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プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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301.  その土曜日、7時58分 《ネタバレ》 それにしてもフィリップ・シーモア・ホフマン。顔デカイよなあ。デカ過ぎ。まあそれは置いといて。ある陰惨な事件の顛末を、独特の構成(自在な時間軸、複数の視点)で描いたサスペンス映画ですね。視点と時間をズラせつつ進行していく映画の流れは、ちょっと、音楽における「フーガ」の様式を思い起こさせますが、それよりも私はこの映画を「あみだくじ映画」と呼びたいですね。しかも当たり無し、すべてハズレのあみだくじ。物語の進行に伴って、いくらポキポキと折れ曲がり、いくら進むラインを変えようとも、最後はハズレ、すなわち、やりきれない結末にたどりつくことが避けられない。悲観的運命論。この「どうにもならなさ」加減。力作です。[DVD(字幕)] 9点(2011-08-06 10:36:12)

302.  墨攻 最初は、何だかメリハリなく戦闘シーンの続くだけの映画かと思いながら観てたのですが・・・いやあ、最後はホント、感動しました。前半、立て込もり外敵との闘いを繰り広げた城、その光景がクライマックスにおいて、変容を繰り広げ(ナゼ水浸しなのか、などとヤボは質問は当然しない)、また登場人物たちの置かれた立場や互いの関係もまた激しい変化を見せる(支配する立場とされる立場が入れ替わること。また敵同士だった者が心を通わせること)。何と言うのか、前半においては、ある意味律義に死体の山を築き続けた映画が、後半、「解」を仄めかしつつも、もの凄いカオスとなっていく有り様に、何だか感動してしまったのです。あとこの映画、時々妙にクロサワチックなシーンがありますね。意識してるんですかね。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-08-06 09:32:42)(良:1票)

303.  ヘブン・アンド・アース 《ネタバレ》 唐の時代、宮仕えする日本人の男が、帰国をかけて、ある男の抹殺を請け負う。という導入部で、もうツカミはOK。しかも、その命を狙うべき男の犯した罪とは、理不尽な処刑命令に背いた事。すなわち“義”の男。ってんだからもうシビレまくっちゃいますね、わくわく。日本に帰りたくても帰れない刺客の日本人・水島上等兵を演じるのが中井貴一、これがとてつもなく強い。強過ぎ。水島じゃないけど。この強さ、物語の設定では彼は13歳で遣唐使として唐に渡り、唐で剣術を身に付けたことになってはいるけれども、アクション映画の文脈においては明らかに彼の役どころは“サムライ”ですね(時代的に合わないのはさておき)。ついに狙うべき男との対決となるが、男は、経典を運ぶ僧侶一行の護衛を任された身。経典を運び終わるまで、勝負はお預け、となり、道中襲い来る突厥との戦いに、共闘することとなる。もう最高ですね。何よりこの作品に感動したのは、この物語りが、「去る者」の物語であるから。絶望的な戦いの中、確かに主人公たちは人間離れした剣術で、派手なアクションを繰り広げるのだけれど、いくら超人的活躍が続いても、事態が絶望的であることは変わりが無い訳で、その中で、ひとりまたひとりと、味方が斃れていく。その印象的なこと、まるで、味方が斃れていく姿を描くためにこそ、いつ果てるともなき戦いが繰り広げられるかのよう。ラストは、静かに“英雄”も立ち去り、映画を終えるのですが、まるでどうでもいいことの補足説明みたいに「ってな訳で唐は栄えましたとさ」と付け足されるのが、さらに余韻を深めるのでありました。・・・それにしても、突厥が狙うお宝、これは仏舎利だった訳ですが(で、「CGがショボい」と文句を言われる訳ですが)、わたしゃ最初、マトリョーシカかと思いましたぜ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-06-20 22:24:39)

