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プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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181.  リオ・ブラボー この映画よりも先に『要塞警察』を見てたもんで、そのオリジナルだと思いつつ、本作を初めて見た時は、あまりの違いに驚いたもんです。籠城モノだと思ってたら全然そんな事なくって、むしろラストのシチュエーションに至っては、「籠城している相手」に襲撃を掛けているのは、何と主人公の側ではないか!? よくこんな大らかな作品を、あんな殺伐とした作品に作り変えたもんです。 さてその後、「このリオ・ブラボーは、真昼の決闘へのアンチテーゼであるらしい」なんて話を聞いてから、また本作を見ると、また違った感慨があって。本作の中でジョン・ウェインは、ライフル片手に意味もなく(あるんだろうけど)やたら歩き回ってて、そういやあのゲイリー・クーパーも意味もなく(あるんだろうけど)歩き回ってたよなあ、と。ってなことには大した意味はないんだろうけど(ないんでしょうね)。 ディーン・マーチンが酒場をのぞき込む冒頭から、あれよあれよという展開の後、彼の胸には早速、保安官助手のバッジが輝いてる、という上々の滑り出し。アル中で自信を無くしている彼の姿が、本作では比較的大きなウェイトを占めていますが(何度か登場する、タバコを巻くシーン。銃を持たせれば凄腕の彼だが、手が震えてタバコすら巻けない)、他の登場人物たちもそれぞれがユニークで、印象的です。ウォルター・ブレナンが、実に鬱陶しくって、でも憎めない、ある意味、本作では最大の「飛び道具」とでもいう存在となってます。 それなりに危機的な状況なのに、ギターをかき鳴らし皆で歌ってる、このおおらかさ。なんとなく『ジョーズ』におけるオルカ号上の夜の場面なんかにもつながるものを感じます。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-03-26 08:40:43)《改行有》

182.  スプリングフィールド銃 南北戦争下、ゲイリー・クーパー演じる少佐が敵前逃亡の罪で軍法会議にかけられてる。ってなところからオハナシは始まって、次々に思わぬ展開があなたを待ってます。クドクドと展開を説明したりしないので、いやはや展開の早いこと、強引なこと、だけどその展開は、伏線に裏打ちされておりいちいちゴモットモなので、違和感なくスピーディな展開に乗せていってくれます。で、もうこれがクライマックスでしょ、という場面が、映画の3分の2くらいのところで早くもやってくる。そう、まだまだ物語は予断を許さないのです。強引なのです。 ミステリ要素あり、アクションあり、それをあまり説明せずに暴走気味に進めていく、このノンストップの面白さ。たまりません。終盤の戦いなんて、あまりに唐突の火責めに、唖然としてしまいます。この単刀直入ともいうべき、潔さです。 これだけ面白い作品なんだから、リメイクしようって話が出ても良さそうなものですが、今、こんな映画作ったら、あちこちで勿体をつけまくって尺が伸びまくった挙句、平凡な作品に落ち着いてしまうんだろうなあ。と思えば、やはりこの時代のB級西部劇、貴重です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-03-19 21:56:00)《改行有》

