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プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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321.  PITY ある不幸な男 《ネタバレ》 都会の高級マンションで洗練された生活を送る、ある中年弁護士。常に清潔なスーツを着て、誰に対しても礼儀正しく、毎日規則正しい生活を心がける、品行方正を絵にかいたような真面目な男だ。だが、彼の最近の一日はベッドで目覚めてからしばらくの間、咽び泣くことから始まる。何故なら、彼の長年連れ添った妻が事故により昏睡状態へと陥ってしまったからだ――。もう長い間、彼の妻は病院のベッドで寝たきりで、医師も匙を投げるほどの深刻な状態。そんな彼を気遣って、周りの人々は常に優しく接してくれる。マンションの上階に住む心優しい奥さんは毎朝甘いケーキを焼いて差し入れてくれるし、弁護士事務所の事務員はいつも励ましの言葉を掛けてくれる。長年の友人は食事やスポーツへと彼をとにかく一人にさせないよう誘ってくれ、仕事の依頼主である殺人事件の被害者も自身と境遇を重ね合わせ一緒に涙してくれる。いつしかそんな周りのサポートが彼の生きる支えとなっていた。そんなある日、妻が奇跡的に目を覚ますのだが……。不慮の事故により生活を一変させられた、とある〝不幸な男〟の秘められた狂気を淡々と描いたサスペンス・ドラマ。いやー、なんか変な映画でしたね、これ。特に何が起こるわけでもない中年男の普通の日常を描いているのに、この全編に漂う言いようのない違和感。とにかくこの主人公がすんんんごく気持ち悪いんですよ!!愛する奥さんが事故で寝たきりという不幸な境遇にいるのに、何故か同情できない行動ばかりとる。「俺は世界で一番不幸な男だ」と言わんばかりの暗ーい表情でひたすら周りの同情に依存し、ピアニスト志望の一人息子には「明るい曲を弾くな、周りに立ち直ってると誤解されるだろ」なんて言ったりする。ほんとキモい(笑)。繰り返される謎のテロップも妙に心をざわつかせるものばかりだし、極めつけは息子に「妻がもし亡くなってしまったときの為に歌を作ったんだ。聴いてくれ」と突然歌いだすシーン。妻が死んだら1000匹の動物を殺すだろうと1曲丸々歌いきるところはもはや一周回って笑けてきちゃいましたわ。そして妻が回復してからは、もはやコメディ。「違う、自分が望んでたのはこれじゃない」と、周りに妻がまだ入院中だと嘘をついたり上階の奥さんにまたケーキを焼いてくれとしつこくねだったり長年飼ってた犬を海の上に捨ててきたりと、笑えないのに笑うしかない一連のシーンは白眉。全編気持ち悪いのに、変に癖になる面白さがありますね。画が無駄に奇麗で清潔感に溢れているのも良いセンスしてる。脚本は、ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスと一緒に仕事してきた人とのこと。なるほど、なんか納得。かなり癖が強いので観る人を選ぶだろうけど、自分はけっこう好きでした。最後、物語は不幸のどん底に落ちたけど、捨てられた犬が浜辺に帰ってきて観てる方はほっと一安心。人間が嫌いになりそうな映画、お薦めです(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2023-03-10 07:40:15)

322.  キャッシュトラック 《ネタバレ》 彼の名は、パトリック・ヒル。通称〝H〟。最近、現金輸送を専門とするセキュリティ会社に就職したばかりの普通の男だ。10年務めた欧州の警備会社が倒産し今回この会社に応募、採用試験もぎりぎり合格点レベル、妻とも離婚、家族もおらず無口で不愛想。同僚からも少し浮いた存在である彼は、簡単に言うと冴えない男だ。ロサンゼルスの街で日々黙々と働いていたそんなある日、彼が運転する輸送車が武装した凶悪な強盗集団に襲われる。だが、Hは全く取り乱すことなく冷静沈着な判断力と高い射撃能力でやすやすと敵を排除するのだった。そればかりか、後日襲ってきた別の強盗集団も彼の顔を見た瞬間、金には目もくれずすぐさま逃げ出してしまう。上司も同僚もこれには驚くばかり。果たして彼は何者なのか?FBIや会社の上層部が疑念を深める中、全米で最も現金が動くブラック・フライデーが近づいてくる……。世界でも有数の危険区域であるLAで現金輸送車のドライバーとして働く謎めいた男の過去を巡るドラマを重厚に描いたクライム・アクション。監督・主演は、ハリウッドのエンタメ映画界を牽引するガイ・リッチー&ジェイソン・ステイサムコンビ。と言う訳で、そこそこ期待して今回鑑賞してみました。そんな僕の期待をそこそこ上回るそこそこ面白い映画でしたね、これ。まあベタっちゃあベタですけどツボを押さえた演出はどれも嵌まっていて、最後までそこそこ楽しめました。いかにもガイ・リッチーらしい現代と過去を行き来する脚本も分かりやすく練られていて、後半の急展開にもけっこう驚かされました。まあかなり力技でしたけど(笑)。重低音を効かせた重苦しい雰囲気も嫌いじゃなく、ひたすら口をへの字にして無双するジェイソン・ステイサムも相変わらず渋い。各シーンにタイトルをつけて章仕立てで見せる演出もかっこいいし、特に最後の「肝臓・肺・脾臓・心臓」のタイトルの意味が分かるラストシーンは痺れました。まあ内容の方は3日も経てばきれいに忘れそうなお話だったけど、そこそこキレのいいアクション、そこそこ面白い脚本、そこそこ華のある役者陣と、そこそこ面白い映画の見本のような作品でありました。うん、そこそこの7点!![DVD(邦画)] 7点(2023-03-02 13:01:45)

