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プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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2681.  トゥモロー・ワールド これほどの充実感も久しぶりのもの。感動というより感激です。とにかく長廻しの緊迫感、臨場感が、絶大な効果をあげてます。あるいは、「部屋の中」と「窓の外」のふたつが画面に展開するおもしろさ。そして何と言ってもクライマックスの、戦場での兵士の中のアカンボ、というシーンは、まさに、現代における(または未来における)、一種の“宗教画”とでも言いたくなるもの。観てよかった。[DVD(字幕)] 10点(2007-12-03 00:40:36)

2682.  酔っぱらった馬の時間 絶望的な環境の中でたくましく生きる子供たちの姿、などと言ってしまっては、かえってアリガチで安っぽくなるかもしれないが、本当にそうなんだからしょうがない(笑)。それがこれほど強い力を持っているのは、もちろんリアリティとかいうコトもあるんだろうけど(これまたアリガチな・・・)、しかし何と言っても、作品の背景に、人間の生命力と言うものに対する、無限の信頼、とでもいうべきものがあるからじゃなかろうか。周りの大人たちも、確かにいいヒトたち、親切なヒトたちばかりとは、到底言えないけれども、この環境では致し方なしか、と思えるウラにはやはり彼らの生命力というものがある。そして何と言っても、ラストシーン。有刺鉄線の柵(国境)と踏み越えていくモチーフは、『わが故郷の歌』とも共通のもの。痛々しくも無上の人間賛歌。[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-12-03 00:25:32)(良:1票)

2683.  太陽の帝国(1987) 奇妙な味わいの映画なので、初めて観た時にはやや戸惑うけれど、再見したらクセになる。まるでカフカの小説のような不条理感(特に前半)。もっとも、カフカの世界が不条理だと言っても、そこには気味の悪いリアリティがあるが、それは我々の住む現実世界がすでに不条理であり、それを我々が「気が付いたら」受け入れてしまっているから。世の中の殆どの事は、実は我々が知らないこと、理解できないこと、「いつの間にか決まってしまっている」ことばかり。それを我々は意識しないまま日々受け入れ続けている。さて一方、この映画の主人公の少年。やはり世間は彼の知らないところで動き続け、彼にとってそれは不条理なものなのだけど、彼はそれらを驚きをもって、時には憧れすらをもって、観察し受けて入れていくのが面白い。彼がスタジアムで自動車と再会する面白さ。世の中は理解できない大きな力によって動いているのだ。彼が死んだ人の魂だと思った光は、未知の新兵器によってもたらされたものであったりする。こうして、何だかわからないながらも少しずつ、少年の世界は広がっていく。そんな彼の目に大きな驚異として映る日本軍、彼は理解できないながらも彼らに接近しようとするが、結局受け入れられることはない(私もガッツ石松は確かに理解できんが)。この「わからない」という無気味さと驚きを、そのまま包み隠さず映像化しているところが、この映画の力であり、強みでもある。映像もそれに応え、不条理を決して厭わない(夕日に炎上する戦闘機の次のシーンは「昼間」だったりする)。オドロキをそのままオドロキとして描くときの、新鮮さ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-12-03 00:16:02)

2684.  カラーパープル(1985) スピルバーグがこういう作品を撮り出して、当時は、「そんなにオスカー欲しいかよ~」と陰口叩かれたりしたワケですが(いや、今でも言われてるのかな)・・・・・・まあ、何か目標を持つってのも、結構なことじゃないですか(笑)。それだけ、確かに力のこもった作品でもあり、美しい映画に仕上がっています。姉妹の別れの場面で二人がかわす“手遊び”など、「視覚的キーワード」とでも言いますか、雰囲気や感情をあくまで映像として刻みこもうとするのが、スピルバーグ好みというか、いかにも「らしい」ところ。それが、映画全体と通してとなると、もう一歩の踏み込みの甘さが感じられなくもなく。暗い話をヘンに救おうとする、妥協の産物のような安心感。結局、映像を充実させんとする才気は溢れていても、映画の題材に対するシンパシイが、それに追いついていないのではなかろうか?[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-12-02 23:43:55)

