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プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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421.  ぼくとアールと彼女のさよなら 《ネタバレ》 クラスの片隅で決して目立たず、ただひたすらその日を平穏にやり過ごすことを目的に日々を送る冴えない男子高校生、グレッグ。唯一の友達アールとともに名作映画のパロディを創ることを趣味にしていた彼は、ある日、母親から衝撃的な話を聞かされる。幼馴染で学校の同級生でもある女の子、レイチェルがなんと白血病と診断されたというのだ。しかもかなり深刻な状態らしい。「そんなこと急に言われても知らないし、だいいち彼女とは友達じゃない!」――。そう反論するグレッグだったが、母親に強引に押し切られて彼女の家へとお見舞いに行くことに。「別に来てほしいなんて頼んでないし、同情なんてされたくない」――。彼の訪問を受けたレイチェルは、さも鬱陶しそうにそう言うのだった。そうして始まった二人の交流。義務と惰性だけの上辺だけの付き合い。でも、二人の間には次第に友情のようなものが芽生え始め、周りからは付き合ってると誤解されるように。グレッグは周りに流されるまま、アールとともになんとなく彼女のための映画を創り始めるのだが…。冴えないオタク青年が、白血病を患う幼馴染の少女との交流を通じて次第に成長してゆくさまをポップに描いた青春ドラマ。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、これがかなりの掘り出し物でした!末期の白血病を患う彼女と過ごす儚い青春の日々と言う、〝世界の中心でなんか叫ぶ〟的な感じのいわゆるベタな難病ものと言ってもいいのでしょうけど、見せ方がとにかく巧い!!映画オタクのこの主人公が絶えず、自らの行動に映画オタク的な自己ツッコミを入れるので、そこら辺の青臭い難病ものにならずに済んでるんです。「ここで普通の恋愛ものなら僕たちは良い感じになるんだろうけど、僕は主人公じゃないのでそうはならない」って何度も観客に言い訳するとこなんてナイスなヘタレ具合(笑)。主人公とアールが創り続けてる名作映画のパロディや何度も差し挟まれるクレイアニメもポップで馬鹿々々しくてセンス抜群!対するレイチェルも等身大の魅力が炸裂してて大変キュート。仕草や趣味の一つ一つがとにかく可愛くて、こりゃ誰でも恋に落ちますわ~。でも、そんな彼女も抗癌剤の影響で髪の毛が抜け、後半はどんどんと弱ってゆきます。「先に言っとくけど、彼女は死なずに回復するから」と観客を安心させといて、最後はまさかの展開。いやー、これにはやられちゃいました(だいぶズルいけどね笑)。久々に映画を観て泣いちゃいましたわ。観終わった今も、レイチェルの健気な笑顔が頭から離れそうにありません。壁紙に描かれたリスの落書きなんてもう思い出しただけで…。ユーモア溢れる展開で観客を楽しませておいて、締めるとこではきっちりおとす、なかなか完成度の高い青春ドラマの秀作でありました。お薦めです。[DVD(字幕)] 9点(2020-07-20 01:31:35)

422.  ハロウィン(2018) 《ネタバレ》 ハロウィンの夜に人知れずやって来ては人を殺しまくる猟奇殺人鬼〝ブギーマン〟の恐怖を描いたスプラッター・ホラー。B級映画界の巨匠ジョン・カーペンターが制作し、今やカルト的な作品として語られることが多い前作からなんと約40年ぶりに制作され、しかも主要キャストが前作と同じ役を演じていることでも話題となった本作、どんなもんじゃろと今回鑑賞してみました。ちなみに、僕自身はその前作は未見。率直な感想を述べさせてもらうと、まあなんと言うか、アカン映画でしたね、これ。何がアカンかって、まず主役が誰か分からないこと。前作ではヒロインだったジェイミー・リー・カーティスが今やお婆ちゃんとなって、彼女の娘やその孫まで登場するのですが、彼女たち三世代のいったい誰が軸となる主人公なのかが非常に曖昧なのです。なので、誰に感情移入して観ればいいのかさっぱり分からず、最後までなんとも盛り上がらないままダラダラと終わっちゃいました。続編のセオリー通りに作るなら、きっと孫娘がメインとなるはずなのに、完全にこのお婆ちゃんの方のキャラが立ち過ぎなんです。それならそれでこの〝ブギーマン〟が直接対決するのはこのお婆ちゃんであるべきなのに、こいつがなんか無関係の人間をひたすら殺しまくったうえに、何故か孫娘を執拗に追うという一貫性の無さ。要するに、登場人物の誰も彼もに核となる行動原理がない。これでは物語が盛り上がらなくて当然です。肝心の殺人シーンもどれもキレが悪く、センスと言うものが一切感じられません。残念ながら、なんとも退屈な時間を過ごしてしまいました。オリジナルもきっと観ることはないでしょうね。[DVD(字幕)] 3点(2020-07-19 01:13:04)

423.  バイス 《ネタバレ》 彼の名は、ディック・チェイニー。共和党ブッシュ政権下で副大統領を務めあげ、911同時多発テロを皮切りに始まったアメリカの対テロ戦争では主導的役割を果たし、いまだ賛否両論渦巻くイラク戦争開戦へと踏み切った男。彼はテロリストを撲滅した偉大な指導者なのか、それとも世界を大混乱へと陥れた稀代の悪徳政治家か。本作は、そんな毀誉褒貶の激しい政治家の半生を実話を基に描いた政治劇だ。特殊メイクや肉体改造を駆使し、実在の政治家をそっくりに演じた俳優陣には、クリスチャン・ベールやスティーブ・カレル、サム・ロックウェルと言った実力派の面々。監督は、難解な政治経済問題を分かりやすく描くことにかけては定評のあるアダム・マッケイ。個人的にこの監督の前作『マネー・ショート』が全く嵌まらなかったのであまり期待せずに今回鑑賞してみたのですが、意外にも今回はばっちり嵌まっちゃいました。僕がこの時代のアメリカの新保守主義、いわゆるネオ・コンと呼ばれる人たちに個人的にとても興味があったというのもあるんでしょうけど、この監督のシニカルな笑いを散りばめた演出が今回は非常に心地よかったです。例えば映画の中盤、政権交代が起こり、中枢から追われた彼らの「その後」をテロップで流した後、エンドロールが始まるという実話を基にした映画にありがちな演出を差し挟むとこ。なかなか皮肉が利いてて思わずニヤついちゃいました。うん、これで本当にドラマが終わったら何の問題もなかったんですけどね(笑)。その後、ブッシュ政権が始まり、911を経てからのイラク戦争へと雪崩れ込む展開は、余りにも無茶苦茶すぎてもはや笑うしかありません。でも、その陰には大量の戦死者やテロの犠牲者が居ると思うと背筋が寒くなりますね。監督はそんな彼をステレオタイプの悪徳政治家へと落とし込むことなく、あくまで家族思いの良きパパであり、どん底から這い上がった立身出世の鑑としても描いてゆく。結果はどうあれ、彼は非常に優秀な政治家であったことは揺らぎのない事実。民主主義の盲点を冷徹に見つめた、非常にフェアなスタンスだと思います。ここらへん、マイケル・ムーアとは全く違いますね。結論。なかなか見応えのある政治ドラマの良品でありました。7点![DVD(字幕)] 7点(2020-07-17 20:41:15)

