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441.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 岩井俊二は妄想系雰囲気映像を楽しむべし、という過去作の教えは十分に活かされました。ストーリー自体はなかなか酷い内容ですが、一つ一つの場面の美しさや即興的な楽しさはピカイチ。ただ、ちょっと趣味押し出し過ぎではないか、という場面もちらほら。(物語上は綾野剛さんに操られる)黒木華さんがなんというか、映画全体を通して監督の道具にされているようで、正直なところあまりいい気がしなかった。序盤の残念な黒木華、スーツケース2つで突然世の中に放り出される黒木華、メイド服でCoccoと絡む黒木華、そしてウェディング・ドレス姿、ラストの溌剌とした表情まで。さすがに3時間詰め込まれると、なんだかおかしな趣味に付き合わされているような気分になる。また、Coccoも彼女のパブリックイメージに頼りすぎじゃねーかというキャラ設定。もちろん、のびのびやることは大切ですが、そこにいるのは「真白」ではなく「Cocco」にしか見えない。とくに、歌声聞きたくなるのは当然だけど、やっぱり歌わせるべきじゃなかったように思う。綾野剛さんはうまいよね。いつもの綾野剛でした。というわけで、物語上の人物や心情よりも、黒木華とCoccoと綾野剛を見た、という3時間でした。ただ、その甘ったるいアンサンブルに肉弾で飛び込んできたりりイさんはすごかった。あの笑っていいのか泣いていいのかわからない酒宴のシーンは、本作の白眉でした。[インターネット(邦画)] 5点(2022-09-16 13:28:13)

442.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 ウルトラマンって怖いよね。っていうか、あらゆるヒーローは「異形の存在」であり、その不気味さを見事に映像化した序盤、とくに最初のウルトラマン登場シーンは秀逸でした。さっと延ばされた左腕・・・のへんな姿勢からのスペシウム光線の恐ろしさ。もうこれ見ただけで満足。ただ、そこからは徐々に失速。ザラブやメフィラスとの頭脳戦は面白いが、やっぱりラスト、ウルトラマンがなぜそこまでして地球を守ろうと思ったのか、何を何から「学んだのか」がまったくわからないので、カタルシスもない。美女を巨人化してる暇があったら、そっちをちゃんと描けよって、制作陣もわかっているとは思うし野暮だとも思うが、やっぱり思ってしまう。自分も幼少期に夢中になった1人なので「わかる」ことも多かったけれど、結局のところ、制作陣の「思い入れ」を観客がある意味読み取りながら見なきゃいけないのって、なんだかんだいって苦痛なんですよね。「さすが○○、わかってるー」っていうのにあふれてる現在、そろそろそういうの抜きで楽しめるカイジュー映画も見てみたいかなあ。[映画館(邦画)] 5点(2022-09-08 14:42:32)(良:4票)

443.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》 自分ではヴィルヌーヴ監督との相性はいいほうだと思います。代表作『ボーダーライン』『メッセージ』『ブレードランナー2049』はどれも複数回見て、見た年のベストテンにも入ってます。しかし、この作品はダメでした。ダメだった理由ははっきりしていて、一つは「終わらなかった」という点。公開直後から「終わらないらしい」という話は聞いていたのでわかっていたことではありますが、ヴィルヌーヴ監督作品って見てる最中は、退屈というか苦行に感じる部分もあるのですが、物語がきちんと「終わる」ことで、その苦行が昇華するというか、そういう作品がいいのです。『メッセージ』なんか、あのラストで大感動が押し寄せるわけで、それがなければやっぱり退屈な設定勝負のハードSFって感じだったわけで。今作、事件らしい事件も起きない、というか起きてるんだけどアンチクライマックスな作りと終始鳴りっぱなしのハンス・ジマーの音楽が、映画としての抑揚を失わせてしまい、その苦行にたえても最後にカタルシス不足。自分は『ロード・オブ・ザ・リング』は『旅の仲間』が一番好きで、冒険がはじまるぞという高揚感で終わってもぜんぜん楽しめるタイプの人間だと思ってましたが、たいして盛り上がりを見せることなく、ゼンデイヤのあの台詞で興ざめて終わってしまう本作では、さすがの私も頭にきてしまいました。二つ目のダメな理由は私の個人的なものなので点数には反映させていませんが、映画館で見られなかったことです。それなりの大画面テレビ+音響で見たとはいえ、暗い画面が多く、とくかくスローに画が展開する本作はやっぱり映画館で見るためのものでした。全編これは映画で見なきゃいけなかったとひたすら思いながら、2時間半以上を過ごしました。結局のところ、この作品は、「終わらない」とわかっていて、いつものカタルシスを味わえないのに、わざわざ映画館に見に行くのか、という壮大なジレンマを抱えてしまっているというわけです。次作を観に行くかどうか。二部作なら行ってみようかなと思うけど、三部作だったらもういいかな、という気分です。[インターネット(字幕)] 5点(2022-07-16 10:32:54)

