みんなのシネマレビュー
かたゆきさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
818283848586878889909192939495
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
818283848586878889909192939495
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
818283848586878889909192939495

301.  ラスト、コーション 《ネタバレ》 これはとても深い映画。女の魔性と男の愚かさをここまで大胆に描出した映画を僕は他に知らない。どうして女が男を狂わせるのか、そして男は暴力をふるってまで女を支配下におこうとするのか、そんな男と女の普遍的な駆け引きが大胆でありながら何処かに上品さをも感じさせる過激な性描写と共に描き出されていく。支配と被支配、復讐と赦し、サディズムとマゾヒズム、感情と肉体、そして憎悪と愛情。疑心暗鬼と肉欲と情愛が複雑に交差する、男と女のそんな深遠な世界へとアン・リー監督はスリリングに迫っていく。最後、極限状況下で女が男にかけた「逃げて…」という言葉は、人間の本能が搾り出した、まるで光り輝く宝石のように美しいものだった。やっぱり女って光り物に弱いんだよねぇ……。[DVD(字幕)] 8点(2012-04-25 23:11:20)

302.  第9地区 《ネタバレ》 久しぶりに面白い映画を観たなぁと素直に思える映画だった。特に設定が秀逸。差別されるマイノリティであるエイリアンの居住地区を南アフリカにもってくるところなど、下手をすると説教臭くなったり変に啓蒙主義的になったりするものだけど、この映画はちゃんとエンターテイメントから軸足がぶれてない。何より、自分をマジョリティであることを信じて疑わなかった主人公の公務員が、徐々にエイリアンに変質していきながら自分が何も考えずにマイノリティを差別していたことを悟っていく姿は深い。そして、最後、そんなどうでもいい人間だった主人公が意を決して男気をみせる姿に、僕は思わず拍手を贈りたくなってしまった。面白い設定、徐々に盛り上がっていくアクション、魅力的な登場人物、ちょっぴりグロくて、そしてほんの少し深い。良質なエンターテイメント映画だった。[DVD(字幕)] 8点(2012-04-25 12:08:45)

303.  デイブレイカー 《ネタバレ》 なかなか監督のセンスを感じる映画だった。吸血鬼を主人公にして人間と戦うという逆転の設定が存分に活かされて、何よりちゃんとした社会が形成されているところが良い。そして徐々に血液が枯渇していくという、社会の崩壊の恐怖がじわじわと不安感を煽っていき、ラストも巧くまとまっていた。完全太陽光遮断の車でのカーチェイスでは、従来のそれに弾痕からの日光も避けなければいけなくなるところなど、緊迫感も増していて監督の才能を存分に感じさせた。いまから次回作が楽しみだ。[DVD(字幕)] 8点(2012-04-25 11:44:12)(良:1票)

304.  オリオンと暗闇 《ネタバレ》 何処にでもいるような10歳の大人しい少年、オリオン。地味で目立たず、内気な性格の彼はクラスでも少し浮いた存在だ。そんなオリオンの性格を一言で表すと、「とっても怖がり」。彼の見えている世界には、恐ろしいことがいっぱい。ハチに刺されたらどうしよう、犬に嚙まれたら痛いし、携帯電話はガンになるし、道端の排水溝には殺人ピエロが潜んでるし、トイレで水が詰まったら大洪水になってみんな死んでしまう。そんな怖いものだらけのオリオンがもっとも恐れているのが、〝暗闇〟。日が暮れてベッドに潜り込むと毎晩、何が隠れているか分からない真っ暗な世界がオリオンを取り囲むのだ。それでもベッドの中で恐怖に耐えながら眠りに就いたオリオンにある夜、彼がやってくるのだった。何千年ものあいだ、人々に忌み嫌われてきた〝暗闇〟が――。不安神経症に悩む少年がある夜出会った暗闇、彼とともに体験する不思議な一夜をファンタジックに描いたCGアニメーション。脚本はかつて、『エターナル・サンシャイン』などで天才の名をほしいままにした脚本家チャーリー・カウフマン。絵本を基にしたということもあって、ビジュアルやお話は物凄くベタベタな子供向けアニメなのに、そこはやはりカウフマン、一筋縄ではいかない内容に仕上がっておりました。とにかくテーマがすこぶる哲学的!人間が闇を恐れる理由、それは死が無であるということを否応なく見せつけてくるから。でもそれは思い込みだと教えるために擬人化された暗闇と、彼の仲間である「眠れず」「静寂」「睡眠」「不思議な雑音」「いい夢」とともに冒険の旅に出る。その過程でいかに夜の暗闇が光を輝かせるために重要であるか、もともと世界は闇しかなかったのに人間が光を手にしたがために無用な恐怖に悩まされることになったというのを描いている。なんとも実存主義的で多くの哲学者がずっと考えても答えがでないテーマをここまで分かりやすく子供向けに描いたところは特筆に値します。さすが!また、暗闇の仲間たちがどれも良い感じでキャラ立ちしているのもナイス!特にハンマーで殴ったり枕で窒息させたりして人々を眠りに落ちさせる睡眠と、可愛い見た目なのになにかと怒りっぽい静寂が自分は好きでした。肝心のお話の方も、途中から大人になったオリオンが娘に話してきかせていたというメタフィクション構造が明らかになるのだけど、途中からその娘が子供オリオンの世界に入ってきたり、彼女を救うために今度はお爺ちゃんオリオンの世界から孫がタイムマシンでやってきたりとかなり複雑怪奇。それなのにここまで分かりやすく、かつシュールで笑える世界観で表わしちゃうなんて凄い!最後、暗闇を救うために主人公が自らの記憶の中に飛び込むシーンは、観念的世界を独創的な映像で描いた唯一無二のもの。名作『エターナル・サンシャイン』をも髣髴させるその映像に自分はハート鷲掴みでした。いかに恐怖を克服して生きることが大切かを問うた秀作だと自分は思う。[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-07 12:01:21)
《新規》