424.  ふたりの女王 メアリーとエリザベス 《ネタバレ》 中世イギリスを舞台に、若くして君主となったイングランドとスコットランドの「ふたりの女王」の愛憎渦巻く確執を濃厚に描いた宮廷劇。今最も勢いのある若手女優、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー共演ということで今回鑑賞してみたのですが、この時代のイギリスの歴史に疎いせいか、正直に言って僕はさっぱり嵌まれませんでした。なんかストーリーの見せ方が稚拙過ぎやしませんか、これ。実際にあった史実を再現することに重きを置き過ぎたせいか、肝心のストーリーがものすごく分かりづらい!おまけにたくさん出てくる登場人物も誰が誰やら判別しにくく、しかも相関関係も複雑すぎてよく分かりません。おかげで最後までいまいち盛り上がりに欠けたまま、だらだらと終わっちゃいました。僕のようにこの時代の歴史に疎い人間にもちゃんと最低限分かるような演出を心掛けて欲しかったです。ただ、それぞれの女王を演じた若手女優二人は、さすがに華があってそこは大変見応えありました。特にイングランド女王エリザベス役を熱演したマーゴット・ロビー。内側に鉄の塊を隠し持っていそうな冷酷な女王を堂々と演じ切っていて、すこぶる良かったです!ハーレクインと言う尻軽女を怪演したかと思えば、この見事なまでの豹変ぶり。この人って実は凄い人なんじゃないかしら。彼女と、シアーシャ・ローナン演じる今やすっかり落ちぶれたスコットランド女王メアリーが初めての対面を果たすラストはなかなかの迫力。ただ、いかんせんそこまでの展開が悪すぎます。編集もところどころぶつ切りで繋がりが悪く感じることもしばしば。素材は良かっただけに、なんとも残念な作品でありました。[DVD(字幕)] 5点(2020-07-16 01:51:03)(良:1票)

425.  マスターズ・オブ・ホラー(2018) 《ネタバレ》 街の片隅に佇むその古ぼけた映画館では、夜な夜な誰も知らないような無名の作品が上映される。観客は常にたった一人。しかもどうしてこの映画館にやってきたのかすらぼんやりとして思い出せない。やがて独りぼっちの観客は驚きの真実を知ることになる。なんと映画の主人公は、自分自身だったのだ。今夜も血と恐怖にまみれた「悪夢の映画」の幕が上がる――。第一話『森の中の物体X』。広い森の中を逃げ惑う血だらけの若い女性。追ってくるのは溶接用の仮面を被り、ガスバーナーを手にした謎の男。森の中でボーイフレンドと再会した彼女は一軒の小さな山小屋の中へと逃げ込むのだが、そこで驚愕の真実を知ることに。監督はキューバの新鋭、アレハンドロ・フルゲス。ベタベタなスプラッター・ホラーと見せかけて、後半に驚異のどんでん返しを見せるアイデアはなかなかグッド。演出もキレがいいし、特にモンスター視点で画面を見せるとこは面白かった。ただ良くも悪くもチープすぎるのが難点か。6点。第二話『ミラリ』。優しい彼氏との結婚を控えた若い女性。だが、彼女には唯一の悩みの種が。顔の目立つところに大きな傷跡があるのだ。彼の両親に会う前に、彼女は言われるまま整形手術を受けることに。だが、手術室から帰ってきた彼女は自らの身体に加えられた〝改造〟に気づいてしまう。監督はハリウッドのベテラン、ジョー・ダンテ。ワンアイデアながら長年の経験が活かされた、小気味のいいショートショートに仕上がっていたんじゃないでしょうか。主人公以外の人間が皆怪しさ爆発なのがナイスですね~。ただ、肝心の改造された主人公の造形がもひとつでした。6点。第三話『マシット』。森の中に佇む古い教会。そこでは悪魔に取り憑かれた少女によって惨劇が繰り返されていた。修道女とともにそんな悪魔を撃退しようとする神父だったが。監督は唯一の日本人、北村龍平。同じ日本人として擁護したくもなりますが、どうにもこうにも出来の悪い作品でした。狙ってやってる悪ふざけ感が、どれもかなり寒いのが痛々しさマックス。4点。第四話『出口はこちら』。幼い二人の息子とともにカウンセリングへとやって来た若い母親。彼女は時間とともに周りの景色が醜く歪んでゆくという謎の幻覚に悩まされていたのだ。だが、予約していた精神科医はなかなかやってこない。そうしてる間にも周りはどんどんと汚れてゆく。監督はB級ホラーの俊英、デビッド・スレイド。全編白黒で撮られた映像がかなりセンスがあって凄く良かった!周りの景色がどんどんぐちょぐちょになってゆくのだけど、白黒と言うのがいい緩和剤になっててむしろスタイリッシュでさえありました。不穏なストーリーもぐいぐい惹き込ませる魅力が感じられて、短いながらも面白かった。7点。第五話『死』。暴漢に襲われ両親を殺された少年。自らも瀕死の重傷を負い、生死の淵を彷徨った彼は、目覚めてみると死者が見えるようになっていた。そこに両親を殺した殺人鬼が再び現れて。監督はミック・ギャリス。怖がらせ演出やお話はセオリー通りで好感が持てるものの、映像面がけっこうダサい。特に死の世界から呼びかける両親の映像は失笑レベル。5点。と、全体の平均点は5.6点なので、四捨五入してぎり6点ってとこですね。暇潰しで観る分にはまあいいんじゃないでしょうか。ちなみに、ストーリーテラーにあたる映写技師をミッキー・ロークが演じております。[DVD(字幕)] 6点(2020-07-13 15:07:14)