444.  ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 《ネタバレ》 シカゴの歴史博物館にいったとき、フレッド・ハンプトン事件についての展示をみた記憶がある。FBIによる強制捜査で暗殺されたという経緯も今の感覚ではにわかには信じがたいけれど、50年前のアメリカで実際に起きた出来事。本作は、この事件をブラック・パンサー党のメンバーで「裏切り者」ビル・オニールの視点から描いたもの。社会運動の現場を臨場感たっぷりで描きつつ、潜入もののサスペンスも加味されることで、事件の背景に詳しくなくても話にはついていけると思う。ハンプトンのアジテーション演説も力強く、ダニエル・カルーヤはオスカー受賞に値する好演でした。ただ、このドラマとサスペンスにあふれた設定を映画としてどこまで昇華できたかは、少し疑問でもある。ビルとメンバーとの会話、FBIとの隠れたやりとりなどはどうも演出が平板で緊迫感に欠けている。その分、突然の逮捕劇、銃撃戦、FBIの襲撃シーンとの落差が大きくてショッキングにはなっているのだけれど、全体を通してみると、裏切り者の苦悩を描きたいのか、カリスマ的なリーダーとしてのハンプトンを描きたいのか、潜入もののサスペンスを描きたいのかはっきりしない印象になってしまっている。せっかくの題材ではあるけれど、脚本・演出の面では物足りなさが残念な一作となりました。[インターネット(字幕)] 5点(2022-05-01 19:11:15)

445.  あの頃。 《ネタバレ》 これは難しい題材だなあ。個人的に期待していたのは、ハロプロオタクたちの常識を突き抜けた「向こう側の世界」から浮かび上がる青春の普遍性、みたいなものだったのだけれど、結果的には「あの頃俺たちバカやってたよね」っていう比較的普通の青春映画におさまってしまった。登場人物たちのあまり褒められたことのない言動だったり、ちょっと理解に苦しむ友情のあり方、みたいなのはあったように思うのだけれど、突き抜け不足というか、いまひとつ「ハロプロでなければいけないもの」が見えなかったか。とくに、主人公たちが一時期の「祭り」状態から醒めていく過程にこそ、この物語の軸はあったように思うのだけれど(少しタイプは違うけど『花束みたいな恋をした』はそこをきちんと描いていたからこそエモーションにぐっと来たと思うのだ)、そこを主人公のナレーションでさらっと流してしまった時点で、「あ、これは自分が期待してたやつとは違ったらしい」と思ってしまい、一気に冷めてしまった。とはいえ、主人公を取り巻くオタク仲間たちのキャラはみんなすばらしい。実質的な主役の仲野大賀さんの芸達者ぶりはもちろん、ロビさんとナカウチさんの外見も含めた存在感とか、美青年なのにぜんぜんイケてない若葉竜也さんなど、みんな説得力があった。松坂桃李さんも「主演俳優」ながら見事な「受け」の演技で、「恋愛研究会。」のアンサンブルはとても楽しく、たしかにいつまでもこの人たちのやりとりを見ていたくなりました。そうだっただけに、もう少しオタク部分の「沼」をがっつり描き、その「祭りのあと」感を丁寧に描くことができれば、終盤の展開はもっともっと切なくなったのに・・・というのが残念でした。[インターネット(邦画)] 5点(2021-09-23 16:30:54)(良:1票)

