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21.  雨に唄えば 《ネタバレ》 何度も見てきたが、今更ながらこのタイトルが素敵だ。トーキー時代に突入する映画界の舞台裏を舞台にした本作。彼らのダンスは誰かに見せる、もしくは一緒に踊ることで成立しているが、この「雨に唄えば」は主人公一人だけだ。吹き替えを思いつきお互いの気持ちを確かめ合ったあとでキャシーと別れたあとのシーン。それは主人公にとってどれほど嬉しかったことだろう。急に流れてくるBGMは感情移入している観客にとっても全く違和感がない。心から嬉しく最高の表現に昇華した瞬間だ。さらに雨が嫌なものでない、という捉え方も素晴らしい。このシーンを作品のタイトルにするセンスは今も見習いたい。全体の雰囲気を匂わせるタイトルが多いなかで、このネーミングは秀逸だと改めて感じた。そして今更ながらもう一つ、この作品のヒール・リナ役のジーン・ヘイゲンは実際はとても美しく穏やかな声の持ち主。キャシーによって吹き替えられた声も実はジーン本人によることを後に知る。この映画を名画たらしめる要因はジーン・ケリーたち主役陣によるものと思いがちだが、同じジーンでもヘイゲンもそれと同様の功績があったと思う今日このごろ。[CS・衛星(字幕)] 10点(2014-09-20 21:43:01)

22.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 《ネタバレ》 こちら完全版を最初に見た方は、公開時のバージョンを後で見ても、追加シーンがないのはさほど気にならないか、もしくは物足りない気がするかも知れません。(そもそもヒトは削除より追加したほうが認識しやすいため)しかし公開時の作品を見た私にとって、追加シーンはまったくの蛇足。想像力で埋めた甘美で切ない物語が、木端微塵に吹き飛ぶエピソードでした。51分の追加シーンがなくても(ないほうが)作品にこめられたメッセージがある意味はっきりしていると痛感しました。大げさに言うなら、公開時の作品は映画ファンのための映画。この完全版はトトという男の物語。母親の「あなたの家に電話をするたびにいつも違った女性が出てくる。でもあなたのことを心から愛している人の声を今まで聴いたことがない…」という含みのある名台詞。この言葉も完全版では単にエレナを忘れないから、という未練たらたら男になってしまうのです。大人になった彼女に言い寄る姿は醜悪そのもの。監督はもともとそれを望んで構成しているかもしれませんが、それを知ってしまった私としては悲し過ぎる作品でした。観客はトトの醜態を見せずとも。心のどこかにエレナがいつまでも存在しているなんてことは百も承知。さらに、映画を見ている観客それぞれにも心の奥に必ずいる「誰か」を思い出したり、過ぎゆく時に身を任せながら若き日の傷を癒すものなのです。さらに言えば、ラストシーンも単に心の誰かを思い出すだけでなく、映画が好きだった頃の「情熱」に対し奮起させることもメッセージで描いているのですから、エレナだけに集約して欲しくないわけです。おそらく完全版を先に公開していたらここまで評価は高くなかったでしょう。当時を思い起こせば、悲恋系映画はそれなりにありましたが、ここまで映画を愛した人々をストレートに出した作品はまれだったのも大ヒットの要因でした。多くを語らない作品の大切さをこの映画で知りたくなかった… 。「観客」はすべてを見せなくても行間を埋められる想像力があることを忘れてはいけないと痛感しました。[映画館(字幕)] 2点(2014-08-18 01:22:22)(良:2票)

