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プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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2681.  灰とダイヤモンド この作品が何故これほど、ツラく哀しいのか、それは、歴史に使い捨てされる、消耗品としての人間、その最後の静かな、しかし精一杯の生のアガキがここにあるから。戦時下で死んでいった者がいれば、死にそびれた者もいる。一方では彼らをヨソに、新しい世界が始まりつつある。「死にそびれた」主人公は、若くしてすでに年老いているようにも見える。虚しい殺人。死体を見下ろす花火。せめてあのように華やかに散ることができればよいのだが・・・。ひとつの時代の終焉を描き、時に見せる、すべてを透視するような冷徹なカメラの視線が、なんともコワイ。そう、これはコワイ映画だ。[CS・衛星(字幕)] 10点(2007-11-22 07:34:51)

2682.  メメント この10分しか記憶が持たないという主人公、別に特殊な存在ではなくて、日々何の学習効果も無く右往左往、迷走しながら生活している我々の、ちょっとだけ極端なケース、かもしれませんなあ。我々も他人様から見れば、まるで「10分しか記憶が持たない」かのような場当たり的な考え方、行動を取っておるわけです。もう少し記憶力というか学習能力があれば、もう少しマシな人生を歩み、もう少しマシな社会を築くことができるのかもしれないけど、だからといってそれが幸せかどうかは、わからん、と、そういうわけですね。まあ、ミステリとしても面白い映画でしたが、この構成を本当に活かせるほど、個々の映像の印象が強くはなかった、構成負けした感じが、ちょっと物足りない点ですかね(例えばこの映像に、“記憶が持たない”という焦燥感のなり絶望感なり、何かを感じ取れるだろうか?)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-11-22 06:51:41)

2683.  レザレクション(1999) そのまんま版『占星術殺人事件』ってな感じ。いや“そのまんま”というのは、パクリという意味ではなくて、ヒネリが無いというか、“ウラのウラはオモテでした”というか。いやしかし、これはこれで面白かったりする。犯人は誰か、という点をラストまで引っ張らずに途中で犯人を明らかにしたり、子供を失った主人公の苦悩がラストに繋がったり・・・と言っても、明らかに消化不良。普通ならもっとドキドキしそうな場面で、イマイチ気分が盛り上がらない。ヘンなテンポの良さがやや裏目、かも。[地上波(字幕)] 6点(2007-10-21 10:02:12)

2684.  H.G.ウェルズのS.F.月世界探険 いつになったら月に行くんだよ~、と散々待たされる前半。ホントに月ぐらいには行けそうな研究を多少なりとも展開してくれりゃあ、それなりに面白かろうけど、コメディ風にゴマカサされたんでは、この余りに長い前置きは、ちとツライ。後半、やっと月に到着。月には地下基地があり、謎の異星人が。子供に異星人の扮装をさせただけなので、ひたすら弱い。そして巨大イモ虫の襲撃。今度は強そう、危うし!と思いきや、あっというまに巨大イモ虫は異星人にやっつけられる。そこで驚くべき事実が判明する。なんとこのイモ虫には骨格が、脊椎があるのだ。何と脊椎動物だったのかあああっ。動物の系統樹を見てもわかる通り、動物は大きく、先口動物と後口動物に分けられる。この両者は進化の初期に分化しており、前者の頂点に立つのが節足動物、後者の頂点が脊椎動物。地球上では最もかけ離れたと言ってもいいような両者の特徴を併せもった生物が、月にはいたのである。恐るべし。その他その他、・月面のシーン、地平線上に地球が見えているが、彼らは月のどこに着陸したのか?月は常に地球にほぼ同じ面を向けているので、普通に地球から飛んできたのなら、地球は真上に見えるのでは? ・太陽は地球に隠れる「地球蝕」がよくわからん。なぜわざわざ月食のタイミングで月旅行するのか?計画性無さ過ぎ。ってか、そもそも必要なシーンか? ・とかいうツッコミは、やめましょう。とりあえず、あんまし盛り上がらない映画でした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2007-10-21 09:51:02)