446.  ヤクザと家族 The Family 《ネタバレ》 バイオレンスと人情のヤクザ映画な前半と、没落稼業の悲哀を描いた後半で2本の作品を見たような、ちょっとお得な感じ。綾野剛、市原隼人、磯村勇人のそれぞれのハマりっぷりもよい。とくに前半と後半で別人のような市原隼人の演技の巧さに久々に唸った。開始20数分後に登場するタイトルもワクワクした。ただ難点は、藤井道人監督の前作『新聞記者』と同様に、暴対法以降のヤクザというテーマ的な新しさの反面、人間関係の描き方、とくに男女関係の描写の妙な古くささ。『新聞記者』の松阪桃李夫妻の描き方もそうだったが、本作の綾野剛と尾野真千子のロマンスは最初から最後まで「いつの時代の話だ?」というクエスチョンマークが続く。ヤクザ映画の男女関係なんてそんなもん、なのかもしれないが、新しいヤクザ映画を模索した本作だったからこそ、尾野真千子のキャラは重要だったはずなのに、なぜか「純朴」で「努力家」で「待つ女」という、いつもの「ヤクザの脇で悲劇に耐える女」でしかなかった。肝心の親分との絆も、実はそこまできちんと描かれているわけではなく、そこは古今のヤクザ映画を思い浮かべて観衆の想像で補うしかない。ラストの娘と翼が会うシーンは「いい場面」風なのだが、本編を見た身としては「おいおい、また同じ間違いを繰り返すのか、この人たちは・・」という危惧のほうが先に立ってしまう。狙いは面白く、新しいアプローチを評価したいのだが、肝心の映画として台詞や演出の古くささが目立って微妙な印象というあたりも、『新聞記者』と同じだった。[インターネット(邦画)] 5点(2021-09-09 09:10:43)(良:1票)

447.  来る 《ネタバレ》 序盤〜中盤の不穏な「家族もの」の展開はベタながら、妻夫木君、黒木さんのハマりっぷりも見事で楽しく見た。とくに、子どもが生まれてからの展開は、「異物」としての子どもが持つ不気味さを見事に体現していたようにも思える。ただ、中島監督が「家族こそが最も不気味なもの」みたいな、ありがちなオチに満足するわけでもなく、最後はなぜかオカルト大戦争。これはこれで面白かったし、岡田准一君の貫禄とか、小松菜奈さんの成長とか、松たか子さんの格好良さとか、それぞれの魅力も十分に引き出してる。でも、全体にチグハグな印象が拭えないことと、物語全体をつなぐ怨霊が思ったより迫力不足だった。とくに、個人的に一番気になったのは、怨霊が何に「憑いている」のか不明な点。少年時代から今までの妻夫木君に憑いているように見えたけど、妻夫木君自身は中盤に退場しちゃうし、その後は「家族」なのか、それともあのマンションの「部屋」という場所に憑いてるのか、よくわからない。こうゆうハチャメチャな作品は、相手側の論理の一貫性があってこそ、面白さが増すと思うのだけれど、この作品は、主役が途中交代する三幕構成、怨霊側の攻撃方法、撃退する側の論理なども行き当たりばったりな上、もっとも大事な怨霊がなぜ怨霊として存在するかの論理もさっぱり。これでは残念ながら楽しめない。[インターネット(邦画)] 5点(2021-08-27 08:46:16)(良:1票)

448.  スーサイド・スクワッド 《ネタバレ》 数年前に配信で見ようとしたのだけれど、序盤30分くらいでなんか話がどうでもよくなって途中でやめてしまっていた。けど、ジェームズ・ガン版が見たいので、その予習としてやっぱり見ておこうということで再チャレンジ。今回は夏休み&外出自粛の時間つぶしだったこともあって、それなりに楽しめました。本作品の出世キャラのハーレイ・クインは、マーゴット・ロビーのはまり役。見てるだけで楽しいけど、ジョーカーとの共依存っぽい恋愛は正直ノイズで、もっともっと暴走してほしかった(次作で別れる設定は正しい。できたら本作の最後でぶっとばしてほしかった)。ウィル・スミスはウィル・スミス指数が高すぎてスター俳優を使ったマイナスが全面に出てしまっているし、レト版ジョーカーは、あまりに歴代ジョーカーが偉大過ぎて軽薄過ぎる(でもこっちが本当にジョーカーなのかも)。炎君はウェット過ぎてテンポ崩すし、アマンダが悪過ぎて悪役エンチャントレスが霞んでしまってるし、全体のテンポやバランスは本当に悪い。全然話が前進しないのに、突然エンチャントレスが逃げ出すくだりとか、話の展開についていけず、途中でどうでもよくなる。アクションも基本黒い塊をぶっとばすだけなので、単調だし。あと、音楽のベタ過ぎる使い方もマイナス。クイーンもストーンズもなんか中途半端に格好良くない。それでも、なんとなく楽しんでしまったのは、たぶん五輪やらコロナやらでどうにも暗くなるしかないニュースを忘れて、久々に「エンタメ大作」であれこれ壊したりぶっ放すキャラたちに少し爽快感を感じることができたからなのかもしれない。もう少し平時にみたら、たぶん最低にちかい評価になりそうだけど、だからこそ娯楽映画って大事だなと思ったりもした。[インターネット(字幕)] 5点(2021-08-19 10:00:08)(良:1票)