426.  靴職人と魔法のミシン 《ネタバレ》 彼の名は、マックス・シムキン。何処にでも居るような平凡な靴職人だ。代々受け継いできた街の小さな店舗で馴染みの常連客相手に、細々と営業を続けている。幼いころに家を出て行った父の代わりに、今やすっかり年老いた母親の面倒をずっと見続け、気がつくとけっこうな歳になっていた。今まで一度も結婚したことはなく、もちろん子供もいない。自分の人生にそれなりに満足しているはずだった。そんなある日、彼の愛用しているミシンが急に壊れてしまう。業者に依頼すると、修理に窺えるのは早くても明日の朝になるらしい。「そいつは困った。今日中に直さなけりゃいけない靴があるのに…」。仕方なくマックスは地下室に降りると、古ぼけたミシンを見つけてくる。父の代からあるその年代物のミシンは何とか使えそうだ。だが、彼は知らなかった。そのミシンには謎の力が宿っていて、直した靴を履くと持ち主とすっかり同じ外見になれることを――。ハンサムなプレイボーイ、黒人のチンピラ、移民の中国人、ガタイの良いおかま、さらには腐った死体まで、靴さえ手に入れば誰にでも変身できることに気付いたマックス。以来彼は平凡な日常を抜け出し、赤の他人へのなりすまし生活に嵌まり込んでゆく。そんな折、街の再開発に絡む地上げ屋の不正行為に巻き込まれて…。魔法の力を手に入れた平凡な靴職人が巻き起こすそんな騒動を飄々と描いたファンタジー・コメディ。と言う粗筋を聞いて、もっとディズニーっぽい感じの誰もが楽しめるファミリー的な内容かと思いきや、意外にもこれってブラックなネタ満載の毒気の効いたコメディだったのですね。けっこうな下ネタやグロネタが頻繁に出てきます。例えば、プレイボーイに扮した主人公が美女とシャワーを浴びようとするシーン。早く服を脱ごうと焦るものの、靴を履いたままズボンは脱げないことに気づいちゃうとこは思わず笑っちゃいました。そうかと思うと、今や認知症を患う母のために父が遺した靴を履いて三十年ぶりに夫婦水入らずのディナーを演出すると言う急に切ないエピソードを放り込んでくるのもいいセンスしてます。ただ残念だったのは、脚本の細部に「?」な部分が多いこと。特に主人公の隣人で、親友でもある床屋の存在。彼が非常に重要な秘密を隠していたことが終盤で明らかとなるのですが、肝心のその内容が容易に読める上にいまいち腑に落ちない。今まで主人公にこのことを秘密にしていた理由に全く説得力が感じられないんです。ここらへん、もっと工夫してほしかった。とはいえ、このノスタルジックな雰囲気(孤独な靴職人を演じたアダム・サンドラーがまさに嵌まり役!)も良かったし、ぼちぼち面白かったと思います。[DVD(字幕)] 6点(2020-07-12 00:33:32)

427.  セレニティー  平穏の海 《ネタバレ》 その島の名は、プリマス。一年中熱い太陽の光が降り注ぐこの島で、観光客相手に小さなヨットで海釣りサービスをしているディルはその日、久しぶりに奴と再会する。もう何年も前から追い求めている巨大なマグロが再び、海の底からその姿を現したのだ。釣竿を手にぎりぎりまで奴を追い詰めるディル。だが、今回も奴はヨットに引き上げる寸前に逃げ、またしても海へと帰ってゆくのだった――。その次の日、ディルは陸の上で意外な人物と出会う。何年も前に別れたきりずっと音信不通だった元妻が、大金持ちの夫とともに島へとやって来たのだ。密かにディルの元を訪れた彼女は彼にある提案をする。今の旦那はどうしようもないクズ野郎で日々自分に暴力を振るうばかりか、ディルの実の息子にまでその手を挙げているらしい。「お願い、彼を海の上で事故に見せかけて殺してちょうだい」。一千万ドルの報酬と引き換えにそう依頼してくる元妻。それまで巨大マグロを釣り上げることだけを目標に生きてきた男は、新しい〝任務〟に心掻き乱されてゆくのだった……。大海原に浮かぶ風光明媚な小さな島を舞台に、元妻の依頼でそんな犯罪へと手を染めようとする男の葛藤を描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、マシュー・マコノヒーとアン・ハサウェイと言う人気コンビ。誰も目撃者がいない大海原の船の上で大富豪を殺そうと悪戦苦闘するという現代版『太陽がいっぱい』みたいな内容だと思わせといて、中盤から謎の釣り具セールスマンを登場させたり、引きこもりの天才数学少年が意外な形で物語に関わったりと謎の展開を見せはじめ、終盤で驚愕のどんでん返しを見せるそんな本作。とにかくこの衝撃のオチに尽きると思います。ネット上でも軽い失笑とともに酷評されるこのオチなんですが、さすがに僕もあかんと思いますわ~。いやいや夢オチ以上の反則でしょ、これ。だって主人公はじめ島の住民が全員、〝あれ〟なんですもん(笑)。例えるなら、「自分が毎週日曜の夜にやってるアニメのキャラだって気づいちゃったサザエさん」みたいな感じ?うん、やっぱり反則(笑)。まあ監督の本職が脚本家ということもあってか、お話の見せ方自体は流れも良くて最後まで普通に観ていられたんで、そこらへんは良かったんですけどね。要はこの陳腐なオチを普通ならすぐボツにするだろうに、何故か大真面目に脚本にしちゃったところでしょう。監督、どうしてこれを真剣に映画化しようと思ったのかしら?試しに人に読ませたら思いっきりバカにされて思わず意固地になっちゃったとか?まあいろいろと謎な映画でありました。[インターネット(字幕)] 4点(2020-07-06 14:12:06)