2685.  モスキート・コースト 初めて“独りで”観に行った思い出の作品。ですが実は「当時、あんまり話題にならなくて、誰も誘えなかった(私一人、観たい観たいと盛り上がってた)」という事の裏返しなんですけどね~。ピーター・ウィアー監督は、前作『刑事ジョン・ブック/目撃者』で、現代文明を拒絶する人々、アーミッシュを取り上げてましたが、今作では逆に、科学技術を信奉する変人発明家が主人公。前作ではまだ若干ヒーロー色の残っていたハリソン・フォードがユニークな役作りでこの変人役に挑戦しております。この主人公もまた、現代社会から距離を置いた特異な存在、映画において現代社会を相対化し批判的に眺める存在である点は、前作のアーミッシュと同じとも言えます。彼は雇われの身でありがら、雇い主の要求に応えず自分の発明に没頭。資本主義に対して批判的、米国社会を憂いているが、購入しようとしたテープが日本製と知ると「国産品を出せ」と怒るあたりを見ると、愛国者には違いない。父なる国を愛する余り、その現状に耐えられない彼は、自分の理想実現のため、全てを投げ出しジャングルへ移住。家族もこんな親父によくついていく。食器洗いの最中に引越しという突拍子の無さにも、妻は笑顔で帯同する。さて、いよいよジャングルに移住した一家、親父の発明品の数々に囲まれた、理想の村をここに実現していく。この辺の描写は、「本当にこんな事実現できるの?」というツッコミは抜きにして、「発明」なる香具師的イメージが生み出すファンタジー世界、ユーモラスな味わいがあります。密林の中の巨大冷蔵庫。ちょっと“フィツカラってる”映像ではありませんか。しかし、“宗教”あるいは“銃(武力)”といった外部からの侵入者の前に、理想世界は挫折していく・・・。主人公が忌み嫌った「押し付けがましいアメリカ国家」、しかし結局は彼自身が家族にとって、その「国家」と同じ存在になっていく。父権を乱用し、意志を強制し、仲間を野蛮人呼ばわりし、果ては息子を裏切りもの呼ばわりする・・・。映画のラスト、主人公の息子の独白は、父を愛し、父を受け入れ、その上で「僕の世界は広がった」と語る。つまり、我々もまた、父なる国家を、その欠点を認た上で愛せよ、そして視線は自国に偏ることなく世界へ向けよ、ってな感じのメッセージ、ですかね。まさかこの息子が父と同じ“インディ・ジョーンズ”になっちまうとは、当時想像もしませんでしたが。[映画館(字幕)] 9点(2007-10-21 09:09:57)(良:2票)

2686.  アラビアのロレンス 完全版 そういうわけで(どういうわけ?)、やっぱり、結局、何だかんだ言っても、とどのつまり、この映画、なんですねえ。わたしゃ実話の映画化ってのにどうもヨワイんだけれども、ロレンスが実在の人物とかいうことより、あの砂漠が実在の光景、ってことの方がはるかに重要。壮大、広大、圧倒の世界。こうなりゃ当然、そこに騎馬隊、騎ラクダ隊(?)でも疾走させて、膨大なるマスゲームでも展開させたくなるのが、スペクタクル映画。しかし砂漠はビクともせず、すべてを飲み込む。アラビアの独立のため、なんぞという「個人の」野望なんぞ、当然ひと呑みにされるわけで。この砂漠という、すべてが取り払われた世界では、建前なんぞ通用しない。ロレンスは挫折する。アンソニー・クイン演じるアウダというキャラクターがユニークで、一見、単なる俗物のようでいながら、最も冷静に世界を眺めている。彼の存在の前で、理解と対立を繰り返す、ロレンスとアリ。映画史上屈指の名コンビの苦悩をさらに冷静に見つめるのは、砂漠そのものに他ならない。そして、<完全版>なるこの映画そのものもひたすら長く、すべてを包み込み、最後には、挫折したっていいじゃないか、という気分にさせてくれる。こういう長さもまた、いいもんだ。[CS・衛星(字幕)] 10点(2007-10-14 11:06:45)