449.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 旧三部作から順番に見直して、番外編の『レガシー』はダメだったけど「本編」のこっちは大丈夫だろうと思ったけど、こっちもダメだった。監督もポール・グリーングラスに戻り、『レガシー』ほどは酷くはなかったものの、どこか見所を見誤った感じが続く。まず、父親をめぐる過去に関するミステリーだけれど、この手の謎はどうでもよかった・・というのが正直なところ。実はこれは旧三部作からそうで、『アイデンティティ』以外はこの手の過去話は物語を動かすための装置ではあっても、ここに物語的なオチやカタルシスは感じなかった。あとは作戦室のCIA対現場のエージェント対決という、このシリーズ定番の場面が続くけれど、ギリシャやラスベガスの仕掛けが豪華になっただけで、この点でのアップデート感は弱い。ボーンが見せるプロらしい機転や「え、そっちにいたの?」という観客の目も欺く仕掛けのアイデアこそが本シリーズの魅力だったのだと思うのに、その不足を物量と力業で補っているように見えたのも残念。とくに一番の目玉と思われるラスベガスの無茶なカーチェイスは、ワイスピやM:Iシリーズのようなバカっぽさもあり、スパイのプロフェッショナリズム路線だったはずの本作のアイデンティティ危機みたいなものを感じさせました。[インターネット(字幕)] 5点(2021-06-01 08:30:38)(良:2票)

450.  ミナリ 《ネタバレ》 思ったよりも手強い映画でした。移民の成功物語では定番の周囲からの差別の問題や世代間のギャップみたいな話は出て来ず、主人公はひたすら「大地」と戦い、妻は信仰と夫への不信のあいだで揺れ動き、息子とおばあちゃんが少しずつ心を通わせる。息子とおばあちゃんのパートはハートウォーミングで楽しいのだけれど、それ以外は妙にストイックで劇的とはいえない描写が積み重ねられ、最後にたどり着いたのは、積み上げてきたものが崩れることで、バラバラになりかけた家族がかろうじて形を取り戻した、という話。ある意味、あのラストからが本当の「移民物語」のスタートだったのかなとは思うけれど、多用される宗教的メタファーをはじめ、たいへんに知的なドラマであったのだろうと思います(が、自分には響く部分は少なかった・・・)。個人的には、ポール・トーマス・アンダーソンの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に近い手触りの映画。見るときの調子や気分にも左右されそうだけれど、万人にわかりやすい映画でないのは確か。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2021-05-04 08:28:51)

