みんなのシネマレビュー |
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2281. ロリータ(1962) 小悪魔さと理性の仮面の下で見え隠れする欲望。共にリメイク版の生々しさには遠く及ばず期待外れです。一方でロリータの母が注ぐ愛情はハンバート同様、籠の鳥を愛でるような歪さで、その痛々しさを体現しているシェリー・ウインタースの好演はリメイク版に優っていました。 【2018.5.8追記】 「ジョージー・ガール」鑑賞で本作が思い浮かび早速再見。 9年前にはジェームズ・メイソンのベルベットボイスを感じ取れず、キャストの中で記憶に残らぬ人だった(あ~不覚!) 母の死を知り「独りにしないで」と泣くロリータを抱っこするシーンが当時の映倫(?)上の限界だったと思われる事を差し引いても、欲望の生々しさでは今回もジェレミー・アイアンズには及ばない。しかし、泣きながらお金を渡すシーンに象徴される情けなさ、憐れさは、どのような人物でも生真面目に全力を尽くして表現するジェームズ・メイソンが断然上回る。 裏切れば裏切られる、どれだけ愛されても愛せない、どれだけ愛しても愛されない。この世の摂理を改めて実感させられた次第。 前回より2点上積み。[DVD(字幕)] 7点(2009-10-05 23:59:13)《改行有》 2282. サウンド・オブ・ミュージック 規律や戒律は人情味を持ち合わせている上に成り立つ事を、大佐、子供たち、マリア、院長の関わりから再認識させられます。明るく、大らかに振舞う事は勇気がなければ出来ません。次世代に語り継ぎたい名作です。【2017.8.20追記】ここ3ヶ月クリストファー・プラマー出演作品を鑑賞して満を持しての再見。感慨無量のひと時に酔いしれました。[DVD(字幕)] 9点(2009-09-30 01:15:11) 2283. 卒業(1967) 子供心に憧れを抱いたラストシーン。今観るとただの子供騙し。全てを親にあてがってもらう金持ちボンボンが持った自らの意志が母娘の掛け持ちとは。笑わせるにも程がある。ホイホイ付いて行くエレーンにも失笑。他者への配慮が皆無な行動を「若気の至り」「体制への反抗」とうそぶき、時代の象徴と美化する点に虫唾が走ります。感想が180度ひっくり返った稀有な作品です。[DVD(字幕)] 1点(2009-09-28 17:50:33) 2284. トップ・シークレット 荷車の牛が A HARD DAY'S NIGHTを歌うシーンを筆頭にクスッとさせられるところは多々ありました。しかし、ボクシングの試合でダウンシーンを待ち望んでいたのにジャブの応酬だけで終わってしまったような作品でした。[DVD(字幕)] 4点(2009-09-27 00:50:22) 2285. 沈黙のテロリスト チープなストーリーにデニス・ホッパーの嫌らしさも活きません。サイズモアと御大セガール揃っての「よっこらしょ」と掛け声の要りそうなノッソリした身のこなしが緊迫感を決定的に削いでおりました。[地上波(吹替)] 2点(2009-09-26 22:01:10) 2286. ダーティハリー 「法で裁けぬなら俺が裁く」豪腕刑事ものではピカイチの作品。自らに課した一線を越えてしまった裁きに責任を取ってバッジを投げ捨てるラストにハリーの誇り高さを見ました。クールな彼の歯止めを効かなくさせたさそりは映画史上空前の悪人。「俺には弁護士を呼ぶ権利があるんだぁ・・」「漕げ漕げ漕げよボート漕げよ♪・・・」は忘れようにも忘れられません。[地上波(吹替)] 7点(2009-09-26 17:32:18)(良:2票) 2287. 切腹 《ネタバレ》 生き恥を晒す事を良しとしない侍、妻子の為に恥を忍ぶ侍、竹光で切腹を強要する情けを見せぬ侍、お家の体面第一に幕を引いた恥を知らない侍、主君に忠義を立てて切り死にした家臣達。それぞれの境遇での武士としての価値観が、見事な脚本、端正な映像、重厚な演技により浮き彫りにされます。