確定されている筈(30年地点で地球に送信、その後返信を受けるのに55年かかるという事はその通信の往復に30+30+55=115年距離で55年なので、植民星の120年地点では一方通行な通信で60年、送信されてきた現地のデータを信用してそれ以上の交信は無しというデンジャラスな状況だとして)、だけれども、そんな遠くに探査機を飛ばせる未来から更に180年、とても西暦2300年や2400年なんて未来の話には見えないとか。  でもまあ、そういう状況に陥ったら自分ならどう生きるんだろう、って考えるようなスキは腐るほど与えてくれますし、5200余人の4か月分の食糧を2人が50年程度食い漁りまくったとしたら、不足分の問題がどれだけ生じるかを暗算したりできる程度のヌルさもありますし(食べちゃうのはせいぜい6%程度なので、一日のご飯6%減で4か月過ごしても大した問題ではないですね。でも朝食マシンが故障してたんで朝ごはん抜きになっちゃったかも)。  それにSFデザイン関係は色々と面白く見られたので退屈はしませんでした。ハードなSFを期待してしまうと、思いきり肩透かしを食らう事になっちゃいますが。  主人公達のラブロマンス部分はデート目的で見にくる方々にお任せするとして、そのツッコミどころに色々と頭を使うという点では面白い映画だったのかもしれません。  それにしても肉っぽいカップルでしたなあ。[映画館(字幕)] 5点(2017-03-26 21:53:52)(笑:1票) 《改行有》

24.  ハルチカ 《ネタバレ》  原作はミステリーなようですが、映画にはミステリー要素はほぼ無く「廃部寸前の吹奏楽部をメンバー集めて立て直し、コンクール出場を目指す物語」って事で、まーよくあるタイプのモノになってます。吹奏楽を題材にした邦画だけでも『スウィングガールズ』『ブラブラバンバン』『青空エール』『響け!ユーフォニアム』とある訳ですしねぇ(オーケストラまで幅を広げると更にいっぱい)。  でも、そんなよくある物語も面白い演出で楽しめるものになっています。「期日までに部員9人集めないと廃部」という時間制限モノな前半、人数のカウントを字幕で示して、9人目の達成と共にそのカウントの意外な展開で盛り上げたり、静寂を語るシーンでは実際に無音にして観客にも静寂を求めたり(渋谷のシネコンは客席の半分ほどの入りで、ほぼ若いお嬢様で占められていましたが、場内に響くのは空調の音だけで)。  後半のヒロインが抜けてから19人で演じられる長回しのヒリヒリした感じも、ラストのファンタジーも見応えがあって。  群像劇になると共に、ヒロインの苦悩がよくあり過ぎる以上にヒロインの生気をも奪ってしまうのが残念でしたが。引きの画が多くなって情感に訴えかけますよ、って状態になるのですが、いや、もっとヒロインの顔を見せてよ、っていう。  でもまあ、何より橋本環奈なんですよね。橋本環奈って個性?逸材?を採用した時点で約束された世界があったような、この映画の世界は彼女という唯一の真理によって成立しているようなモンで。いや、他の生徒達も良かったんですけどさ、なんていうか、一人だけ違うステージに存在していて。素早い鉄拳とキックを繰り出す(本来はそういう映画じゃないのですが)彼女の姿に、何かが降臨した瞬間を見たのでした。[映画館(邦画)] 8点(2017-03-08 20:57:36)《改行有》

