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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
181. 映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ 《ネタバレ》 ツイッターで大々的に話題になっているのだけど、ネットでの大騒ぎがこの映画にとって幸福なコトだとは思えないのね。作品への感想・評価が大袈裟過ぎて、ここに登場するキャラたちが持つココロと乖離しまくっちゃってる状態じゃない。「何気ない佳作」くらいがちょうどいいポジションだとは思わない? 映画を見るに当たって身構えてしまったけれど、幼い子供向けだけにワリとシンプルね。前半、絵本の中に入ってバリエーション豊かな展開をする割にはどうにも単調で見てるのが結構キツいわ。キャラ1人1人のドラマを深読みしようと試みたけど、それぞれの成り立ちに背景はありつつも基本みんな仲良し良いコ状態なので特に深い闇を見せてくれるとかいう訳ではなくて(当たり前)。ナレーションで全部説明してくれちゃう映画だし。 後半の展開は感動的に描けていたわ。ただ、こういうほのぼのシンプルなデザインのキャラで怒涛の泣かせの展開に走る点に意外性があるわけで、その設定そのものはありがちと言えばありがちね。 ネットで取り沙汰されてる『攻殻機動隊』とか『ジョーカー』とかって、真面目に受け止めない方がいいわ。アタシ個人の印象として近かったのは『学校の怪談』シリーズね。 尺も短いし、何か凄いモノを期待して見るのは間違いかしらね。っていうか平日昼間の新宿ピカデリー、子供はちょぼちょぼ、大きいお友達で溢れかえってたわよ・・・[映画館(邦画)] 7点(2019-11-14 19:38:24)(良:1票) 《改行有》 182. ジョーカー 《ネタバレ》 『タクシードライバー』と『キング・オブ・コメディ』が、つまりスコセッシとデ・ニーロが存在しなければ、この映画も“決して”存在し得ない(だからこそのデ・ニーロのあの役柄なワケだし)って考えると、ちょっとひっかかってしまうのが正直なトコロね。この映画は完全オリジナルなモノとして成立してるワケじゃないのよ、アレもコレも影響受けまくっているのよ、っていうのが見えてしまうから。 でも、ダークな寓話として見応えは十分だったわ。この映画をどう見るか、どう解釈するか、それは受け手に委ねられていて、色々と考えを巡らせることができる深さを持っていて。 コレってホントにあのジョーカーのハナシ? ジョーカーって実はこの人ではない他の誰か? っていうかゴッサムシティって存在したの? この世界で本当にバットマンって生まれるの? っていうかもしかして全部作り話? っていうか映画ってそもそも全部作り話だけど・・・みたいな。これってアメコミ映画っていうよりもむしろ『バロン』や『ビッグフィッシュ』『ユージュアル・サスペクツ』に近いかしら。 そこに堕ちる瞬間、ギリギリの境界を越えるその刹那。それは今この世界を生きる人がなんとなく理解できてしまう、甘美な恐怖。アタシはそこへは行かないわ、とは断言できなくて痛いわ。[映画館(字幕)] 7点(2019-10-25 20:53:00)《改行有》 183. トイ・ストーリー4 《ネタバレ》 『シュガー・ラッシュ:オンライン』のヴァネロペを批判した以上、この作品のウッディもまた批判すべきなのかもしれないわ。 これまでの『トイ・ストーリー』のルールを逸脱した今作。基本中の基本であったおもちゃの持ち主の存在の絶対性を壊して、おもちゃの自由意志で持ち主の選択、また持ち主そのものの有無の選択を可能とするというのは作品世界そのものの破壊にも繋がりかねないわけね。 その選択の肯定のために前作で尊い存在であったハズのボニーを、ウッディを必要としていない雑な性格の少女へと貶めてしまったし(アンディとは扱いが違って、ウッディがいなくなったことをフォローする描写からは目を背けているわ)、そもそも1作目で自分をヒーローだと信じて疑わなかったバズに対しておもちゃであるという現実を諭したそのウッディが、今回の選択をする資格があるのかどうか、ちょっと判らないわ。それはあくまでボニーの選択によるものじゃなくちゃいけなかったんじゃないの?って。見終ってもにょもにょするのよ。 ただ、『シュガラ:オンライン』のヴァネロペは作品自体が前作のルールを無かった事にしているのに対して、ウッディの場合はその選択の直前までは必死に彼の従来通りのアイデンティティを貫いているのね。1作目で現実を悟らせたバズからの言葉によって最後の最後で自由を選択してるの。だからここまで物語を重ねてきた上で、でももう解放されてもいいんだよ、って言われてるようにも思えるし、そしてもう少し残酷に考えれば、もうウッディの役割は終わったとも考えられて。 ここから新たな世界が開ける、のではなくてウッディの到達点というか、終着点。おもちゃの死。