2685.  ファイナル・デスティネーション 予知夢により飛行機事故の難を逃れた人たち。その彼らが、次々に謎の死を遂げていく、という上々の滑り出し、この後どんな展開が待っているのか、どんな真相が待ち受けているのか、期待はイヤが上にも高まるぜ!と思ったら・・・結局、本当に「それだけ」の映画だったという、実に裏も表も無い率直な映画でした。この映画のまわりくどい惨劇、つい『裸の銃を持つ男』のOJシンプソンを思い出してしまいます。ラストも何だか、出来の悪い落語のサゲみたい。おあとがよろしいようで。[DVD(字幕)] 6点(2007-11-22 08:41:11)(笑:1票)

2686.  メメント この10分しか記憶が持たないという主人公、別に特殊な存在ではなくて、日々何の学習効果も無く右往左往、迷走しながら生活している我々の、ちょっとだけ極端なケース、かもしれませんなあ。我々も他人様から見れば、まるで「10分しか記憶が持たない」かのような場当たり的な考え方、行動を取っておるわけです。もう少し記憶力というか学習能力があれば、もう少しマシな人生を歩み、もう少しマシな社会を築くことができるのかもしれないけど、だからといってそれが幸せかどうかは、わからん、と、そういうわけですね。まあ、ミステリとしても面白い映画でしたが、この構成を本当に活かせるほど、個々の映像の印象が強くはなかった、構成負けした感じが、ちょっと物足りない点ですかね(例えばこの映像に、“記憶が持たない”という焦燥感のなり絶望感なり、何かを感じ取れるだろうか?)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-11-22 07:37:32)

2687.  灰とダイヤモンド この作品が何故これほど、ツラく哀しいのか、それは、歴史に使い捨てされる、消耗品としての人間、その最後の静かな、しかし精一杯の生のアガキがここにあるから。戦時下で死んでいった者がいれば、死にそびれた者もいる。一方では彼らをヨソに、新しい世界が始まりつつある。「死にそびれた」主人公は、若くしてすでに年老いているようにも見える。虚しい殺人。死体を見下ろす花火。せめてあのように華やかに散ることができればよいのだが・・・。ひとつの時代の終焉を描き、時に見せる、すべてを透視するような冷徹なカメラの視線が、なんともコワイ。そう、これはコワイ映画だ。[CS・衛星(字幕)] 10点(2007-11-22 07:34:51)

2688.  レザレクション(1999) そのまんま版『占星術殺人事件』ってな感じ。いや“そのまんま”というのは、パクリという意味ではなくて、ヒネリが無いというか、“ウラのウラはオモテでした”というか。いやしかし、これはこれで面白かったりする。犯人は誰か、という点をラストまで引っ張らずに途中で犯人を明らかにしたり、子供を失った主人公の苦悩がラストに繋がったり・・・と言っても、明らかに消化不良。普通ならもっとドキドキしそうな場面で、イマイチ気分が盛り上がらない。ヘンなテンポの良さがやや裏目、かも。[地上波(字幕)] 6点(2007-10-21 10:02:12)