305.  ザ・フラッシュ 《ネタバレ》 世界最速のスーパーヒーロー、フラッシュの世界を救う大活躍を最新のCG技術で映像化したエンタメ・アクション。こーゆーヒーローごった煮映画はマーベルで懲りたはずのなのに、監督が自分はけっこう好きだったスティーブン・キング原作の『IT』2部作を撮ったアンディ・ムスキエティということで今回鑑賞。そんな期待せずに観たおかげか、意外や意外、けっこう面白いじゃん、これ!とにかく圧倒的な映像技術が凄い!超高速で動くことが出来る主人公が、スローモーションになった世界で自由自在に動き回るシーンはやぱワクワクしちゃいますわ~。倒壊したビルから生まれたばかりの赤ちゃんがたくさん落ちてくるのをレンジやらガスボンベやらダックスフントを使ってスイスイスイっと助けちゃうシーンは普通に楽しい。何気に、お腹が空きすぎた主人公が赤ちゃんよりまずお菓子を優先しちゃうところが自分はツボでした。全編通じてこーゆーブラックなギャグ満載なのも良いですね~。高速で動いたせいで服が破れた主人公がアキラ100%ばりのフリチンギャグを繰り返すのもベタすぎて思わず笑っちゃったわ。肝心のお話の方は、超光速で走ると過去に戻れることに気づいた主人公が死んだ母を救うために過去を改変しちゃうというもの。過去を変えてしまったせいで世界に分岐が起こり、そこから様々な宇宙が誕生しちゃういわゆるマルチバースという最近流行りの設定。スーパーヒーローにならなかった世界の自分とタッグを組み、落ちぶれて世間から忘れ去られたこちらの世界のバットマンと一緒にスーパーマンを助けに行くという、普通に考えたら頭がおかしくなりそうな複雑怪奇なお話なのに、ここまで分かりやすく纏めた脚本も見事。マイケル・キートンやジョージ・クルーニーと言った歴代バットマン俳優がマルチバースを越えて大集結というのはスパイダーマン最新作でやったパクリ……もとい、インスパイアですね(笑)。特にキートンバットマン(懐かしい!)がスパゲティを喰いながらそんなマルチバースを解説するシーンは分かりやすいと同時になんか笑えちゃう出色の出来でした。そして、登場するスーパーガール。僕の最近一推しのセクシー女優MINAMOちゃん似の彼女がピチピチのコスチュームで暴れまわるシーンは色んな意味でヤバかった(笑)。そして最後、主人公が現実を受け入れ過去と決別するシーンは切ない余韻を残してくれます。まさかこんなラストが待ってるなんて!うん、なかなか面白かった!7点![インターネット(字幕)] 7点(2024-05-22 08:20:51)

306.  REBEL MOON パート1 炎の子 《ネタバレ》 ここは、強大な皇帝が宇宙の隅々まで支配する銀河帝国マザーワールド。だが、そんな帝国に不穏な空気が立ち込め始める。絶大な権力を有していた王家が軍の謀叛により皆殺しにされてしまったのだ。そんな混乱の隙をついてレジスタンスが各地で反乱を起こし、帝国は新たなる戦乱の時代に突入しつつあった――。辺境の小さな星で日々農業を営み、貧しいながらも平穏な暮らしを送っていたある村にも暗い影が忍び寄る。帝国の巨大な艦船が幾多の護衛艦を引き連れ、村の上空に現れたのだ。屈強な兵士を何人も従え村へと訪れたノーブル提督は、村長に村の穀物を帝国のために引き渡せという無茶な要求をしてくるのだった。「そんな、食料がなくなったら我々は餓死してしまう」。決死の思いでそう訴える村長を無情にも殺した提督は、10週間後までに村に備蓄してある食料の3倍の量を用意しておけと言い残し去ってゆく。一部始終を目撃した村の若い女性コラ。過去を捨て静かに暮らしていた彼女は、村を救うため広大な銀河へと旅立つ決意をするのだった。自分たちと一緒に戦ってくれる勇敢な英雄たちを求めて……。独創的な映像と唯一無二の世界観でハリウッドのエンタメ映画界を牽引するザック・スナイダー監督の最新作は、黒澤明の名作『七人の侍』からインスパイアされたというスペースオペラ大作でした。リアリティなんてはなから度外視、とにかく拘りに拘りぬいた映像を撮らせたら右に並ぶものがないこの監督の大ファンである自分としてはけっこう期待して今回鑑賞。いやー、これがもうまんま七人の侍で思わず笑っちゃったわ。貧しい村を救うために七人の戦士を求め主人公たちが馬を駆って旅をするシーンなんてそのまんまやし。でも、設定をSFに変えるだけでここまで変わるのかというくらい印象がからりと変わっちゃうのはやぱ面白かったですね。2部作ということで今回は7人の戦士たちを集めるために旅するというのがメインのお話になるのだけど、出会う戦士たちがどいつもこいつも中2病感溢れる個性が炸裂してて大変グッド。グリフィン使いの奴隷戦士や二刀流のクールな女剣士、今や酒浸りの元帝国軍将軍なんてめっちゃくちゃベタなメンバーだけど、やぱ彼らが徐々に集うシーンはテンション上がっちゃいますわ。対する悪役の帝国軍も負けず劣らずキャラ立ちしているのも良いですね~~。特におかっぱ頭で触手好き?なノーブル提督の気持ち悪さはもう振り切ってて素晴らしい!ここら辺、おたくでならしたザック・スナイダーの面目躍如って感じですね。クライマックス、宇宙船を舞台にした彼らのバトルは相変わらずのド迫力で素直にハラハラドキドキ。いやー、面白かった。村を守るためにいよいよ故郷の星へと帰ってきた七人の戦士たちの戦いは、完結編である次作に持ち越し。うん、楽しみにしとこ♪[インターネット(字幕)] 7点(2024-05-04 11:00:37)