428.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 最先端の医療技術「DCミニ」を使い、患者の夢の中に入り込んで治療を行うサイコセラピスト、パプリカ。ところがある日、その「DCミニ」が何者かによって奪われてしまう。そしてその日から、パプリカを取り巻く現実が歪み始めるのだった。彼女の顧客である刑事、天才科学者の同僚、彼女が所属する精神治療研究所の所長……、彼らの夢の世界がパプリカの現実へとどんどんと侵食し始め――。果たして「DCミニ」を奪ったのは誰なのか?人が見る夢をモチーフに、現実と空想との境界を行き来するサイコセラピストを描いたシュルレアリスムなアニメーション。僕のこよなく愛するクリストファー・ノーランの傑作『インセプション』に少なからぬ影響を与えたというのを聞いて今回鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと、僕は全く合わなかったですね、これ。エキセントリックな世界観や想像力の極北を行く驚異の映像技術などは確かに凄いとは思うんですけど、肝心のストーリーの方がさっぱり嵌まれませんでした。すんごく独り善がりで観客に対して不親切すぎじゃないですか、これ。「分かる人にだけ分かってもらえればいいんだよ」みたいな唯我独尊ぶりに、見れば見るほど僕の心は離れてゆくばかり。映像も随所にかなりグロテスクなシーンがあったのも観ていて気持ちのいいもんじゃないですし、だいたい今観るとちょっと古臭い感じがするのは僕だけ?そう思うとやはり『インセプション』って偉大だなぁなんて再確認しちゃいました。[インターネット(邦画)] 4点(2020-07-04 02:14:31)

429.  最後の追跡 《ネタバレ》 長びく不況の影響ですっかり活気を失ってしまったテキサスの田舎町。ある日、その地でちんけな連続銀行強盗が発生する。目出し帽を被った二人組の犯人は、地方銀行の小さな支店へ押し入ると束ねられていない紙幣のみを奪って逃走。そんな一見、無計画で荒々しい犯行を実行したのは、貧困に喘ぐ前科者の兄と家族を抱えた弟のハワード兄弟だった――。定年を間近に控えたテキサス・レンジャーの老捜査官マーカスは、すぐさま捜査に乗り出す。ネイティブ・アメリカンの相棒とともに地道な捜査を重ね、着実に犯人へと迫ってゆくマーカス。すると、一見無軌道にも見える彼らの犯行には、実は緻密に考え抜かれた計画が隠されていることに気付くのだった……。構造的な不況に喘ぐテキサスを舞台に、銀行強盗を繰り返す無法者兄弟と彼らを執念の捜査で追う老レンジャーの追跡劇を緊迫感溢れる展開で魅せるクライム・アクション。主演にはハリウッドのベテラン俳優ジェフ・ブリッジスと人気若手俳優クリス・パインやベン・フォスター。脚本は、『ボーダーライン』や『ウィンド・リバー』と言った社会性の強い犯罪劇で幾つもの賞に輝くテイラー・シェリダン。いかにも彼らしい考え抜かれた脚本の力が光るクライム・ドラマの逸品に仕上がっていましたね、これ。最初こそ、行き当たりばったりで犯行を重ね、金を得るとカジノへと走るというこの兄弟の破天荒ぶりを強調しておきながら、次第に彼らの緻密な計画が明らかとなる。それは、サブプライム・ローンで土地を奪われた貧困層の声にならない魂の叫び。相変わらずこの人は、経済発展から取り残されたアメリカの地方都市に生きる人々の怒りをその脚本執筆の原動力にしてますね。道端に幾つも掲げられた銀行の融資の看板と、そのそばの「イラクに三度も行ったのに見返りナシ!」と言う落書きが極めて象徴的。クライム・サスペンスとして一級の完成度を誇りながら、社会問題へもちゃんと深い洞察を見せるという高度な技を見事にやってのけている。主演のこの三人だけでなく、ちょい役で登場する食堂のウェイトレスやカジノの娼婦など誰も彼も血の通った人間として描き分けることにも成功しています。良い映画って、こういう細かいところにまで手を抜かない姿勢がやはり大事なんだと改めて思わされました。最後、追い詰められた兄弟がそれぞれ辿ることになる哀しい運命。兄は血を分けた唯一の兄弟のため、弟は愛する家族のため、それぞれの方法でただこの貧困の連鎖を断ち切ろうとしただけなのに…。いやはや、なんとも切なく深い余韻を残してくれました。アカデミー賞ノミネートも納得の非常に完成度の高い社会派サスペンスの秀作と言っていいでしょう。[インターネット(字幕)] 8点(2020-07-02 21:10:21)

430.  嵐の中で 《ネタバレ》 何十年かに一度の周期でやって来る、正体不明の大規模な磁気嵐。その中では時空が交錯し、ごく稀に過去と未来が繋がってしまうのだった――。心優しい夫と可愛い盛りの一人娘とともに幸せな日々を過ごしていたベラは、嵐の夜、小さなビデオカメラを通じて25年前に生きる少年ニコと繋がる。だが、ベラは知っていた。彼はその日、たまたま妻を殺害した隣人の犯行現場を目撃したせいで帰らぬ人になることを。「ねえ、ニコ!何があろうと隣の家に行っては駄目!」。思わず、カメラの向こうに居る少年にそう強く訴えかけるベラ。おかげで、彼はその日を無事に生き延びられるのだった――。ところがその日から、ベラの平凡な日常は激変する。自分は夫と結婚しておらず、しかも出会ってすらいないことになっていたのだ。当然、愛する娘もまた、この世に存在しないことになっていた…。果たしてベラの身に何が起こったのか?彼女のおかげで生き延びた少年は今、何処で何をしているのか?そして、ベラは無事に愛する娘と再会することは出来るのか?激しい嵐の中で、本当は死ぬはずだった少年を救ってしまったことから不条理な世界へと迷い込む母親を描いたSFサスペンス。という設定を聞いてまず真っ先に思い浮かべるのは、一時期大流行りしたタイム・パラドックスもの。いわゆる『オーロラの彼方へ』や『バタフライ・エフェクト』系の、過去を変えたら現代の自分の生活が大変なことになっちゃった!ってやつです。本作の主人公である専業主婦はなんと、夫との結婚生活を失い、あろうことか娘まで誕生していないことになってしまいます。ふとしたきっかけで何もかも失うという、この絶望的な感じはなかなかよく表せていたんじゃないでしょうか。何を訴えても精神病扱いされ、次第に孤立無援となる主人公の描写も不条理で大変グッド。それに嵐の中で死んだ少年と会話するシーンもけっこうホラーテイストで、ぞくっとする怖さがありました。ただ、こういう設定勝負の映画って、どうしたって矛盾や突っ込みどころが完全には消えないものなのですが、本作もご多分に漏れず、肝心のことの真相はかなり無理がありまくりです。特に主人公を何かと助けてくれる心優しい刑事。こいつの存在がどう考えてもおかしい。彼の行動がどれもこれもあり得ないものばかりで、説得力が微塵もありません。真相が分かってから改めて見返してみても、「あぁなるほど!そういうことだったのか」と言うカタルシスより、「いやいや、ここらへん絶対無理くりですやん!」と思わず突っ込んじゃう気持ちの方が強いという、ね。全体を覆う不穏でミステリアスな世界観はけっこう作り込まれていただけに、肝心の脚本がなんとも残念な作品でありました。[インターネット(字幕)] 5点(2020-07-01 00:31:15)

