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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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381.  パパにさよならできるまで 《ネタバレ》 アポロの月面着陸という科学的、つまり現実的な事物で父の存在という幻想を打ち破るプロットや、手紙やチョコレート、髭剃り道具などの小物の使い方、ラストに一人で船を漕いでいくシーンはなかなか良いです。しかし、全体的に見ると腑に落ちない印象の方が強いのです。まずほとんどの登場人物たちがある種の腹立たしさを感じさせます。人間誰しも欠点はあると思いますが、その面を描いている割りには人物の掘り下げが妙に浅いのです。そしてその負の面のリアリティさとは対照的に部屋などの色彩は統一性がありファンタジックに描かれているのが違和感があるのです。言うなればコーヒーとミルクを混ぜてカフェオレを作ろうとしたら分離してしまって何じゃコリャという状態です。まさかそこに子供の視点からの矛盾性なんて潜んでないでしょうし;。しかし何より問題なのは主人公の子供に可愛げというものが欠如していることです。もちろん可愛かったら良いといものでもありませんが、この手の物語ではある程度の愛嬌が無いと付き合いきれませんよ。[映画館(字幕)] 5点(2007-03-20 18:09:12)(良:1票)

382.  2番目のキス ファレリー兄弟の作品にしては下品ではなく、男女のおバカな特性を面白おかしく見事に描いている。…何ていう真面目な感想はやめにして、何を隠そう私も10年来のレッドソックス党!現在、世間で話題騒然の松坂投手より巨額の投資をしてしまった自分とは一切関係の無いレッドソックスの懐具合が心配というバカっぷりです。ですから耳の痛い話に苦笑してしまった;。私の一大危機は日本では最も応援している松井秀喜選手があろうことか宿敵ヤンキースに入団してしまったこと!こりゃどっち応援すりゃいいんだ~というジレンマに陥りながらも、何時の間にか純粋にこの黄金カードを楽しめるようになったのは我ながら進歩です。殊に本作の舞台である前年のリーグ優勝決定戦は凄かった。最終戦はビデオ録画しつつも気になりちょくちょくネットで確認していたがクレメンスを打ち砕いた時は勝利を確信していた。なんせこっちはペドロだし~。…なのに有り得ない敗戦(松井選手がホームで珍しくガッツポーズしている姿は覚えている方もいるでしょう。あの試合です)。それがあっての翌年の同じ舞台、同カードでの有り得ない逆転劇!3連敗後、九回ビハインドで、それもあのM・リベラを相手に逆転してみせるなんて有り得ない!しかもその後3連勝をきめヤンキースを破るなんて奇跡も奇跡だっ~!…でもバンビーノの呪いが解けちゃってちょっぴり寂しくもあった。だってもう夢が叶ってしまったのだから(次は松井選手がチャンピオンになれること願ってます、はい。)。…ねっ、興奮して映画とは関係ないこと書いちゃってファンってのはきっとバカな生物なんです。だからあんな可愛らしくて寛容な女性に愛されるのも奇跡に近いぞ;。・・・ところで死ぬまでに一度はレッドソックス対ヤンキース戦をフェンウェイ・パークで観戦したい…できればポストシーズンの試合を。それと球場移転してしまう前に〝ベーブルースの建てた家〟でも観戦したい…できれば松井選手のいる間に。全くバカの夢は尽きませぬ。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-16 18:00:06)

383.  浮き雲(1996) 《ネタバレ》 リストラされレストランは潰れ、新しい仕事はダメで車に乗れなくなったり、レストランと呼べない店で働いて給料貰えなかったり、テレビや家具を差し押さえられてギャンブルで失敗と、悲惨な出来事の連続なのに前向きとは違うけど決して後ろ向きにはならない、挫けない夫婦の愛が素晴らしいです。妻「決して許さない」夫「帰ろう」妻「いいわ」のシーンなんか最高ですよ。彼らはほとんど言葉を発しなければ表情にも出さない。リストラをカードで決めるシーンやコックが治療費を払うシーン、レストラン仲間との別れのシーンなどの本来感情的な場面でさえ実に淡々と描かれています。それでも無言の中にある心の叫びがしっかりと聞こえて、喜怒哀楽をあまり見せてくれないのに観終わった後に心が温かくなるのがこの映画の凄いところです。色使いも素晴らしく、尻尾を元気良く振る犬が何とも可愛らしい。二人で始めたレストランに客が入ってようやく夫婦に晴れ間が訪れた時のあの様子の微笑ましさ。生きている事の幸せを静かに、だけどとても強く感じさせてくれる作品です。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-03-13 18:47:16)