304.  飛べ!フェニックス 砂漠の真ん中に飛行機が墜落、生き残った乗員たちが飛行機を改造して生還を目指す、というオハナシ。このテの映画、ありがちなパターンとしては、乗り合わせた面々すなわち登場人物には老若男女取り揃え、泣き言なんぞ飛び交いつつも、乗員のひとりは妊婦だったりして、無事新しい生命の誕生を迎えるエピソードなんぞも絡めつつ、ヒーローの活躍を中心に勇気と希望を謳いあげる、ってな感じになるところ、ですかね。しかし本作、登場するのはオッサンばかり。ボーグナインやらジョージ・ケネディやら、そりゃこんな濃い連中をひとつの飛行機に押し込めりゃ、墜落もするだろうさ。で、オッサンたちのサバイバル。日常から非日常へ放り出された事そのものに対する泣き言なんぞそっちのけ、情緒ではなく、意志と意志とのせめぎ合い。いわば「生きていくことの論理」同士がぶつかり合う、骨太な内容で、まさにアルドリッチ節炸裂といったところ。オッサンたちが作業に邁進する時の顔はまさに少年のよう、作業の細かい描写も手伝って、映画のダイナミックさがよく出ていますが、その一方、困難を前にすればいくらオッサンでも弱さが出る。普通の意味での“弱気”もあれば、“強がり”というのもまた弱さの裏返し。様々な衝突を招くことになってしまう。どっちが正しいと割り切れない、終わりの無い衝突。向こうからは、死んだ仲間の墓がこちらを見守っており、不吉な運命を感じさせて、果たして彼らは本当に脱出に成功するのか?・・・という訳ですが、まあ要するに、本当に正しい人なんていないんだよ、不要な人もいないんだよ、皆でとことんぶつかりあって、それでも前に進んでいくんだよ。そんな感じの映画ですね。しかし一言。あんな発電機でどれほど発電できるもんなんだろうね。人力発電は出力の低さが難点。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-06-12 13:04:00)

305.  トゥルー・クライム(1999) 今夜死刑を執行されようとしている囚人が、実は無罪なのではないか、と、ジジイなのにプレイボーイで敏腕のイーストウッド記者が奔走するオハナシ。たった半日で真相に辿り着けるのか、というサスペンスなんですが、とは言えイーストウッドが当の囚人に面会するのは映画のほぼ半分くらいのところ。そこは敏腕記者なので(というか亡きオネーチャン記者がすでに手がかりを掴んでいるので)残り半分でも簡単に解決!と思いきや、映画の残りのさらに半分で、手がかりを失い、さらにはこれまでの悪行がたたって妻からも三行半、どうしようもなくなってしまう。そう、やっぱりイーストウッド記者は「遅れてきた」のです。浮気に励み、気ままに取材にのめり込み、家族をないがしろにし、映画の前半をムダに費やして、それらの挙句に、この囚人が無実だという感触を持ちながらもはや手遅れ、という次第。「過去」の犯行の様相が異なる映像で繰り返し描かれ、徐々に明らかになっていきながら、「現在」はモヤモヤと膠着状態に。処刑まではもう時間がない・・・そしてここからがサスペンスの見せどころ。イーストウッドの男気の魅せどころ。「魔のカーブ」や「知り合いの変な浮浪者」など、映画前半の素材を織り込んでみせるのも、なかなかシャレたサービス。アクションは抑え気味ですが、充実感はしっかり味わうことができました。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-07 14:27:51)(良:1票)

306.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 百万両の壺をめぐる騒動。マンガのように大仰な大河内傳次郎の丹下左膳を始めとする、ヒト癖もフタ癖もある登場人物たちの絡み合い。っていうよりむしろ、妙な「噛み合わなさ」のオモシロさ。各自が互いの引力の影響をうけつつも、めいめい勝手な公転軌道で壺のまわりを周回し続けることで、不思議なまとまりを見せる。とにかく滅法面白くって、しかもコレ「歴史的な名作」なんだそうですから、もう観ない手は無いでしょ。[CS・衛星(邦画)] 9点(2011-04-30 23:27:59)

307.  海外特派員 アイデア満載の超オモシロ映画。第2次大戦開戦にまつわる陰謀劇を描くサスペンスで、これもまた、戦時下に作られたタイムリーな作品ですが、作品を見る限り、そういうキナ臭さは全く感じさせず、いつでもどこでも誰でも楽しめる娯楽作品に仕上げているのは、さすがです。雑踏の傘を縫う追跡劇、風車の中のカクレンボ劇、その他その他、工夫の凝らされた映像を観て楽しく、洒落た会話を聴いて楽しく、二転三転する展開を、ご堪能あれ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-04-27 23:23:07)