307.  ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE 《ネタバレ》 毎度おなじみ不可能ミッション請負人のイーサン・ハントが世界狭しと大活躍する人気シリーズも今回でなんと7作目!いやー、まさかこんなに長寿シリーズになるとは思わなんだですな。ブライアン・デ・パルマが監督を務めた一作目からリアルタイムで観てきた自分としてはなかなか感慨深いものを感じながら今回鑑賞。相変わらず湯水のようにお金を掛けた&トム・クルーズのもはやドMなんじゃないかとも思える身体を張ったアクションは今回も凄かった!特にクライマックスの列車のシーンはベタだけど素直にハラハラドキドキ!なんであんたら、わざわざ列車の上に出て戦うねん(笑)。まぁ相変わらずストーリー自体はよー分かりませんでしたけど。取り敢えず鍵が2本あってそれを敵の手に渡すと世界が大変なことになりまんねんってことだったのかな?そこら辺がよー分からんうえに、さらには敵さんもいまいちキャラ立ちしてないとこがなんだか残念ポイントでした。パート1ということでそこら辺は2作目で明らかになるっぽい?でも、かなり強引なストーリー展開が良くも悪くも売りだった本シリーズで2部作にしたのは失敗だったような気がしなくもない。単純にこれ1本ですっきり終わってほしかったぞー!とはいえ単純にアクションシーンはどれも大迫力だったし、還暦近いのにトム・クルーズは相変わらずカッコ良かったし、エンタメ映画としては充分面白かった!続編も楽しみにしとこ♪[インターネット(字幕)] 7点(2024-05-01 09:15:49)

308.  ザ・キラー 《ネタバレ》 闇社会に生きる凄腕の殺し屋。自らが決めたプロフェッショナルな哲学に忠実に従い常に完璧な仕事をこなしてきた彼だったが、パリでの任務遂行中に致命的なミスを犯してしまう。警察の目を逃れ飛行機へと乗り込み、何とかアジトがあるドミニカ共和国まで戻ってきた彼。だが、そこで待っていたのは組織によって半殺しの目に遭わされた愛する恋人の痛々しい姿だった。「彼女をこんな酷い目に遭わせた奴らを俺は絶対許さない」――。固くそう誓った彼は、単身アメリカへと渡ることに。自らのエージェントを皮切りに、恋人に酷い拷問を行った二人組、そしてクライアントである実業家らを追い詰めてゆく。果たして彼の復讐の旅路は成功するのか?サスペンス映画界を代表するベテラン、デビッド・フィンチャー監督の最新作は、そんな孤独な殺し屋の復讐劇をスタイリッシュに描いたクライム・サスペンスだ。彼がこれまでのキャリアで培ってきたテクニックを思う存分駆使して創られたであろう本作、これが小技の効いた演出の力が光る佳品に仕上がっておりました。ストーリーなんてあってなきが如し、とにかく2時間、このサスペンスフルな展開を楽しんでくれと言わんばかりの潔いまでの中身のなさはもはや清々しい。マイケル・ファスベンダー演じる主人公がひたすら語りまくるストイックなナレーションがあまりにナルシスチックでちょっと笑けてきちゃうのがポイント。ともすれば単調になりがちなこのお話に良いアクセントを与えてました。肝心のサスペンスシーンももはや匠の技と言っていいフィンチャー監督のテクニックが随所に冴えていて、冒頭からとにかくノンストップでハラハラドキドキ。アメリカでごみ清掃員を装いながらエージェントを襲うシーン、自動ロックが掛かるドアの閉まるまでの秒数を数えながらぎりぎりで足を挟むとことか単純にかっこいいし。人質にした秘書が「お願い、事故死に見せかけて。そしたら子供たちに保険金が下りるから」という訴えをちゃんと聞いちゃうなんて、なんと心憎い男なんだ!実行犯の一人である黒人の殺し屋を襲うシーンもけっこう反撃を喰らってる上に犬にだいぶ手こずってるとこも、なんかお茶目で好き。まぁさすがにストーリーが空気過ぎて、後半から若干ダレてしまった感があるのが玉に瑕でしたけど(特にティルダ・スウィントンの謎の熊のお話を延々とするディナーシーン!)。90分くらいで終わってくれたらもっと完成度の高い傑作になったかもしれないのにね。とはいえトレント・レズナーの不穏な音楽も作品世界に最高にマッチしてたし、フィンチャー監督の円熟の技が光るサスペンス映画の佳品でありました。7点![インターネット(字幕)] 7点(2024-04-26 12:51:17)