23.  スーパーマン(1978) 何度見たことだろう。サントラを何度聞いた事だろう。映画少年になりたてとしては最高の教材だった。クリストファー・リーブのそのまんまの容姿にアメリカンコミックの映画化に対する情熱を感じ、CGもない時代にピアノ線であそこまでスムーズに離陸させる技術と俳優魂に敬意を送ったものだ。話題と見所満載の映画だったが、私のお気に入りはなぜかクラーク・ケントの青年時代。実力を隠しながらアメフトの雑用係で過ごす姿、わずかな恋心を同級生に抱き交わす会話がなんとも切ない。そのあとに来る養父の「きっとお前はなにかの目的のためにその力がある。フットボールのためじゃない」というセリフも素晴らしい。そして特に好きなのは、クラークの旅立の日のシーン。網戸から見つめる養母の切なくも暖かいまなざしは、クラークからの告白を聞かずとも彼の旅たちを悟っている。そして草原に一人立つクラークの下に歩み寄る養母。音楽もジョン・ウィリアムスの真骨頂、コントラバスとチェロの低音弦楽器から徐々にバイオリンへと引き継がれるストリングスも完璧だ。アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」を思い出す叙情豊かなシーン。単なるアメコミヒーロー映画のはずがそこに垣間見る絵画の世界、30年以上たってもこの映像が忘れられない。そしてラストのエンドテロップ直前に地球から宇宙空間に飛んできてカメラ目線でにっこりするスーパーマン。何度見ても思わず嬉しくなってしまう。数多くのアメコミヒーローの映画がある中で、このスーパーマンだけは最も心の奥にあることを実感せずにはいられない。[映画館(字幕)] 9点(2014-07-18 02:12:23)(良:3票)

24.  フッテージ 《ネタバレ》 主人公がイーサン・ホークだったので、彼なら後半に事件の真相を知ってあえてそれを食い止めようとするのではと思ったのですが、単に「怖がらせておしまい」でした。逆に言えば、イーサン・ホークだから期待感を持って見続けられたわけで、プロデューサーの勝ちとも言える。でもこの手の作品ばかり出ていたらやばいぞイーサン。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-13 09:51:29)

25.  16ブロック 《ネタバレ》 アメリカンニューシネマの微かな香りのする作品。多種多様な映画が存在する中でこの作品はうもれてしまうかもしれないが、この香りを感じ取れればなかなかの一品だ。いつの時代にも通用する映画だが、もしかするとブルース・ウイルスゆえに固定概念が強すぎせいなのか。「ガントレット」と構図は一緒だが、「バニシング・ポイント」や「コンドル」のテイストが練りこまれている。リチャード・ドナー起用はそのためかもしれない。アクションの派手さや奇抜な演出が作品の善し悪しと思われる昨今だが、既にやり尽くしたあたりのジャンルの隙間を狙った優れた作品だと思う。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-04-13 03:33:34)(良:1票)

26.  復活の日 《ネタバレ》 パンデミックという言葉のかけらすら知る由もない中学時代に前のめりになってみた思い出がよみがえる。日本人のみのシーンは役者全員が力みすぎて泥臭さムンムンで気恥ずかしい。日本独自の演出と演技が海外のそれとは異なるだけでなく、一歩遅れていることが明確だ。事件の発端となる無名のウイルスの持ち出しシーンは別にして、主要の親日外国俳優陣に支えられてぎりぎり持ちこたえた印象。特に大統領と上院議員の最期の会話やボー・スベンソンのLIFE IS WONDERFULは泣ける。日本の俳優の中で主人公・草刈正雄だけはその顔つきもあって見劣りせず、ラストはウルウルモードへ。主題歌とチリ軍に借りた潜水艦と南極風景の功績大。感染列島よりハリウッド監督で今一度リメイクしたら…と頭をよぎる。放送するたびについ見てしまう作品のひとつ。[映画館(字幕)] 7点(2014-04-04 10:21:33)(良:1票)