323.  ブレット・トレイン 《ネタバレ》 東京から京都へと猛スピードで運行する超高速車両を舞台に、偶然乗り合わせた殺し屋たちの壮絶バトルを終始ノンストップで描いたエンタメ・アクション。原作は、日本のベストセラー作家伊坂幸太郎。監督は、この手の分野を得意とするデビッド・リーチ。いかにもこの監督らしいごちゃごちゃわちゃわちゃとしたストーリーに、「あ、またか…」と前半は少々げんなり。大量の登場人物が入り乱れるお話は脱線につぐ脱線でとにかく分かりづらい!!アクションシーンは凄くキレがあっていいし、キャラクターもみな魅力的なのにどうして毎回こんな分かりにくいアプローチをしてくるんでしょう。すんごく勿体ないです。あまりの観客置いてけぼり具合に前半で観るの止めようかと思ったんですが、でも、後半のぶっ飛び具合はさすがにお金を掛けただけあってなかなか楽しかった。伊坂幸太郎らしい、伏線を最後に全て回収する練られたプロットも見事。とにかく殺し屋たちが全員キャラ立ちまくりなのが良いですね~~。自分は、可愛い着ぐるみにずっと潜んでいた毒ヘビ女アサシンが好きでした。レモンに殴られた時もじっと耐えてたのね(笑)。ドSな小悪魔少女アサシン〝プリンス〟も超可愛くて、自分もこんな女の子に徹底的に振り回されたいと思っちゃいました(ドM)。彼らが電車をガンガン破壊しながらバトルするクライマックスはもはやリアリティのリミットを3回くらい振り切ってます。到着が1分遅れただけで丁重に謝罪する日本の鉄道会社はこれ観てどー思うんだ??でも、そんな日本を徹底的に茶化したトンデモシーンも根底には凄く愛を感じたし、後半はけっこうスカッとしたので、ちょっぴりおまけの7点![DVD(字幕)] 7点(2023-02-23 08:25:30)

324.  MINAMATA ミナマタ 《ネタバレ》 水俣病。それは1970年代、高度成長に邁進する日本を震撼させた公害事件。地元経済を牛耳る大企業チッソが長年、水俣の海に垂れ流し続けた水銀が原因だった。発病すると手足の痙攣や言語障害を引き起こし、酷いものになると全身麻痺に陥り、一生介護なしでは生きられなくなる。だが、チッソはこの事実を隠蔽し、被害者に僅かばかりの慰謝料を払い幕引きを図ろうとしていた。そのことを偶然知った、もはや酒浸りで世間から忘れられた写真家ユージン・スミス。家賃を滞納するまでに追い込まれた彼は日本へと取材に訪れる。当初は金のために引き受けた仕事だったが、被害に苦しむ当事者たちの声に耳を傾けるうち彼の心情にもいつしか変化が訪れて……。実際にあった公害事件をテーマに、一人のアメリカ人写真家の目を通して地方都市で苦難の日々を過ごす社会的弱者たちを描いたヒューマン・ドラマ。主人公である酒浸りの落ちぶれた写真家を演じ、制作も務めたのはハリウッドの人気俳優ジョニー・デップ。とにかく彼の嵌まりっぷりが凄い。もはやハリウッドスターとは到底思えないほどの華のなさ!何もかもを諦めたアル中の偏屈男をリアルに演じていて、彼のそのナチュラルな演技?にまず惹き込まれる。そんな彼が金のために訪れた熊本の水俣市。辺境の漁村を覆う重苦しい鬱屈とした空気、夢も希望もなくただ障害を抱えた身内を介護することに追われる人々。スミスがカメラを向けても皆、すぐに顔を隠したがる。まるで自分たちが社会の恥ずべき部分だと言わんばかりに……。対して大企業チッソのお偉方はビルの広い部屋の高級ソファでふんぞり返っている――。水俣病と言えば、かつて読んだ石牟礼道子の『苦海浄土』でその悲惨な現状に衝撃を受けたのだが、ここにはそれが映像として極めて忠実に再現されている。素晴らしいとしか言いようがない。それだけでも今回の映画化には意義があった。のちにアメリカのタイム誌の表紙を飾り世界に衝撃を与えた、一枚の親子の写真には胸が切り裂かれそうになる。それに対するチッソ社の非人道的振る舞い。もはや怒りを通り越して無力感さえ抱いてしまいそうだ。こんなことは二度と起こしてはいけない。ただ、事実を基にしているために仕方ない部分もあると思うのだが、ストーリーに若干分かりづらい部分がチラホラ。事実とは言え、主人公と女性通訳との恋愛も取ってつけたような印象が否めない。ここら辺をもっと丁寧に描いて欲しかった。とは言え、社会の片隅で声にならない悲鳴をあげている人々の想いに耳を澄ませようというこの監督の姿勢。素直に称賛に値する。日本人としては、間違いなく観るべき作品の一つと言っていい。[DVD(字幕)] 7点(2022-12-22 07:05:17)

325.  ウェンデルとワイルド 《ネタバレ》 両親を事故で亡くした13歳の不良少女カットと、地獄界の落ちこぼれ悪魔ウェンデルとワイルドの死者の国を巡る大冒険を独創的なタッチで描いたクレイ・アニメーション。僕のこよなく愛する『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『コララインとボタンの魔女』のヘンリー・セリック監督の最新作ということで今回期待して鑑賞。冒頭、けっこうグロテスクな世界なのに何故かコミカルな地獄シーンで掴みはバッチリ。悪の親玉が作った叫びの遊園地でひたすらいたぶられる死者たち。電気ウナギにビリビリさせられたりジェットコースターで吹っ飛ばされたりと、地獄だから仕方ないんですけどひたすら死者たちがいたぶられ続けます。いやー、良いですねぇ、この唯一無二の世界観。子供向け?のアニメなのに、現実世界でバンバン人が死にまくるのもこの監督ならでは。中にはゴルフクラブで殴り殺された挙句、池に放り込まれる人もいます。それを温かみのあるクレイアニメで描く、というこの違和感が今回も心地良かったです。緑の髪に破れた制服、厚底ブーツを穿いて常に目玉ラジカセでガンガンにパンクを響かせて歩くという主人公カットもすこぶる魅力的。トラブルメイカーで自分のことしか考えていない2人組悪魔ウェンデルとワイルドも何処か憎めない魅力があるとこもナイス!彼らが織りなす大冒険には最後までワクワクが止まらなかったです。虫をぐちゃっと潰したり蘇った死者たちの腕が取れたりウジ虫が這いまわっていたりと細かな描写がグロいとこも個人的にツボでした。もちろんクレイアニメとしてのクオリティがすこぶる高いのも高評価。ストーリーが若干ごちゃごちゃしてていまいち分かりにくいところもありましたが、自分は最後まで楽しめました。[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-19 08:38:19)