2687.  シシリアン(1987) <ディレクターズカット版>というヤツしか見ておりませんが。実在の山賊、サルヴァトーレ・ジュリアーノが主人公。義賊として伝わる彼を、そのまんま義賊として、民衆のために戦う善良な青年として描くワケですが、だからといって、単に“金持 vs 貧乏人”という対立軸で描いていないところがミソ。何と言っても、テレンス・スタンプ演じるマフィアの親分の強烈な存在感。出番は必ずしも多くなくても、映画の基底にはつねに彼の存在があり、彼こそがこの映画の不変の絶対軸。いわば、本作を支配しているのは、シシリー独特の世界、その“宿命”、ですね。主人公は精一杯戦う、しかしシシリー人としての血、その“宿命”には決して抗うことはできない。この映画でも見所のひとつはやはり、雄大な自然の風景、ということになるわけですが、本作におけるこの“自然”は、主人公の“宿命”という運命論的な薄暗さをも巻き込み、その土地のすべてを支配する、その土地に宿る神というか、ご先祖サマといか、そういう視点ですな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-10-14 08:05:13)

2688.  ルムンバの叫び “実話である”と言われると、どうも弱いのよね~。というのは、ワタシのいつも通りの感想ですが。ある歴史上の事件を世間に知らしめる、というのに、映画というメディアは、実に強い力を持っております、何しろ、その事件を“2時間前後の長さ”にまとめて、それで作品として成立させることができる。本の場合、“2時間程度で読める本”ってことになると、こりゃ明らかにボリューム不足ですよね~。さてしかし、その映画の長さ(というか短さ)ってのが、クセモノだったりするわけで。その時間の中で、事件そのものを世間に伝えることにコダワルのか、事件をベースにして映画作者の新しい世界をそこに展開するのか。やや前者の傾向が強いように感じられる本作、やはり難しい一面を感じざるを得ない部分も。正直、「当時のコンゴの情勢」ってのが、伝わりにくい。映画は“抑圧された民衆”をそっちのけに、主人公の軌跡を追いつづける。主人公がベルギーに渡る直前に、当局にとっつかまってリンチされるのが、いかにもステレオタイプの描き方。主人公の演説が流れるラジオに人々が群がるシーンの、いかにもとってつけた感じ。「とりあえず一通り入れておきました」感の強い演出が、事件を伝えることにむしろ機能していない。国の将来を首脳陣が語り合う様子(今後のコンゴ。なんちゃって)も、何だか町内会の模様みたいで、その一方で主人公がしきりに「これはベルギーの陰謀だ」と疑心暗鬼になり苦悩する、その落差。しかもその主人公の苦悩、根拠があるのか妄想なのか、観ている我々はその苦悩を共有しきれない。結局のところ、社会的事件を扱うのに「当事者を主人公にした」ということの限界をやや感じてしまう、映画でした。とは言え、この衝撃的な事件を題材にしたこと自体で、すでに映画は熱を帯びパワーを有しております。そしてここではむしろ、政治的なドロドロと、雄大な自然との対比の構図、これを本作の魅力としておきましょう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-10-14 07:19:14)(良:1票)

2689.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 密室劇でありながら超ハイテンションムービー。最初、12人が集まり雑談している間は、コチラにも余裕があるもんで、「オヤ、今、カメラの影が写ったのでは?」なんぞとイロイロ雑念も沸くが、議論が始まったらもう、やめられない、とまらない。作品のテーマは、“付和雷同”。言うまでもなく、真犯人は被告の少年に決まっておるのだけれども(笑)、とりあえず声の大きいヤツorよくしゃべるヤツがその場の雰囲気を決めてしまう。証人の鼻にメガネの跡があったなんて、当然だれも憶えていようハズがないのに、皆「ああ、そういえば・・・」となびいてしまう。陪審員制度って、こんなにオモロイ制度なんだね。ミステリならば、最後は真犯人がつかまってくれないと困るので、陪審員の中に真犯人がいて、探偵役がそれを暴いて終わらなきゃならないけど、本作は、あくまで、市民が陪審員としての責務を果たす話。穴ダラケの裁判を「穴ダラケだ」と指摘するだけ、という、いやこれが何だかサワヤカなんだ。最後になって初めて名前を名乗りあうというオチも気がきいてます。(あくまで民主主義の基本である「多数決」ではなく、「全員一致」というのがミソですね。多数決とは、“不満”を、質ではなく量でミニマムにすること。AかBかを決めるのに、「Aでなければ絶対困る」という“1人”と、「どっちでもいいけど強いて言えばB」という“その他全員”がいたら、大抵、Bが選ばれるというシステム。その“過程”に、この映画のようなドラマは生まれない。そのもたらす“結果”は、またある種のドラマを生みそうだけどね、うふふ)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-09-24 20:46:41)(良:1票)