451.  ここは退屈迎えに来て 《ネタバレ》 原作未読。自分は地方出身で東京在住経験もあるので、橋本愛や村上淳あたりの立ち位置は妙によくわかる。なので、車中のサツキと「私」のやりとりは、いつ2人が正面衝突するのかとヒヤヒヤする緊張感があった。時間軸をいじり、登場人物も多いので、オムニバス的にそれぞれの「田舎と都会」や「人気者とフォロワー」の関係性が見えてきて、飽きさせない工夫もあった。そして、登場する若手俳優たちがいちいち上手い。いつもながらの変幻自在門脇麦、ノリの良さゆえに(皆に)軽んじられる柳ゆり菜、田舎社会の「元スター」成田稜のビフォア/アフター、そして実質的な主役といっていい渡辺大知あたりの演技に支えられている。とくにラスト近くの柳ゆり菜のアップのシーンにはこんな顔もできるのかと新鮮な驚きがありました。あえて言えば一番合ってなかったのは橋本愛だったかも。彼女もうまいのだが「東京からの出戻り感」がもう少し欲しかった。一方の演出面では不満もたくさん。中途半端に挿入されるモノローグ。アップの多用し過ぎ。終盤は、演者への嫌がらせかと思うくらい、間の長いアップが多い。俳優の技量でそれぞれちゃんと見られるシーンになっていたけど、全体の配分が考えられておらず、アップの大安売りの感は否めない。あと、音楽の使い方。とくに、自転車でゲーセンへ行く田舎道のシーンの恥ずかしい感じは何だろう。そして、ラストの歌をつなぐシーン。オムニバス的なシーンを一つに結びつけるポール・トーマス・アンダーソン監督『マグノリア』の「wise up」をやりたかったんだと思うけど、この映画では明らかに逆効果。その前の成田稜の「名前なんだっけ?」でそれぞれの物語がやっぱりバラバラだったことが見えた後に、歌のリレーで「妙に気持ちがつながった感」を演出してどうしたいのか、さっぱりわからなくなった。[インターネット(字幕)] 5点(2021-04-02 08:24:32)(良:1票)

452.  ビリーブ 未来への大逆転 《ネタバレ》 つい先日亡くなったアメリカの最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)の半生を描いた伝記映画。ただ、日本版ポスターにはRBGの名前すら出ておらず、残念すぎる邦題のおかげでそもそもRBGの伝記だと知らないままスルーしている方も多いと思う。冒頭、男子学生の群れのなかに1人立つ若きRGBの姿、その後の彼女の歩みを象徴する、すばらしい導入で期待値も上がったのだけれど、その後の映画の展開はとても平板な伝記法廷ものに。ところどころよいシーンもあるのですが、フェリシティ・ジョーンズがその後のカリスマの若き日々にうまくはまらない。個人的に好きな法廷ものなので退屈はしませんでしたが、彼女の最後の弁論が、どのように判事たちの考えを正し、全員一致の勝利を勝ち取るような論理を持っていたのかがうまく伝わらない。彼女と度々衝突するACLUのメルとの関係も結局は整理不足で、チームのケミストリーというか相乗効果みたいなものを感じることもできず、カタルシス不足。この作品で描かれるのは男女平等をめぐる「世紀の判決」だったわけで、もっとうまくドラマにできたはずなのに・・・というのが正直な感想でした。あと、本作にとって気の毒だったのは、少し前に公開されたドキュメンタリー映画『RBG:最強の85歳』に登場するRBG本人と夫のマーティンさんが素晴らし過ぎたこと。それと比べると本作の夫妻の姿はやっぱり物足りなかった。RBG本人はもちろん、夫のマーティンさんも、戦前生まれとは思えない柔らかさとユーモアと知性を持った好人物でした。結局は、「事実にもとづいた物語」よりも「事実」のほうが面白い、ということを実感してしまいました。ただ、本作の「創作」らしい娘との関係、とくに裁判を決意するエピソードはよかったです。この映画でRBGを知った方にはぜひドキュメンタリーのほうも見て欲しいです。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-10-06 14:21:31)

453.  ゼロの焦点(2009) 全体として台詞回しも音楽も演出も大仰で過剰。中谷美紀さんはもともと表情も演技もオーバーアクト気味なのに、序盤の登場シーンから最後まで「熱演」にアクセルをかけてしまい、コメディかコントのようだった。逆に受けの立場の広末涼子さんは、終始引き過ぎで芯の強さを伝えきれない。得意な役回りだった木村多江さんはいつもの木村多江さん。3人の女性の設定にせよ、その後のサスペンスドラマの定番となった「崖シーン」にせよ、いまや多くの映画やドラマの基本枠組を作ってしまった作品であるがゆえ、その基本枠組を21世紀にどのように表現するのかが問われた作品であろうけれど、そうしたメタな視線をできるだけ排除して、昭和的な「正統派」路線でいったのが正解だったのかどうか。もう一歩踏み込んだ再解釈が必要だったのでは。[インターネット(邦画)] 5点(2020-07-19 07:05:19)(良:1票)