183.  サウンド・オブ・ミュージック ミュージカル映画という、伝統的ながら変テコリンなジャンル。その中ではたぶん、かなり取っつきやすい作品と言っていいんでしょう。耳になじみのある曲が続々と登場して、それだけでも親しみやすいし、ラストには脱出劇のサスペンスもある。私もたぶん、最初に触れたミュージカル映画って、コレだったと思います。 で、いきなり何ですが、ジュリー・アンドリュースの髪型、なんか変ですよね(笑)。ギターを抱えた姿など、ひと頃の漫才師みたい(かしまし娘とかちゃっきり娘とか)。しかし実際、彼女の元気いっぱいな様子とも相俟って、とても若く見えます。トラップ家に向かう場面の、ほとんどヤケクソみたいな歌いっぷりと、到着して大邸宅を前に立ち尽くす姿とのギャップが、可愛くも可笑しくって。 その純朴そうな彼女を見ていると、つい、こんなトラップ親父になんかダマされるな~と言いたくなってくる。クリストファー・プラマー、端正な顔立ちに威厳をみなぎらせ、何かとキビシイことばかり言いながら、実際には歌えば上手いしダンスもするし。何だか妙にモテるしなあ。こういうのは絶対、女性の敵だ!と言いたくなる、要するに「男性の敵」なんですけれども。そもそも、ですね、まずこっそり恋人と会う長女が雨にズブ濡れになり、次に、ボートから転落して7人の子供たちとマリアが濡れ鼠になる。と来りゃ、クリストファー・プラマーだって、彼らの仲間に入るには、一度はズブ濡れになって見せる、という「通過儀礼」を経験するべきだと言ってやりたいところ、しかるにこの色男は、「私はすでに“水も滴る”イイ男ですから」と言わんばかりに、水も被らず澄まし顔。まあ、彼までビショビショになったのでは、完全にコメディになっちゃいますけどね。 楽しい歌にダンスを、これでもかと繰り広げつつ、最後に映画に暗雲が漂ってくる、そこがまた良くって。同じ歌が、状況によって、異なる印象で聞こえてくる、ってのが面白いところ、かつ盛り上がるところ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-03-05 08:34:18)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

184.  キック・オーバー メル・ギブソンという人は、映画の中でよく走っているという印象。いや「よく」と言っていいのかどうかはわからないけど、少なくとも彼の走っている姿というものが結構、印象に残ってるのですが、実際、すっかりいいオジサンになり、こういうグータラな映画のグータラな役を演じていても、やっぱり走るシーンってのが登場して、ああ、ガンバってるなあ、と。さすがに、マッドマックスやリーサル・ウェポンでの走りほどの迫力は無い、オジサン走りですが。 映画はいきなり、大金を奪ったメル・ギブソンが警察に追われる場面から始まり、国境を越えてメヒコ側でとっ捕まる。入れられた刑務所がとんでもないところで、悪が支配する何でもアリアリの、ひとつの街といった感じ。で、そこで逞しく生きる母子と知り合い、彼らの将来を待ち受ける暗い運命に対し共に戦うことになり、さらには例の大金にまつわる争奪戦にも巻き込まれていく。という、何だかとてもよくデキたオハナシなんですが、もうひとつ見せ方に工夫が感じられず、気持ちが乗りません。刑務所(とは思えないスゴいところですが)のバッチイ感じはよく出てるし、そういう中でも必死で生きている人々の生命力も感じさせて、さらにそんな中で、一人称で語りつつも素性の知れないメル・ギブソンがちゃっかりとたち回る姿、いかにも舞台は一通りそろっているのですけれど、普通にイマドキの演出が繰り返されるだけで、どうもメリハリが無い。せっかくのルチャリブレのシーンなど、客席で会話している光景なんてどうでもいいから、もうちょっと試合の方をカメラに収めてくれたらいいのに、ねえ。 いっそこのまま盛り上がらなかったら、ケチだけつけて終わろうものを、シャクなことには、メル・ギブソンが傘を持って現れる一連の場面が何ともシャレていて、さらに腹が立ってくる(笑)。くそ、面白いじゃないの。 こういうのを、映画の中でももっとやって欲しかったな。 【2024/5/12追記】久しぶりに見て面白さに唸りつつ、自分が何とたったの5点などという信じられない点数をつけていたのに気づき、またビックリ。いやこれ、メリハリが無いなんてとんでもない。最初の方こそ主人公の独白がいくぶん、状況を説明するけれど、映画はその後どんどん加速、暴走し、状況は映画の後からついてくる。何でもアリ、ルール無用の刑務所が舞台、いや映画の舞台は刑務所を飛び出して、ますます何でもアリ。主人公のクールさが実にキマってるし、クールなだけじゃないところが、ますます光る。 これぞ、ハードボイルド、ではないですか。今さら申し訳ないですが、9点に変更させていただきたく。[インターネット(字幕)] 9点(2016-11-27 08:40:10)
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185.  ローマの休日 《ネタバレ》 オードリー・ヘップバーンがキラキラ輝いている。もちろん、主演女優を美しく撮ろうとしていて、実際に美しく撮られているんですけれども、それ以上に、あの無垢な感じが、まるで、好奇心いっぱいの子供のような輝きをもたらしていて。彼女が逃げ出す道程での、彼女視線のカメラが、いかにも、観るものすべてが目新しい、といった彼女の好奇心をよく表しています。 だからこの作品、ラブロマンスという枠にはまらず、何だか大人の目線で子どもを見守っているような作品のようにも感じられてきます。お小遣い握りしめて街に出る、楽しそうなその姿。初めての場所に連れて行ってもらって夢中になる姿。 だからといって、グレゴリー・ペック演じる記者は、良き彼氏とも良き父親ともいう訳ではなく、腹に一物。あのシブい眉毛の端がクッと上がると、ホレいかにも打算が絡んでそうな表情に。 記者の彼にとって、家出王女との出会いはまたとない僥倖、まさに楽勝の展開で、周囲の人間とも色々とよからぬ約束事をしてしまう。ただ唯一の誤算は、王女に惚れてしまったこと。勿論、成就する訳のない恋愛。いや、どうせファンタジーなんだから、別に無理やり成就するオハナシにしたっていいんですけどね、でもそうはならない、彼には何も残らない。 それは王女とて同じこと、そっと身を引く美しさ。そんな中でもかすかな接点を互いに感じあう、ラストの謁見の場面がお見事です。と同時に、たいがいヒドイ目にしかあってないヒゲの友人アーヴィングの存在が、何ともいい味を出しているのでした。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-10-28 12:30:00)(良:1票) 《改行有》