それを希望溢れる世界(おもちゃが到達する天国)として描いたというのであるならば、それはそれで納得できちゃうのね。 今回は子供のパーソナルなイマジネーションの世界から遊離したおもちゃの価値とは?っていうのが描かれていたわけで、ウッディとギャビーギャビーの関係を『カーズ:クロスロード』のマックイーンとラミレスの関係的に捉えると、これはウッディの黄昏の物語にも思えて、そう考えるとこれは結構切ないお話なのかしら?と。ならば評価できるのかもしれない、って。 まあ、ここから更に短編だ次回作だとダラダラと続いたとしたら、もう知らないけど。[映画館(字幕)] 7点(2019-07-14 19:37:15)(良:4票) 《改行有》 184. ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 ベースが明らかに『三大怪獣 地球最大の決戦』と『怪獣大戦争』でチャンピオンまつり世代歓喜ワールド、だけど初代原理主義もしくはシン・ゴジラ原理主義の人には向いてなさそうよね、コレ。アタシは怪獣映画なんてテーマだのメッセージだのメタファーだのなんてさして重要じゃなくて、怪獣が出てきてドタバタ暴れてナンボだと思ってるんで、まあまあ面白かったわ。 ただ、人間側のドラマは前作に引き続き退屈。怪獣と人間のドラマは水と油、って何度も書いてきてるけれど、今回も混ぜようと無理してて、でも全然なのよね。いちいち怪獣に近づき過ぎだっての。潰されても仕方ないわよ?みたいな状態になってんの、っていうか実際にそうなっちゃうあの人はアレで良かったのかしら? それなりに名前のある役者さんのあの退場っぷり、『ディープブルー』のサミュエル思い出しちゃったわよ。 悪役の中二病全開な怪獣復活テロの理由とか、核の扱い雑過ぎで被曝しまくりでしょ!って状態とか、怪獣による被害描かれなさ過ぎとか、まあ、ツッコミどころだらけで、だけど良くも悪くもそういういい加減さもまた怪獣映画らしい、っちゃらしいのよね。 地球の守護神的な描き方は平成ガメラみたいだし、傷付いて海の底で休んでるところに潜水艇で助けに行っちゃうあたりは昭和ガメラの世界だしで、ガメラファンも満足? でもやっぱり今の技術で巨大な怪獣がスクリーンいっぱいに暴れてる姿を見るのは気持ちいいのよね。巨大感を意識し過ぎて見辛くなっちゃってはいるのだけど(っていうか一体何が映ってるのかわかんないカットが結構あったわ)、人の力では到底太刀打ちできない畏怖すべき怪獣って存在を迫力いっぱいで見せてくれるのは単純に嬉しいわ。 モスラの美しさ、その役割なんか、よーく判っていらっしゃる、って描き方で(予告編時点ではバトラみたいになっちゃったよー、って嘆いたケド)、それぞれの怪獣のイメージをきっちり守ってみせたレジェンダリーチャンピオンまつりだったわ。 アタシ的にはもっとくだけちゃっても良かったんじゃない?とは思ったけどね。[映画館(字幕)] 7点(2019-06-03 21:19:39)《改行有》 185. アベンジャーズ/エンドゲーム 《ネタバレ》 まずはこれだけの巨大な映画を世に送り出した、その労力を讃えましょう。みなさん、お疲れさま。MCUを創った人々も、それを支えてきたお客さんたちも。 さて、評価はみなさんが色々お書きになられるでしょうから、アタシはごくごく個人的なグチとか戯言とか書いとくわね。ハードなネタバレ注意ね。 結局、「魔法」に対抗できるのはタイムトラベルなのね、とか、前作の生き残り組の人選理由が判った、とか(これまでご苦労様映画だわよね)、MCU全作しっかと見て記憶してないと心からは楽しめないとか(過去作の色んなシーンにリンクしまくるのよね)、次の『スパイダーマン』はクラスメイト全員揃いも揃って5年間消えてたワケ?とか、そういうの色々あるんだけど、何より思ったのは結局このシリーズ、キャップが好きなのねぇ、って。 アタシ、キャップあんまり好きじゃないのよ。正義に対してウザいくらいに真っ直ぐ真面目(堅物)で、だけどバッキーだけは例外ねー、って。何それ。主演作ですら「そうよさっさと盾返しなさいよ!」ってちっとも主役に気持ち乗せらんないキャラで。アタシ社長派だし。 で、最後に社長に花持たせるかと思いきや、あくまでキャップバンザイでしょ。あれだけのコトを経て、キャップだけどんだけハッピーエンドよ?みたいな。充実した人生送りまくりました、って、これだけシリーズ重ねて、犠牲になったのがアタシのご贔屓二人って状態で、よくもそんなラストカットで終われるわね!って。 判ってるわよ、あの6つを返しにゆく道程はそりゃあ大変な、波乱万丈の世界でしたでしょうよ。でも、そこを経た後としてもアレはズルいわ。っていうかエピローグ、バカみたいに長過ぎよ。色々泣けたけど。 まあ、もっとも扱いが悪かったのはソーだけどね。まさか、あのまんまで終わっちゃうとは思わなかったわ。クリヘム、アレで満足できたのかしら???