309.  すずめの戸締まり 《ネタバレ》 人々から忘れられ廃墟となった場所にはいつしかこの世とは違う世界へと通じる扉が開くという。災いをもたらす異形の存在ミミズがその扉から現れることによって、その地は地震に見舞われるのだ。古くから日本中を旅してそんな災いをもたらす扉を閉じる作業を人知れず続けているのは、閉じ師と呼ばれる一族。ある日、そんな閉じ師の末裔である草太と知り合った平凡な女子高生すずめは、災いを封じるための要石が猫に姿を変え日本列島を北上し始めたことを知るのだった。「このままでは未曽有の大災害が日本を襲い、また多くの人たちが死んでしまう」――。要石によって小さな椅子に変えられてしまった草太とともに、そんな猫を追って旅することになったすずめは、各地で様々な人々に出会い助けられながら北を目指して旅を続けててゆく……。日本映画界を牽引する稀代のヒットメイカー、新海誠の最新作は災害列島日本という国で人知れず人々を救ってきた閉じ師と平凡な女子高生の物語をファンタジックに描いたロードムービーでした。正直この人の映画ってイマイチ好きになれなくて(特に前作『天気の子』は酷かった!)、本作も別に観る気はなかったのだけど、今回地上波でノーカット放送されるということで鑑賞。そんな期待値ゼロで観始めたのが良かったのか、感想は「あれ、意外と悪くないじゃん」でした。いやむしろけっこう好きかも!冒頭からノンストップで描かれるすずめの旅はかなりテンポが良くて、ストーリーの強引さも気にならないくらい惹き込まれて観ている自分がいました。映像が美しいのはもはや言わずもがな、それより椅子に変えられた草太と要石猫との追いかけっこがアニメならではの躍動感に満ちていて率直に楽しい。いけ好かないキャラだった草太が、ちゃちな椅子に変えられてしまったことで逆に魅力的にさせてるとこなんてなかなかいいセンスしてるやん!今回は東日本大震災をテーマにしていることで、新海作品特有の童貞男子が夢見そうな青臭い妄想臭が幾分か抑えられていたことも大変グッド。椅子にチューしちゃう主人公をどーしても入れたかったのだろう監督の意地はご愛敬だけど(笑)。旅先で出会う人々がみんな良い人過ぎるのもどーかと思ったけど、後半叔母の心のどす黒い声が溢れ出してしまうシーンでちゃんと暗い現実も描いていて上手くバランスをとっていたと思う。311をエンタメとして扱うことにネットなどで賛否が分かれているのは知っています。確かにちょっと軽く描き過ぎとは思うけれど、自分は普通に受け入れられました。何故なら本作の根底には、震災のみならずすべての災害で亡くなった人々への祈りと鎮魂の物語があると思えたから。これまでの自らの世界観を踏襲しつつも新たな地平を築いた新海誠監督の秀作だと自分は思う。[地上波(邦画)] 7点(2024-04-10 10:13:10)

310.  マッドゴッド 《ネタバレ》 『スターシップ・トゥルーパーズ』や『ロボコップ』など数々のSF映画で特殊効果を担当し、その容赦ない血みどろぐちょぐちょ映像で幾つもの伝説を残してきた、グロ映像界の巨匠フィル・ティペット。彼が約30年もの月日をかけて制作したという、悪夢のような未来社会を独創的なストップモーションアニメで描いたディストピア物語。いやー、相変わらず血みどろぐちょぐちょでしたね~、これ。手作り感あふれる小さな人形たちがただひたすら焼かれたり切り裂かれたりプチっと潰されたりと、ひたすら虐められる映像が最後まで延々と続きます。これを何十年もかけて地道に創り続けてきたフィル御大の根性が凄い(笑)。でも『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』や『コララインとボタンの魔女』をこよなく愛する自分としては、こーゆーシュールでグロテスクな世界観はもろ好み!手を変え品を変え最後まで徹底的にグロに拘った、この唯一無二の世界観は素晴らしいとしか言いようがない。ただ、こーゆー内容なんでストーリーはほぼあってなきが如し。自分は分かったような分からなかったようなで途中からちょっぴり退屈しちゃいました。もう少しお話の内容でも魅せてくれたらなお良かったんですけどね。とは言え、ここまで徹底的にイキ切ったグログロ映像はもはや匠の技。自分は最後まで充分堪能させていただきました。うん、7点![DVD(字幕)] 7点(2024-03-11 09:15:06)