186.  アイアン・ホース アメリカ大陸横断鉄道の敷設という壮大な事業が、本作のベースになっています。しかし日本だって、狭い国土ながら、よくもまあこれだけの鉄道網を完成させたことよ、と思いますけれど。 この鉄道建設に情熱を抱く主人公、その情熱は亡き父の遺志を継ぐものであるけれど、父の命を奪った「2本指の男」の行方は杳として知れない。という訳で、大自然の厳しさや、先住民の襲撃といった危機にさらされつつも雄々しく進められる鉄道建設の姿に、「2本指の男」への主人公の復讐譚、あるいは主人公と幼馴染の女性との恋愛などが絡められて、見応え満点。脇を支える3人のポンコツオヤジたちの存在も忘れられません。 アメリカ開拓史の実際を映画に取り入れようとして、やや解説調なところもありますが、ラストでは当時の機関車実物を登場させてみたり(ジュピター号と116号、だそうです、すみません不勉強なもんでどのくらい貴重なのかワカリマセンが、きっと貴重なんでしょうフムフム)して、ちょっとワクワクしてしまいます。また、盛り沢山の内容を2時間ほどにまとめ切っているのも、字幕による最低限のセリフしか使わないサイレント映画ならでは、といったところでしょうか。馬に乗った先住民が列車に襲い来るその姿を、列車の壁面に映る影として描く、なんていう演出でも、これ見よがしにやることなく、サラリと流して見せる。 畳みかけるようなクライマックスに、これぞ大団円といいたくなるラスト。お見事です。[DVD(字幕)] 9点(2016-10-25 13:59:30)《改行有》