308.  オーシャン・オブ・ファイヤー まるでどういう映画か知らずに観たのですが---というより、例の(ちょっとチープな)砂嵐のシーンからの連想で、ハムラプトラみたいな映画かと思ってたら、実在した人物の物語ということでアララと思いつつ観てたのですが---いや参りました、シビレました。これは監督さんの名前をチェックしておかなければ、とエンドクレジットを凝視していたら・・・何と“ジョー・ジョンストン”、これにはのけぞりました、ハイ。まず、アメリカのカウボーイがアラビアの砂漠横断レースに挑む!、ってのが、もうこれだけでワクワクしますね。疾走する馬に並走する低めのカメラは、背景の空と大地をもしっかりと捉え、気分はノリノリ。途中、妙な陰謀劇なども絡んでくるあたりはサービスし過ぎ?かも知れませんが、この辺りは御愛嬌。映画の最初の方で描かれる先住民への弾圧、これは主人公がこのレースに参加するキッカケでもあるのだけど、それだけじゃなく、「そういったアメリカの歴史、一切合財を背負って、アメリカ代表として走ってるねん」みたいな感じがあって(合理主義と神秘主義の重なり合い)、なんかイイなあ、と。で、ラストのデッドヒートは、ちゃんと映画冒頭シーンへと回帰していくあたりも心憎い。この作品、観て本当によかったと思いました。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-04-11 23:01:34)(良:1票)

309.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 暴力の「衝動」なのか「歴史」なのか。“ヒステリー”なのか“ヒストリー”なのか。主人公の日常に兆し始める暴力の陰は、最初は、不連続な衝動的なもの・理性の中に埋もれ稀に姿を現すもの、に過ぎないと思われたが---後半、様相は一変する。実は人間にとって暴力こそが日常であり背景であり、理性などその上でかろうじてバランスをとっている危うい存在に過ぎない、のではないか。「暴力の歴史」ではなくむしろ「暴力こそ歴史」(そしてそれは事実、そうなのだ)。物語の理不尽な面ほど、よりストレートに描いているこの映画の語り口は、かえって何にもまして雄弁である。・・・すみません、観た直後の感想はそんな感じだったと思うのですが・・・人間「以外」のもたらす暴力の恐怖をまざまざと見せつけられ・・・何を語る言葉もないけどとりあえずは「そこ」で終わってちゃいけないんだな、と。(そしてそう思ったとき、この映画もまた、「そこ」で終わらせることなく、次へと向かおうとする作品であったのだな、とも)[DVD(字幕)] 9点(2011-04-01 04:46:59)

310.  秋日和 これもまあ、映画の歴史において再三現れる「三人の○○」モノの一本、ですね。三人の天使というか、東方の三博士というか、いや実際は脂ぎった三人のオヤジなんですけども(仮にこの三人の名前を、チョビヒゲ、メガネ、オールバックとしよう)、この三オヤジの超おせっかい(今の目で見たらセクハラ指数満点)のオハナシ。亡き友人の未亡人とその娘、どっちもイイねえジュルジュル、なんてことを言いつつ、結婚こそが人生の幸せにキマっとるとばかり、娘を何とか結婚させようと奔走する。しかし娘の方は例によって「ワタシ結婚しないわ」と母の原節子を困らせる、このゴネっぷりはかつての原節子の姿、因果は巡るとでも言いますか。映画の基調はユーモラスな雰囲気で、三人のオヤジの調子良さとか、誤解から生じるドタバタとか、コメディらしく楽しめるのですが、それらの顛末の中で、娘の友人などもからんできて物語を重層的に広げ(何度か登場する屋上のシーンが印象に残ります)、さすが、ドラマとしても充実しています。そもそも、結婚こそが幸せ、という価値観に裏打ちされている一方で、メガネこと中村伸郎が(必要以上に)服を脱ぎ散らかしそれを奥さんが片付ける理不尽な「家庭」シーンを入れるあたり、一筋縄では行かず、なかなか皮肉。[CS・衛星(邦画)] 9点(2011-04-01 03:46:34)