27.  天国から来たチャンピオン 《ネタバレ》 かつて2本立て、3本立ての名画座にラインナップされると必ず見に行っていた作品。「幽霊紐育を歩く」をリメイクしたいビーティがカシアス・クレイ(古いね)らに主演を依頼するが断られ、おまけに監督の人選も難航。それなら自分で撮って演じるしかない、とプロからスカウトの声もかかった腕を持つアメフトに置き換えて、新米天使役のバック・ヘンリーとともに作られた奇跡の一本。音楽は数多くの名曲を繰り出してきたデイヴ・グルーシン、ソプラノサックスの軽妙でコミカルなメロディをベースに、これぞ映画音楽というようなやさしい旋律をここぞで使う完璧なスコア。コーチ、悪妻や秘書役にも名優を揃え完成度はこの当時ピカイチだ。名優が荒削りなシーンの行間を埋め、キャラを補完してくれるからだ。おそらくプロデューサーの力と、様々な困難の末に映画化にこぎつけた初監督のビーティに協力したいという俳優ばかりなのだ。それにしてもなんて優しい映画だろう。ファンズワースに入れ替わったあとの執事たちにに見せる一言や優しさなども何回も見ると泣けてくる。ラスト近く、ジャレットになりきった主人公に置いてきぼりをくうコーチに切なさは残るが、今思えば、ヒロインがジョーの何か感じてジャレットと付き合い始めるその後を考えれば、彼女はコーチにその思いを伝えるはず。きっとコーチも納得するだろう。そんなことまで思いを馳せる映画はやはり名作だ。幽霊や天使が登場するからファンタジーではなく、初対面の選手らしき人に「もしよかったらコーヒーでも」と言われただけでクオーターバックと察する出来事がファンタジーなのだ。この映画を作ってくれただけでもビーティに感謝したい。 映画好きにはたまらない1本だ。[映画館(字幕)] 10点(2014-03-08 14:49:01)

28.  パッチ・アダムス 《ネタバレ》 「グッドモーニング・ベトナム」「レナードの朝」同様、ロビン・ウイリアムスの悲しい笑顔がたまらない。彼は本当の笑顔のほかに、無理してみんなを笑わせようとする刹那が表現できる数少ない俳優だと思う。さらに主人公を嫌うルームメイト役のホフマンは絶妙だ。本来理解したくない主人公を心の奥では認め、下げたくない頭を下げ、自分の患者を助けてほしいと頼む姿は、とても勇気のいることだ。今までのプライドをすべて投げ捨て、嫌っている男の治療法に一縷の望みをかける、つまりどんなことをしてでも患者を助けたいという、ある意味主人公と同様の熱意の持ち主なのだ。このホフマンの心理の変化だけでも見ごたえあり。先日、ホフマンの訃報を聞いた。名優がまた消えた、無念。[DVD(字幕)] 7点(2014-02-05 15:14:21)(良:1票)

29.  ナチュラル 《ネタバレ》 野球少年にとってサヨナラホームランは夢。しかしこの映画ほどのシチュエーションとクライマックスは想像出来まい。理想の中の理想だ。この監督、光の使い方が素晴らしい。観客席でロイの試合を見つめるアイリスにだけ夕日が当たったり、見舞いに来る病室なども美しい。しかし極めつけはもちろんクライマックスのボールがライトに当って次々とライトがショートし火花を放つシーンだ。バットボーイのはじける笑顔、アイリスの笑み、内側に傾きながら淡々とベースを回るロイの向こうにはじける火花、そして監督のメガネに映る降り注ぐ火の粉…何もかもが叙情的だ。監督の目にはロイは野球の神様が遣わせた天使の姿と映っていただろう。ロイは紆余曲折があったけれど努力したからこんな素晴らしい結果を出せた、というサクセスストーリーな描写ではない。メジャーまでの苦労話を省いたのはそのためだ。結果はどうあれ努力するのみ。それが僅かなチャンスでもあきらめない。よくあるテーマだが、それは王道であり、万国の人々共通の目標だ。それがこの映画の根幹にあるから私たちが胸を熱くするのだ。努力するものへの讃歌なのだ。ラストシーンは冒頭の伏線を含めすべてをきれいに収めるキャッチボールシーン。グレン・クローズの立ち方も美しい。そして何よりレッドフォード最大の武器である少年のような笑顔。見事としか言いようがない。最近見た「ジュリエットからの手紙」と同様、あまりにも出来すぎなストーリーにこっ恥ずかしさをわずかに感じながらも、あまりにもド真ん中の直球に感動するしかない自分をうれしく思う。[ビデオ(字幕)] 10点(2014-01-11 12:27:37)