384.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 本作の何よりの見所はその見事な景観であり、トミー・リー・ジョーンズなるイカツイおっさんが失礼ながら予想を遥かに上回る美的感覚の持ち主だったことに驚く。しかもこのイカツイおっさんはやっぱり一筋縄ではいかない。けっこう単純なお話の時間をバラし構成を複雑にし注意力を引きつける、それでも気が緩むものならドーンと迫力万点のおばさんの裸や腐乱した死体を映しガードが下がったところへパンチを見舞ってくる。まったく油断も隙もならない。さらに、複雑で濁った現代社会で失われつつある友情に原点回帰する物語は、単純で純粋なヒューマニズムが溢れており温かさを感じる。自分本意のマイクが最後の最後で「一人で大丈夫か?」と声をかける。他者への関心があらわれ出し彼を救っているようであり、イカツイ風貌とは裏腹にトミー・リーの優しい一面を垣間見た気がする。・・・ところで、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名ほど中味は凝ったものではないが、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名は近頃の映画の中では群を抜いてかっこいい。だって何度も口ずさみたくなる。メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬・・・・・長いのにあまり噛まないで言えるところが実に良い。[DVD(字幕)] 8点(2007-03-09 18:19:45)(笑:1票)

385.  影(1956) 《ネタバレ》 何とも奇妙な謎の事件から導入し好奇心を掻き立て、勢いのみに留まらず三本の興味深い話で次々と魅せ、最後には数本が絡まったように見えた糸が一本に解ける面白さがある。三つの不可解な事件が一つに繋がるのはあまりにも偶然が過ぎるのだが、そんなことを気にさせないほど、すんなりとそれぞれの過去の回想に入っていき結末を知りたくなってしまう話の聞かせ方がとにかく巧い。特に二話目は緊張感があってドキドキさせられる。虎穴で仲間の足を蹴った時のあの反応、たった一人のところ狂気に駆られた表情で「手を出すんだ!」と凄まれる恐怖。計算尽でさり気なく事の結末である義足を見せるのも見事だ。作中に漂う空気も暗澹としており、白黒映画ならではかもしれないが物語のキーとなっている陰影のつけ方も不安を呼び起こすようで良い。もちろん1956年製作のポーランド映画であり政治的な内容だが、単純にスパイサスペンスとしても十分に楽しめる。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-03-05 18:49:52)(良:1票)

386.  オズの魔法使 オズの国へ移行するとモノクロから一変して色彩が豊かになり幻想的な世界へ足を踏み入れた雰囲気が一気に高まる。遠くの風景は絵で構成する舞台装置のようでありながら映画と見事に融合させられており、イマジネーション全開のファンタジックな世界は何とも素晴らしい。そのうえ突飛なキャラクターたちも子供騙しに留まらず驚くほどの説得力を備えている。見た目はけっこう不気味であるがユニークで愛らしいライオン。青い空を真っ黒く切り裂く魔女の恐さ。無駄なシーンは見られず、音楽はパワフルで明るくてとことん楽しい。そしてチョコチョコと付いて来る犬のトトの可愛らしいことと言ったら無い。[DVD(字幕)] 9点(2007-03-02 18:17:57)(良:3票)

387.  間諜最後の日 《ネタバレ》 ボタンで犯人割り出しや山での望遠鏡と犬の様子、ぐるぐる回るコインなどの緊張感や心情を表す場面は巧みで、個性溢れる登場人物たちとユーモアの利き具合は良かったのですが、結果オーライみたいなラストはどうなんでしょう?好みが分かれそうですが、私は汽車の事故で解決してしまう幕引きはあまりにも都合が良過ぎると思ってしまいます。殺人を犯さねばならぬアシェンデンと良心からそれを阻止しようとするエルサ。任務か?それとも良心か?はたまた愛か?二人のその葛藤を事故で終わらせ、幸せそうな姿が映るだけでは少々拍子抜けなのです。やはりスパイ業と愛の間で揺れるアシェンデンの男っぷりな決意を見たかったです。それと無関係な人の好さそうな老夫婦が被害に遭うのも後味が良くありません。ヒッチの中では死が重い印象です。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-02-28 18:22:11)