半四郎の覚悟が那辺にあるかが明らかになるまでの息詰まる緊迫感、明らかになる瞬間の鬼気迫る姿は何度思い返しても痺れます。結末に、皆が絶対的な善にも悪にも断ぜられなく、詰まるところ「恥」が命のやり取りになってしまう武家社会そのものの功罪に考えが及ぶ作品でした。[映画館(邦画)] 9点(2009-09-23 21:04:36) 2288. チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 こんな不条理な事件が実話とは。警部、精神病院の医師、ニセ子供に対して・・・活字に出来ない憤りでワナワナ。「もう、観てられない」とそれが頂点に達した時に、希望の光となる事実が発覚。母が良心ある人々の助けを受けてゲス共との喧嘩に最後に勝利。やり切れない結末。展開に私の血圧は乱高下を繰り返しました。どの作品でも抜群の存在感を示すマルコヴィッチに感心し、「母親の唇、何処かで見たことあるけど・・・?」本サイトで、昔サメをも殴りつけていたアンジーと知り好演に仰天です。実に見応えのある作品でした。[DVD(字幕)] 8点(2009-09-22 01:41:17)(良:1票) 2289. 灰とダイヤモンド 《ネタバレ》 学生時代に一度だけ観ましたがよ~く覚えています。年月を経た今も加点要素が無い作品です。ドイツに替わって居座ったソ連に抵抗する組織の末端でコソコソと人殺しに精を出すマチェック。それは自らの意志での事。国家の為という大義はウスッペラ~イ代物である事が窺えるウエイトレスとの係わり、ソ連兵の手にかかる因果応報な最期までベタな展開。人を殺して灰にした者の灰の中にダイヤモンドなどあるはずがありません。思わせぶりに辟易。全編に亘りナルシスト臭プンプン、キモチワルイ。[映画館(字幕)] 0点(2009-09-21 16:44:04)(笑:1票) (良:1票) 2290. 恐怖のメロディ 展開は見え見えでしたが、イーストウッドを苦しめるストーカー女の圧倒的な存在感が光ります。さすがに度が過ぎてはいますが、尻軽男がお灸をすえられている部分は自業自得であり、怨念と憎悪と恐怖の三つ巴の戦いに胸が高鳴ったのですが、あてが外れました。 淡白に過ぎるクライマックスでした。[DVD(字幕)] 5点(2009-09-20 21:36:27) 2291. RONIN 子供が小さい時でデ・ニーロ観たさに万障繰り合わせて鑑賞したのですが、その甲斐がありませんでした。タイトル、キャラクター、展開、全てが思わせぶり。結末はお粗末。多数の有名人を広告塔に使用した悪徳商法の口上のような作品でした。個人的な思い出の部分に1点。[映画館(字幕)] 1点(2009-09-20 12:10:35) 2292. ブリット 子供時分の記憶が微かに残っていただけはあるカーチェイスシーン、緊迫感に握りこぶしを作って見入っていました。このシーンも含め全編に亘って漂う硬質な空気はマックィーン特有のものです。本作ではいでたち・身のこなし以上に目力が素晴らしく、恋人になじられた際の眼差し、チャーマースを撥ね付ける眼差しに惚れ惚れしました。脚本がどうにも拙く作品として4点が限度。残念です。[DVD(字幕)] 4点(2009-09-19 23:39:13) 2293. 地獄の黙示録 特別完全版 不完全な所を補う何かがあるのだろうかと6年前に観ました。慰安婦さん、カーツの如き仏人入植者からも何も観るべきところはありませんでした。だらだらだらだら時間をかけている愚劣さにオリジナルから-1点。[DVD(字幕)] 0点(2009-09-19 13:15:40)(良:1票) 2294. ザ・シークレット・サービス ほぼ私が想像した通りだったひねりが足りない展開はいけません。しかし、マルコヴィッチのベストアクトと言える、映画史に残るような不気味な犯人がそれを補って見応えのある作品としています。[ビデオ(字幕)] 5点(2009-09-18 15:47:54) 2295. お吟さま(1962) 妻を持つキリシタン大名の高山右近と千利休の娘(実の娘ではない)吟。