[映画館(字幕)] 7点(2019-04-28 21:16:21)(笑:2票) 《改行有》 186. 劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ 《ネタバレ》 アニメって基本、映画しか見ないので『ユーフォ』はこれまで総集編な1作目と『リズと青い鳥』だけ(2本目の総集編は見てないの)。でも、あとこの作品だけでも問題ナシってカンジね。 っていうか、どうも『ユーフォ』ってドロドロした人間関係がメインになってて、見ていてシンドいのよね。映画見て、じゃあテレビシリーズも、ってカンジにはならないのよね。そのドロドロを延々と見せ続けられるの?って思うと。 『リズと青い鳥』は山田尚子監督のウデでアートに昇華されてキラキラと素晴らしい作品になったけれど(最悪なドロドロ『聲の形』ですら見事にアートにしてみせたワケだし)、山田監督がワキに回ってるこの映画はワリとストレートというか通俗的というか。 山田監督だったら、って思う瞬間もあったけれど、でも、『リズと青い鳥』との棲み分け、って考えても今回はこれで正解なのかもしれないわ。 こちらは久美子という主人公を置きつつも、群像劇で俯瞰した描き方が必要なわけだし。 個人的にはみぞれと希美の、あの後の世界、コンクールでの姿を見られただけでも十分に感動したし。二人ともコンクール場面以外ではチラチラとしか映らず、セリフすら無いような状態だったけれど。でも『リズと青い鳥』(映画)ではごく断片でしかなかった『リズと青い鳥』(曲)をクライマックスでたっぷりと聴かせてくれて、ひとつの完成形を見せてくれたワケで。 でも、この作品こそが『響け!ユーフォニアム』という作品世界の集大成にして到達点・・・というわけでもなくて、そして未来に続く、って状態に、もうちょっと見せてくれない?って思ったりもするのだけど、それは贅沢なハナシなんでしょうねぇ。フィナーレって謳ってるしねー。 っていうか、未映像化な原作が存在してる『けいおん!』の三期すら作ってくんないしねー(『けいおん!』と『ガルパン』は映画から入ってブルーレイ買ってまでテレビシリーズ全部見た数少ないアニメね)。[映画館(邦画)] 7点(2019-04-28 19:26:26)《改行有》 187. ダンボ(2019) 《ネタバレ》 オリジナル版を元にティム・バートン監督のカラーで思いきり膨らませたカンジ。 実写化されてしわしわリアルな感じのダンボってどうなの?って思ってたけど、やっぱり可愛くて健気で泣けて。ダンボが映るたびに泣けちゃうの。 それに、ティム・バートン監督の作品の常連が多く登場していて、バットマンとペンギンが揃ってるってワクワクしたりして。エヴァ・グリーンは相変わらず綺麗だし。 ヘレナ・ボナム=カーターが出ていないのは残念ね。 ただ、物語の主旋律が動物側ではなくて人間側に移ったこと(オリジナル版と違って動物はあくまでリアルな存在で一切会話しなくなったわ)、物語を現代的に発展させたために結果としてオリジナル版の否定みたいな面が出てしまったことには、ちょっと複雑なキモチ。 「象にとっての幸せはショウビズ界で成功を収めるコトじゃないでしょ?」って、78年の時を経て、価値観も大きく変化してるから、それは当然な流れなのかもしれないけど、でもディズニー作品は他のどの映画にも増して普遍性を持っているだけに、自社の過去作を簡単に更新しちゃうのって、どうなのよ?と思っちゃった。 それは『マレフィセント』や『シュガー・ラッシュ:オンライン』でも思ったことで。トシのせいか、『シンデレラ』『美女と野獣』『メリー・ポピンズ リターンズ』路線の方が好ましく感じるわね。 オリジナル版のファンに対するサービスというか配慮は散りばめてあるけど、ちょっとあからさまだったりわざとらしかったり。 コウノトリが赤ちゃんを運んできます、ってのはナシだけど一応コウノトリ出しときますね、とか、象とはいえ子供の飲酒シーンなんてもってのほかだけど、ピンクの象はアトラクションとして入れときますね、とか。ネズミの衣装を脱がせて逃がすあたりはオリジナル版完全否定ね。 ディズニー作品だし、ディズニー出身のティム・バートン監督だから、そんなつもりは毛頭ないハズなのだけど、なんとなくディズニーという企業に対する自虐的な面も感じちゃったりして(それはディズニーリゾート批判か?みたいな)、コレは一筋縄ではいかない映画ですよ、って感じたわ。 それにオリジナル版の、その先を描くことで現代的に発展させたとは言っても、結局『E.T.』フォーマットの作品なのよねー。『バンブルビー』といい、また『E.T.』フォーマットが流行りだしたのかしらねぇ? 何はともあれ、『ダンボ』とティム・バートン監督のハーモニーの妙味を味わってこそ吉、といったところかしらね。バートン監督のフェティッシュなカラーは抑え気味だけど。[映画館(字幕)] 7点(2019-04-02 23:07:57)《改行有》 188. レゴ(R) ムービー2 《ネタバレ》 今回の続編、完全に前作から物語が繋がっていて、それが長所にも短所にもなっているのね。 前作でおなじみのキャラクター達が再び活躍する姿は単純にワクワクしちゃうし、テーマは更に推し進められて深化しているように思うわ。 