2689.  H.G.ウェルズのS.F.月世界探険 いつになったら月に行くんだよ~、と散々待たされる前半。ホントに月ぐらいには行けそうな研究を多少なりとも展開してくれりゃあ、それなりに面白かろうけど、コメディ風にゴマカサされたんでは、この余りに長い前置きは、ちとツライ。後半、やっと月に到着。月には地下基地があり、謎の異星人が。子供に異星人の扮装をさせただけなので、ひたすら弱い。そして巨大イモ虫の襲撃。今度は強そう、危うし!と思いきや、あっというまに巨大イモ虫は異星人にやっつけられる。そこで驚くべき事実が判明する。なんとこのイモ虫には骨格が、脊椎があるのだ。何と脊椎動物だったのかあああっ。動物の系統樹を見てもわかる通り、動物は大きく、先口動物と後口動物に分けられる。この両者は進化の初期に分化しており、前者の頂点に立つのが節足動物、後者の頂点が脊椎動物。地球上では最もかけ離れたと言ってもいいような両者の特徴を併せもった生物が、月にはいたのである。恐るべし。その他その他、・月面のシーン、地平線上に地球が見えているが、彼らは月のどこに着陸したのか?月は常に地球にほぼ同じ面を向けているので、普通に地球から飛んできたのなら、地球は真上に見えるのでは? ・太陽は地球に隠れる「地球蝕」がよくわからん。なぜわざわざ月食のタイミングで月旅行するのか?計画性無さ過ぎ。ってか、そもそも必要なシーンか? ・とかいうツッコミは、やめましょう。とりあえず、あんまし盛り上がらない映画でした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2007-10-21 09:51:02)

2690.  モスキート・コースト 初めて“独りで”観に行った思い出の作品。ですが実は「当時、あんまり話題にならなくて、誰も誘えなかった(私一人、観たい観たいと盛り上がってた)」という事の裏返しなんですけどね~。ピーター・ウィアー監督は、前作『刑事ジョン・ブック/目撃者』で、現代文明を拒絶する人々、アーミッシュを取り上げてましたが、今作では逆に、科学技術を信奉する変人発明家が主人公。前作ではまだ若干ヒーロー色の残っていたハリソン・フォードがユニークな役作りでこの変人役に挑戦しております。この主人公もまた、現代社会から距離を置いた特異な存在、映画において現代社会を相対化し批判的に眺める存在である点は、前作のアーミッシュと同じとも言えます。彼は雇われの身でありがら、雇い主の要求に応えず自分の発明に没頭。資本主義に対して批判的、米国社会を憂いているが、購入しようとしたテープが日本製と知ると「国産品を出せ」と怒るあたりを見ると、愛国者には違いない。父なる国を愛する余り、その現状に耐えられない彼は、自分の理想実現のため、全てを投げ出しジャングルへ移住。家族もこんな親父によくついていく。食器洗いの最中に引越しという突拍子の無さにも、妻は笑顔で帯同する。さて、いよいよジャングルに移住した一家、親父の発明品の数々に囲まれた、理想の村をここに実現していく。この辺の描写は、「本当にこんな事実現できるの?」というツッコミは抜きにして、「発明」なる香具師的イメージが生み出すファンタジー世界、ユーモラスな味わいがあります。密林の中の巨大冷蔵庫。ちょっと“フィツカラってる”映像ではありませんか。しかし、“宗教”あるいは“銃(武力)”といった外部からの侵入者の前に、理想世界は挫折していく・・・。主人公が忌み嫌った「押し付けがましいアメリカ国家」、しかし結局は彼自身が家族にとって、その「国家」と同じ存在になっていく。父権を乱用し、意志を強制し、仲間を野蛮人呼ばわりし、果ては息子を裏切りもの呼ばわりする・・・。映画のラスト、主人公の息子の独白は、父を愛し、父を受け入れ、その上で「僕の世界は広がった」と語る。つまり、我々もまた、父なる国家を、その欠点を認た上で愛せよ、そして視線は自国に偏ることなく世界へ向けよ、ってな感じのメッセージ、ですかね。まさかこの息子が父と同じ“インディ・ジョーンズ”になっちまうとは、当時想像もしませんでしたが。[映画館(字幕)] 9点(2007-10-21 09:09:57)(良:2票)