30.  デジャヴ(2006) やはりトニー・スコットのサスペンスは凄い。それそれが長くても数秒に満たないシーンを重ね合わせる職人芸。主観カットもあれば、超望遠レンズで狙撃手や放送映像のようなのような視点も組み合わせ、グイグイと作品に引きずりこんでいく。それゆえヒロインとの心のやり取りの切ないシーンもかえって際立つ。BGMも実に効果的だ。タイムリミットや追跡シーンは秒針を刻むごとく、ヒロインとは兄の作品「ブレードランナー」のデッガードとレイチェルに流れるような切ないメロディで実にわかりやすい。この「わかりやすい」というのはとても重要だ。これがあるから観客は戸惑うことなくもっと深い心情にまでたどり着けるのだ。タイムマシーンという荒唐無稽な発想も彼だからこそここまで仕上げられたのだ。考えれば考えるほどトニーの死は残念でならない。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-07 13:32:07)(良:1票)

31.  パーフェクト ストーム 《ネタバレ》 実話で迫力シーンも随所にあり、おまけに悲劇的!であればそれなりにヒットするだろうと思って、題材選びで大間違いを犯してしまった典型的な作品。だって全員死んだのになんで凄まじさを描けるの?という根本に気づかなかったのか? 生き証人がいるからこその実話でしょ?すべて推測じゃ制作陣の妄想を見せられただけじゃん。[DVD(字幕)] 3点(2013-12-05 23:54:06)

32.  ジュリエットからの手紙 不思議な映画の魔力を秘めている作品、それが鑑賞直後の印象。ベタで先が読める展開が「つまらない」ではなく、「だからこそ良かった」と素直に受け止められる。初見なのに「こういう映画好きなんだよなあ、もう1回見よう!」と思いながら見ている気分。まさに録画していたスポーツの勝ちゲームを見ている気分なのだ。ストーリーに翻弄されないから、映像や演技をしっかり堪能できる「余裕」や「安心感」を与えてくれるのだ。イタリアの美しい風景や50年前の恋人探しのクレアの少女のような美しさ、それを手伝うソフィのナチュラルな可愛さを感動できるのはまさにこのシンプルなストーリーのおかげなのだ。さらに感動を高めているのは、実際にヴェローナで「ジュリエットの秘書」たちによって行われている「ジュリエットレター」というなんともロマンチックなやり取りにすでに心打たれているからだ。おそらく今は亡きゲイリー・ウィニック監督やプロデューサーのエレン・バーキンもこの事実に相当ほれ込んだに違いない。それにしてもヴァネッサ・レッドグレーブが素敵過ぎる!あのブルーアイズの美しさは最近の洋画界でも特筆もの。彼女の瞳が50年をすべてあらわしているのだ。普通に考えれば、夫が亡くなって初恋探しをすることに後ろめたさを感じる可能性も無いわけではないが、彼女の立ち振る舞いと美しさはその夫としっかり愛情ある夫婦生活を送ってきた自負と威厳がある。おそらく亡くなった夫もあの世から応援しているかもしれない、とまで思えてしまう。一方ソフィも二人の男性の間で揺れ動くと思いがちであるが、すでにすれ違いはニューヨーク時代にさりげなく披露されており、別れは時間の問題であったことが伺える。ご都合主義、出来すぎと思いながらも、納得できてしまうのはそんな出演者の演技と演出によるものと感じずにはいられない。本来なら8点かもしれないが、震災以降の自分にとっては亡き監督と出演者への感謝の気持ちと、自分のメンタリティが映画によって救われるという「映画の魔力」を再認識させてくれた意味でプラス1点。[試写会(字幕)] 9点(2013-09-28 10:32:19)(良:4票)