双方が思慕と倫理観の狭間で錐揉みする姿のみ描かれていれば辟易したことでしょう。しかし、秀吉・三成と千利休の確執が盛り込まれている事で奥行きの深い物語になっています。とりわけ千利休が示した娘に対する慈愛の深さ、宗匠としての巌の如き威厳。それぞれの神々しさは神の領域でした。結末の理不尽さ・非情さを際立たせる音楽、桃山文化(ですか?)の凛とした気品が漂う衣装も心に残る、一級の作品です。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-09-18 14:57:19) 2296. コン・エアー 《ネタバレ》 暑苦しい、むさ苦しい、やかましい、馬鹿な犬ほどよく吠える、善悪ひっくるめたキャラクターが始終ドッカン、バッタンと大暴れ。その中で、女の子とのお人形遊びに怖くて震え上がりはしましたがブシェミに一陣の涼風を感じました。妻子のために人や街を破壊するのはこの手のアクション物にはつきものです。破壊の限りを尽くしめでたく再会というラストシーンは本作に相応しく「これでいいのだ」と言いたいところですが、ブシェミを野に放つなんて・・・怖すぎます。[ビデオ(字幕)] 6点(2009-09-18 02:32:09) 2297. にっぽん昆虫記 生きるためには誠実さや倫理観などクソくらえ。自身が味わった理不尽さを他人に味あわせ、しっぺ返しを食らう主人公が見せる食うか食われるかの生き様がタイトルに相応しい。虫けら並みの交尾であっても子孫を残せばよい、では世代が進むにつれて人間の質と民族の文化が退化していくのだと思います。本作が殊更に見せ付ける「生きる」が人間の力強さとして描かれている事がこの上なく不快でした。[ビデオ(邦画)] 2点(2009-09-17 18:47:13) 2298. 地獄の黙示録 共に戦争で頭がおかしくなっちゃった犯罪人カーツ、処刑人ウィラード。ミッション過程における、それぞれのエピソードをこれ見よがしな演出で描く事により戦争の「狂気」を際立たせようとしているのでしょう。チープな発想とリンジョウカンが噴飯モノです。そもそも戦争などどのような大義を掲げようと正気の沙汰ではない行為なのです。本作の「狂気」などその大義すらカケラも見当たらないという点での失笑・嘲笑でしかないウスッペラ~イものなのです。おかしな者同士の「どーにでもなれ」と言わんばかりのヤケクソ感漂う結末に、立ち見での鑑賞と相まってグッタリ・ガッカリした事は今も忘れられません。大枚をはたいて作り上げたという事ですが、桁違いの額の税金を使う本物の戦争に比べれば「愚劣」さも他愛ないと思えるところに1点加算。[映画館(字幕)] 1点(2009-09-17 00:16:14)(良:1票) 2299. ニュースの天才 《ネタバレ》 人情味があるだけでは上司は務まらない事を新旧二人の編集長が示しています。化けの皮を剥がされた小賢しい小僧のウジウジとした往生際の悪さに、チョロチョロするゴキブリをスリッパ片手に追い掛け回している時のように血圧が上がりました。これは役者の好演の部分もあるのでしょうか。しかし、本作が実話とは・・・したたかなのか、恥を知らんのか、唖然とします。[DVD(字幕)] 3点(2009-09-16 00:09:03)(良:1票) 2300. 怪談(1964) 色彩が言葉に表し難い素晴らしさであり、容赦ない厳しさと幻想が混ざり合った光景が、触感にまで迫ってきます。そして、登場するそれぞれが抱く無念の計り知れない深さも胸に押し寄せてきました。スタッフが作り上げた極上の舞台で豪華役者陣が入魂の演技を見せる。相乗効果が傑作を生み出しており、映画という文化の良さを実感させられる作品です。肩透かしを受けた四話目が割愛されていれば満点でした。[映画館(邦画)] 8点(2009-09-15 00:12:48)
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