311.  シテール島への船出 映画の中心に置かれている物語は、まー言ってみりゃ「頑固ジイサンが帰って来て、ひと騒動」ってヤツですが。しかしこれが、まるで神話のごとくゆったりとした時間の中で描かれ、しかもその「神話」が「神話」のままでいることができず、現代社会の中で居場所を失っていく。それがもうタマランのです。かつての闘士であり今は亡命者である「父」。歴史そのものでもあり、神話でもある。また現代に生きる主人公にとっても、自らの存在のルーツとして、心の一部に巣食って離れることのない存在。その「父」、亡命先から帰ってきた「父」は、周囲から追い立てられ、この国にも居られず、亡命先にも受け入れられず、居場所を失っていく。ただ「母」だけは、その「父」にかつて捨てられながらも結局は彼を無条件に受け入れていく。美しいシーンのオンパレードなのですが、ラストシーンは涙無しでは観られない、その美しさと切なさは特筆モノ。こりゃ『シテール島への船出』というより、ほとんど“補陀洛渡海”の世界ですな。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-02-22 23:22:35)

312.  天国の日々 《ネタバレ》 柔らかい光に包まれた大自然の中で、農場で働く人々もまた、しばしば“単なる人影”として描かれ、大自然と一体化しているように見えますが、その人影の中から主人公たちの表情が浮き上がってきて、切ない物語が綴られていきます。寄る辺なき労働者のビルと、妹であり映画の語り手であるリンダ、そして兄の恋人アビーの3人の一行。ある農場の期間労働者としてこき使われているうち、アビーは農場主に見染められます。農場主は余命いくばくもないため、ビルはアビーに農場主との結婚を勧め・・・と言う訳で、ようやくビルは平穏な生活を手に入れるのですが、その裏には、恋人を他の男と結婚させてしまうという大きな代償と、農場主からの疑惑の視線による緊張感を伴った、表面的な平穏さに過ぎません。この物語が静かに描かれていく中に、自然の風物の映像が何度となく挿入されるのですが、その挿入映像の中のひとつかと思われた“イナゴ”が、大群となって物語の表舞台に躍り出て、その欺瞞に裏打ちされた平穏さを突如打ち破ってしまう瞬間の怖さ。大炎上する麦畑の光景、その映像もコワイ、流れる音楽もコワイ。後はひたすら追いつめられ転落していくしかないのですが、その果敢ない行く末の虚しさよりも、映画ラストで、生き残った者たちがそれぞれまた新しい生活へと向かっていくこと、死者が忘れられていくことの方に、幾層倍の虚しさを感じます。怖い映画でした。映像の美しさ故に、残酷な映画でした。うーん、でも何で使われている曲が『水族館』なんだろう(笑)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-02-03 00:15:19)(良:1票)

313.  戒厳令(1972) 《ネタバレ》 ロメロ監督の某ゾンビ映画を観た直後に本作を観ると、戒厳令下の冒頭シーンが何だかゾンビ映画にソックリだなあと。むしろロメロ映画が政治映画にソックリというべきなんですかね。それにしてもこれまた力作のこの映画。南米の某国にて、あるアメリカ人が殺害される。そこから映画は過去に遡り、彼が反政府組織に誘拐されてからの一週間が描かれる訳ですが。ただ、その描かれ方が、単純に「物語」として、事件の顛末や登場人物の感情を追いかけるものではなくて、ドキュメンタリ調の断片的なシーンがパッチワークのように錯綜的に積み重ねられていき、その中では、拷問シーンも会議のシーンも同レベルの扱い。そしてその描き方は、まるでキュビズムのように各部をデフォルメして強調し、状況のグロテスクさをえぐり出していきます。最後はまた主人公の葬儀のシーンとなり、流されるオルガン曲(バッハの幻想曲とフーガ)が感傷的な気分を醸し出すけれど、それは突然に断ち切られ、事態は何も変わっていないこと、また同じことが繰り返されるであろうことが仄めかされて映画が終わります。「これは感情の問題ではない、政治の問題である」と言わんばかりに。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-01-23 08:51:28)

314.  ジュマンジ 普通に楽しめる映画、くらいにしか思ってなかったんだけど、いやはや、今回観直してみて、改めてその面白さに大感動、ここまで人を楽しませようとするのか、とホロリときてしまいました(いったい今までこの映画の何を観てたのやら)。次から次に発生する危機また危機を、実にテンポよく描いていく小気味よさ。それも、その危機が一過性のものではなく、どんどん積み重なっていくのがスリリングで、何ともワクワクさせられるではないですか。一軒の家で行われているゲームから、奇想天外なモノが次々に現れ、映画の世界の中に広がっていく、という、この広がりの感覚。かつてのパニック映画を思い起こさせるものがあります。で、そのハチャメチャな展開を、しっかり一手に引き受けて「驚き役」に徹するお巡りさんの存在がまた楽しかったり。本当によくできた娯楽映画だと思います。CGについても、ツルンとした恐竜ではなく「毛の生えた哺乳類」を描いて見せたというのが、当時としては画期的。なお、サルが変だという批判も多いですが、これはCGがヘタというより、「人間っぽく描写したい」というジョー・ジョンストン監督の意向に沿ったものらしいです。確かに違和感のあるサルではありますが・・・ホンモノのサルより、愛嬌があっていいじゃないですか。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-12-25 05:37:17)(良:1票)