454.  アズミ・ハルコは行方不明 《ネタバレ》 やりたいことは、なんとなくわかる。「ダメ女」女優として名人の域に達してきた蒼井優の姿を眺めているだけでも楽しい。地方都市の閉塞感、そこにどっぷりと浸かって腐っている男たち、そこで女として生きることの苦痛、そこからの解放・・・なのかな。ただ、映画としての技法が追いついていない。ぶれすぎるカメラも切り刻んだ時間軸も「アート映画風」なだけで、ぜんぜん効果的ではない。主題として描かれる男性世界としての地方都市のイメージも、なんか一面的で深みがまるでない。気持ち悪い社長みたいな人は実在するんだろうけど、その戯画化がベタすぎてつまらない。その世界に一矢報いているのが、女子高生ギャング・・・だなんて、その発想はまるで90年代に一世を風靡したブルセラ社会学者(死語)のようだ。行方不明の真相もベタ過ぎる。そう考えると、作法も内容も全体がひたすら痛い。この痛さは、まるで、いっときバンクシー風の「アーティスト」気取りで盛り上がってしまった登場人物たちのようだ。その点が面白く、なんだか嫌いになれない。この映画の監督が、この映画自体をそういうメタなセルフパロディとして作っていたのなら、それは凄いことだけれど、たぶん違うんだと思う。[インターネット(邦画)] 5点(2020-07-09 09:00:49)

455.  LBJ ケネディの意思を継いだ男 《ネタバレ》 スピルバーグが『リンカーン』で奴隷制を廃止する憲法修正13条を成立させるまでのドラマを濃厚な政治描写で描いたけれど、今回は差別を禁止する1964年公民権法を制定するまでのジョンソン大統領の苦闘を描くとして、政治ドラマ的な期待をもってみたら、まったくもっての外れでした。序盤から、CNNの追悼ドキュメンタリーあたりで使われそうな、いい話風のBGMがやたら流れていて嫌な予感はしていたのですが、政治劇というよりは、ドラマの大半はケネディ暗殺前後に絞られ、「日陰」にいたジョンソンがいかに大統領としてケネディの遺志を継いだのかという部分に絞られています。だいたい97分という、政治もの、歴史ものとしては極端に短い尺からしても、本来なら複雑な政治劇にしようとしたところ、小難しくなるのを嫌ったスタジオの圧力で単純化させられたんだろうなあというのは容易に想像できる。それでも、ケネディ兄弟と南部実力者のあいだの「中間管理職」的な政治家というポジションとして、ジョンソンを描いたのは、さすがはベテラン監督のロブ・ライナーらしい「落としどころ」でした。とくに、南部の重鎮議員のラッセルとの関係と確執は本作でももっとも緊張感にあふれた名シーンの連続でした。ただ、その緊張感ある構図もケネディ暗殺までしか持たず、その後は、ジョンソンのちょっといい演説で法案成立というのは、ある意味、それまでのジョンソンの政治キャリアを否定するような描写だったと思う。彼の真骨頂は、ケネディのような若々しさや印象深い演説ではなく、議会であの手この手で賛同者を増やし、票を積み重ねるプロセスにあったはずで、そっちをすっとばして演説一発、あとはナレーションで解決、というのは法案成立の歴史的過程とも本作のテーマともあってなかったと思うし、何より政治家としてジョンソンにフォーカスを当てた意味がまるでなくなってしまった。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2020-04-26 10:51:51)

456.  あゝ、荒野 前篇 主人公の信次と健二の二人とそれを取り巻く人たちの人間ドラマとしてはかなりいい。それぞれの「家庭の事情」はステレオタイプだけれど、二人がボクシングにのめり込んでいく背景としてはそれなりに説得力がある。菅田将暉はもっとも多忙だった時期だと思うけど、それでもチンピラ上がりのボクサーをしっかり作り込んでいるし、ヤン・イクチュンの抑えた鬱屈の感じもいい。また、主人公二人のまわりを固めるベテラン陣もみんないい。ただ、原作未読なのでどこまで原作の内容を反映しているのかはわからないのだけれど、現代版にアレンジした背景の数々がうまくテーマに絡んでこない。何かの反対デモやら、自殺防止サークルやらのあたりの描き方は主人公たちの描き込みに対して、リーダーから参加者まで、妙な安っぽさがあり、あの自殺防止イベントの顛末をなぜここまで時間をかけて描く必要があるのかよくわからないし、主人公たちのドラマやテーマにもうまく共鳴しているように見えない。あと、わかってたけど、長い・・・。中途半端な群像劇になってるあたり、映画というよりもドラマのミニシリーズと言ったほうが近いような(実際、U-NEXTでドラマシリーズ版も公開されたらしい)。[インターネット(邦画)] 5点(2020-04-13 08:28:54)