388.  アメリカ,家族のいる風景 《ネタバレ》 もうのっけから良い。西部劇を匂わせながら現代に突入し徐々に本題へと入っていく。情報量が少なく主人公と共に物語を紐解くように進み興味が湧いてくる。一貫してカウボーイルックのハワードは時代に取り残されているようで孤独を感じさせる。他の登場人物たちもまた同じであり遺灰を胸に抱くスカイの姿や路地裏で泣くドリーンの姿、部屋を破壊するアールの姿、TVで野球を観戦する母の姿、ハワードを追跡するサッターの姿にそれぞれの孤独を感じさせる。また、舞台である寂れた町の景観も抜群であり一つ一つのカットが芸術的であることに驚かされる。作中に漂う雰囲気も素晴らしくその世界観にただただ引き込まれてしまうばかりである。ただ後半は少々展開が早い、と言うか甘い。短時間でハワードは目的を達し満足するし、アールともけっきょく簡単に和解する、町は淋しくも画面も決して寒々とはしていない。最後にティム・ロスに厳しい台詞を言わせるが変わり者であるサッターは観察者であるからして学者の戯言にしか聞こえないし、大局的過ぎる視点は現実味が薄い。そんなところにヴェンダース監督の温かさや優しさを感じる。まぁ結局のところこれもこれで好きなのだが、個人的には同時期に似通ったテーマ性で撮られたジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」の方が若干好みである。[DVD(字幕)] 8点(2007-02-21 21:53:25)

389.  パンと植木鉢 《ネタバレ》 珍しい手法、面白い切り口なのでついつい作品の世界に引き込まれます。テーマは慈しみの心と実践が大切ということでしょうか。個人レベルでの手を差し伸べ合いが人類救済の第一歩であり、そこに可能性を見出しまています。こう文章に起こしてみるとかなり気恥ずかしいテーマなんですが、正面から熱く訴えるのではなく距離を置き時に笑いも交えながら嫌味なしにサラっと流しているので好印象。言うなれば撮影秘話のようなメイキング映像を観ているような感じなのです。もう本当なのか演技なのか線引きできないくらい自然であり、監督の答えをそれぞれの代役である爽やかな青年たちによって違和感なしに提示するあたり巧妙な構成です。それにしても本作を撮り、自分の若き頃の役に壮大な希望を持つ青年を選んだ監督は今でもきっと夢追い人なのでしょうね。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-02-19 18:06:27)

390.  10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス カウリスマキとジャームッシュ、スパイク・リーに画的にヴェンダース、役者が中国人だからチェン・カイコー、あとは観ただけでは判断できず…。まだまだ修行が足りませぬ;。個人的に言えば、好きなのは相も変わらず無口なカウリスマキ作品。中でも出来が良いと思うのは、素人でも無駄なしと思えるほど濃密で完璧に10分間を使ったエリセ作品。中では不出来と思うのはやや反則技のように10分間を使ったヘルツォーク作品。でも一番気になったのはそのヘルツォーク作品。フィクションかノンフィクションか分らぬが浦島太郎のごとく僅かな時間で何千年もの進歩を余儀なくされた一民族の、時間に置き去りを食った姿はあまりに哀しい。人間の有るべき姿を問われたようで哲学的な気分にさせられます。[DVD(字幕)] 7点(2007-02-14 18:35:18)

391.  ピエロの赤い鼻 〝笑う〟というのはとても大切なことだと思うが、人を笑わせるというのは泣かせるよりも難しい。まして道化を演じる者はプライドもかなぐり捨ててある種のバカにならなければならないし、それでいてユーモアというようなある種の知性がないと観客を魅了することはできない。つまりピエロになるということは相当な勇気がいることである。本作は戦時下、しかも処刑待ちという絶望的な状況で対照的なそのピエロの必要性を明確に説いている。悲劇を喜劇に変えてしまう素敵なドイツ兵の登場にどうしたって拍手を送りたい気分になる展開は見事であり、寓話チックな珠玉の心温まる物語は素晴らしい。・・・しかし、もう完全に個人的な問題なのだが私はピエロを面白いとは思えない。だからゾゾがいくら頑張ってくれても笑えなかったのだ。つまるところ何が言いたいのかというとピエロに笑う人々が嘘臭く見えてしまうことにより作品との間に壁ができてしまったのがマイナス点である。何しろこれから処刑されるってのに神経のピリピリをピエロで抑えられるかって思うし、平穏な時は平穏な時で大の大人たちがピエロだけであんなに笑えるかって思ってしまう。もちろん当時のフランスでピエロがどれだけ笑いをとれたか知らないので、現代日本人でピエロに笑みがこぼれない者の感想ですけど。[DVD(字幕)] 7点(2007-02-13 18:26:29)(良:1票)