326.  家をめぐる3つの物語 《ネタバレ》 人が生きていくうえで絶対に欠かせないもの、それは「家」。今住んでいる家はもちろん、過去に住んだ家もこれから住むことになるだろう家も必ず人々の記憶に深く刻まれることになるだろう。もちろん、その家に一緒に住んでいた家族や友人の思い出とともに――。これはそんな「家」にまつわる、ある三つの物語。第一話『内側で聞こえて紡がれるウソ』。家族の反対を押し切り、駆け落ち同然でで一緒になったとある夫婦。2人の可愛い子供には恵まれたものの、現実は厳しく、もはや潰れかけの古い家で貧しい暮らしを余儀なくされていた。そんな折、ある怪しい男が訪ねてくる。彼曰く、「裕福な建築家があなた方に無償で家を差し上げると申しております」。不審に思いながらも提案を受け入れた家族。早速引っ越してみると、そこはにわかには信じがたいほどの豪邸だった。当初の懸念も忘れて何不自由ない生活を満喫する家族だったが、次第に言いようのない違和感を抱き始め……。恐らくフェルトで作ったであろうキャラクターの造形が見事。子供の頃に遊んだ人形のようにぬくもりを感じさせるそんなキャラクターと反対に、紡がれる物語が恐ろしく不気味なのが良かった。このなんとも言えない違和感が最後まで良い意味で気持ち悪い。ただお話としてはありがちなもので、もう一捻りあればなお良かったと思う。第二話『敗北の心理にたどり着けない』。自らの持ち家をイノベーションして高値で売り払おうとしているとあるオーナー。銀行から多額の資金を借り入れ、家具や内装も一級品を揃えあと少しで完成するところまで辿り着く。ところが脈ありな客たちを招いて内覧会を開こうとしていた矢先、様々なトラブルに見舞われるようになる。謎の虫が大量発生したり、家電が正常に動かなかったり。さらには内覧会に招いた怪しい客が様々な理由をつけて居座ってしまい……。スマホやDIYと言った現代的で洗練されたアイテムを駆使しながら、演じているキャラクターがどれもリアルなネズミだというのが皮肉が効いていて大変グッド。人間なんて、どれだけ見た目を着飾っても一皮剝けばみな動物なんだよというシニカルなテーマがユーモラスに描かれる。特に最後、ネズミに戻ってしまった人々が小奇麗だった家をどんどん汚してゆくところが最高にグロテスクでとても良かった。リアルな虫が一斉に踊るダンスシーンは、虫嫌いな人はトラウマになるかも。お話としては、こちらもごく普通。第三話『もう一度耳を傾けて太陽を目指して』。大地がほとんど水没してしまった未来。数少ない残された土地でアパートを経営する大家の女性が、様々な訳アリ住民に悩まされる姿をコミカルに描く。最後は何処か希望を持たせる物語で締めたかったのだろうが、いまいちパンチに欠ける印象。猫というキャラクター造形も別段新鮮味を感じなかった。ただヒステリー気味な主人公と何処かイカレタ住民との嚙み合わない会話劇はシュールで良かった。それぞれに独創的なセンスを感じさせるそんなストップモーション・アニメ。お話としてはありがちなものばかりだったが、三者三様のこの唯一無二の世界観はどれも好みで普通に楽しめました。[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-12 07:23:44)

327.  グッド・ナース 《ネタバレ》 彼は本当にいい看護師だった――。ニュージャージーの総合病院で働き始めたエイミーは、女手一つで幼い子供を育てるシングルマザー。自身も心臓の疾患を抱え、経済的な余裕もない彼女は無理をして勤務を続けていた。そんなある日、新たに採用された看護師チャーリーが彼女の同僚として配属される。患者のことを最優先にした勤務態度と真面目な性格、何よりきめ細やかなサポートにエイミーはすぐに彼に親近感を抱くようになるのだった。休日には自宅に招き、娘も含めた家族ぐるみでチャーリーと親しくなってゆくエイミー。自身の病気のことや彼が離婚し子供と離れ離れに暮らしていること、2人はそんなプライベートのことまで話せる間柄になってゆく。そんな折、2人が働く部署である患者が突然死する。容態が安定している中での不意の出来事。病院が調査した結果、ある不穏な事実が明らかとなるのだった。亡くなった患者には大量のインスリンが投与されていた――。いったい誰が患者を故意に死なせたのか。警察の殺人課刑事が捜査に乗り出す中、エイミーはチャーリーのある不審な行動を目にしてしまう……。病院を転々とするある看護士が、行く先々で患者に劇薬を投与し何十人も殺害していたという衝撃的な実話を元に描いたサスペンス・ドラマ。そんなにわかには信じがたい事実を元にしているだけあって、この全体に漲る緊張感はなかなかのものでした。何処かデビッド・フィンチャーを髣髴とさせるしっとりとした映像がこの陰鬱とした物語をより重厚なものへと昇華させている。生活に追われるシングルマザーを演じたジェシカ・チャスティンの抑制の効いた演技もリアリティ抜群。信じていた友人の本当の姿を知って徐々に追い詰められてゆく主人公を淡々と演じていて、観ているこちらまで息苦しくさせるほどでした。対する、殺人容疑を掛けられる同僚看護師役のエディ・レッドメイン。得体のしれない彼の存在感もなんとも不気味で、この二人の静かな腹の探り合いは最後まで気が抜けません。特に娘たちが彼に懐いてしまっているのが観ていて辛い。果たして彼はなぜにこんな冷酷無比な犯行を起こしてしまったのか――。最後まではっきりとした答えを提示しないのも人間心理の深淵を垣間見るようで、なんとも言えない後味を残してくれます。ただ、作品として全体的に冗長な面も否めません。事実を元にしている分、結論は分かっているのでさすがにこのお話で2時間超えは長い。明らかに無駄なシーンや長すぎる場面がちらほら。もう少しコンパクトに纏めてくれたらより完成度の高い作品になっていたであろうに。惜しい。[インターネット(字幕)] 7点(2022-11-24 07:02:00)(良:1票)

328.  降霊会 血塗られた女子寮 《ネタバレ》 それはちょっとした悪戯のつもりだった――。深い森に囲まれた全寮制女子高校、エデルヴァイン。ここは選ばれし裕福な女子生徒だけが学ぶことを許された特別な場所だ。生徒たちは厳格なルールに支配された女子寮で静かに暮らしている。そんなある日、ヒマを持て余した女子生徒が何気なく始めた真夜中の降霊会。実は生徒会長のアリスが大人しい優等生ケリーにみんなでドッキリを仕掛けようとしたのだ。効果はてきめん、居るはずのない霊の心霊現象に怯えたケリーは、悲鳴をあげながら一人で逃げ出してしまう。笑い転げるアリスたち。だがその直後、ケリーは謎の転落死を遂げてしまうのだった――。彼女の死は事故として処理され、アリスたちはすぐにいつもの日常を取り戻していた。それから数週間後、ケリーのあいた部屋の後釜としてカミールという名の少女が転校してくる。カミールは、寮を牛耳るアリスたちと衝突しながらも徐々に学園生活へと馴染んてゆく。やがて、彼女はこの部屋で幾つもの怪異現象に見舞われるようになるのだった。果たしてこれは霊の仕業なのか?アリスに誘われるまま、再び行われた降霊会に参加したカミールは、更なる超常現象に襲われることになる……。まあ日本でゆうところのいわゆる「こっくりさん」をネタにしたよくある定番ホラーなのですが、ツボを押さえた演出のおかげでそこそこ楽しんで観ることが出来ました。霊に狙われたと思しき女子生徒たちが次々と惨劇に見舞われるシーンはどれも既視感満載のベタなものばかり。でも変に奇を衒ったものじゃない分、安定感はばっちりでした。全寮制女子寮という閉ざされた世界も閉塞感が半端なく、この不穏な雰囲気は大変グッド。主人公をはじめとする女子生徒たちがみんな魅力的でそれぞれキャラ立ちしているのもポイント高い。ただ、残念なのは後半からかなり失速しちゃうところ。特に最後のオチが途中から容易に読める代物で、しかもそれまでの禍々しいホラーシーンを一気に冷めさせてしまうような真相だったのが残念でならない。ここは最後までオカルト推しでいくか、それかもう一捻りある展開でもっと観客の度肝を抜いてほしかったです。と、ここまで観て、まあアリがちな普通のホラーかなと思ったんですが、最後でまさかのサプライズ!最後のキスシーンで一気にそっち系映画となったのは嬉しい驚きでした。それまでも主人公とケリーの友達である少女が一緒にベッドで寝るシーンなどもあって、「あれ、これはもしかして百合なのか?……」と思わせつつもずっと寸止めで終わらせて来たのが、最後の最後でやられましたわ。「また、会いたい…」「私があなたを捜すわ…」。このセリフとその後のキス、百合萌え好きな自分としては思わず胸キュンでした!最後のこのシーンに+1点!![DVD(字幕)] 7点(2022-10-27 04:43:24)

329.  ライトハウス 《ネタバレ》 19世紀末、ニューイングランド。絶海の孤島に建つ灯台を管理するために雇われた青年と彼を管理教育することになるベテラン灯台守。4週間という約束で、彼らは荒れ狂う海に囲まれたこの地へとやってくる。海鳥以外誰もいない不毛の地で、ただひたすら作業に従事する2人だったが、致命的なまでの性格の違いから彼らの間に徐々に不穏な空気が漂い始める。それもこれもあと数日の辛抱だと仕事に没頭する青年。ところが、迎えの船がやってくるはずの日に激しい嵐が島を襲い……。長引く孤独な生活から徐々に狂い、やがて破滅へと向かう2人の男をモノクロ映像という独創的なタッチで描いた不条理劇。分かりやすい娯楽性など皆無、終始重苦しい雰囲気で最後まで淡々と進むいわゆるアート系の作品なのですが、計算されつくした美しい映像と終始繰り返される印象的なアフォリズム、何よりロバート・パティンソンとウィレム・デフォーという新旧実力派俳優の熱演とで最後まで興味深く観ることが出来ました。冒頭から絶えず鳴らされる不穏なサイレン音が観客の不安感を煽り、終始不快な言動を繰り返す灯台守たちの存在も相俟って、観ているこっちまで気が狂いそうになってくるのは監督の狙いが成功している証。何度も主人公にちょっかいを掛けてくる海鳥だとか、幻想の中で現れるグロテスクかつエロティックな人魚など、一つ一つのアイテムの扱い方も巧い。灯台の光に偏執的な愛情を注ぐ先輩灯台守と過去の罪から逃れるためにやって来た主人公との濃厚な会話劇も深みがあり、見応えありました。何より単純にモノクロ映像が全て美しい!!そこまで自分の好みではなかったですが、充実した映画体験をさせていただきました。[DVD(字幕)] 7点(2022-10-26 07:35:08)

330.  ドント・ブリーズ2 《ネタバレ》 あの最恐の盲目ジジイが帰ってきた!!スポイトに入れた自らの〝あれ〟を片手に何処までも襲ってくるというそのぶっ飛んだ設定でスマッシュヒットを飛ばした前作から数年、その強烈なインパクトを残したジジイが今回はなんと主役となって帰ってまいりました。とは言え、その余りにもキャラ立ちしたジジイの印象が鮮烈に残っていて、肝心のストーリーの方はほとんどうろ覚え状態で今回鑑賞したんですけどね。冒頭から、娘と思しき幼い女の子と2人で支え合って暮らしているという牧歌的な?設定に、「あ、これはきっと設定だけを受け継いだいわゆるリブート作品なのね」と信じて疑わず。途中で調べてみたら、なんと完全なる前作の続きということでした。いや、ちょっと無理ありすぎやろ(笑)。この女の子があのスポイト作戦の結果だとしたらさすがに悪趣味すぎだけど、そうじゃなくて一安心。まあそれでもアカンけどね。ただ、前作の続編であろうがなかろうが、単純にB級ホラーとして普通に良く出来ていて自分は最後まで楽しめました。どっちが善でどっちが悪なのか、二転三転する脚本もけっこう練られているしね。結局最後、どっちも悪人やったんかーい!というオチも突き抜けてて大変グッド。なのに、最後はちょっとお涙ちょうだい系になるのもバカバカしすぎて思わず笑っちゃいました。もはやほとんど目が見えてるんじゃないかとも思えるジジイが、若造相手にガンガン暴れまくるアクションシーンも終始キレッキレで格好良かったですし。うん、なかなか面白かった![DVD(字幕)] 7点(2022-10-07 08:21:29)

331.  すばらしき世界 《ネタバレ》 その日、殺人の罪を犯し、13年ものあいだ刑務所へと服役していた男が出所する。彼の名は、三上正夫。10代の頃から何度も罪を犯し、そのたびに刑務所へと投獄され、積み重なった前科は十犯。これまでの人生の28年間を鉄格子の内側で過ごしてきた彼の人生とはいったい何であったのか――。人生の終盤を迎えつつあるそんな三上の再出発の日々を、彼を題材にドキュメンタリーを制作しようというテレビ局のスタッフの視点を交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は、うまくいかない人生にもがく人々の苦悩を終始一貫して見つめ続ける西川美和。いかにも彼女らしい丁寧な演出は相変わらず健在で、特別なことは何も起こらないこの三上という元犯罪者の日常を淡々と描いているのに、最後まで観客を惹き付けてやまないのは見事としか言いようがない。短絡的で何かというと暴力に走るこの粗暴な男が主人公なのだが、そこまで嫌悪感を抱かせないのはやはりこの監督の慈愛にも似た優しいまなざしによる部分が大きいのだろう。不器用で身勝手で社会性が皆無に等しい元犯罪者の人生を否定も肯定もせず、ただ淡々と見つめている。やがて明らかとなる、過去にこの男が心から愛していた女性の存在、今度こそ真人間になろうと誓った経緯、そして彼を子供のころに捨てて失踪した母親……。一般的な人々からすればやくざ者で人生の落伍者である彼にも、当然、人間としての苦悩や後悔、弱い部分や魅力的な部分、そして深い愛もあるという当たり前の事実を改めて気づかさせてくれる。そんな彼をそれぞれの立場から優しく見守る周りの人々の存在も素晴らしい。弁護士やその妻をはじめ、途中で出てくる何気ないキャラクターまでちゃんと血の通った人間として描くことに成功している。特に、六角精児演じるスーパーの店長が印象的だった。ただ、意図してそうしているのだろうが、三上を取り巻く人々がどこまでも良い人ばかりというのは、自分としては少々違和感があった。三上の古い友人であるやくざの組長の妻までが主人公に献身的なまでの優しさを見せるというのはちょっとやり過ぎと言えなくもない。とは言え、それも好みの問題なのだろう。社会という枠からはみ出し、今にも溺れそうになっている人々の悲哀を掬い取ろうという今作のテーマは充分に胸を打つ。血の気の多い元やくざ者をナチュラルに演じた役所広司をはじめ、キャスト陣も皆いい仕事をしている。どんな人間でも、心の持ちようによって、この世界はいくらでも素晴らしいものになる――。そう思わせてくれる、ヒューマン・ドラマの秀作と言っていい。[DVD(邦画)] 7点(2022-08-19 08:04:43)

332.  THE BATMAN-ザ・バットマン- 《ネタバレ》 誰もが知る孤高のヒーロー、バットマンの活躍をダーク&ノワールに描いたクライム・サスペンス。何処かコミカルだったティム・バートン版、完全にエンタメに振り切ったジョエル・シューマカー版、そして哲学的な深みさえ感じさせる演出で映画史にその名を刻んだクリストファー・ノーラン版。今回のバットマンはそのどれとも一線を画する、かなり濃厚で陰鬱な内容でございました。例えるなら、サイコサスペンスの名作『セブン』の世界にバットマンが紛れ込んだら?という感じですかね。もはやバットマンは『セブン』のブラッド・ピットみたいな立ち位置で、ゴードン警部とのバディっぷりなんてモーガン・フリーマンとのそれを髣髴させます。ただ、それが意外にもけっこう嵌まってました。正直、あんまり期待せずに観始めたんですけどこの重厚な雰囲気にすっかりやられ、中盤からはどっぷりとこの世界に浸っている自分が居ました。心に闇を抱えるブルース・ウェインを演じたロバート・パティンソンもかなり嵌まっていて、暗い隠れ家で秘書とごそごそ話しているシーンなんてもはやヒーロー側じゃなくて悪の一味なんじゃないかと思うほど(そのうち悪魔でも召喚するんちゃうかって感じでした!笑)。もはや『セブン』ばりに悪の手先をさまざまなグロい手法で制裁してゆくリドラーをはじめ、キャット・ウーマンやペンギン男というお馴染みのキャラクターもそれぞれキャラ立ちしていて大変グッド。ただ、3時間は長い!クライマックス辺りはさすがにダレちゃいました。もう少しコンパクトに纏めてくれたらより楽しめたと思うんですけどね。とはいえ、このダークな雰囲気は嫌いじゃなく、総じて自分は楽しめました。ジョーカーが登場するであろう次作、期待して待ってるよ![DVD(字幕)] 7点(2022-08-19 06:46:02)

333.  プラットフォーム 《ネタバレ》 ここは何処までも限りなくそそり立つビルの48階層。何処にも出口のないその小さな部屋の中央には、食卓がすっぽり入りそうな大きな穴があいている。その穴から上を見上げれば、ここと同じような部屋が何処までも続き、下を見れば同じような部屋が何処までも続いている。そして各階層には、男女も年齢もバラバラな二人の人間。彼らは皆、その“とき”を心待ちにしていた。一日に一度、豪華な食事が並んだ食卓が上の階層から順に下へ下へと降りてくるのだ。当然、下の階層になればなるほど、食卓は食べ残しばかりとなり、100層を越えた辺りになればそこに食事が残っていることはほとんどなかった――。48階層で目覚めたゴレンは、同居人のトリマガシと名乗る怪しい中年男とともにここで暮らし始める。一か月ごとにそれぞれ住む階層が変わるというこの施設。上の階層の食べ残しをいただきながら、ゴレンはやがてここへ来て一か月が過ぎようとしていることを知るのだった。そしてある日、彼とトリマガシは違和感を抱きながら目を覚ます。気が付くと、彼らはなんと171階層に移動させられていたのだ。もはやここまで来ると食べ残しはほとんど残っていない。飢えと不安感から二人はやがて、底知れぬ狂気へと囚われ始めるのだった……。理屈では到底説明できない不条理な事態に陥ってしまった人々の極限状況を禍々しく描き出すシチュエーション・スリラー。まあ同分野の名作『キューブ』がヒットして以来、散々作られてきたアイデア一発勝負の低予算スリラーなんですけど、目の付け所が良かったのか、けっこう面白かったですね、これ。上の階層からの食べ残しをひたすら待ち続けるというこの設定だけで90分持たせたのは凄い。最初は豪華で美味しそうだったであろう食事が、どの階層でも全く美味しそうに見えない、そればかりかほぼ残飯と変わらないと言う描写が悪趣味すぎて大変グッド(笑)。下の階層の人々が極限の飢餓状態からカニバリズムに走るというのもベタながらアリ。また、死んだ同居人たちが主人公の幻覚として現れるシーンもけっこうセンスを感じました。ただ、本作の惜しい点は、肝心のメタファーが分かりやすすぎるところ。先進国と発展途上国、そして最貧国のそれぞれの経済格差からくる搾取構造を描いてるんでしょうけど、それが単純すぎて自分は物足りないものを感じてしまいました。いつだって犠牲になるのは弱い立場にいる子供たちだ、先進国はこの現実から目を逸らすなという最後のメッセージは、余りに説教臭くて好きじゃないです。とは言え、映像的には抜群にセンスが良く、アイデア一発勝負ながらストーリーの見せ方も巧く、映画としての完成度は普通に高い。この監督の次作に期待![DVD(字幕)] 7点(2022-07-30 03:31:10)(良:2票)

334.  ザ・スイッチ 《ネタバレ》 高校でチアリーディング部に所属するミリーは、今どきの冴えない女の子。一年前に父を亡くして以来、酒に溺れがちな母親とガミガミうるさい警察官の姉と3人で暮らしている。学園主催のダンス大会を明日に迎えたその夜、誰もいないグラウンドで母の迎えを待っていた彼女の背後に怪しげな影が忍び寄る。その正体は、前の晩に4人もの同級生を殺した凶悪な連続殺人鬼ブッチャーだった。咄嗟に気づいて逃げ出すもすぐ捕まるミリー、そして無情にも振り下ろされるナイフ……。だがその後、事態はミリーの予想を遥かに越えた展開を見せる。「あたし、あの殺人鬼と心と身体が入れ替わってる!」――。なんとブッチャーが持っていたナイフは古代アステカで呪術用に使われていた魔法のナイフだったのだ!人智を越えた力により、殺人鬼と身体が入れ替わってしまったミリー。しかも24時間以内に再びナイフを使わなければ永遠にこのままだという。女子高生となり再び人を殺し始めたブッチャーを追って、ミリーはすぐさま行動を開始する。だが、彼女の外見は指名手配犯そのもの。当然警察も教師も誰も助けてくれない。何とかして信じてもらえた親友二人とようやく殺人鬼である自分を見つけたミリーだったが……。落ちこぼれ女子高生と凶悪な連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまったことから起こる騒動をコメディタッチで描いたサスペンスホラー。監督は、終始キレのいい演出でスマッシュヒットを飛ばした『ハッピー・デス・デイ』のクリストファー・ランドン。前作同様、この監督のエンタメに徹したスタンスと数々の名作ホラーへの愛に満ちたリスペクトには素直に感動。冒頭、死亡フラグがばきばきに立ったリア充カップルが容赦なく殺されるシーンからもう掴みはばっちりです。特に、見た目はおっさんながら中身は女子高生という、下手な人がやったらもう目も当てられない結果になりそうな難しい役を飄々とこなしたヴィンス・ヴォーン!この人が巧すぎて、最後の方にはもう女子高生にしか見えなくなっちゃいました。初恋の男の子とのファーストキスのシーンには、おじさん思わず胸キュン!なんか自分の中で謎の何かが目覚めそうになっちゃいましたわ(笑)。それに殺人鬼に狙われる被害者の皆様が全員ちょっとやな奴なのも罪悪感が湧かなくて、ここら辺観客への配慮が感じられますね。しかもその殺され方がどれも適度にグロいのも大変グッド。ただ、最後の展開はちょっと蛇足感が強くて個人的にいらんかったように思う。とは言え、終始気軽に楽しめる青春ホラーの佳品。興味のある方は是非ご覧あれ。[DVD(字幕)] 7点(2022-05-31 05:43:15)

335.  オールド 《ネタバレ》 そこは一日で一生分の時間が過ぎる浜辺――。人里離れたリゾート地にバカンスへと訪れたとある家族。11歳と6歳になる子供たちは久々の家族水らずで過ごす休日にテンション上がりっぱなし。だが、両親は何処か浮かない表情。何故なら彼らは離婚を前提に別居することを決めたばかりだからだ。そんなキャパ一家に、チェックインしたばかりの高級ホテルの担当者がとある提案をしてくる。「このホテルの裏側に秘密のプライベート・ビーチがあるのですが、ご家族で訪れてみませんか?きっと素敵な体験が出来ますよ」――。深刻な問題から逃れるかのように、その秘密の浜辺へとやって来たキャパ一家。見渡す限りのきれいな光景に、一家はそれまでの悩みなど忘れ非日常を楽しむのだった。そこにさらに二組の家族がやってきて浜辺はにぎわい始める。だが、しばらくすると拭いようのない違和感が家族たちの間に拡がり始めるのだった。急に大人びた表情を見せる子供たち、知らぬ間に増え始めるしわ、怪我をしてもその傷はすぐに治ってしまう……。そう、この謎の浜辺では猛烈なスピードで人が成長し、そして老化してゆくのだ。6歳の少年だった子供は瞬く間に大人へと成長し、お祖母ちゃんはすぐに老衰で死んでしまう。しかも、この浜辺からホテルへと帰る道を通ろうとすると気絶し、そのまま浜辺へと舞い戻ってしまうのだった。パニックへと陥る家族たち。そうしている間にも身体は成長し、そして衰えてゆく……。急速に年老いてゆくという謎の現象に見舞われ、次第におかしくなってゆく家族を描いたサスペンス・スリラー。監督はデビュー以来、一貫してアイデア一発勝負の映画を撮り続けるM・ナイト・シャマラン。いかにも彼らしいアイデア一発勝負のお話でしたね、これ。彼の作品の特徴って、そんな普通の脚本家なら没にしそうな陳腐なアイデアを、ひたすら大真面目に真剣に一本の映画としてしまうところ。それがうまくいく場合もあるし、ものの見事に失敗しちゃう場合も多いんですけど、今回はわりかしうまくいった方なんじゃないでしょうか。まあ真面目に考えたら突っ込みどころ満載ですけど、彼の映画はそーゆ―ことを考えたら負け(笑)。そこらへんはもう潔く無視しちゃって、ただひたすらこの理不尽な状況を楽しむのがこの監督の作風なんですから。疑心暗鬼からどんどん険悪な雰囲気になる登場人物なんてベタですけど、けっこう面白かったですし。それに妻の急速に悪化した腫瘍を取り除くシーンや全身の骨が折れたまま固まっちゃうおばさんなど、どれも印象的。まぁ急に成長した子供たちがテントでもぞもぞしてたらすぐ妊娠発覚、20分後にはもう出産なんて余りにばかばかしすぎて思わず苦笑しちゃいましたけどけど。最後のオチはかなり無理やりですんごく強引。でも、何度も言うようにそーゆ―ことを気にしたら負け(笑)。ちゅうわけで、僕はぼちぼち楽しめましたです、はい。[DVD(字幕)] 7点(2022-05-08 04:36:36)(良:1票)