311.  マッシブ・タレント 《ネタバレ》 彼の名は、ニコラス・ケイジ。かつてヒット作を連発し、大人から子供まで大人気を誇ったハリウッド・スターだ。アクション娯楽大作に立て続けに出演したかと思えば、その演技力の高さからアカデミー賞を取るなど、まさに我が世の春を謳歌していた。だが、私生活の散財癖から莫大な借金を背負うと、金を返すために低予算の駄作ばかり出演するようになり、気づけば世間から冷めた目を向けられるように。監督やプロデューサーからは足元を見られ、多くのファンも離れてゆき、妻とも離婚、年頃の一人娘からもウザがられる存在に。今や過去の栄光と酒だけが生きがいの典型的な落ち目のハリウッドスター。そんな彼にある日、少し変わった仕事のオファーが舞い込んでくる――。スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけでなんと100万ドルが貰えると言うのだ。金の為に仕方なくスペインのリゾート地へと向かうケイジ。そこで彼を待っていたのは、彼の熱狂的な大ファンだという大富豪だった。早速彼と豪華な食事や酒を楽しむケイジだったが、帰り道、CIAを名乗るスパイに拉致される。彼らによると、大富豪は陰で国際的な犯罪組織を率いる裏社会のボスらしい。家族の安全と組織に誘拐された政治家の娘を救うため、スパイとして再び大富豪の屋敷に舞い戻ったケイジは、危険を感じながらも豪邸の中を探り始める……。落ち目のハリウッドスターであるニコラス・ケイジが落ち目のハリウッドスターであるニコラス・ケイジを演じているということで今回鑑賞。いやー、ケイジさんの自虐ギャグ満載でけっこう面白かったですね、これ。全盛期の彼のヒット作『コン・エアー』やら『ザ・ロック』などのネタがてんこ盛りで、リアルタイムで観てきた自分としては思わず笑っちゃいました。特に、興行的にも役者としても一番ノリにノッていた名作『フェイス/オフ』にやたらしがみついてるケイジさんとかもうツボです。泥酔して若い頃の自分と妄想の中で会話するシーンとか実際にやってそうで怖い。この落ちぶれ具合は、もはや演技じゃなくて本人による再現VTRでしょ(笑)。ただ、大富豪の正体が分かるまでの前半部分、若干ネタがスベってたのとストーリー的にちょっともたもたしてたのが残念!もっと前半から飛ばしてほしかったかな。最後は復活したニコケイが再びスターに返り咲いて、家族とも仲直りしてジ・エンド。まぁ、「なんじゃそりゃ!!」ですけど、余りにニコケイが幸せそうで思わず拍手を贈っちゃいましたわ。全盛期も落ち目の時期もずっと見守ってきた生粋のニコラス・ケイジファン?の自分としては、とても感慨深いものを感じながら最後まで暖かく見守ることが出来ました。ありがとー、ニコラス・ケイジ。これからも身体に気を付けて、いっぱい映画に出てね![DVD(字幕)] 7点(2024-03-07 09:12:49)

312.  潜水艦クルスクの生存者たち 《ネタバレ》 2000年にロシアで起こった、未曽有の原子力潜水艦沈没事故――。一つ間違えばチェルノブイリ級の大惨事になりかねなかった、そんな潜水艦クルスクの沈没事故をモデルに、艦内に閉じ込められた23名の生存者たちの運命を冷徹に見つめたノンフィクション・ドラマ。監督は、『偽りなき者』や『アナザーラウンド』で数々の賞に輝く実力派、トマス・ヴィンターベア。この監督らしい、手持ちカメラを多用した映像とナレーションやテロップを一切使わないというハリウッドの同ジャンルの映画とは一線を画するその演出はリアルで、まるでドキュメンタリーを観ているかのような臨場感は凄かった。そのせいで多少分かりづらい部分もあったが、後半からはこの乗組員たちがどうなるのかという先行きが気になり、いつの間にか見入っている自分がいた。潜水艦映画の醍醐味である、息がつまるほどの閉塞感も凄まじく、特に酸素発生装置のバッテリーを取りに行くために水没地区のロッカーまで冷たい水の中を泳いでいくシーンは、こちらまで窒息しそうで思わず手に汗握ってしまう。「もう諦めていったん空気のある所まで戻れーー!!」と何度思ったことか。監督のこの演出力の高さは称賛に値する。そして、後半。この事件のことをほとんど知らなかったこともあり(ただ、あの息子の救済を訴える母親が公衆の面前で注射を打たれて失神するシーンはテレビで見たことがあった。詳しく知らないながらも恐怖した思い出がある)、その邦題からきっと彼らは助かるのだろうと思いながら観ていたので、最後の展開には驚かされるとともにどうしようもないやり切れなさに包まれてしまった。自らのメンツにこだわるあまり、兵士たちの命をここまで軽視するロシア上層部の非人間性には怒りを通り越して、もはや恐怖さえ感じてしまう。そしてそれは今もかの国の大統領に脈々と受け継がれているのだろう。観終わった後、色々と考えさせる社会派ドラマの秀作であった。ただ、ロシア人たちが皆英語を喋っているのはさすがに違和感が拭えなかった。ここまでリアルに拘った演出をしたのなら、そこまで徹底してほしかった。[DVD(字幕)] 7点(2023-12-27 08:25:11)

313.  ザ・ディープ・ハウス 《ネタバレ》 「幽霊屋敷 in 池の底」。それ以上でもそれ以下でもないお話(笑)。物語は、再生数を稼ぐことしか頭にないユーチューバーカップルが、より刺激的な映像を求めて、森の奥深くにある湖の底に眠っているいわくつきの廃墟へと侵入するってだけの内容です。でも……、この水の中という舞台設定が技あり!!こんなにベタベタな内容なのに、これが湖の底というだけでこんなに面白くなるなんて意外でした!気持ちの悪い魚が不気味に泳ぐ水の底で誰もいない廃墟へと入ってゆくシーンがとにかく怖い。家具や食器がゆらゆら漂ってるリビングとか今にも何かが飛び出てきそうでヤバかった。そして地下室で明らかに拷問を受けたであろう死体を発見する主人公カップル。でも、彼らは何か違和感を感じてふと呟く。「どうしてこの死体はこんなキレイなままなの?まるでさっきまで生きていたみたい……」。ここからラストまでもうヒィィィって感じで見入っちゃってました。ゆらゆらとゆっくり近づいてくる水死体がこんなに怖いとは。ここに酸素ボンベの残量が残り僅かだという水中ならではの要素も加わって、最後は普通に手に汗握っちゃってたし。何気に色んなゴミとか藻屑が漂う水の中なのに画面がずっとキレイで見やすかったのもポイント高い。アイデア一発勝負ながら、なかなか面白かった!ビール片手に真夏の熱帯夜に観るのに最適な映画、お薦めです。[DVD(字幕)] 7点(2023-09-06 08:31:19)