でも、前作の時点で作品世界の成り立ち、関係性の法則は明らかになっているので、それが前提となっている状態では最初から限界が見えていて、だから作品の広がりや物語の飛躍が前作に比べて薄くなっている印象。 前作のクライマックスでのサプライズから作られている以上、手の内は最初から明かされているワケで、そこから無茶はできないものねぇ。 実写パートの少年に妹ができて、彼女の存在がレゴの世界に影響を与えることになる、前作ラストで暗示されたソレが今回メインになってるわけで、少年の世界と妹の世界を映した話です、っていうのは、もう見てる側も判っちゃってるワケでしょ(実際に今回は最初から実写パートを登場させてるし)、大人しくならざるを得ない部分っていうのが見えちゃってるワケ。 そして兄側と妹側という二つの拠点で構造的に限定された範囲とキャラクターでの展開になって以降、単調でダレ気味になってしまうのよね。前作の、舞台と登場するキャラクターがどんどん広がってゆくカタチとは違って。そこが今回はキビシかったわ。 ちょっと思い出したのは『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』と続編の『リミックス』の関係とか、『くもりときどきミートボール』と続編『フードアニマル誕生の秘密』の関係とか。 っていうか、メインスタッフが『くもりときどきミートボール』と同じ人達ね。コレ、『フードアニマル~』の焼き直しみたいになっちゃってるわ。前作のラストシーンから始まって、主人公に影響を与える人物が出てきて、主人公はその人物と行動を共にし、仲間は別行動。『GOTG:リミックス』も物語はそんなでしょ? クライマックスの展開は前作同様に感動的だし、その発展的テーマはとても納得のできる、いいコト言ってる状態(映画のハチャメチャな内容に比べてテーマはとても優等生的って点でも前作同様なんだけど)。 でも、もうちょっとネタ盛り沢山な展開が良かったかな。この映画の魅力の半分はパロディやバカげたネタにあるワケで、そこが前作に比べると不発気味だった気がするの。 次があるのならば(今回、本国ではコケちゃったらしいけれど)、全く違ったアプローチの作品を期待するわ。[映画館(吹替)] 7点(2019-04-02 20:27:24)《改行有》 189. あの日のオルガン 《ネタバレ》 保母さんと未就学児童の視点から戦争を描いた映画ね。 戦時下、日本への空襲が熾烈になる中、まだ学校へ行っていない子供たちを東京から埼玉へ疎開させた人びと(シリアスな『翔んで埼玉』とか言っちゃダメ)の物語で、実話が元になってるのね。 メインになっているのは人にも自分にも常に厳しい姿勢の戸田恵梨香と、未熟で子供と同次元で生きてるような大原櫻子。 そして子供たちの面倒を見る保母さんたち、子供を預ける親たち。 それぞれの、子供を大切にしようとする姿勢と、それを妨げるように起こる様々な問題がドラマを生むのね。 映画は前半が大原櫻子、後半は戸田惠梨香が主役のような感じで、背景にある戦況の推移に伴って厳しさを増してゆく中で見応えのある演技で魅せてくれるの。大原櫻子の可愛らしい存在感が辛さの中の輝きって感じで魅力いっぱいね。 田中直樹の独特なテンポの中で生きてるカンジの存在感も良かったわ。彼の生死も含めて、結構多くのエピソードが投げっぱなしになった感もあるけど。 この映画、終戦後からいっぱい作られてきたタイプの、ありがちな感じのやつ。戦争があって、日本では多くの犠牲が出て悲しい悲しい、って。そういう意味ではちっとも進歩してないわ。平成も終わりだっていうのに思いっきり昭和よ。 だけど今またこういう映画が必要になっているような情勢になってしまって。いつのまにか、戦争はダメ!って当たり前のことを声高に叫ばなくちゃいけない世界になっていて。 国と国、民族と民族、宗教と宗教、人と人とを隔てて対立するのが当たり前になってしまった世界で、こういう映画が否定され、封じられていかないように、取り違えられた「表現の自由」が大きな声でがなり立てて、本来の「表現の自由」を封殺してしまわないように、気をつけなければいけないわ。[映画館(邦画)] 7点(2019-03-05 20:36:23)(良:1票) 《改行有》 190. ニセコイ 《ネタバレ》 最近TOHO系を避けて松竹系によく行くようになったんで、特報とか予告編とか見せられまくった気がするのよね、この映画。そのたびに、きっとバカバカしい映画なんだろうなぁ、って。 いやもうこんな映画に感動させられたり泣かされたりするのってなんか負けた感じがしちゃって。チョロい、チョロいよ、アタシ、みたいな。 予告編から受けるイメージ通り、あるいはそれよりヒドいギャグタッチのおバカ映画なんだけど、丁寧に作られてるのよね。カメラとか照明とか、ちゃんとしてるの。おバカだからって、決してバカにしてない、手を抜いてない作り。 ニセモノの恋愛の中に本当の愛を見つける内容に符号するように、ニセモノで飾られた映画の中に本気を見せて貰った感じがして。 