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1. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
《ネタバレ》 題材に見合わない繊細な描写が好き。たとえば冒頭に拳銃で撫でられた女が屈辱に唇を震わせる場面や、出所したヌードルスと抱き合ったあとのペギーが急に静かになって、無理して明るく振る舞っていたことを窺わせる場面。暴力性の強い作品ではあるけれど、その一方で心理描写が女性的といっていいほど丁寧だ。
主役の男達はまともな女性関係をなかなか築けずに、何かというと娼婦を買っている。彼らの男性性の過剰さはほとんど獣性といってもいいほどで、それが彼らを裏世界に追いやったそもそもの原因でもあるのだろう。例のレイプシーンが非常に不愉快だったので思わず観るのをやめようかと思ったけど、ヌードルスの孤独を語るのには必要な描写だったのかもしれない。愛した女と結びつくことは決してなく、力ずくでものにしようとしたって二人が別世界の人間であるという事実は変わらない。むしろあの行動がそれを証明したといってもいいと思う。(にしても、あそこまで残酷な描写はやめてほしかったかな…)。
ラストについて、「夢オチ」という解釈が案外メジャーみたいなので驚いた。別に夢オチじゃないと説明できないような大きな矛盾もないし、その説を補強する論理的な手がかりもなく、大体にしてそんな結末だと興ざめするだけでミステリ的な仕掛けとして失敗だと思うんだけど……。あの笑顔は彼が過去の美しい思い出だけを拠り所に生きていくのを暗示しただけで、それはマックスと再会したときの台詞にも表れているんじゃないかと思う。だからこそ、このタイトルなんじゃないの?[DVD(字幕)] 9点(2008-02-16 17:51:09)《改行有》
2. ワイルドバンチ
《ネタバレ》 冒頭の虐殺シーンには衝撃を通り越してあきれるばかりだったので、クライマックスの展開はとても意外だった。単なる無法者の集まりでしかなかった男達が、逃避行のうちにいつか友情で結ばれ、最後には仲間のために命を捨ててしまう。およそ「仲間」や「名誉」といったものが似つかわしくないけものみたいな男達が、まるでサムライみたいな最期を選んだことにびっくりした。
もちろん武士道みたいなご立派な信念を持つような連中ではなく、衝動的な、ほとんど本能的な行動でしかないわけだけど、それでもやっぱり胸を打たれてしまう。あの一本の瓶からみんなで酒を飲むシーンは彼らなりの儀式で、無意識のうちに兄弟の盃みたいなものを交わしていたのだろうと思う。
自分はむしろ保身のために敵に寝返ったソーントンのようなタイプかもしれない。すべてが終わったあとに死体の山を歩きながら呆然とする彼の気持ちが手に取るように想像できた。かつての仲間達の死に様は、ソーントンの恐怖に捻じ曲げられた生き方とはまったく正反対だったわけで。どちらの生がほんとうに“無意味”のあるものなのかは、なんとも判別しきれない。
ところでまったくどうでもいい話ですが、四人が将軍のもとに仲間を返してもらいに行く下り、海賊マンガ『ONE PIECE』の魚人編にそっくりな場面がありませんか? 尾田さんは影響を受けたのでしょうか(って、ここでいってもあまりわかってもらえないのか?)。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-03-25 23:46:08)《改行有》
3. 惑星ソラリス
つまんなかったです。ひたすらだらだらした展開のおかげで、他の映画では経験したことのないような眠気が襲ってきた。映像的に美しい部分もあるが、物語の大部分は宇宙ステーションの安っぽいセット内で展開するので単調。ぼそぼそ喋って、ときどき機械的に涙が流れるだけの演技にはどうしても感情移入できず、人間ドラマとしてとらえること自体難しかった。ラストシーンでは少し目が覚めたけど、それまでの退屈さを帳消しにするほどのものではなかったし、むしろB級ホラー的な安易な締めに冷めてしまった。これが『2001年宇宙の旅』に匹敵する作品だとはどうしても思えない。[ビデオ(字幕)] 4点(2006-01-24 00:38:45)
4. ワイズマンとのピクニック
《ネタバレ》 家具の皆さんが記念写真を撮っているのには笑いました。普通の家具なのに、シュヴァンクマイエルの手にかかるとなんだか可愛らしい生き物になってしまう。観ていない人は信じてくれないだろうが、「椅子」が可愛いんですよ! あの「椅子」が! そしてラストのどんでん返し。何があったんだワイズマン(笑)。家具たちが反乱を起こしたのでしょうか?? ただ欠点をあげるとすれば、他作品に比べてやや地味なところだろうか。瞼に焼きつく鮮烈な映像がなく、脳みそに新しい回路を作られるようないつもの斬新さがない。だからこそラストが生きるのかもしれないが、華に欠ける感は拭えなかった。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-11 16:07:59)
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