314.  リコリス・ピザ 《ネタバレ》 1970年代のアメリカを舞台に、恋に仕事に夢にと充実した毎日を送る若者たちの成功と挫折をほろ苦く描いた青春ドラマ。監督を務めるのは、ハリウッドでも今や特異な地位にいる鬼才ポール・トーマス・アンダーソン。主演には、彼と何度も一緒に作品を創り続けてきた名優、故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン(これがデビュー作らしい)。特に何事が起こるわけでもない平凡な若者たちの取るに足らない日常を淡々と描いているだけなのに、なんだろう、最後まで心地よく観ることが出来ました。「ここが凄く良かった!」と声を大にして言える魅力は特にないのに、観終わったときには変な満足感。ここらへんはやはりアンダーソン監督の長年培ってきた力量がなせる技なのかな。脇を固める何気に豪華な役者陣――ショーン・ペンやブラッドリー・クーパーも短い出演時間ながら、心に残る印象的な演技を見せてくれます。正直言って脚本が良かったわけでもないし、映像もそんなキレイでもなかったし、主演2人も特に魅力的だったわけでもないし、ホント何が良かったか分からないけれど、なんか良かったです、これ。自分でもよく分かんないです(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2023-08-14 09:51:50)

315.  ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 《ネタバレ》 もうシリーズの世界観から完全に外れちゃって、もはや『ミッション・インポッシブル(+恐竜)』みたいな感じになってましたけど、これはこれでけっこう面白かった!恐竜に追いかけられながらの街中バイクチェイスシーンは、やぱテンション上がりますなぁ。旧シリーズのメインキャストががっつり大活躍するのも好印象。あと、恐竜だけでなく今回は巨大イナゴの大群に追いかけられるシーンがあったのも自分はけっこう好きでした。イナゴの動きとかめっちゃリアルでなかなかグロかったーー!まぁ3日も経てば完全に忘れてしまいそうな内容でしたけど、エンタメ映画としては充分及第点。うん、そこそこ面白かったです!![DVD(字幕)] 7点(2023-08-09 09:16:43)

316.  ビースト 《ネタバレ》 2人の娘とともにアフリカのサバンナへとバカンスにやって来た父親を悲劇が襲う。密猟者に群れを皆殺しにされた孤独な雄ライオンが突然、襲い掛かって来たのだ。現地でガイドを務める長年の友人は真っ先に瀕死の重傷を負わされ、父はまだ幼い娘たちとともに車の中へと命からがら逃げ込むことに。だが、人間に激しい憎しみを持つライオンは決して諦めない。数発しか弾が残っていない麻酔銃だけを手に車に閉じこもる親子を、ライオンは執拗に襲い続けるのだった。果たして親子の運命は?炎天下のサバンナ、狂暴化したライオンと妻を失くした親子との決死のサバイバルをノンストップで描いたネイチャー・アクション。全く期待せずに観たらこれが意外や意外、なかなか面白かった!最初から最後までエンタメ全振りで、とにかくお気軽に楽しんでもらおうというサービス精神が大変グッド。密猟者に群れを皆殺しにされた人喰いライオンにひたすら襲われるだけというシンプルイズベストにも程があるほどシンプルな内容なのですが、家族愛に焦点を絞った脚本が良い感じにベタで最後まで楽しかったです。反密猟者や群れの中での雄ライオンの役割といった分かりやすい伏線が分かりやすく回収されるのもけっこうカタルシスあったし。ライオンのCGも本物と見間違うほどの高クオリティで、こいつが何度も何度も襲ってくるシーンには素直にハラハラドキドキ!まぁ3日も経てば完全に忘れてしまいそうな内容ではあるけれど、自分はけっこう楽しんで観ることが出来ました。[DVD(字幕)] 7点(2023-08-07 04:33:42)