2691.  シシリアン(1987) <ディレクターズカット版>というヤツしか見ておりませんが。実在の山賊、サルヴァトーレ・ジュリアーノが主人公。義賊として伝わる彼を、そのまんま義賊として、民衆のために戦う善良な青年として描くワケですが、だからといって、単に“金持 vs 貧乏人”という対立軸で描いていないところがミソ。何と言っても、テレンス・スタンプ演じるマフィアの親分の強烈な存在感。出番は必ずしも多くなくても、映画の基底にはつねに彼の存在があり、彼こそがこの映画の不変の絶対軸。いわば、本作を支配しているのは、シシリー独特の世界、その“宿命”、ですね。主人公は精一杯戦う、しかしシシリー人としての血、その“宿命”には決して抗うことはできない。この映画でも見所のひとつはやはり、雄大な自然の風景、ということになるわけですが、本作におけるこの“自然”は、主人公の“宿命”という運命論的な薄暗さをも巻き込み、その土地のすべてを支配する、その土地に宿る神というか、ご先祖サマといか、そういう視点ですな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-10-21 08:01:23)

2692.  アラビアのロレンス 完全版 そういうわけで(どういうわけ?)、やっぱり、結局、何だかんだ言っても、とどのつまり、この映画、なんですねえ。わたしゃ実話の映画化ってのにどうもヨワイんだけれども、ロレンスが実在の人物とかいうことより、あの砂漠が実在の光景、ってことの方がはるかに重要。壮大、広大、圧倒の世界。こうなりゃ当然、そこに騎馬隊、騎ラクダ隊(?)でも疾走させて、膨大なるマスゲームでも展開させたくなるのが、スペクタクル映画。しかし砂漠はビクともせず、すべてを飲み込む。アラビアの独立のため、なんぞという「個人の」野望なんぞ、当然ひと呑みにされるわけで。この砂漠という、すべてが取り払われた世界では、建前なんぞ通用しない。ロレンスは挫折する。アンソニー・クイン演じるアウダというキャラクターがユニークで、一見、単なる俗物のようでいながら、最も冷静に世界を眺めている。彼の存在の前で、理解と対立を繰り返す、ロレンスとアリ。映画史上屈指の名コンビの苦悩をさらに冷静に見つめるのは、砂漠そのものに他ならない。そして、<完全版>なるこの映画そのものもひたすら長く、すべてを包み込み、最後には、挫折したっていいじゃないか、という気分にさせてくれる。こういう長さもまた、いいもんだ。[CS・衛星(字幕)] 10点(2007-10-14 11:06:45)

2693.  ルムンバの叫び “実話である”と言われると、どうも弱いのよね~。というのは、ワタシのいつも通りの感想ですが。ある歴史上の事件を世間に知らしめる、というのに、映画というメディアは、実に強い力を持っております、何しろ、その事件を“2時間前後の長さ”にまとめて、それで作品として成立させることができる。本の場合、“2時間程度で読める本”ってことになると、こりゃ明らかにボリューム不足ですよね~。さてしかし、その映画の長さ(というか短さ)ってのが、クセモノだったりするわけで。その時間の中で、事件そのものを世間に伝えることにコダワルのか、事件をベースにして映画作者の新しい世界をそこに展開するのか。やや前者の傾向が強いように感じられる本作、やはり難しい一面を感じざるを得ない部分も。正直、「当時のコンゴの情勢」ってのが、伝わりにくい。映画は“抑圧された民衆”をそっちのけに、主人公の軌跡を追いつづける。主人公がベルギーに渡る直前に、当局にとっつかまってリンチされるのが、いかにもステレオタイプの描き方。主人公の演説が流れるラジオに人々が群がるシーンの、いかにもとってつけた感じ。「とりあえず一通り入れておきました」感の強い演出が、事件を伝えることにむしろ機能していない。国の将来を首脳陣が語り合う様子(今後のコンゴ。なんちゃって)も、何だか町内会の模様みたいで、その一方で主人公がしきりに「これはベルギーの陰謀だ」と疑心暗鬼になり苦悩する、その落差。しかもその主人公の苦悩、根拠があるのか妄想なのか、観ている我々はその苦悩を共有しきれない。結局のところ、社会的事件を扱うのに「当事者を主人公にした」ということの限界をやや感じてしまう、映画でした。とは言え、この衝撃的な事件を題材にしたこと自体で、すでに映画は熱を帯びパワーを有しております。そしてここではむしろ、政治的なドロドロと、雄大な自然との対比の構図、これを本作の魅力としておきましょう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-10-14 07:23:20)(良:1票)