25.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》  2回の墜落イメージは貿易センタービルにぶつかった2機を表しているのでしょう。9.11を背負った映画である事に間違いはありません。ニューヨークの深い傷。これは新たな傷をつけないように努力した人々の物語。  余計なアクセントを差し込まない、事故のリアルで生々しい描写は、その結末が判っていても恐ろしい臨場感を持って迫ってきます。その短い間の、震え上がるような恐怖と、そこに居合わせた人々の生。それぞれがそれぞれの役割を果たす事で成し遂げられた奇跡。  クライマックスのシミュレーターこそは逆にその奇跡の後押しをする事になる、コンピューターには人的要因は理解できない、のだけれどコンピューターが人の価値を立証してみせた訳です。さんざん最新のVFXによる墜落映像を見せておきながら、肝心のクライマックスではシミュレーターのショボいCG画面が主役になるという構図が面白く。イーストウッド主演の『人生の特等席』では前時代的なコンピューターVS人間の図式を単細胞的に描いていてゲンナリしたものですが、イーストウッド本人は必ずしもソレを頭ごなしに否定せず面白く使いこなしている感じがします。  トム・ハンクスが良いです。昔からのオーバーアクト(いまだに『ビッグ』での少年が大人になってしまったパニック演技がチラついてしまうっていう)が抑えられる事で、プロとして事に冷静に対処する強さと、9.11を自らが再現してしまいかねなかった恐怖に苛まされる弱さと、英雄として持て囃される事に対する戸惑いとを1つのモノにしていて。機内に残された乗客がいない事を確認する姿は、決して英雄的ではなく、必要な仕事をこなしてゆく男の姿でした。  余分な贅肉のない、簡潔にして濃密な96分、齢86にしてイーストウッドはなお軽妙洒脱に映画を駆けてます。[映画館(字幕)] 9点(2016-09-26 22:20:44)(良:1票) 《改行有》

26.  バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生 《ネタバレ》  画面が暗くて見辛い毎度のザック・スナイダー。いや、一応明るいIMAXで見たんですけどさ。  何がいかんって、スーパーマンとバットマンって言ったら光と影、陽と陰の戦いだと思うじゃないですか。ところがこの映画ではどっちも陰気くさいの。スーパーマンが暗くっちゃ対比になりゃしない。っていうか、このスーパーマンって腹に一物ありそうな、悪巧みしてそうな顔しててイヤンな感じ。  一方でベン・アフレックのブルース・ウェインは人生に疲れたような雰囲気が醸し出されて、いい感じでした。  で、両者ウダウダしてるわけですよ、延々と。正義とは、悪とは、って。長い上映時間のかなりの部分がウダウダに費やされて華が無さ過ぎ!(スナイダーじゃ仕方ない)って状態が続いた上で、やっとキター!っていうのがワンダーウーマン登場シーンね。だけどそこまでワンダーウーマンはドラマが存在しないですし(ただその存在が仄めかされてゆくだけで)、その成り立ちと能力についての説明が一切なくいきなりババーン!って状態のドーピングキャラ。私はリンダ・カーターのワンダーウーマンが大好きだったからこそ、燃えられたのですが、ワンダーウーマン自体知らない人が突然出てくるコレ見てどう思うのやら。  そのワンダーウーマンもあまり活かされる事なく、またバットマンも大した活躍もできず、結局また『マン・オブ・スティール』同様クリプトン野郎どもの自己完結ワールドになっちまいましたとさ。っていうかレックス・ルーサーが何やりたかったのか意味不明。  今作は『マン・オブ・スティール』の欠点をそのまま引き継いだ感じで、エピソードの繋がりが悪くて音痴な状態でキャラクターの意味不明な行動も多く、誰にも感情移入できず、またご都合主義的な展開もお馴染み。エイミー・アダムスが槍捨ててまた拾いに行って溺れるのってなんなん? それがクリプトナイトで出来てるって知ってた? 一見して理解できた? クリプトナイトがスーパーマンの弱点だって知ってたっけ?  これだけメジャーな二人の映画なのにスナイダー映画のファン向けなマニアックなシロモノになっちゃっておりますね。  っていうか、いい加減、核兵器をただのでっかい爆弾として映画の中で安易に爆発させるの、やめない?[映画館(字幕)] 5点(2016-04-04 21:25:19)《改行有》