187.  テルマエ・ロマエ もう、バカバカしくって楽しくって。風呂ネタ(一部トイレネタ)でここまで楽しませてくれるなんて、いやはや、想像を絶する世界ですよこれは。 古代ローマの設計技師ルシウスが、なぜか現代の日本にタイムスリップしてきて、騒動を巻き起こす前半。すべて一人合点で勘違いしまくってるのだけど、日本の爺さんたちも負けじと勘違いしまくってる楽しさ。究極のすれ違いの果てに、「おフロ最高!」というキーワードを接点にした奇妙な意気投合が垣間見える、アホらしさ。 ときどき現れる謎のオペラ歌手(歌ってるのはアイーダの第3幕終盤ですかね)。ははは、もうこれ以上、笑わせないでください。 そんでもって、中盤からは、上戸彩が「ラテン語を勉強してきた」とか言っていきなりペラペラと阿部寛演じるルシウスと話しだす。そんなアホな、と思うけど、しかし実際、ここで物語がギアチェンジしたような印象があり、グッと我々を引き込んでくれます。 で、ドラマチックな盛り上がりを見せたのち、最後は、前半で互いに勘違いしまくりだったルシウスと日本の爺さんたちとの、お風呂好きパワーが見事に融合するという大団円。 一体、何ちゅう作品なんでしょね。[DVD(邦画)] 9点(2016-10-25 12:59:38)(良:1票) 《改行有》

188.  ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う 《ネタバレ》 確かにエロさの面でも圧倒されるのですが(笑)、エロさ以上に、映画の中で展開される世界に圧倒される作品でした。 冒頭からいきなり凄惨な場面が登場し、もう先が思いやられるわい、トホホ、ってなもんですが、一方で登場するのは竹中直人演じる冴えない中年男の「何でも屋」。滑稽でもあり哀愁も漂わせていて好対照、さてこの2つの世界がどう交わっていくのか、と。 竹中直人は芸達者だから、一見冴えない・でも時に勘が鋭く・結局は自らの誠実さに負けていく男を熱演しているし、大竹しのぶも芸達者だから、壊れかけのオバチャンを熱演しているし、井上晴美はこれはもう持って生まれた意地の悪さがそのまんま出た適役(知らんけど多分そんな気がする)。そんな中で、佐藤寛子だけは、ニュートラルな、映画の中でどんな色にも染まりうる存在となっています。 いや、ニュートラルというのは違うかな。彼女は作中でこれでもかと脱ぎまくってますが、シャワー、主人公の妄想、事務所の夜、ラストの廃坑、4回あるハダカのそれぞれが、映画の節目になっているとともに、彼女の多面性を象徴する場面にもなっています。彼女は、誰よりも同情されるべき存在なのか、それとも3人の女の中でも飛び切りのワルなのか。最初の2つのハダカはそれぞれに対応しているようであり、3つ目の一番エロい(笑)場面は、彼女の二面性、いや存在の二重性をそのまま表している(だからこそ、この緊張感)。で、ラストで彼女は自らを一体化させようとし、しかしもはや、分裂していくしかない。おお、まさにエロの起承転結とはこれのこと。 それにしてもこのラストで舞台となる廃坑、スゴいですね。深海のような世界、まさに人外魔境。しかし、前半で竹中直人が彷徨う東京の街も、こんな風に底知れぬ闇を湛えていて、このラストシーンと呼応するものが感じられます。 異世界へのいざないに抗えず引き込まれて行ってしまう主人公を、かろうじてこの世界に引き留めうる存在・東風万智子、いつも、忘れた頃に絶妙のタイミングで姿を現すんです。ナイス。 いや、見事な作品でした。[DVD(邦画)] 9点(2016-10-18 12:13:21)《改行有》