2694.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 密室劇でありながら超ハイテンションムービー。最初、12人が集まり雑談している間は、コチラにも余裕があるもんで、「オヤ、今、カメラの影が写ったのでは?」なんぞとイロイロ雑念も沸くが、議論が始まったらもう、やめられない、とまらない。作品のテーマは、“付和雷同”。言うまでもなく、真犯人は被告の少年に決まっておるのだけれども(笑)、とりあえず声の大きいヤツorよくしゃべるヤツがその場の雰囲気を決めてしまう。証人の鼻にメガネの跡があったなんて、当然だれも憶えていようハズがないのに、皆「ああ、そういえば・・・」となびいてしまう。陪審員制度って、こんなにオモロイ制度なんだね。ミステリならば、最後は真犯人がつかまってくれないと困るので、陪審員の中に真犯人がいて、探偵役がそれを暴いて終わらなきゃならないけど、本作は、あくまで、市民が陪審員としての責務を果たす話。穴ダラケの裁判を「穴ダラケだ」と指摘するだけ、という、いやこれが何だかサワヤカなんだ。最後になって初めて名前を名乗りあうというオチも気がきいてます。(あくまで民主主義の基本である「多数決」ではなく、「全員一致」というのがミソですね。多数決とは、“不満”を、質ではなく量でミニマムにすること。AかBかを決めるのに、「Aでなければ絶対困る」という“1人”と、「どっちでもいいけど強いて言えばB」という“その他全員”がいたら、大抵、Bが選ばれるというシステム。その“過程”に、この映画のようなドラマは生まれない。そのもたらす“結果”は、またある種のドラマを生みそうだけどね、うふふ)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-09-24 20:46:41)(良:1票)

2695.  ベニスに死す 《ネタバレ》 昔読んだトーマス・マンの原作をパラパラとめくり、ふと思う、「そうそう、アッシェンバッハ氏って、音楽家じゃなくて作家なんだよな」。それでも強い、この“アッシェンバッハ=音楽家”というイメージ、まさにこの映画において、あまりにもマーラー交響曲5番4楽章アダ-ジェットが、ピタリとはまり過ぎているから。もっともこの映画の主人公アッシェンバッハ、「調和がどうのこうの」とかいう言動を見る限り、どーもワタシの持つマーラーのイメージに合わない、ってか、ほとんど対極かも知れない(笑。原作でもマーラーから借りたイメージは、風貌だけでしょ)。ま、そもそも、このアダ-ジェット自体、一番マーラーらしからぬ響きの楽章、とも言えるかもしれんし。主題は多分、第1楽章のテーマの変形だと思うけど(一種の循環形式ですな)似ても似つかぬ柔らかな響き。また第4楽章の一部は第5楽章でも再現されるが、驚く程の響きの違い。弦楽合奏+ハープなら、マーラーでも「美しい曲」が書けるという実例か。とマーラーの話をしていてもしょうがないので、映画に戻る。またこの映画、クローズアップが実にいやらしいんだなあ。例えばある場面では、主人公の視線を模するカメラ。美少年一家に目が止まり、クローズアップ! う、いかんいかんとオドオドする主人公の表情を、これまたイジワルにもクローズアップ! うひょうひょ、もう恥ずかしいのなんの。これって例えば「電車に乗ったアナタの前に、色気ムンムンのオネーチャンが⇒つい見惚れそうになり、イカンイカンと自制するアナタ⇒ふと周りの乗客を見回すと、何だあのオッサン堂々とオネーチャンに見惚れてやがるぜ、と、今度はそのオッサン客の観察にいそしむイジワルなアナタ」という、そういう下世話な楽しみに相通ずるものがありますね(何のこっちゃ)。それをきっかけに主人公につい主人公に感情移入するアナタ(←しつこい)。正直、映画前半はホテル内部のシーンが多く、ヴェニスらしい雰囲気が感じられないのが残念なのですが(窓から外の景色が垣間見えるシーンがあれば・・・)、第3交響曲の流れる海岸のシーンのあたりから、のめりこんでしまう、圧倒的な映画世界。ラストの虚脱感は無類のものがあり、忘れられません。どうでもいいけど、コレラって極度の下痢で脱水症状になり死に至ると思っていたが、本当にこのラストシーンみたいな症状なのか?(←気にしないこと)[ビデオ(字幕)] 9点(2007-09-23 00:19:09)(笑:1票)