315.  白いドレスの女(1981) 面白い!! ミステリとしての合理性よりもむしろ、妖しい雰囲気。そしてその中からふと冷酷なロジックが顔を覗かせる瞬間の不気味なサスペンスが、本作の魅力。脇役たちも皆、印象的に描かれているし、カメラも入念に選ばれた印象的なショットが多数で、映画を盛り上げます(オスカーがラシーンを遠目に見るシーン、ピストルを構えているように見えるのに次のカットでは手を下ろしているのは、ちと違和感ありましたが)。いや、本当に面白いです、この映画。ちょっとエロいけど。キャスリン・ターナーの、その手の動き、なんなんでしょ、はずかしいでちゅ。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-12-13 22:42:30)

316.  イージー・ライダー 《ネタバレ》 若い頃に初めて観た時には、LSDラリラリ映像(実際はミスによりフィルムを変色させてしまったもの)にギョッとしつつ、うーんカッコいいようなよくわからんような映画だなーと思った記憶があるのだけど・・・今みたら、なーんだか、さみしい映画だなあ、と。ひたすら寂しい気分になったのは、何なんですかね、やっぱり、アメリカという国の“大きさ”が、変わってきたんですかね。この映画における主人公のヒッピーの存在は、「強くて大きいアメリカ」があってこそ、スタイリッシュかつ鮮烈であったものが、今となっては・・・。何だか、ミジメ。それも、本来なら自分が彼らに感じることのなかったハズの親近感を、つい感じてしまうような、そういう、ミジメさの共有。物語が物語として作られているのは「2人のヒッピーがある男(ジャック・ニコルソン)と知り合う」という点だけで、あとは即興的なやりとりと、憎悪、リンチ。そんな中で、男の死後、2人がちょっと贅沢な食事をとる場面が、やたらジーンときました。つかの間の幸せ。有名なラスト、デニス・ホッパーが銃撃に倒れ、助けを呼びにバイクを走らせるピーター・フォンダの背中が、これまた何ともチッポケな存在に見えて、哀しい。多分、本来この映画に対して持つべき感想ではないのかもしれないけれど、久しぶりに観て、ひたすら寂しい気持ちになったのでした。 <ところで、ヒョロリとしたピーター・フォンダと、ズングリして長髪にヒゲのデニス・ホッパーとが並んでいるのを観ると、ふと“笑い飯”を思い出した。どうでもいいけど>[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-24 22:40:13)(良:1票)

317.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 冒頭のタイトルバックのオーケストラ。トランペットとトロンボーンの後ろに打楽器群というのも珍しい気がするけれど、それより、打楽器奏者がやたらと密集して立ってて、演奏しづらそうですね(笑)。その打楽器奏者たちの中でも、ひとり何もしないで立ってるヤツがいるのだけれど、最後に彼が手を伸ばし演奏する楽器、それがシンバル。オーケストラのギャラは、弾き通しの弦楽器もシンバル一打ちも同じなんだそうですな。とかいう話はどうでもよくて、映画のクライマックスを予告するメチャクチャかっちょいいオープニングなんですね、実にシビレます。映画の題名も面白い、何も判らないまま事件に巻き込まれていく主人公、手がかりはある男が絶命する前に残した謎のメッセージだけ、というのに『知り過ぎていた男』ってんですから。もっとも、“謎のメッセージ”というには、少々、情報量が多過ぎのようにも思いますけどね(だから後半、楽勝で真相に辿り着いちゃうのだ。それでも一応、一度は真相をハズして見せる、剥製屋のくだりがこれまた楽しい)。この映画、この物語には、確かにこのカット割りしかないよね、と言いたくなるほど的確で神経の行き届いたカメラが、不安感を盛り上げ、映画はテンポを上げつつ、クライマックスの“無言の”コンサートシーンへ。そしてあの大使館のシーンは、私も、高校の頃だったか初めて観た時には、面白いな、くらいにしか感じなかったけど、久しぶりに観て、泣けました。離れ離れの親子が、「音」によって繋がる。「音」が分断された「空間」を繋ぐ。これぞ映画でなければ表現できない、映画ならではの名シーンですよね~。って、何となくこういうシーンで泣くのは“思うつぼ”のような気がしてシャクなんですけれども(笑)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-24 22:12:02)(良:1票)