457.  羊の木 《ネタバレ》 リアリティ・ラインが微妙でどういう映画か理解するまで時間がかかった。たぶん、テーマ的には、受刑者の更生という「社会派」というよりも、「元殺人者」が自分の生活のなかに深く関わってきたとき、それを人はどうやって受け止めるのか、信じることができるのかというヒューマニズムを描いた寓話として見た方がいいのだろう。公務員役の錦戸君はそのへんの戸惑いを上手に表現していたと思うけれど、終盤の「友達だから」という言葉にはもう少し説得力が欲しかったかも。また、6人という数はちょっと多かったように思う。それぞれいろんな「反社会」のバリエーションがあったとはいえ、二時間でそれぞれの人生に落とし前を付けるにはやや性急な話し運びになってしまった(とくに酒乱の人、市川実日子、優香の顛末はもうちょっとちゃんと見たかった)。展開的には、ラストに6人が一同に会して物語をまとめきってしまうような力業を期待したのだけれど、中盤の「のろろ祭」がその「現場」となったものの、ラストはけっきょく松田龍平との対決になってしまった。ほかの5人(あの時点では4人か)の物語が置き去りになってしまったのは残念。6人という人数とそれぞれの人生を考えれば、Netflixあたりでの連続ドラマ向けの題材だったのかもしれない。吉田大八監督らしい乾いた演出は冴えていたと思うけれど、ヒューマンな題材、後半のホラー展開、そして「のろろ様」のあたりの伝奇モノっぽい雰囲気もちょっと噛み合わせが悪く、全体として薄味なミックス感でまとまってしまったのも惜しいと思う。[インターネット(邦画)] 5点(2020-03-29 10:51:31)

458.  新聞記者 《ネタバレ》 志は買う。国内大手メディアの萎縮が指摘されるなかで、現実世界の政治問題に果敢に突っ込む思い切りの良さは、映画というメディアの可能性をあらためて見せてくれたと思う。ただ、そうだったとしても同時に感じてしまうのは、その映画としての手法や脚本の残念さだ。使い古された手持ちカメラ風映像、現実に起きた事件をなぞりすぎていてヒネりがない脚本、松坂桃李夫婦の描き方に見えるあまりに古くさい男女像、陰謀論スレスレの内調の描写など、たとえば日刊ゲン○イやネットニュースのリ○ラあたりに感じる「リベラル親父」感そのままの描写は、ちょっと痛い。そのくせ「真相」部分では突然「政府が生物兵器開発のために大学を新設」という荒唐無稽な陰謀論が姿を現し、それまでの(オヤジメディアが生きる)リアリティ路線の壁を突然ぶちやぶってしまう。あの事件は(最近の桜の件同様)、あまりにもセコい動機のために(公文書の扱いなど)国家制度のしくみ自体を腐らせたことが問題だと思うのだけれど、この映画では必要以上の「巨悪」に仕立て上げてしまう。この「真相」をリアリティの延長線におけると制作側が考えていたとしたらそれも痛いし、そうではないのであればなぜ最後だけファンタジーにして物語のバランスを自ら崩してしまったのか、よくわからない(そして、この点は原案となっている記者さんにとっても大きなマイナスのような・・・)。結局見終わった後に感じたのは、「リベラル親父メディア」をもとにした(出来がよくないタイプの)池井戸潤ドラマ、という残念な感覚だった。[CS・衛星(邦画)] 5点(2020-03-11 06:56:19)