2696.  チャップリンの独裁者 チャップリン演じる主人公の散髪屋。戦争で記憶喪失になり入院していた彼は、まだ入院して数週間しか経ってないと思っている。その彼がある日、「例のチャップリンスタイルで」、自宅に帰る。彼が「そのチャップリンスタイルの服を脱ぎ」、ふと自宅の理容店を見回すと、数週間しかたっていないはずなのに「いつのまにか」、理容店はホコリまみれ、クモの巣まみれ。それでも彼は営業を開始する・・・。これって、何か、この映画自体と重なるものを感じます。もはや時代遅れとなったサイレント喜劇。『モダン・タイムス』では、トーキーでありながら意味のあることは全く喋らないという荒業を用いたが、そんな手が何度も通用したりはしない。しかし、当時の暗雲漂う社会情勢に、黙っていられなくなったチャップリン、河島英五のごとき、“良き時代遅れ”の彼が、敢えてトーキー作品を引っさげ、映画界に復活する・・・。その姿をふと思い起こさせます。その本作、やはりサイレント映画風のパントマイム喜劇と、その一方で「しゃべっていいんなら、しゃべりまくってやるぜ!」とばかりの熱いメッセージ、両者が同居し融合した印象的な作品となりました。残念ながら、正直言って“笑い”に関してはイマイチとなってしまったのは、セリフを持ったトーキー映画の分別クサさが、邪魔をしているのかもしれません。しかしサイレントで鍛えられた「見せる」ことへのコダワリは、確かなもの。やや被写体を追いかけ過ぎるカメラ(笑)。その一方で、例えば、主人公の店舗が焼き討ちにあうシーンでは、彼の顔を写さず後姿で絶望を表しているのが印象的でした。・・・・・・で、ではこの映画のメッセージをどう受け止めたらよいのでしょうか。確かにこの時代にこの映画を作るのは一つの「勇気」ではあるかも知れませんが・・・あまりに単刀直入に過ぎないか?という気も。ヒトラーをパロディにする、というのは、あまりに作品の意図が形式化され過ぎているのではないか。最後の演説は『モダン・タイムス』で訴えていたテーマにも相通ずるものが反映されていたにも関わらず、作品全体の印象は所詮、「ナチスドイツ反対!」という一過性のものになってしまった気がします。しかも、だからと言って例えば、この映画を当時のドイツの人々が観たとして、「ああ、戦争は良くない、止めよう」と思うでしょうか? 普遍性という深みに達しきれない憾みが残ります。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-09-22 23:25:02)(良:1票)

2697.  ソウ こりゃオモロイ。密室劇のように始まるも、回想シーンや何やで、徐々に広がりを見せるストーリー。それとともに密室劇らしい緊張感は薄れてしまい、アレアレ大丈夫か、と思えてくるがが、しかしそこにはきちんと伏線とミスディレクションが盛り込まれている。よくこんな構成、思いついたもんだ。で、ラストは「SAWです、ワタシが変なオジサンです」というオチですが(何のこっちゃ)、この、アヤシゲながら確かに一本の論理の糸が作品を貫いているのが、バカミスの醍醐味。ミステリ好きの皆さんは、ハラハラドキドキと謎を楽しんで観て下さい。アラ探し好きの皆さんは、アラアラとあら探しを楽しんで観て下さい。どちらも結構、楽しめるはず。ワタシは勿論、前者です。[地上波(字幕)] 7点(2007-09-17 19:13:11)(笑:1票)