318.  戦争のはらわた かなーりノイローゼな映画。第2次大戦下のドイツ軍のオハナシ、とは言え、誰と誰が、どこで、どういうシチュエーションで戦っているのやら、はっきり言ってどうでもよくて、爆撃、爆音がひたすら続き、硝煙がひたすら流れ続ける。戦争の狂気と残酷さを描いた作品、などと言ってしまうと何だか陳腐な感じがしますが、本作の徹底ぶりはハンパじゃない。行きつくトコロまでイッちゃって、得体のしれないレベルにまで到達しており、とうとう邦題までこんな意味不明なものになっちゃいました。あははは。この映画、コワイです。[DVD(字幕)] 9点(2010-11-17 23:42:13)

319.  スクリーム(1996) 3作ともしっかり楽しませてくれた本シリーズ(マンネリ化の危険を冒してシリーズ化するのは、作品のメタレベルを引き上げるため。ホラーたるもの「シリーズでなくてはイケナイ」のです)、シリーズとしてちゃんと成功しているのだけど、やっぱりこの第1作が一番、そのインパクトたるや大きかったですよね。「イザという時に殺人鬼がやたらドン臭くなる点(ホーム・アローン並み)」まで含めて、ホラー映画を徹底的にコード化し、“マニア向け”を装いつつも、結局は万人を楽しませてくれる。秀逸なアイデアと、ホラーの魅力を知りつくした職人芸が、際立っています。 (※)ところで、先日BSで放送されてるのを観たら、残酷シーンにボカシが(!?)。地上波ではフツーに放送してなかったっけか。つい笑っちゃったけど違和感アリアリで感心しない。 (※)ところで、私が本作を観ていると、例によって途中でやってきた子供が、顔を引きつらせ「コワイ~消して~」と大騒ぎ。映画が終わるとホッとしたのか、何やら引き出しを物色した後、機嫌よく家の中を走り回っていたのですが……よく見ると何と、子供の手には、プラスチック製のペーパーナイフが(!笑?)。これは結構ウケました、勿論、しっかり注意しておきましたが。ああ、こんなコトだから、放送時にボカシが入れられちゃったりするのですね。すみません。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-03 05:34:14)(良:1票)

320.  上を向いて歩こう 大学の頃、研究室の先輩達とカラオケに行くと、尊敬すべき先輩達は決まってこの“上を向いて歩こう”を下ネタオンパレードの替え歌で熱唱し、その時歌詞の背景にはこの映画のシーンが流れていて、ああ、下ネタの嵐の中、九ちゃんの笑顔の眩しかったことよ。というのも今では懐かしい思い出ですが。さてこの映画。タイトルだけ見れば、いかにもヒット曲にあやかったような、企画モノっぽい胡散臭さを感じちゃうのですが、内容は決してそんな軽いものではなく、意外に暗い内容。演出にも気合いが入っていて、なかなかの力作になっています。冒頭のタイトルの背景の鑑別所のシーン、流れるようなラグビーのパス、食事中に次々に手渡されるヤスリ、そして集団脱走、ここでは人から人への流れ、人と人との繋がりが象徴されているにも関わらず、映画の中で展開されるのはひたすら、すれ違いや誤解、すなわち分断。あくまで“コメディタッチの青春物語”という体裁なので、そうヒドイことにはなりませんが(笑)一歩間違えば凄惨な展開になってもおかしくないところ。物語において、この分断を修復する役目なのが、吉永小百合をはじめとする、女性たちの存在。彼女たちのおかげで、一応、サワヤカな青春モノ、に踏みとどまっています。エンディングは、みんなで主題歌を歌ってサワヤカにお別れ。このサワヤカさ、本当に額面通り受け取っていいんでしょうね? まさか、殺戮の末に全員死亡したということの暗喩じゃないでしょうね(笑)。まあ何にせよ、意外に力作です。[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-10-30 23:31:20)

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