あり得ない設定やキャラばかりで組み立てられているけれど、そのあり得なさの中にいっぱいのキモチが織り込まれていて、そのキモチに引っ張られちゃうのよね。 ヒロインの強さっぷりと弱さっぷりがとても魅力的で、なんかキモチがシンクロ状態で、友達ノートと『ロミオとジュリエット』とラストで3回泣けたわ。4回泣けますって言いながら1回も泣けなかった映画と対象的ね。おいおい、こんな映画で泣くか~みたいな。 それにクラスメイトのコ達もいいコなのよね。登場人物が多いので、中途半端な、もう少し描いて欲しいな、ってキャラもいたけど、それだとテンポ悪くなりそうだし。それでなくてもちょっとクライマックスのテンポが悪かった気もしたし。 決して素晴らしい名画とか言うことは出来ない、マンガ原作の日本らしいおバカ映画だけど、こういうのもアリですなぁ、としみじみ。この映画でしみじみっていうのもヘンだけど。 そうそう、余談だけど『ニセコイ』のパンフレット、表紙と裏表紙とでデザインが対になってて、中も半分に分かれていて、表紙側から半分は縦書き、裏表紙側から半分は横書きって凝った作りになってるわ。[映画館(邦画)] 7点(2019-03-05 20:16:26)(良:1票) 《改行有》 191. グリーンブック 《ネタバレ》 これがアカデミー作品賞?っていうのが見終わった後の正直な感想ね。 でも、それは別にネガティブなものではなくて、単純に、こんなに判りやすい、ストレートな内容のものが?という意味で。 映画は面白く見られたわ。 黒人差別問題を描いてはいるけど、そこを殊更に強調するのではなくて、雇い主と雇われ運転手のロードムービー、バディムービーとして単純に面白い、という作り。 それぞれが影響を受けて変わってゆく、それは王道って言えるわね。 難しいところは何もなくて、ただ差別の問題はしっかり考えさせるような作りで。唯一、ハッキリとは語らずちょっとボヤかしてあるエピソードがYMCAのところだけど、あのビレッジピープルの歌、西城秀樹がカヴァーしたあの曲の意味も含めて、そのあたりの知識があれば、ああ、って理解できる部分ね。 差別が当たり前、差別は文化として存在している、その異常さを、でもそれを日常生活の中で受け入れてしまっているんじゃないですか?って現実があって。 ただ、そういう感覚は『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』でも描かれていたわけで、この作品がこれまでと違う、特段のものを持っているというカンジはしないのよね。 アカデミー作品賞はその背景に、政治的な意識も働いているのかな?と思ったりもして。 トランプ政権下では、この映画で描かれたことは決して過去のものではなく、今も存在している、むしろまた逆行しているようにも思えるわけで、アンチテーゼ、抑止力としての作品賞?とも思えて。アカデミー賞って多分に時代の影響ってあるわよね。 ファレリー兄弟作品(今回はピーター1人での監督だけど)はバカ映画が多いんだけど、そこにマイノリティ賛歌が織り込まれていたりするわよね。 でも、毎回それが白人、マジョリティ、健常者としての立場からの上から目線的なモノを感じてしまって、必ずしも手放しに受け入れられなかったりして。 そして今回の作品にも少しそういうニオイが無いこともないかな・・・みたいなカンジがしてしまったのも事実で。 ただ、じゃあ差別される側のみで閉塞された状態で創造されたモノならばいいのか?というとそれも違うと思うし、やっぱり色々作られてこそなのよね。 劇中、ヴィゴ・モーテンセンがいっぱい色々食べるので、映画見ていてお腹鳴っちゃって恥ずかしくて仕方ないったらありゃしない。ギュルギュルすっごい音させてんの。[映画館(字幕)] 7点(2019-03-05 20:02:05)(笑:2票) 《改行有》 192. アリータ:バトル・エンジェル 《ネタバレ》 設定とか物語とかはともかく、アリータが徹底的にかわいい!、それだけで満足ね。 予告編だけ見るとデカ目アプリの画像みたい・・・なアリータだけど、実際の映画では大変に可愛らしくて。リアルなんだけどリアル過ぎない、なんとなくマンガな感覚を残してあります、ってカンジで。ちゃんと女の子っぽい仕草とか動きとかするし。実写人物との画的な融合がイマイチなんだけど、でも、そういう違和感も含めてコレが正解な在り方なんじゃないかな。命を与えられたCG、だものね。 ロボッ娘好きなアタシのツボをしっかと捉えたキャラなのね。正確にはロボットじゃなくて草薙素子と同様のサイボーグだけど。 話はかなり前のマンガが原作なせいもあってめちゃくちゃありがち、上が天国、下は地獄、なんて。 脚本はいっぱい詰め込み過ぎちゃってて、ダイジェストみたいで、見せ場の連続過ぎちゃってて、逆に一本調子な印象だったりして。未消化過ぎじゃあありませんか?みたいな状態だし。 大体、この設定だったら当然主軸は上を目指してゆく物語になると思うじゃん。だけど最後まで上は目指さないのよ。その役割はお兄ちゃんの方で、でもその志向についてはあくまで否定的スタンスで。 