189.  ドノバン珊瑚礁 何ともバカバカしくって、何とも楽しい映画。南の島に響くジョン・ウェインのダミ声が、いいですね。 まだ見ぬ父に会いに、太平洋の南の島にやってきた女性、しかし医師である父は、現地の女性との間に3人の子供をもうけている。そこで、周りの連中がそれを隠そうと要らぬ気を起こして・・・という他愛のない話で、何かにつけドタバタが巻き起こる。ストーリーと無関係に、画面の中ではひっきりなしに意表をつくような何らかの「事件」が起こっていて、これが楽しいんですね。唐突に海へ飛び込む、あるいは落ちる。唐突にケンカが始まる。ドアを開いたらとてつもない突風が吹きこんでくる。教会の尋常ではない雨漏り、このエピソードは最後に、世にもバカバカしい奇跡で幕を閉じる。女性とジョン・ウェインとの関係も、遠くから靴を投げつけるのに始まって、最後の強引なラブシーンまで、一筋縄ではいかぬ波乱万丈、いつも何かの「事件」に裏打ちされてます。 という、楽しくもバカバカしい世界を包んでいる、南の島の風景。土着の文化に、東洋と西洋が入り混じり、宗教も何でもアリアリ、すべてを包み込む。そのおおらかさが、またいいんですね。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-09-30 12:12:58)《改行有》

190.  肉弾(1968) たぶん、軍国主義というもの自体が悪なのではなくって、人間の愚かさが、歴史のある場面では軍国主義と結びついて大きな悲劇を引き起こした、ということなんでしょう。人間の愚かさというものは消えることなく、今この瞬間にだって、大企業病なり、地方自治の腐敗なり、あらゆるところにあらゆる形で結びついて存在し続けている訳で。ただあの大戦では、それがどれだけ大きな喪失と悲劇をもたらしたことか。その大きさが、「平均寿命」という簡単な数字で示せてしまう皮肉。 軍国主義のせいと単純に割り切って、過去に封印してしまい、あえて忘れ去ってしまう、それもまた人間の愚かさ。何も変わっちゃいない。ドラム缶に閉じ込められたまま、人知れず波間を漂い続ける、やり場のない無念と怒り。 一方ではまた、人間の生のひたむきさというものがあり、ほんのちょっとした幸せというものがある。我慢した後の放尿のような、ちょっとした幸せ。 ちょっとシュールで(しかしそのシュールな世界は、人間の愚かさが実際に過去に生み出し、今後もいつ出現してもおかしくない世界でもある)、ひたむきな生を、寺田農がまさに身体の極限をつくして表現しきっており、圧倒されます。[CS・衛星(邦画)] 9点(2016-09-18 08:23:41)(良:1票) 《改行有》

191.  コンドル(1975) 日曜洋画劇場で観て以来だからずいぶん久しぶりですが、やっぱり面白いですね~。地味ですけど。 アメリカ文学史協会なる、何の変哲もない組織が、ある日、謎の男たちに襲撃され、職員は片っ端から殺されちゃう。消音機がつけられた銃での、寡黙なまでの殺戮。淡々と響くのはタイプの印字の音。そんな中、生き残ったのは、その時たまたま外出していたロバート・レッドフォードただ一人。実はアメリカ文学史協会は、CIAの下部組織で、レッドフォードもCIA職員のひとり。コードネームは「コンドル」。こんな冴えないヤツにまでコードネームを与えているとは、CIAもヒマなのかどうなのか。 などと言っている場合ではないレッドフォード。CIAに連絡をとり保護を求めるが、どうやら黒幕はCIA内部にいるらしい。という訳で、レッドフォードの孤独な闘いが始まるのですが。 レッドフォードが「本の虫」というくらいに活字マニア、という風に全然見えないのが、何ともかんとも言い難いのですが、一応、オタク眼鏡をかけてそれっぽく役作り。何で彼の命が狙われているのか、とか、終盤における黒幕を突き止めていく手口とか(全編にわたって、電話が印象的に用いられています)、この辺りはまあ正直、いかにも「それっぽい」だけで十分面白くて、実は色々とアラがありそうな気もするけれど、どうでもよくって。あまり背景のはっきりしない主人公の生き延びようとする姿に、都市生活の孤独なんかが反映されていて、さらにフェイ・ダナウェイの影の薄い感じが、その孤独感を強めていたりして。敵方のマックス・フォン・シドーまで孤独感に貢献する。サスペンス作品ながら、イヤでもシンミリしちゃうではないですか。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-08-10 19:37:29)(良:1票) 《改行有》