27.  バケモノの子 《ネタバレ》  つまんなかったです。  何が問題かって、全部セリフで説明しちゃうの。キャラの状況や背景はおろか、その時の心情や象徴される事柄やメッセージ、テーマまでも。物語まるごとセリフで構成されている状態で、そこに描かれたものが世界の全て、だから当然ながらそこからは情感、情緒が抜け落ち、こちらは頭や心を全く刺激されないんですよね。  一から十までこと細かに説明しなくちゃならないと思ってる、作る側が観客を一切信用してないの。  一方で構成は明らかに不自然で、九太が大きくなってからの取って付けたような唐突な展開は何か途中で色々面倒臭くなったんか?みたいに思えるような雑さ加減。楓との出会いから人間としての意識を広げてゆく部分でのやっつけ仕事っぷりは、急速に映画の温度を低下させてゆくような印象。そこで慌てて色々な伏線を登場させたようにも思えて、その前との繋がりが希薄になっています。  で、せめてじゃあビジュアルで面白がらせて欲しい、刺激して欲しいところなのですが、大して動くわけでもなく(モブはCGでゆーらゆーら動かしてる状態ですし)、目を見張るような斬新な、或いは奇想天外な世界が広がっているわけでもなく。  この監督の作品に共通している、影を付けずにその分動かすっていうの、元々『未来少年コナン』の昔に宮崎駿監督が言ってた事なわけで、時代も違うし、テレビと劇場用映画っていうフォーマットも違うし、杉野昭夫作品のように3段影付で華麗にアニメートさせてみせる世界だってあるわけだし、っていうかならばもっと動かしてみせてよ、っていう。  『サマーウォーズ』以降、アニメーション表現が定型フォーマット化してきていて、その傾向は改善されるどころか、どんどん強まっている気がします。形骸化した国産アニメの姿を見せられているようで見ていてつらいんですよね。宮崎駿監督はどんなに作品重ねたって、作品的な出来不出来は別としても刺激的な絵を作り出してきた、それに比べるとなんか小さいところでまとめちゃってるよなぁ、と。  今、日本の観客に求められているものはこのくらいの塩梅のもの、という作られ方をしているような気がして、ちょっといたたまれない気持ちになってしまうのでした。[映画館(邦画)] 3点(2015-07-24 21:27:17)(良:2票) 《改行有》

28.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》  入院して顔の包帯がマスク状態になったリーガンはまるでバードマンのようであり、また、隣りの劇場で上演していた『オペラ座の怪人』のようでもあり。  非常に演劇的な流れを非常に映画的なテクニックで描いた快作。シームレスでどんどんと展開してゆく、まるでナマを捉えたような世界は演劇のようですが、一方でそれを描くのはカメラが自在に被写体を捉えてゆく映画ならではの世界。  つまり、ここに登場する人々はことごとく舞台と映画とで線引きをしたがっているのですが、実際には舞台も映画もそんなに差のあるものではなく、一つのフィールド上に置く事だってできるのですよ、と。そう、この映画そのものがそれを立証するかのように。  そして、現実すらもまた、舞台や映画とどこがどれだけ違うのか?と。  演じる事、生きる事、生なのか、加工されたものなのか、それに優劣を付けようとする、価値の差を見出そうとする、それがそんなに大事か?って。  なので私にはこれが「バードマンで何故悪い?」という話に映ったので、大変に気持ちの良い映画でした。商業主義に対して批判的なように見えつつ、むしろ逆にアメコミ万歳!みたいに感じられて。  飛び出す数々のネタや笑いも含めて、難しい事を考えるよりも単純に楽しんでこそ吉な映画だと思いました。  それにしても相変わらずエマ・ストーン、キレイ。[映画館(字幕)] 8点(2015-04-14 23:58:15)(良:2票) 《改行有》

29.  花とアリス殺人事件 《ネタバレ》  アリスと花がそこにいる、そこに生きてます。  走って、笑って、踊って、泣いて。  彼女達の時間は無駄だらけ。目的はあっても遠回り、脇道に逸れて、後戻りして、結局は自分達の力でなんとかなった訳でもなくて。それでも、大切でかけがえのないその時間。  その「無駄」を拾ってゆくのがロトスコープによるアニメーション。仕草、動作に生まれる「無駄な動き」は記号化、様式化を拒絶してキャラクターに命を与えます。  もちろん、蒼井優、鈴木杏の「声の存在感」も重要で。これもまたアニメ的記号化、様式化された声優的表現とは全く別の在り方。  アニメーションになる事で『花とアリス』のガチャガチャした印象に比べるとかなりすっきり純化されています。大勢のカメオ出演によってお祭り映画と化していた前作の賑やかさは消え、花とアリスの物語としての純度がぐっと向上して。そして岩井俊二的味わいも幾分スポイルされている気もしますが、私としてはそれは肯定的に捉えてます。  一方で人や場所、エピソードなど『花とアリス』と繋がっている部分はちゃんと存在していて楽しめます。ちょっとアリスも花もキャラが違う感じもしますけど。  真っ白な無から全ての世界を創造してゆくアニメーションは本来、自由なものです。こういう自由なアニメ映画がもっともっと作られていいと思うんです。そして海外の色々なアニメ作品ももっともっと公開されていいと。今の日本のアニメ事情はどうも狭苦しく息苦しくて。[映画館(邦画)] 10点(2015-03-15 23:39:25)《改行有》