459.  フォードvsフェラーリ 《ネタバレ》 俳優の熱演とレースの迫力で面白かった、のだけれど、終わってみたらたくさんのモヤモヤが・・・。まず、レースシーン。たしかに迫力十分でこの映画の一番の見所だとは思うのですが、「見せ方」がNASCAR的なアメリカン・モータースポーツの見せ方を踏襲してて、ちょっと「ルマン」とは違うような。要するに、ギリギリに接近してのオーバーテイクとクラッシュのシーンが見せ場の中心で、24時間「耐久」レースであるルマンの戦略性やメカニックの重要性は軽視されてしまっている。実は優勝したマクラーレンはちゃんと24時間耐久レースをしていたのに、フォードだけが違うレースをしていて、だから結果がああなった、ようにも見えてしまうのだ。その考えでいけば、あのブレーキを交換してしまうという戦略はやっぱり論外。限界があるブレーキで24時間どう走りきるのかの戦略なのに(実は、あれでレース後失格になるという結末だと思っていたけど、違っていて驚いた)。これって、要するに実はモータースポーツに対する敬意にも欠いていて、アメリカ的な論理を押し切ってしまうのが、あまり愉快ではない。それから、ドラマ部分。主人公2人のあいだの論理の対立や葛藤のようなものはほとんどなく、唯一ぶつかった最初のレース遠征の件も、予定調和過ぎる「殴り合い」で解決・・って。結局、2人のあいだに「生き方」の違いが見られないから、レースカーの開発や出場に向けてのドラマ部分が全く盛り上がらない。ここで盛り上げ役になったのは、いかにも悪役の副社長なんだろうけど、組織の論理というよりはケンへの私怨で動いているように見えて、残念さを増幅させる。じゃあ、ドラマ軽視、レース文化軽視でも主人公2人のレース映画としての爽快さを優先させたのかと思えば、ルマン以後の顛末があまりにバタバタと進んで感情移入する間もなく終わってしまう。これだったら、レースで終幕して、その後は実話ものにありがちな字幕で説明でもよかったような。全体として、マンゴールドの演出は冴えていたと思うけど、脚本が稚拙で映画全体としてもったいないという、よくあるマンゴールド映画のかたちに落ち着いてしまったのが残念。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2020-02-23 23:14:42)(良:1票)

460.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 50年代のハリウッド黄金時代に西部劇スターだったリックとそのスタントマンのクリフ。二人のやりとりは、スター二人の圧倒的魅力もあって軽妙で楽しい。そして、マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートのあっけらかんとした明るさ。映画館のシーンは彼女の表情を見ているだけで、こちらも幸福感に包まれる。こんな魅力が満載の映画なのに、どこか不吉な空気が張り詰めている。もちろん、その夢のような時間の儚さは、映画の背景にチャールズ・マンソン事件があるらしいと聞かされた観客みんなが知ってる。幸福感があふれるほど、それがまもなく壊される予感に切ない気持ちでスクリーンを見つめていたはずだ。しかし、タランティーノが用意した物語のラストは、予想していたものと違って、なんとまあ、落ち目のスターとスタントマンが大暴れして、「そのまま」終わってしまった。 悲劇の現実があるからこそ、フィクションのなかでこそ夢を、という考え方は当然あるだろう。ただ、個人的には、「ヒッピーめ」と新しい時代の象徴を嫌悪の目でにらみつけるディカプリオも、「古き良き時代」を葬り去ろうとする力を圧倒的な暴力で返り討ちにするブラピも、結局は新しい時代を拒否して「古き良き時代」の殻に閉じこもるどこかの大統領とそれを支持する人たちの姿にも重なってしまうのだ。とくに、東洋のカンフースターを圧倒するブラピ、襲撃グループの女性の頭を必要以上に何度も打ち付けるブラピの姿に、『ファイトクラブ』の頃のような自省的な像は全く見えてこない。外国人を黙らせ、生意気な女を焼き尽くせと言わんばかりの暴力に、どんな魅力があると言うのだろう(もちろん、カルトを肯定したいのではなく、相手がクレイジーな女だったとしても「絵」として気分がいいものではない、ということだ)。 映画としては、『キル・ビル』の頃と比べると飛躍的に巧くなって、円熟の境地に達したといっていいタランティーノ映画の魅力満載で、ぜひじっくり楽しみたい作品だ。けれど、全体の構図としては、60年代に幅をきかすようになった「あいつら」がアメリカをダメにした、という『フォレストガンプ』と全く同じプロットにも見える。俺の好きなものを奪ったやつらを暴力で返り討ちにするというタランティーノのモチーフが、最悪に近いかたちで具現化されてしまった・・といったほうが正直なところ。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2019-12-30 11:46:42)(良:3票) 《改行有》

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