映像は色々凄かったりして、だけど未来のディストピアものって大体似たようなイメージよね、って思ったりもして。スラム街が『レディ・プレイヤー1』で見た風景に大変よく似ておりますわね、みたいな。ゲームの内容はほぼローラーボールだし。 でも、ロバート・ロドリゲス監督らしい激しいアクションの連続で、IMAXの大画面いっぱいにアリータがカッコいいアクションを繰り広げまくるので、彼女のヴィジュアルを堪能するには最高な映画ね。 設定とか物語とかはともかく。[映画館(字幕)] 7点(2019-03-05 19:45:06)《改行有》 193. 翔んで埼玉 《ネタバレ》 ジャパンプレミアにて鑑賞。 埼玉県をdisるネタ映画、バカ映画。そういうイメージが先行してるし、実際そういうカオを持って作られてはいるんだけど、でも、意外にもちゃんとした映画なのね。映画として物語にしろテーマにしろ演技にしろ真面目にしっかりと作ってありますよ、という状態。なのでこちらも妙に真剣に見てしまったわ。 設定はもちろん、今のこの世界を舞台にしてるワケじゃなくて、フィクション、作り物、嘘で固めた世界なのだけれど、埼玉を始め、東京、神奈川、千葉、茨城の現実の地域性を反映しているのね(群馬だけは別)。なのでそこで判る判るって笑える、のは関東の人限定かなぁ。県単位だけではなくて、市町村単位でのネタが仕込まれているので、その違いが関東圏以外の人はあんまり判んないと思うのね。へえ、そういうモノなのね、って笑うコトはできるでしょうけど。 でも、それを大きな欠点、ハンデにしていない作りで。 (本来の意味での)コスチューム・プレイ映画だけれども、その意匠が見事に映画の世界観を表わしていて。二階堂ふみの優雅で華奢なシルエットも、GACKTの耽美っぷりも、伊勢谷友介のクサいまでのクールさも、徹底的に大真面目にやっているので、笑えるけれども同時に魅せられて。それはヅカの世界に似て、実際に冒頭の学園部分なんか、明らかに宝塚歌劇団と宝塚音楽学校をリスペクト(ってゆーかパロディ)してて。アタシはコレ、ヅカで見たいとか思っちゃったわよ。あの役は何組の誰で、みたいに空想したりして。二階堂ふみはまるで月組『All for One』で愛希れいかが演じたルイ14世みたいだったし。 GACKTなんか、ずーっと出てて、ずーっと演技してて、ああ、ここまでできる人なんだ、って感心しちゃったわ。 それぞれの濃いキャラが織り成す一大絵巻って風情で、一部画的にチープだったり、ユルかったりする部分がない事もないけど(ハンパに物語から消えて行方不明なキャラいっぱいだし)、でもよくぞここまでやった、って褒めたい映画ね。公開の折にはツッコミどころ満載っぷりまで含めて存分に楽しんで欲しいわ。[試写会(邦画)] 7点(2019-02-07 20:21:47)(笑:1票) 《改行有》 194. 十二人の死にたい子どもたち 《ネタバレ》 堤幸彦監督の映画、バカバカしいハイテンションっぷりで大体どれも嫌いなんだけど、残念ながら?この映画はかなり堪能してしまったわ。 この映画で重要なのは自殺志願者は12人なハズなのに何故か13人目の死体があって、一体それは誰でどうしてそこにあるの?ってミステリー部分、ではなくて。 大切なのは12人それぞれ、どうして死にたいの?という点。そこに思いっきりキモチを向けて見ていたので1つ1つが沁みたわ。 もちろん、中にはそんな理由で死にたいの?っていうのもあって。後追いとか、当てつけとか、操り人形みたいな立場からの離脱とか。でも、それをバカバカしいって片付けられる? 実際にそういう理由で死んでゆく人達が存在しているのもまた事実なのだから。 それぞれの痛みに向き合って、まるで感情のアトラクションムービーの如く翻弄されて。 死にたい理由を見てゆくと、例外もあるけれど、多くが「大人がダメであるがゆえの若者の絶望」に繋がっているのね。親が原因で死のうとするコ達が何人もいて。そこからは子供に対する親の無責任、大人の無責任が見えてくるのね。若者を死なせてしまう社会、世界。それが正しい訳はなくて。そこに想いを向けてこその映画ね。 『人魚の眠る家』と同様にドローンを嬉々として使ってまーす、って状態を始めとして、堤演出は必ずしも正解とは言えないし、ドラマの浅いキャラ、もっと詳細に描いて欲しかったドラマもいっぱいあって、それは不満ではあるのだけど、でもまとまり方としてはこんなカンジでいいのかな。もっとドロドロ重厚で長尺で、なんてモノが必要だとも思えないし。 杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、黒島結奈、高杉真宙の若手ながら経験豊富な5人が映画を支えて、個性的な7人(+1人)が彩るカタチで、若い人達だけで見応えのある作品世界を創造していると思ったわ。 個人的にはゴスロリ少女な古川琴音に魅かれたわ。彼女に対して「あなたは何故死にたいの?」って思ったところから映画にキモチが入っていったようなカンジで。一方、橋本環奈嬢はもう少し撮り様があったんじゃない? 「1000年に一人の美少女」の撮り方としてはあまりに雑ね。 