30.  バンクーバーの朝日 《ネタバレ》  なんだかボンヤリした印象の映画。何が問題かって、明るい画でアップの多い高畑充希の表情は印象に残るけれど、肝心の主人公を始めとしてチームメンバーの表情がちっとも印象に残らないという。見終わってみて多くがカオナシ状態なんですよ。  引きの画が大半を占めていて(カフェの中で高畑がみんなに語るシーンでチームメンバー全員をシネスコフレームいっぱいに収めているショットなんか、よく撮れてるというよりは作為に過ぎる感じ)、その上暗い画面が多く、ここ一番の表情が存在していない状態。妻夫木聡はリアクションの薄いキャラとして描かれていますから、更に存在が薄く感じられます。  自分を殺して一歩退いたところで生きる事こそが日本人の美徳である、とばかりに受け身な人々の生を一歩退いた視点で描いているような感覚を受けて、あーコレもまた被害者意識の強い過去の日本人映画なんだねぇ、と。それ、昔からなんか少しでも進歩してる?  この監督、『舟を編む』以降、随分とつまんない監督になっちゃった感じがして仕方ないんですけど。優等生的な映画を撮っていたいのかな?  対象から腰が引け過ぎてるんじゃないかなぁ。[映画館(邦画)] 5点(2015-01-04 00:26:07)(良:2票) 《改行有》

31.  薔薇色のブー子 《ネタバレ》  ただのネタ集映画なので、もう少しちゃんとまとめて欲しいなぁ、と。  一応、物語的なものはありますが、発展的なものというわけではなくて、動機と結論だけがあるのみ、みたいな。もちろん、その間に挟まっているのはただのネタ。  さっしーのキャラが統一されてません。どういうコなのかが見えてこないの。天然系なのか、受動的なのか、巻き込まれやすいタイプなのか、行動力あるのかないのか、とにかくネタの内容によって性格が変わります。最終的にどことなく魅力的に見えてくる、とかいう事がなくて、結局さっしーの演じたネタキャラです、で終わってます。なのでスタイル的には一応成長物語のように見えなくもないのですが、一人の人間としての個性が存在していないために成長もへったくれもなく、ただの動機と結論でしかないのです。  ネタもデパートの来店記念ネタの繰り返しなどはクドいばかり。繰り返しならば最終的なオチがあって然るべきだと思うのですが、ちゃんとオチてました? ただただネタをタレ流せばそれで成立する、って程度の考え方なんですよねぇ。  その上、ネタとしてすら成立してない、そこはキチンとしておこうよ、ってものもあったり。さっしーが無理心中に巻き込まれてボートから池に転落するエピソード、先に金づちだと言わせておきながら普通に自力で池から上がってます。金づちである設定の意味は一切ありませんし無理心中のオチも存在していません。  投げっぱなし、散らかしっぱなしでちゃんとオチ、サゲを付けないのは福田監督作品の悪いクセ。  物語的に父ユースケの存在がアレなので、ごくごく狭いところで閉じてしまうわけですが、それもなんか浅い映画という感じです。そんな取って付けたようなメッセージが必要なんでしょうかねぇ?  ネタをいかに笑えるか、というのがポイントの映画で、でも笑えないネタが多数を占める状態ではさっしーファン以外にはちょっとキツいなぁ、って感じ。いや、さっしーファンもこんなんで楽しめるのでしょうかねぇ? もう少しさっしーの魅力を引き出してあげた方が良かったんじゃない?とも思うのですが、元々コレこそがさっしーの魅力なんだ!って事だったら、すいません。[映画館(邦画)] 4点(2014-12-16 23:24:56)《改行有》