392.  そして誰もいなくなった(1945) 《ネタバレ》 原作との比較はナンセンスだと思いますが、原作と異なるこのハッピーエンドはいただけません。もちろん敢えて同じオチで勝負する必要性など何処にも無いのですが、アメリカ的なオチとしたことで作品の簡潔さが損なわれています。そればかりかそれにより全体のムード自体の変更も余儀なくされ、シリアスさは影を潜めコミカルになり道化役まで登場し、カップルで楽しむような作品となり本作の真の面白さは消え失せてしまっているのです。引っくり返った足先や電気傘で顔を隠すなどの洒落たシーンは随所に見られますが、原作を面白がった読者としては甚だ期待を裏切られた思いなのです。・・・もっとも、原作を読んでいなければストーリーの後追いなどしなかったでしょうから楽しめたような気もするのですがね。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-02-08 18:44:24)

393.  ディパーテッド 《ネタバレ》 国が違えば文化も異なる訳でリメイクというよりスコセッシ監督がプロットだけを借りて翻案したという感じでオリジナルより娯楽性が高まっています。ビリーが棒?でイタリア系マフィア?を突くシーンや血がドバッと出るバイオレンス描写はゾクゾクもので凄いです。役者も皆それぞれ味が出て良かったですし、つまらなくはなかったのですが…振り返ってみると消化不良な点が多いです。最も気になるのは人物描写で、まずレオ演じるビリーが最初の面接シーンから屈折しているキャラクターなので潜入により苦しんでいく過程が明確ではないこと。というより時の流れそのものがあまり感じられず新入りの彼が何時の間にコステロと千万人に一人のフレンチと三人で車に乗るようになったのか不明なのです。人格にしても天才とか頭が良いとか言葉が並び立てられるばかりですし、己を偽る囮捜査や複雑な家族構成による苦悩より死と隣接している恐怖の方が大きくビリー独自のバックボーンが生かされていないように思えます。そしてジャック・ニコルソンも当然、圧倒的なのですが決してベストではないと思います。例えばビリーの手を靴で撃ちつけるシーンなどもっと迫力のある芝居が出来るのではないでしょうか。むしろ最初にビリーに凄むレイ・ウィンストン演じるフレンチを方が、デフォルメチックなコステロとは対照的に深刻で加減を知らず際限がない感じがして恐かったです。それからオリジナルにはないディグナムというキャラクター。わざわざ登場させたにもかかわらずこの人物の描写も希薄なのです。もちろん警察と犯罪者の境界線を不透明にしていたり最後に重要な役割を担っていますが、相当ユニークと思われる彼の人格は乱暴な面以外は一切描かれておらず掴み難いのです。というわけで、どのキャラクターも複雑で特殊と思われるのに何だかとっても薄味な印象しか残っておらず、結果、作品としての印象も今一つなのです。[映画館(字幕)] 6点(2007-02-05 17:54:20)(良:1票)