431.  ウォー・マシーン:戦争は話術だ! 《ネタバレ》 2009年、対テロから始まったはずの戦争がいつしか目的を見失い、もはや泥沼化していたアフガニスタン。事態を打開するためにアメリカ政府が送り込んだのは、イラクでの極秘作戦を成功させたグレン・マクマーン陸軍大将だった。絶対的な自信と正義感に溢れる彼は、自らを信奉する部下たちとともに戦争を早期に終結させるためにあらゆる手を尽くすのだが……。実話を基に、アメリカの対テロ戦争の内幕を皮肉たっぷりに描いた政治ドラマ。正義感に燃え、必要とあれば本国政府との対立も辞さない男気溢れる陸軍大将を演じるのは人気俳優ブラッド・ピット、他に一癖も二癖もあるアフガニスタンのカルザイ大統領を名優ベン・キングズレーが怪演しております。ともすれば地味で退屈なお話になりそうな題材なのに、全編に渡ってシニカルな笑いを散りばめたことで最後までなかなか興味深く観ることが出来ました。テロ撲滅から始まった正義の戦争なのに、いつしかそれは文明の対立へと変貌を遂げ、いつまで経っても出口が見えない泥沼へと引きずり込まれたアメリカの実情を巧く突いている。特に、正義感から出発したはずの主人公の陸軍大将がいつしか、女性ジャーナリストの素朴な正論にうまく反論できなくなるシーンは象徴的。終始軽いノリで描きながら、けっこう深いテーマをも扱った作品に仕上がっていたんじゃないでしょうか。欲を言えば、もう少しブラックな笑いがあっても良かったんじゃないかな。コメディとしてはちょっと突き抜け方が足りない気がしなくもない。とはいえ、実際に戦場で戦う兵士と体面ばかり気にする政府、そのはざまで振り回される指揮官のジレンマをスラップスティックに描くことに成功している。うん、なかなか面白かった。7点![インターネット(字幕)] 7点(2020-07-01 00:18:13)

432.  ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから 《ネタバレ》 幼いころ、父とともに移民としてアメリカへやって来た17歳の女子高生、エリー・チュウ。貧しいながらも明晰な頭脳を持つ彼女は、クラスメイトの課題や宿題を代筆することで苦しい生活費の足しにしていた。そんなある日、エリーはアメフト部に所属する同級生のポールからある依頼を受ける。なんと彼が恋焦がれている女の子へのラブレターを代筆してほしいと言うのだ。「バカじゃないの!思いを伝えたいなら自分で書くべきよ」――。そう断ったエリーだったが、今月の生活費がピンチだということもあり、渋々引き受けることに。相手のことを調べ、彼女の気を惹くような手紙を書き上げたエリー。すぐにフラれると思っていたエリーだったが、思いがけず相手から返信が届くのだった。こうなったらとことんやってやる。ポールのふりをして何度も彼女とやり取りを重ねる中、エリーは自らの隠された思いに気付いてゆく……。お堅い地味系女子が、ろくに喋ったこともない女の子と恋文を交わすことで本当の自分を受け入れてゆく姿を瑞々しく描いた青春ラブストーリー。SNS全盛のこの現代に、まさかこんな古風な設定のラブストーリーが制作されるとは!でも、これが逆に新鮮でしかも意外に違和感なく最後まで観てられましたね。主人公が相手を代筆で落とすために手紙一辺倒ではなく、ちゃんとスマホやSNSも駆使しているところがミソ。この古風と最先端の使い分けが非常に絶妙で、しかもこの監督のポップな映像センスとも相俟ってなかなかキュートなお話になってたんじゃないでしょうか。例えば、ポールと相手の女の子が何とかデートへとこぎ着けるシーン。緊張していつまでも打ち解けられない二人を見かねた主人公が、お互いとそれぞれのスマホで連絡を取り合うなんて、ネタ自体はありがちなのに見せ方がすんごく新しい。ここらへん、監督のセンスが炸裂しています。そして、普通のベタな恋愛ものなら、この恋を成就させるために頑張っていた主人公と男の子がそのうち両想いになっちゃうみたいな展開になるんだろうけど、本作は違います。「え、まさかのそっち?」という意外な展開を見せるのも現代的で大変グッド。ラストが幾分か腰砕けちゃったところがいささか残念だったけど、アナログとデジタルを使い分けるこの監督のセンスの良さは充分堪能できました。あと、これは余談なんですけど、この作品を配信しているネットフリックスさん。その作品紹介で本作を「LGBTQ映画」と書くのは違うんちゃいまっか。それって、完全にネタバレですからーー(怒)。[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-30 23:34:30)(良:1票)

433.  スペンサー・コンフィデンシャル 《ネタバレ》 彼の名は、スペンサー。どんな些細なことでも曲がったことが許せない熱い男だ。警察官として日々犯罪と向き合ってきた彼だったが、五年前、ある事件を起こし自らも犯罪者となって刑務所へとぶち込まれてしまう。妻に暴力を振るっていた上司に暴行し大怪我をさせてしまったのだ。当然警察も辞め、何もかも失ったスペンサー。五年後、無事に刑期を務めあげた彼は、久しぶりにボストンの街へと帰ってくる。大型トラックの免許でも取って何処か誰も知らない街で新たに人生をやり直そうとした矢先、スペンサーはあるニュースを耳にする。なんと件の元上司が、彼が出所した日に暴行を受け死体となって発見されたらしい。当然容疑を疑われたスペンサーだったが、次の日、事件は急展開を見せる。元上司の相棒が車の中で自殺死体となって発見され、しかも彼の自宅から大量の麻薬が見つかったのだ。「この事件にはきっと何か裏がある!」――。そう直感したスペンサーは、独自に調査に乗り出すことに。格闘家志望のルームメイトや自由奔放な元恋人の助けを受け、事件の真相に迫ってゆくスペンサー。すると、彼は五年前の自らの事件との意外な繋がりを発見するのだった……。熱血元警察官スペンサーがとある殺人事件の裏に隠された真実を追って孤軍奮闘する姿を描いたコメディタッチのミステリー・アクション。毎度おなじみ、ピーター・バーグ監督&マーク・ウォールバーグ主演コンビで送るそんな本作、まあ終始気軽に楽しめるエンタメ映画としてはぼちぼちよく出来ていたんじゃないでしょうか。とにかくこのスペンサーと言う主人公が魅力的で大変グッド。熱血漢ではあるものの、そこまで暑苦しさを感じさせない飄々としたキャラがM・ウォールバーグにばっちり嵌まっておりました。それに彼の元恋人である、胸元ざっくり空いたビッチヒロインもナイスな仕事ぶり!彼女とスペンサーがトイレでの久しぶりのエッチに思わずエキサイトしちゃうシーンなんて、バカバカし過ぎて思わず笑っちゃいましたわ。ただ、肝心のミステリーがけっこう大味だったのが本作の残念なところ。もう少し丁寧な演出を心掛けてくれたらなお良かったと思うんですけど、この監督にそれを求めるのは野暮と言うもんかな。まぁ、最後までお気軽に観られるエンタメ作品としては充分及第点だったんじゃないでしょうか。[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-27 23:42:25)