32.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》  映画はあまり「OSが人格を持って恋愛感情に発展して」って現象自体にコダワリを見せている訳ではなくて。むしろ普通の恋愛の過程を描いているような感じ。  その「言葉」が紡いでゆく愛の物語は心地良いです。言葉が五感を形作ってゆく、擬似的な行為がやがて現実的な感覚へと昇華されてゆく、そこに描かれる流れは特異でありながらドラマチック。  ですが、題材的には『ラースと、その彼女』や『ルビー・スパークス』に類似しつつ、それらを越えてゆく感じはしないんですよね。人間個人に寄りそうよりも興味はむしろ現象としての恋愛にあるような感じ。「心」を「頭」で捉えてるような感じに思えてしまうのはスパイク・ジョーンズらしくて、私はちょっと苦手。  『マルコビッチの穴』にも通じる、人間を超越した存在となって旅立ってゆくっていうのは死の象徴のようでもあるし、でもスパイク・ジョーンズの願望の表れなのかな?  アメリカのお子様向けテレビアニメ『フィニアスとファーブ』でもアリが進化して人類を超越して旅立つって話がありましたが、わりとSF的にはポピュラーなのかしら?[映画館(字幕)] 6点(2014-08-24 22:13:10)(良:1票) 《改行有》

33.  春を背負って 《ネタバレ》  居心地の悪い映画。大自然がモチーフになっているのに中身は不自然のオンパレードっていう。その不自然な「感動作ですよ」って作りに、なんかいたたまれなくなってしまう感じ。  全編に漂う古臭いセンスは、それはそれでいいというか、この作品のあり方なのでしょう。問題は風景以外の何もかもが作り物めいていてどうにも冷めてしまう点。  映像とセリフと音楽とでこれでもかと説明しまくってきます。登場人物全員が説明のためのセリフと演技を繰り出してくる状態で、特に本来セリフにすべきでない、それこそ映像で語るべき心情、心象がクサいセリフとなってどんどんこぼれ出してくるのが本当にいたたまれないです。  更に、映像に明らかに不要なものと足りていないものがあって、それがおかしな印象を与えています。  安藤サクラが意味ありげに旦那の仕事姿を見つめるシーンは必要ありませんし(旦那が真剣に仕事に打ち込んでいます、という表現であるならば、彼女の曖昧な表情は物語に不要な不安を与えてしまいます)、逆に蒼井優の作る「おいしいご飯」や「母が大事にしていた写真」、更に「小屋の近くで見つけた絶景」はその画が必要なんじゃないかと思います。映画なのだからセリフだけでなく映像でおいしさを見せて欲しいですし、写真や絶景は流れからして当然見えるモノだと思っているとスカされちゃうんですよね。松ケンやトヨエツが眺めてる姿でなくて、カメラが更にその二人の前に出て実際に二人が見ている風景が欲しいんですけど。  映像には見るべきところもあります。雄大な景色はもちろん、通夜のシーンで部屋を埋め尽くしていた人々がさーっとはけて主要人物のみが残るカットなど、さっと静へ転じる巧さが際立ちます。  でも、表情を強調するための寄りや、アクセントとなるスローの多用はそれってどうなんだろう?果たして必要だろうか?って感じてしまって。  善き人々ばかりの物語ならば感動は容易に紡げるハズ、という感じで作られているように思えるのですが、なにか全てが現実からちょっと浮いているように見えて、印象としては「面映ゆい」とか「気恥ずかしい」とか「きまりの悪い」とかいう表現が浮かんできてしまうような映画なのでした。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-15 00:45:05)(良:1票) 《改行有》

34.  ハード・ラッシュ 《ネタバレ》  これ、ポスターやチラシの絵柄が70年代のB級アクション映画みたいな安っぽい感じで興味を持ったのですが、中身も微妙な感じでその点ではブレがなかったかな。  いや、キャッチフレーズの「全員、コイツにだまされる」っていうのは嘘なんですけど。実際はわりとその時その時の成り行き任せ。  冒頭、夜の港を捉えた空撮が渋いクライムサスペンスを予感させますが、中身は義弟がバカやらかしたので裏稼業に戻らなくちゃならなくなった男のドタバタ話。しかもその義弟が途中で更なるバカをやらかしたりするのでメチャクチャです。  元々タイムリミットが設定されている映画なのですが、その中で更に生じるタイムリミット話なんか、脇道に逸れまくっていってツッコミどころ満載。どう考えてもオチに繋げるための脇道。  愛する人を助けなくちゃ!ってサスペンスとしては致命的なのが、遠く離れてる、しかも身動き取れない船の上って状況。どうにもなりませんから、なるようにしかならないと見てる方も諦めなくちゃなりません。  ラストでやっとイヤなヤツ込みで騙してスッキリと片付けてくれますが、それまで見ていてストレスのたまる映画ではありました。  でも、マーク・ウォールバーグはこういう役柄にピッタリとハマる人ではあります。かつて渋谷東急や東急レックスにかかっていたA級とB級の間をブラブラしているような映画によく似合って。よく動けて、男前過ぎず、嫌味が無くて。  いっその事「いつも6点、マーク・ウォールバーグ・ブランド」みたいなジャンルが確立されていって欲しいわ。完全なA級ともB級とも違う、この微妙さ加減に味わいがあるのね。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-28 23:24:08)(良:1票) 《改行有》