大切にしないといけないコトを茶化すことなく描いたという点で今回は安心したわ。[映画館(邦画)] 7点(2019-02-06 19:55:58)(良:1票) 《改行有》 195. ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 QUEENの、フレディの存在そのものが伝説、神話のようなものなので、その映画が退屈なわけはないわ。それはもう、約束されていたもののようでもあって。 フレディの個性も愛も孤独も想いも痛いくらいに流れ込んできて。涙なしでは見られない・・・と言いたいところだけど、でも、そのフレディが、そしてQUEENが生きた時代、生きた世界がむしろ熱く、力強く感じられもして、その伝説の神々しさを堪能できたわ。 ただ、映画として見事!ってわけではなかったかな。 こういう流れの映画って割とあるでしょ。『コミットメンツ』とか『ランナウェイズ』とか『ジャージーボーイズ』とか。それらに比べて特に優れてる、とかいうことはなくて。むしろ凡庸な作りよね。 短いカットが繋がっているのは時として煩わしいし、会話シーンでの単調なカットバックはもう少しなんとかなんなかったのかしら。 日本との縁が深いQUEENなのに、そこに殆ど言及しないあたりも日本人としては不満だし。 そして、映画全体は事象の映像化に終始してるカンジがして。 個人的には曲が成立してゆく過程を行為として描くだけでなくて、その曲が何故、どういう意識、キモチから生まれたのかが見たかったわ。天才の生は見せてもらったけれど、天才が天才である証、才能の湧きでる泉はブラックボックスの中に収まったままだったなぁ、って。そこに手が届いてこそ、映画は映画だからこその高みを見いだせると思うのだけれども。 結局、映画の中にあったスゴさはひとえにQUEENのスゴさよね、と思わざるをえないのね。 でも、自分がリアルタイム世代だからって、コレが自分達のためにだけある映画!とかいう了見の狭いコトは言わないわ。ここから新たにQUEENを知って、親しんでゆく人達がいるとしたら、それって絶対に悪いコトじゃないものね。[映画館(字幕)] 7点(2018-11-14 19:53:42)(良:1票) 《改行有》 196. ビブリア古書堂の事件手帖 《ネタバレ》 文学的なるものの映像化、という点で、とてもよくできた映画だったと思うわ。 文学世界を映すような、静かでしっとりした映像にウットリ。 過去部分の、東出昌大と夏帆のドラマの、ひたすら抑制された演技、淡い色調、明確なコントラスト。どれもとても美しく。 それに対して現代部分の、黒木華と野村周平のドラマはモノトーンとカラフルの対比、静と動の対比で面白く。 ここまで気持ちいいレベルのライティングの映画って、なかなかないわ。 そういう、技巧を凝らした世界の中で文学について奥行き深く探ってゆくような作風がとても楽しく、また心地良く。 肝心のクライマックス部分、真実が明らかになる部分が、なぜかとても陳腐になってしまって、あそこさえなければ今年のベストテンに入るくらいに良かったのに、って感じで本当に残念。なんであの伏線が張ってあった仕掛けをオチにしなかったのかしら? アレだけで十分で、その後のカーチェイスと堤防のアクションは完全に蛇足、アレで映画がすっかり弛緩しちゃったわ。 それでもここ最近の邦画の中ではかなりハイレベルな作品ね。他が酷いの多過ぎなのだけど。 そうそう、これを見る前に森田芳光の『それから』を見ておくべきなのかもしれないわ。アタシは見た事がないのだけれど・・・[映画館(邦画)] 7点(2018-11-01 20:21:15)《改行有》 197. バーバラと心の巨人 《ネタバレ》 見ていて色々な映画を連想して。 『怪物はささやく』みたいな映画? 『ウエルカム・ドールハウス』とか? 『乙女の祈り』だったり? 『スウィート17モンスター』とか? 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』的な? って。どれがどうでした、なんて言わないけど。 バーバラはかなりおかしなことになっちゃってて(見たカンジほとんど統合失調症ね)、周りの人達もバーバラに振り回されて、困ってしまっていて。 そんなバーバラの世界は、舞台になる海辺の街の、美しくも寒々しい風景に彩られて、彼女の心を表してゆくの。 なぜバーバラの世界はそんななの? 理由が明らかになると、その切なさに胸が痛くなるわ。 そこをハッキリさせ過ぎ、説明し過ぎなカンジはあるの。もっと曖昧な方がバーバラという少女の奥行きを感じさせたんじゃないかな、って思うわ。でも、自分にもあった体験だけに、そんなバーバラの心象風景がよくわかって。 バーバラ個人の心だけでなくて、バーバラの家族それぞれの心もそこに反映されていて、それはとてもつらいのだけれども、そこにある優しさを信じられる、信じたいって思ったわ。 バーバラとソフィアのコンビが本当に可愛らしくて、いい感じだったので、そこはもう少し見ていたかったな。 