434.  ザ・ディスカバリー 《ネタバレ》 近未来、ある一人の老科学者が発表した報告が世界に衝撃を与える。なんと、死後の世界の存在が科学的に証明されたというのだ。そのハーバー博士の報告によると、人間が死ぬと人の意識はまだ何処かは分からないが何らかの別世界へと移行するらしい。だが、彼の報告は、世界に新たなる危機をもたらすのだった――。人生に幻滅した人々が次々と自ら死を選ぶようになり、僅か数年で世界中の自殺者が400万人を突破してしまったのだ。世界中から殺到する非難の声を避けるように、人知れず行方をくらませるハーバー博士。小さな島の打ち捨てられた館を買い取った博士は、そこに多数の信奉者を集め、小さなカルト集団のようなものを結成する。信者たちの前で、生きる意味を語り続ける博士。そこに博士の息子である脳神経外科医と自殺願望を持つ若い女が新たにやってきて……。死後の世界が科学的に証明された未来社会、大量の自殺者が続発する中で生きる意味を問い続ける人々の葛藤を描いたSFスリラー。その特異な設定だけ聞いて、アイデア一発勝負のB級SFだと思って今回鑑賞してみました。いわゆる『フラットライナーズ』の大風呂敷版みたいな。ところが意外にもこれって、かなりスピリチュアル寄りのヒューマン・ドラマだったのですね。冒頭からひたすら続く、「死後の世界は本当にあるのか?」「人は何のために生きるのか?」と言う新興宗教の勧誘ビデオみたいな内容に、僕は終始あくびが止まりませんでした。登場人物たちも、やたらうじうじ悩んで自殺したがってる人たちばかりでもう暗いったらありゃしない!物語は結局、この博士たちが死後の世界がどんなものなのかを映像に収めようとするところがメインになるのですが、その死後の世界の映像も暗くて見辛いしセンスなんて欠片もありません。何ですか、あの脳波を測る機械のダサいフォルムは。最後の衝撃のオチだけは技ありでけっこう良かったのですが、いかんせんそこまでの流れが悪すぎます。それにこのオチなら、もっと観客の不安感を煽る巧い見せ方が出来たはず。アイデアは良かったのだろうけど、監督のセンスと実力が致命的なまでに不足しているせいで何とも残念な仕上がりになっちゃってます。名優ロバート・レッドフォードと人気若手女優ルーニー・マーラの豪華共演に+1点![インターネット(字幕)] 3点(2020-06-26 23:31:17)

435.  ザ・サイレンス 闇のハンター 《ネタバレ》 それはある日突然、ペンシルバニアの地下洞窟から始まった――。いまだ人類が踏み入ったことのない地下世界を発見した探検隊は、暗い闇の中で〝それ〟と遭遇する。何百年もの間、太陽の光すら届かない暗黒世界で密かに蠢いていたその大量の生物は一気に洞窟を飛び出すと、瞬く間に世界を席巻してゆく。獰猛な性格と類稀なる狩人としての性質を併せもつその闇の生き物はベスプと名付けられる。長年の地下生活から視力を持たず、ただ高度に発達した聴力のみを頼りに、ただただ人類を殺戮してゆくベスプたち。彼らによって世界は破滅の危機へと陥ってしまうのだった――。家族と共にそれまで平和な世界に生きていた耳の不自由な女子高生アリーもまた、そんな世界的な災厄に巻き込まれることに。ちょっとした音を立てただけで呆気なく命を落としてゆく隣人たち。だが、手話という武器を頼りに、アリーたち一家は何とか逃げ延びることに成功する。ただひたすら音を立てずに危機を脱しようとするアリーたち一家だったが……。わずかな音を立てただけで瞬く間に襲い掛かってくる怪物に支配された世界を舞台に、決死の覚悟でサバイブするある家族を描いたモンスター・パニック・スリラー。という設定を聞いて、まず多くの人が頭に思い浮かべるのは、数年前にスマッシュヒットを飛ばした同じような設定のモンスター映画『クワ〇エット・プ〇イス』でしょう。音を立てたら襲ってくるというのも、主人公が耳の聞こえない少女と言うのも、家族が全編手話でコミュニケーションを取るというのも完全に丸被りです。いったいどちらが先なのかは分かりませんが、これは訴訟問題に発展してもおかしくないレベルでは?とはいえ、どちらも脚本に突っ込みどころ満載と言う点はおんなじなのですが(笑)。両作に共通するのは、やはりこの程度の原始的な生き物に果たして人類がここまで追い詰められるのかと言うところ。取り敢えずでっかい音を立てる機械を用意して、それで怪物を集めて爆弾なり火炎放射器なりで一網打尽にすればえーやんって言う、ね。あと、こういう設定勝負の出オチ映画って、その後、いかにうまくお話を引き延ばせるかにかかってくると思うのですが、本作はそこらへんがイマイチだと感じました。とにかくこの音を立ててはいけないという設定を巧く活かしきれていません。後半、急に謎の狂信的なカルト集団が出てきて、何故かこいつらとの攻防にシフトするというのもおかしい。肝心の怪物がいつの間にか添え物程度に押しやられちゃって、なんとも盛り上がりに欠けるまま最後までいっちゃいました。やはり最後は、主人公たち家族がこの怪物と戦って何らかの勝利を収めてもらわないとカタルシスを得られませんて!うーん、いろいろと残念な作品でありました。[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-25 02:09:47)