35.  ハル(2013) 《ネタバレ》  キレイキレイな絵のアニメって地雷だったりする場合が多いので、これもちょっと怪しい感じがしたのですが、ワリとハマった感じで。  同じ年に公開された某邦画と物語の構造がモロにカブってたりしますが、その構造はこちらの方が内容を深いものにするために有用な効果を持っているように思います。  物語に隠された秘密が明らかになる事で、遺された者を見つめる視点が逆に見つめられる視点へと転じ、遡って逝った者の心に触れ、その関係性を多面的に見つめる事ができる、そんな風に思えます。  この奇妙な雰囲気の映画を象徴するかのような疑問点もキレイな世界の中のシミのように散りばめてあって(料理や片付けがやたらに下手なヘルパーロボットだったり、どう見ても空港で旅立つように思えるのはヒロイン側だったり)、切なく哀しい物語を織り成す要素になっています。  ロボットだと思い込むとはいえ、自分の中に生じているであろう数々の生理的反応を頭の中でどう理解、処理していたのだろう?という大きな疑問点はあるものの、近未来という設定でありつつ趣きのある和の雰囲気をそのまま残している京都を舞台に、美しくしっとりと描かれたアニメを堪能しました。[映画館(邦画)] 7点(2014-02-27 22:19:59)《改行有》

36.  ハーフ・デイズ 《ネタバレ》  CATVのVODで料金が安かったので。鑑賞環境、どれを選んだらいいのやら。  ひと組の男女のあるひとつの選択によって人生が大きく分岐する、その両方を同時進行的に描いた物語。  1つがラブストーリー、1つがサスペンスと全く違ったカタチへと転じてゆくのですが、最終的にそれが同時進行で描かれてゆく意味があまり無い上に、どちらのエピソードもちっとも面白くないという困った状態。  ブルックリンとマンハッタン、選択別にグリーンとイエローに色分けされて描かれてゆきますが、まずその色分けが露骨過ぎてしまって。服装は元より、背景や小物等、画面内に無理矢理その色を登場させ続ける事でどちらを描いているのか判りやすくして、ってそれはテクニックと呼べるレベル以前のもの。サスペンス編なんかは追われているのだから、目立つ黄色いTシャツは着替えた方がいいわけですが。  終わりの方で双方の色が混じる事で、その分岐の終焉を告げてはおりますが、じゃあ、そこで双方のエピソードが共通するカタチを成した意味がどれだけあるの?というとなんだかとても心許ないモノしか無いように思えるんですよね。ただオチを繋げただけって感じ。  ラブストーリー編は独立記念日を実家で過ごし、家族の人間関係が描かれ、退屈ながらもドラマがある分マシ。サスペンス編の方はもうタクシーの中で拾った携帯から生まれる流れになんの説得力も無いので馬鹿馬鹿しいと思ってしまうレベル。最初の時点で主人公の携帯の扱いに全く納得できないので、以降ひたすら馬鹿なカップルを見てるだけって感じ。  そもそも、エピソードによる思考や行動の差によって2つのエピソードで同じ人間に見えないんですが。  もう、明らかにアイディア倒れ。綿密な構成のシナリオで魅せるような事がある訳でもなく、ダラダラと2つの選択のラインが交互に描かれてゆくだけ。ラスト以外にリンクするのは夜の花火とベッドシーンくらいのもんで。もっと相互に作用する仕掛けでもあれば面白かったと思うのですが。[インターネット(字幕)] 4点(2013-11-29 21:30:17)《改行有》