317.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 妻と娘を失い孤独に生きてきた舞台俳優と彼にドライバーとして雇われることになった若い女性。ともに生きづらさを抱えていた2人の交流を終始淡々と描いたヒューマン・ドラマ。原作は泣く子も黙る世界的大作家、村上春樹。基となった短編集はまだ読んでないんですけど、主人公たちが交わすセリフをちょっと聞くだけで「あぁ、これはもう完全に村上春樹だなぁ」と思わせるところが凄い。妻が亡くなる前の長いプロローグとも呼べるシーンで、主人公が妻とセックスしながらひたすら意味不明な会話を交わすところなんてまさにそう。片想い中の女子高生が好きな男の子の家にたびたび空き巣に入って最終的には人を殺す話をしながらエッチするってどんな夫婦やねん(笑)。その後、本編が始まってからも登場人物が交わす会話も全く同じ。よく言えば哲学的で深いのにどこかお洒落、悪く言えば空疎で薄っぺらく全編気持ちの悪いナルシズムに満ちている。やはり村上春樹の小説は映像化には不向きなんじゃないかと思わせたものの、中盤からは不思議とこのわざとらしいセリフ回しに心地良さを感じている自分がいました。それはおそらく、主人公たちが現在取り組んでいる多言語舞台という前衛的な劇中劇が功を奏しているからなんでしょうね。舞台稽古をしている俳優たちがそのまま私生活にまで影響を引きずっているというこのメタ構造が、この不自然なセリフ回しを巧く中和している。なかなか考えられた演出と言っていい。内容の方も、村上文学の主要テーマである喪失感からの再生が多面的に描かれており、深い。前述した、さまざまな言語が入り乱れる演出でチェーホフの戯曲を再演しようという舞台の稽古と、心に傷を負った若いドライバーとの繊細な交流を二重写しのように描いたところは称賛に値すると思います。同じテーマをそれぞれ違うアプローチで描いていたものがラストでぴったり重なったのが感動的ですらありました。喪失感を抱えて生きている自分たちの苦悩がほんの少しだけ浄化された、それだけでこの先も生きていける――。心地良いラストの余韻に自分は観てよかったと思えました。カセットに録音された今は亡き妻ともう不可能となってしまった会話を交わす主人公の声を、ただ静かに聞き続ける若い女性とか、なんて切ない構図なんだろう。ただ、不満点も幾つか。まず冒頭、妻が亡くなるまでのあの長いプロローグは正直いらない。中盤の高槻との会話への伏線として必要だったのでしょうけど、それも回想シーンなりの別の描き方があったはず。あの40分はばっさりカットしても良かったのでは。とは言え、人と人とが永遠に分かり合えないことの切なさを美しく描いた上質の物語でした。[DVD(字幕)] 7点(2023-07-10 09:11:19)(良:1票)

318.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 彼女の名は、ルビー・ロッシ。寂れた港町で漁業を営む家族とともに暮らす平凡な女の子だ。勉強やスポーツが特に出来るわけでもなく、人が羨むような特技もない。見た目だって普通、交友関係もいたって人並。だけど、彼女には他の人とは違う特徴が一つだけ。それは、彼女以外の家族全員が耳の聞こえない、いわゆる聾者だということ――。そう、両親はもちろん彼女の兄も一切耳が聞こえず、言葉を話すことも出来ない。家族との会話は全て手話、食事のときも食器の音以外何も聞こえない。どうしても他の人とコミュニケーションを取りたいときは、唯一の健常者であるルビーの力を借りなければならなかった。彼女はいわゆる〝コーダ(聾者の両親に育てられた子供)〟。それでも家族とともに充実した日々を送っていたルビーは、ある日、ふと思いついて高校の合唱クラブへと入部することに。緊張しながら初めて人前で披露した歌声。顧問の先生は、指導を続けてゆく中で粗削りながらも彼女の歌声に秘められた可能性を感じるようになる。ボストンの音楽大学への進学を薦められるルビー。でも、私がいなくなれば家族の生活はますます大変なものに。思い悩んだ末にルビーが出した結論とは?耳の聞こえない家族の元で育った17歳の女の子の青春を瑞々しく綴ったヒューマンドラマ。アカデミー作品賞受賞ということで今回鑑賞。感想は、良くも悪くもとにかくオーソドックス。全編通じて、何処かで見たような映像と何処かで聞いたようなお話のてんこ盛り。主人公カップルが崖の上からキレイな森の湖に飛び込むシーンなんて、この手の青春ドラマでもう何回見てきたことか。誰もいない湖面で2人泳ぎながらキスするとか、トム・クルーズの『カクテル』ぐらいから受け継がれてきたもはや青春映画のテンプレなんでしょうね。クライマックスの両親が見守る中での発表会なんかも、まぁ~~既視感満載。でも……、このベタさ、自分はけっこう嫌いじゃない。それはやはり、主人公をはじめとする登場人物誰もがみな魅力的だからでしょうね。この家族、障碍を持っていても誰も自分を憐れんだりしていない。自分たちだけで健常者と普通に渡りあおうとするし、頼るべきところはちゃんと頼るしたたかさも持ち合わせている。そんな両親を愛していながらも世間に引け目を感じてしまう主人公も気持ちが分かるぶん切ない。何かと言うと家族の責任を前面に出し娘に依存しようとする両親も最初はちょっとウザかったですけど、最終的には娘を清々しく送り出すところは素直に感動しました。妹にちゃんと自立した道を歩んでいって欲しいと願う兄も凄くいい奴。妙に下ネタが多いところも、障碍者を必要以上に美化しないという決意が感じられて好感持てますね。自分は最後まで清々しい気持ちで観ることが出来ました。ルビー、これからもっと幸せになれよーー![DVD(字幕)] 7点(2023-06-12 07:40:39)