2690.  ベニスに死す 《ネタバレ》 昔読んだトーマス・マンの原作をパラパラとめくり、ふと思う、「そうそう、アッシェンバッハ氏って、音楽家じゃなくて作家なんだよな」。それでも強い、この“アッシェンバッハ=音楽家”というイメージ、まさにこの映画において、あまりにもマーラー交響曲5番4楽章アダ-ジェットが、ピタリとはまり過ぎているから。もっともこの映画の主人公アッシェンバッハ、「調和がどうのこうの」とかいう言動を見る限り、どーもワタシの持つマーラーのイメージに合わない、ってか、ほとんど対極かも知れない(笑。原作でもマーラーから借りたイメージは、風貌だけでしょ)。ま、そもそも、このアダ-ジェット自体、一番マーラーらしからぬ響きの楽章、とも言えるかもしれんし。主題は多分、第1楽章のテーマの変形だと思うけど(一種の循環形式ですな)似ても似つかぬ柔らかな響き。また第4楽章の一部は第5楽章でも再現されるが、驚く程の響きの違い。弦楽合奏+ハープなら、マーラーでも「美しい曲」が書けるという実例か。とマーラーの話をしていてもしょうがないので、映画に戻る。またこの映画、クローズアップが実にいやらしいんだなあ。例えばある場面では、主人公の視線を模するカメラ。美少年一家に目が止まり、クローズアップ! う、いかんいかんとオドオドする主人公の表情を、これまたイジワルにもクローズアップ! うひょうひょ、もう恥ずかしいのなんの。これって例えば「電車に乗ったアナタの前に、色気ムンムンのオネーチャンが⇒つい見惚れそうになり、イカンイカンと自制するアナタ⇒ふと周りの乗客を見回すと、何だあのオッサン堂々とオネーチャンに見惚れてやがるぜ、と、今度はそのオッサン客の観察にいそしむイジワルなアナタ」という、そういう下世話な楽しみに相通ずるものがありますね(何のこっちゃ)。それをきっかけに主人公につい主人公に感情移入するアナタ(←しつこい)。正直、映画前半はホテル内部のシーンが多く、ヴェニスらしい雰囲気が感じられないのが残念なのですが(窓から外の景色が垣間見えるシーンがあれば・・・)、第3交響曲の流れる海岸のシーンのあたりから、のめりこんでしまう、圧倒的な映画世界。ラストの虚脱感は無類のものがあり、忘れられません。どうでもいいけど、コレラって極度の下痢で脱水症状になり死に至ると思っていたが、本当にこのラストシーンみたいな症状なのか?(←気にしないこと)[ビデオ(字幕)] 9点(2007-09-23 00:09:23)(笑:1票)