37.  パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海 《ネタバレ》  内容的には前作が「なんじゃこりゃ」って状態だったので、今回は予め覚悟できてた感じで。  今回もまた神々の子の話なのにアメリカローカルです。「魔の海」って言ったってフロリダ沖でのお話し。地球の危機、人類の危機って言いながら、ごくごく狭い範囲で戦ってまーす、って状態は相変わらず。  ただ、今回の方が神様っぷりは激しく薄まりましたが、ファンタジー色は濃くなった感じ。ポセイドンのもう一人の子や、森を守る木に転生した少女、機械仕掛けの牛、海馬等々、視覚的に刺激を受ける要素が多くて退屈はしませんでした。タクシーのところはちょっと『ハリー・ポッター』の空飛ぶ車やバスを思い出しましたが。  でも、やっぱり色々出た後での今更感は拭えないんですよね。魔法のアイテムを手に入れるために旅に出る、そのアイテムを奪い合う、もう何度も何度も繰り返されてきた物語。  それにクライマックスのクロノス復活部分、もう一刻を争う状況なのにそれを忘れて再会を喜んでたら復活しちゃいましたっていうマヌケなパターン、ああいうのはもう無しにして欲しいところです。いや、クロノスが復活しないとクライマックス丸々飛んじゃうんですけど。  あと、パーシーが前作にも増して主人公の顔してないジミな感じになっちゃって。お前さんが英雄役でいいのかいな?敵やライバルの方がカッコいいじゃん、みたいな。  ここから更なる続きが見たい!ってほどのモノではなくて、前作も見たからなんとなく惰性で見ました、って状態ではあるのですが、予め作品の器のサイズを認識していれば、そう失望することもない、といったところでした。  もっともこの映画に(原作に、ではなくて)続きがあるとは思いませんでしたが。『ダレン・シャン』や『ライラ』『エラゴン』なんかの仲間入りかと思ってましたわ・・・。[映画館(字幕)] 5点(2013-11-21 22:26:54)(良:2票) 《改行有》

38.  パシフィック・リム 《ネタバレ》  初日に字幕版、二度目でIMAX吹替版も見て、私がさっさとレビューしなくてどうする?って感じの映画ですが、完全に機会を逃した感が。言いたい事は既に皆様が存分に・・・  怪獣に昭和・平成ガメラの影響が見られます。銀色で尖っていて、というのは大映怪獣の特徴で形状はギロンやジグラを思わせますし、水色の発光部はレギオンやイリスのよう。  映像も嵐の中の怪獣をアオる画や、滑走から停止して見得を切ったり、怪獣が雲を抜け月夜に舞う姿など『ガメラ3』に通じるショット沢山。  もちろんそれだけではなく新旧様々な国産ロボットアニメ・特撮映画からの影響が見受けられて、それらにどっぷり浸かってきた私に、昔のワクワクが甦る夢のようなひととき。  でも、それだけではただの模倣・パロディ・懐古やオマージュに終わってしまいます。重要なのはその先、作品独自の個性。  この作品が拘っているのは鋼鉄の質感。その重々しさ、冷たさ、あるいは熱さ。  そびえたつ金属の塊、それが動く、走る、戦う、殴る。怪獣めがけて振り下ろされる鉄の拳の重量感、硬さ。  そして、その金属の塊から滴り落ちる火花と水。金属にウェットな質感を加え光を当てて輝かせる事でぐんと増すフェティズム。  雨に濡れた機体が夜の街明かりを受けて輝く様など、艶めかしいとすら感じるじゃありませんか。  それはまるでオイルを塗りたくったボディビルダーや、濡れたTシャツを着たブロンド美女の如き世界、ロボ濡らして「ステキや~ん」なんて、つくづく変態ですね(もちろん褒め言葉)って。  その拘りの映像を可能にしているのが現在の技術。それは特撮や手描きアニメでは出せない、今の時代の画。主人公が語った「過去にばかり囚われず、未来を向こう」というメッセージは、映画の在り様をも示しているようで、時が止まったままになっていた怪獣映画の未来を指し示したようにも感じられ監督の姿勢に心から感動しました。  本当は「怪獣映画の国」こそが作るべきなのでしょうが、最先端の筈な人々から懐古やオマージュに囚われたモノが生まれているような状態である以上、よその国に頼るのも仕方のない事かもしれません。  いや、元々趣味に国境なんてない!と監督自身がこうして具体的な形にしている訳ですから、民族や国が生む独自性に囚われるのも今や無意味なのかもしれません。[映画館(字幕)] 9点(2013-08-20 21:54:40)(良:5票) 《改行有》