33.  ドラゴン/ブルース・リー物語 《ネタバレ》 不世出のスターだけに似てない、などは言うだけ野暮。生き急いだ彼の運命を「悪魔」に見つかった、という解釈が実に興味深い。特に息子ブランドンまでも見つかってしまったというくだりは、あまりにも切ない。映画の中では悪魔を退治したことになっているが「怒りの鉄拳」ラストシーンをねたに使った「死亡遊戯」そのままにこの世を去ったブランドの非業の死を考えれば、やはり親子とも「悪魔」から逃げ切れなかったのか、という思いを強くする。彼の作品やドキュメンタリーはいろいろ見てきたが、彼自身やブランドンの運命を俯瞰で解釈した作品は少ない。その意味だけでも意味のある作品のように思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2013-08-04 00:03:28)

34.  未知との遭遇 《ネタバレ》 仕事を捨て家族を捨て、ひたすらUFOの謎を追い続ける主人公にどれほどリアリティがあるのだろう。DVD特典映像に収録された最近のスピルバーグのコメントも自身の思い入れによる『若気の至り』というほど直線的なキャラだ。映像もいくつか?シーンが存在する。デビルズタワーの背後から現れそれを乗り越えるマザーシップは高度が低すぎるし、最後に交流する異星人も機械的でぎこちない。最初に姿を現した手足の長い異星人と主人公にまとわりつく異星人が同一かどうかも判らない。滑走路を覆いつくすマザーシップの影の大きさや速さも気になる。特撮技術も、UFOの輪郭近くの方が、かえって背景の星がはっきり見えるなど粗は多い。CGで何でも出来る今となっては目を見張るものはないかも知れない。でも…当時もわかっていた。そんなモンはこの映画に関してはまったく問題ではないのだ。ウルトラマンの背中にファスナーが見えていても彼は私のヒーローであったように、この作品も依然としてベストワンのままだ。家族を捨てるほどの衝撃を与えた「何か」に打ち震え、自分にもそんな「何か」くるのかと期待で胸が膨らむ。主人公がマザーシップの乗り込む瞬間、見納めかもしれない「地球」を振り返る表情に羨ましさを覚える。そしてギクシャクした動きの異星人は文明の差を越えた「微笑み」と「ハニカミ」だけを表現したいこだわりに感動してしまう。当時のマペット技術の限界を知りつつ、この「笑顔を交わす」にこだわる思いに泣けるのだ。宇宙人は地球侵略目的でやってくる、宇宙船は銀色でのっぺり、と誰もがイメージしていたものを、これほどまでに価値観を変えた意義は大きい。「ジョーズ」本作、「E.T.」と、前半はそのものを見せず、現象や事件だけで期待感を煽るお得意の構成。そのエピソードも端的で素晴らしい。当時新進気鋭と呼ばれたまさにスピルバーグ節。そしてクライマックス。今まで現れたUFOが一斉に登場すると思いきや、あれほど巨大なマザーシップとは!旧有楽座の巨大スクリーンで初めて見たとき思わず息が出来なかった。絢爛豪華な装飾と、着陸時に天地が変わる発想を含め、これほど予想を上回るクライマックスは彼の作品の中でもピカイチだ。ラストの地球を離れ5音階をオーケストラが奏でる時にマザーシップに重なるようにまず最初に出てくるスピルバーグのテロップを見るたびに敬意と感謝と祝福の気持ちが沸き起こる。[映画館(字幕)] 10点(2013-02-23 20:56:58)(良:1票)

35.  イルカと少年 実にバランスの良い映画だ。引きこもりがちな少年、学校に行かせようとする母、足を負傷した名スイマーの従兄、寂れて経営難の水族館、そして尾ひれのないイルカ。様々な人々の再生をここまで消化できている脚本は意外と少ない。これを可能にしたのは、わずかながらのカットでありながら登場する人々やひと目見てわかる演出、そして豪華過ぎるキャスティングだ。予備知識無しで見てみたらアシュレイ・ジャッド、モーガン・フリーマン、クリス・クリストファーソン気負いなく登場する。彼らは子供の心を理解するだけの包容力をすでに持ち合わせた雰囲気だから必要最低限のセリフとシーンで十分表現できてしまうのだ。そして、イルカによるヒーリングもすでに一般的にだから、違和感なく見事にテーマを描き出す。子供向きとか動物モノとかそういうこととは関係ない。完成度はすごい。監督は「アンタッチャブル」でアル・カポネの脱税容疑に目をつけ、カナダ国境で大活躍のオスカー・ウォーレス役で有名なチャールズ・マーティン・スミス。[CS・衛星(吹替)] 8点(2012-12-07 17:42:12)