192.  キック・アス 《ネタバレ》 この主演のお兄さんって、『トムとトーマス』のあの少年だったんですね。そりゃ気づかんぜ。そんでもって、『GODZILLA』。この変わりよう、もう誰も信用できん(笑)。 本作にも『キングスマン』にも言えることだろうけど、主人公の「自意識」ってのが強く有って、でもそれをイジイジダラダラと描くのではなく、ぶっ飛んだ劇画の世界の中に、それをハメ込んでサラリと見せてくれる。本作の場合、オタクな主人公とそれを強調するオタク友人、一方では絵に描いたような美少女がいて、その友人もやたらに美少女で。はたまた現実離れしたスーパーヒーローが登場したかと思えば、それも将来の美少女候補だったりする。もうこの時点で、観てる我々も自虐的にならざるを得ません、ハイ。 劣等感は誰しもあるだろう、だけどだからと言って、いつまでも傍観者でいる訳にはいかない。バカバカしくって、説教臭く無くって、そして感動的な、成長物語。 ニコラス・ケイジの最期のシーン、映画史に残る、いや、何とか残したい、名場面ですな。しかし映画はそこで終わらず、むしろそこからすさまじい加速を見せる。いや、お見事。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-07-11 12:14:18)《改行有》

193.  パリ、テキサス 《ネタバレ》 ひと続きの物語ではありますが、何となくオムニバスのようにいくつかのオハナシから成っていて、緩やかながらも構成のまとまりを見せています。 まず最初に、行方不明の4年の間に心を閉ざしてしまった男に対し、彼の弟が何とか心を開かせようとする話。それから、自分が行方不明の間、弟に育てられたわが息子と久しぶりに対面し、何とか親子の関係を修復しようとする男の話。そして最後に、男が、別れた妻の姿を追い求め、接点を持とうとする話。この漂浪の男を中心にこれらの物語が展開した後、最後に妻の方へスポットライトが移り、男は再び漂泊の身として消えていく。 この物語の移ろいそのものが、いかにも寂しい孤独感を出しているのですが、実際、ここで語られているのも、孤独な人たちが、他者とのかすかな絆に何とか縋り付こうとする物語であったりします。 男と妻を描く場面では、二人の間はガラスで隔てられており、それでもなお、二人は何とかこの映画の中で、同じショットの中に二人の姿を収めようと、さまざまなポーズをとる。この場面における抑制された情熱、静かでありながら深く印象に残るクライマックスです。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-06-18 08:15:35)(良:2票) 《改行有》

194.  メトロポリス(1926) なーにが「ヨシワラ」だよ(それとも「ヨシヴァラ」とでも読むのか?)とは思っちゃうんですけどね。 しかしまあ古典的名作、ですから。 という以前に、凄いんです、モーレツなんです。エゲツない。 全編、物語というよりも、舞踏。 超現実的な舞台で、超現実的なパントマイムが、整然と繰り広げられる。 その整然とした秩序が、後半、混沌の世界と化していく、その様は、まさに壮大なる崩壊。 例えば交響曲なんかの世界で、「闘争から勝利へ」とか「混沌から浄化へ」なんて言ってきたわけだけど、そういう世界観では表現できなかったものが、ここにある。そういう世界観が茶番となってしまう、如何ともしがたい時代がやってきた、ということでもあるんだろうけど。 革命児ベートーヴェンにも出来なかった世界。マーラーは薄々ヤバいと思ってたんだろうけど、でもここまではやらなかった。 いうなれば、崩壊こそが浄化。いやはや。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-06-10 00:13:28)《改行有》