319.  アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド 《ネタバレ》 古代の象形文字を専門とする言語学者、アルマ・フェルザー。ベルリンの博物館で寝る間も惜しんで働いていた彼女はある日、上司からとある提案を受ける。それは研究資金を調達するため、ある民間企業が実施する極秘プロジェクトにモニターとして参加してほしいというものだった。気乗りはしないものの資金調達のため、その企業が主催するディナーパーティーに参加したアルマ。すると彼女の前に、非の打ちどころのない完璧な容姿を持つ男性トムが現れる。初対面にも関わらず、トムはアルマに酒を勧めると、甘い言葉を囁きながら積極的に口説き始めるのだった。彼の正体は、最新の高性能AIを搭載した恋愛型アンドロイド。そう、トムは全ての女性の理想の男性像を基に造られた、〝完璧な彼氏〟だったのだ――。3週間という約束で、トムとともに共同生活を始めたアルマ。最初は余りにも人間離れした言動を繰り返す彼に戸惑いを隠せない彼女だったが、仕事で重大なミスが発覚ししかも離婚した元夫の再婚という事実も重なって大きなストレスを抱え込んだアルマは、次第にトムに心を許してゆく……。昔からホントよくあるお話で、演出だって極めてオーソドックスなのに、何だろう、普通に面白かったです、これ。とにかく品が良くておしゃれ!ヒマさえあれば女性に甘い言葉を囁いて口説き始めるアンドロイドという、人によっちゃ見るに耐えなくなりそうなこのキャラクターが実にいい味出してる。バラの浮かんだ泡だらけのお風呂にワインをくゆらせながら浸かるオールバックのハンサムさん……、普通にしたら寒さマックスになりそうなこのシーンがちゃんと成立しているんだから凄い(笑)。最初は反発していた主人公が次第に彼に心惹かれてゆく描写も丁寧でちゃんと説得力が感じられるのも大変グッド。悪酔いして自暴自棄になった主人公がトムに「もう何でもいいから私を抱いてよ!」と詰め寄ったのに、彼が「ムードもタイミングも今じゃない、おやすみ」と部屋を出てゆくシーン。「もっと自分を大事にしなよ」ってことですか。さすが高性能AI、女心をよくわかってらっしゃる(笑)。ここらへん、女性監督ならではの視点が冴えてますね。最後、モニター期間を終えて施設へと帰ってゆくトムをアルマが窓から見送るシーンなんてなんとも切なく、もはや彼がアンドロイドであることも忘れて「アルマ、今すぐ家を出て彼を追っかけろよ!」と心の中で叫んじゃったし。愛に傷ついた中年女性の心の機微を繊細に描いたラブストーリー。自分もこーゆー「完璧な彼女」が欲しいと思っちゃいました。誰か作ってーー。[DVD(字幕)] 7点(2023-04-05 08:31:28)(良:1票)

320.  クーリエ 最高機密の運び屋 《ネタバレ》 彼の名は、グレヴィル・ウィン。英国の中堅企業で働くごく普通のセールスマンだ。愛する妻とまだ幼い一人息子に恵まれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしている。東西冷戦が激化し始めていたこの時代、それでも彼は得意の語学力を活かし、東欧諸国にもそのビジネスチャンスを拡げていた。定年後の安らかな老後だけを楽しみに、家族のため日夜仕事に精を出していたある日、彼は政府の役人と名乗る人物から会いたいと打診を受ける。商務庁の人間だと待ち合わせ場所に向かったグレヴィルは、そこで待っていた人物に衝撃を受けるのだった――。彼らはなんとMI6とCIAに所属する、いわゆるスパイだったのだ。「ソ連のある高官が西側に寝返ろうとしている。彼と接触するためにはソ連に怪しまれない人物が必要だ。平凡なビジネスマンであるあなたはまさに適役。どうだ、国に貢献してみないか」。彼らの提案に最初は難色を示すグレヴィルだったが、現実味を帯びる核戦争の危機に触発され、渋々スパイとなることを決意する。モスクワへと赴き、当局の監視の目を搔い潜って情報を持ち帰るグレヴィル。もちろんバレると命の保証はない。何度もソ連へと行き来するうちに彼の神経は徐々に擦り減ってゆき……。キューバ危機に見舞われた東西冷戦期を舞台に、核戦争を回避するためにスパイとなったある平凡なセールスマンを描いたサスペンス。実話を元にしただけあって、この全編に漲る緊張感は凄まじかった。いつどこに監視の目が光っているかも分からず、部屋に一人でいるときも盗聴器の存在を常に意識しなければいけない。それでも国のため家族のために任務を遂行する、もともと普通のセールスマン……。圧し潰されそうな重圧から次第に家族と険悪となってゆくというのは皮肉極まりない。そんな難しい役をリアルに演じたベネディクト・カンバーバッチの熱演が光る。そんな中、同じく世界の未来の為に祖国を裏切るソ連高官との次第に深まってゆく絆。当局から疑いの目を向けられるようになり任務も遂行不可能となったのに、それでも彼を亡命させるためもう一度モスクワへと渡る決心をした主人公の決断は重い。そこからはまさに息詰まるようなシーンの連続で自分も固唾を吞んで見守るしかなかった。ただ、惜しいのは拘束されてからの後半。妻がようやく彼に会いにモスクワへとやってくるところが意外とあっさりで、ここをもっと踏み込んで描いてほしかった。地獄のような収容所生活で彼が正気を失わずにいられたという重要な場面、何ならここをクライマックスにしても良かったのでは。げっそりと痩せてしまったカンバーバッチの演技が見事なだけに、惜しい。誰もが不安を抱えて生きていた当時、核戦争を回避するために自分を犠牲にしてまで動いてくれた人がいた――。その事実に改めて畏敬の念を感じざるを得ない、なかなかの秀作であった。[DVD(字幕)] 7点(2023-03-10 09:00:30)

010.05%
190.48%
2492.60%
31266.67%
424913.19%
533217.58%
648625.74%
733317.64%
821811.55%
9713.76%
10140.74%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS