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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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341.  ケス 《ネタバレ》 本作は私にとって初のローチ作品であり一遍にローチの虜になってしまった記念すべき作品・・・  逃げ場無し八方塞がりの閉塞感がじめじめとした画面から漂っています。ケスはそんな中で少年の唯一の生きる希望や自由、もしくは避難所として気高く描かれているように思えますが、厳しいローチはそのケスをボロ雑巾のようにしてしまうのだから泣けてくる。それでも少年が一心にケスを語るシーンに成長を思い、しっかりとケスを埋葬するシーンで締めくくったことに死の受容という強さを思いローチの温かさを感じます。舞台である60年代頃の英国ではイレブン・プラス(11歳で試験を受け進学コースと職業コースに振り分けられる)があったりと子どもの可能性など蹂躙され早々と将来を決られてしまう辛さがあります。ビリー少年のような境遇の子も何も格別に珍しいわけではないのでしょう。その悲劇的な状況を訴えるように描きながらも時にサッカーシーンのようなユーモアを交え、さらにはケスを失っても少年に前進させたところにローチの強いヒューマニズムが息衝いています。それも決してビリーに同情を誘うような作りになっていない甘さのない真のヒューマニズム。校長室に別の用件で来た子どもが、巻き添えで罰を受けるところなど震えるほどの辛辣さなのですから。  また、本作はヴィットリオ・デ・シーカ監督の「靴みがき」という作品を想起させます。あの作品でも選択肢のない過酷な状況にある少年にケスと同じような存在として〝馬〟が出てくる。またケスは同じくデ・シーカ作の「自転車泥棒」の自転車であり、あるいは「ウンベルトD」の愛犬フライクにも似ています(それぞれの対象を見失った時のあの不安さと言ったらない!)。戦後イタリアの惨状を描いたこれらの作品と同じように厳しい社会背景に生きる弱者を鋭く冷静に見つめ、支えを存在させている共通点。素人俳優の起用といいローチは一連のイタリア・ネオレアリズモに少なからず影響を受けているのでしょうね。 [ビデオ(字幕)] 10点(2007-06-18 18:20:54)(良:1票) 《改行有》

342.  300 <スリーハンドレッド> 〝ジッシィズッスパッルタッ!〟と咆哮し立てつけの悪いドアでも蹴破りたい気分にさせられるほど高揚感があり、とにかくスタイリッシュでスピーディでパワフル・・・ですが、これは映画(実写)なのでしょうか?ともすればハワイ出身の巨漢力士の突き押しでも食らうかの如く、その勢いに一気に土俵下へすっ飛ばされてしまいそうなのですが、土俵際でふんばってしっかり観てみると…これが案外パッとしていません。全く知らないのですが本作の原作はコミックらしいですね。そのためなのか色彩や質感、戦場での圧倒的な戦闘シーンなどのCG全開の映像は美しく見えるものの、これは〝カリカチュア的な〟というよりも漫画そのものであり、画面を切り取ってコマにおさめて吹き出しにセリフを入れても十分に成立するように見えます。例えば、ペルシアの大軍を象徴する〝日の光をも覆い隠してしまう大量の矢〟のシーン。雨あられどころか空に幕がかかるのかっ?!と聞いただけでもゾクゾクしてしまうこの場面はもっと壮絶なシーンにできたと思うのですが、意外なまでにあっさり処理されています。レオニダスの流れるような戦闘シーンはともかくとして、その他のほとんどの面、ほとんどのシーンにおいて私には非映画的に思えます。 ただ、大ヒットしたようですからおそらく後続作品も生み出されるでしょう。もちろん漫画を読むだけでは味わえない興奮を体感させてくれますし熱気ムンムンですので、こういうのも〝あり〟なのですが、映画というより新形態の映像作品という感じがします。[映画館(字幕)] 5点(2007-06-16 02:19:27)(良:2票)

343.  監督・ばんざい! 後半のズッコケ劇の連発は私の笑いのツボからいくと少々くどい感じがしましたが、これはなかなかユニークな作品です。自作自演ながら、あらゆる映画監督への皮肉であり苦言であり、同時に賛辞であり憧憬なのだと思います。そして映画作りがいかに面白くて大変なことなのか、という北野監督、一流のジョーク。個人的には小津作品のマネゴトをしているところが好きです。もし幾分か才能を持って生まれ変われるとしたら私も映画監督になってみたいなぁ。ほんと〝監督ばんざい!〟な作品です。[映画館(邦画)] 7点(2007-06-12 20:48:33)

344.  野いちご 50年代の作品だったのでまずは斬新な象徴的シーンにビックリ。回想中に現在のイサクを登場させる手法も今でこそ度々目にしますが当時は珍しかったのではないでしょうか。 イサクは利己的な人物であったという設定ですが、名誉や地位などとは別にガソリンスタンドがあった町の人々ように彼を慕っている者も登場させていますし、イサクの周囲の面々にも多少なり利己的な面があるように見えます。つまり誰だってイサクのようになりえるかもしれないし、事故を起こした夫婦のようになるかもしれないし、イサクの息子夫婦のようになるかもしれない。僅かな事の差で人生は変わってしまう。でも僅かだからこそ自分自身で変える事もできる。しかしその僅かな事が難しいから人間は後悔する。冷たい雰囲気の中、イサクに好人物の印象をもたせることによって決して否定的にはせず、人間には欠点があるけれどそれでも自身を見つめればそれで良いのだという温かいメッセージを感じました。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-06-12 18:07:38)(良:1票)

345.  ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 《ネタバレ》 お下品なネタを連発しながら異文化を揶揄する形式で逆にアメリカ人こそが不徳であると皮肉っていく。裸、セックス、排泄物、乱闘、差別、侮辱などなどの簡単で低俗な笑いがもっとも大勢に共通してウケるということを作り手は熟知しているようだ。保守的と言われる米国南部でのボラットの奇行の数々、ユダヤ人協会を始めあちこちの機関から訴えられているらしいのでもっと過激な内容を想像していたのだが、ボラットのキャラクターが濃過ぎるため核心に迫るものではなく表面的な過激さという印象が強い。そして最後はあらゆる映画で幾度となく出されてきた〝ありふれた結論〟へと落ち着く。やりたい放題のボラットなのに守りに入り安全地帯へ着陸したのは正直ガッカリだ。しかし、可笑しいのはこれがアメリカでは大ヒットしたということ。アメリカ文化やアメリカ人精神をボラットと共に学んだ結果、思うにこんなのが大ウケするアメリカに世界の主導権を握らせているなんて大問題だ・・・・・・・・・・・・・・ナ~ンテネッ![映画館(字幕)] 5点(2007-06-05 18:20:21)(良:1票)

346.  イン・ザ・スープ 《ネタバレ》 いただけないショットが多い気はするが・・・率直に言ってこれは好きな作品だ。さえない映画屋と協力者の奇妙な友情、モノクロが良い雰囲気を醸し出しているところは「エド・ウッド」と似ているが、こちらの方が少しばかり先だ。真剣に手を伸ばせば届くかもしれないけれど、うたかたの如く不確かな夢。夢を追いかけるのは素晴らしい事だけど、〝誰と一緒に見るか〟というのも大切なんだと思わせてくれる。本作はアレクサンダー・ロックウェル監督が実際に体験した出来事を基にしているらしく監督の思いが詰まっているので、どこか優しい感じがするのだろう。嘘から始まった真の友情、新たな船出に思いを語る中、隣で死んでゆくのは「真夜中のカーボーイ」を彷彿させる、喜劇であり悲劇でもあるが観終わった後、心がほんのり温まる心地の良い作品だ。アルドルフォとジョーの二人の人物造形が実に面白く、ブシェーミのチャチャチャの練習場面やジョーが路地で元気いっぱい踊りまくる場面などとても良い。ユーモアに富む素敵な台詞も随所にありハッとさせられる。ちなみに私の最も好きなシーンはアルドルフォに天使だと言われたアンジェリカが始めて彼に見せる笑顔で、その表情が驚くほど美しい。[映画館(字幕)] 8点(2007-06-04 19:01:56)

347.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 《ネタバレ》 簡単に言えば〝かたづける気もないのにとっ散らかして遊びました〟ってところでしょうか(興行の調子が良好なら延長して遊ぶつもりで散らかしまくったのかもしれませんが;)万人が楽しむものなのに複雑だし、そもそもディズニーがこんな殺伐としたもんを作っていいのか?(絞首刑のシーンから導入した時はビックリした)ってところです・・・でもまぁ、そんな事はどぉ~でもよくて、私にとって大問題なのはイカ(タコ?)の料理の仕方です。何もスルメや刺身にしろと言っているのではないのです。なぜ調理過程を見せてくれなかったのかと言いたいのです。もちろんグルメな話をしているわけではありません。クラーケンについて言及しているのです。他が天こ盛りで時間のかかる料理は避けたかったからかもしれませんし、好意的に見て2で度々出したので食べ飽きただろうと思ったからかもしれません。だけど、だけど私は楽しみにしていたのですよ、クラーケンを。「ペットを殺した」って何のこっちゃと思っていたらあんなかたちで登場とは…。まったくターナー親子並にビックリのご対面ですよ。でもそう言えば予告にクラーケンは出てなかったなぁ。退治シーンがあったら目玉でしょうからワンカットでも予告にはさみますね(泣)。ということで期待外れではあったんですけど、もちろん良いシーンもあるんですよ。巨大な渦での戦闘とか、そこでの結婚とか、ああいうのは面白いアイディアだし確かに凄いパワーを感じます。1と2を観た上で水しぶきがかかりそうな劇場で観たし何だかんだで楽しかったのでプラス1点。[映画館(字幕)] 7点(2007-06-03 11:19:57)(良:2票)

348.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 今年度、私が一番期待していたのが本作。期待すると裏切られる事が多々あるのですが、今回は久方ぶりに期待通りでした。一家の人物設定や権力に虐げられた弱者が奮闘する構図は使い古された従来のものですし、怪物の隠喩やストーリー展開もきわめてオーソドックスです。しかし描き方や、何より家族の愛が実に素晴らしい。女性陣はともかくとして残念な男性陣まで魅力的。冴えないお祖父ちゃんもダメなお父さんも、社会背景とは別にニートな匂いがする伯父さんも銅メダルどまりの叔母さんも、もちろん天真爛漫な娘もみんな素敵な人です。それに窓から見たデッカイ怪獣よりも等身大の怪物の方がリアルに怖い。いや~こんなにパワーがある映画を観たのは久しぶりです。ただ一つ納得いかないのは、…ここから完全なるネタバレです。ご注意下さい。 ・・・・・・・・・・何で助けてくれないんだっ~。あんなに頑張ったのに~。そりゃないぜ…。本来ならこの手の結末も嫌いではないのですが今度ばかりは合点が行きません。そのぐらい一家の溢れんばかりの想いが痛切に伝わってきたのです。それというのも娘の死で完成したものかもしれませんがね。しかし再びボロケータイ使っている姿や、お父さんと一緒に叔母さんのアーチェリーを応援している姿など何気無くも幸せな日常を見たかったのです。あの一家は紛れもなくしょーもないダメ一家ですが、私はあの一家がしょーもなく愛しいのです。[映画館(字幕)] 8点(2007-06-03 11:17:41)(良:1票) 《改行有》

349.  ふくろうの河 【93分オムニバス版鑑賞】 台詞はほとんどなく映像だけで迫ってきますが、これが叙情的であり寓意に富んでいて見応えがあります。とりわけ三話目の「ふくろうの河」が素晴らしいです。絞首刑が実行されようとする緊張感!男の逃亡の躍動感!とにかく泳ぐ泳ぐ、走る走るで後ろを振り向くことなく止まらず前進し続ける男の姿は凄まじい生命力を感じさせてくれます。それにあのオチの見事さ。これは傑作です。各映画祭で短編賞を受賞したこの三話目が出色ですが、他の二話もなかなか捨てがたい秀作なのです。 一話目…虫の音が聞こえる静寂の森の中、月明かりに照らされ見張りをする兵士、このシチュエーションだけでもうすでに劇的です。それに回想シーンでの白い鳥篭と黒い鳥のメタファー。 二話目…英雄に憧れる子どもの視点から過酷な戦場風景を幻想的に映し出すことによって、逆に悲惨さを痛烈に訴えています。血だらけの兵士をピエロと錯覚させるところなど巧いです。 どの話も台詞が少なくラストに共通のちょっとしたオチが用意されていますが、これが非常に強烈な反戦へのメッセージとなっています。実際に南北戦争に従軍した原作者ビアスの嘆きを見事に映像化しているのではないでしょか。[DVD(字幕)] 9点(2007-05-21 18:25:35)

350.  ミツバチのささやき 子どもが最初に衝突する大きな壁〝死〟を扱いつつ、純粋な視点を通して戦争をはじめとする世の中の諸問題に疑問を投げかけたような作品ですが…これは底無し沼のように深いのかもしれません。フランケンシュタインから始まる寓話のような物語は言葉少なでゆったりとしながらも刃物のように鋭い。それに加え、あの室内に射し込むやわらかい光、構図の美しさ。まるで一つ一つの画が一流の芸術作品のような映像美で迫ってきます。イザベルが猫の首を絞め鏡の中で血の口紅をぬるシーンや焚き火を飛び越えるシーンも凄いし、それに対して澄んだ瞳が雄弁なアナも良い。踏み潰される毒キノコもまた一つのエッセンスとなり強い印象を残しています。夫と妻にもそれぞれ問題を描いており、種々のメタファーが隠れているようで、観れば観るほどその奥深さに気付き驚かされます。ただ、幸か不幸か私が多くを読み取るにはまだ何回も観直さなければならなそうです。でも監督はそのために10年もの猶予を与えてくれていたりして。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-05-18 18:27:26)(良:1票)

351.  桜桃の味 《ネタバレ》 自殺の協力者を吟味してわざわざ善良らしき人々に頼むのは、潜在意識では死にたくないと思っているからだと思います。子供が悪さをしてちゃんと叱られるかを確かめるみたいに。その〝自殺〟からの〝生〟への執着という観点は面白いです。ウズラを殺す実際死に隣接している初老の男に〝生〟の素晴らしさを訴えられて立ち直る展開も〝死〟と〝生〟の対比でしょう。道義的な主義では決して説得されないというのも根本的な〝生〟の尊さを見直しているように思います。生きている幸福感が〝飛行機雲〟や〝雲の切れ目から覗く月〟というのが何とも微笑ましいじゃないですか。それに「寝ているのかもしれないから石を投げて確かめてくれ」と頼むシーンはちょっぴり可笑しかったです。それから笑い話なのかもしれませんが〝指の骨折〟も上手い話ですね。〝考え方が病気なんだ〟って思わず納得してしまいました。・・・ただ、確かに面白い切り口なんですが、何にもない風景の中、どうという展開もないストーリーが進んでいくので、正直退屈して途中で何度も睡魔に襲われてしまいました。夜中に観ていたら主人公と共にさわやかな朝?を迎えていたでしょう。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-05-18 18:05:41)(良:1票)

352.  ジェニーの肖像 《ネタバレ》 ジェニーが登場すると空気が一変し、どことなく夢心地で幻想世界へ足を踏み入れた雰囲気が出ていて悠久の時を感じさせます。そして津波のシーンでモノクロから切り替わる緑が映え、いよいよもって時の間に突入した緊張感が高められています。さらに最後の最後にきて色彩の豊かさを見せる〝ジェニーの肖像〟が鮮やかであり何とも素敵です。色褪せないとはこのことで、愛と芸術の永遠という普遍性を見事に融合させ一枚の絵として完成させる素晴らしさ。友人をはじめとする登場人物たちが温かく描かれているのも微笑ましく、ファンタジーとはまさにこの作品。[DVD(字幕)] 7点(2007-05-17 18:56:33)

353.  姿三四郎(1943) あのように投げ飛ばされただけであんなにボロボロになるのか?とか、三四郎と村井の一進一退の攻防は社交ダンスが始まるのか?とか思ってしまったものの試合シーンは実に工夫を凝らしてありダイナミックに描かれています。これといって波瀾もなくオーソドックスな展開ですが、三四郎と檜垣との対比もはっきりしていて食事をしているところに檜垣が帰ってくる場面など完全な訣別を感じさせますし、最後の決闘シーンも素晴らしいです。ただ残念ながらカット版だったので少々物足りない感じもしましたが、主人公の成長過程はしっかり描かれていますし無駄なシーンが全くなく叙情的で簡潔で、そして何よりとてもパワフルです。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-05-14 18:18:00)(良:1票)

354.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 始めはあのノリについていけないかも;と思いましたが…面白いじゃないですか~。基調は異なるもののイマジネーション溢れる世界観は『ビッグ・フィッシュ』不幸版みたいな感じです。一途な松子が転落の一途をたどるというのに、まるで次々とアトラクションに乗っているような描写が楽しい。〝人に何をされたかではなく人に何をしたか〟思えば松子は子供の頃から愛する最初の異性の対象である父親のご機嫌とり。いつも病弱な妹ばかりの父親と病院帰りに楽しい一時を過ごすというのはノーマルな話ですが、私はああいうのにめっちゃくちゃ弱いんです。結局、松子の根底にあった囚われは父親の愛情不足ですし。それでも松子を肯定的に描く事によってボロボロの人生でも何だかとっても愛しく思えてくる。それから挿入歌も素晴らしい。「feeling good」(トンボがどうのって英語の歌。大好きなんです。)も効果的。屈伸運動や睡眠薬〝ぶぁ~〟、光GENJIへのファンレターに懸賞小説でも応募するかのような原稿の束を送るとこなんか笑えます。中谷美紀さんの声も素敵。・・・ただ、敢えて苦言を呈すれば、人生の終焉を迎えた転換期だからか、さすがに中谷さんの汚い太ったおばさんに無理があるからか、まだまだ終わって欲しくないと思っていたからか、私には最後の方は着地点が分らず迷走したように感じてしまいました。少々論点がズレますが、わざわざ中学生に撲殺されることにするなんて後味が悪いですし…(原作では大学生中心だった。別に大学生なら良いと言う訳ではありませんが;)。元教師を皮肉ったのか、犯罪の低年齢化という時事問題を盛り込んだのか分りませんが、あまりに悲惨な一生をとことん面白おかしく描いたのだから最期まで一貫して楽しくして欲しかったです。う~ん、でもやっぱり面白いっ![映画館(邦画)] 8点(2007-05-14 18:11:08)(良:1票)

355.  大いなる休暇 《ネタバレ》 どこの娘が誰とデキているか年寄りの耳にまで入るような小さな集落。教会の鐘が鳴っても集まってこないイイカゲンさと、島ぐるみでクリストファーを騙す団結力とを兼ね備えた島民たちの温かい描写が味わい深いです。汚い家は勝手に文化遺産に指定して〝改築不可能なんです〟ってそんなアホな。ってな事からもっとクリストファーに嘘がバレそうになったりドタバタ劇になるのかと思いきや、クリケット以外は特になしで人間ドラマの色が濃く〝笑い〟の方はやや寂しいぐらいです。島を心底愛するが故に島民以外には後先考えずガンガン嘘をつくジェルマンが〝クリケットはやらない〟と本音でぶつかった時、初めてクリストファーが島の一員となるという展開はヒューマンドラマとしては当然の結末ながら、なかなかホロリとさせてくれます。住む場所も大事だけれど結局はそこに誰がいるかの人の問題で、あとは住めば都かな。煙突の煙で一日の始まりを感じるなんて素敵じゃないですか。それにしても今や何でも分るインターネット、万歳ですね。[DVD(字幕)] 7点(2007-05-11 23:40:17)(良:2票)

356.  トリプルX これ確か〝ニューヒーロー誕生。ワルがワルを制す〟みたいな謳い文句だったと思うんですが…ザンダー、全然ワルじゃないじゃないですか~。むしろイイヤツ。今風に言うと〝ちょい不良ガキ〟ってところでしょうか。私には007の方がよっぽどワルに思えるけどな~。っていうより根本的な性格からすれば私自身ですらザンダーよりワル度高いかもしれません;。という訳でザンダーの人物造形が甚だ期待ハズレなんですけど、ちょっと考えてみれば全国系の万人向け娯楽大作アクションで極悪が主役なんてありえませんね。誰も共感できないヒーロじゃ観客動員できませんから。あんなこととかこんなこととかワルいことして窮地を脱するんだろなぁ~という私の妄想がちょいワルでした;。 ・・・ただヴィン・ディーゼルには今後ともアクションで頑張って欲しいです。なんせ今やいわゆるアクションスターが絶滅寸前ですからね。そういった意味では確かにニューヒーローの誕生です。[DVD(字幕)] 4点(2007-05-11 23:17:46)(良:1票)

357.  インストール 物語の持つテーマだけではなく何から何まで作り物っぽさが漂うヴァーチャルな世界描写、現実味の無さが何とも楽しいです。要は〝現実的には見えない〟ところが面白い。天真爛漫そうな上戸彩ちゃんはとても不登校には見えない。彼女が涎もんのエロい発言をしても卑猥には見えない。純粋真面目そうな神木君はエロチャットをするようには見えない。彼の飼育する微生物は肉眼では見えない。押入れで女子高生と小学生が…という扇情的なシチュエーションがまるでイヤらしく見えない。缶ジュースがずらりと整列したコンビニのような冷蔵庫は日常生活が見えない。整い過ぎているマンションや同色の屋根の街並み、ゴミ捨て場はキレイ過ぎて現実世界には見えない。ポップに仕立て上げられた本作は陰湿でエロチックな世界に足を踏み入れているようには見えない。さらに上戸彩ちゃんのパンツも見えそうで見えない見えない見えない…。[DVD(邦画)] 7点(2007-05-08 18:12:54)(良:2票)

358.  明日、君がいない 《ネタバレ》 子どもと大人との隔たりを主張しているためか型にはまった大人たちの描写は希薄で、ドキュメンタリー調でインタビュー形式の告白を聞かせてしまうのは映画としてはどうかと思いますが…最後まで緊張感を保ち若者特有のヒリヒリを感じさせてくれます。学校を舞台に肩越しから覗くように撮られた日常風景、人物と時間の交錯はガス・ヴァン・サントの「エレファント」と似た手法ですが、本作はあれよりずっと劇的であり感情的です。サスペンスタッチで冒頭から誰かの死を予見させる命の重みで訴える構成は、その後始まる一人一人の声に真剣に耳を傾けざるを得なくさせます。そして大き過ぎる問題を抱えた生徒たちはドラマチックですし、それでいて唐突に核心を衝くあの結末はヘビーな問題ではなく無関心による孤独という日常的な悩みがいかに重いかを気づかせてくれます。さらに〝予想外の自殺者〟は観客にも無関心への荷担を強いているのです。衝撃的なリストカットのシーンは画面から目を背けたくなるほど鮮明で痛々しく〝生〟への証として描いているように思えます。  監督が自らの体験をもとに本作にとりかかったのは弱冠19歳の時というのですから驚きですが、言われてみればで良い意味でも悪い意味でも若さを感じますし、若者らしい心の叫びが伝わってきます。[映画館(字幕)] 7点(2007-05-07 18:03:09)

359.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 人種差別という重過ぎるテーマで、問題視されて久しい現在でも尚起こっている現実に警告するかのような内容でしたが、静かにも熱く心動かされてしまいましたね。兄弟の物語が軸となっているのが観易かった要因だと思います。割と単純な展開で聡明なはずのデレクの改心理由がいささか甘い感じがしますが、ラストにダニーが撃たれてしまった事に抜けることのできない負の連鎖と根深さを感じさせますし、主題が明確になっています。また、人種差別の契機として若者の怒りが扱われているのも興味深いです。大概において自分自身でもその源が不明瞭な衝動的な若者の怒り。これはどんどん蓄積され何か不快な事に対して発散させても、それは所詮真の理由ではないので怒りのゲージはすぐに元通りの満タンになってしまう。そんな虚しい様が良く描かれています。実際にデレクが怒りのままに暴れ殺人を犯してしまうシーンがバイオレンスに痛々しく描かれているのは、逆説的に暴力を否定しているように思えます。・・・それにしてもエドワード・ノートン!恐ろしく巧いです。前に観た彼の出演作が「世界中がアイ・ラブ・ユー」の優男だったので尚更ビックリしてしまいましたよ。それからファーロングも何かこんな役ばっかりな気がしますが、似合っているので良いでしょう。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-05-01 18:07:43)

360.  ウィスキー 《ネタバレ》 真面目なハコボとマルタは定時にシャッターを開き電気をつけ、お茶をいれる決まりきった生活を送っている。その機械的に物事をこなす様子から、かなり長い間同じ事を繰り返していることが窺えます。そこへ起こる弟の訪問という外部からの刺激。積極的におめかしするマルタのリアクションは女心をしっかり捕らえたもので、少なからず何か変化が起こるのではという期待が感じられます。それに対して相変わらず無関心なハコボの様子が、部屋の説明をしながら電気をパチパチすることで示され、いつもの通りの事務的な出来事の一つと同じだと分かり男のダメさ加減を身につまされる思いになります。そして陽気な弟と過ごした後、マルタは定時にやって来ない。マルタ自身に変化が訪れたことと、ハコボには何の変化も訪れなかったことを暗示しています。同じ種族に見えていた二人は実は全く違っていて、二人がそろって笑えるのは〝ウィスキー〟という掛け声の時だけという淋しさ。少ない台詞ながら一定の行動様式で男女の心の機微を鋭く描出し、ついつい見守りたくなってしまう作りが巧いです。二人が〝ウィスキー〟なしで笑える日が来ると良いなぁと思ってしまいますね。  ところでウルグアイ(もしかして南米辺りではどこでも?)では写真撮る時に〝ウィスキー〟って言うんですね。なんか〝チーズ〟より良いなぁ。[DVD(字幕)] 7点(2007-05-01 18:04:24)(良:2票) 《改行有》

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