2691.  チャップリンの独裁者 チャップリン演じる主人公の散髪屋。戦争で記憶喪失になり入院していた彼は、まだ入院して数週間しか経ってないと思っている。その彼がある日、「例のチャップリンスタイルで」、自宅に帰る。彼が「そのチャップリンスタイルの服を脱ぎ」、ふと自宅の理容店を見回すと、数週間しかたっていないはずなのに「いつのまにか」、理容店はホコリまみれ、クモの巣まみれ。それでも彼は営業を開始する・・・。これって、何か、この映画自体と重なるものを感じます。もはや時代遅れとなったサイレント喜劇。『モダン・タイムス』では、トーキーでありながら意味のあることは全く喋らないという荒業を用いたが、そんな手が何度も通用したりはしない。しかし、当時の暗雲漂う社会情勢に、黙っていられなくなったチャップリン、河島英五のごとき、“良き時代遅れ”の彼が、敢えてトーキー作品を引っさげ、映画界に復活する・・・。その姿をふと思い起こさせます。その本作、やはりサイレント映画風のパントマイム喜劇と、その一方で「しゃべっていいんなら、しゃべりまくってやるぜ!」とばかりの熱いメッセージ、両者が同居し融合した印象的な作品となりました。残念ながら、正直言って“笑い”に関してはイマイチとなってしまったのは、セリフを持ったトーキー映画の分別クサさが、邪魔をしているのかもしれません。しかしサイレントで鍛えられた「見せる」ことへのコダワリは、確かなもの。やや被写体を追いかけ過ぎるカメラ(笑)。その一方で、例えば、主人公の店舗が焼き討ちにあうシーンでは、彼の顔を写さず後姿で絶望を表しているのが印象的でした。・・・・・・で、ではこの映画のメッセージをどう受け止めたらよいのでしょうか。確かにこの時代にこの映画を作るのは一つの「勇気」ではあるかも知れませんが・・・あまりに単刀直入に過ぎないか?という気も。ヒトラーをパロディにする、というのは、あまりに作品の意図が形式化され過ぎているのではないか。最後の演説は『モダン・タイムス』で訴えていたテーマにも相通ずるものが反映されていたにも関わらず、作品全体の印象は所詮、「ナチスドイツ反対!」という一過性のものになってしまった気がします。しかも、だからと言って例えば、この映画を当時のドイツの人々が観たとして、「ああ、戦争は良くない、止めよう」と思うでしょうか? 普遍性という深みに達しきれない憾みが残ります。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-09-22 23:25:02)(良:1票)

2692.  ソウ こりゃオモロイ。密室劇のように始まるも、回想シーンや何やで、徐々に広がりを見せるストーリー。それとともに密室劇らしい緊張感は薄れてしまい、アレアレ大丈夫か、と思えてくるがが、しかしそこにはきちんと伏線とミスディレクションが盛り込まれている。よくこんな構成、思いついたもんだ。で、ラストは「SAWです、ワタシが変なオジサンです」というオチですが(何のこっちゃ)、この、アヤシゲながら確かに一本の論理の糸が作品を貫いているのが、バカミスの醍醐味。ミステリ好きの皆さんは、ハラハラドキドキと謎を楽しんで観て下さい。アラ探し好きの皆さんは、アラアラとあら探しを楽しんで観て下さい。どちらも結構、楽しめるはず。ワタシは勿論、前者です。[地上波(字幕)] 7点(2007-09-17 19:12:26)(笑:1票)

2693.  アウトランド 惑星イオの採掘場という、すべてが人工的にセッティングされた舞台、そしてその中での主人公の孤独な戦い。これを、映画の画面という“横長”の世界を駆使し、見事に切り出していく手腕・・・・・・と、このストーリーのイマイチ度とのギャップこそ、まさにハイアムズ作品の醍醐味ですなあ(まあ、例外もありますが、ストーリーがイマイチなのが基本)。主人公が孤独な戦いを繰り広げるのはケッコウですが、いささか孤独過ぎて、話がもう一つ膨らまない。協力者のオバチャンや、妻子との関係など、料理のしようもあるだろうに、どうも消化不良。それに、クライマックスの「宇宙服同士の格闘」なんぞ、盛り上がるかどうか、考えればわかりそうなものなのに(笑)。それでも何でも、やっぱり目が離せないのが、さすがハイアムズ(もはや誉めてるのやらケナしてるのやら)。中盤の追跡シーンのカメラなんぞ、実にお見事。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-09-16 17:57:16)

2694.  ガメラ 大怪獣空中決戦 「こんなの、どこがガメラだよ~」と言うと、普通なら非難の言葉ですが、ここではまさしく喜びのあまり、そうつぶやいてしまう! 怪獣映画って、ホントはこうあるべきだったんだ、と正解を見せてもらったような。満を持して登場の平成ガメラ、敵は、あの、昭和ガメラが最も苦しめられた、そして昭和ガメラシリーズもっとも感動的な戦いを繰り広げた(笑)、ギャオスであります。ギャオスは首の骨が2本あり、これが音叉の役を果たして、口から殺傷能力の高い超音波を出す(音叉がこんなに大きくては、低周波しか出ない気もするが)。その代わり弱点として、構造上、首が回らないため、背面からの攻撃に弱いのだ・・・・・・って、アレ、だいぶ雰囲気が違いますね。そう、こんなアホな設定を削ぎ落とすことで、シリアスな怪獣映画が誕生したのです。まー、ここで例えば平成ギロンなんかが出てきてもらっては、シリアスさが台無しになりますよね、いくらギャオスより強いとは言え。という訳で、あの「崩壊した東京タワー上のギャオス」という名シーンが生まれ、「平成ガメラここにあり」と、我々の心に強烈なインパクトを残してくれたのであります。[地上波(邦画)] 7点(2007-09-15 00:32:09)(良:2票)