336.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 たった一人で脚本から美術から撮影から編集から果ては声まで手掛けた孤高のクリエーターが、7年もの歳月を掛けて創り上げたというストップモーション・アニメ。この常人にはおおよそ思いつけないだろうぶっ飛んだ世界観や、キモさと可愛さが絶妙に同居するキャラデザインなどは何だか癖になる魅力があり大変良かったです。特にクスコという謎の食べ物をもらうシーンなんか絶妙に気持ち悪い!!でも最後まで魅入っちゃうのは、この監督のユーモアセンスがよく分からないなりにクスリとさせられてしまうからなのかな。まあ自分はそこまで熱狂的に嵌まるほどでもなかったですが、充分楽しめました。三部作みたいなので、もちろん全部観ますぞー!!でも、本作完成までに7年、単純に計算して完結編完成まではあと14年かかるってことですな…。そのころまで生きてられるかな……(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2022-05-08 04:08:59)

337.  ラストナイト・イン・ソーホー 《ネタバレ》 彼女の名は、エロイーズ・ターナー。ちょっぴり夢見がちな18歳の女の子だ。ファッションデザイナーを目指す彼女は、今回念願だったデザイン専門学校に合格し、ロンドンのソーホーへと引っ越すことに。だが、学生寮での生活に馴染めず、エロイーズは早々にアパートで一人暮らしを始めるのだった。古くからあるそのアパートは、年老いた女性が一人で暮らす館の屋根裏部屋だった。隣のフランス料理店のネオンが煌々と輝くその部屋でのはじめての夜、エロイーズは不思議な体験をする――。なんと彼女はきらびやかなネオンに彩られた1960年代のソーホーへと迷い込んでいたのだ。ノスタルジックな音楽が絶えず流れるその世界で、エロイーズはサンディという名の歌手を夢見る素敵な少女と出会う。夜ごと夢の中で彼女の姿を見つめていたエロイーズは、次第に彼女の意識と一体化し始めるのだった。夢とも幻想ともつかぬそんな魅惑的な世界にすっかりのめり込むエロイーズ。だが、サンデイが悪い男に騙され生活が荒んでゆくと、エロイーズの実生活にも良からぬ影響を及ぼし始める。やがて、彼女は気づいてしまう。サンディは60年代に実際に生きていた少女であることを……。自分が生まれる前に生きていた少女を救うため、孤軍奮闘する女子大生を幻想的に描いたサスペンス・スリラー。監督は、エンタメ映画界を牽引する才人、エドガー・ライト。いかにもこの監督らしい、拘りに拘ったであろう映像と音楽の使い方はすんごく良かったです。キラキラと光り輝くような美しい映像といかにも60年代らしい楽しげでポップな音楽が完璧に融合していて、もう観ているだけでワクワクしちゃいますね。そんな夢のような世界の中でシンクロする二人の女の子もそれぞれに魅力的で大変グッド。特にダンスホールで、二人がくるくる踊りながら次々と入れ替わるシーンは出色の名シーンでした。それがやがて悪夢のような残酷な世界へと塗り替わってゆくのも自然で素晴らしい。一言で表すなら、『マルホランド・ドライブ』のライト版とも呼ぶべき内容ですが、こちらは何処までもエンタメで最後まで楽しんで観ることが出来ました。ただ、残念だったのは、最後に明かされることの真相がいまいち腑に落ちないところ。特に物語の随所に登場する怪しげなお爺さん。恐らく観客のミスリードを狙ったんでしょうけれど、さすがに無理がある。また、肝心のサンディの正体もどんでん返しを狙いすぎて彼女の魅力が半減しちゃってて凄く勿体ない。とは言え、60年代の怪しげなソーホーの雰囲気やぞくぞくするようなミステリアスな世界観などは充分堪能できました。女性の社会的自立というテーマも今日的でいい。うん、7点![DVD(字幕)] 7点(2022-05-06 08:06:48)