436.  マッドタウン 《ネタバレ》 地球温暖化の影響で砂漠化が進み、極度なまでに荒廃した未来社会。政府の力は限りなく弱体化し、砂漠はもはや無法地帯と化していた。そこは人間を狩ってその肉を喰らう食人集団や、麻薬に溺れる無法者どもが住まう狂気の地。犯罪者や社会不適合者と政府から判断された者は、〝バッド・バッチ〟と呼ばれ、そんな砂漠地帯へと追放されるのだった――。罪を犯し、街から追放された若い女性アーレンもまた、そんな何処までも続く荒れ果てた世界を前に途方に暮れていた。そんな彼女を、待ってましたとばかりに襲ってくる食人族集団。すぐに彼らに捕まったアーレンは、そのまま右手と右足を切断され、その日のディナーにされてしまう。残りの肉は明日のお楽しみとして、鎖で繋がれ監禁されるアーレン。「このまま、こいつらに喰われてたまるものか!」。隙を突いて何とか逃げ出した彼女はスケートボードに乗って、行く当てもなく砂塵の中を彷徨うことに。そんな彼女を救ってくれたのは、同じく砂漠で暮らす麻薬中毒者たちのコミュニティだった……。荒廃した未来社会を舞台に、片手片足を失いながらもたくましく生きる女性を描いたバイオレンス・アクション。ジェイソン・モモア(アクアマン!笑)やキアヌ・リーブスと言った新旧ハリウッド・スター共演ということで今回鑑賞してみました。まあやってることは完全に『マッド・マックス』の二番煎じなんですけど、冒頭から主人公が右手右足を鉈でぶった切られて食べられるというぶっ飛び展開に一気に惹き込まれました。食人族集団のボスを演じたジェイソン・モモアも、そのイカつい見た目とは裏腹に溺愛する一人娘の絵を描くことを唯一の楽しみにしてるというのもギャップあり過ぎで大変グッド。さらわれた娘の情報を得るために、謎の浮浪者に言われるまま、彼がそいつの絵を描くところも乾いたユーモアがあってけっこうクスリとさせられました。ただ、本作が面白かったのはここまで。そこからものの見事に失速しちゃいます。いやー、完全に出オチ映画でしたね、これ。全く中身がないうえに、さして面白くもないお話が最後までダラダラダラダラ。とにかくこの主人公がいったい何がしたいのか最後まで全く意味不明なので、全然盛り上がらないんですよ。キアヌ・リーブス演じる麻薬王の存在なんて、何のために出てきたのかさっぱり分かりません。挙句、最後はこの主人公が食人野郎と何故か良い感じになってハッピー・エンド。え、何それ?てか、あんたの右手右足をぶった切って食べたのはこいつですからーー!4点!![インターネット(字幕)] 4点(2020-06-25 01:18:43)

437.  月影の下で 《ネタバレ》 彼女は9年ごとにやって来る――。1988年、フィラデルフィア。その日、原因不明の謎の現象により何の関係もなさそうな3人の人間が命を落とす。被害者は皆、目や鼻から大量の血を流し、しかも脳が完全に溶けてしまっていた。彼らに共通するのは、首の後ろに付けられた三つの小さな傷跡。妊娠中の妻と暮らす刑事志望の警察官トーマスは、すぐさま現場へと向かう。容疑者として緊急手配されたのは、青いパーカーを着た黒人の若い女性。地下鉄の駅で犯人らしき人物を発見したトーマスは、激しい追跡劇の結果、逮捕寸前まで彼女を追い詰める。だが、彼女は「娘の誕生おめでとう。私はあなたを知っている」と言う謎の言葉を遺し、電車に撥ねられ即死してしまう――。1997年、無事に刑事となったトーマス。9年前の未解決事件など忘れ、不幸にも亡くなってしまった妻が遺してくれた9歳の一人娘とともに平凡ながらも充実した日々を過ごしていた。そんな折、信じられないようなことが起こる。なんと9年前と同じ手口の殺人がまた実行されたのだ。あろうことか、9年前に死んだ青いパーカーの女が以前とそっくり同じ姿で彼の前に現れるのだった…。果たして彼女の正体とは?9年ごとに現れる謎の女を巡って、何十年もの長きにわたって人生を翻弄されるある一人の男を描いたSFサスペンス。冒頭からかなりミステリアスな展開を見せるそんな本作、これがなかなかスタイリッシュなタイムワープSFの佳品に仕上がっておりました。主人公と謎の女が最初に出会った時、彼女は主人公が知りえない情報を告げ、命を落とします。その9年後にまたその謎の女が現れた時、その情報の謎がここで判明するのです。そう、彼女は未来から未知の目的を果たすために、9年ごとに過去へと遡っていることがここで明らかとなるのです。そして、2006年。すっかり身を持ち崩し警察も辞めてしまったトーマスはやはり彼女と再会します。お互いの未来に何が起こるのかを分かっている(でもその内容はお互い知らない)二人の息詰まるような駆け引き、これはなかなか見事なアイデアだと言っていいんじゃないでしょうか。例えるなら、クリストファー・ノーランと『12モンキーズ』の絶妙な融合。僕は最後まで興味深く観ることが出来ました。そして迎える2015年、すっかり落ちぶれ今やホームレスとなった主人公が辿り着く衝撃の真相。残念だったのは、この肝心の真相がいまいち腑に落ちなかったことですね。まあ分かるんですけど、もう少し納得できる説得力と言うものが欲しかった。それでもこのアイデアが秀逸であることは確かだし、それを最大限活用した演出も最後までキレが良くて大変グッド。なかなか見応えのあるタイム・パラドックス・ミステリーの秀作でありました。[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-22 00:31:29)