2695.  息子の部屋 《ネタバレ》 息子の死という重いテーマを、煽り立てることなく、やや控えめの、抑えた表現で描いていることに、好感が持てる。この事件をきっかけに、家族全体が、閉ざされた雰囲気につつまれていくのが、息子の元ガールフレンドの訪問により、社会へのつながりが新たに芽生え、開放感へ向かうラストの素晴らしさも忘れがたいもの。ではあるのだけれども・・・・・・なんだろう、この釈然としない感覚は。いくら抑えたタッチとは言え、「息子の死」というものの重さに対し、何か醒めた感じがしてしまうのは、文化の違い、価値感の違いなのか?拭えない違和感が残ってしまう。「もしあの時、こうしていれば」という空想にふけるシーンがある。そりゃそうだろう。誰だって後悔に苛まれるだろう。当り前だ。しかしその“当り前”をわざわざ、殊更に映像として描くのはどうか?本当の苦しみは、映像で示された後悔そのものではなく、“このような後悔が繰り返し繰り返し押し寄せ、自分を責め苛む苦しみ”ではないか? 後悔を具体的に描くことで、かえってその後悔の持つ重みが薄れてはいないか? 確かに映画として「表向きは」抑えた表現をとることは、それはそれでよいだろう、けれども主人公の内面に当然あるはずの、無限の哀しみ、慟哭までも、映画から姿を消してしまってはいないか・・・・・・? さらに言えば、この違和感はもしかしたら、「ホカホカと不自然に明るい屋内シーン」にも関係があるのかもしれない。[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-09-15 00:15:53)

2696.  眠狂四郎 勝負 眠狂四郎という、正義感は強いけれどちょっと照れ屋さん、容姿端麗、剣を抜いたらピカイチの好青年の活躍を描いた、痛快時代劇。ははははは。でも本当だからしょうがない。これを観てから後のシリーズ作品を観て「なんじゃこりゃ~」と腰を抜かすのも良し、後のシリーズを観てから本作に立ち返って、「なんじゃこりゃ~」とのけぞるも良し。世直しに燃える勘定奉行のジイさん(←どっちかっつーと、「農民A」といった佇まいだけど。笑)の改革を、影に日向に支える狂四郎。極めてノーマルな映画、サワヤカ過ぎて張り合いがないぞ~(ノーマルだからとケチをつけられる狂四郎って一体・・・)。でも、謎の女占い師の暗躍、ポンコツ刺客の襲撃、アノ有名人との対決(?)など、物語は起伏に富み、見せ場も多く、これはこれでなかなかナイスな作品なのでした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-14 23:48:52)

2697.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 前半の渋谷大パニック、後半の京都駅ビルの死闘は、日本怪獣映画究極の到達点ともいうべき、奇跡のような出来栄え。素晴らしい!ありがとう! ま、逆に、「ただそれだけの映画」になっちゃってますけど(笑)。ガメラが、ギャオスが、何のために生まれたとかいう話、「このヘンでそういう話も織り交ぜないと、作品に厚みが生まれないからな~」とばかり、クライマックスの京都駅であわててそんな会話を繰り広げても、手遅れです。そんなことより、3作を通じて、ガメラがだんだん人間味を増していくプロセスが、いいですね。満身創痍となっても、次なる戦いに向かおうとするその姿、それなりに感動モンです。ところでところで、奈良県南部で生まれたイリスがガメラと戦うクライマックス、「奈良市内を飛び越えて」国際観光都市・京都を舞台としてしまうあたり、う~む、やはり現在奈良に住む私としては複雑な気持ちに。東寺の五重の塔は絵になっても、興福寺の五重の塔ではダメなのか。東大寺大仏殿ではダメなのか。奈良の宣伝のためにも、少しは写してあげてくださいな。[地上波(邦画)] 7点(2007-09-09 18:57:30)(笑:1票)