36.  リメンバー・ミー(2000) 《ネタバレ》 「未来は自分で切り開け」「好きだと思ったらはっきり告白するべき」「自分に嘘はつかないで」などきれいごとのヒューマニズムが当たり前の中、この主人公はそれを選ばなかった女性。それによって、もちろん苦悩や後悔もしているだろうけれど、この映画のそこがとても愛しい。今夢中になっている先輩が、まだ十分に知りえぬ親友とその後に結婚する運命を知ってしまうのは、あまりに切ない。良くぞ身を引いたと心から敬服してしまう。この映画、ストーリーの仕掛けがしっかりしているから、いつも以上に感情移入できてしまう。またキム・ハヌルの悲恋に焦点が行きがちだが、ユ・ジテのどこにでもいそうな朴訥な大学生がこのストーリーをしっかりしたものにしている。イケメンではないがとってもいい奴なのだ。無線機から聞こえる彼の声も実に美しい。「オーロラのかなたに」と導入が同じこともあって比較されがちだが、サスペンスやタイムパラドックスの妙に逃げずに最後までヒューマンドラマに徹した志は見事。ラストシーンの彼女が老けていないと疑問を感じる人も多かったが、実際に下手なメイクで老けさせたり、別な俳優に演じさせるのは考え物と思う。おそらくスタッフも考えた末の判断ではないだろうか。(どうせならあえて昔のままで)あくまでも現実にはありえないファンタジー。そう思ってくると、ユ・ジテにだけ見えたイメージ?昔のままの姿でいるという事は今もあの人を忘れないという意味?切なく美しい寓話でした。[試写会(字幕)] 9点(2012-08-24 01:19:39)(良:2票)

37.  エクソシスト この映画は深い。冒頭のイラクの発掘現場からすでにいやな予感的演出。当時43歳のマックス・フォン・シドーの特殊メイク&演技力は、健康に不安を抱える老神父として、その後の悪魔との対決に不安を覚えさせるには十分の説得力。犬の噛み付き合う姿や、片目のつぶれた現地人などの被写体はボディブローのように徐々に効いてくる。このイラクパートの極めつけは柱時計だ。会話中に急に振り子が止まってしまうのだ。偶然と言い切れない「何か」がすでに漂っている演出。「全部見せてしまう」ハリウッド的ホラーとは一線を画し、Jホラーに限りなく近い。「そのもの」を見せず周辺の事象だけで前半の恐怖を描いているあたりが、スピルバーグにも影響を与えているのだろうか? またリーガンパートでは、いくつか不思議な描写も用意されている。水道水の聖水に苦しんだり、呪文と思いきや逆さ言葉だったり。幽霊否定派の方は現代に潜む閉塞感や不安によるヒステリーを「悪魔」という第三者に見立ててお祓いすることで正常化するという現代社会の暗部と捉えてもいい。カラス神父の母などは彼にしか見えない幻であるからだ。頭が180度回転したのも、極限状態で観た集団ヒステリーと解釈してもいい。一方、ホラー映画として考えた場合、水道水に苦しんでいるのは明らかに悪魔のマヤカシだ。神父たちを低級な悪魔と混乱させあざ笑っての演技なのだ。これほどたちの悪い「悪魔」はいない。心の隙間のもっとも弱い部分を攻撃するのだ。人間ドラマであり超一流のホラー映画であるこの2面性がこの作品を名作たらしめているのではないだろうか?人間ドラマも素晴らしい。カラス神父のクライマックスは手を動かすだけなのに泣ける。さらに、何も覚えていないリーガンが、神父の証である襟元をじっと見つめ抱擁するなど、感慨無量なシーンで締めくくられる。よく「説明不足」という意見も目にするが、このころの映画は個々の想像力と解釈があったから必要なかったんだが。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2012-08-23 09:55:21)《改行有》