438.  アトランティックス 《ネタバレ》 古い因習がまだ色濃く残るアフリカのとある小さな国。貧しい家庭に育つ年頃の女の子エイダには、すでに親が決めた男との婚約が決まっていた。一夫多妻制が存続するこの国で、地元の有力者の長男の最初の妻となることを認められたエイダ。彼女には裕福で満ち足りた未来が待っているはずだった。だが、エイダには密かに心惹かれる幼馴染の青年がいた。地元の工事現場で働く貧しい肉体労働者の彼と、夜な夜な家を抜け出し、何度も密会を重ねるエイダ。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。彼がイタリアへの出稼ぎのために乗っていた船が転覆し、行方不明となってしまったのだ――。深い哀しみに沈み込むエイダは、彼の消息を求めて街をあてどなく彷徨い歩くことに。それでも着実に近づいてくる夫との婚礼の日取り。そんな折、行方不明のはずの彼の存在が何故かエイダの回りに感じられるようになって……。保守的なイスラム社会で真実の愛を求めて彷徨う若き女性を幻想的に描いたピュア・ラブストーリー。カンヌでグランプリを取ったということで今回鑑賞してみたのですが、正直、僕にはさっぱりこの良さが分かりませんでした。海で死んだと思しき主人公の彼氏が何故か霊体となって彼女を見守るという本作のお話、いかんせんこの展開が独り善がりすぎです。こういう幻想的なお話こそ細かい設定をしっかり詰めないと観客を巧くこの異世界へと誘えないものです。なのに本作では、その大事な部分がことごとくスルーされているので、全体的に物凄くふわふわしててなんとも締まりの悪い作品となってしまってます。アフリカのイスラム世界と言う特異な舞台設定を取り除いたら、後にはさして目新しくもないイマイチ出来の悪いファンタジーしか残らないのでは。映像も頑張ってセンスある感じで撮ろうとしているんだろうけど、残念ながらそこまで心に残るようなシーンはありませんでした。正直、どうしてこれがカンヌでグランプリを取れたのでしょう。この年のカンヌは不作だったんだと信じておきます。[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-18 17:33:04)

439.  オペレーション・フィナーレ 《ネタバレ》 1960年5月11日、その日は多くのユダヤ人にとって忘れられない歓喜の日となった。ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺、その最高責任者として何百万ものユダヤの民を死に追いやった戦犯、アイヒマンが潜伏先のアルゼンチンで拘束されたのだ。事前に情報を入手したイスラエルの諜報機関モサドにより、自宅近くのバス停で拘束された彼は、そのままイスラエルへと密かに移送される。本作は、そんな〝オペレーション・フィナーレ〟と呼ばれた極秘作戦を実話を基に描いた社会派サスペンスだ。姉をナチスによって殺され、戦後はナチ戦犯を追い詰めることに執念を燃やしたイスラエル工作員を演じるのはオスカー・アイザック。そしてヒトラーやゲッペルスと並び世紀の極悪人として名高いアイヒマンを演じるのは、なんと名優ベン・キングズレー。この二人の重厚な演技合戦はなかなかのもので、彼らのお互いの信念に基づいた息詰まるような駆け引きは見応え充分。特に大量のユダヤ人を殺戮しておきながら、自らの家族に対しては深い愛情を示すというアイヒマンの複雑な人物像をリアルに演じたB・キングズレーはさすがの貫禄でした。ただ肝心のお話の方は、確かに頑張ってるのは分かるんですけど、なんだろう、この全体に漂うもうひとつ感は。サスペンス映画のセオリーにかなり忠実に作られてはいるのですが、最後までいまいち緊迫感が盛り上がらないんですよね、残念ながら。それは、これが実話を基にしていて最後は作戦が確実に成功することが分かっているからなのかと言うと、同じく実話を基にしたアカデミー賞受賞の名作『アルゴ』が最後は全員助かることが分かっているのにあれだけサスペンスフルだったことを思うと、やはり違うのかな、と。うーん、明確にここが駄目というのは特にないんですけど、こればっかりはもう理屈じゃないんでしょうね。実話の重みに引っ張られて最後まで興味深く観ることは出来ましたが、そこまで心に残るものはなかったです。同じくアイヒマンを扱った映画としては、『ハンナ・アーレント』と言う秀作があるので興味を持たれた方はそちらも併せて鑑賞することをお勧めいたします。[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-16 00:14:58)

440.  最高に素晴らしいこと 《ネタバレ》 今年で高校を卒業するティーンエイジャー、バイオレットはその日、哀しみに沈んでいた。何故なら、唯一の理解者で子供のころからの大の親友でもあった姉が本当なら19歳の誕生日を迎える日だったから。そう、大好きだった姉は、自らも乗り合わせていた車で事故を起こし、帰らぬ人になっていたのだ。気付いたら、姉が死んだ場所の近くにある橋の上に立っていたバイオレット。あと一歩踏み出せば、全てを終わらせることが出来る――。そんな彼女を救ってくれたのは、たまたま近くをランニングしていたクラスメートの男の子、フィンチだった。変わり者として有名で、いろいろと噂の絶えない問題児でもある彼。でもその日から、バイオレットはなんとなく彼のことが気になるように。そんな折、授業の一環で地元の名所を二ヶ所以上辿り、二人一組でレポートを作成するという課題が出される。「僕と一緒に色んな所に行ってみないか?」。フィンチからのそんな提案に、最初は戸惑いながらもバイオレットは少しずつ受け入れてゆくのだった。美しい大自然の中で、次第に惹かれ合ってゆく二人。だが、フィンチもまた、誰にも言えない秘密を心に抱えていて……。交通事故によって姉を失い失意の中に生きていたティーンエイジャーが、ある一人の男の子との交流を通じて次第に再生してゆく姿を瑞々しく描いた青春ドラマ。率直な感想を述べさせてもらうと、まさに「ザ・王道」。よく言えば、最初から最後まで心地良く観ていられる安定の青春ラブ・ストーリー、悪く言えば、終始既視感満載のよくある感動もの。とはいえアメリカ郊外の豊かな自然の映像やセンス溢れる音楽などはなかなか美しく、主演を務めたエル・ファニングちゃんの魅力とも相俟って最後まで普通に観ていられました。まあさすがに、彼女の過去に主演した幾多の青春ものの二番煎じ感は否めないですけど。もう少しこの作品ならではと言った印象的な部分があっても良かったのでは。そう考えると、やはりソフィア・コッポラは偉大だなぁなんて思ってみたり。ただ、最後にこれだけは言っておきたい。ここでぶっちゃけてネタバレすると、彼女の彼氏となるフィンチ君は、物語の後半でなんと自ら死を選ぶのです。彼女の死を食い止めたはずの彼自身が自殺するという悲劇。きっと、作者は人が自ら死を選ぶということがどういうものか、そしてその行動が周りにどんな影響を及ぼすのかを描きたかったのだと思うのですが、いかんせんテーマへの掘り下げが浅すぎます。彼の自殺をあまりに軽く扱っていて、観る者の心に全く刺さらない。ノンフィクションならまだしも、それが作者の完全なる創作であるなら、人の死にはちゃんと意味を込めて欲しいと僕なんかは思うのです。監督にはもっと、この主題と真摯に向き合う覚悟が欲しかった。映像や音楽などにはなかなかセンスを感じただけに、惜しい。[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-15 00:01:46)(良:1票)

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