それにしても邦題を付けた人は何考えてるのかしらねぇ? バカなの? 映画はそこをずーっとぼやかして描いてるでしょ? なんでタイトルで断定しちゃってるの?[映画館(字幕)] 7点(2018-10-22 19:24:23)《改行有》 198. アントマン&ワスプ 《ネタバレ》 面白かったけれど、前作のようには手放しに楽しめるモノではなかったわ。 前作はマーベルユニバースの知識なんて一切無くたって一本の映画として楽しめたけれど、今回は最低でも前作と『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』と『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』を見てないとワケわかんない事だらけ。いちいち記憶を辿らなくちゃなんないの、メンドくさいっての。 で、いつになったら本題に入るの?って、そこが本題かい!って、ソレが『ベイマックス』のクライマックスをまんま持ってきたようなシロモノ。 ワスプは期待したほどじゃない存在だし。相方としてもヒロインとしてもハンパなポジションで、単独で行動してる時の方が魅力的っていう。っていうか、ビジュアル的に微妙なのがねぇ、なんとも。 笑えるエピソードがいっぱい散りばめてあるのはいいわ。『インフィニティ・ウォー』が重くて暗い映画だったから、明るく楽しいマーベルヒーローってのはありがたいコトで。相変わらずペーニャがいいよペーニャ。あとお留守番蟻。 主人公と、この映画自体が、どちらもアベンジャーズって存在のせいで振り回され、縛られちゃってるわけだけども、後者は少なくとも皮肉じゃなくてマジでそうなっちゃってるのがなんともねぇ・・・[映画館(字幕)] 7点(2018-09-06 20:44:55)《改行有》 199. 君の膵臓をたべたい(2018) 《ネタバレ》 実写版を見てなければ、も少し楽しめたかもね。 迫ってくるモノが実写版ほどではない、なんとなく軽めな印象を受けたのは、見ているこちらとキャラとの距離が実写版よりも遠く感じたから。 作画はキレイだけど、シャープでありがちなデザインのキャラが、ちょっと冷たく感じられて。も少しキレイなだけじゃない、アクセントのあるデザインだと良かったかな。コレこそがアニメ版『キミスイ』のキャラ!っていう、愛着っていうか、個性っていうか、生命感っていうか、そういうのが足らない感じがねぇ。 あと、実写に比べるとアニメのキャラはどうしても存在感に限界があるんで(実写版の浜辺美波と北村匠海が印象的だっただけに)、それを補う映像の工夫があれば、って思ったわ。山田尚子監督レベルの表現力を求めるのは酷だろうけど。 桜良の家でのちょっと際どいコトになるシーンなんか、劇場版『マクロス』のミンメイのシーン思い出しちゃって、進化してないわねぇ、っていうか、妙にオヤジ臭い視点でヤだわぁ、って思っちゃたわ。 アニメ版の喪失感の弱さなんかは、実写とアニメの違いだけではなくて、脚本や演出の差にもあったようにも思って。アニメ版はちょっといじり過ぎちゃってたかも。『星の王子さま』なクライマックス、アレは「死んでませんよー、生き続けてますよー」って主張してるようで、だけどそこ曖昧にしたから救われるってハナシじゃないしねぇ・・・ でも、実写版には無かったエピソードが色々あって、実写版と合わせて『君の膵臓をたべたい』の世界を更に深く味わうことができたってカンジ・・・やっぱり切ないんだけどね・・・[映画館(邦画)] 7点(2018-09-06 19:41:24)《改行有》 200. マンマ・ミーア!/ヒア・ウィー・ゴー 《ネタバレ》 前作の良くも悪くもユルいノリ、今回もアレを予想してたら冒頭からショッキングな展開で、そのショックが最後までずーっと続いて切ない、切ないわぁ。 その切ない物語のためか、前作と違ってキッチリ作られてる印象。過去と現在とを頻繁に行ったり来たりするけど混乱する事のない構成や、ポイントポイントに印象的な映像を挟み込むキレイなカメラ。 笑いも散りばめられてはいるけど、でもかなりマジメに母から娘へと継がれてゆく物語が紡がれてゆくのね。まあ、3人のうちの誰が父親か判らない、ってところを映像化するにあたっては、それなりに無理のある展開であった気もしないではないけれど。 リリー・ジェームズとアマンダ・サイフリッド、それぞれの魅力がキラキラしていて、でも一方でベテラン俳優達の重ねた年齢が表れていて、映画のテーマにシンクロする感じで時の重さをずっしりと感じてしまって、あー、シンドいシンドい、って。 シェールはちと余分だったかな。初登場でクライマックスをさらってゆくだけの意味は感じられなくて。 前作がABBAの歌にのせてリゾート気分をエンジョイする映画ならば、今回はABBAの歌にのせて時の流れと人の生を顧みるシリアスな映画だったわ。[映画館(字幕)] 7点(2018-09-05 21:44:33)(良:1票) 《改行有》
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