38.  サンクタム 《ネタバレ》 大自然の畏敬の念をうたいながらも、それを味わう以前に人間の浅はかさや向こう見ずな冒険心が目に付いて最後まで心を揺さぶられなかった。 冒頭の主人公の少年が水底に落ちながら、最後に目を開けるシーン、で大筋は判明。さてさてどんな展開か、と期待して見たがお世辞にも爽快感があるとはいえないサバイバル。パニック映画の突然の悲劇ではなく、自ら危険を承知で突き進むから、それぞれに欲望がうごめき、人間関係もざらついているのがそもそもしっくり来ない。キャメロンの「アビス」は偶然別な知的生物に遭遇したりして、目先が変わるが、この作品はあくまで洞窟の難関クリアだけだ。次から次に起こる問題も「今度はこれね」という一本調子に思えてくる。主人公たちの親子のテーマが、最後に奇跡的な活躍をしなければならない息子の伏線であると同時に、冒険家としての目覚めと成長を醸したいのだろうが、彼自身にあまり魅力を感じないせいか、なぜか「どうぞご勝手に」となってしまった。映像が素晴らしいだけに「アバター」と同じ印象。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-22 18:04:33)(良:1票) 《改行有》

39.  完全なる報復 《ネタバレ》 クリント・イーストウッドの「ザ・シークレット」を思い出した。悪役が完全に主人公の能力を上回っている。あの映画もマルコビッチが最後までイーストウッドを圧倒していた。この手の映画はある種、一見勝ち目がない悪人をどう追い詰めるか?出し抜くかが爽快感へとつながるのだが、ときどき出し抜けないまま犯人自ら死を選んで決着させてしまう作品がある。本作もその要素が強い。それほどジェラルド・バトラーの存在感が大きい。ただ、少し趣が違うのは犯人にそれなりの理由があって復讐していること。妻子を殺された上に司法取引で釈放されてしまう殺人犯そして司法関係者を復讐するのは被害者としてわずかながらも映画的には同情の余地がある。覚悟し牢獄での爆発寸前に子供の遺品を手にするカットもそれを強調している。その意味からも勧善懲悪ものではなくアメリカの司法制度の危うさを下敷きにしている点がこの映画の魅力だ。ところが、ラストはみなさんのご指摘通り「?」である。子供を優しい眼差しで見つめる主人公では何も解決していないのだ。殺人犯を野放しにした責任は家族といる時でさえ脳裏にこびりついてこそ納得できるのではないだろうか。少なくともラストシーンまではそう描いていたのだから。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-15 01:22:20)(良:1票)

40.  アンストッパブル(2010) トニー・スコット印の正統派アクション。現代のアクションのお手本のようなカット割とカメラワークでこの上ない緊迫感を演出している。どれほど繰り返し撮影を行っていたのだろう、わずか2、3秒(長くても5秒以内!)を丹念に積み重ねている。同じシーンを何度も何度もカメラ位置を変えて撮影し、あたかもひとつのシーンのようにつないでいる。わずか1分の描写も相当な時間と労力がかかっている。走る列車は並走する車かヘリからの撮影だが、そのカットの多さもすごい。ヘリを何機も接近&低空で飛行させているのだ。その努力があってこその映像、スピード感演出は惚れ惚れする。無駄な人物描写を極力省きすぐに事件を起こさせるストーリー展開も見事。いかに列車を止めるのかという本題に十分時間を費やせるからだ。この映画、あまりにも演出が際立っているため「この俳優じゃないと成立しなかった」がない、ある意味「俳優殺し」の映画とも言える。でもそんな映画があってもいい。[CS・衛星(吹替)] 9点(2012-01-09 11:11:32)(良:1票)

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