338.  アンモナイトの目覚め 《ネタバレ》 彼女の名は、メアリー・アニング。かつて地元の海岸で発掘した化石が、まだ未発見だった貴重な恐竜のものだということが判明し、一躍時の人となったアマチュア古生物学者だ。発見した化石は大英博物館に展示されるまでになったものの、生来の気難しい性格からメアリーはすぐ世間から忘れられ、今は自ら採掘したアンモナイトの化石を扱う土産物店を細々と営んでいる。結婚もせず、年老いた母親と質素で侘しい生活をずっと続けてきたメアリー。そんな彼女の元にある日、都会で裕福な生活を送る古生物学者が訪れる。彼女の化石発掘技術に非常に感銘を受けた彼は、鬱病を患いずっと闘病生活を続ける自らの妻シャーロットをしばらく助手として雇ってほしいと提案するのだった――。当初は断ったメアリーだったが、多額の報酬に惹かれ渋々了承する。そうして始まった二人の生活。人生を半ば諦めた孤独な女性と夫から体よく厄介払いされた妻。社会から零れ落ちそうになっていた二人は、いつしか惹かれ合い、やがて一線を越えてしまう……。19世紀イギリスを舞台に、そんな許されざる恋に身を焦がす二人の女性を淡々と綴った文芸ドラマ。ベテラン女優ケイト・ウィンスレットと今最も勢いのある若手女優シアーシャ・ローナンが初共演ということで今回鑑賞してみました。ほとんど音楽も使われずひたすら海岸に打ち寄せる激しい波の音が流れ続ける中、この二人がただ黙々と化石採掘を続ける展開がずっと続くのですがそれでも見ていられるのはこの二人の演技力によるところが大きい。特に、もはや人生を諦めてしまったおばさんをじっとりと演じたK・ウィンスレット。ハリウッドセレブだということを忘れさせるほど完全にオーラを消していて、でもこの若き人妻に惹かれ始めていく辺りから内に秘めた情熱を取り戻してゆく姿を丁寧に演じていて素晴らしいとしか言いようがない。荒々しい海岸を背景にこの二人の危うい関係を美しく刻み込んだ、この監督の美的センスもいい仕事している。何だか中世の優れた絵画を観ているようでした。ただ、時折挟まれる二人のベッドシーンが妙に生々しかったのは恐らく賛否が分かれるところ。自分はちょっと直截的に過ぎるような気がしました。もう少し抑えてもよかったでは。とは言え、最後の二人の葛藤は何とも切なく、これから先、二人が少しでも幸せになってほしいと祈らずにはいられない佳品でありました。[DVD(字幕)] 7点(2022-03-31 05:17:03)

339.  レリック -遺物- 《ネタバレ》 都会で自立した生活を送っている中年女性ケイの元にある日、警察から急な連絡が来る。田舎の森の中で独り暮らしをしている80代の母親が数日前から行方不明になっているというのだ。母は少し前から認知症の傾向があり、何とかしなければいけないと心配していた矢先の出来事だった。すぐさま娘のサムとともに実家へと向かうケイ。地元警察と協力し森の中を何度も探すものの一向に母親の姿は見つからない。だが、一週間後、何の前触れもなく母親が帰ってくるのだった――。「お母さん、いったい今までどこで何をしていたの?」。そんなケイの当然の質問にも、母親は話をはぐらかすばかりで一向に答えてくれない。とにかく見つかってよかったとしばらく実家で暮らすことになったケイとサムだが、しばらくすると母親の不穏な行動が目につくようになる。放心したように虚空を見つめていたかと思うと急に激昂して怒り出したり、夜中に誰ともわからない存在と一人喋っていたり……。これは普通に認知症の症状なのか、それともほかの何かが原因なのか。森の中の一軒家を舞台に、認知症に苦しむ母親とその娘と孫の葛藤を終始不穏に描いたサスペンス・ドラマ。とにかくこの作品の全編に漂う、じっとりとしたいや~~~な空気にやられちゃいました。ずっと暗い画面にひたすら暗い会話を交わし続ける登場人物たち、そしてその雰囲気をさらに助長するような不快な音楽。これらの合わせ技がひたすら観客の神経を逆なでしてきます。でも自分はこのいやな感じ、けっこう嫌いじゃない。特に何考えてるか分からないお祖母ちゃん(まあ認知症なんで当然なのですが)、裸でボーっと突っ立っていたり、笑顔で話していたかと思うと急に怒り出したりと、次に何するか分からない不気味さがすんごく恐ろしい。そこに認知症という病気の怖さも絶妙にブレンドしてくるところなんか、この監督けっこういいセンスしてるんじゃないですかね。まあアリ・アスター監督のヒット作『ヘレディタリー/継承』にだいぶ引っ張られてる感も否めないですけど(笑)。最後、がっつりオカルト要素を出してきちゃったのは自分はちょっと否の立場。現実的ともどっちとも取れるようなオチにしてくれた方が、より不愉快な余韻を残してくれたような気がします。とはいえ監督はこれが長編デビュー作ということなので、次作も期待して待ちたいと思います。[DVD(字幕)] 7点(2022-03-28 07:33:33)

340.  フロッグ 《ネタバレ》 始まりは、10歳の少年の失踪事件だった――。人気のない森の中である日、一人の少年が謎の失踪を遂げる。現場に残されていたのは、少年が乗っていた自転車と緑色のナイフのみ。そしてそのナイフは、10年以上前に発生した連続誘拐殺人事件で使われた凶器と同じものだった。だが、犯人はすでに捕まり刑務所に収監されている。犯人が再び犯行を行うことは不可能だ。かつてその犯人を逮捕したハーパー刑事は再び、事件の捜査を担当することに。これは模倣犯なのか、それともかつての犯人は冤罪だったのか?難航する捜査を尻目に、今度はハーパー刑事の自宅で不可解な現象が続発するのだった。いつの間にか無くなっている銀食器、急に点灯するテレビ、そして家の中を密かに蠢く謎の影……。次第に追い詰められてゆくハーパー刑事とその家族たち。果たしてこの事件に隠された驚きの真相とは。少年誘拐事件をきっかけに、そんな不可解な現象に巻き込まれてゆくある家族を描いたサスペンス・スリラー。なんか思いっ切りB級感プンプンのそんな本作、さして期待せずに今回鑑賞してみました。ところがどうして、これがエッジの効いた演出の力が光るなかなかの掘り出し物でいい意味で裏切られました。物語の前半は余りにもお話がフワフワしてて「なんだよく分からない映画だな」と思いつつも、その不穏な世界観に引っ張られて見ていたんです。ところが物語の中盤、驚きのどんでん返しが!そうか、全てはそういうことだったのね!これは確かに予想が出来ませんでしたわ。まあネタとしては、ちょっと前の怪しいジジイをテーマにした某B級映画でも使われてましたが、見せ方としてはこちらの方が相当巧い。なるほどアレは実はそういうことで、アレはこいつのアレだったのね…ってこれだけ聞いてもさっぱり意味分からないでしょうけど(笑)。急に手持ちの手振れ映像に切り替わるのもいいセンスしてるし、なかなか面白いじゃん、これ!っと思っていたら、まさかの更なるどんでん返しが!いやー、これは完全にやられちゃいました。この脚本はかなり作り込まれてますね~~。明らかな低予算映画だけど、練られた脚本の力と工夫を凝らした映像の見せ方で幾らでも面白い映画が創れるという見本のような作品でありました。これは是非とも予備知識なしで観てもらいたい一本。[DVD(字幕)] 7点(2022-03-03 03:37:30)(良:1票)

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