2698.  アウトランド 惑星イオの採掘場という、すべてが人工的にセッティングされた舞台、そしてその中での主人公の孤独な戦い。これを、映画の画面という“横長”の世界を駆使し、見事に切り出していく手腕・・・・・・と、このストーリーのイマイチ度とのギャップこそ、まさにハイアムズ作品の醍醐味ですなあ(まあ、例外もありますが、ストーリーがイマイチなのが基本)。主人公が孤独な戦いを繰り広げるのはケッコウですが、いささか孤独過ぎて、話がもう一つ膨らまない。協力者のオバチャンや、妻子との関係など、料理のしようもあるだろうに、どうも消化不良。それに、クライマックスの「宇宙服同士の格闘」なんぞ、盛り上がるかどうか、考えればわかりそうなものなのに(笑)。それでも何でも、やっぱり目が離せないのが、さすがハイアムズ(もはや誉めてるのやらケナしてるのやら)。中盤の追跡シーンのカメラなんぞ、実にお見事。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-09-16 17:57:16)

2699.  ガメラ 大怪獣空中決戦 「こんなの、どこがガメラだよ~」と言うと、普通なら非難の言葉ですが、ここではまさしく喜びのあまり、そうつぶやいてしまう! 怪獣映画って、ホントはこうあるべきだったんだ、と正解を見せてもらったような。満を持して登場の平成ガメラ、敵は、あの、昭和ガメラが最も苦しめられた、そして昭和ガメラシリーズもっとも感動的な戦いを繰り広げた(笑)、ギャオスであります。ギャオスは首の骨が2本あり、これが音叉の役を果たして、口から殺傷能力の高い超音波を出す(音叉がこんなに大きくては、低周波しか出ない気もするが)。その代わり弱点として、構造上、首が回らないため、背面からの攻撃に弱いのだ・・・・・・って、アレ、だいぶ雰囲気が違いますね。そう、こんなアホな設定を削ぎ落とすことで、シリアスな怪獣映画が誕生したのです。まー、ここで例えば平成ギロンなんかが出てきてもらっては、シリアスさが台無しになりますよね、いくらギャオスより強いとは言え。という訳で、あの「崩壊した東京タワー上のギャオス」という名シーンが生まれ、「平成ガメラここにあり」と、我々の心に強烈なインパクトを残してくれたのであります。[地上波(邦画)] 7点(2007-09-15 00:32:09)(良:2票)

2700.  息子の部屋 《ネタバレ》 息子の死という重いテーマを、煽り立てることなく、やや控えめの、抑えた表現で描いていることに、好感が持てる。この事件をきっかけに、家族全体が、閉ざされた雰囲気につつまれていくのが、息子の元ガールフレンドの訪問により、社会へのつながりが新たに芽生え、開放感へ向かうラストの素晴らしさも忘れがたいもの。ではあるのだけれども・・・・・・なんだろう、この釈然としない感覚は。いくら抑えたタッチとは言え、「息子の死」というものの重さに対し、何か醒めた感じがしてしまうのは、文化の違い、価値感の違いなのか?拭えない違和感が残ってしまう。「もしあの時、こうしていれば」という空想にふけるシーンがある。そりゃそうだろう。誰だって後悔に苛まれるだろう。当り前だ。しかしその“当り前”をわざわざ、殊更に映像として描くのはどうか?本当の苦しみは、映像で示された後悔そのものではなく、“このような後悔が繰り返し繰り返し押し寄せ、自分を責め苛む苦しみ”ではないか? 後悔を具体的に描くことで、かえってその後悔の持つ重みが薄れてはいないか? 確かに映画として「表向きは」抑えた表現をとることは、それはそれでよいだろう、けれども主人公の内面に当然あるはずの、無限の哀しみ、慟哭までも、映画から姿を消してしまってはいないか・・・・・・? さらに言えば、この違和感はもしかしたら、「ホカホカと不自然に明るい屋内シーン」にも関係があるのかもしれない。[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-09-15 00:15:53)

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