394.  ドッグヴィル 《ネタバレ》 まるで寓話小説でも読んでいるような気分になる本作は観賞後、ナーバスになり胸にもやもやが残る。それというのも抉り出された人間の醜悪さを自分自身の中で照らし合わせているからだ。私も村人のように確立されたコミュニティに得体の知れぬ部外者が侵入したら恐れとは言わないまでも警戒心を抱くと思う。またトムのように良識派の顔をしているが、良心とは別に物事を万事円滑に運びたいという自分本意な願望もその裏側には隠れている。さらにグレースの立場となれば一連の仕打ちに対する怒りで村を消し去りたいという衝動に駆られ、実行された時には安堵感や爽快感を覚えてしまう。だが、冷静になって考えてみるとレイプした者たち以外の人々は罪を犯しているのか疑問が湧き、さらには仮に罪であったとしても死をもって償うほどの重罪であったのか苦慮する。そのうえ人を人が裁くという行為自体にも違和感を抱く。そして様々頭脳で判断するのとは別に感情的な部分で胸騒ぎが始まり心に不快さや嫌悪感が充満する。それは己の偽善や傲慢さが暴かれそうなので湧き上がる感情かもしれない。舞台装置のような斬新なスタイルが、あたかも実験用マウスになったかのような心持ちにさせ一層不安にさせる。…このように思った時点でこの映画の狙い通りなのかもしれないと考えると恐ろしく巧妙な出来映えだと思う。・・・しかし、しかしだ。こんなことで呼び起こされなくとも自分の心に潜む邪悪な部分には十分に気付いているわけで、臭いものには蓋をし続け(この言い回しは語弊があるかもしれないが)、息苦しくならないように、正常さを保てるように暮らしている。それをわざわざ蓋を開け顔を突っ込まされるのは趣味が良いとは思えないのだ。もちろん個人的な好みによるものと思うが、点数は2点ばかり引かせてもらう。・・・って、この行為も偽善かもね。もう分ら~ん![DVD(字幕)] 7点(2007-02-02 23:08:17)

395.  雨あがる 謙虚さや奥ゆかしさは消極的とされポジティブがもてはやされる現代競争社会において、人の席を取らずというのは忘れてはならぬ日本人最高の美徳だと思いますので物語自体は好みなのですが…、映像としてはかなり引っ掛かるところがあります。例えば、宿屋で宴会騒ぎするシーン。おばちゃんが唄を歌い始めると皆で音頭を取り始めますが、この風景はあまりに非現実的ではないでしょうか。弱者の肩の寄せ合いの象徴シーンであるというのは分りますが、これ見よがしに示し合わせたような大合唱では逆に鼻に付きます。それから斬り合いで血がドバっと噴き出すシーンもオマージュのつもりでしょうが本作の世界とは明かに異質で違和感があります。でも個人的に何より納得がいかないのは配役。主人公も含めてほとんどが一見キャラクターに相応しいようで全然合っていない気がします。むしろ演技のよろしくない殿様は本作の世界観にあっていたと思います。何だか偉そうに御託並べてしまいましたが、黒沢時代劇の大ファンとしては黒澤、黒沢と宣伝するものですから期待が大きく膨らんでいた分だけ落差も大きいのです。[ビデオ(邦画)] 5点(2007-01-30 18:46:18)

396.  暴れ豪右衛門 《ネタバレ》 兎にも角にも豪右衛門のキャラクターに尽きます。戦好きで言葉も態度も悪いし頑固っぷりスパルタは兄貴としては願い下げたいのですが、ただの乱暴者ではなく相当な傑物として描かれています。それぞれの長が集まった会議での態度や商人たちと軽口をたたきコミュニケーションをとる様子から感じ取れる懐の深さなど、日常の様子や一連の騒動から人物像が決定付けられていく過程が見事です。只者ならぬ雰囲気、豪快で圧倒的な存在感という特徴は三船敏郎が演じるにも相応しい役であり魅力が十分に発揮されています。ラストの馬群シーンも迫力があり侍にはない彼ら百姓の力強さを感じさせ、この先どうなるの?と無い続きを見たくなってしまうのです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-01-29 18:09:16)

397.  マイアミ・バイス マイケル・マン作品と言えば何と言っても〝闘う男〟が魅力的であり、甲斐性なしの情けない男である私はマンが描く男世界にいつもいつも惚れ惚れし憧れを抱くのです。今回も当然、闘う男がテーマなのですが…、う~ん、今までと違って主演の二人が魅力的には見えません。冒頭の登場シーンや音楽のセンスは相変わらず良いですけどねぇ。例えば「ヒート」の敵対関係にありながらも共鳴し合う二人、「アリ」の人生と勝負し続けるアリ、「インサイダー」や「コラテラル」でも男たちの生き様が、弱者だろうと不器用だろうと男の持つ美学をもって鮮明に描かれていました。ところが本作は重々しくなり過ぎないよう意図的に排除したのかもしれませんが囮捜査の苦悩など皆無に近く、二人に〝俺とお前でなきゃ〟というようなコンビの必然性もあまり感じられず男の世界観にドップリ浸ることが出来ないのです。ジェイミー・フォックスもクールな捜査官より冴えないタクシーの運転手の方がよっぽど格好良かったですよ。以前にもこんな事あったなぁと考えてみたら、それは「ラスト・オブ・モヒカン」を観た時で、二作品の共通項は言わずもがな男女の恋愛が主体にあることです。もちろん「ヒート」や「アリ」にもラブストーリーが描かれている訳であり女人禁制などと極端な物言いはしませんが、あくまで恋愛は二次的な要素であり、マンには〝闘う男の姿〟を〝美学〟を徹底的に追求し描いて欲しいのです。というわけでマン作品としては少々期待外れでした。[映画館(字幕)] 6点(2007-01-23 17:42:48)(良:1票)