39.  爆心 長崎の空 《ネタバレ》  久しぶりにシュールにコワレてる映画を見たという感じで。  明らかに原爆の事と判るタイトルと、母を亡くした娘と娘を亡くした母の邂逅という設定から思い浮かぶ映画の姿、それを中途半端に(徹底的にではなく)破壊してみせるという。  過去の悲劇とそこからの再生、そして未来への生、そこら辺がキーワードになってゆくのだろうな、と思うとその通りではあるのですが、そこに至る道が尋常じゃありません。  宗教映画的に十字架やキリスト像、隠れキリシタンなどのキーワードを散りばめ、題材的には浮きまくってるとしか思えない唐突な濡れ場(とコトを連想させる描写)が配置され、更に電波を受信したかのようにノアの方舟を作り始める幼なじみ(いや、単に壁に釘打ってるだけですが)等々、じゃあこれは原罪についての映画なのか?って感じもしますが、あくまで半端です。  『夕凪の街 桜の国』(原作の方)と同様、原爆で死んでいった者に対する、生き残った者の心にいつまでも残る「自分は生きていて良かったのだろうか?」という自責の念が語られはしますが、それも機能不全を起こしているかのように映画の流れに有効に作用しておらず。  みんな過去を背負って色々精神的に病んだりもして大変だけどとりあえず命があるんだからなんとなく生きてりゃいいんじゃね?みたいな話を、なんか無理に長崎=隠れキリシタン=原爆って三題話みたいに結び付けて、しかもとっても凡庸な、つまんない演出っぷりで描くものだから、更なるカオスを呼んでいる状態で、ヘンなもの見たなぁ!って点では刺激的ではありました。  ラストなんて、火を点けて燃えちゃったコンテナハウスから生還してドリフのコントみたいに黒くなってる二人が目の前で「やっぱり産むわうふふあはは」ってハッピーエンド状態になってる家族を呆然と見守るという大変にシュールな世界で、これマジメにやってるとしたら相当ヤバくね?って感じがしないでもなく、しかも文化庁コレにお金出しちゃったんだ・・・みたいな。  原爆を題材にしたものが「ネタとしては楽しめる映画」状態っていうのはどうかと思うのですが。[映画館(邦画)] 4点(2013-07-28 14:29:35)《改行有》

40.  箱入り息子の恋 《ネタバレ》  家という名の檻。家族という名の鎖。そこら辺は判ります。  愛とはみっともなくたってカッコ悪くたって、自分の心に正直にあること。それも判ります。  どうにもこうにも判らないのは、でもこの映画は結果的に主役の二人を「映画」の枠の中に閉じ込めただけなのでは?という事。  前半は快調です。恋愛に至るまでの二人の描写はヘタなサスペンス映画よりもよっぽどハラハラドキドキを味わえます。  しかし、後半の交通事故から家族の強い反対への流れの明らかにワザとな凡庸っぷり、そしてそこから生まれると予測されるドラマをはぐらかしてゆく感じ、更にその凡庸~はぐらかしのパターンを繰り返す事でテーマを語ろうとするやり方、結局、彼ら自身の殻でも家族の鎖でもない、「映画」こそが最後まで二人を束縛していたのではないでしょうか。  主人公がフレームからいちいちワザと外れる事で「映画」に対する主人公の闘争が垣間見えたりもするのですが、そこまで判っているのならば、なぜそこまで意地悪なのかと。  象徴的に何度も登場するカエル、でも、この映画の目はカエルの目でなくカエルを観察する方の目に思えます。  二人の近付いてゆく、遠ざかってゆく、繋がってゆく感じは丁寧に描かれて面白かったけれど、映画をコントロールしようとする意思が表出する事によって最終的に妙に窮屈な映画に思えてしまいました。[映画館(邦画)] 6点(2013-07-15 14:39:48)《改行有》

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