195.  白熱(1949) 冒頭の列車強盗、犯人を追う警察の追跡劇。次から次へと畳みかけるような展開と、衝撃のラストに、圧倒されます。古い映画は地味でツマラン、という偏見を吹き飛ばすには、格好の作品です。 とは言え、ひたすら煽るような描写ばかりが続く訳ではなく、例えば潜入捜査官にまつわる描写などは、比較的、抑制されていて、サラリと流してます。いまどきの映画なら、彼の焦りや戸惑いの表情を随所に織り込んで、もっと暑苦しい作品にしちゃうところかも知れませんが。その代わり、キャグニー演じるギャングの親分の描写はもう、容赦がない。脱獄した彼が、裏切った部下のもとにやってくる場面の、怖いこと。 何を仕出かすかわからんヒトってのは、怖いもんです。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-06-09 22:38:06)《改行有》

196.  バーディ およそ正反対とも言っていい性格ながら、なぜか気が合う高校生の二人。当時の思い出と、やがてベトナム戦争で、それぞれ顔と心に傷を負った二人が病院で向き合う姿が、交互に描かれます。顔に傷を負い包帯でグルグル巻きにされたニコラス・ケイジが、包帯を取ると、その顔はトラボルタだった。ってな訳はありませんが。 マッチョ系のニコラス・ケイジに対し、鳥を愛し空を飛ぶことに憧れるマシュー・モディン。それぞれがそれぞれのやり方で、日常から非日常へ、子供時代から青年時代へと成長していく。彼らが住んでいるのは、何だかガラクタだらけみたいな町で、翼を背中につけて飛ぼうとする場所も、ゴミの山。だけどそういうゴミゴミとしたところから巣立ってみたって、どこに楽園がある訳じゃなし、むしろ過酷な現実しか、そこには無い。 時に鳥の視点に立ったような幻想的な描写を交えつつ、色んなヤンチャをやりながら自由を手に入れていった過去と、閉ざされたような病院の現在とを行き来する、その対比が、映画に起伏を与えます。我々は映画を通じて、ニコラス・ケイジとともにバーディ青年の心を追い求め、それでもフイと肩透かししてみせるラストも、お見事。 彼ら二人の世界には、さらに誰も入れないのだけど、それを外部からそっと支えるカレン・ヤング。どっかで観た顔だと思ったら、ジョーズ'87 復讐篇の奥さん役でしたね、あら懐かしや。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-05-15 08:27:29)《改行有》

197.  ズートピア キャラクターの感情の発露を、セリフをまくしたてて表現するのは、正直、あまりよろしくないような気はします。多分、この慌ただしいまでにスピーディな作品において、緩急をつけるという意味で長々とセリフをしゃべらせたのかも知れませんが。にしても、やっぱりここぞというところでややテンポが崩れてしまい、野暮ったい感じがするのはもったいない。 とは言え、こういう事を言いたくなるのも、それだけこの作品が実にスピーディで盛り沢山、サービス精神に満ち満ちているから。CGアニメーションだから何でも描けるだろう、ったって、ここまでバラエティ豊かに様々な背景をCGで描きまくり、物語を展開させまくっていくというのは、まさに驚くばかり。と、映像が贅沢なら、物語の方も、パロディありギャグあり、成程あのエピソードをそこに結び付けてくるか、と笑うやら驚くやら、とにかく脚本にサービス精神があふれかえってます。 勿論ここには差別や偏見を糾弾するメッセージ性というものもあるのだけど、妙なことには、「先入観で他人を判断すべきでない」というメッセージがここでは、ミステリにおけるフーダニットの面白さとしても機能しちゃったりしてる気がして。とにかくサービス精神に胸が熱くなる一本です。[映画館(吹替)] 9点(2016-04-29 15:31:01)(良:1票) 《改行有》