398.  ドン・キホーテ(1933) 《ネタバレ》 ドン・キホーテの物語を読むと悲しくなる。誇大妄想にしても理想や夢の敗北に思えサンチョと共に涙してしまう。本作は短時間なので簡略化され構成も変えられているが、原作ではコミカルな焚書シーンをラストに持ってくることにより正気と死が表裏一体に描かれ極めて深刻な場面へと変容し、小説よりも脆弱なドン・キホーテの姿に一層悲しみが募る。当然、狂気の沙汰のドン・キホーテもしっかり描かれており、敵と見立てた袋を剣で突くシーンや羊を襲うシーンには恐怖感を覚える。有名な風車に突っ込むシーンも圧倒的なダイナミズムで描かれドン・キホーテの敗退を決定付け、真面目に信じきる彼の元気溢れる姿と最後の茫然自失の姿、さらには嘲笑する大衆との対比が騎士の世界が夢物語であることを明確にしている。どこまでも忠実なサンチョを演じる役者さんも優しさが伝わってきて素晴らしい。[DVD(字幕)] 8点(2007-01-19 17:44:53)

399.  フェイス 仁義溢れる男の世界がカッチョ良いじゃないですか。特に感心したのがR・カーライルの〝姿〟の良さ。元来ダメ男を演じて魅力を発揮するカーライルですが今作は彼の出演作の中でも(投稿時点の作品までで)最もクールに撮られています。本作の監督が以前観た同カーライル出演作の「ラビナス」(「司祭」も)と同じだった事に気付き彼に興味が湧いて調べてみたところナント〝彼〟ではなく〝彼女〟でした。そう言われてみればアントニ〝オ〟じゃなくて〝ア〟ですね。女性と判明すれば逆に納得の出来で、語弊を恐れず言葉悪く言いますと女子が描くマニアックな男の妄想世界です。マニアックだから見場の良し悪しとかそんなレベルではなく、ある種の男の本質をついた理想像と言いますか要所がおさえられていて物凄くカッコイイのです。最後に歩き回るカーライルの姿など哀愁が漂いまくっていてしびれます。男ながらに惚れます。よぉーし、私も黒のスーツで決めてやる~と思いましたが、ネクタイはずしたその姿は冠婚葬祭帰りさながらですし、何より胴長短足の完全無欠の日本人体型の私には似合わないのでやめときます(泣)。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-17 22:49:44)

400.  レッド・ドラゴン(2002) 《ネタバレ》 はたしてこの映画にレクター博士の必要性があったのか?レクター抜きでも十分に成り立つ話だと思う。そもそも前作より過去に戻るというのは商業的な打算を感じるが、実力派スター勢揃いなのでついつい濃い内容も期待してしまう。しかも導入部のホプキンスとノートンのやりとりが興味を引くだけに残念だ。というよりオープニングテロップ前に二人の対決が決着してしまうのはいささか寂しい。そして本筋はダラハイドを中心に進行するが彼のキャラクターは今や稀有なものではない。もちろん盲目の女性との恋愛風景はドキドキものであり見せ場となっているが、やはり主要三人のキャラクターのうち最も複雑な人格であると思われるグレアムの方が興味深い。前半こそレクターに近い頭脳の持ち主であるそのグレアムが、善人であるが故に自己防衛を計りそれに気付かぬふりをする場面が描かれるものの、ダラハイド登場後は彼の人物描写が希薄になり始め棚上げされてしまう。わざわざグレアムを体現するに相応しいノートンを起用したにもかかわらず彼の苦悩を放棄してしまったのは実に惜しい。 それでも全体的には別に面白くない訳ではなく普通のサスペンスとしては楽しめる。しかし最高級の食材を使ってこのように料理されて出されたらレクターは料理人の方を食べてしまうだろう。[映画館(字幕)] 6点(2007-01-12 18:27:18)(良:1票)

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