2698.  ガメラ2  レギオン襲来 ガリガリと物々しく進む戦車隊、その手前に写る小屋に貼ってある、大村崑のオロナミンCの広告のユーモラスさ。昭和ガメラでお馴染みのコンちゃんを、こういう形で「出演」させるとは、心憎い。かつての怪獣映画は、そのチープさを、悪く言えば誤魔化すために、ユーモアを介在させていた面があるのですが、平成ガメラは、スペクタクル作品としてのシリアスさ、リアルさで直球勝負、時に織り交ぜるユーモアを、単なる「逃げ」に使っていない点が、良い悪いは別にして、“新鮮”であります。第2作の本作も、「シリコンからなる宇宙生物」という、SFではやや古臭いネタを用いつつも、ちょっとした文明批評みたいな要素を見せつつ、自衛隊と怪獣のリアルな戦闘を見事に描いております(制服を着た永島敏行が新幹線で普通に移動しているのを見ると、さすがに「自衛隊大丈夫か?」と思ったけど)。そんな中で、傷つき大流血しながら戦うガメラの姿。ガメラに流血は昔から付き物で、まあ、アブドーラ・ザ・ブッチャーのプロレスみたいなもんなんですけども、「文明」vsレギオンの戦いの中で、どこまでもアナログ的に流血試合をするガメラの姿、血沸き肉踊るとはまさにこのこと。・・・そんでもって最後に、「ガメラは地球の生態系を乱すものを許さない」なんぞという、あまりにもアバウトで焦点の定まらないボケボケの結論には、さすがにそりゃないよと思いましたね。シリコン生物というものの持ちえたかもしれない寓意性が、この結論で雲散霧消しちゃいました。[地上波(邦画)] 7点(2007-09-03 11:04:17)(良:1票)

2699.  Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 冒頭、マーちゃんがふらっと現れるシーンがとにかく印象的。ふらっと、唐突に、まるで空中から現れたかのように、それこそ“幽霊”みたいに。そのまま舞台は主人公二人の高校時代へ。 その後展開する物語と、冒頭の雰囲気とを合わせると、悲劇的なラストを予想せずにはいられない、マーちゃんはいずれ、命を落とすのであろうと。しかし、この映画は、そんなお約束的な描き方はしない。私の安直な想像を嘲笑うかのように、ラストにおいて校庭の二人は、学校の窓から森本レオによって「実在のもの」として認識され、しっかり溜息をつかれちゃうのだ。過去というものの“苦味”をそのまま“苦味”として、ヤンチャに、肯定的に描く。さらには「不死身宣言」とも言うべきラストによって、カッコ悪かろうとなんだろうと、とにかく何度でもやり直してやるぜ!文句あるか!と言わんばかりのエネルギッシュな存在感を示した北野監督には、勇気づけられずにはいられない。迫真のボクシングシーンも文句無しで、作品のエネルギーを見事に体現し、映画を盛り上げる。[地上波(邦画)] 9点(2007-08-28 00:33:00)(良:3票)

2700.  ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり おいおい、どこが「ラヴクラフト原作」なんだよ~、と突っ込もうかと思いきや、アイタタタタタ。あの“首を抱えたハリボテ頭ゾンビ”は、確かに原作通りですな(笑)。というわけで、おそらくラヴクラフトのファンでも、評価が低くて文句が出ないであろう『死体蘇生人~』を元ネタに(と称して)、好き勝手にエログロ路線を驀進しちゃった作品。ちょっとファンの足下を見てるようでヤだなあ。でもここまで無茶なエログロに走ると、もはやホラーとかスプラッタとかいう枠を越えた快作、いわばアングラ芸術の領域にまで接近しているような、いないような。要するに、これはかなりの重症。まあ、作っちゃったもんはしょうがない(笑)。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-08-17 22:38:14)

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