198.  バンド・ワゴン(1953) 19世紀生まれのフレッド・アステアは、当時50歳を過ぎていて、超人的なダンスとはいかないけれど、それでもターンのキレなどにはさすがと思わされます。比較的長回しで撮られているドラマの部分には、持ち前のスマートな身のこなしと飄々とした表情で応え、一方、ミュージカルの部分は、歌やダンスの腕前を披露しつつ、さらには終盤の舞台公演ダイジェストシーンなどは賑やかなカット割りも加わっての躍動感。 いずれにしても、ここでアステア演じる主人公トニー・ハンターもまた、すでに過去の人となったミュージカル俳優。新作舞台に起用されるも、ファウストを元にしたというヘンテコリンなミュージカルは大コケ。しかしトニーを中心に新しく組み直した公演は大ヒットして、めでたしめでたし。という訳で、他愛ないオハナシというよりも、そもそもオハナシなんてロクに無くって、実際のアステアという俳優と、彼が演じる主人公と、主人公の演じるミュージカルが、互いにシンクロし合う。オハナシなどそっちのけで、何かにつけて歌とダンスを無理にでも押し込み、なかなかに贅沢な趣向です。で、結局は何といっても、やっぱりアステアだよね、ミュージカルだよね、これぞ、エンターテイメントだよね、と。 って言っても、まださほどミュージカル映画を懐かしがる時代でもなかったとは思うのですが、でも実際、こういう軽いノリの作品は作りづらくなっていっちゃう。それを嘆くのではなく、あくまで陽気に往年のエンターテイメントを楽しみ、ときには「楽しい」って何だろう、エンターテイメントって何だろう、ってなことを考えてみるのもよろしいかと。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-04-24 09:02:28)《改行有》

199.  トラック野郎 一番星北へ帰る 新沼謙治はいい人オーラ出しまくってるし、黒沢年雄はキャラ立ちまくってるし(その英語交じりのセリフ、あんた地獄組のボスか?)、田中邦衛に至っては『コンボイ』のボーグナインの生霊が乗り移ってます。という、素晴らしき登場人物たちが脇を固めつつ、何かと事件が起こり、事件が起こればまたそこに、地域ならではのさまざまな風物が織り込まれる。そのテンポのよさ。 そんでもって、メインとなるのは、桃さんと、ある母子との交流。桃さんがいかにも朴訥としていて、それがかえって泣かせるではないですか。失恋した桃さんが最後に挑む大仕事、彼の表情たるや、桃さんここで死んじゃう気なんじゃないかと。まさかね。でもいつになくカーチェイスも激しいような。 というわけで、珠玉の一本です。[CS・衛星(邦画)] 9点(2016-04-13 22:36:39)《改行有》

200.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 これは、宮崎駿監督がニュー・シネマ・パラダイス(特に完全版の方)を作ったらこうなっちゃうよ、という作品でしょうかね。 向うが映画への愛なら、こちらは空への憧れ、いや、空を飛ぶ飛行機の「美しさ」への憧れ。それも、この作品の主人公たる二郎さん、トト君よりもかなりタチが悪い。トト君の場合、ベースとして幼少期以来の映画への愛があったとしても、そこにアルフレードさんとの交流があり、少女エレナとの恋愛がある。だけどこの二郎さん、基本的に飛行機のことしか頭にない。それでも女性には優しかったりして、それも別に打算がある訳じゃなく本当に優しくって、それでもやっぱり飛行機のことばかり考えている、こういうヒトが一番、罪作り。 終盤で、病の奥さんが最後に布団をかけてくれたことにも気づいていない。この場面で、奥さんが寝顔から眼鏡をはずすのが印象的でした。そういや作品自体も、子供時代の二郎さんが眠って夢を見ている場面から始まったんでしたっけ。このヒト、何かとよく寝てる。そして飛行機の夢ばかり見てる。 何よりこの二郎さん、最後にはすべてを失いながら、まるで後悔も反省もしている気配がない。ニュー・シネマ・パラダイスより、はるかにはるかに重症です。 これが宮崎駿というヒトの一面なんだろうなあ、と。ホントに怖いヒト、その怖さが、他人を感動させる。 という自覚症状に向き合い、それを描ききった、総決算のような作品、なんですかね、これは。[DVD(邦画)] 9点(2016-04-04 19:13:59)(良:1票) 《改行有》

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